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一般社団法人と一般財団法人で定款変更する際に気を付けたいことまとめ

株式会社が定款を変更するとき株主総会を開くように、一般社団法人が定款を変更する場合、社員総会を開いて特別決議を採択しなければなりません。一般財団法人の場合は評議員会を開催します。

 

なお、定款を変更したあと、遅滞なく行政庁に変更の届出を行う必要があります。このとき、登記事項証明書も必要です。

 

このほか、特例民法法人が公益法人もしくは一般法人に移行するときは、「定款の変更の案」を作成します。定款の変更の案とは、移行法人の定款において公益社団法人」または「公益財団法人」という文字を用いる名称の変更、このほか必要に応じて一般法人法に適合させるための機関の変更、公益法人の移行にかかる認定基準に適合させるための書類です

 

本記事では一般法人と公益法人が定款を変更するときの方法と手続き、注意する事項などを解説していきます。

 

 

1 定款を変更しなければならない変更事項とは

株式会社が役員を変更したとき、または本社所在地を移転したときなど、定款を変更しなければなりません。

 

一般法人も同様です。一般社団法人の事業目的を変更する場合、定款を変更してこれを行政庁に届け出る必要があります。

 

 

 

1-1 一般社団法人の定款変更

定款変更は、一般社団法人の場合、社員総会の決議によって行うことができます(一般社団法人および一般財団法人に関する法律第146条、以下一般法人法と呼ぶ)。

 

 

 

1-2 一般財団法人の定款変更

一般財団法人の場合、評議員会の決議によって定款の変更を行うことができます(同法200条)。ただし、事業目的(同法153条1項1号)と評議員の選任および解任方法については、評議員会の決議でも変更することができません。
なお、その法人設立当時に予測することのできなかった特別の事情が発生し、定款を変更しない限り法人の運営が難しくなるなどのときに限り、裁判所の許可を得ることで、評議員会の決議と合わせて、定款を変更することが可能となります(同法200条3項)

 

 

 

1-3 定款の絶対的記載事項を確認

定款の内容には記載しないとその効力が発生しない事項があります。これを絶対的記載事項(必要的記載事項とも)といいます。絶対的記載事項は一般社団法人と一般財団法人とで異なります。両者を見比べてみましょう。

 

・一般社団法人と一般財団法人の絶対的記載事項

一般社団法人(第11条) 一般財団法人(第153条)
1号 事業目的 1号 事業目的
2号 法人の名称 2号 法人の名称
3号 主たる事務所の所在地 3号 主たる事務所の所在地
4号 設立時社員の氏名(名称)、住所 4号 設立者の氏名(名称)、住所
5号 社員の資格の得喪に関する規定 5号 設立に際して設立者(設立者が二人以上あるときは、各設立者)が拠出をする財産およびその価額
6号 公告方法 6号 設立時評議員、設立時理事および設立時監事の選任に関する事項
7号 事業年度 7号 設立しようとする一般財団法人が会計監査人設置一般財団法人であるときは、設立時会計監査人の選任に関する事項
  8号 評議員の選任および解任の方法
9号 公告方法
10号 事業年度

 

このほか、移行法人が移行認定を受けるために必要な絶対的(必要的)記載事項には、「会計監査人を設置する旨の定め」「理事会、監事を設置する旨の定め」「不可欠特定財産に関する定め」「公益認定の取消し等に伴う贈与についての定め」「残余財産をほかの公益法人などに帰属させる旨の定め」などがあります。

 

絶対的記載事項ではないものの、定款に記載しないとその事項に関する効力が発生しないものを相対的記載事項といいます。たとえば「社員の経費の支払い義務に関する定め」「理事・監事の任期短縮に関する定め」「理事会決議の省略に関する定め」などが該当します。

 

また、一般法人法に違反しない範囲で自由に定めることができるものを任意的記載事項といいます。記載がなくても定款の効力自体に影響はおよびませんが、これを変更する場合、一般社団法人は社員総会を開催しなければなりません(一般財団法人なら評議員会)。

 

 

2 定款変更で気をつけたいこと

定款の記載事項を変更する場合は、法人のガバナンスの適切な確保の観点から、わかりやすく、かつ具体的に記載することが求められます。定款の内容が法律や公序良俗に違反しているときは、認められません。一般法人法の規定や趣旨から著しく逸脱しない範囲内で、一般社団法人および一般財団法人の定款変更をしなければなりません。

 

 

 

