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決算書を経営に活かす10のポイントとおすすめの本10選

皆さんは決算書を有効に活用していますか?

 

決算書というと「難しそう」「数字ばかりで意味がわからない」「財務担当に聞けばいい」という方も多いのではないでしょうか。
決算書は会社の1年間の活動成果を表しています。税金の計算や、金融機関への提出のためだけに終わってしまっては、もったいないほど大切な情報が詰まっています。「決算書の数字は過去のデータだから、これからに活かすといっても・・・」という声も聞こえてきそうですが、過去の数字であっても、それぞれの数字にどんな意味があるのかがわかれば、今後の経営判断に必要な材料が浮かび上がってきます。
決算書の読み方をしっかりマスターすることで苦手だった決算書が、あなたのビジネスの強い味方になります。

 

今回は決算書の数字を経営判断に活かすためのポイントと、決算書の読み方がわかる参考書をピックアップしてご紹介します。

 

 

1 損益計算書から見る決算書

まずは損益計算書を考えてみましょう。損益計算書は1年間の売上と経費、そして利益が記されております。会社の売上がいくらだったのか、最終的に利益がいくら計上できたのかがわかります。

 

①売上 売上の増減は単価の上下?数量の増減?

 

売上=単価×数量

 

売上は単価と数量から成り立っています。売上が増えた場合は、単価が上がったからなのか、数量が増えたかのいずれか、または両方になります。単価の上昇要因(付加価値の高い商品が伸びた、値引き商品が減った等)や数量の増加要因(新商品の売上数量が増加した、新店舗での売上が順調だった等)を把握することで、来期以降もこの状態が続くのか、それとも一過性のもので終わる可能性があるかが見えてきます。それに伴い必要な対策を考えてゆくことになります。また数量が減少している場合は、どのように数量を増やすのか、値付け(プライシング)は正しいのかを検討します。事業部別・商品別などに区分けした分析も有効です。決算書の数字と、その他の経営指標とを組み合わせて分析を行うことで、テコ入れを行うポイントが見えてきます。

 

②仕入 原価率は何パ―セント?

 

仕入は販売するための商品や製造に必要な材料を仕入れた金額です。売上に対する仕入金額の比率が原価率と呼ばれるものです。

 

原価率=仕入÷売上 

 

原価率は売上に対する仕入の割合です。

 

粗利率=1-原価率(粗利益=売上―仕入)

 

裏を返すと、売上を100%として原価率を引いたものが粗利率になります。原価率が低ければ、その分売上から原価を引いた粗利益の割合が高くなり、利益が出やすくなります。

 

原価を下げるには、決算書だけではわかりません。まずは現場である購買部や工場に確認しましょう。コスト削減は企業の永遠のテーマと言えます。決算書の数値と現場の実態を結び付けて分析を行うことで、会社の実態が見えてきます。

 

また原価率がわかると、商品を作った時に、原材料を除いて、どのくらいのお金が残るのかがわかります。ここをしっかり理解しておくことが大切です。粗利率が低ければ、数量をたくさん製造・販売しなければ、人件費や家賃などの管理費をカバーすることができません。価格を下げ、粗利率の低さを販売数量でカバーする場合は、最低どのくらいの数量を販売する必要があるのか、原価をどの程度に抑える必要があるのかを検討する材料になります。

 

③一般管理費 固定費の上昇は要注意!

 

利益=売上―費用 

 

利益は売上から費用を差し引いたものですが、これを分解してくと

 

費用=変動費+固定費 

 

費用は変動費と固定費から成り立っています。変動費とは、販売や生産活動に伴って発生する費用であり、販売や生産が行われなければ発生しない費用です。一方固定費は販売や生産活動に関係なく発生する費用です。言い換えると売上が上がらなくても、一定量発生する費用です。例えば事務所や工場の家賃は売上に関係なく発生します。また従業員を雇う場合も売上に関係なく、給料が発生します。販売や生産能力を維持してゆくためには、毎月計上する必要のある経費です。

 

