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【今後の運送業の課題と展望から見た】運送会社を設立する方法

運送業には通常の会社を設立する以上に手続きが必要となることをご存知でしょうか。働き方改革や新型コロナウィルスなどによる社会情勢と日常の変化によって、令和は様々な業種にとって過渡期にある時代といえます。中でも、運送業は構造的な面を含めて変革を迫られている業種です。

 

そのような状況で重要なのは、足元の課題をしっかりと受け止めて、業界の取り組みと今後の展望を知り自身に活かすことです。運送会社を設立するには通常の会社設立より手間と費用がかかります。そして、見切り発車をした場合には営業を開始するまで相当の時間がかかり、事業がいきなりつまずいてしまう可能性があります。

 

そこでこの記事では、運送業、特にトラック業界の現状と課題、今後の展望や運送会社の設立方法について詳しく解説するので、ご参考ください。

 

 

1 運送業界の概況

運送業界の概況

 

運送業界を取り巻く状況は、インターネットの普及や災害時における物資運搬対応、そして新型コロナウィルスなどによって激動と変革の時期にあるといえます。

 

運送業界、特にトラック運送業の現状と課題、そして展望について、全日本トラック協会がまとめた「日本のトラック輸送産業現状と課題2020」を参考に確認していきましょう。初めにトラック運送業の概況を取り上げます。

 

運送には船舶、鉄道、航空などの様々な手段があります。中でもトラックによる運送は、運送の始発点から別の運送手段に受け渡す中継地点までの、そしてその別の運送手段の到着地点から最終地点へと到達するまでの、国内物流の根幹的役割を担っています。

 

トラックは、災害時には支援先へ物資を直接送り届けることができ、また新型コロナウィルスによる外出自粛によって生じる巣ごもりとなる状況に対しても、日用品などを運送する中心的な手段となります。

 

また、トラック運送は引っ越しなどの業務も受け持ち、またインターネットを通してますます数を増やしている企業から一般消費者への主要な配達手段となるなど、我々の生活にも欠かすことはできません。

 

トラックのナンバー

 

トラックには個人用の自家用運送車両に付ける白ナンバーと、営業用の有償運送車両に付ける緑ナンバーの2種類のナンバープレートがあります。

 

運送品目ごとに見ると、自家用車両の最比重品は木材や石材などの建設関連物が6割超となります。対して、営業用車両における建設関連物は2割程度に留まります。営業用車両の最比重品は、農水産品や食料、また日用品などの消費関連物となり、その比率は4割強です。

 

運送手段別の運送トンベースでは、平成30年度時点の合計4,727(単位:百万トン)のうち、海運が354、鉄道42、航空が1であるのに対して、トラックは残りの4,330を占めています。

 

分担率ではトラックが91.6%であり、トラック以外は合計しても8.4%です。また、トラック運送業の市場規模は平成28年度で14兆4,578億円となっています。

 

同年度のトラックを含めた物流業界全体の市場規模は約24兆円であることから、トラックが運送業界の根幹をなしていることがこれらの数値からも見て取れます。

 

かたや、トラック運送業界は様々な課題に直面しています。トラック運送業はその事業構造的に労働集約型であるため、コストの主要部分は人件費となります。現在のトラック業界は労働者(運転手)が不足しているため、人件費は高騰化する一方です。

 

これらの人手不足や長時間労働の解消という課題に対しては、次の章で詳しく見ていきますが、政府による働き方改革の旗印のもと、トラック業界そして事業者側が一体となって解決に向けて取り組んでいます。

 

労働環境の整備の一環として、改正貨物自動車運送事業法成立(平成30年12月)や働き方改革関連法施工(平成31年4月)、標準的運賃の告示(令和2年4月)などが行われ、ドライバーの労働環境の改善へと向けて進んでいるという現状です。

 

それでは次に、それらの労働環境を含むトラック業界が抱える課題と、その課題に対する取り組みと今後の展望を見ていきましょう。

 

 

2 トラック運送業の課題と展望

トラック運送業の課題と展望

 

