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総まとめ!決算作業の確認事項・注意点と決算前の準備・会計処理

決算は会社の1年間の営業活動の集大成です。決算作業には決算前の会計処理が重要なポイントとなりますが、決算作業は多岐多様にわたり、法人税の納付期日や決算書の作成期日が定められているため、作業時期が集中することになります。

 

そのため、決算作業を慌てて行うとミスや見落としが起きてしまいます。決算作業を円滑に行い、ミスを起こさないようにするためには、日頃から決算作業を意識し、また決算をゴールとして業務を進めていくことが重要なポイントとなります。

 

ここでは、決算作業において特に注意する点や確認事項、そして決算前の準備事項や会計処理について説明します。決算に追い立てられることから計画的に取り組むために必要なことをまとめていますので、是非最後まで読んでください。

 

 

1 貸借対照表の確認事項・会計処理

決算作業とは決算書を取りまとめる作業のことです。決算書には幾つかの書類がありますが、この章では「貸借対照表」を取りまとめる上でのポイントを見ていきます。

 

貸借対照表には会社の資産や負債、そして資本が記載されます。貸借対照表により、その会社の年度末の現預金残高や商品在庫額、固定資産や債権債務、資本金の状況が分かります。

 

貸借対照表は、左側と右側の大きく2つに分かれており、左側に現預金や固定資産などの「資産」を、右側上方に買掛金や借入金などの「負債」、右側下方に資本金などの「純資産」を記載します。

 

左側の「資産の部」は更に上部と下部の2つに区分され、上部に1年以内に現金化される科目を集めた「流動資産」群と、下部に1年以上先に現金化される科目を集めた「固定資産」群からなります。

 

左上から右下の順番に決算作業上の注意点や決算前の会計処理のポイントを見ていきます。なお、ポイントや科目名は一般的な例に倣っていますので、会社によっては該当するポイントが無い場合や、異なる科目名称となっている場合がありますのでご注意ください。

 

 

 

1-1 流動資産(債権関係)

流動資産の科目には「普通預金」など現預金を表すものや、棚卸品である「商品」、そして債権である「未収入金」や「売掛金」などがあります。毎日、毎月入ってくるものと出ていくものがあるため、月次決算からしっかり行うことが決算時に慌てないポイントです。

 

【作業項目】手提げ金庫内の現金計数
【科目】現金
会社に手提げ金庫がある場合には、期末日の金庫内の現金を計数し、「現金」勘定と一致しているか確認します。計数間隔が長くなればなるほど誤差が生じる可能性が高くなりますので、期中から入出金が生じた日にはその日の最後に計数を習慣付けておくと良いでしょう。

 

【作業項目】預金通帳残高、残高証明書の突き合わせ
【科目】普通預金、定期預金
貸借対照表の「普通預金」「定期預金」勘定は、最終的に期末日の通帳残高や残高証明書と一致することになります。

 

一致させるためには日々の入出金を正しく仕訳することが必要ですので、日頃から担当者から入出金伝票を滞ることなく出してもらい、不明な入出金は早めになくすようにしましょう。

 

不明な入出金の調査を遅らせると、担当者も何の入出金か分からなくなり、決算時に慌てることになります。

 

また、決算時には手提げ金庫と通帳の保管方法の見直しを行いましょう。鍵が掛かっている場所に保管されているか、所定の手続きを経た上で取り出せるようになっているかを再確認します。定期的に行わないと、管理がずさんになり、思わぬトラブルを招きかねません。

 

【作業項目】外貨預金の円換算
【科目】外貨預金
外貨預金を期末日レートに準じて円換算します。期末日レートの資料は、印刷をして、確認用資料として保管をするようにしましょう。

 

【作業項目】受取手形と受取手形台帳のチェック
【科目】受取手形
受取手形の現物の確認と、決済金融機関へ既に引き渡した受取手形の状況を確認します。入金期日や割引手形の状況が受取手形台帳に正しく記述されているか確認しましょう。また、不渡手形となっているものがあれば、その取り扱いについて早めに税理士に相談をするようにしましょう。

 

【作業項目】債権の消込、入金漏れの確認
【科目】売掛金、未収入金
債権である「売掛金」や「未収入金」勘定の消込や入金漏れの有無をチェックします。決算期に慌てて一度に行わないように、毎月定期的に行うようにしましょう。

