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2020年に注目したいベンチャー企業を一挙公開!事業内容と会社設立日、ベンチャー企業の探し方など

いま、ベンチャー企業に熱い視線が注がれています。新卒採用・転職を問わず、個人のキャリア形成や多様な働き方を模索する中で、「働く楽しさ」や「新しい分野への憧れ」、「ベンチャーという言葉が放つ華やかさ」など、その動機は人によって様々です。しかし、いざ自分が就職するベンチャーを探すとなると、「ベンチャー一括り論」ではポイントがぼやけてしまいます。今回の記事では、ベンチャー企業というカテゴリーの整理と共に、いま注目を集める企業を紹介する中で、ビジネスパーソンがターゲットを絞り込むための判断材料をお届けするだけでなく、会社設立時の経営理念の決め方などもご紹介します。

 

 

1 ベンチャー企業とは

ベンチャー企業とは

 

個々のベンチャー企業を紹介する前に、「ベンチャー企業」の定義について触れおきます。普段、何気なく、漠然としたイメージをもって「ベンチャー」というワードを使用していますが、今後、新規・転職に関わらず自らが就職する先として意識するなら、ベンチャーが持つ将来性や魅力、そして一定の枠組みを知っておくべきでしょう。

 

ベンチャー企業、ベンチャービジネスという言葉は和製英語ですが、1970年に開催された「ボストンカレッジ・マネジメント・セミナー」において、旧通産省のお役人が行なった米国新興成長企業群の紹介で初めて使用されたと言われています。その後、ビジネス界はもとより、研究、メディアなど様々な分野に広がって今日に至っているのですが、「ベンチャー企業」そのものについての明確な定義がなされていないのが実情です。

 

一般的に受け止められているイメージとしては、「先進的な中小企業」といった程度ではないでしょうか。「中小企業」については、中小企業基本法という法律によって、法的な定義付けがなされていますが、ベンチャー企業については、先述のとおり、様々なステージで様々な使われ方をしていることもあって、そのステージごとで自らが理解しなければならないという不都合な状態にあります。

 

そこで、ベンチャー企業をイメージしやすくするために、この記事で紹介する「ベンチャー企業」としての要件を整理するとともに、参考までに中小企業の定義を紹介しておきます。

 

ベンチャー企業としての要件

 

(表1)ベンチャー企業としての要件

その1:革新性
新商品や新サービスの開発・生産を行うとともに、その提供方法にも革新性があり、模倣困難性を備えた事業であること。
その2:アントレプレナー
高い創造意欲と企業経営に関する知見を持ち、リスクをとっても創造的事業に積極的に挑戦する姿勢をもった起業家トップであること。
その3:成長性と持続可能性
事業活動の成果として、「事業規模拡大」、「雇用創出」という企業としての主要課題を、スピード感をもって達成し続ける成長性とその意欲があること、また、企業としての持続可能性(サスティナビリティ)を有していること。
その4:中小企業性
経営資源に制限があり、政策的支援の対象としての正当性があること。

※この要件は、「独自の技術やビジネスモデル」を実現するための資金を確保するために、国や地公体が実施するベンチャー企業政策の対象となるために必要な要素として加えました。

 

(表2)中小企業の定義(中小企業庁)

業種分類 中小企業基本法の定義
製造業その他 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は、常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人
卸売業 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
小売業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人
サービス業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

 

なお、この中小企業の定義は、中小企業政策における政策対象の範囲を定めたものであり、他の法律や制度(例:法人税法、租税特別措置法等)とは、その範囲が異なりますのでご留意下さい。また、この要件から外れるとしても、ベンチャー企業性を否定するものではない点に留意してください。

 

 

2 注目のベンチャー企業7社

注目のベンチャー企業7社

 

(表1)と(表2)でベンチャー企業の大枠は把握できると思います。ここからは、いま、注目されるベンチャー企業を紹介していきます。近年、「少子高齢化」、「人生100年時代」、「人手不足」、「グローバル化」、「AI」といった言葉が様々な場面で盛んに使われ、社会環境や経済環境が大きく変化していることを実感する場面が増え、企業にとってはこれらへの対応が大きな課題となっています。

 

ベンチャー企業が取り組むべき事業のキーワード

 

このような状況から導き出される、これからのベンチャー企業が取り組むべき事業のキーワードは、他ならぬ、「少子高齢化」、「人手不足」、「後継者不足」、「AI」などでしょう。これらのキーワードで表される社会問題をビジネス化することができるベンチャー企業が、これからの主役となることは間違いありません。今回は、これらのキーワードとの関連を踏まえつつ、「ユニコーン企業(注1)」、「地域との共生」という視点で注目企業をご紹介します。

 

(注1)ユニコーン企業
「企業価値が10億ドル(円換算:1,100億円超)」、「起業10年以内」、「非上場」の3つの要件を満たしたベンチャー企業を指し、「新事業」、「急成長」、「小中規模」が特徴です。起業が盛んな米国でもこのような急成長で成功する企業は稀なことから、米国の「カウボーイ・ベンチャーズ」の創業者が、伝説上の一角獣「ユニコーン」の名を冠したと言われています。

 

日本では、ユニコーン企業が育ちにくいと言われますが、2018年6月に東証マザーズへ上場してユニコーンを卒業した「メルカリ」が有名です。2019年8月末現在、日本のユニコーン企業は、AI関係開発会社の「株式会社プリファード・ネットワークス」と仮装通貨取引業の「リキッド・グループ」、ニュースアプリの「SmartNews(スマートニュース株式会社」の3社です。今後、追随しそうな企業は、日本経済新聞社が有力なスタートアップ企業の価値を集計し、「NEXTユニコーン」として公表しており、ユニコーン企業に対する注目度が高まっています。

 

 

2-1 株式会社プリファード・ネットワークス(ユニコーン企業)

会社設立日:2014年3月26日 
所 在 地:東京本社(東京都千代田区大手町1-6-1大手町ビル)
米国カリフォルニア州バークレー
創 業 者:西川 徹、岡野原 大輔
事業内容:AI(人工知能)関連研究開発、IOTに着目した「深層学習技術」の開発等

 

代表的な実績は以下の通り。

 