課題には前章で触れた労働環境を初めとして様々なものがありますが、ここでは「人材不足」「長時間労働」「税金」「取引先との適正な取引」「安全面」「地球環境」の6つの課題に絞って、全日本トラック協会(以下、協会)を中心とした課題への対策と今後の展望を見ていきます。

 

トラック運送業の課題

 

 

2-1 人材不足

トラック運送業界ではドライバーの高齢化や人手不足が常態化しています。人手不足はドライバーのみならず、経営者や後継者といった人材にも共通するところです。

 

人手不足、そして高齢化に対しては、協会主導にてインターンシップ導入促進事業や人材確保セミナーに取り組んでおり、トラック業界への若者の確保や定着を図っています。

 

また、女性ドライバーの割合は男性ドライバーに対して少なく、男女の雇用均等化も業界が抱える問題点です。この問題点に関しては、トラックドライバーの魅力やトラック運送業の社会的な役割をPRすることによって、女性の求心力を高める運動を行っています。

 

平成31年からは国土交通省と協会が共同して、「女性ドライバー等にやさしいトラックのあり方検討会」を設置し、女性や高齢ドライバーのトラックの運転のあり方を検討しています。

 

人材育成への取り組みとしては「物流経営士」の資格制度を活用しています。この資格は協会が資格認定をするというもので、業界への意識を高めて経営管理者を育成するというものです。

 

また、事業後継者の育成や女性参画の取り組みとして、協会では平成25年度より青年部会を、平成29年度からは女性部会を組織化することでバックアップを行っており、将来の世代交代や女性の活躍の場を広げる種を植えています。

 

 

2-2 長時間労働

長時間労働はトラック運送業界が抱える構造的な課題の一つです。しかし、長時間労働となる原因には荷主都合による荷待ち時間や荷役などの附帯作業があるため、トラック運送事業者だけでは問題を解決することができない実態が長くありました。

 

この問題を解決すべく、トラック運送事業者と荷主、行政、労働組合などによる「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」が、平成27年度に全都道府県に設置されました。

 

同協議会では実態調査などを経て、トラック運送時の荷待ち時間の削減や荷役作業の効率化による長時間労働の抑制を取りまとめた「取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン」を策定しています。

 

また、輸送品目ごとに抱える課題や特性が異なることから、加工食品や建設資材、紙・パルプなどの品目分野ごとに懇談会が設置され、令和2年5月にはガイドラインが設けられました。

 

政府による「働き方改革」の中にも自動車運転業務に対する取り決めがあります。それは、令和6年4月には時間外労働の上限規制を年間960時間とする、というものです。行く行くは、自動車運転業務に対しても一般則である720時間以内の適用を目標とすることが取り決めの中に盛られています。

 

協会ではこれを受けて、時間外労働の上限規制960時間が適用されるまでに、時間外労働960時間超となるトラック運転者を抱えるトラック運転事業者を0%とすることを国土交通大臣に提出するなどの主体的な働きかけを行い、今後の長時間労働の解決への道筋を描いています。

 

 

2-3 税金

自動車関連の税収額は、トラック運送業界が納める自動車関連税金を含めると年間約8.6兆円になります。これは法人税等や固定資産税が含まれていないにも関わらず、税収の約8%にも上るものです。

 

法人税等や固定資産税を含めると11兆円を超える額となり、トラック業界を含む自動車関係の税金は、税金の上で非常に大きな比重を占めるものとなっています。

 

トラック運送業に関わる税金は種類も多様です。トラック取得時には自動車税環境性能割や消費税がかかり、トラックを保有することでは自動車税や自動車重量税がかかります。燃料となる軽油は軽油引取税の対象となり、他の事業に比べて公平な税負担とは言い難いものがあります。

 

また、トラック運送業にはまた別の税金に関する問題点があります。平成21年中の地方税法等や道路整備事業に係る特別措置法の改正では、それまで道路特定財源であった軽油引取税や揮発油税などの5つの税金が一般財源化されました。

 

一般財源は本来、福祉や債務の返済など国民が公平に負担すべきものです。しかし、改正後は自動車所有者が過度な負担を負わされている構図となっています。これは税の公平性に疑問符を付けざるをえない点で、業界からは是正の声を上げているところです。