 

決算月の売上に漏れや間違いがないように、早めに営業や担当者に注意喚起の案内を出し、請求書や発注書を取りまとめておくことが決算作業を長引かせないポイントです。

 

また、外貨建の売掛金は期末時点レートにて円換算しているか確認します。

 

消込後にマイナス残高となっている得意先がある場合はその原因を調査します。場合によっては税理士に適切な科目の相談をしましょう。

 

関係会社の売掛金については補助元帳を用意するようにします。

 

【作業項目】売掛金の帳端チェック
【科目】売掛金
締め日を20日などの月中としている会社は、期中には締め日を意識する必要はありませんが、期末には特に注意を要することになります。決算月の21日から月末までの「帳端」と呼ばれる期間に売上の事実がある取引については、売上の認識をしておく必要があるからです。

 

税務調査においてもこの「帳端」期間は重点的に調査される項目となっており、もし売上の計上漏れがある場合には、売上の修正を迫られる事態となる場合があります。

 

また、期末と期首の返品については正しい計上月となるように確認しましょう。

 

【作業項目】期末棚卸し
【科目】商品、貯蔵品、仕掛品、半製品
期末には商品の在庫を計数する棚卸しを行います。スムーズな棚卸しが実施出来るように、関係部署に実施日時の連絡と、棚卸し作業のマニュアルを作成しておきましょう。

 

管理台帳と実数が合わない場合には原因を調査します。どうしても差が埋まらない場合や不良品があった場合には、棚卸減耗費によって商品の数を調整することになります。

 

決算の渦中で慌てることのないように、日頃から定期的に棚卸しを行うようにしましょう。社外倉庫への保管品も、定期的に在庫証明書などの書面を取得するようにして管理するようにします。

 

製造業やソフトウェア開発会社などの場合は、仕掛品や半製品のチェックを行います。工事や開発工程の進捗状況を把握して、決算書上妥当な額で計上出来るようにしておきましょう。

 

また、使い切れずに残っている収入印紙や切手があれば貯蔵品として計上します。こちらも日頃から枚数と種類を確認して管理しておきましょう。

 

【作業項目】仮勘定や経過勘定の精査
【科目】仮払金、前払費用
仮勘定(仮払金など)や経過勘定(前払費用など)の期末時点の残高とその内容を確認し、当期中に本勘定化(費用化)するべきもので忘れているものがないか確認します。リース料も前払費用として計上すべきものがないか確認しましょう。

 

仮払金に長期間残ったままとなっているもの、当初の予定を過ぎているのに費用化されていないものは、今後の費用化の見込みがあるのかを確認し、見込みがないようであれば税理士に相談して適切な科目で処理するようにします。

 

会社の会計方針によっては、長期前払費用の内から翌期に費用化する分を前払費用へと振替を行う場合があります。会社には会社独自の会計方針があるので、この記事に載っていない会計処理はまとめるようにしておきましょう。

 

仮勘定や経過勘定の精査も決算の渦中に行うと抜けが出やすくなり、また時間が掛かります。翌期に繰り越すものは内容と金額、そして費用化時期を一覧表にまとめて管理しておけば、決算のスピードアップ化にと、費用化の漏れがなくなります。

 

【作業項目】貸付金の見直し
【科目】短期貸付金
役員や従業員、関連会社への貸付金である「短期貸付金」勘定については、利息が適切であるか、書面にて貸付期日などの取り決め事項が取り交わされているか確認します。

 

もし利息が無利息であったり、金融機関の金利と乖離するほどの低金利であったりする場合には、金融機関の利息との差額を給与所得とみなされ、源泉所得税の対象とされることがありますので注意が必要です。

 

【作業項目】消費税区分の見直し
【科目】仮払消費税
日頃から費用の課税区分を意識して適切に処理するようにしましょう。取引先や取引内容、課税区分ごとに一覧表にして適正な消費税の税率となっているか定期的に確認を行うと、消費税申告処理はルーチン化することが出来、決算時期に慌てずに済みます。

 

 

 

1-2 固定資産と繰延資産

貸借対照表の左側、流動資産の下方には、固定資産と繰延資産の項目があります。固定資産は設備機器を多く所有する会社の場合には、減価償却費の計上や期中の資産の増減の反映などの負荷が大きい作業が生じます。