注意が必要なのは、固定費は一度設定してしまうと常に発生するコストという点です。毎月一定量発生する場合、どのくらいの売上が上がれば利益が上がるという水準を算出する必要があります。これを限界利益と呼びます。

 

限界利益=売上―変動費

 

売上から変動費を引いたものが限界利益です。固定費と限界利益が一定になる水準での売上高を損益分岐点売上高と呼びます。売上が低くても利益が経常可能な損益分岐点売上高は、できるだけ低くしておく必要があります。売上は景気や市場の状況で左右されますので、固定費の水準が適正かどうかを常に注視しておきましょう。

 

④事業部別損益/商品別損益 

 

売上(損益)=事業部A+事業部B+・・・(商品A+商品B+・・)

 

 

会社全体の売上は事業部毎の売上の合計、または商品毎の売上の合計で成り立っています。全体での売上や損益をみるだけでなく、事業部別・商品別の売上や損益を分析しましょう。

 

見た目は全体で黒字が計上されていても、中身は黒字の事業部と赤字の事業部がある場合、会社の姿を正しく捉えているとは言えません。事業所別の損益を分析し、今後テコ入れを行う事業部や、投資方針、人員の投入方針などを考えるにあたり、大切な指標になります。

 

また商品別の損益の把握も重要です。ヒット商品で売上に貢献していても、利益に貢献していなければ意味を成しません。また売上への貢献度は低くても、利益が大きい商品もあります。会社は売上の増加ではなく、利益の増加を目指さなければならず、そのためには事業部別・商品別の損益の分析が必要です。

 

 

2 キャッュフロー計算書から見る決算書

決算書類では貸借対照表と損益計算書に加え、キャッシュフロー計算書が作成されます。いくら利益が上がっていても、経費や返済に必要な現金の回収が進んでいなければ、最悪倒産する危険もあります。会社の資金の流れを正確に把握することは、決算書を見る中では大切なポイントです。特に会社が成長期にあり、売上が急激に伸びている時期などは、とくに資金の流れをしっかり把握しましょう。

 

⑤キャッシュフロー 資金増減の要因は?

 

簡単に言うと、キャッシュフローの増減の要因は、営業活動によるものか、投資活動によるものか、財務活動によるものかのどれかです。

 

キャッシュフロー(CF)=営業CF+投資CF+財務CF 

 

営業CFは、売掛金や買掛金、在庫の増加や減少など営業活動に伴って生じる、損益と現金出入りのズレを示しています。今期販売した商品代金の回収が来期以降になる場合、決算では売掛金が増加します。損益上は利益がプラスとなりますが、キャッシュフロー計算書上はマイナスです。

 

とくに成長期の企業の場合は、こうしたケースがよくあり、資金が不足しやすいですので注意が必要です。また損益が変わらないのに、営業CFが不足している場合は、回収条件の悪化や、在庫・未収金の増加があるかもしれません。

 

投資CFは、資産の購入や売却による資金増減を表します。資産の購入の場合、直接的には損益自体に影響するものではありません。投資活動では、全体のキャッシュフローへの影響度合いを見ながら、どのように資金調達するのか適切に判断してゆくことが重要です。また事前の計画との差異がないか、減価償却のペースとあっているのかなど、確認してゆきましょう。

 

財務CFは、資金の借入や返済、資本金の増減などに関する資金増減を表します。こちらも損益には直接関係しない項目ですが、全体のキャッシュフローの増減を適切にカバーできているのかを確認してゆきましょう。

 

⑥簡易キャッシュフロー 長期での資金過不足を考えよう!

