資本金とは、会社が事業のスタート時に所持している資金のことを言います。
外からその会社を見たとき、会社の財産を確認する基準のひとつになるものです。旧会社法下では、株式会社は最低でも1,000万円の資本金を準備する必要がありました。 これを最低資本金制度と言い、会社の規模に見合った財産を確保するという意図で、債権者のために定められた制度でした。
基本的に、株式会社の株主は債権者に対して直接の責任を負わなくて良いとされているため、このような制度が必要だったのです。
目次
最低資本金制度の撤廃と背景
新会社法では、この最低資本金制度は撤廃されました。
なぜ撤廃されたかと言うと、まずひとつに資本金の考え方についてある問題点があったからです。
例えば、会社の信用度を資本金でチェックするという人はわりと多くいると思われます。しかしこれは、必ずしも正しいとは言えない方法なのです。
資本金はあくまでも会社の設立時にあった財産の金額なので、事業を開始してからも常に確保されている金額とは限りません。
仮にその会社が赤字を出してしまった場合でも資本金は設立時のままですから、実情と異なることが多いのも事実です。
このように、先に挙げた債権者のための制度という意味合いにも矛盾が生じるということが、制度撤廃の理由のひとつでした。
また、近年のインターネットの普及やIT技術の発達により、新たなビジネスチャンスが飛躍的に増加したという時代背景も強く影響しています。
これらを利用したビジネスは、比較的少ない資金でも起業でき、設備投資もほとんど必要ないというケースが少なくありません。会社設立に必要な資金はないがアイデアや才能があるという人にも起業を促すべく、新会社法ではこの最低資本金制度の撤廃が行われ、資本金1円でも起業することが可能になったのです。
債権者の保護
最後に忘れてはいけないのが、債権者保護の問題です。これに関しては最低資本金制度の撤廃と同時に、新たな債権者保護措置が講じられました。
純資産が300万円以上なければ配当はできない、貸借対照表の公告を義務付けるなど、株式会社の財産について一定の定めを設けることで、債権者のリスクを軽減させています。