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決算を読む習慣をつけるのに必要な10の知識とオススメの本7選


会社の経営者の皆さんは毎年決算書を作成していると思いますが、実は「どう見たらいいのか……」「何となくわかるけど説明となると自信がない」という方もいるのではないでしょうか。

 

決算書にはさまざまな数字が書かれており、「数字は苦手」「経理担当に数字はお任せ」となりがちです。ここでは決算書に書かれた数字に慣れ、決算書を読む習慣をつけるのに必要なポイントを解説します。

 

 

1 貸借対照表

貸借対照表書は、その会社の創業以来の経営活動の結果が書かれています。どのような資産を持っていて、それを買うお金はどうやって調達したか、また利益はどのくらい積み上がったかが書かれています。

 

貸借対照表は資産の部・負債の部・純資産の部の3つに分かれています。左側に資産の部、右側に負債の部と純資産の部が記載されています。

 

資産の部:会社の保有する財産や生産装置、権利などの資産の状況をあらわします。大きく流動資産・固定資産・繰延資産の3つに分けることができます。

 

負債の部:金融機関などからの借入や、支払い義務のある売掛債務などの負債の状況をあらわします。大きく流動負債・固定負債に分けることができます。

 

純資産の部:資産の部から負債の部を差し引いたもので、株主等からの出資金や会社の利益の蓄積の状況をあらわします。資本金・利益準備金などの項目に分かれます。

 

 

ポイント1 財務状態の健全性を見るならまず自己資本比率!

自己資本比率は、財務状態の安全性を示す指標で、会社の資産が返済義務のない資金でどのくらい調達されているかをあらわしています。

 

自己資本比率(%)=(自己資本÷総資産)

 

会社が営業活動に必要なものを買うときに、返済する必要のない自分のお金で買っている割合を示しています。資本金や利益準備金などは、銀行からの借入等とは異なり、返済の義務がなく、資金の調達方法としては安全性が高いといえます。

 

資本の部を自己資本と呼ぶことに対して、負債の部は返済義務がある他人の資金であることから他人資本とよびます。他人資本はいずれ返済したり支払ったりしなければならない資金です。

 

金融機関も会社の財務状態の健全性や安全性を見るうえで重要視している項目です。目安としては30%を目指したいところです。

 

 

ポイント2 支払い資金は十分にあるかがわかる流動比率!

流動比率は流動資産を流動負債で割ったものです。

 

流動比率(%)=流動資産÷流動負債

 

流動資産:1年以内に資金化または費用化される資産
流動負債:1年以内に返済する義務のある負債

 

この指標があらわしているのは、すぐに現金化できる資産(=流動資産)と、すぐに支払わなければならない負債(=流動負債)の比率です。会社にいくら資産があっても、すぐに現金化できなければ必要な支払いに充当できないからです。流動比率は100%を越えていれば、支払い不能になる確率は低いと考えられますが、一般的には200%以上を目指したいところです。

 

流動資産には現預金・受取手形・売掛金・棚卸資産・未収金・前渡金・前払費用・貸付金・有価証券等が該当します。回収見込みのない棚卸資産や未収金は除かれます。

 

流動負債には支払手形・買掛金・未払金・預り金・前受け金等が含まれます。また長期の借入金でも1年以内に返済しなければならない部分については流動負債に含めます。

 

単年度でなく、時系列で比較することも大切です。流動比率が徐々に低下している場合は資金繰りに余裕が少なくなっている兆候と捉えることができます。

 

 

ポイント3 売掛金・棚卸資産の健全性がわかる売上債権回転率・在庫回転率!

