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「会社設立」と「会社創立」の違いとは〜法人設立届出書の書き方も〜

ビジネスの場面では、似たような用語だけど互いに全く異なる意味を持つ用語が数多く存在します。会社設立と会社創立の違いがその最たる例です。一見すると会社設立と会社創立は同じ意味を持つと勘違いされがちですが、両者の意味は大きく異なります。自社ホームページにて、創業年と設立年の両方を書いている企業も少なくないため、ビジネスマンの方であればその違いを知っておいて損はありません。

 

また設立と創立だけでなく、創業や創設、スタートアップ、独立、開業など、意味が似通っている用語がいくつか存在します。自身で事業を営む方は特に、それぞれの用語の意味を区別せずに使うと、相手に誤解を与える可能性があるため、それぞれの意味をしっかり区別して覚えておくのがベストです。

 

今回の記事では、会社設立や会社創立、創業、創設、スタートアップ、独立、開業といった用語の意味の違いをわかりやすくお伝えしつつ、それと併せて会社設立に要する費用や合同会社が近年流行っている理由についてもご紹介します。ビジネスマンの方はもちろん、会社設立を検討している方や経営者・個人事業主の方も必見です。

 

 

1 設立・創立・創業・創設のそれぞれの意味と違い

まず初めに、特に意味の違いを区別して理解されにくい「設立」、「創立」、「創業」、「創設」について、それぞれの意味と違いをお伝えします。

 

 

 

1-1 設立とは?

設立とは、学校や会社といった公共的な性質を持つ機関を新しく作る行為を意味します。特にビジネスでは、株式会社や合同会社を新しく作る場合に「会社設立」と呼びます。あくまで会社組織を作る行為を設立と呼ぶため、個人事業主として事業を開始するケースでは、設立という用語は使いません。ただし利益目的のビジネスではないものの、NPO団体を立ち上げる際にも、「設立」という用語がしばしば用いられます。

 

なお会社の設立日は、設立登記の手続きが完了した日付となります。登記とは会社名や会社の目的、代表者の氏名などの法律で定められた事項を登記簿に記載する行為です。登記は会社の法人格を成立させるには必須の手続きであり、会社を設立する際には必ず実行する必要があります。具体的な手続きとしては、諦観と呼ばれる会社のルールを作成する手続きなどを経た上で、必要事項を記した登記書類を作成し、それを法務局に提出するというのが設立登記の流れです。

 

ビジネスの場面で「設立」という用語を使う際には、2つ注意点があります。一つ目は、必ずしも事業を行なっている訳ではなくても、組織を作った時点で「設立」と呼べる点です。設立とはあくまで機関を作る行為自体を意味するため、事業をその時点で行なっているかどうかは関係ありません。つまり「会社設立日」と実際に事業を開始した日は必ずしも一致するとは限りません。極端な話、事業活動を実際にしていない会社(ペーパーカンパニー)を作った場合でも、会社設立と呼べるのです。

 

二つ目の注意点は、立ち上げた会社が何社目かは考慮されない点です。あくまで会社を作る行為にフォーカスした概念であるため、立ち上げた会社が2社目だろうが子会社だろうが、「会社を設立しました」と言える訳です。

 

会社設立という用語を用いる際の注意点は以上になります。「設立」という用語は比較的柔軟に使用できるため、相手になるべく誤解を与えたくないのであれば、「設立」という言葉を使うと無難です。

 

 

 

1-2 創立とは?

創立とは、学校や会社といった公共的な性質を持つ組織を「初めて」立ち上げる行為を意味します。特にビジネスでは、株式会社や合同会社などを新しく立ち上げる際に、「会社創立」と呼びます。会社設立と同様に、あくまで会社組織を立ち上げる行為を創立と呼ぶため、個人事業主として事業を開始するケースでは、創立という用語は一般的に使われません。なおNPO団体を立ち上げる際にも、「創立」という用語は多用されています。なお会社設立と同様に、登記手続きが完了した日付が「会社の創立日」となります。

 

以上の通り、「創立」という用語は一見すると「設立」と同じ意味を持つように見えます。確かに会社創立と会社設立には共通点が多いものの、決定的な違いが1つあります。その違いとは、創立は「初めて」会社を立ち上げる行為を意味する行為である一方で、設立は回数にこだわらない点です。つまりある会社が子会社を作った場合、会社を立ち上げる行為が初めてではないため、その行為は「創立」ではなく「設立」となるのです。一方である個人事業主が初めて会社を立ち上げるケースでは、初めてであるため「会社創立を行いました」と言える上に、「会社設立を行いました」とも言える訳です。会社創立と会社設立では意味に若干の違いがあるので、使用する際にはしっかり区別した上で使い分けましょう。

 

また創立という用語を使う際には、「創業」との使い分けにも注意する必要があります。後ほど詳しく説明しますが、「組織を初めて作る行為」である創立とは違い、創業という用語は「事業を開始する行為」を意味します。そのため、創業という用語は個人事業主(フリーランス)の方にも使用できます。創立という用語を使用する際は、設立のみならず創業との違いもしっかり区別するのが大事です。

 

 

 

1-3 創業とは?

