経営者が経理知識を持ち合わせていないことは珍しくありません。多くの場合、経理作業は社内の経理課もしくは税理士に任せるものです。
しかし、会社の資産状況をあらわす決算書を読めない経営者はあまりいないのではないでしょうか。会社である以上帳簿は必ず作りますし、自分の会社が儲かっているのかいないのかは決算書を確認する以外に方法はありません。
高度な簿記知識などは必要ないですが、財務諸表の見方などの最低限の知識が求められます。
このような背景を受け、昨年6月、Bitcoin(ビットコイン)などの仮想通貨を規制する改正資金決済法が成立しました。
目次
- 1 会社にとって経理は羅針盤
- 2 起業するなら経理作業も自分でやってみよう
- 2-1 帳簿の作成と書類の保管
- 2-2 会計ソフトを活用しよう
- 2-3 領収書の記録が面倒なら法人カードがオススメ
1 会社にとって経理は羅針盤
会計や経理は会社にとって経営の羅針盤とよく言われます。航海をするとき羅針盤が不可欠なように、経営をするのに経理作業は不可欠です。
たとえば経理をしなければ場合、会社が今儲かっているのか、損をしているのかが分かりません。会社の売上を把握していなければ、新たな投資はできないですし、費用を記録していなければ無駄な経費をカットできないですよね。毎回取引で発生した金額をきちんと記録し、そこから売上や経費を精算したものが会社の財産状況をあらわす決算書となるのです。
金融機関から借り入れるためにも決算書の作成は必須です。銀行が融資するかしないかはその会社の事業計画書と決算書をもって判断するからです。
また税務申告をするためにも経理は必要です。法人は利益に基づき自ら税金※を計算して納める義務があります。
※たとえば法人税は売上から費用を引いた利益に対して大企業は23.4%、中小企業は15%(所得が800万円以下の場合)と決められています。
2 起業するなら経理作業も自分でやってみよう
日々の取引や入出金を管理し、帳簿に記録するおが経理の基礎となります。請求書の領収書などの書類をきちんとファイルで管理し、必要なときに取り出せるようにしておきます。
・経理のために保存するべき書類
領収書(レシート) | 会社の経費にするために領収書は保管しておきます。日付、内容、支払先を忘れずに記入しておきましょう | |
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請求書 | 発行する場合 | 管理が必要となるのは得意先に送った請求書の控えになります。これを「入金済み」「未入金」に分けて保管しましょう |
受け取る場合 | 「支払い済み」と「未払い」に分けます | |
そのほか取引に要した書類 | 見積書 | 取引先との詳細なやりとりが記載してあるため、重要な書類となります。請求書や領収書といっしょに整理しておくと探す手間を省くことができます |
注文書 | 取引を行った証拠の書類としてきちんと保管します | |
納品書 | 取引を行った証拠の書類としてきちんと保管します | |
給与関係書類 | 年末調整や源泉所得税の納付のため、源泉徴収簿、賃金台帳、扶養控除申告書を保管します | |
法律関係書類 | 社会保険、労災保険の労務関係書類や税務署への届け出などの税務関係書類 |
2-1 帳簿の作成と書類の保管
法律の定めにより、法人は帳簿を作成して取引を記録しなければなりません。帳簿の作成方法には単式簿記と複式簿記があります。単式簿記は家計簿と同じように入金と出金を記録する単純な帳簿方法です。
一方、複式簿記はより複雑な帳簿方法となります。入金、出金のほか、何の用途で支払ったかをあらわす勘定科目も記録するため、ある程度の簿記知識が必要となります。なお、青色申告をするためには複式簿記で作成した帳簿でなければなりません。
また帳簿と取引等に関して作成または受領した書類は、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければなりません。さらに原則紙で保管することが求められています。
2-2会計ソフトを活用しよう
(出典:弥生会計 オンライン)
簿記知識なんてないから青色申告は無理……とあきらめる必要はありません。会計ソフトを使えば、簿記の知識がなくても複式簿記で帳簿を作成することできます。実際、多くの個人事業主や中小企業は経理に会計ソフトを利用しています。
会計ソフトは自動的に勘定科目を仕訳※してくれるので、作業時間や手間を大幅に省くことができ、そのぶん本業に集中することができます。
※ 仕訳とは取引を帳簿の貸方と借方に分けて記帳すること。
2-3 領収書の記録が面倒くさいなら法人カードがオススメ
経費の精算を簡略化したいなら取引に法人カードを利用すると便利です。法人カードとはクレジットカードの一種で、ビジネスカードとも呼ばれます。個人が利用するお金について法人カードで支払いをすることで、個人による経費精算を行う手間が省けます。
また個人事業主も法人カードをつくることが可能です。支払先や金額など毎月詳細に記載されるため、記録する手間を省くことができます。また領収書を紛失するという心配も要りません。
さらにクレジット会社によっては経費管理の分析の資料となるレポートを作成してくれるなどのサービスも充実。そのほか各種のビジネス向け特典が用意されているカードもあります。