売掛金・棚卸資産は不良債権・不良在庫の有無を確認しましょう。売上債権や在庫の回転率が長くなっていないか、前年の売掛金・棚卸資産の金額と比べて急激に増えていないか、または月商対比で売掛金・棚卸資産の金額が過大でないかをチェックします。

 

売掛金・棚卸資産の中に不良債権や不良在庫が含まれているとこうした指標が大きくなります。こうした不良債権や不良資産は、利益を生み出さないだけでなく、運転資金が増加し、管理コストも増加するなど資金負担が増加することになります。

 

経営者の方が、全てに目配りをしているとしても、規模が大きくなってくると目が届きにくくなる部分もでてきます。こうした決算書の中から注意すべき項目を拾い上げて速やかに対応してゆきましょう。

 

売上債権回転率=売上高÷売上債権 在庫回転率=売上原価÷在庫

 

 

2 損益計算書

損益計算書は、その会社の単年度の経営成績が書かれています。どれだけ売上があって、どれだけ費用がかかって、いくら利益が残ったかというものです。

 

 

ポイント4 損益計算書は3期分並べて比較しよう!

損益計算書の売上や利益については、単年度だけでは、増えているのか減っているのかがわかりにくいので、時系列で並べて把握しましょう。3期分並べれば、傾向がよくわかります。

 

売上が増えていたならば、その要因がパッとでてくれば大丈夫です。売上の増加した事業部や営業所はどこか、また商品別に見て売上の増加した商品は何かなど経営者の持っているイメージと決算書の数字がリンクしているかどうかを確認します。

 

経費項目でも、増減に着目します。どんな支出があり、経費支払いが増えたのか、それは今期のみのものかどうかなど、増減の理由を把握しましょう。

 

また固定費の増加は要注意です。人件費をはじめ固定費の支出は、売上の増減に関係なく支払いが発生する経費ですので、売上が順調なうちは問題ありませんが、売上が減少してくると重たくなってきますので、とくに確認しておきましょう。

 

こうした経費項目の増減については金融機関の審査においてもよくチェックされますので、金融機関の担当者から聞かれる前に経営者自身で確認しておきましょう。

 

 

ポイント5 さまざまな利益の意味を知ろう!売上総利益・営業利益・経常利益・当期利益

損益計算書にはさまざまな〇〇利益が書かれています。同じ利益でもどこが違うのでしょうか。それぞれの算出方法を見ながら考えてゆきましょう。

 

a) 売上総利益(粗利益)=売上―売上原価

 

売上高から売上原価を差し引いたものです。会社の商品力や開発力を示しています。粗利率が低下傾向にある場合は競争力が低下している可能性もあります。売上のボリュームを増やすか、付加価値を高める方策を検討しましょう。

 

b) 営業利益=売上総利益―販売費・一般管理費

 

売上総利益から間接経費を差し引いたものです。会社の本業の収益力を示しています。営業利益が低下傾向にある場合は、経費コントロールの厳格化やコスト見直し、営業体制や広告戦略の見直しなどの方策を検討しましょう。

 

c) 経常利益=営業利益―営業外収支

 

営業利益から営業外収入と支出による収支を差し引いたものです。本業以外を含めた会社の収益力を示しています。経常利益が低下傾向にある場合は、本業以外の事業によるものか、金融収支によるものかを分析し、方策を検討しましょう。

 

d) 税引前当期利益=経常利益―特別損益

 

経常利益から特別利益と特別損失による収支を差し引いたものです。特殊要因を含めた会社の今期の収益力を示しています。

 

e)税引後当期利益

 

税引前利益から法人税額を差し引いたものです。最終的な会社全体の収益力を示しています。税引き後の当期利益は大きい方がいいですが、節税対策も含め対応策を検討しましょう。

 

 

ポイント6 利益を出すにはどのくらい売上が必要か?損益分岐点を把握しよう!

 

損益分岐点売上高は、簡単に言うと、利益を黒字にするために、最低でもどのくらい売上が必要かを示したものです。損益分岐点売上高を理解するためには、経費の中の固定費と変動費を理解しなければなりません。

 

変動費:販売や生産活動に伴って発生する費用  仕入・材料費等 
固定費:販売や生産活動に関係なく発生する費用 人件費・家賃・水道光熱費等

 

変動費は売上の増加に伴って発生する費用ですが、固定費は売上がなくても発生する費用です。

 

変動比率=変動費÷売上

 

損益分岐点売上高の計算式は以下の通りです。

 

損益分岐点売上高=(固定費)÷(1-変動費比率)

 