〇工業ロボットの業界では

2015年からファナックと共同研究開発を行い、物体認識、制御、異常検知、最適化などの技術を産業用ロボット・工作機械に適用。機械学習・深層学習を活用した新機能は2017年からファナック商品に実装され、製造現場への導入が進んでいます。

 

〇医療分野での活動

深層学習を用いて、オミックス解析・医用画像解析・化合物解析を中心に研究開発と事業化を行っています。血液によるがんの早期診断の実用化を目指し、国内では2016年7月に株式会社DeNAとの合弁会社を設立、海外では2018年11月に米国で三井物産株式会社との合弁会社を設立しています。

 

〇生活関連ロボットの分野で

パーソナルロボットの研究開発を行っています。CEATEC JAPAN 2018では、トヨタ自動車のHSRを使い、最先端の深層学習技術を応用した「全自動お片付けロボットシステム」を展示。物をつかむ/置く、動作計画を立てる、人の指示に対応するなど、ロボットが人間の生活空間で仕事をするために必要な物体認識・ロボット制御・音声言語理解技術に最先端の深層学習を用いています。

-以上の内容は同社の公式サイトの情報をもとに作成-

 

同社は、現在の代表取締役社長兼CEOである西川徹氏と代表取締役副社長の岡野原大輔氏が東京大学大学院在学中の2006年に起業しています。会社として設立したのが2014年3月ですが、これ以降の事業展開がスピード感と独創性に溢れています。工業用ロボット大手のファナックと資本提携したかとおもえば、DeNAと合弁会社を設立し、医療分野においても、国立がん研究センターと共同研究を開始するなど、広範な領域で大手企業・組織との連携を強めて一気に業容を拡大しています。

 

なにより、2017年8月のトヨタ自動車を引受先とした第三者割当増資によって105億円の研究開発資金の調達に成功したことは耳に新しいのではないでしょうか。トヨタ自動車と同社は、2014年10月から同社が得意とするディープラーニングの応用の可能性を探るため、自動運転領域における共同研究という形でその関係をスタートしています。

 

2019年におけるプリファード・ネットワークスの企業価値は2400億円を超えており、会社設立から5年程度で正に急成長を遂げている企業です。取引先も広範且つ先端テクノロジーを必要とする企業ばかりですが、やはり注目すべきは、事業自体が模倣困難性と革新性を備え、社会の問題をビジネス化している点にあります。今後の成長性、そして持続可能性の高さにおいて、「他社の追随を許さない」という気概が見えてくる企業だと言えます。

 

 

2-2  スマートニュース株式会社(ネクスト・ユニコーン)

会社設立日:2012年6月15日 
所 在 地:東京都渋谷区神宮前6丁目17-11
福岡県福岡市博多区中洲3丁目7-24
サンフランシスコ、パロアルト、ニューヨーク、上海
創 業 者:鈴木 健、浜本階生
事業内容:スマートフォンアプリケーションの開発・運営、インターネットサービスの開発・運営

 

〔最近の動向〕

米国市場での成長を加速させるため、2019年8月5日に日本郵政キャピタルをリード投資家として総額31億円の資金調達を実施しています。米国事業は、ユーザー数が前年対比5倍以上となり、米国では最も早く成長しているニュースアプリとして存在感が増しています。また、日米合算で月間のアクティブユーザーは2,000万人を数え、2019年2月には日米合計で4,000万ダウンロードを突破して英語圏におけるメディアの送付元としてはヤフーを凌ぐ勢いとなっています。

 

同社のミッションは、「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」ことです。これを達成するための事業は、アルゴリズム(注2)によってインターネットに点在する重要なニュースが選ばれユーザーに届くというアプリケーションの開発からはじまっています。共同創業者の浜本氏がこの技術を開発しましたが、同社のサービスコンセプトは、もう一人の創業者である鈴木氏が打ち出しています。良質な情報をバランスよく届けるという日本人ならではの発想は、いまでは米国でも受け入れられ、順次世界各国でアプリが利用され始めています。

 

鈴木氏は、2050年へのビジョンとして、「この複雑な世界を複雑なまま生きられるように、私たち自身が社会を変えることができる民主主義のプラットフォームを目指す」ことを明言し、必ずしも良い方向に振れていないインターネットの現状を変えていく決意を示しているのが印象的です。

 

現在のインターネットは、ネット上で同じ意見ばかり集めるエコーチェンバー(注3)が問題となっており、2016年の米国大統領選に影響を与えたことは記憶に新しいところです。新たな社会のコアシステムを生み出すことを期待されたインターネットが、米国に代表されるように社会の分断を進めるというマイナス面が多いことに警鐘を鳴らしているとも言えます。

 

鈴木氏が「民主主義のプラットフォーム」と語ったのは、トランプ大統領が誕生した選挙前後の空気を、鈴木氏と浜本氏は現地で体感していることが影響しています。米国版アプリでは、かなり踏み込んだアルゴリズムを導入して、トランプ大統領を支持しない層に対しても、反対側のニュースをバランスよく表示するようにするなど、提供する情報の真実性とともに、ユーザーが新しい発見と共感を呼び起こすことに腐心していることがうかがえます。

 

同社の、独自のアルゴリズムの開発という模倣困難性の高い技術と、インターネットの負の部分にフォーカスし、社会の問題をビジネス化しているというビジネスモデルは、将来性豊かなベンチャー企業の証しと言えるでしょう。

(注2)アルゴリズム
ある特定の課題を解決するための計算手順や処理手順を指し、コンピューターで処理するための具体的な手順を記述したものがプログラムということになります。アルゴリズム次第で、このプログラムのサイズや使い勝手の善し悪しが変わるため、より効率的なものを考えることが求められます。
(注3)エコーチェンバー
主にSNSにおいて、価値観の似た者同士が交流し、「事実であるか」よりも「共感できるか」を重視する閉鎖的なコミュニティにおいて、特定の意見や思想が増幅されて影響力をもつ現象をいいます。他の意見が排除されて、偏った考え方などが拡散される危険性をはらんでいると言われています。

 

 