創業とは、事業(ビジネス)を開始する行為を意味します。創業日や創業年と言った場合には、新しくその事業を開始した日にちや年度を意味することになります。「会社組織を作る行為」にフォーカスした概念である設立や創立とは違い、創業は「事業を始める行為」にフォーカスした概念です。そのため、会社を立ち上げずに個人事業主やフリーランスとして事業を始めるケースでも、「Aという事業を創業する(した)」と相手に言うことができます。

 

事業が軌道に乗ったタイミングで会社を設立するケースもあるため、必ずしも「創業日」と「設立日」は一致するとは限りません。むしろ創業日から数十年後に設立日が設定されるケースは十分考えられるのです。第三者に伝える際には、事業を始めた日を「創業日」、会社を作った日を「設立日」としてしっかり使い分けましょう。

 

「創業」という用語は、「創業明治10年」とか「創業100周年」と言った具合に、事業を始めた過去のことを伝える際に使用されるケースが多いです。創業100周年などとうたえば、歴史ある事業であることをアピールする効果も期待できます。特に旅館や料亭など、日本の和に由来した事業を行う事業者は、創業という用語を用いて歴史的な厚みをアピールするケースが多いです。

 

事業を長年続けている老舗旅館などを経営する機会があれば、創業という用語を用いて自社の歴史をアピールするのも一つの戦略です。

 

 

 

1-4 創設とは?創設の意味

非常にややこしいですが、設立や創立と似た用語に「創設」というものもあります。創設とは、それまでには存在しなかった制度や組織、施設などを新しく作り出す行為を意味します。株式会社や合同会社に使用されるだけでなく、学校法人や民間団体の立ち上げにもよく使用される用語です。会社や組織を立ち上げることに着目した設立・創立と比べると、「創設」という用語は比較的柔軟に使用できる特徴があります。

 

新しく会社(子会社含む)を作る場面はもちろん、会社の中で新しい事業部を立ち上げる場面や、社内で部活のような組織を作る場面などでも「創設」という用語が使用されます。つまり創設という用語は、新しい組織を作り出す場面で柔軟に使用できる用語だと言えます。

 

一方で「事業を新しく始める行為」である創業と、「新しく組織や制度を生み出す行為」である創設は似ているようで全く意味は異なります。創業と創設は一文字違いですが、意味することが全く違うので十分注意して使い分けなくてはいけません。

 

 

 

1-5 設立・創立・創業・創設の違いを要約すると

この項では、設立、創立、創業、創設の意味をそれぞれご紹介しましたが、いかんせん使用する文字が近いために、いまいち意味の違いを区別できない方もいるかと思います。ここでは、いくつかの観点から今回ご紹介した4つの用語の違いを簡潔に要約してお伝えします。

 

⑴どんな行為にフォーカスしているのか

  • 設立→会社などの組織を作る行為(新規性は問わない)
  • 創立→会社などの組織を「初めて」作る行為
  • 創業→事業を新しく始める行為
  • 創設→既存にはない新しい組織や制度を作り出す行為

 

⑵用語の適用対象

  • 設立→会社法人やNPO団体といった組織全般
  • 創立→会社法人やNPO団体といった組織全般(ただし子会社は除く)
  • 創業→会社・個人事業主関係なく使用できる
  • 創設→会社や人物、制度など幅広く使用できる

 

⑶用語を使用する場面

  • 設立→会社を作るための登記手続きなど
  • 創立→会社内のイベントや、一から会社を立ち上げて起業する時など
  • 創業→事業を長く継続していることをアピールする場面
  • 創設→会社内で新しい部門や機関を作り出すタイミングなど

 

ビジネスの場面では、それぞれの用語の意味の違いを理解し、状況に合わせて適切な用語を使用するのがベストです。使用する用語を間違えて相手に誤解を与えないよう、十分注意するのが大事でしょう。

 

 

2 スタートアップとは

ビジネスの場面でよく聞くのが、「スタートアップを立ち上げる」といったフレーズです。スタートアップの意味や特徴、ベンチャーや中小企業との違いを解説します。

 

 

 

2-1 スタートアップの意味と特徴

スタートアップとは、新しく事業を立ち上げる行為を意味しており、「行動開始」や「起動」という意味を持つ英単語が由来です。新しく事業を立ち上げたばかりの会社を意味することもあれば、起業後の動きや新規事業の立ち上げ行為をスタートアップという場合も少なくありません。一般的には会社を設立してから1年~3年以内の企業をスタートアップと言いますが、創業年数や事業規模に関係なくスタートアップと言うケースも少なくありません。

 

アメリカのシリコンバレーが発祥のスタートアップには、画期的なビジネスモデルや技術により、短期間で圧倒的な成長を遂げるという特徴があります。1~3年の間に市場を席巻するほどの成長を遂げる企業も存在し、スタートアップはまさにイノベーションを巻き起こす存在と言っても過言ではありません。本場アメリカでは、企業を設立してから(事業を立ち上げてから)数年程度で上場したりM&Aに成功するスタートアップも存在し、起業家にとっては数年で莫大な財を築ける手段です。

 

スタートアップが急成長を遂げる背景には、経営者の持つマインドの違いが理由として考えられます。新しい事業を立ち上げる大半の方は、「日々の生活を楽にしたい」とか「長期的に安定的な成長を遂げたい」という意識を持って経営に取り組みます。一方でスタートアップの経営者は、「短期間で市場にイノベーションをもたらす」とか「数十億円~数百億円もの財を築きたい」といった大きな夢を持って経営に取り組みます。このような意識の違いから、事業立ち上げ後の成長スピードが異なってくると言えます。

 

またスタートアップは、行う事業内容自体にも特徴があります。通常起業するといった場合、大半は飲食店を始めとした既存のビジネスモデルの延長線上にある事業を行います。一方スタートアップは、先進的なIT技術を用いて、これまで存在しなかったようなビジネスモデルを持つ事業に取り組みます。顧客のニーズがあるかどうかの不確実性は高いものの、成功すれば大きなイノベーションを巻き起こす点はスタートアップの大きな特徴です。

 

 

 