これにより最低でもどのくらいの売上が必要なのかを計算することができます。売上目標の設定や事業計画の策定の際にも必要な項目です。

 

計算式からもわかるように、固定費の金額が大きければ損益分岐点売上高は大きくなってしまいます。反対に固定費をできるだけ抑えてゆけば、損益分岐点が下がることになりますので、固定費の増加には十分注意が必要です。

 

 

ポイント7 横文字でも難しくはありません!ROA/ROE

横文字だとすこし難しそうな印象も受けますが大きく捉えて頂ければ結構です。ROA/ROEのどちらも会社の収益力をあらわす指標です。

 

ROA(Return on Asset) 総資本利益率

 

ROAは借入金及び株主資本を合わせた総資本全体から、どのくらい効率的に事業に関する利益を計上しているかを示しています。

 

ROA(%)=当期純利益÷総資産

 

ROE(Return on Equity) 純資産利益率

 

ROEは株主資本から、どのくらい効率的に事業に関する利益を計上しているかを示しています。ROEは他人からの借入を多く利用して利益を上げれば、その分高くなります。(いわゆるレバレッジ)

 

ROE(%)=当期純利益÷純資産

 

ROA・ROEとも適正な水準というのは、これだけではわかりにくいので通常、同業他社などと比較しながら会社の収益力を分析します。

 

 

3 キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー(CF)計算書は、その会社の単年度のお金の流れが書かれています。営業活動CF・投資活動CF・財務活動CFから成り立っています。営業活動でどのくらいお金が必要となったか、投資活動でどのくらいお金を使ったか、財務活動でどのくらいお金を集めたか、そして手元のお金は増えたのかということが書かれています。

 

 

ポイント8 キャッシュは足りているか?まずは増減の要因を抑えよう!

営業活動によるCFでは、売上が増加した場合の現金の回収状況を確認しましょう。とくに成長企業では売上の増加に現金回収が追い付かず「勘定合って銭足らず」となる場合があります。売上が増加すれば、それに伴う費用も増加するので、現金の回収が遅れると資金繰りにおおきな影響を及ぼすことがあります。いわゆる黒字倒産を避けるためにも注視したい項目です。

 

投資活動は事業計画通りに投資が行われているかを確認しましょう。

 

財務活動によるCFでは、営業活動や投資活動によりCFがプラスで、財務活動は借入金の返済が進んでマイナスというのが理想です。営業活動や投資活動によるCFがマイナスの場合、金融機関からの借り入れによりCFがプラスとなってしまいます。

 

 

ポイント9 現金残高の増減と残高水準を抑えよう!

残高増減がプラスになっていれば前期末に比べて現金は増えていることになり、マイナスの場合は現金が減っていることになります。マイナスの幅の大きさが大きいようであれば現金残高の水準が低くなり、資金繰りに影響をきたすこともあります。

 

一方で現金残高が多すぎても資産効率が悪く、預金と借入が両建てすることにもなります。金融機関によっては運転資金を当座貸越や借入極度で設定する場合もあり、預金と借入のバランスをこまめに修正することができます。

 

業種や支払い条件により異なりますので一概には言えませんが、月商の1~1.5ヶ月分は確保しておくと安心ですし、金融機関からの見方もよくなります。適正な水準でコントロールしてゆきましょう。

 

 

ポイント10 異常値を素早く察知しよう!

おそらく経営者の皆さんであれば、ご自身の扱っている商品や製品について思い当たることもあるでしょうが、毎日商品や製品を見ているとちょっとした違いにすぐに気付くことができます。ミリ単位の狂いや、誤差を見逃さないという方もいます。

 

決算の数字についても実は同じことが言えます。毎日数字と向き合っていると、数字が間違っていた場合などに、違和感があるとか、何か違うという感覚が生まれてきます。

 

経営者の皆さんには決算書や経営指標を見る習慣を是非ともつけていただいものです。それは、会社の状態の変化にいち早く気付くことこそスピーディな経営判断につながるからです。

 

また「この数字どうなっているのかな」と、社員に質問することで、社員の中にも「社長は結構細かいところまで見ている」という牽制になります。

 