2-3 株式会社アストロスケール・ホールディングス

会社設立日:2013年5月4日
資 本 金:1億円(未上場)
所 在 地:(本社)東京都墨田区錦糸1-16-4(シンガポールで創業し2019年2月に移転)
創 業 者:岡田光信(CEO)
事業 内容:スペースデブリ(宇宙ゴミ)除去サービスその他事業
子 会 社:株式会社アストロスケール(2015年2月設立)
小型衛星の開発・製造、宇宙環境テスト

 

〔会社の沿革~事業の概況〕

2013年にシンガポール本社を創設し、2015年に日本における研究開発拠点として「株式会社アストロスケール」を、2017年には英国に子会社を設立するなど、創業当初よりグローバル展開している企業です。持続可能な宇宙利用を目指し、技術、ビジネスモデル、法規制といった複数の難題解決に取り組み、スペースデブリの除去を始めとした軌道上サービスの展開を目指しています。

 

1950年代の宇宙開発草創期から増え続けた宇宙ゴミは、現在、10㎝以上のもので2万個以上、1㎝以上のものでは約90万個存在すると言われ、これらが弾丸の約20倍以上の速さ(秒速7~8㎞)で軌道上を回っています。創業時にはビジネスモデルもなければ市場や顧客の見込さえ不明な状況からスタートしたこの企業に対し、近年は、国連の専門委員会や宇宙関連学会での講演機会の増加もあり、国際社会全体の注目が集まっています。

 

このように事業環境が整い始めた今日、同社は二つの事業モデルを見据えています。一つは、「EOLサービス」と呼ばれる、宇宙上の機器が故障や運用を終了した際の除去サービスであり、潜在顧客は衛星運用者が想定されます。もう一つは、ADRサービスという、既に軌道上に存在しているデブリの除去であり、国や宇宙機関が対象となります。未だ準備段階とはいえ、広く世界から注目されているという1点だけとらえても、その存在感は大きく、いやがうえにも期待度が高まる企業と言えます。

 

創業者の岡田光信氏は、2019年「Forbes JAPAN起業家ランキング」の1位に選出され、今や国連をはじめ世界レベルで注目される経営者となりました。その要因は、同氏の起業家としてのパイオニア精神にあると言えるでしょう。これは、岡田氏のアストロスケール設立に至る経緯にも垣間見ることができます。30代でIT企業を起こした同氏は、40歳を目前に、本当に自分がやりたいことは何かと考え、社会的に意義のあることをしたいとの思いに至ります。

 

その後、もともと好きだった宇宙に関する学会に足を運び始め、スペースデブリの問題を知ると、すぐさま、2013年4月にドイツで開催されたデブリの専門学会に参加しています。その学会において、未だ誰も宇宙デブリの問題を解決していないことを知り、学会の10日後にはアストロスケールを設立するという決断力と実行力を発揮しています。

 

同氏は、ロンドンの王立航空協会の数少ない日本人フェローに認定されており、アストロスケール設立後、EU内の政府、学界、産業界から数百人もの人が参加する英国惑星間協会主催の学会に招かれたことがあります。同氏が招聘された理由は、「スペース・スウィーパーズ(宇宙の掃除屋たち)」を名乗る彼らがスペースデブリ(宇宙ゴミ)に挑む人類初の起業家だったからです。

 

実は、学会に招かれる前年、既に、アストロスケールはイギリス政府から150万ポンドを付与され、オックスフォード郊外に管制センターを開設していました。この事実からも、事業への期待度の高さと、創業者である岡田氏の実行力に対する評価の高さが読み取れます。

 

注目のベンチャー企業

 

現在、創業6年目を迎えるアストロスケールは、大型デブリ捕獲衛星ELSA-dの技術実証を、2020年に軌道上で行う予定になっています。将来的に人工衛星所有者の依頼を受けて、軌道環境の保全を確保することになりますが、現在、アストロスケールと協業する企業は100社を超えると言われ、中には優秀な技術を持つ日本の中小企業も多く含まれています。宇宙機関にとどまらず、様々な分野でこの事業への関心は高まり続けており、本番へ向け、着々と準備が整いつつあるといえます。

 

未だ夢の途中ともいえる状況ではありますが、同社の「ファイナンス情報」をみれば、その事業への期待度とビジネスとしての実現可能性の高さを読み取ることができます。同社の資金調達手段は、第三者割当増資、融資、クラウドファンディング、助成金、社債、ICO(仮想通貨発行)と多岐にわたります。調達先には、三井住友トラスト、東京大学協創プラットフォーム開発、三菱地所、ANAホールディングス、三菱UFJキャピタルといった著名企業がひしめき、2019年8月末における想定時価総額は524億5千万円とされています(同社の公表数値)。

 

このように、全ての面において、他の業態と一線を画すこの会社のベンチャーたる所以は、誰もが手を付けられずにいた「世界的な問題(難問)」を、あえてリスクをとって事業として実現しようとするところにあります。これは、模倣困難性というレベルではなく、まさにパイオニアの領域にあり、他社(者)の追随を許さぬ独創性と先進性に溢れた企業であると言えます。求人内容を見ても、正に「挑戦者よ、来たれ!」と語りかけているかのようです。

 

 

2-4 株式会社ビズリーチ(NEXTユニコーン)

会社設立日:2007年8月(転職サイト「ビズリーチ」は2009年4月開設)
資 本 金:41億円余(未上場)
所 在 地:東京都渋谷区渋谷2-15-1
創 業 者:南 壮一郎(代表取締役社長)
事業内容:インターネットを活用したサービス事業(転職サイト「ビズリーチ」、「キャリトレ」、求人検索エンジン「スタンバイ」、人材活用プラットフォーム「ハーモス」、事業承継M&Aプラットフォーム「ビスリーチ・サクシード」等を運営。

 

〔会社のミッション〕

同社は、そのミッションを「インターネットの力で、世の中の選択肢と可能性を広げていく」とし、行動規範を次のように定めています。

  • 〇できる理由から始めよう(どんなに難しいことも、できると思った瞬間にすべてが変わる)
  • 〇逆算⇒突破⇒展開⇒仕組化(いま自分が、すべきことが見えてきたら、覚悟を決めて一点突破)
  • 〇マッハGO!GO!(ベンチャー企業はスピードが命)
  • 〇お客様の感動にコミットしよう(真のお客様が誰なのかを明確に定義し、お客様への価値提供を最大化しよう)
  • 〇巻き込み、巻き込まれよう(一人でできることには限界がある)
  • 〇最高の仲間と歴史を創ろう(自分らしく行動を起こし、仲間とともに社会や業界の歴史に刻まれるような仕事をしよう)