 

 

2-4 取引先との適正な取引

トラック運送業者の取引先となる荷主は、トラック運送業者に対して強い立場にあります。そのため、適正な取引価格を設定することが難しいというのが業界の課題の一つとなっています。

 

また、トラック運送業には運送をすること以外にも附帯する様々なサービスが発生することから、「運賃」の定義も曖昧になっています。

 

この課題を受けて、国土交通省では平成29年11月に「標準貨物自動車運送約款」を改正しました。この改正により、運賃の定義が明確化され、附帯サービスは別料金体系となるよう区別化されています。

 

また、荷主都合による待機時間の発生の課題に関しても、平成29年7月から「貨物自動車運送事業輸送安全規則」の改正の中で取り組まれています。

 

この改正では、車両総重量8トン以上あるいは最大積載量5トン以上のトラック乗務時に、荷主都合による待機時間が30分以上となった場合は待機時間も乗務記録に記載することになりました。合わせて、ドライバーによる荷役等の附帯作業に関しても、令和元年6月からは乗務記録の記載対象となっています。

 

そして、令和元年7月からは貨物自動車運送事業法の改正により荷主対策が施されました。対策には、荷主のトラック運送事業者に配慮義務の新設や、荷主への勧告制度が対象の拡充や勧告後の公表の明記化があります。

 

更に、違反原因行為の疑いのある荷主に対しては国土交通大臣が要請や勧告・公表を行うという働きかけを行う権限が設けられており、適正な取引に向けて対策が進められています。

 

 

2-5 安全面

安全面

 

交通事故の減少は運送業にとっての安全面における最重要課題です。重大事故は過労運転などによって起こるため、トラック運転者の健康状態や労働時間の管理への取り組みが急務となっています。

 

現在の安全対策はICT(情報通信技術)を中心に行われています。例えばICTには、GPS(全地球測位システム)を活用した、車両の位置やドライバーの運転状況を事務所内のパソコンで管理できる車両管理システムなどがあります。

 

同システムは安全面のみならず、輸送の効率化にも一役買っています。また、スマホなどのカメラ機能を搭載したデバイスによる、遠隔地のドライバーとのIT点呼システムも普及してきています。

 

このIT点呼システムとアルコール検知器を組み合わせることで、安全面が向上し、また時間や場所を問わずにドライバーと点呼者の間で点呼を行えることから、それぞれの業務工数の減少にも寄与しています。

 

行政に目を移すと、国土交通省が世界一安全な輸送サービスの提供を目指すための「事業用自動車総合安全プラン2020 ~行政・事業者・利用者が連携した安全トライアングルの構築~」を平成29年に策定しました。

 

また、同省では「事業用自動車に係る総合的安全対策検討委員会」の中で、トラックを含んだ運送業の死者数や交通事故件数などの目標値を新たに定めています。

 

協会でもこれを受けて、事業用トラックが第一当事者交通事故となる「飲酒運転ゼロ」、「死者数200人以下」、「事故件数12,500件以下」という目標を掲げて邁進中です。

 

 

2-6 環境保全

文明の利器は便利な暮らしだけではなく、地球温暖化など環境へのマイナス面ももたらしました。地球温暖化の一因は自動車の排気ガスであり、排気ガス対策は自動車業界に課された宿題です。

 

昨今、CO2の排出削減が国際的に進められており、日本においても政府によるガソリン車からの脱却が提唱されています。そのような中で、トラック運送業界では日本経済団体連合会による「低炭素社会実行計画」に参画をし、また協会主導による「新・環境基本行動計画」を推進しています。

 

上記2つの計画の前者では、具体的なCO2削減の目標に「CO2排出源単位を2030年度に平成17年度比31%減」を掲げています。それを受けて上記計画の後者では、エコドライブの普及促進やアイドリングストップの徹底などの基本方針を示しています。

 

協会が取り組んでいる具体的な環境対策には他にも、EMS(エコドライブ・マネジメントシステム)車載機器を導入した場合の助成や、啓発資料の配布などがあります。

 

また、同協会では平成15年から「トラックの森」と称する森林育成による地球温暖化防止事業を行なっており、各都道府県のトラック協会でも独自にトラックの森づくり事業を進めているところです。

