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中小企業の7割「人手不足の影響が出ている」、建設業では8割に

日本商工会議所は7月末、昨年の早期景気観測調査の結果を公表し、「人手不足の影響が出ている(懸念含む)」とする中小企業は7割で、建設業では8割以上に及びました。次いでサービス業、製造業でも7割程度が人手不足の影響が出ていることが明らかとなっています。

 

また、各産業の業況では、サービス業および小売業は、人手不足や消費者の節約志向、7月の九州豪雨の影響などにより業況感が悪化しました。中小企業全体の景況感は上昇基調が続いていましたが、最近は横ばいとなっています。

 

ほとんどの中小企業が人手不足の影響を感じ始めていることがわかった日本商工会議所LOBOによる調査。本記事では、この調査結果をもとに、中小企業における人手不足の実態を詳細に見ていきます。

 

 

1 中小企業を中心に広がる「人手不足感」

日本商工会議所は、1989年4月より毎月、地域および中小企業が感じている直近の景況感などを全国規模で調査し、その結果を公表しています。調査は、全国の423商工会議所協力のもと、2979企業を対象に行われました。

 

 

 

1-1 建設業では81.8%の企業が人手不足

「人手不足の影響と対応」に関する調査では、「人手不足の影響が出ている(懸念含む)」と応えた企業は全体で70.9%でした。業種別では、建設業が81.8%と最も多く、次いでサービス業71.7%、製造業69.9%、卸売業66.3%、小売業64.4%となりました。

 

・ 人手不足の影響の有無

人手不足の影響が出ている(懸念含む) 70.9%
影響はない 29.1%

 

・ 業種別に見た人手不足ランキング

順位 業種 割合
1 建設業 81.8%
2 サービス業 71.7%
3 製造業 69.9%
4 卸売業 66.3%
5 小売業 64.4%

(日本商工会議所発表資料より作成)

 

 

1-2 人手不足で時間外労働増加などの影響

人手不足により具体的にどのような影響が出ているかに関する調査では、「売上維持・売上増への対応が困難(営業時間の維持が困難、受注機会の損失等)」が53.3%で最も多くなりました。

 

次いで「従業員の時間外労働の増加(人件費の増加)や休暇取得の減少」48.8%、「業務・サービスの質の低下(納期の遅れやミスの発生、クレームの増加等)」46.1%、「技術・ノウハウの伝承が困難(従業員の教育訓練など能力開発機会の減少)」27.0%と続きました。

 

・人手不足の具体的な影響

内容 割合
売上維持・売上増への対応が困難(営業時間の維持が困難、受注機会の損失等) 53.3%
従業員の時間外労働の増加(人件費の増加)や休暇取得の減少 48.4%
業務・サービスの質の低下(納期の遅れやミスの発生、クレームの増加等) 46.1%
技術・ノウハウの伝承が困難(従業員の教育訓練(能力開発)機会の減少) 27.0%

(日本商工会議所発表資料より作成)

 

調査では、中小企業経営者による現場の意見として、

 

「従業員の時間外労働が増加したため、外注化や採用活動の拡大に取り組んでいる。一方、働き方改革に伴い、週休2日を前提とした公共工事が出てきているが、休日増による職人の収入減や、工期を守るための中小企業へのしわ寄せを危惧している。」(静岡 建設)

 

「長期間にわたって採用人数を確保できていないため、今後は外国人材の採用を検討せざるを得ない。」(札幌 ソフトウェア)

 

などの声が紹介されました。

 

 

 

1-3 5割以上の企業、業務兼任で対応

人手不足に対してどのように対応しているかの調査では、「既存従業員の多能工化・兼任化」が53.5%で最も多くなりました。次いで、「採用活動の拡大(募集対象、募集期間、採用エリア、募集方法等の拡大)」51.6%、「離職防止や新規人材獲得のための労働条件(賃金・待遇等)の改善」38.8%、「業務の外注化」26.6%と続きました。