-以上、同社の公式サイトの情報をもとに作成(行動規範の文言は引用)しました-

 

創業者である南氏は、公式サイトのメッセージの中で、「日本の雇用の流動化や生産性向上を支援すべくHR Tech(注4)の領域でサービスを展開し、時代にあった新しい働き方を創造しています」と語り、更なる人口減少時代を迎えるにあたって持続的な成長を確保していくためには、OECD(経済協力開発機構)加盟35か国中22位、先進7か国中最下位という不名誉なレッテルを貼られた低い労働生産性を向上させることが不可欠であるとの認識を示しています。

 

また、働き方改革や人生100年時代への個人の対応を見据え、働く価値観の多様化に応じた新しい働き方が必要であるとも提言しています。このような社会的問題をビジネス化した同社の第1号サービスが「ビズリーチ」であり、人材と企業をインターネットの力で直接つなぐ「ダイレクト・リクルーティング」ツールとして、また、「雇用の流動化」への対応を含め、そのサービスを拡大しています。

 

最近は、即戦力人材への対応に加え、「若手正社員」、「新卒者」、「パート・アルバイト」に係る新規事業を立ち上げる一方、内閣府の「プロフェッショナル人材事業」の運営支援として、地方企業とプロフェッショナル人材のマッチング事業にも取り組んでおり、人材サービスの分野における様々な課題をビジネス化していく姿勢は、ベンチャーとしての気概を感じ取ることができます。

 

(注4)HR Tech
HRテックとは、HR(ヒューマンリソース=人財)× テクノロジー(Technology)の造語です。採用、リーダー育成、評価、勤怠等の広範な人事関連業務において、ビッグデータの解析やAI、クラウドなどの最先端テクノロジーを活用し、人事課題に対応するサービス等を指します。

 

 

2-5 freee 株式会社(NEXTユニコーン)

会社設立日:2012年7月
資 本 金:161億603万円(資本準備金等含む)
所 在 地:東京都品川区西五反田2-8-1
支   社:中部支社、関西支社、九州支社
創 業 者:佐々木 大輔(CEO)
事業内容:クラウド会計ソフト、人事労務、会社設立、開業、マイナンバー管理、クラウド申告等ソフトの提供

 

〔企業ミッションと組織目標〕

ミッション:スモールビジネスを世界の主役に

組織目標

  • 〇先例をつくり、未来をつくる
  • 〇世界レベルのクオリティ
  • 〇成長を信じること

-以上、同社の公式サイトより-

 

創業者の佐々木氏は、起業前はGoogleの日本・アジア・パシフィック地域における中小企業向けマーケティングチームを統括していた経歴もあって、「スモールビジネスを、世界の主役に」という企業ミッションにつながっているのかもしれません。事業展開においては、AI技術を駆使した最先端の機能開発をはじめ、金融機関との連携によるバックオフィス業務効率化のソリューションを提供しています。

 

2019年1月には、全国信用金庫協会がfreeeとのインターネットバンキングにおけるAPI(注5)連携の開始を発表し、同年2月4日から順次運用を開始しています。全国信用金庫協会の加盟260金庫のうち、この連携に係る契約を締結したのは253金庫に上り、大型の連携案件として大きな話題となりました。これにより、信用金庫の法人顧客は、口座の残高や入出金明細などの情報を「クラウド会計ソフトfreee」に自動連携することが可能となり、安全性と質の高いサービスを利用できるようになります。

 

このように、企業ミッション通り、中小規模法人並びに事業者に対するサービスを拡大することで、2012年に自宅マンションから従業員3名程度でスタートしたfreeeは、現在では500人超の従業員を擁する規模となり、創業以来の資金調達額(資本金)も161億円を超えるまでに成長しています。

 

足元の収支状況は累積赤字となっていますが、投資家からのビジネスモデルに対する評価の高さは、資金調達額を見ても明らかです。会計ソフトのサービスは、スイッチングコストが高いことから、一度導入すれば継続使用の可能性が高く、顧客生涯価値が高くなるビジネスモデルです。

 

現在の市場シェア(クラウド会計ソフト35%・1位)の高さ加え、今回の全国信用金庫協会との連携といった大型契約に見られるマーケティング面の強さは、同社の将来性を物語っています。個人事業者や中小法人をターゲットとして、その生産性を向上させるという着眼点は、まさに、社会的問題をビジネス化するというベンチャースピリットのなせる業と言えるでしょう。

 

(注5)API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)
システム同士をつなぐ際の仕様のことで、ここでは、信用金庫とフィンテック企業であるfreeeのシステムを接続することを言います。

 

ここからは、この記事のもう一つの視点である「地域との共生」に関わるベンチャー企業を紹介します。フォーカスするのは、京都市イノベーション・クラスター構想に基づく、「これからの1000年を紡ぐ企業認定審査会(注6)認定企業」です。

 

(注6)これからの1000年を紡ぐ企業認定審査会
京都市ソーシャルイノベーション研究所(SILK)が行う審査会であり、京都で長い年月をかけて培われてきた「めきき」「たくみ」「きわめ」「こころみ」「もてなし」「しまつ」などの視点があり、社会的課題を解決する革新的な手法と、未来をも見据えた「四方良し」の経営を実現している企業を認定。様々な協力パートナーとともに、認定された組織の目指す未来を実現するためのサポートを行います(SILK公式サイトより引用)。

 

 

2-6 株式会社 和える(これからの1000年を紡ぐ企業認定審査会認定企業)

会社設立日:2011年3月16日
資 本 金:3,450万円(資本準備金含む)
所 在 地:東京都品川区大崎三丁目10番50号(本社)
京都事務所:京都府京都市下京区松原通室町東入玉津島町298
創 業 者:矢島 里佳(代表取締役)

 