 

また、有価証券を多く持つ会社は、時価評価や期中の売買処理を適切に行っているか見直す必要があります。順番に見ていきましょう。

 

【作業項目】設備・工事費用の計上科目の見直し
【科目】固定資産
単価10万円以上の設備機器類は「機械設備」や「什器備品」などの固定資産に計上することになります。単価10万円以上の設備機器を消耗品として処理していないか確認しましょう。

 

また、既存設備の改修工事費用の中には、「資本的支出」として、資産計上する必要のある費用があります。修繕費と資本的支出の区別にはチャートがありますので、よく分からない場合には自分で判断をせずに、税理士に相談したりチャートを参考としたりするようにしましょう。

 

また、固定資産の中でも単価10万円以上20万円のものは「一括償却資産」となり、また会社規模や会計方針によっては単価30万円のものを「少額減価償却資産」として損金算入の特例を適用することが出来ます。

 

少額減価償却資産は年に取得額にして合計300万円という上限がありますので、固定資産の計上においては、取得額や計上合計額を管理するようにしましょう。

 

【作業項目】固定資産の売買の見直し
【科目】固定資産
固定資産を購入したときには納品書や請求書(納品日や資産の詳細が分かるもの)を、固定資産を売却・廃棄したときにはその事実(売却日・廃棄日)が分かる書類を保管するようにします。

 

設備購入代金を分割払いとしている場合や、建物新築など工事費用を出来高払いとしている場合には、支払日と資産の使用開始年月日の関係に注意してください。資産計上は資産の使用開始年月日を基準に行いますので、実際の資産使用開始年月日と異なる支払日基準によって資産計上を行った場合には、税務調査時の指摘事項となり得ます。

 

【作業項目】減価償却費の計上
【科目】固定資産、無形固定資産
設備機器の科目や耐用年数、取得額、償却方法を確認し、資産計上と固定資産システムへの登録を行います。その後、固定資産システムから算出された減価償却費を費用計上します。

 

毎月多くの固定資産を購入・計上する場合には、減価償却費の計上も毎月行うほうが間違いがなく、効率的になります。

 

決算時には、期末日時点の設備の減価償却費計上後の簿価と、固定資産システム上の簿価とが一致しているか確認します。資産を売却(除却)や減損した年度は、会計と固定資産システムどちらともにその状況を反映しているか確認しましょう。

 

【作業項目】建設仮勘定の見直し
【科目】建設仮勘定
資産計上予定の設備機器の取得が、工事中・製作中により年度を越える場合には、期末までに掛かった費用を建設仮勘定に計上し、工事・製作完了後に建設仮勘定から資産へ振替を行います。

 

建設仮勘定の中に、今期中に資産計上出来るものがないか、他の資産の取得額に値するものが混ざっていないか確認をしましょう。

 

【作業項目】ソフトウェアの見直し
【科目】無形固定資産
修繕費と資本的支出の関係と同じく、ソフトウェアも適切に費用処理と無形固定資産への計上を行っているかチェックをします。ライセンス契約は、永年使用権の類であれば資産計上となります。

 

また、自社開発のソフトウェアは資産計上分と研究開発費分との切り分けを行ったかチェックしましょう。

 

【作業項目】有価証券の見直し
【科目】投資有価証券
期中の有価証券の増減を見直し、新規購入した場合の手数料が取得原価に含まれているか、現物と台帳上の枚数が一致しているか確認します。

 

売買を目的としたものや、1年以内に満期を迎えるものは、流動資産の「有価証券」勘定に計上されているか確認しましょう。

 

【作業項目】繰延資産の見直し
【科目】繰延資産、長期前払費用
費用のうち1年以上に渡って効果を及ぼすものを「繰延資産」として計上することを検討したか確認しましょう。

 

繰延資産のうち税法上の繰延資産にあたるものは「長期前払費用」勘定に計上します。長期前払費用の場合は税法に則った耐用年数であるか確認します。長期前払費用は償却を忘れてしまいがちですので、固定資産の減価償却費計上の際に一緒に計上するなど定例化しておきましょう。

 

 

 

1-3 流動負債と固定負債(債務関係)