2-1 事業目的を変更する

法人の事業は定款に定められた目的の範囲内で行わなければなりません。事業目的は自由に定めることができますが、公序良俗に反しない範囲で定めなくてはなりません。なお、公益法人の場合、定款に根拠がない事業は、公益目的事業として認められないことがあるため、明確かつ具体的に記載する必要があるとしています(参照:公益法人インフォメーション)。

 

一般社団法人と一般財団法人の事業目的について制限はありません。構成員に利益をもたらす事業でも公益的な事業でも問題ないとされています。しかし、株式会社とは明確に区別されているため、余剰金の分配(配当)を目的とすることはできないので注意が必要です。

 

 

 

2-2 法人の名称を変更する

法人の名称については、「一般社団法人◯◯」「一般財団法人◯◯」など、その名称中に社団法人・財団法人の文字を使用しなければなりません。一般社団法人であるにも関わらず、「株式会社◯◯」のようにすることは禁止されています。

 

商号登記で使用できる文字は、漢字、ひらがな、カタカナに加えて、ローマ字、アラビア数字、「&」(アンパサンド)、「−」(ハイフン)、「.」(ピリオド)、「・」(中点)、「,」(コンマ)、「’」(アポストロフィ)となります(以上、法務省より)。これ以外の記号、たとえば括弧「()」などは使用できません。

 

このほか、関係法律により、使用できない文字があります。

 

 

 

2-3 主たる事務所所在地を変更する

主たる事務所所在地の変更は、定款の絶対的記載事項です。変更場所の最小行政区画まで記載する必要があります。なお、従たる事務所の所在地については、絶対的記載事項ではありませんが、変更する場合、定款の内容も変更しなければなりません。なお、2以上の都道府県の区域内に事務所を設置する法人は、都道府県知事ではなく、内閣総理大臣(国)へ申請する必要があります。

 

また定款に記載するさいは、「事務所」だけではなく「主たる事務所」としなければならない点に注意が必要です。

 

 

 

2-4 社員の資格の得喪に関する定めを変更する(一般社団法人のみ)

社員資格の取得および喪失に関する定めは、具体的に記載することが求められています。たとえば、定款には、資格取得について「法人の目的に賛同した者」や「社員総会で定めた基準に適合する者」とのみ記載し、規則などで「○○の資格を有すること」といったような実質的な要件を定めるのは、適当でないとされます(公益法人インフォメーションより)。

 

社員資格を取得および喪失する条件について、定款で具体的かつ詳細に記載するのが適当でしょう。

 

なお、公益社団法人の社員については、公益社団法人および公益財団法人の認定等に関する法律(以下、公益法人法と呼ぶ)の第5条14項にて、「法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをする条件その他の不当な条件を付していない」ことが条件となります。「不当な条件」については社会通念に照らして判断することになり、一般的には、法人の目的、事業内容に照らして条件に合理的な関連性および必要性があれば、不当な条件には該当しないと解されています(公益法人インフォメーションより)。

 

社員資格の喪失については、「総社員が同意したとき」「当該社員が死亡または、法人が解散したとき」など認定を受けるために記載が必要な事項のほか、任意に具体的な条件を定めることも可能です。

 

 

 

2-5 役員に関する規定を変更する

理事などの役員は一般社団法人および一般財団法人に必置の機関となるので、役員に関する規定も記載する必要があります。理事は何名とするとか、監事は何名以内とするか、代表理事は何名とするか、業務執行理事は何名かなどを定款に記載します。

 

なお、理事会が必置となる公益法人の場合、理事会および監事を設置する旨を記載しなければなりません。このほか、不可欠な特的の財産、清算時の残余財産の帰属先、公益認定取消時の公益目的残余全額の贈与の定めなども同様に記載が必要です。

 

役員の任期を変更する場合は、一般法人法で定められた範囲内で定める必要があります。理事は2年以内、監事は4年以内です(同法66条)。この点について公益インフォメーションでは、

 

「(一般社団法人および一般財団法人において)定款で定めた役員の員数が欠けた場合などには、任期の満了または辞任により退任した役員は、新たに選任された役員が就任するまで、なお役員としての権利義務を有することとされていますが(同法75条、175条)、これ以外の場合で、後任者が就任しないこと理由に、引き続き役員の職務を行わせることは、法定の任期の上限を超えて任期を伸長することになるため、適当ではない」

 

とし、役員の期間を延ばすことはできないとしています。

 

 

 