〔事業内容〕

〇0歳からの伝統ブランドaeru事業
日本の伝統産業の技術を用いた赤ちゃん・子供のころから使える商品の企画、開発、販売。
〇aeru room事業
ホテルの部屋に、地域で受け継がれてきた魅力を集め、次世代につなぎます。
〇aeru oatsurae事業
お客様の「世界に一つだけ」を、職人の技で“お誂え”し、伝統の技を次世代につなぐ
〇aeru re-branding事業
企業やブランドの本質・真の魅力を磨きだし、次の世代につないでいく仕組みを生み出します。

 

創業者の矢島里佳氏は、2010年にビジネスプラン・コンテスト「学生起業家選手権」において優秀賞を受賞したのち、2011年に慶應義塾大学4年で同社を立ち上げています。ワークライフバランスや働き方改革が叫ばれる中、「和える」は、「生きる」と「働く」を分けるのではなく、「生きる」の中にある「働く」、「寝る」、「家族との時間」などの要素を一体化(和える)させることで、豊かな生き方に結び付けることを事業のコンセプトとしたのです。

 

矢島氏は、19歳のころから全国を巡って、日本の伝統文化・産業の情報発信を始めています。この頃からのネットワークを活用し、日本全国の職人と共にオリジナル商品を生み出し、オンライン直営店を皮切りに、2014年には東京に「aeru meguro」、2015年には京都に「aeru gojo」を設けて販路を拡大しています。あわせて、日本の伝統を泊まって体感できる「aeru room」、日本の職人技で直す「aeru onaoshi」など、日本の伝統と先人の智慧を暮らしの中で活かしながら次世代につなぐ事業を次々に展開しています。

 

そして、このような取り組みが評価され、2016年の「第1回これからの1000年を紡ぐ企業認定審査会」において認定企業となったのですが、その評価ポイントが、同社のベンチャー企業としての性格を明快に表していますので以下に紹介しておきます。

 

後継者不足が深刻化する伝統産業において、伝統産業を次世代につなぐモノづくりを行い、職人の後継者育成や産地の雇用創出に寄与している。全国の職人とのネットワークを積極的に構築し、周囲を巻き込んで力強く事業を展開することで、日本のホンモノの良さを見つめ直そうとしている点を評価しました。

-以上、京都市ソーシャルイノベーション研究所(SILK)の審査会報告資料より引用-

 

「伝統産業の後継者不足」、「地域の雇用創出」という社会問題をビジネスで解決するという姿勢は、ユニコーン企業のような急激な成長や派手さはないものの、まさしく現代のベンチャー企業に求められる資質であり、しかも、当該の事業のみならず、伝統産業の後継者育成という難事を同時に進展させるという他には例を見ない革新性を備えています。

 

この革新性と、事業が備える持続可能性の高さは、創業者のベンチャースピリットとあいまって、企業として着実に成長していくことを予感させるものです。

 

 

2-7 IKEUCHI ORGANIC 株式会社

会社設立日:1969年2月12日(創業:1953年2月11日)
資 本 金:7,000万円(資本準備金含む)
所 在 地:愛媛県今治市延喜甲762番地
東京事務所:東京都港区南青山6-2-13
創 業 者:阿部 哲也(代表取締役) 池内 計司(代表:創業家)
企業の指針:2073年(創業120周年)までに赤ちゃんが食べられるタオルを創る

 

〔事業内容〕

オーガニックテキスタイルの企画・製造・販売(タオル、マフラー、ベッドリネン、インテリアファブリック、アパレル素材等)

 

この会社の創業日だけを見れば、ベンチャーと言えるのかと疑問を持たれるかもしれません。敢えて、ご紹介しようと思ったのは、社歴の若さや事業の目新しさではなく、老舗中小企業の持つ「ベンチャースピリット」に着目したからです。現在の会社代表である阿部氏は、創業家である池内家から経営のバトンを受け継ぎ、この老舗企業に新たな一歩を踏み出させています。

 

企業の指針を見ると、その革新性には目を見張るものがあります。赤ちゃんが食べられるタオルとは?
2013年には、生産する全製品が「エコテックススタンダード100・クラス1」という基準をクリアし、赤ちゃんが口に含んでも安全という品質を備え、世界でも稀有なテキスタイルメーカーとなっていましたが、2014年3月の創業60周年を機に、社名を池内タオル株式会社からIKEUCHI ORGANIC株式会社に変更するとともに、以降60年かけて赤ちゃんが食べられるタオルを創るという「次の安全基準」を企業としての行動指針に据えたのです。

 

これにより、現在、本社工場は織布工場ではなく「食布工場」にコンセプトを改め、全製品の安全基準は食品のHACCPに準じて生産されているとのことです。この企業の、「第1回これからの1000年を紡ぐ企業認定審査会」における評価ポイントを以下に紹介します。

 

OEM製造のタオル業界では稀有のオリジナルブランドを立ち上げた成功例。サプライチェーンを意識した100%オーガニックコットンを使用し、事務所や工場の電力を風力による電力でまかない、廃水は世界一厳しいとされる瀬戸内海の廃水基準をクリアする浄化施設を設置。徹底的に環境に配慮したモノづくりを実践することで、モノづくり企業のあり方を示している点を評価しました。

-以上、京都市ソーシャルイノベーション研究所(SILK)の審査会報告資料より引用-

 

「再生可能エネルギーによる電力」、「世界一厳しい廃水基準クリア」、「100%オーガニック素材」と、これだけそろえば、革新性、成長と持続可能性、そして、これらを実現しようとする経営姿勢はまさにベンチャースピリット以外の何物でもありません。東京商工リサーチのデータによれば、2018年に倒産した倒産企業に占める創業30年以上の老舗企業の比率は、32.7%となって過去最高を記録したとのこと。創業から66年にわたる厳しい経営環境を乗り越え、今日、また新たな挑戦を始めるこの老舗企業の持続可能性は、ユニコーン企業を凌ぐものがあります。

 

 

3 ベンチャー企業の探し方

ベンチャー企業の探し方

 

新卒・転職を問わず、ベンチャー企業への就職を希望するとき、就職先を探すには何を基準に、どのような探し方をすればよいのか。ここからは、ベンチャー企業の探し方について見ていきましょう。まず、ポイントを3つに分け、それぞれのポイントにフォーカスします。

 

 

3-1 自らが希望するベンチャーか?