「数字は苦手」「経理担当に数字はお任せ」というところから、経営者自身が一歩進んでゆくことで、会社全体が意識を高めることにつながります。

 

決算数字に慣れてゆき、ちょっとした違いを察知しようとすることで会社全体の数字に対する意識が変わってくるでしょう。

 

 

4 オススメの本7選

「今期は6%の増収」「100億円の特別損失計上」
新聞や経済誌に上場企業の決算発表の記事が掲載されますが、皆さんはどのように読まれていますか?
さっと目を通すだけで「そうなんだ」「景気良さそうだね」程度で次の記事に移る方も多いのではないでしょうか。
決算は言わば、各企業の1年間の経営活動の通知表です。またそこにはそれぞれの企業のこれまでの取り組みや、今後の戦略が色濃く反映されています。

 

そうした決算の内容を読む習慣を身に着けてゆくことは、経営感覚を磨いてゆくことになります。そして自分自身の仕事の幅を広げるよい教材でもあります。
今回は決算を読む習慣をつけるオススメの本をピックアップしました。

 

1 「MBAより簡単で英語より大切な決算書を読む習慣」(日経BP社)シバタナオキ著
2 「儲かる会社の財務諸表 48の実例で身につく経営力・会計力」 山根節 光文社新書
3 「稲盛和夫の実学-経営と会計」 稲盛和夫著 日経ビジネス人文庫
4 「経理以外の人のための日本一優しくて使える会計の本」 久保憂希也 ディスカバー新書
5 「ざっくりわかるファイナンス 経営センスを磨くための財務」 石野雄一著 光文社新書
6 「決算書がスラスラわかる財務3表一体理解法」 國貞克則著 朝日新書
7 「マンガで入門!会社の数字が面白いほどわかる本」 森岡寛著 渡邊治四著 ダイヤモンド社

 

 

4-1 MBAより簡単で英語より大切な決算書を読む習慣

東京大学・スタンフォード大で研究者として活躍し、シリコンバレーでSearchManを創業、元楽天執行役員(当時史上最年少)の著者が、日米の有名企業・成長企業37社の「決算分析事例」を掲載しながら、各企業の成長戦略を読み解いてゆきます。

 

Yahooやamazon、zozotown、Facebookなど日頃よく目にする企業の事例を元に「ECビジネスの決算」「fintechビジネスの決算」「個人課金ビジネスの決算」などのビジネスモデルを解読してゆきます。

 

本書は財務会計を専門とする以外の人に向けて書かれており、会計財務の知識がなくても安心して読み進めてゆけます。数字に強い人になるためには、まず決算書の数字を読む習慣を身に着けてほしいという著者のメッセージが伝わってきます。

 

決算数字を読み進めながら、その会社の売上の立て方や人気の秘密、そして同業他社との違いなど具体的なポイントをわかりやすく解説しております。経歴からもわかるようにIT業界で活躍している著者ならではの解説に、目からウロコの気付きが得られる一冊です。

 

教材が今話題の「あの企業」の決算ですので、興味深く読み進められること間違いなしです。決算書を読む習慣を身に着けられる本書を一度手に取ってみましょう。

 

 

4-2 儲かる会社の財務諸表 48の実例で身につく経営力・会計力

楽天とamazon、セブン&アイとイオンなど各業界の代表的な企業の貸借対照表、損益計算書を比較しながらその特徴を分析しています。細かい分析というより、大まかに捉えながら分析しているので、企業の戦略や強み・弱みを理解するのに、非常にわかりやすくなっています。

 

「儲けの構造が読めると、経営がわかる」の言葉に表れているように、それぞれの会社の財務諸表を比較するなかで、決算数字から企業の戦略の差が浮かび上がってきます。どのような経営を行い、そのような数字として表れているかを示しながら、会計と経営戦略のつながりをわかりやすく説明している一冊です。

 

同業他社の財務諸表を比較し、その特長が異なる理由を経営戦略の観点から説明している点や、有名企業の事例をふんだんに取り入れることで、読み手にもイメージが付きやすくなっています。

 