次に、貸借対照表の右側の上方、「負債の部」の注意点と確認事項に移ります。負債の部も資産の部と同じく1年以内に現金化されるものを流動負債、1年より先に現金化されるものを固定負債としています。

 

【作業項目】債務のチェック
【科目】買掛金、未払金
消込と残高の見直しを行います。そして、債権と同様に決算前後の支払を確認し、当期中の費用が来期に回っていないか確認をしましょう。

 

決算の渦中に確認を行うと見落としが生じますので、決算前から消込を行っておき、マイナスや正しくない残高がある場合には原因を早めに調査しておきます。また、未払金のうちに長期未払金に該当するものがないかチェックをします。

 

外貨建ての債務の場合は円換算されているか確認しましょう。

 

関係会社の債務は特に注意をし、補助元帳を出力して管理します。

 

【作業項目】支払手形のチェック
【科目】支払手形
手形の管理台帳と手元の未発行手形をチェックします。期日や払出日は再度確認し、資金繰りを検討しておきましょう。

 

【作業項目】借入金のチェック
【科目】短期借入金、長期借入金
借入金の返済期日や返済額と利子額、借入残高、返済計画通りに返済が進んでいるかを確認します。会社規模や会計方針によっては、長期借入金のうち1年以内の返済分を短期借入金に振替する場合がありますので、注意するようにしましょう。

 

【作業項目】未払給与のチェック
【科目】未払給与
給与の締め日が末日以外の場合には、決算月には締め日から決算日までの未払給与を計上します。例えば15日締めの25日払いの場合、決算月の16日から決算日までの給与を計算することになります。

 

【作業項目】源泉所得税と社会保険料(預り金)のチェック
【科目】預り金
源泉所得税と社会保険料の2つは特に注意を要する預り金です。この2つは支払報酬や給与計上ごとに発生しますので、都度管理をしておかないと煩雑な後戻り作業が発生する場合があります。

 

源泉所得税と社会保険料については、補助科目や補助元帳にて月次管理をするようにしましょう。

 

【作業項目】消費税区分の見直し
【科目】仮受消費税
仮払消費税と同様に、日頃より課税区分が適切であるか確認をするようにします。取引の量と種類が広範囲に渡る会社の場合には、特に日頃から管理をするようにしましょう。

 

仮払消費税よりも仮受消費税が多くなった場合には、その差額分を未払消費税(見込額)として資金繰りの項目に含めておくようにしましょう。

 

【作業項目】引当金のチェック
【科目】退職給付引当金、賞与引当金
適切な、合理的な見積もりにより退職給付引当金及び賞与引当金が計上されているか確認します。引当金の計上は早い時期に取り掛かることが出来ますので、決算の繁忙期を避けて計画的に早めに行っておきましょう。

 

引当金は、会計上においては費用処理されますが、税務上では損金扱いされません。引当金計上額は計算書類を分かるようにまとめておき、税理士に渡して妥当な額となっている確認して貰うようにしましょう。

 

 

 

1-4 純資産の部

貸借対照表の右側下方部は「純資産の部」となります。純資産の部は、「資本金」や「利益剰余金」からなる「株主資本の部」と、「その他有価証券評価差額」などの「株主資本以外の部」の2区分からなります。

 

日常の会計処理においては純資産の部は縁遠いものですが、決算に応じて変動するところとなりますので、前期の決算に応じて正しく変更されているか確認を行います。

 

【作業項目】剰余金のチェック
【科目】利益剰余金、資本金、利益準備金など
株主総会などにより利益剰余金の資本金や資本金への組み入れが決議された場合には、正しくその変動が反映されているか確認しましょう。

 

剰余金を株主に配当する際には源泉税が発生します。適切な税率で徴収し、納付をしているか確認しましょう。また、配当に際して法務省令規則で定められた利益準備金が計算方式により正しく積み立てられているか確認をします。

 

また、資本剰余金と利益剰余金が正しく区別されて計上されているか確認しましょう。資本剰余金は資本取引の際に資本金に組み入れられないものや資本準備金を取崩した際に生じる剰余金を、利益剰余金は利益の剰余金(留保金)を計上します。

 

【作業項目】自己株式取得に際してのチェック
【科目】自己株式
自己株式を取得した際には、会計上の処理と税務上の処理が発生します。そして、税務上の処理においては上場会社などと非上場会社とでは異なります。正しく処理されているか税理士や会計士に確認するようにしましょう。