2-2 スタートアップの具体例

スタートアップと一口に言っても、実に様々な企業が存在します。たとえば本場アメリカでは、FacebookやInstagramがもっとも成功したスタートアップであると言えるでしょう。少々時代を遡れば、物流業界を変えたAmazonやインターネットの検索エンジン最大手Googleも、当時は大規模なイノベーションを起こした点でスタートアップと言えるでしょう。

 

「日本にはスタートアップと呼べる企業は存在しない?」と思われるかもしれませんが、画期的なビジネスに取り組むという点ではスタートアップと呼べる企業は日本にも存在します。

 

日本で最も成功しているスタートアップと言えるのは、言わずとしれたフリマアプリの運営会社「メルカリ」でしょう。出品者側が値段を自由に設定できる点を始め、既存オークションサイトとは大きく異なる特徴を持っていたメルカリは、リリース直後から大きな話題を呼び、右肩上がりで業績を拡大しました。つい最近はアメリカへの海外展開も果たし、順調にアメリカでも人気を博しています。今やダウンロード数は全世界で1億を超えており、日本では近年稀に見る成長を果たしています。

 

他にも独自の新素材である「LIMEX」の開発や販売を行うTBMや、テレビを始めとした多くのメディアで取り上げられる落合陽一氏がCEOを務めるピクシーダストテクノロジーズなど、画期的な事業に取り組むスタートアップは日本にも多く存在しています。

 

 

 

2-3 スタートアップとベンチャーとの違い

多くの方はスタートアップとベンチャー企業を同じ意味であると混同しがちですが、本来の意味でいうと両者は異なる概念です。確かに同じような意味で使用するケースもあるため、基本は同じものを意味すると認識しても問題ないでしょう。ですがしっかりと両者の意味を区別している方もいるので、他人に誤解を与えないように、両者の違いを区別して使い分けられるのが良いと思います。ベンチャーとスタートアップには、主に以下2つの違いがあります。

 

⑴事業の成長に対する考え方や取り組み

前述したとおり、スタートアップは短期間での急激な成長を目指します。数年でのM&AやIPOを目指す(果たす)ケースも多く、スタートアップの企業価値は短期間で急激に上昇します。一方日本でベンチャーと呼ばれる多くの企業は、長期的に安定した事業運営を目指しているケースが多いです。M&AやIPOを最初から目指すというよりは、事業をコツコツ成長させていき、経営者として長く事業に携わることを目的とする経営者が多いです。

 

⑵事業の内容

スタートアップと呼ばれる企業は、そのほとんどが既存のビジネスモデルとは根本的に異なる事業を行い、イノベーションをもたらします。一方でベンチャー企業は、既存事業の延長線上や既存事業のニッチな部分に焦点を合わせたビジネスを行う場合が多いです。特に事業内容とは無関係に、単純に事業を立ち上げて資金調達を果たした企業をベンチャーと呼ぶケースも少なくないため、スタートアップと比べると定義の幅が広いです。

 

 

 

2-4 スタートアップと中小企業との違い

スタートアップと混同されがちな概念には、ベンチャー企業の他に中小企業もあります。こちらもベンチャーと同様に、両者の違いを区別した上で使い分ける必要があります。

 

スタートアップが革新的なビジネスで短期的な成長を目指す一方で、中小企業は長期的に着実な成長を目指す点で両者は異なります。そもそも「中小企業」という文言を定めている法律によって定義が異なります。たとえば中小企業基本法では、業種や資本金、従業員数によって中小企業かそれ以外かで決定します。
一方、法人税法では、業種とは無関係に資本金額が1億円以下の企業を「中小企業者」と定義しています。定義は若干異なりますが、小規模な事業を行うのが中小企業であると言えます。

 

なおベンチャー企業と中小企業の違いとしては、設立してからの年数や資金調達面にあります。設立から年数が経っておらず比較的積極的に資金調達を行う会社はベンチャーと呼ばれ、設立から時間が経っていたり、資金調達をあまり行わない会社は中小企業と呼ばれたりするのが一般的です。

 

以上をまとめると、設立したばかりで革新的な事業を行う場合はスタートアップ、設立から時間が経っており安定的な成長を目指す場合は中小企業と言えます。

 

 

 

2-5 スタートアップはどのように資金調達するのか

スタートアップの資金調達は、融資よりは株式を第三者に交付する形で行うケースが多いです。資金調達の面から見るとスタートアップは何個かの投資ラウンドに大別することができ、それぞれの投資ラウンドによって資金調達の額や調達先が変わってきます。一般的に投資ラウンドは、「シード」、「アーリー」、「エクスパンション」、「グロース」、「レイター」に分けられます。

 

シードとは、ビジネスモデルだけは決まっているものの、法人をまだ設立していなかったり、商品やサービスを開発途中の段階を指します。事業がスタートしていないため基本的には資金調達は必要とならないものの、研究開発費などが生じる場合には資金調達を行います。なおシード期のスタートアップは、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルから、数百万規模の少額投資を受けるケースが多いです。

 

アーリーとは、事業を立ち上げた直後のフェーズを意味します。まだ収益は得られていないため、大半のスタートアップは赤字経営になっています。ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から数百万円程度の投資を受けることもあれば、銀行などから融資を受ける企業も少なくありません。

 

エクスパンションとは、マーケティング活動を本格的に開始し、商品やサービスを積極的に売り出すフェーズです。エクスパンション期にあるスタートアップは、ベンチャーキャピタルからの出資を受けるケースが大半であり、その規模は数千万円から数億円程度となります。

 

グロースとは、事業が軌道に乗り、本格的に事業規模を拡大するための資金を要するフェーズです。このフェーズからは黒字化する企業も増え、中には早々にIPOやM&Aを果たすスタートアップも存在します。本格的な事業拡大を要するため、その資金調達額は数億円を優に超えます。

