株式会社を設立する際には、商号(社名)を検討し、決定します。
旧会社法では、同一の市区町村内に同一の商号、もしくは類似する商号を登記することは認められていませんでした。
つまり、会社を新たに設立する際、また移転する際にも、あらかじめ類似商号の調査をしておく必要があったのです。この調査は、法務局に出向きひとつひとつ確認していくという手間のかかる作業であったため、膨大な時間を要するものでした。
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規制の緩和
新会社法では、この類似商号についての規制が緩和され、同一本店所在地に同一商号を使ってはならないという制限のみとなりました。
要するに、全く同じ住所に全く同じ商号、という場合以外は認められるようになったのです。
これには、インターネットなどの普及により、市区町村での規制を行うことの意味があまりなくなったなどの理由があるようです。
注意すべきこと
類似商号の調査が必要なくなったとは言っても、完全に調査しなくて良いというわけではありません。
新会社法では、不正の目的で商号を使用することが禁じられています。つまり、他の会社と誤って認識される恐れがあるような商号は使用できないということです。
仮にそのような商号で登記し、事業を開始した場合、相手の会社から損害賠償や商号の使用差止め請求をされる可能性があります。
登記自体は可能でも、他社の利益を侵害するようなことは当然問題ですから、それなりの制裁を受けることになります。このような事態を起こさないためにも、法務局での類似商号の調査や商標登録の確認、またインターネットの検索でも類似商号のサービスがないかなどを事前に行っておくことを強くおすすめします。