1で整理した「ベンチャー企業の要件」を基準として、自らの得意分野または進みたい方向で事業を展開している、若しくは今後展開が想定される企業の絞り込みから始めます。端的なやり方としては、日本経済新聞社が評価する「NEXTユニコーン」のリストや、前掲の1000年を紡ぐ認定審査会運営団体の資料などから企業を拾い出し、各公式サイトでざっくりと掴むのが効果的です。「革新性」、「アントレプレナー」、「成長性と持続可能性」、「中小企業性」の4つの要件に合致していれば、ベンチャーとしての要件は整っていますので、あとは、自分が取り組みたい、若しくは関与したい事業か否かの選別となります。

 

これらの企業の代表者メッセージ、会社の沿革、ミッション、行動規範、事業の現状と展望などから、自分の就きたい職業か否かをおおよそ把握することができます。しかし、ベンチャー企業というのは、ユニコーン企業の例でも分かるように未上場の企業であることが多く、上場へ向けて勢いがあり、業界内で有名な企業であっても、一般的な人たちにはそれほど知られていない存在であることに留意しなければなりません。

 

このため、その企業の公式サイトの情報だけでわかる範囲は知れています。また、HPやFBは、求人や顧客へのイメージアップを目的とした内容になりますので、客観的に評価できる材料が乏しいというのが実情です。このような場合は、転職エージェントを活用することも検討すると良いでしょう。前出のビズリーチを活用するのも良い方法ですが、年収条件の問題や、サービスの仕組み上、所属先に転職活動を知られるリスクも生じます。

 

自分で就職したいベンチャー企業を探し出すことを目的とするならば、一般的な転職エージェントの何社かに登録し、担当者に希望する企業の情報を収集してもらうという手もあります。ただし、転職エージェントには、それぞれ得意分野がありますので、自身が進みたい分野に強いエージェントを選ばなければならないことに留意しなければなりません。

 

 

3-2 業界や世間に変化を与える企業か?

テレビ東京の「ガイヤの夜明け」のディレクターを担当された方のコラムを読むと、興味深いコメントが載っています。マスコミが取材したいと思うベンチャー企業というのは、「上場しそうかどうか」ということにはなく、取材先選びの基準は別のところにあるというのです。IT関連は新規上場が特に多い分野ですが、「上場しそうだ」というだけで、テレビで放送したことは一度もないそうです。選抜基準、「そのベンチャー企業がストーリーを持っているか否か」にあると言います。その理由は次の3点に集約されます。

 

(表3)ベンチャー企業の持つストーリーを構成する要素

〔その1〕変化の兆しが残っている
上場する企業は、新しい市場を創り出したか、既存の市場で競争に勝てるだけの製品やサービスがあったから成長したはずです。ということは、その会社の取り組みは、少なくともその市場に変化をもたらす兆しがあり、その兆しは、何らかの「証拠」となって残っているはずで、それが取材する価値なのです。
〔その2〕挑戦者の立場が鮮明である
ストーリーを紡ぐ役者の中で、主役はいつも「挑戦者」の立場あることが重要な要素であるということです。言い換えれば、「弱者が強者に挑む筋書き」、「何もないところに何かを創造するチャレンジャーの物語」にニュースとしての重要な要素がつまっているということです。
〔その3〕情報としての鮮度が高い
上場が取り沙汰される企業は、属する業界における知名度は高いものの、一般的な消費者や他の業界人にとってはそれほど知名度が高いわけではありません。一般的なマス媒体で知ることになる人達にとっては、まさに「鮮度の高い情報」だということです。

 

この、マスコミ目線は何の役に立つのか。その一つは、対象企業の将来性を考えるときに、「社会に変化」を与えるだけの企業か否かの視点を持つことが重要であることを示しています。今回の記事で、注目のベンチャー企業として挙げた企業には「社会に変化」を与えるだけのインパクトがあります。

 

二つ目は、既存の市場に新たなコンセプトを持ち込んで市場を拡大しながら、1点に留まらず絶えず変化し続けるという挑戦者がいること、また、まったく誰も手を付けようともしなかった分野に、敢えてリスクをとって市場を開拓しようとする挑戦者がいることが、ベンチャー企業としての最も重要な要件とも言える、「アントレプレナー」の存在を示す証しとなります。

 

三つめは、変化の兆しと挑戦者の存在があり、これから高い成長性を発揮する企業を探し出すためには、専門誌やネット媒体なども活用して積極的に情報収集すべきであるということを知ることができます。一般のマスコミで取り上げられたときに初めて気づくようでは、ベンチャー企業の社員として働くことはできないでしょう。

 

 

3-3 経営状況と将来性は大丈夫か?

ベンチャー企業は魅力の塊とも言えます。新しい分野に挑戦し、新しいサービスを開発・普及させ、会社設立後の早い時期からともに成長できるという組織の特性は、やりがいを求め、自らの可能性を試したいと考える人たちにとっては、この上ない魅力を湛えた乗り物です。

 

しかし、その一方で、夢の実現に向けて走り出す魅力的な乗り物には、資金力や組織体制の不備、働き方の問題など、新しく魅力的なるが故の問題点も多く内包しています。前掲の㈱東京商工リサーチが発表した「2018年倒産調査」には、業歴10年未満企業の倒産件数についても掲載されています。これによれば、2018年は1,745件で、総倒産件数に占める割合は24.8%を占め、前年に対して0.3ポイント上昇しています。

 

会社法施行以降、国や地方公共団体が、ベンチャーを中心に積極的な起業促進を図る中にあって、これだけ早い時期の倒産が多い要因として、事業計画の策定含め、起業家の事業に対する認識の甘さが指摘されており、「夢とチャレンジ精神」だけでは成功は覚束ないと言うことを如実に物語っているとも言えます。

 