 

レイターとは、十分事業が成長しており、海外進出や他社とのM&Aを行うフェーズです。この時期になると、10億円を軽く超える資金調達を行うスタートアップが大半を占めます。

 

投資ラウンド別に見たスタートアップの資金調達に関する説明は以上となります。お伝えしたように、置かれている投資ラウンドによってスタートアップの資金調達額や調達先、資金の用途は異なります。実際にスタートアップを立ち上げたいと考えている方は、あらかじめ投資ラウンドごとの戦略を考えておくと良いでしょう。

 

 

3 独立・開業とは

会社設立や会社創立、創業などとは若干異なりますが、「独立」や「開業」という用語も存在します。こちらも他の用語を混同されがちな用語ですが、独立や開業には使われ方に特徴があり、使い方を間違えると相手に誤った認識を与える可能性があります。独立と開業について正しいをご紹介します。

 

 

 

3-1 独立とは?

広義の意味での独立とは、「他に頼らないこと」や「他の束縛や支配を受けないこと」となります。一般的な生活シーンでは、「親から経済的に独立する」などという風に使われます。

 

ビジネスの場面に限ると、これまで働いていた会社を辞めた上で、その会社と同じ業界や職種などで事業を立ち上げるケースで「独立」という用語が使われます。また会社を辞めて事業を立ち上げない場合でも、辞めた時点で「独立した」と言われることもあります。

 

独立という用語と似たものに、「起業」という用語がありますが、両者の意味は若干異なります。独立という用語は会社を辞めた上で「これまでの職種や業界と同じ事業を立ち上げること」を意味する一方で、起業は「これまでやったことのない分野で事業を立ち上げる行為」や「これまで就業していなかった人が、新しく事業を立ち上げる行為」などを意味します。たとえばラーメン屋さんで働いていた人が自分でラーメン店を出す場合は「独立」を使い、突然化粧品の販売事業を行う場合は「起業」という用語を使います。

 

なお、独立は「それまで働いていた会社を辞めて、新しく事業を立ち上げる行為」であるため、状況次第では「創業」という用語を使用しても不自然ではありません。また株式会社や合同会社を設立するのであれば、「設立」、「創立」などの用語を使用するケースもあるでしょう。

 

 

 

3-2 開業とは?

開業とは、「新しく何かの事業を立ち上げる行為」を意味します。意味だけを見ると「創業」と同じなのでは?と思うかもしれません。意味自体は開業と創業に大きな違いはありませんが、使われるタイミングや場面に若干の違いがあります。

 

おさらいになりますが、創業は主に「長く事業を続けていることをアピールする場面」や「昔を振り返って事業を立ち上げた年月日をアピールしたい場面」で使用されます。一方で開業は主に「個人事業主の方が新しく商売を始めるタイミング」で使用されます。たとえば個人でラーメン屋さんを始めたり、アフィリエイトの事業を個人で立ち上げる際などに、開業という用語を使用します。

 

このような場面で「開業」という用語が使用されるようになったのは、個人事業主の方が事業を始める際に提出する「個人事業の開廃業届出書」が背景にあると考えられます。個人事業主(フリーランス)の方が事業を立ち上げる際には、税務署に対して「個人事業主の開廃業届出書」を提出する必要があります。

 

この手続きを行わなければ、税金面での負担が大きくなる場合があるため、事業を行う上でほぼ必須の書類です。この手続きを経るのを理由に、個人事業主の方が事業を始める際に、「開業」という用語を使うようになったのです。

 

 

 

3-3 独立と開業の違い

独立と開業は似ているようで全く意味の異なる用語です。この項では、独立と開業の違いを先ほど同様3つの観点から分かりやすくお伝えします。

 

⑴どんな行為にフォーカスしているのか

  • 独立→今いる会社を辞めて、自分自身で同じ事業を行う行為
  • 開業→個人事業主(フリーランス)の方が商売を始める行為

 

⑵用語の適用対象

  • 独立→主に仕事を辞めた会社員(サラリーマン)
  • 開業→新しく商売を始める個人事業主(フリーランス)

 

⑶用語を使用する場面

  • 独立→会社を辞めて独り立ちする場面
  • 開業→個人事業主としてお店を始めたりスモールビジネスを立ち上げる場面

 

独立と開業の違いは上記になります。「独立」と「開業」のどちらを使うか迷ったら、場面や自身の状況に応じて使い分けましょう。

 

 

4 会社設立にかかる費用

資本金1円から株式会社を設立できるようになったとはいえ、会社設立には資本金以外にも様々な費用がかかります。当然合同会社などの形態を選んだとしても、会社設立には費用を要します。会社設立にかかる費用は、株式会社と合同会社で大きく異なります。

 

 

 

4-1 株式会社の設立にかかる費用

株式会社の設立費用には、「法律で定められた費用」と「法律では定められていないものの必要となる費用」の二種類があります。

 

法律で定められた費用は、さらに「定款認証」と「設立登記」の計二種類の費用に分けられます。定款認証とは、会社の規則を定めた「定款」を法律の専門家に認証してもらうことです。定款認証の手続きでは、収入印紙代4万円(電子定款を作成する場合には不要です)、認証手数料5万円、藤本手数料2,000円がかかります。

 

一方で設立登記とは、定款認証が完了した後に行う手続きであり、この手続きが完了した時点で原則株式会社の法人格が認められます。設立登記の手続きでは、登録免許税として原則15万円の費用がかかります。ただし「資本金×7/100」の計算結果が15万円よりも多い場合は、その金額が登録免許税となるので注意が必要です。

 