 

税引き後利益は、経費を支払った後に残るものなのでわかりやすいものですが、減価償却費は、経費としては計上されますが実際に現金を支払うわけではありませんので、簡易CFを計算する際には利益金額にプラスします。

 

簡易キャッシュフロー(CF)=税引き後利益+減価償却費

 

まずは安定的な経営のポイントは「簡易CF>長期借入金の返済金額」となっていることが、必要です。CFが返済に追いついていない場合は、短期の資金繰りが忙しく、常に資金調達が必要となります。金融機関との交渉が多い場合や、今後設備投資を予定している場合はこの辺りを抑えておくとよいでしょう。

 

返済余力=簡易CF―長期借入金の返済金額

 

返済余力は簡易CFから長期借入金の返済金額を差し引いたものです。この余力の中で設備更新や増加運転資金をカバーしてゆきます。年度の設備更新計画を建てる際にはこうした返済余力を算出し、残りを銀行からの借入等で調達してゆく必要があります。

 

 

3 貸借対照表から見る決算書

貸借対照表は、損益計算書やキャッシュフロー計算書とは異なり、単年度の経営結果ではなく、創業以来の会社の経営活動の結果が表されています。負債の部と資本の部には、どこから資金を調達しているかが記され、資産の部には何に投資しているかが記されています。また資本の部には利益の蓄積の様子が表れています。

 

⑦資産の部・負債の部 未来の会社の姿は?

 

貸借対照表の左側には資産が、右側には負債と純資産が記載されています。貸借対照表を今後の経営に活かすには、まず未来の貸借対照表をイメージすることから始まります。例えば3年後・5年後の事業計画を作成する際には、損益計算書で事業計画を作成することが多いですが、そこから一歩進んで貸借対照表に着目してみます。

 

総資産=負債+純資産

 

事業計画に基づき、どのような資産にどのくらい投資をするのか、その資金はどのように調達するのか、借入金はどのくらいになっているか、利益の蓄積がどのくらい進んでいるか、を考えてゆくと、未来の貸借対照表が完成します。また反対に、未来の貸借対照表をこのようにしたいということから始まり、そのためにはどうしたらよいかを逆算して考えることもできるのです。

 

⑧自己資本比率 安定した財務体質は不可欠!

 

自己資本比率は、必要な資金を、返済の義務のない自己資本(資本金+利益準備金)でどのくらい賄っているのかを示すもので、会社の安定性を示す指標として重要です。前にも述べましたが貸借対照表は創業以来の経営活動の成績表です。未来はどんな会社にしたいのか、どのくらいの自己資本比率を確保したいというところから経営計画が始まります。

 

自己資本比率=自己資本÷総資産

 

⑨流動比率 すぐに現金化できる資産は十分ですか?

 

流動資産は1年以内に現金化できる資産を示します。流動負債は1年以内に支払いの義務がある負債を示します。会社の安全性を判断するポイントとして、支払が必要な場面で、すぐに換金して支払いに充当できる資産をどのくらい保有しているのかという点があります。流動資産が流動負債より少ないと、資金が回らなくなる恐れがあるのです。業種、業態により、どの水準が安全かというのは一概に言えませんが、最低100%、130~150%程度を確保しておく必要があります。

 

流動比率=流動資産÷流動負債

 

⑩在庫・未収金 資産の中身は効率的で健全ですか?

 

売上高を総資産で割ったもので、会社の保有する資産をいかに効率よく回転させて収益を生み出しているかがわかります。その中で収益を効率的に生み出し、キャッシュフローを増加させないためのポイントがあります。それは在庫管理・未収金管理です。在庫が増えればそれだけ増加運転資金が必要になり、管理コストも膨らみます。また債権回収期間の長期化も、同様に運転資金が必要となります。

 

総資産回転率=売上高÷総資産

 

売上債権回転率=売上高÷売上債権
在庫回転率=売上原価÷在庫

 

資産の中に不良在庫や回収不能債権があると、実際には利益を生まないだけでなく、回転率が悪くなり資金負担が発生します。決算書の中でこうした在庫や売掛金の金額が売り上げの増加に比べて急激に増えている場合は注意が必要です。要因の分析と具体的な対策を考えてゆく必要があります。

 

決算書を経営に活かすためには、決算書類が正しい経営状態を反映しているということが大前提になります。銀行向けに、税務署向けに、投資家向けに無理に数字を操作することがあってはなりません。決算書が正しく作成されていることが、まずは前提条件です。

 

会社にとっての決算書類は、飛行機で例えるとコクピットの計器になります。コクピットの数字がわかりにくい場合や、一つ一つ加工しないと正しい数字が表されないような場合では、素早い判断ができません。一目見て状態や異常値がわかるものでなければなりません。