 

そして、協会では毎年11月を「エコドライブ推進強化月間」として定め、交通エコロジー・モビリティ財団(以下、エコモ財団)による「エコドライブ活動コンクール」を後援しています。

 

それらの取り組みの結果、環境省による平成30年度の大気汚染の測定状況では全国のNO2(二酸化窒素)環境基準達成率の100%を達成しており、着実に大気汚染の改善効果が出ています。

 

 

3 会社設立のメリット・デメリット

会社設立のメリット・デメリット

 

会社とは「法人」の一種類です。法人とは、法律によって定められた疑似人格であり、社会において個人と同様に一人格として扱われるものです。法人の中で営利活動を行うものが会社ということになります。

 

会社設立のメリット・デメリット

 

個人事業主は個人が基礎となりますので、信用力もその個人に紐づく形となります。そのため、銀行からの融資額や事業規模は個人レベルに留まります。

 

対して会社は、会社という格そのものに個人よりも高い信用力を宿しています。この信用力は、銀行からの融資額や融資実行の可否に好影響をもたらし、また宣伝効果にも繋がります。

 

会社には「株式会社」や「合同会社」などの複数の種類があり、それぞれに特徴があります。株式会社の特徴の1つは、株式を発行することで資金を調達することができる、というものです。会社の資金調達の手段の多さや調達額の大きさは、個人事業主よりも優れている会社の特徴の1つです。

 

会社は経費面でも有利です。経費とは、税金を算出する上で計算項目の1つとなるものです。税金は「利益」を基準に算出しますが、利益は売上から経費を差し引くことで求まります。

 

利益が大きいほど税金も大きくなる、という関係となるため、折角の支出ならば経費として処理をすることで利益を減らすことに繋がり、引いては税金も減らす結果となります。この経費の扱いが、個人事業主と会社では一部異なる部分があります。

 

異なる部分の1つは代表者の給料(役員報酬)の扱いです。個人事業主の場合、事業主である自身への給料は経費とは認められていません。また、個人事業主の場合は保険料も経費として認められません。しかし、会社の場合は自身への給料(役員報酬)や保険料も会社の経費とすることができます。

 

もう1つ大きく異なるのは、決算を迎えて赤字となった場合には「損失の繰越控除」という、翌期以降へ赤字を繰り越せる制度の対象期間です。個人事業主の場合は、青色申告などの要件を満たした場合でも最長3年間ですが、会社の場合はその期間を9年とすることができます。

 

ただし、会社の場合は赤字となった場合でも「均等割」という一定の税金が発生します。この均等割は個人事業主には無いもので、戦略的赤字の場合は別として、事業計画がうまくいかずに赤字となってしまった場合には手痛い出費となります。

 

会社の他のネガティブな面は、会社は法に則った形態であるため、個人事業主よりも法による制約が多くなるということです。また、会社は「定款」(後述)や「就業規則」といった社内規定を定めることになっています。

 

個人事業主は個人なりの規模と先に触れましたが、会社が大きな規模になれるということは、体制も規模に応じたものとする必要があるということです。会社は、営業活動以外にも決算などの様々な事務作業が生じますので、事務用員も適宜配置する必要があります。

 

そして、会社には個人事業主にはない大きな特徴があります。それは、会社として事業を始める際には、すなわち会社設立時には、個人事業主には必要無い会社設立のための作業や費用が発生する、ということです。

 

さらに、運送会社の場合は会社設立後に運送業を始めるためのプラスの作業を要しますが、会社そのものを設立しなければいけないことはどの業種にも共通することです。それでは次に、会社設立の方法を見ていきましょう。

 

 

4 会社の設立方法と費用

会社の設立方法と費用

 

会社の別名は「法人」であると先に触れました。個人(人間)が世に産まれた場合は役所へ出生届を提出し、その個人を社会に組み込む手続きを行います。法人の場合は「法人設立登記」手続きを行うことで、その法人を社会の一員とすることができます。

 

