最高の事業計画書にする9つのポイント
事業を始めるには、その概要や事業の特徴、資金計画等を記述した事業計画書を作成することが必要です。
事業計画書の作成は、資金を融資してくれる各金融機関や事業の支援者を獲得する重要な機能だけでなく、事業計画書を作成する過程で自分に事業を見つめ直し、事業に盲点や過信、漏れ等がないかを検討するきっかけにする機能も挙げられます。
事業計画はよく、船舶の航行に欠かせない海図にたとえられます。
起業を思い立っても、むやみに進行すれば、迷い道を堂々めぐりして目的に辿りつけないリスクは大きなものになります。
他者も自分も、1つの事業計画書で夢の共有が可能になるなら、起業成功の確率は高くなると言えます。
以上の点を踏まえて、ここでは、最高の事業計画書にするためのポイントを実務上注意点や内容について何点か挙げてみることにします。
目次
- 経営者の思いを感じる事業計画書にする
- 6W2Hを視点に入れ、客観的な根拠に基づく分かり易く書く
- エグゼクティブサマリーをつける
- 簡潔に記述し、キャッチコピーで表現
- 事業計画書は、実績や自分の資産と関連付けて作成する
- 最高の事業計画書にするための具体的チェックポイント
- チェックポイント2.顧客ターゲットの絞り込みは正確か
- チェックポイント3.販売・流通方法の確立・具体化のチェック
- チェックポイント4.事業計画書の量や比重は適当で、矛盾はないか
経営者の思いを感じる事業計画書にする
事業計画書の作成は、客観的な裏付けを元にして、他人に理解してもらう事が非常に重要ですが、会社経営者の起業に対する「思い」情熱や使命感といった心の部分もこの上位概念として事業計画書から伝わってくる必要があります。事業計画書のプレゼンテーション時に思いを伝えればそれでよいと考えている方もいるかもしれませんが、昔から「文は人なり」と言う言葉があります。
事業計画書に秘めたれた起業家の熱き思いや高い志は、事業計画書に色濃く反映します。
事業成功への道のりは、人と人との結びつきで成就するので、最高の事業計画書にするためには、事業計画書に込められた自分の思いを伝える必要があります。
6W2Hを視点に入れ、客観的な根拠に基づく分かり易く書く
最高の事業計画書にするには、事業計画書に示された項目の主張が細部に渡って分かり易い表現で、説得力ある客観的な根拠が示されていることが必要です。この時、事業計画書作成のひな型となる
「6W2H」(何を、いつ、何故、何処で、だが、誰に、どうやって、どの位の費用で)の視点を意識して事業計画書を作成すれば、論理性が感じられ、説得力のある事業計画書になります。
また、「6W2H」の視点は、一応完成した事業計画書の見直しの視点としても重要で、事業計画書の掲載漏れや客観的な根拠に難点があること等の発見に寄与し、事業計画書を現時点における最高レベルに引き上げるため基礎となります。
エグゼクティブサマリーをつける
エグゼクティブサマリーは、事業計画書の大枠を記述した文書で、資金調達上や事業計画の援助者獲得のために非常に重要なアイテムです。何ページもの事業計画書を作成してもなかなか読んでもらえないこともありますが、エグゼクティブサマリーに事業計画書の要旨をまとめて、視覚表現も取り入れて記述すれば、興味を持った読者には、事業計画の細部にまで目を向けてもらえます。
エグゼクティブサマリーでは、自分の起業するビジネスは何が優れ、ビジネス社会で勝ち続けられるのかを強調(単位商品やサービスの優位性を訴えるのではなく、勝ち続けるための枠組み・システムを強調する)ことが重要です。
また、起業する分野の事業に詳しくない者に対しても興味を引き、説得力るものにする必要があります。
当然、市場分析や顧客の絞り込みを行い、稼げそうな事業であることを納得、又は、期待させる内容が求められます。
簡潔に記述し、キャッチコピーで表現