 

また同じ数字をもとに全員で意思統一を図る場合も同様です。正しくわかりすい決算書を作ることで、参加メンバーが同じ前提条件の下で意思決定できるのです。決算書類を経営に活かすためには、決算書類が正しく、わかりやすく作られているということが大前提であることを肝に銘じておかなければなりません・

 

 

4 オススメの本10選

 

4-1「財務3表一体理解法」(アサヒ新書) 国貞克則著

まず初めは、読みやすく、基本的な事項を学ぶことのできる本をご紹介します

 

売上60万部を突破しているベストセラーです。初心者にもわかりやすく丁寧に説明をしており、会計を初めて学ぶ人にとっては参考になる一冊です。決算書に関連する事項全体を網羅しているため、専門で財務諸表を扱う人でなくても、財務諸表の仕組みを理解するにはピッタリです。財務3表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)を取引ごとに分解し、それぞれを関連付けながら解説してゆくので「なるほど」と肚落ちできます。

 

見開き2ページにて紹介を進めておりビジュアル力も高く、文字ばかりでは入りにくい事項もスーっと浸み込んでゆきます。著者の国貞克則氏は「財務3表」を中心に著作も多数あり、知りたいことに合わせて関連本にアプローチしてゆくのもよいでしょう。これから会計の基礎を学ぶにはおすすめの一冊です。

 

関連本:
「財務3表図解分析法」(アサヒ新書)国貞克則
「図解 決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 超入門編」(アサヒオリジナル)国貞克則著

 

続いて決算書の参考書としては定番の一冊です。10年以上版を重ねるロングセラーで、長い間読者の支持を受け続けています。

 

 

4-2「決算書はここだけ読もう<2018年版>」(弘文堂)矢島雅己著

2004年の刊行以来、毎年版を重ね、新たな制度対応や話題の会社を紹介しています。わかりやすく、ビジネスや投資にも活用できると高い評価を得ている定番の一冊です。決算書というと、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書を隅から隅まで見なければならいと考えてしまいますが、本書では読むべき項目を「ここだけ」に絞って、読み方、見方、考え方を徹底的にやさしく解説しています。

 

見開き2ページで1つの項目を簡潔にレイアウトしている点も、読者に向けてわかりやすさに繋がっています。簡略化された数値例と図表が一覧的に表示されており、ビジュアル的にも「ここだけ」というポイントが掴みやすく書かれております。巻末のドリルは、おさらいとして知識の定着に活用できるなど、年々わかりやすさがパワーアップしており長い間支持を得ているのも頷けます。

 

関連本:
「これならわかる決算書キホン50!(2018年版)」(中央経済社)木村直人著
「100分でわかる!決算書「分析」超入門2018」(朝日新聞出版)佐伯良隆著

 

あの名経営者が記した会計の本です。会計の本質や企業経営の本質を学ぶことのできる珠玉の一冊です。

 

 

4-3「稲盛和夫の実学」(日経ビジネス文庫)稲盛和夫著

京セラ・KDDI・日本航空を成功に導いた現代の名経営者の著書です。経営者としてゼロから自社の会計を考えて、自ら体系立てて整理したもので、会計の専門家ではなく、企業の経営者としての目線で会計についての考えを述べています。アメーバ経営とは、組織を「アメーバ」という小集団に分け、集団に属する一人一人が採算の向上を意識して活動するための仕組みです。稲盛氏いわく「社長の分身を作るためのもの」であり、稲盛氏ほど管理会計の重要性を理解し、全社で取り組んでいる経営者はいません。

 

他にも「値決めは経営」「ダブルチェックの原則」「土俵の真ん中で相撲を取る」など、経営者としての持つべき会計哲学を自分の言葉で記しており、会計書としてもビジネス書としても役に立つ一冊です。稲盛氏の経営哲学を学びたいという人は後を絶たず、現在でも勉強会「盛和塾」では企業オーナー・社長たちが集まり、経営や会計について真剣に勉強をしています。

 

関連本:
「アメーバ経営」(日経ビジネス人文庫)稲盛和夫著
「生き方」(サンマーク出版)稲盛和夫著

 

教科書のような解説では、最後までたどり着けない・・という方もストーリー仕立てで学んではいかがでしょうか?