法律上必要となるのは上記2種類の費用ですが、実際にはそれ以外にもいくらか費用が発生します。たとえば設立登記の手続きでは、会社の代表者の印鑑証明書が必要となります。この証明書を1通取得するのに約300円かかります。また会社を経営するとほぼ必ず印鑑を使用するケースが出てくるため、あらかじめ会社の印鑑についても作成しておく必要があります。なお印鑑の取得には5,000円~1万円程度かかると言われています。

 

株式会社の設立に必要な費用は以上となります。簡単にまとめると、株式会社設立には少なくとも20万円~30万円程度の費用がかかります。

 

 

 

4-2 合同会社の設立にかかる費用

次に、合同会社設立で生じる費用を解説します。合同会社の設立に際しても、株式会社と同様に「法律で定められた費用」と「法律では定められてないものの実際必要となる費用」の二種類の費用が発生します。また法律で定められた費用については、定款作成の費用と設立登記の手続きに要する費用の二種類に大別されます。

 

まず定款の作成については、合同会社の場合定款の作成自体は義務ですが、認証手続きを行う義務はありません。つまり株式会社とは異なり、合同会社では定款認証の費用がかかりません。なお株式会社と同様に、電子定款を使用すれば収入印紙代も発生しません。

 

次に設立登記に関しては、合同会社を設立する場合も登録免許税を支払う必要があります。ただし株式会社と比べると、合同会社設立に要する登録免許税は安く済みます。具体的には、株式会社で15万円かかる一方で、合同会社では6万円で済みます。

 

合同会社でも株式会社と同様に、法律での定め以外の部分で費用が発生します。もう一度おさらいしておくと、「印鑑証明書の取得費用」や「印鑑作成費用」などが必要となります。

 

合同会社の設立で必要となる費用は以上になります。簡単にまとめると、合同会社設立には少なくとも7万円から12万円程度の費用がかかります。お気付きの方もいるかと思いますが、株式会社の設立と比べると合同会社の設立費用は非常に安いです。少ないコストで会社設立を行いたい方には、合同会社の設立が向いていると思われます。

 

 

5 合同会社が流行っている理由

一昔前までは、「会社=株式会社」というイメージが一般的でしたが、近年は合同会社の設立が流行っています。この話は中小企業に限った話ではなく、AmazonやAppleの日本法人や西友といった日系の大企業でも合同会社の形態を取り入れています。

 

株式会社と比べて知名度が低いにもかかわらず、どうして合同会社を取り入れる企業が増えているのでしょうか?その背景には、合同会社を設立すると様々なメリットが得られることが見て取れます。この項では、合同会社が流行っている理由(合同会社のメリット)を6つご紹介します。会社設立を検討している方は、ぜひご参考にしてください。

 

 

 

5-1 設立費用が安く済む

合同会社を設立する最たるメリットは、やはり「株式会社よりも安く設立できる点」です。前述した通り、株式会社を設立する際には、定款認証の手数料や収入印紙代、登録免許税などの費用がかかり、全て合計すると約20~30万円もの費用がかかります。

 

一方で合同会社の場合、まず定款の認証手数料(5万円)が不要となります。加えて、登録免許税は株式会社より9万円も安い6万円で済みます。全ての費用を合計しても合同会社の設立費用は10万円前後に抑えることができ、株式会社よりもはるかに安く会社を設立できてしまいます。

 

いきなり法人を設立して事業を始めるにしろ法人成りするにしろ、会社を立ち上げた時点ではあまり利益が出ていなかったり、赤字であるケースが大半です。そのようなタイミングで、会社の設立に20~30万円も支出するのはかなりの痛手です。わずか10万円前後で会社を設立できてしまう点は、合同会社の非常に大きなメリットです。

 

このメリットがあるために、合同会社の形態を選ぶ経営者の方も少なくありません。会社設立時点で十分な資金力や収益力がない場合には、株式会社よりも合同会社の設立を検討した方が良いかもしれません。会社設立で浮いた資金を広告宣伝費や人件費などに回し、事業をよりスピーディーにスケールさせることができるかもしれません。

 

 

 

5-2 決算報告の義務がない

合同会社を設立する二つ目のメリットは、合同会社には決算報告の義務がない点です。株式会社を経営する場合、原則「決算報告」という義務が発生します。

 

そもそも決算とは、一定期間内の収支を計算し、その年度の利益や損失を確定させる手続きです。具体的には期末の決算日に勘定整理を行い、貸借対照表や損益計算書といった財務諸表を作成します。個人事業主とは違い会社の場合は、決算日を自由に決定できますが、大抵の企業は3月31日を決算日としている場合が多いです。なお決算の際に作成する貸借対照表などは、「決算報告書」と呼ばれます。作成した報告書は、企業規模に関係なく税務署に開示する義務があります。また上場企業であれば、決算報告書を広く公表する義務も別途発生します。

 

見てきて分かる通り、決算報告の手続きは正直非常に手間がかかり面倒な手続きです。決算報告を官報に掲載するとなると、毎期6万円程度の費用もかかります。一方で合同会社の場合、決算報告の義務がありません。決算報告の義務がないため、毎回面倒な手続きを行ったり、数万円にのぼる費用をかけずに済みます。

 

 

 

5-3 役員の任期に制限がない

合同会社が流行っている三つ目の理由は、役員の任期に制限がない点です。株式会社の場合は、法律上取締役や監査役の任期が定められています。具体的には取締役は2年、監査役は4年の任期となります(ただし定款の定めにより伸ばすことが可能)。役員の任期が満了したり再度役員として就任する際には、登記手続きが必要となります。つまり役員の任期を更新したり満了するたびに、手間や費用がかかってしまうわけです。