事業計画書の提出先の方は、ビジネス社会に精通している方が大半ですが、案外、個々の事業に深く知っている方はそれほど多くありません。事業計画書をその方たちに興味を抱かせ理解してもらうには、業界の専門用語等の難解な言葉使いを避け、なるべく平易な言葉を用い、出来ることなら、事業内容を端的に示すキャッチコピーを副題としてつけることがお薦めです。
キャッチコピーの魅力で、一気に興味を引くことも多く、事業の概要がなんとなくイメージできる場合もあります。
事業計画書は、実績や自分の資産と関連付けて作成する
起業する際には、自分の持てる全ての資源と展開しようとする事業の関連付けが重要です。何か思いつきのアイデアを他人に提示して、資金援助や事業に協力してくれ人を得ようとすることは無謀と言える試みです。
起業には今までにない新しい切り口や新規アイデアが必要ですが、これを自分の過去の経験や実績に深くリンクして事業計画書を作成すれば、説得力ある事業計画書になり、将来の事業展開に期待感も生まれます。
最高の事業計画書にするための具体的チェックポイント
1.売上や事業予測に無理はないか
起業する際には、モチベーションが高く心が高揚して、大きな目標を掲げることがあります。起業して1,2年で店頭銘柄に育てるといった大きな目標を掲げる事業計画書もあります。起業に最も必要なことは、経営者の大きな心意気と信念とは感じますが、現実に照らして客観的に考えると、あまり大きな目標をぶち上げると、ビジネスの厳しさを知るものは、逆に経営者の経営資質に疑問を感じることもあります。
売上目標や事業予測を掲げる時は、客観的なデータや市場分析、会社の実力に裏付けられた説得力のあるものにする必要があります。
ポイント2.顧客ターゲットの絞り込みは正確か
新規に提供する商品やサービスは、まず、それらを提供するターゲットを絞り込む必要があります。いわゆる顧客に対する訴求力があるか否かの問題です。このターゲットの絞り込みの問題では、あまり広すぎるターゲットでは、訴求力が乏しくなりますが、かと言って、狭すぎる場合も、マーケットが狭くなりすぎ、効率的な経営が行えない場合も生じます。
会社経営には、最低限度の固定費が発生するので、損益分岐点等の分析を行い収益性が高くなるターゲットの選定を行う必要があります。融資を受ける際には、返済の問題と関連して非常に重要です。
ポイント3.販売・流通方法の確立・具体化のチェック
優れた商品やサービスでも、販売方法や流通機能がうまく機能しなくては思った販売実績を挙げることはできません。販売のメインをインターネットに置くのか、またその場合「SEO」対策はあるのか、また、メーカーなら直販体制をとるのか問屋や販売代理店方式を採用するのか、といった販売流通方法の具体的な販売方法を記載しないと、最高の事業計画書にすることはできません。
ポイント4.事業計画書の量や比重は適当で、矛盾はないか
最高の事業計画書にするには、いかに端的な表現で、読み手に興味を感じさせ、説得性のあるものにする必要があります。事業計画書はあらゆる情報や経営者の思いのたけを詰め込むものではありません。
事業計画書は、情報や思いを足し算で記載するのではなく、そのエッセンスを残して引き算して制作するものです。
融資の申請先や事業協力者は、丹精込めて作成した事業計画書でも、こちらの側に立って十分時間をかけて見てくれることはあまりないものです。
少ない時間の中で事業計画書の大枠や自分の行う事業の優位性や特徴を理解してもらう必要があるのです。
また、事業計画書では、どのアイデアやどのプランを自分が一番強調したいのかを理解してもらう必要があります。事業計画書には欠くことのできない記載事項が多数存在しますが、読み手に一番伝えたい事項は、詳細さを備えた簡潔なで十分説得力のあるものにする必要があります。
作成した事業計画書を読み手の立場読み返し、本当に自分が理解できる文書にする必要があります。
データの確認や漏れ、誤植、表現等に矛盾があった場合は、あなたビジネスセンスや能力に疑問を抱かれるので、十分気をつけてチェック作業を行ってください。
この点に関しては、家族や友人等に読んでもらい、素朴な疑問を出して貰う事が自分の欠けた部分をあぶり出すためには非常に効果的です。