 

 

4-4「餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?」(PHP文庫)林總著

倒産寸前のアパレル会社を引き継ぐことになった若い女性が、会計を学びながら会社再建に取り組んでゆく姿をストーリー仕立てで描いています。それまでデザイナーとして働いており経営や会計については全くの素人の主人公が、管理会計の仕組みを学びながら成長してゆく姿は、これから会計を学ぶ人と同じ目線で考えることができるのかもしれません。

 

貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書などのポイントを、流れの中で解説してゆくので、教科書のような説明では頭に入りにくかった点を、スムーズに受け入れることができます。会計に苦手意識の強い方でも、非常に読みやすく、もちろん会計の核心部分も学ぶことができる本です。タイトルを見ると餃子屋と高級フレンチとなっており、一体何の本かわかりにくいですが、作品中ではビジネスモデルの一例として紹介されています。

 

関連本:
「50円のコスト削減と100円の値上げでは、どちらが儲かるか?」(ダイヤモンド社)林總著
「小ハダは大トロよりなぜ儲かるか?」(ダイヤモンド社)林總著

 

最近はベストセラーがでるとすぐに漫画化されるようになりました。財務諸表など難しいテーマでも漫画の登場で手に取りやすくなっています。本を開くとすぐに眠くなるなど、苦手意識の強い人は漫画で学ぶのも一つの方法です。

 

 

4-5「マンガ 財務諸表入門」(サンマーク文庫)並木秀明(監修)

財務諸表の解説を親しみやすい漫画で行っています。会計や財務諸表の本はたくさんありますが、手にはとるものの、途中でギブアップする人も多いです。「決算書」「財務諸表」というとつい構えてしまいがちですが、漫画というアプローチにより、楽しみながら最後まで読み進むことができます。入りやすくて投げ出しにくい一冊です。マンガとは言え、もちろん中身は十分なレベルです。また文庫本で発売されているのでどこでも手軽に読むことができる点もポイントです。

 

関連本:
「世界一わかりやすい財務諸表の授業」(サンマーク出版)並木秀明著
「マンガで入門!会社の数字が面白いほどわかる本」(ダイヤモンド社)森岡寛著 渡邊治四著

 

入門書は卒業し、正しい知識を身に着けたい、ステップアップとして資格にも挑戦したいという人にはこちらはいかがでしょうか。

 

 

4-6「財務会計講義」(中央経済社)桜井久勝著

財務会計の個々の論点や定義について論理的に解説しています。帯に「日本一読まれている財務会計のテキスト」と書かれている通り、会計に関する正確な知識を身に着けようと考えている方には、基本書として最も適している本です。実務として正確な知識を身に着けようとする方や、会計士・税理士を目指す方はまず手に取る参考書の一つです。

 

この本一冊を深く読み込んでいけば、会計関連の様々な試験については対応してゆけます。その分、会計を初めて学ぼうとする人には少しハードルが高いかもしれませんが、テキストとして活用する場合や、実務や他の本を読んでわからなかった点を調べて理解するなどの活用の仕方はできます。現在第19版まで版を重ね、最新の制度改正にも対応しながら読み継がれています。

 

関連本:
「財務諸表分析」(中央経済社)桜井久勝著
「財務会計」(中央経済社)広瀬義州著

 

財務諸表を学ぶためにはその前段階を理解して、決算書についての理解を深めるのも大切です。

 

 

4-7「はじめての人の簿記入門塾」(かんき出版)浜田勝義著

こちらは決算書の読み方というよりは簿記の仕組みを理解するための本です。全くの基本という感じで、日商簿記3級の資格を取るレベルよりももう少し基礎の部分です。勘定科目や仕分けなど経理業務の知識が全くない場合はこのあたりの本もよいかもしれません。
マンガやイラストもあり、それほど堅苦しくなく簿記の勉強ができます。

 