 

一方で合同会社の場合、原則役員に任期がありません。そのため何かしらの理由で役員の座から降りない限り、ずっと役員でいられます。役員構成が変更しない限り登記手続きは不要となるため、毎度手続きを行ったり費用を支払う必要もなくなるため、事業活動に集中することができます。

 

会社設立の時点でも合同会社は安く費用を抑えられますが、会社を設立して以降も費用や労力を抑えることができるのは、合同会社のとても大きな魅力です。

 

 

 

5-4 利益配分を自由に決定できる

合同会社が流行っている四つ目の理由は、利益の配分を出資額とは無関係に自由に決定できる点です。

 

株式会社の場合は、原則持ち株数に応じて利益の分配割合が決定します。要するに株式会社では、持ち株数が多ければ実質的に業務に携わっていなくても、多額の利益を得られます。一方で株式を持っていない従業員は、どれだけ働いても利益の配分は受け取れません(給料やボーナスは別)。極論ではあるものの、たくさん働いている社員が利益を配分してもらえずに、出資者ばかりが得する構造は見方によっては不公平です。

 

一方、合同会社では定款の定めにより出資額に関係なく利益分配の割合を定めることができます。つまりたくさん働いてくれる社員に対して、より多くの利益を配分するということが可能となるのです。利益配分の自由度が高いため、設立間もないスタートアップ(ベンチャー企業)に相性がよく、利益配分の自由度を理由に合同会社の形態を選ぶケースも多々あります。

 

 

 

5-5 所有と経営が一致している

合同会社が流行っている五つ目の理由は、所有と経営が一致している点です。株式会社では、原則所有と経営は完全に分離しています。持ち株(議決権)数に応じて行使できる権限が異なるため、実際に事業を経営している人と会社の意思決定権を握っている人が異なる事態が生じるわけです。

 

規模が小さく株式が分散していないうちは経営者が意思決定権を持つものの、資金調達などにより株式が分散すると、経営者は思い通りに意志決定しにくくなっていきます。経営者であれば、多少不確実性が高くても事業を拡大するためにややリスクの高いことにチャレンジしたいと思うものですが、出資者は、より確実に利益を得ることを主な目的とする傾向があるため、経営者の意見に同意してもらえない可能性が出てきます。この点は、自由に会社を経営したい経営者の方にとっては大きなデメリットとなります。

 

一方、合同会社では所有と経営が完全に一致しています。そのため、会社外部の出資者に意思決定を阻害されることなく、社内の人たちだけで自由に意思決定できます。スタートアップが事業を成功させるには、スピーディーに意思決定を実行し、リスクの高いことに果敢に挑戦することが必要となる場合があります。合同会社では所有と経営が一致しているがゆえに、スピーディーにリスクの高い行為を実践できるのです。

 

 

 

5-6 社員の負う責任は「有限責任」

合同会社の社員は「有限責任」しか負わないのも大きなメリットです。有限責任とは、出資額の範囲でのみ債務の弁済に責任を負うことです。一方で出資額に関係なく全ての債務弁済に責任を負うことを「無限責任」と言います。個人事業主に代表される無限責任を持つ人は、事業を廃業する際には抱えている負債を全て自身で返済する義務を負います。そのため、借入を行うこと自体が大きなリスクになります。

 

有限責任を負う場合は、出資金こそ戻ってこないものの、債務の弁済責任は負わずに済みます。つまり会社が万が一潰れたとしても、引き続き借金を負わずに生活できるわけです。最低限度の責任しか負わずに済むため、事業が潰れた際のリスクをあまり考えずに事業運営に集中できます。

 

合同会社には株式会社と比べて大きなメリットがいくつもあるにもかかわらず、会社の社員は株式会社と同様に有限責任となるわけです。株式会社の良いとこ取りした会社形態なので、近年はベンチャー企業や大企業が合同会社に組織変更するケースも増えています。

 

合同会社が近年流行っている理由は、上記6つとなります。合同会社には上記のようなメリットがあるため、近年ますます設立件数が増加しています。「資金調達がしにくい」とか「信用を得にくい(場合もある)」といったデメリットこそあるものの、それ以上にメリットが大きいと言えます。とくにスモールビジネスを始めたい方にはオススメなので、是非一度合同会社の設立を検討してみてください。

 

 

6 会社を設立するには「法人設立届出書」を提出する

法人設立届出書とは、会社設立の際に役所に提出する書類の一つです。法人格という言葉がありますが、これは法に則った人格という意味合いで、役所に法人設立届出書を提出し受理されることで、社会に、また法律的に法人格として認められることになります。

 

例えば、新生児が誕生した場合には、市区町村宛に(市役所や町役場等に)出生届けを提出します。法人の場合には、出生届に変わる「法人設立届出書」を国と県、そして市区町村の3箇所に届け出をします。出生届の提出先が1箇所であることに対して、法人の提出先が3箇所であることには理由があります。

 

法人は設立後、国と県、市区町村と長い付き合いをすることになります。その付き合いとは、法人が社会に対して有する使命の一つである各種税金の納付にまつわるものです。税金には、消費税や所得税等色々な種類がありますが、法人の代表的な税金は、年度利益額に応じて算出される「法人税等」です。

 

法人税等は「等」とあるように、幾つかの税金をまとめた呼び名です。「法人税」の他には「法人県民税」や「法人市民税」といったものがあります。名称にもあるように、法人税には大別すると国(=法人税)、県(=法人県民税)、市区町村(=法人市民税)の3箇所(3管轄)に分けられます。

 

