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日本郵政、郵便事業発展総合指数で世界3位に

(出展:Universal Postal Union)
(出展:Universal Postal Union)

世界各国の郵便事業を評価する万国郵便連合(UPU)は6月、加盟170カ国の郵便事業発展度数を初めてランキング化し、発表しました。日本の順位は、1位スイス、2位フランスにつづいて、3位となりました。

 

ランキングでは、30億件以上におよぶ追跡記録を含むビッグデータを分析し、郵便事業に対する信頼度や郵便荷物の到達度などを指標に、郵便事業発展度を0〜100のスコアであらわしました。

 

3位を獲得したことについて日本郵政グループは「今回の第3位という評価は、自国を超えた、地域・世界の郵便業務発展への寄与が認められた」とコメントしました。

 

本記事ではUPU公表の2016年「Integrated Index for Postal Development (2IPD)」(郵便事業発展総合指数)をもとに、ランキングを詳細に見ていきます。

 

 

目次

  1. 1 万国郵便連合(UPU)とは
  2. 1-1 国際郵便業務の発展のために設立
  3. 1-2 日本は明治時代から一貫して加盟国
  4. 2 郵便事業発展総合指数ランキング
  5. 2-1 1位スイス、2位フランス、3位日本
  6. 2-2 新興国や発展途上国からも多くランクイン
  7. 3 地域別ではヨーロッパが最高の55、中南米が最低の24.5
  8. 3-1 最下位は西アフリカのサントメ・プリンシペ
  9. 3-2 同地域内でも格差が拡大しつつある

 

1 万国郵便連合(UPU)とは

世界の郵便発展度のランキング化を行った万国郵便連合(UPU)は、1874年、国際郵便条約(ベルヌ条約)によってスイスのベルンに設立されました。加盟国・地域数は、192カ国・地域におよび、国連(加盟193カ国)とほぼ同等になります。現在世界で最も古い国際機関の一つとして知られています。

 

 

1-1 国際郵便業務の発展のために設立

外務省によれば、UPUの設立目的は、郵便業務の効果的運営による諸国民の間の通信連絡を増進、文化や社会および経済の分野における国際協力に寄与することとされます。設立以来国際郵便業務の発展のための中心的な役割を果たしています。

 

全加盟国で構成される大会議は4年に一度開かれ、国際事務局長や郵便業務理事会の理事国の選挙などを行います。

 

 

1-2 日本は明治時代から一貫して加盟国

日本は、西南戦争が起こった1877年(明治10年)に加盟して以降、UPUの加盟国となっており、1957年からは継続して郵便業務理事会の理事国※を務めます。外務省によると、日本の2014年の分担金は加盟国全体の5.9%に当たる2,088,5千スイスフランで、第1位の拠出国となります。国際事務局本部の職員総数は約250名で、そのうち日本人職員は3名在籍しています(2015年6月時点)。

 

・分担金拠出上位5カ国

国名 金額(スイス・フラン) 拠出率
日本 2,089,000 6%
米国 2,089,000 6%
英国 2,089,000 6%
フランス 2,089,000 6%
ドイツ 1,880,000 6%

(総務省発表資料より作成)

 

※ 理事国は192カ国の加盟国中、40カ国で構成される。昨年10月に開かれた第26回万国郵便大会議にて、主に郵便業務の改善を任務とする郵便業務理事会の議長国に、日本が2期にわたり全会一致で選出されている(1期4年、議長:当社目時政彦執行役員)。参照:日本郵政グループ

 

 

2 郵便事業発展総合指数ランキング

郵便事業発展総合指数は、UPUが持つ30億件を超える郵便の追跡情報などをもとに割り出された、全世界規模での郵便事業の発展度合いを測る尺度となるものです。日本郵政グループは、調査結果について「各国の郵便事業体が、その郵便サービスの充実や改善を行う際の基準となるもの」と評価しています。

 

評価基準となるのは「信頼性」(reliability)、「到達性」(reach)、「妥当性」(relevance)及び「弾力性」(resilience)の4つの要素で、UPUが保有する30億件を超える郵便ビックデータ、公式郵便統計データ等の基本データをもとに、170カ国の郵便事業の実績を比較しました。

 

・ 4つの評価基準

信頼性(reliability) 郵便業務運営における効率性レベルの評価
到達性(reach) 郵便サービスの国際化のレベルの評価
妥当性(relevance) 全ての主な市場における競争力のレベルの評価
弾力性(resilience) ビジネスモデルの適応能力のレベルの評価

(参照:日本郵政グループ)

 

 

2-1 1位スイス、2位フランス、3位日本

UPU初となった調査で首位となったはスイスで、満点となる100ポイントを獲得しました。2位フランスは94.75ポイント、日本は94.09ポイントで3位でした。
ついで、4位オランダ、5位ドイツ、6位イギリス、7位ポーランド、8位シンガポール、9位中国、10位オーストリアとなりました。

 

このほかの順位は次のようになります。

 