就職先のリストアップにあたっては、自身の目指す方向性も大切ですが、創業以降の損益と資金繰りの状況、また、ファイナンス全体に注目して、その企業の資金調達方法と実績を入念にチェックすることが重要です。組織体制や労務環境の不備等については、従業員数の推移や福利厚生制度の内容などもチェックする必要があります。伸びる会社は、体制整備も着実に進めていくものですので、当初は不備が多い会社であっても、改善の取り組みに関する姿勢が明確であれば、良い方向に進むと考えてよいでしょう。

 

 

4 経営理念とは

経営理念とは

 

会社設立時の重要な決め事の1つに、経営理念の策定があります。経営理念は何故重要なのでしょうか?また、経営理念について考えていますか?経営理念は会社の地盤にあたるところのものですので、会社を設立するからにはしっかりとした経営理念を決めて、将来に向かって歩み始めたいところです。

 

経営理念とはすなわち概念です。会社を設立する際に必要となる社会的・制度的なルールや手順とは異なりますし、また会社設立の際の事務所や機器設備等といった物理的に揃える必要のあるものとも異なります。

 

この点、経営理念は必ずしもなくてはならないものとは言えません。実際に、会社を設立しても経営理念を持たないままの会社は存在します。

 

しかし、会社を存続させること、大きくすることを目標とする場合には、経営理念を掲げることが重要となります。成長を続ける会社には、例え明文化した経営理念がなくとも、役員から従業員に至るまで暗黙の経営理念と呼べる確固たる企業風土が根付いているものです。

 

例えば飲食店を考えてみましょう。飲食店を大きく分けると、また来たいと思わせる店と、もう来ないと思わせる店の2つに分かれます。このときの分水嶺となる1つが経営理念の質、または有無の差です。また来たいと思わせる店には、往々にしてアルバイトに至るまでその理念が行き渡っているものです。

 

それでは経営理念とは何なのでしょうか。経営理念とは、創業者の掲げる理想や、社会に果たしていこうとする会社の役割、商品・顧客・接客に対しての心構え、社員への高い意識付けのことです。

 

しかし、響きの良い、耳あたりの良い言葉を並べて、額に入れて飾ることで満足しているだけの経営理念では意味がありません。経営者の、正に理念の込められている経営理念を掲げて、社員やアルバイトに至るまで浸透させて実践させてこそ、経営理念は脈打ち始め、顧客の心にまで響いていくものとなります。

 

経営理念を会社に浸透させることができれば、サービスや商品の質の向上効果も期待できますし、顧客の心にまで響かせることできれば、売上増加やリピーターという形となって会社に還ってきます

 

経営理念を、社内だけではなく顧客を初めとした社外にまで広めて、その会社のカラーをより鮮明にすることは、それ自体に宣伝効果としての役割も見いだせます。

 

経営理念は会社や経営者の意志表示であるため、社員にとっての行動指針ともなり得ます。行動指針が定まることで、社員は自発的かつ能動的に活動しやすくなります。自発的な活動は社員の会社への帰属性を高め、成長を促す効果も期待できます。

 

もし、経営理念という明確な意思がなく、売上を伸ばすという漠然とした願望があるだけの場合には、社員のモチベーションや商品の競争力は上がらず、またインターネットでの悪評という結果にも繋がりかねません。

 

このように、経営理念は会社を成長させるために大きな役割を果たします。経営理念がなくても会社は成り立ちますが、勢いのある会社や大きい会社には須らく経営理念にあたるものがあり、経営者を初め社員に浸透しており、顧客にも伝播しているといえます。

 

 

4-1 経営理念と企業理念と社訓と社是

この4つに違いはあるのでしょうか。あるとしたら何なのでしょうか。これらの言葉の定義に重きを置かない向きもありますが、経営者として意識して使い分けできるようにしておくと、より会社や社員に対して明確な意識付けを行うことに繋がります。

 

まず企業理念については、企業という言葉を経営という言葉よりも上位に、そしてより根源的な位置に据えることで、創業者が設けたその会社の理念、ということができます。同じ意味で、経営理念とは、企業理念に基づいてその時の経営者が考えた理念、といえます。

 

社訓と社是に関しても、訓と是の意味合いで違いを明確化することができます。すなわち、社訓とは会社の教え(=訓)であり、社是とは会社が正しいとするもの・こと(=是)です。

 

まとめると、企業理念とは創業者が込めた会社の理想や信条であり、経営理念とは企業理念を元に、その時の経営者が考えるその時代に即した会社のあるべき姿を示した理念ということになります。

 

そして社訓とは、会社に属する人たちが守るべき会社の教えや従業員たるものとしての規範であり、社是とは会社が正としている考え、ということになります。

 

 

4-2 上場企業の経営理念

経営理念とは概念です。概念は概要だけでは伝わりにくいですので、具体的に幾つかの上場企業の経営理念を見ておきましょう。

 

トヨタ自動車の経営理念は全7条からなっており、今回は上から4つ目までを紹介します。

 

  1. 1.内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす
  2. 2.各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する
  3. 3.クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む
  4. 4.様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する

(以後、7まで続く)

 

トヨタ自動車には創始者である豊田佐吉の考え方をまとめた「豊田綱領」というものがあります。「一、上下一致、至誠業務に服し、産業報国の実を挙ぐべし。」からなる五か条からなり、創業者の考えをまとめたという点では企業理念であるといえます。

 

そして、この豊田綱領を基礎としてまとめたものが上記の経営理念(トヨタ自動車では「基本理念」と呼んでいます)となります。最新版は97年4月改定されており、ここからも経営理念は時代に即して変じていくものといえます。

 

次はパナソニックを例に取ります。パナソニックの経営理念は「A Better Life, A Better World」です。パナソニック公式では「ブランドスローガン」と表現されています。

 

パナソニックも先のトヨタ自動車の豊田綱領と同様、創業者である松下幸之助による綱領があります。「産業人たるの本分に徹し社会生活の改善と向上を図り 世界文化の進展に寄与せんことを期す」というもので、これを経営理念としたものが上述の英文ということになります。

 

現代の世相を代表する会社の経営理念も見ておきましょう。Rakuten(楽天)では「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」を企業理念として会社のホームページで紹介しています。

 

また、ソフトバンクでは「情報革命で人々を幸せに」を経営理念としています。ソフトバンクでは経営理念をピラミッド型の頂点に位置させて、その下の中段に「ビジョン」として「世界の人々から最も必要とされる企業グループ」を掲げ、土台にあたる最下層に「バリュー」として「努力って、楽しい。」を掲げる構造としています。