そのため、会社には法人税等を納める観点から、それら3箇所に個別に法人を設立したという届けを出す必要があるのです。なお、提出先ごとの法人設立届出書ですが、3箇所間で体裁は多少異なる場合がありますが内容にはほとんど違いはありません。同じ内容を3回書く、という位のものです。

 

 

 

6-1 法人設立届出書の提出期限

戸籍登録の意味合いで、法人においても戸籍登録(のような概念)を行う必要があります。法人設立届出書の提出とは別作業の、「法務局での登記」です。順番としては、法務局にて法人登記を済ませた後に、法人設立届出書の作業に移ることになります。

 

法人設立届出書の提出期日は法人登記日(法人設立日)から2ヶ月以内となります。

 

登記後2ヶ月以内ということで十分に猶予があり、まあ期日を過ぎても特に罰則等はありませんが、登記完了後には事業を本格的に始めることができるように速やかに法人設立届出書を提出しておくようにしましょう。

 

 

 

6-2 添付書類

法人設立届出書には添付書類として定められているものがあります。下記がその一覧です。

 

  1. 定款、寄附行為、規則又は規約等の写し
  2. 株主又は合名会社、合資会社若しくは合同会社の社員、その他法人の出資者の名簿の写し
  3. 設立趣意書
  4. 設立時の貸借対照表
  5. 合併等により設立されたときは被合併法人等の名称及び納税地を記載した書類(合併契約書の写し、分割計画書の写しなど)

 

順番に見ていきましょう。まず、「(1)定款、寄附行為、規則又は規約等の写し」ですが、これは法人登記の際に作成・用意したもののコピーで間に合います。

 

「(2)株主又は合名会社、合資会社若しくは合同会社の社員、その他法人の出資者の名簿の写し」には所定の用紙はなく、下記のカギ括弧内の情報を記載した名簿を作成することになります。記載例と合わせて確認してください。

 

「各株主の氏名」「住所」「株数」「金額」「役職名及び当該法人の役員又は他の株主等との関係」

 

(記載例)

株式会社山海川商事 株主名簿

株主氏名  住所       株数  金額      役職名及び当該法人役員又は、他の株主との関係
山田初子  東京都◯◯区… 50株 500,000円  代表取締役
海田次恵  東京都△△区… 30株 300,000円  代表取締役の姪
川田三助  東京都□□区…  20株 200,000円  取締役
           合計 100株 1,000,000円

 

「(3)設立趣意書」は添付書類の一つと定められているものですが、添付していなくても届け出は受理されますし、後日の提出を求められるものでもありません。省略可能な書類です。

 

「(4)設立時の貸借対照表」ですが、まずそもそもの「貸借対照表」について説明しましょう。法人は、現金や固定資産等の「資産」、借入金や買掛金等の「負債」、そして資本金等の「純資産」を保有しています。それらをまとめて書類作成時点の会社の状況が分かるように一覧表にしたものが「貸借対照表」です。

 

貸借対照表は、法人設立から年月を経るに連れて記載する項目(科目)が増えてきますが、起業の際に記載する事項は、会社設立のための「資本金」と、その資本金を手許現金額として表現する「現金及び預金」となるのが一般的です。このときの例としては下記のようになります。

 

【資産の部】          【負債の部】
流動資産    (該当無し)
現金及び預金 1,000,000  【純資産の部】
             資本金     1,000,000
資産合計 1,000,000   負債・純資産合計 1,000,000

 

個人事業主を経て満を持して法人成りする場合には色々と引き継ぐものがあり、上記の限りではありませんので、税理士に相談すると良いでしょう。

 

なお、貸借対照表は今後重要な書類となるため補足すると、上例のように左側を「資産の部」、右側を「負債の部」と「純資産の部」とする左右に分かれた3つの部からなります。右側には会社の資本を表します。右側の「負債の部」は別名「他人資本」といい、上図例では「該当無し」として何も記載していませんが、金融機関等に借入をした場合には「借入金」という項目(科目)名称で記載することになります。借入金という他人由来の会社の運営資本ということです。右側の「純資産の部」は別名「自己資本」といいます。資本金等の、株主等の自己由来の会社の運営資本金等を記載する区分です。

 

一方、左側の「資産の部」には、右側の他人または自己の資本により、お金がどういう状態となったか(どういう使われ方をしたか)を記載します。上図例では、資本金という自己資本によって、会社の運営に使える手許現金が100万円ある、という状態を表していることになります。

 

さて、「(5)合併等により設立されたときは被合併法人等の名称及び納税地を記載した書類」については、合併法人の場合に必要になるものです。個人事業主から起業する場合には関係ありませんので添付を省略します。

 

 

7 法人設立届出書の書き方

それでは具体的に法人設立届出書の書き方を解説します。手元に、イメージを掴むために実際の法人設立届出書を用意してください。法人設立届出書は国税庁ホームページに記載されています。

 

また、実際に記入する場合には、各種記入項目用の参考資料として「登記簿謄本(履歴事項全部証明書)」と登記時に用意した「定款(または寄附行為、規則又は規約等)」を手元に置いてください。それでは法人設立届出書を左上から右下に向かって見ていきます。

 

左上の「年月日」には提出日を記入します。提出する当日に記入するか、空欄でも税務署側にて日付入の受付印が押印されてそれが提出日となりますので、空欄でも構いません。

 

年月日の下側、「税務署長殿」とある左側の空欄部分には、法人の本店所在地となる所轄税務署を記入します。不明な場合はインターネットで「〇〇県□□市(本店所在地)」「所轄税務署」で検索するか、または国税庁ホームページから検索してください。

 

右上の「整理番号」欄は税務署用項目のため記入は不要です。なお、この整理番号ですが、後日法人税の納付書等に記載されていますのでそちらから確認することができます。

 