 

・人手不足に対する具体的な対策

内容 割合
既存従業員の多能工化・兼任化 53.5%
採用活動の拡大(募集対象、募集期間、採用エリア、募集方法等の拡大 51.6%
離職防止や新規人材獲得のための労働条件(賃金・待遇等)の改善 38.8%
離職防止や新規人材獲得のための労働条件(賃金・待遇等)の改善 26.6%

(日本商工会議所発表資料より作成)

 

※ 業況判断指数とは、「日銀短観(日本銀行の企業短期経済観測調査)」で発表される景気の判断指数のこと。「景気が良い」と感じている企業の割合から、「景気が悪い」と感じている企業の割合を引いたもので、DI(Diffusion Index)とも表される。DIの数値は50が横ばいを表し、これを上回ると「景気が良い」、下回ると「景気が悪い」と感じる企業が多いことを示す。(参照:SMBC日興証券)

 

 

2 中小企業の景況感は総じて持ち直す

日本商工会議所は、中小企業の景況感について「総じて持ち直しに向けた基調が続いている」と評価したものの、7月現在は高止まりし横ばいとなっているとしました。

 

・7月の各景況判断指数※(DI)の推移

DI

 

 

2-1 人手不足でも業況感は改善

業種別では、建設業で人手不足が深刻化しているものの、業況は改善しました。民間工事、公共工事がともに増加し、売上の改善につながりました。しかし、一方で多くの技術者が流出しているため、受注機会の損失が生じているとの声も聞かれました。

 

 

・建設業における景況判断指数の傾向

業況 売上 採算 資金繰り 仕入単価 従業員
悪化 悪化 横ばい 横ばい 横ばい 悪化

 

製造業では、自動車関連や電子部品の生産・輸出の好調と、設備投資の増加となるも、業況はほぼ横ばいと判断されました。たとえば水産食料品製造業では、販売先から激しくコストダウンを求められており、運送費の高騰も相まって、仕入単価が下がり続けているとしました。

 

・製造業における景況判断指数の傾向

業況 売上 採算 資金繰り 仕入単価 従業員
改善 改善 横ばい 改善 悪化 悪化

 

 

2-2 九州豪雨が小売を直撃

一方、卸売業では、運送費の上昇による影響が大きく、また衣料品の販売不調や、水産・畜産物は価格上昇しており、業況は悪化しています。

 

・卸売業における景況判断指数の傾向

業況 売上 採算 資金繰り 仕入単価 従業員
改善 横ばい 横ばい 改善 横ばい 横ばい

 

小売業においては、消費者の節約志向が続いており、加えて九州豪雨をはじめとする全国的な悪天候が影響し、業況は悪化しました。ネットショッピングでは、低価格競争が激化していると指摘されます。他方、インバウンド需要が好調なため、化粧品などの売上は好調が続いています。

 

・小売業における景況判断指数の傾向

業況 売上 採算 資金繰り 仕入単価 従業員
横ばい 横ばい 横ばい 横ばい 横ばい 改善

 

サービス業の業況は悪化とされたものの、その実態はほぼ横ばいと評価されました。観光需要増で運送業の出荷量は増加し、ソフトウェアなどの受注量も好調ですが、人手不足感が強く人件費が上昇していると指摘されました。

 

・サービス業における景況判断指数の傾向

業況 売上 採算 資金繰り 仕入単価 従業員
改善 改善 改善 横ばい 改善 横ばい

 

※ 景況判断指数(DI)は、業況・売上・採算などの各項目についての、判断の状況を表す。ゼロを基準として、プラスの値で景気の上向き傾向を表す回答の割合が多いことを示し、マイナスの値で景気の下向き傾向を表す回答の割合が多いことを示す。したがって、売上高などの実数値の上昇率を示すものではなく、強気・弱気などの景況感の相対的な広がりを意味する。(参照:日本商工会議所)

 

 


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