数ページの財務諸表を分析していくことも大切ですが、専門の担当部署でない限りは、ビジュアル的に捉え、無視できるものは無視しながら「ちょうどいい加減に捉える」くらいが適当ではないでしょうか。特に経営を考える場合には、まずは大局的に捉えることを学ぶべきである、という著者のメッセージが伝わってきます。

 

会計をわからずに経営はできない!日本を代表する名経営者が説く、会計と経営の本といえます。

 

 

4-3 稲盛和夫の実学-経営と会計

京セラやKDDIの創業者で、JALの再生を果たした、日本を代表する名経営者の著書です。著者は技術者の出身で、京セラを興すまで経営や会計は、全くといっていいほど詳しくはありませんでした。

 

それでも経営上の問題に頭を悩ませる中、「人間として正しいこと」をベースに判断してゆくことにたどり着き、会計についても、その本質まで遡り「何が正しいのか」をベースに取り組んでゆくなかで、たどり着いたのが「京セラ会計学」「アメーバ経営」です。

 

会計数字を飛行機のコクピットの計器盤に例えて、会社の正しい数字をわかりやすく表すことで正しい方向にかじ取りをするというものです。「会計がわからずに経営ができるか!」という言葉には、会社の現在の姿を正しく把握しなければ、正しい経営判断などできるものかというメッセージが込められています。

 

「値決めは経営」「ダブルチェックの原則」「土俵の真ん中で相撲を取る」など、著者の経営哲学にも触れることができ、ビジネス書としても高い評価を得ています。複雑な会計用語を用いずに平易な言葉で会計について説明されています。技術者出身の著者が自身の考えや経験を通してまとめあげた渾身の一冊です。

 

 

4-4 経理以外の人のための日本一優しくて使える会計の本

元国税調査官として、飲食店・医療業・芸能人・風俗業等の税務調査を担当していたという経歴を持つ経営コンサルタントの著書です。

 

「細かいことより、本質的なことをサクッと知ろう!そして、利益を最大化しよう!社長から新人営業マンまで!」のフレーズに象徴されるように、細かい知識よりも「会計感覚」を身に着けて、いかに利益を最大化するかを解説しています。

 

インテリア雑貨を扱う会社を舞台にして、管理会計・税務会計・財務会計、キャッシュフローなどの基本的な解説を、ストーリー形式で展開してゆきます。ストーリー形式で書かれているので、マニュアル本にありがちな退屈さもなく、最後まで飽きずに読み進めてゆくことができます。

 

会社で利益を最大化してゆくためには管理会計的「思考」が必要であることが説かれています。細かな会計や経理の知識を身に着けることよりも、会社の経営からの視点や、正しい会計感覚を身に着けることがポイントです。

 

「どうすれば会社の利益を最大化できるか」ということは、社長だけでなく若手社員も含めて全社員が意識する必要があります。「売上、売上」と、日々数字に追われることの多い若手ビジネスマンでも、正しい会計感覚を身に着けることで、利益の最大化への貢献を行ってゆくことができます。

 

自分の行っている仕事がどのように会社の会計や財務に結びついているかが、本書を通して知ることできます。

 

ファイナンスという目線で、「キャッシュ」「未来」を意識して財務諸表を読み解きます。

 

 

4-5 ざっくりわかるファイナンス 経営センスを磨くための財務

タイトルの通り「ざっくり」とファイナンスとは何かを理解するのに役立つ一冊です。財務諸表や会計制度について専門用語を多用することなく、わかりやすい言葉で解説しています。

 

会計とファイナンスの違いは、会計は「利益」「過去」を扱うものであることに対して、ファイナンスは「キャッシュ」「未来」を扱っているものであるなど、シンプルでロジカルに説明しています。

 

コーポレートファイナンス(企業財務)とは「投資に関する意思決定」「投資に必要な資金調達に関する意思決定」「運用で得た資金の分配に関する意思決定」の三つの役割があります。その三つ通して企業価値を最大化してゆくというものです。

 

ファイナンスの重要性、キャッシュフローの重要性を、経営者の目線から解説していますが、同時に投資家の目線でも企業の価値を考えるにはぴったりの作品です。

 