「本店又は主たる事務所の所在地」には登記した法人所在地を記入してください。同枠内の電話番号欄は会社の固定番号を、無い場合は窓口となる携帯電話番号でも構いません。

 

その下の「納税地」欄ですが、この納税地欄には、支店がありその支店が実情的な本社の役割を担っている場合等に、その支店の住所を記入する項目となります。通常は上記の「本店又は主たる事務所の所在地」と同じ住所を記載してください。

 

「法人名」には法人名を記入します。上側にはフリガナ欄もありますので漏れなく記入してください。

 

「法人番号」には法人番号を記入してください。法人番号は通常、登記完了時(登記後約1週間程度)に下記の「国税庁法人番号公表サイト」から確認することができます。

 

「代表者氏名」には代表者氏名を、その上にフリガナも記入してください。

 

「代表者住所」には代表者の自宅住所を記入します。自宅住所を法人の住所としている場合は、「本店又は主たる事務所の所在地」と同じ住所となります。電話番号は「本店又は主たる事務所の所在地」と同じ番号、または携帯電話番号でも構いません。

 

「設立年月日」欄には、登記完了後に発行できる登記簿謄本に記載されてある「会社成立の年月日」を記入してください。

 

「事業年度」には期首日と期末日を記入します。期首日と期末日は登記の際に用意した「定款」に記載されていますので、分からなくなった場合には確認してください。

 

なお、この事業年度ですが、法人設立1年目は必ずしもここに記載した期首日が事業開始日(設立年月日日)と同じになるとは限りません。期首日以降が事業開始日(設立年月日)となる法人がほとんどですので、期首日は2年目以降のものと見なしてください。

 

「設立時の資本金又は出資金の額」も登記簿謄本に記載されています。登記簿謄本中の「資本金の額」と同額を記入してください。

 

「消費税の新設法人に該当することとなった事業年度開始の日」欄は、上記の「資本金」が1000万円以上である法人が記入対象となります。資本金が1000万円以上の場合には上記の「設立年月日」と同じ年月日を記入します。

 

なお、この項目に年月日を記入した場合は、別の法人設立時の届けである「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」の提出を省略することができます。資本金1000万円未満の場合にはこの項目は空欄としてください。その場合、設立後2年間は消費税納税対象とはなりません。

 

次の「事業の目的」の「(定款等に記載しているもの)」欄には、定款等に記載されている事業の目的を記入します。複数ある場合は代表的なものだけで大丈夫です。

 

その下の「(現に営んでいる又は営む予定のもの)」は、上記の「(定款等に記載しているもの)」と同じ場合には「同上」と記入してください。今後営む予定の事業がある場合にはそちらを記入しますが、具体的でないもの、検討段階のものは記入しなくても(空欄でも)構いません。

 

「支店・出張所・工場等」欄には、本店所在地以外に支店や工場等がある場合にはその名称と住所を記入してください。無い場合には空欄で問題ありません。

 

「設立の形態」は最も当てはまるものに丸を付けてください。個人事業主からの法人成りの場合には「1 個人企業を法人組織とした法人である場合」を丸で囲みます。その場合、その横の括弧内には個人事業主の時の確定申告書提出先の税務署名と整理番号を記入します。

 

個人事業主を経ずに法人を設立する場合には「5 その他」を丸で囲みます。その横の括弧内には「新設法人」または「金銭出資による法人」等と記入してください。

 

その下の「設立の形態が2~4である場合の適格区分」は、上述の「設立の形態」欄が1または5の場合には該当しないため空欄となります。2~4に丸を付けており、法人税法に規定されている適格に相当する場合には「適格」を丸囲みしてください。

 

「事業開始(見込み)年月日」には上述の「設立年月日」と同じ年月日を記入します。あるいは、法人設立の登記だけ先に済ませて実際に事業を開始していない場合は、事業開始(予定)日を記入してください。

 

「「給与支払事務所等の開設届出書」提出の有無」欄は、自身(代表取締役)も給与支払い対象者となりますので、設立する法人で自身を含む従業員に給与を支払う場合には「有」を丸囲みしてください。

 

設立する法人が2社目等で自身にも給与を支払わず、従業員もいない場合には「無」を丸囲みすることになります。

 

「関与税理士」欄には、担当税理士が決まっている場合には氏名と事務所所在地を記入します。その下の「税理士署名押印」欄には税理士本人から記名、押印をして貰ってください。担当税理士が決まっていない場合は空欄でも大丈夫です。起業を考えている方は、事務作業は早めに終わらせて、事業の運営に本格的に取り組んでみてください。

 

 

8 まとめ

今回の記事では「設立」と「創立」、「創業」といった用語の意味や違い、スタートアップや合同会社の特徴などについてもお伝えしました。設立は会社などの組織を作る行為ですが、とくに初めて会社を作る場合は「創立」という用語を用いるのが一般的です。また創業は事業を始める行為を意味する用語であり、自社の歴史をアピールする時に用いられています。そして創設という用語は、新しい制度や部署を作り出す際など、幅広い場面で使うことが可能です。

 

スタートアップとは、革新的な事業を立ち上げて、短期間での事業拡大を目指す行為や会社を意味します。スタートアップは成長度合いや事業内容の面で、ベンチャーや中小企業と区別することができます。

 

独立と開業も似た用語ですが、会社を辞めてその分野で事業を立ち上げる行為を意味する独立とは違い、開業は個人事業主やフリーランスの方が何かの事業を始める時に使用する用語です。そして会社を設立する際には、近年流行している「合同会社」を選択肢に入れるのがオススメです。合同会社は株式会社と比べて、設立費用が安いなどのメリットがあるため、ぜひ検討してみてください。

 

 


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