 

このように経営理念からは、会社がどのような理念を持っているか、従業員や顧客にどう向き合おうとしているのか、そして社会に対してどのような役割を果たそうとしているのかを展望することができます。

 

 

4-3 経営理念を決めるタイミング

経営理念はいつ決めるのが良いのでしょうか。創業者が策定する経営理念のことを特に企業理念と呼ぶと説明しましたので、会社設立時に創業者が経営理念を設けるのが良いようですが、会社設立時に経営理念を設ける方が良い理由は他にもあります。

 

それは、会社を設立させたその時はまっさらな状態であり、自由に創業者の意思を反映させることができる、ということです。

 

会社を設立し、従業員が増えてくると、自ずと企業文化のようなものが発生します。それは往々にして望まないものであったり、創業者の意思に反しているものとなったりしがちです。そうなってからでは軌道修正は難しくなります。

 

また、会社の設立時には様々な雑事に追われますが、会社が軌道に乗ってくると更に重要な業務が増えて決断を迫られるため、自分の時間は狭まっていきます。そうなってからでは、落ち着いて経営理念を用意することや、従業員に周知することは難しくなります。

 

経営理念は経営者(創業者)の設ける会社のアイデンティティといえるものです。せっかく起業するからには創業者である自身の持つ理想や意思を経営理念に込めて会社をスタートさせるのが良いといえるでしょう。

 

 

4-4 経営理念の作り方とポイント

経営理念は経営者の会社に対する思いであり、従業員への指針となります。経営理念をせっかく設けるからには、策定ポイントを押さえて、より会社のためにそして従業員のためになるものとしましょう。

 

経営理念の作り方のポイントを見ていきます。経営理念を設けるにあたっては、今一度「何故会社を設立しようとしているのか(設立したのか)」、「設立する(した)会社の目標とは何か」、「この会社は社会にどのように貢献できるのか」を見つめ直してください。

 

5年後、10年後、20年後といった将来の会社のその時期の姿をイメージすることも、自分の思いに気づくことができる一助となります。また、自分の理想とする、目標とする会社の経営理念も押さえておきましょう。

 

家族や先輩、同業者から意見を聞くことも大事です。自分ひとりの考えだけでは理想を語るだけで他の人には響かず、絵に描いた餅となりがちです。

 

既に会社を設立して数年が経ち、漠然とした経営理念を自分の中に秘めているものの経営理念という形にしてこなかった場合には、経営理念を設けると決めたときを機に、従業員と相談して決めることも良いアイデアです。

 

従業員に聞くことで自分が知らなかった会社や現場の姿が見えてきますし、従業員も自分が関わることで、意識やモチベーションの向上に繋げることができるでしょう。

 

そして、一度決めた経営理念を絶対的に正とするのではなく、時流に応じて柔軟に変化させていくことも重要です。

 

先に見たように、昔から続いている会社では、創業当時の企業理念(前述の企業では「綱領」としていたもの)を現代風にアレンジし、あるいはシンプルに英語を交えるなどして、現代人の心に響く形としています。

 

そうして材料を揃えてきたら、次はいよいよ言葉に落とし込んでいきましょう。この時に大事なのは、相手や対象、そして何をどうするのかを具体的に想定することです。

 

経営理念を決めたら従業員に浸透させる段階に移ります。従業員に浸透させるためには、何よりもまず自身が率先してその理念を実践することです。

 

実践していない人から諭されても人は動きませんし響きません。理念とは抽象化ですので、日々の自身の言動を通して理念を具現化することを意識しましょう。

 

また、経営理念に込めた思いを説明することも大事です。現代人は理由や説明を求める傾向にあります。会議等の従業員が集まる場で、時には個別に自分の考えを伝えるようにしましょう。伝えようとする行為は一体感を深め、共感を得ることにも繋がります。

 

そしてより現実的な方法として、人事考課や人事評価に繋げることです。経営理念に「お客様の満足度向上」の旨を掲げている場合、商品やカスタマーサービスの満足度が高いという数値が出ているのに評価に反映されないのでは、モチベーションの向上には繋がりません

 

 

4-5 経営理念の注意点

最後に経営理念の注意点を挙げます。経営理念の案を出した後には、伝わりやすい言葉や文章で表現しているか見直してください。

 

聞き慣れない英単語や長分を使用している場合、分かりづらい、自己満足である、という印象を与えがちです。経営理念は経営者の理想ではありますが、外部への自社の宣伝文句であるという意識も持ちましょう。

 

次に、理念の浸透についてです。理念を浸透させるのは難しいものです。理念があるのであれば、出来るだけ早い時期に、何度も繰り返し説いてそして自ら実践して示すことが、地味ながらも非常に効果のある人に響くための方法となります。

 

最後に、経営理念も時代に即して変わる、という意識を持つことです。現代においてはよりシンプルな言葉が求められる傾向にあります。また、言葉の持つイメージもその時代によって印象が変わります。

 

例えば「スマート」という言葉には、「スマートフォン」に代表されるように、現代においては「洗練された」という意味の、現代的な響きの印象を色濃く持っています。かといって陳腐化した使い方をしていないか注意することも、相手の心に届くか、響かせることができるかを見極めるポイントです。

 

経営理念を決めることは、会社および経営者の信念を表明することになります。しっかりと考えて決めて、会社の地盤として大切にして、浸透させるようにしてください。

 

 

5 まとめ

まとめ

 

ここまで、いま注目されているベンチャー企業をご紹介するとともに、ベンチャー企業の探し方、経営理念の決め方についても言及してきましたが、希望する企業の輪郭ははっきりと見えてきたでしょうか。今回ご紹介できませんでしたが、農業をはじめ、いま様々な課題を抱える産業分野で、魅力ある事業を立ち上げているベンチャー企業も多く存在します。ご自身が、どのような分野で力を発揮したいのかということが最も重要です。この記事をご参考いただき、まずは、方向性を明確にした上で、腰を据えてその業界のリサーチを行うことから始めてみてはいかがでしょう。


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