この法人設立登記は法務局にて手続きを行いますが、法務局に行くことで全ての設立作業が完結するという訳ではありません。法務局に行く事前準備として、会社の基本項目を決めて所定の書類を用意する必要があります。

 

会社の基本項目には社名や決算月・業種などがあり、これらの基本項目を集めた書類を「定款」と呼びます。この定款には収入印紙4万円分を貼り付けることになります。

 

なお、設立する会社が「株式会社」の場合は、定款についてもう一つ行う作業があります。それは「定款認証」という作業で、定款を公的なものとするための「公証役場」という公的機関で行う手続きです。

 

この定款認証は手数料として5万円を要します。なお、合同会社の場合は定款認証を行う必要はありません。そのため、合同会社には定款認証手数料の5万円もかかりません。

 

定款認証を行ない、定款謄本を取得した後は「資本金の払込み」という作業を行います。資本金は会社設立時点の事業の運転資金となるものです。運送業の場合の資本金は1000万円から2000万円(以上)が望ましいと言われています。

 

資本金の払込みを行なった後は、法人設立登記を行うために必要となる書類を取得します。必要書類には先に挙げた定款謄本や、会社の社長や役員になる人の就任承諾書と印鑑証明書、また登記申請書などがあります。

 

書類を揃えたら法人設立登記の順番となりますが、会社には「実印登記」を行う必要がありますので、法人設立登記と同時に実印登記も行っておくと良いでしょう。そこで、実印登記を行うために実印となる予定の印鑑を用意します。

 

会社の印鑑には実印の他にも認印や、会社の住所や会社名と社長名の入った(通称)社判などがあります。これらはセットで売っており、数千円から数万円で購入することができます。

 

さて、法人設立登記に移りましょう。法人設立登記は法務局に前述の書類を提出し、所定の登録免許税を納めることで申請となります。

 

登録免許税の金額は、株式会社の場合は資本金によって変わります。資本金が2143万円以上の場合は資本金の0.7%、2143万円以下の場合は15万円です。なお、合同会社の登録免許税は一律6万円です。

 

法人設立登記は、書類の不備が無ければ申請後の1~2週間後に完了します。以上の会社設立に係る費用をまとめると、株式会社の場合は約24万円、合同会社の場合は定款認証の必要がなく登録免許税も株式会社よりも安価なため、約11万円となります。

 

なお、上記の設立費用に「約」と付けているのは、手続き時の交通費や郵送料、会社の印鑑代などを含めていないため(変動するため)です。さらにプラスして資本金がありますので、運送会社を設立するには多額の資金を準備する必要があります。

 

なお、会社設立作業はこれで終わりではありません。次に、労働基準監督署や年金事務所、税務署、都道府県、市区町村などに対する会社設立手続きを行います。

 

労働基準監督署や年金事務所で行うものは、社会保険に加入するための手続きです。会社は、給料または役員報酬が一人でも発生する場合は「健康保険」と「厚生年金保険」に加入するする必要があり、これらの保険は年金事務所宛に加入書類を提出します。

 

社会保険にはさらに「労働保険」という、被雇用者のための保険があります。この保険は労働基準監督署とハローワークにて加入手続きを行います。

 

以上は社会保険に関する手続きですが、会社の場合はさらに法人税や地方税などの税金に関係した手続きを行わなければなりません。税金に関する手続き書類は、税務署や地方自治体に提出することになります。

 

これら社会保険や税金に関する手続きは、それぞれの所定の様式に会社の基本情報を記入して行いますが、幾つもの提出先や添付書類があるため、同じことを何回も書くことになり、また抜けが生じやすいものです。正確にかつ迅速に行うためには、司法書士や税理士に依頼することも検討すると良いでしょう。

 

さらに運送業の場合は、この後に運送業の許可申請作業が控えています。次の章では運送業の許可申請について見ていきます。

 

 

5 運送業の許可申請方法とは

運送業の許可申請方法とは

 

運送会社を設立して運送業を行うためには、前章までの会社設立登記や社会保険への加入、税務署等への届けを行い、さらに運送業の許可を得る必要があります。

 

運送業の許可を得るための最初の一歩は、自社の運送業の種類が次の3つのいずれに当てはまるかを確認することです。3種類ともに共通することは「他人からの依頼により貨物車により荷物を運んで対価を得る」ことになります。