 

【作業項目】その他有価証券評価差額金のチェック
【科目】その他有価証券評価差額金
持分会社への出資や持ち合いの株式の時価評価に応じた含み損益をその他有価証券評価差額金へ反映しているか確認します。

 

税効果会計が絡み、専門性の高い作業ですので、税理士や会計士に決算前から情報を渡して相談しながら進めておくとよいでしょう。

 

 

2 損益計算書の確認事項・会計処理

損益計算書は1年間の損益を集計した会社の成績表にあたるものです。売上額や損益額など会社にとって重要な項目を記載しますので、株主のみならず税務署にとっても注視する書類となります。

 

損益計算書は、上方から順に、本業の損益、本業外の損益、臨時的な損益の3区分からなり、そして下方に法人税などの税金と最終的な会社の損益をまとめます。ここでは、本業の損益にあたる「営業利益」区分と、その他2つの区分の確認事項を見ていきましょう。

 

 

 

2-1 営業利益

「営業利益」の区分は、本業の「売上高」と「売上原価」、そして本業と直接関わらない事務職の給与などの「販売費及び一般管理費」からなり、それらを差し引いた損益を営業利益(営業損失)として、本業における損益額として表示します。

 

【作業項目】売上高のチェック
【科目】売上高
請求書の発行日付や売上計上月をチェックし、翌期の売上が含まれていないか、当期の売上に漏れが無いかチェックします。

 

【作業項目】売上原価(製造原価報告書)のチェック
【科目】売上原価
当期の売上に対応する売上原価(仕入)が反映されているかチェックしましょう。製造業の場合は仕掛品の取扱に注意し、製造原価報告書を作成します。

 

製造原価報告書は材料費や技術部門の人件費である労務費、外注費や運送費などの製造経費の3つの項目からなります。決算の渦中にそれらの項目を収集して作業を行うことは手間と間違いの元となりますので、情報収集から早めに行うようにしましょう。

 

商品の部品を外注加工先へ有償支給している場合は、無償支給分と混在していないか、外注加工費と正しく区別しているか確認します。

 

また、期末時点の棚卸額と、貸借対照表の商品勘定の残高が一致しているか確認するようにしましょう。

 

【作業項目】販売費及び一般管理費のチェック
【科目】販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は多岐多様にわたりますので、順に見ていきます。

 

まず、「給与」は締め日から決算日までの期間分を計上したか(前述の未払給与の費用計上化を)確認しましょう。

 

「役員報酬」が変更された場合、当期の事業開始年度から3ヶ月以内の株主総会などで決議しているか、そのときの議事録を作成・保管しているか確認しましょう。

 

「旅費交通費」の出張精算について、出張旅費規程に準じているか、出張報告書や旅費精算書が正しく提出、処理され、保管されているか確認しましょう。

 

また、出張旅費の前貸しや、期末前後の出張が漏れなく正しく精算されているか確認します。決算日を迎える前に、予め出張旅費の精算期日を全社へ通知しておくと間違いを減らすことに繋がります。

 

「保険料」について、複数年契約している場合は、前払費用を計上しているか、当期分を費用処理しているか確認します。

 

また、生命保険は種類によって損金処理出来る額が異なります。資産計上するタイプの保険もありますので、保険会社からの資料を確認し、税理士に問い合わせるなどして会計処理を行いましょう。

 

「租税公課」では、受取利息や受取配当金に対する源泉税が計上されているか確認します。

 

「支払手数料」は、税理士など士業への支払いを支払先ごとにまとめることが出来るように補助科目を設定するなどしておきましょう。報酬と源泉税は、年初の支払調書作成時にいずれ整理することになります。

 

「賃借料」も年初に支払調書を作成することになりますので、賃借料支払先ごとに費用をまとめておきましょう。また、賃借料の中に敷金や礼金、仲介手数料などが含まれていないか確認しましょう。

 

「福利厚生費」のうちに、弁当代など、給与の現物支給扱いとなるものが含まれていないか確認しましょう。

 

「交際費」は5000円基準に則り処理されているか確認します。「会議費」や「旅費交通費」の中に交際費にあたるものが含まれていないか確認しましょう。

 