また初心者がつまずきやすい点を重点的に扱っており、「簿記ってなんか難しそう」という人にはピッタリはまります。出来上がった決算書を見るだけでなく、その前段階をしっかり理解することで決算書の読み方がさらに一歩深まるでしょう。

 

関連本:
「マンガでわかる¡はじめての簿記入門」(西東社)添田裕美著
「最新 知りたいことがパッとわかる勘定科目と仕分けが見つかる本」(ソーテック社)北川真貴著

 

最速で決算書を理解したい方にはタイトルから見てもこれではないでしょうか。もちろん中身も充実しています。

 

 

4-8「「1秒!」で財務諸表を読む方法―仕事に使える会計知識が身につく本」(東洋経済新報社)小宮一慶著

経営コンサルタントして活躍中の著者が、財務諸表・決算書の見方を解説しています。タイトルの通り「1秒!」で財務諸表を読んでいくために、「これだけ知っていれば大丈夫」という項目を中心に、「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」などの財務会計の基礎知識を説明します。管理会計の分野でも「損益分岐点分析」「付加価値」「直接原価計算」といったポイントについてもわかりやすく紹介しております。

 

また経営コンサルタントとして経験をもとに、上場企業のバランスシートなども具体的な事例も交えながら紹介しています。イオンやトヨタ自動車など皆さんにおなじみの企業の事例をもとに財務分析を行い、その戦略や活動を解説しています。「1秒で」とありますが、何度読んでも新たな発見が生まれる一冊です。

 

関連本:
「世界一やさしい決算書の教科書」(ソーテック社)小宮一慶著
「あたりまえのことをバカになってちゃんとやる」(サンマーク出版)小宮一慶著

 

ファイナンスというアプローチから決算書を読み解いてゆきます。ざっくりとでもファイナンスを理解してゆくことで財務諸表の読み方に幅が広がります。

 

 

4-9「ざっくり分かるファイナンス 経営センスを磨くための財務」(光文社新書)石野雄一著

タイトルの通り「ざっくりと」ファイナンスの大枠を理解するのにおすすめの本です。財務諸表や会計については、難しく捉えてやや構えてしまうことがありますが、本書では基本的な項目を丁寧に解説しています。

 

会計とファイナンスとの違いは、①会計は過去を扱い、ファイナンスは未来を扱っている点②会計は利益を扱い、ファイナンスはキャッシュを扱っている点など、経営者として知っておきたいポイントを説明しています。ロジカルでわかりやすい記述がされており、頷きながら読み進めることができます。また運転資金、キャッシュフロー、企業価値など経営者や投資家に必要な基礎知識を網羅しており、具体的な事例も交えながらファイナンスについて学ぶことができる一冊です。

 

関連本:
「道具としてのファイナンス」(日本実業出版社)石野雄一著
「まんがで身につくファイナンス」(ダイヤモンド社)石野雄一著 石野人衣著

 

今話題の企業の決算内容を読み解きながら、ビジネスの仕組みや成長戦略を学べる一冊です。

 

 

4-10「MBAより簡単で英語より大切な決算書を読む習慣」(日経BP社)シバタナオキ著

AmazonやFacebook、LINEなど日米の有名・成長企業37社の「決算分析事例」を掲載しており、決算内容から各企業の成長戦略を読み解いてゆきます。「ECビジネスの決算」「fintechビジネスの決算」「個人課金ビジネスの決算」など、具体的な事業別の決算内容をもとにビジネスの勘所が掴めます。

 

著者は楽天株式会社の元執行役員で、成長企業の内情に精通しており、その会社がどのように売り上げを立てているのか、同業他社との違いはどこにあるのかなど、具体的なポイントをわかりやすく解説しております。「そういうことだったのか」など、目からウロコの気付きが得られ、仕事に対するヒントやモチベーションを与えてくれる一冊です。成長企業のビジネスモデルの秘密を知りたい人やこれから起業を目指す人は一度手に取っておきたい本です。

 

関連本:
「決算資料からビジネスの仕組みが見えてくる」(スマート新書)シバタナオキ著
「マンガ とにかくわ

 

 


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