・ 郵便事業発展総合指数ランキング 上位20カ国

順位 国・地域 スコア
1 スイス 100.00
2 フランス 94.75
3 日本 94.09
4 オランダ 93.84
5 ドイツ 91.88
6 イギリス 86.46
7 ポーランド 84.94
8 シンガポール 83.77
9 中国 78.73
10 オーストリア 76.99
11 韓国 75.43
12 ニュージーランド 74.24
13 アメリカ 74.17
14 カナダ 73.13
15 スロバキア 73.48
16 フィンランド 72.55
17 インド 72.05
18 エストニア 70.65
19 チェコ 70.59
20 アイルランド 70.17

(▲UPU公表資料より作成)

 

スイス、フランス、日本の上位3カ国について、UPUは、「多様な郵便製品を通じて信頼性において最高品質のサービスを提供し、グローバルな接続性(到達度)を有する。国内では根強い需要の取り込みができており、急速に変化する環境への対応において高いレジリエンス(弾力性)を備えている」と評価しました。

 

多様な郵便サービスを提供するスイスは、到達性(reach)以外の信頼性(reliability)、妥当性(relevance)、レジリエンス(弾力性)の3要素で最高のスコアを記録しました。ちなみに到達性で最も高いスコアを記録したのは中国となりました。

 

2位フランスは、レジリエンスを押し上げた郵便事業活動が功を奏し、トップ3に入ることができました。

 

また、日本は国際郵便物流サービスの質が特に高く評価されました。また、郵便貯金や保険など幅広いサービスに対する需要に応えている点も評価されました。

 

 

2-2 新興国や発展途上国からも多くランクイン

11位以下の国・地域は次のようになりました。
11位韓国、12位ニュージーランド、13位アメリカ、14位カナダ、15位スロバキア、16位フィンランド、17位インド、18位エストニア、19位チェコ、20位アイルランド。

 

UPUは、ランキングの結果について「世界レベルで地域間の郵便発展指数の格差が広がり続けており、郵便インフラの妥当性を脅かしている」としつつも、「アジア太平洋地域や東欧諸国の新興・発展途上地域から8つの国がトップ20にランクインした」と評価しました。

 

たとえば、7位ポーランド、9位中国、17位インドでは、これまでで最大の郵便発展指数を記録しました。Eコマースにおける国際物流と金融サービスの開発が発展指数改善の主な要因とみられています。

 

 

3 地域別ではヨーロッパが最高の55、中南米が最低の24.5

郵便事業発展指数を大陸間・地域間で比較すると、ヨーロッパ&CIS地域が100点満点中55.1で首位となります。つづいて、アジア太平洋38.9、アラブ諸国27.5、アフリカ25.4で、最低は中南米カリブ24.5となりました。世界平均は38.6となります。

 

また、先進工業国に限ると67.4と高い数値を記録しました。しかし、このグループ内であっても国家間の格差は比較的大きいとUPUは指摘しました。

 

・地域ごとの発展指数比較

  郵便事業発展指数
信頼性 到達性 妥当性 弾力性 総合
アフリカ 30.9 30.9 26.5 46.5 25.4
中南米カリブ 26.3 26.3 31.1 41.6 24.5
アジア太平洋 52.0 52.0 47.7 41.0 38.9
ヨーロッパ&CIS地域 74.7 74.7 58.7 67.5 55.1
アラブ諸国 33.4 33.4 37.3 41.4 27.5
先進工業国 79.4 79.4 68.2 66.1 67.4
世界平均 47.8 47.8 43.4 50.2 38.6

(▲UPU公表資料より作成)

 

 

3-1 最下位は西アフリカのサントメ・プリンシペ

下位10カ国にはアフリカや中南米の国が多くランクインしました。
170カ国中最下位となったのは、西アフリカのギニア湾に位置するサントメ・プリンシペでした。

 

このほか、アフリカ中央部に位置する161位チャド、カリブ海に位置する162位ハイチ、163位ザンビア、164位ドミニカ、アフリカ南東部に位置する165位モザンビーク、オセアニアに位置する166位サモア、167位ニカラグア、カリブ海に位置する168位セントビンセント・グレナディーン、169位リベリアとなります。

 

・ 郵便事業発展総合指数ランキング 下位10カ国

順位 国・地域 スコア
161 チャド 100.00
162 ハイチ 94.75
163 ザンビア 94.09
164 ドミニカ 93.84
165 モザンビーク 91.88
166 サモア 86.46
167 ニカラグア 84.94
168 セントビンセント・グレナディーン 83.77
169 リベリア 78.73
170 サントメ・プリンシペ 76.99

(▲UPU公表資料より作成)

 

 

3-2 同地域内でも格差が拡大しつつある

南米とカリブ海地域の平均スコアは24.5で、すべての地域の中で最も低いスコアとなりました。50以上のスコアを持つ国はブラジル(55.0で世界46位)のみとなります。ブラジルは南米の他国と比較すると多様なサービスポートフォリオに対応していることなどが評価されました。同国の1人あたり郵便取引数は、過去数年間で同地域の同業者と比較して10倍〜100倍で推移してきました。

 

一方、平均スコアは25.4でワースト2となったアフリカも同地域内での格差が拡大しています。アフリカ内で最も良いスコアだったモーリシャスは60.1で、世界33位にランクインします。郵便物を届ける平均配達日数2.1日などの高パフォーマンスが評価されました。

 

・1位〜86位まで

1-86

 

・87位〜170位まで

87-170

(参照:Universal Postal Union)

 

 


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