また、資本金1億円以下の中小法人の場合には、800万円まで交際費を損金処理することが認められています。交際費は月ごとに管理するようにしましょう。

 

「寄付金」は、その内容によって全額が損金になるものと、一定の限度額までが損金算入出来るものとに分かれます。寄付金が生じるたびに内容を確認して区別するようにしておきましょう。

 

「人材派遣費」(「外注費」)は課税対象となりますので、消費税の区分をもう一度確認します。

 

「租税公課」では、収入印紙の購入元が金券ショップの場合は課税対象となりますので、購入元と課税区分を確認しておきましょう。

 

 

 

2-2 営業利益以外

営業利益より下方には、本業外の損益を表す「営業外収益」と「営業外費用」、臨時的な損益を表す「特別利益」と「特別損失」の項目があります。ここでは営業利益以外の項目の注意点や確認事項を取り上げます。

 

【作業項目】雑収入、雑損失のチェック
【科目】雑収入、雑損失
「雑収入」「雑損失」勘定は、営業外(本業外)の金額的重要性が乏しいものを扱う際の科目です。雑収入、雑損失として処理するのが適正か確認しましょう。

 

雑収入では、保険金を受け取ったとき、また保険を解約した際や保険内容変更時の支払い済み保険料の一部返戻があった場合の、消費税の課税区分に注意します。

 

保険金を受け取ったときは「課税対象外」に、保険料の返戻の際には「非課税」扱いとなり、どちらも消費税が掛からないことに変わりありませんが、消費税を申告する際には取り扱いが異なります。

 

【作業項目】固定資産を廃棄、売却したとき
【科目】固定資産除却損、固定資産売却益、固定資産売却損など
固定資産を廃棄した場合は、廃棄した時点の簿価を固定資産除却損として計上しているか確認しましょう。また、廃棄日が分かる書類を保管するようにしておきます。

 

売却した場合は、売却額や書類と照らし合わせ、売却額と当該固定資産の簿価との差額を固定資産売却益または固定資産売却損で計上しているか確認します。

 

売却額が市場価格や簿価とかけ離れた金額となっている場合には税務調査の対象となる場合がありますので、適正な売却額となっているかも合わせて確認します。

 

【作業項目】特別修繕引当金のチェック
【科目】特別修繕引当金
特別修繕引当金を積み立てている場合は、当期額を計上しているか確認します。当期額が分からない場合は会計士や税理士に相談しましょう。

 

 

3 決算書や申告書の確認事項・会計処理

貸借対照表、損益計算書が固まってきたら、その他の決算書類にも目を向けます。各科目の金額が確定した後は申告書と法人税などの納付書の用意をすることになります。

 

ここでは、申告書と納付書の用意を税理士が行う際の、税理士からのよくある問い合わせ事項を中心に見ていきます。

 

【作業項目】請求書、納品書、領収証などのチェック
【書類】各種証憑綴り
請求書や納品書、領収証が整理されて種類ごとに正しく綴られているか確認しましょう。

 

【作業項目】登記事項のチェック
【書類】登記簿謄本
登記簿謄本の記載事項が、株主総会などにより代表者や取締役が改選となった場合には正しくその状況を反映しているか確認します。また、貸借対照表の資本金が登記簿謄本上の金額と一致しているか確認します。

 

【作業項目】株主のチェック
【書類】株主名簿など
株主の持ち株数や、株主と役員との同族関係、株主の異動の確認を行いましょう。

 

【作業項目】議事録、各規定のチェック
【書類】株主総会議事録、取締役会議事録、就業規則、出張旅費規程など
当期中に行われた株主総会、取締役会の議事録の保管状況を確認します。規則や規定に変更が生じた場合には、変更事項が最新の規則・規定に反映されているか確認しましょう。

 

この記事では、決算の注意点や確認事項と、決算前の準備点や会計処理を見てきました。ここで見てきたことは一般的な事柄ですので、当てはまる会社もあれば当てはまらない会社もあります。また、別の作業や注意点が必要となる会社もあるでしょう。

 

決算作業の早期化実現とミスを減らすためには、決算後の見直しと、今回の決算作業の反省点や決算前に行っておく作業をまとめたリストを用意しておくことが重要となります。

 

 


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