 

自社の運送業の種類

 

1つ目は「一般貨物自動車運送事業」です。この事業の事業内容は先に上げたものと同一のものとなり、すなわち、他人からの依頼により貨物車により荷物を運んで対価を得る事業ということになります。

 

2つ目は「特定貨物自動車運送事業」です。これは、荷物の運搬の依頼主が特定の1社のみとなる場合の事業です。

 

3つ目は「貨物軽自動車運送事業」と呼ぶもので、この業種は軽自動車によって荷物を運ぶことに特価したものとなります。

 

ここでは、より一般的な「一般貨物自動車運送事業」の許可取得の手続きを見ていきます。許可の取得までに必要となるのは、「資金」、「人員」、「場所」、そして「車両」の4つです。

 

許可取得のための必要項目の1つ目である資金は、前章の会社設立の項目でも触れましたが、営業開始するまでの資金です。これは前章で述べたように1000万円から2000万円以上が望ましいと言われています。

 

許可取得に必要な2つ目は人員です。人員には役割に応じて名前が設けられています。許可取得のためにはまず「申請人」を用意し、車両を運転するための「ドライバー」を用意します。

 

ドライバーに安全指導を監督するための「運行管理者」という人員も必要です。運行管理者はドライバーと原則として掛け持ちすることができません。また、車両の点検や整備を行うための「整備管理者」という人員も用意します。なお、運行管理者と整備管理者は確保予定でもOKとされています。

 

他にも、それぞれの管理者の補助を行う「運行管理補助者」と「整備管理補助者」という役割もあります。この人員の選任義務はなく、確保予定でも問題ありません。

 

許可取得の必要事項3つ目の場所とは、「車庫」と「営業所」、そして「休憩室」です。車庫はもちろん車両を駐車する場所のことで、営業所からの距離などの規定を満たしておく必要があります。

 

営業所とは事業拠点となる場所のことで、市町村に都市計画法に触れていないか確認を行う必要があります。休憩室はドライバーが休憩を取る場所のことです。

 

許可取得の必要事項4つ目である車両は、事業の根幹となる貨物用の車です。最低5台という基準があり、また軽トラックは対象外となっています。

 

上記の4つの用意ができたら、許可申請のための書類の準備に移ります。書類はかなりの種類と数となりますので、期間の目処を付けるためにも設立作業当初に確認しておくことをお勧めします。

 

許可申請を揃えたら許可申請手続きを行います。許可申請書類の提出先は国土交通省が管轄する「地方運輸局」となり、書類の差し戻しが無ければ通常3~4ヶ月で許可が下ります。

 

許可取得前後の流れの概要も見てみましょう。まず、申請後の奇数月に法令試験を受験します。法令試験は一度の不合格は認められていますが(再試験可能)、2回不合格となった場合は申請を一度取り下げることになります。

 

許可が下りて許可証が交付された後には新規許可業の講習会を受講します。そして、運送業のための登録免許税の12万円を納付します。この登録免許税は会社設立時とは別のものです。その後、運行管理者と整備管理者の選任届の処理を行います。

 

次に、運行開始前の確認届と、事業用自動車等連絡書の発行処理を行います。そして、車検証の書換え(必要な場合はナンバーの取換え)を行い、運輸開始届出と運賃料金設定届を提出します。

 

運輸開始届出提出後にトラック協会から初回指導担当者が来ますので、帳簿等を準備した上で初回指導を受講し、一連の許可申請が完了となります。

 

ここでは運送会社の設立方法を見てきました。トラック運送業界は他にも課題を抱えていますが、協会の主導の下に課題の対策に取り組み、その効果は着実に上がっています。リモートワークや地方移住が進むことで、トラック運送の需要はますます増え、活躍の場も一層広がる未来が訪れます。

 

運送業のような許可を必要とする会社は、営業開始までに通常の会社に加えてさらに長い道のりを歩むことになります。スムーズに事業を開始するためには設立までの計画を立てることが肝要です。あるいは専門家に設立代行を依頼することも検討することが大切です。


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