ファイナンスの大枠を理解できる一冊で、これまでの決算書に新たな視点を加えて読み進めることができるでしょう。もちろん会計に必要な基本的な事項も網羅されており、初心者から安心して手に取ることができます。

 

 

4-6 決算書がスラスラわかる財務3表一体理解法

シリーズ累計60万部の大ベストセラーで、財務諸表の見方を学ぶならこの一冊という本です。著者は「財務3表」シリーズの執筆をはじめ、企業・団体向けの講演やセミナーでも活躍されています。

 

「簿記を勉強しなくても会計の仕組が理解できる」というフレーズのもとに、損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書を取引ごとに関連付けながら一体的に理解してゆくという方法が解説されています。見開き2ページにて紹介を進めており、ビジュアル的にもわかりやすいのが特徴です。

 

決算書に関連する事項を幅広く網羅しており、会計をこれから学ぶ人には外すことのできない一冊です。初心者にもわかりやすく丁寧に説明をしており、ベストセラーとなる理由にも納得できます。

 

 

4-7 マンガで入門!会社の数字が面白いほどわかる本」 森岡寛著 渡邊治四著 ダイヤモンド社

マンガで会社の数字の仕組みを徹底的に分かりやすく説明しています。会社の数字や財務に対して苦手意識を持ちがちな若い世代にもオススメしたい一冊です。

 

ストーリーは、新卒で入社した会社数字などの知識が全くない主人公が、財務改善プロジェクトへの参加を通じ、財務の基本や会社の問題点をつかみ改善してゆくものです。

 

マンガの主人公と同様に、財務や会社数字に関する知識が少ない新入社員や若手のビジネスマン、また内定者や大学生にも、同じスタートラインからストーリーが進んでゆくので、順を追って知識をつけてゆく様子が実感できます。また登場人物も同世代の人物を描いているので同世代として共感できる部分も多いでしょう。

 

ストーリーがあるのでビジネス書を最期まで読む忍耐力も不要であり、読書の習慣づけの入り口としてもよいのではないでしょうか。

 

各章末にはワンポイント解説や用語の説明がされ、基本的な知識の習得もできようになっています。ビジネス書でマンガ?という方もいるかもしれませんが、中身は充実しています。

 

著者は会計事務所出身ですが、若手の頃からメキメキと頭角を現し独立した気鋭のコンサルタントで、本の執筆のみならず各地で講演活動も行っています。

 

マンガという表現方法を使って、ストーリー仕立てで財務や会社数字の解説をしており、会社の数字への抵抗感を取り除ける一冊です。読み終えた後には気がつけば会社数字や財務の基本が頭に入っています。

 

まとめ

決算書を読む習慣をつけるオススメの本をご紹介しました。

 

これまで会計や決算というと苦手意識の強い方も多かったとは思いますが、どの本も専門的な知識を深く追求するような本ではありません。初めての人でも、最後まで読み通せるような構成になっており、一冊読み通した後には、一通りの知識が身についています。

 

この中での気付きとしては

 

  • 実際の企業の財務諸表には、その企業の特長や経営戦略が表れている
  • 決算書・会計の情報は正しい経営判断にとって不可欠なものである
  • 決算数字を会社全体で共有することで利益に対する意識を強くすることができる

 

というものです。

 

どのような立場で、どのような目線で決算情報を捉えるかは、人によって異なりますが、いずれにせよ決算書を読む習慣をつけるためには、「なぜ決算書の情報が必要なのか」を肚落ちさせる必要があります。

 

今回ご紹介した本には、「なぜ決算書の情報が必要なのか」という問いに対するヒントが、たくさん隠されております。今後の仕事に役立つ一冊に出会えることをお祈りします。

 

最後に、ウイリアムズ・ジェームズ(哲学者・心理学者)の言葉を紹介します。

 

「意識が変われば、行動が変わる
行動が変われば、習慣が変わる
 習慣が変われば、性格が変わる
 性格が変われば、運命が変わる」

 

良い本に出会い、良い習慣を身につけましょう。

 

 


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