2-6 議決に関する規定を変更する

一般社団法人では、社員総会の決議(普通決議)は、総社員の議決権の過半数を有する社員が出席し、出席した当該社員の議決権の過半数をもって行うこととされています(同法49条)。なお、公益法人は、社員総会の普通決議の決議要件を大幅に緩和したり撤廃したりすることはできません。

 

一方、事業譲渡や定款変更など、普通決議よりも厳格な条件が課される特別決議については、総社員の半数以上であって、総社員の議決権の3分の2以上の賛成をもって行わなければなりません。なお、これを上回る割合を定款で定めることはできますが、下回ることはできません。

 

定款で別段の定めをした場合であっても、社員総会において決議をする事項の全部につき社員が議決権を行使することができないとする定めも、その効力を有しません(48条2項)

 

 

 

2-7 評議員の選任および解任の方法に関する規定を変更する(一般財団法人のみ)

評議員の選解任に関する規定は、一般財団法人における絶対的記載事項です。なお、「理事会が評議員を選任し、または解任することができる」とする定めは無効となります。財団法人では、評議員は理事を監督・監視する立場にある機関であるため、そのような規定は評議員の役割を果たさなくなるからです。公益法人制度改革後、評議員の権限は広範かつ強大となり、さらに独立性も維持されるようになりました。

 

そのため、最初の評議員の人選について、公益法人インフォメーションによれば、法人と密接な関係にある者ばかりが評議員に選任されることのないようにする注意する必要があるとしています。

 

「例えば、評議員の選任および解任を『評議員会の決議で行う』こととすると、『最初の評議員』の人選が特定の団体や勢力の関係者で占められた場合には、以後の評議員の選任も当該特定の団体や勢力の関係者によって占められることとなり、(そのため)法人と相互に密接な関係にある者ばかりが評議員に選任されることのないようにする必要があります」

 

そこで、最初の評議員の選任については、法人と役員に対して中立的な立場にある者で占められた別機関を設置して、その機関が選任することを推奨しています。このほか、公益財団法人では次のいずれの条件にも該当しなければなりません。

 

・ 評議員選任の条件

各評議員について、次のAからFに該当する評議員の合計数が評議員の総数の3分の1を超えないものであること A 当該評議員およびその配偶者または 3 親等内の親族
B 評議員と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
C 評議員の使用人
D BまたはCに掲げる者以外の者であって、当該評議員から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの
E CまたはDに掲げる者の配偶者
F BからDまでに掲げる者の3親等内の親族であって、これらの者と生計を同じにするもの
公益法人をのぞく他の同一の団体の次のAからDに該当する評議員の合計数が評議員の総数の3分の1を超えないものであること A 理事
B 使用人
C 当該他の同一の団体の理事以外の役員(法人でない団体で代表者または管理人の定めの あるものにあっては、その代表者または管理人)または業務を執行する社員である者
D ①国の機関の職員、②地方公共団体の職員、③独立行政法人の職員、④国立大学法人または大学共同利用機関法人の職員、⑤地方独立行政法人の職員、⑥特殊法人(特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人)または認可法人(特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政官庁の認可を要する法人)の職員(ただし国会議員および地方公共団体の議会の議員を除く)

 

 

2-8 事業年度を変更する

事業年度の記載も絶対的記載事項です。たとえば、「2018年4月1日に始まり翌年3月31日に終わる」とする事業年度を「2018年1月1日に始まる12月31日に終わる」と変更する場合、変更届出を提出する必要があります。

 

一般的な法人の事業年度については、期間の長さや開始月は自由に決めることができます。また、1年で2つ以上の会計期間を設けることも可能です。たとえば事業年度を3ヶ月ごとに設けたり、半年に1回設けたりする法人もあります。ただし、事業年度の末日を2月にする場合はうるう年に気をつける必要があるでしょう。事業年度の最終日は決算日となります。決算月は繁忙期を避けたり、資金繰りがよい時期にするといった会社も多くあります。なるべく負担の少ない月にもってくるのがテクニックのひとつといえるでしょう。

 

なお、事業年度は1年(事業年度の末日を変更する場合における変更後の最初の事業年度については1年6ヶ月)を超えて設定することができないので注意が必要です。

 

 

3 法律に規定がない役職・機関を設ける場合

一般社団法人および一般財団法人が定款を変更するさい、法律に規定がない独自の役職・機関を新たに設けることも可能です。しかし、任意の役職名が役員に準ずる権限を有するかのように誤解されるのを防ぐため、定数やその権限について具体的に定めておく必要があります。

 

 

 

3-1 法律に規定がない役職名をつける場合

公益インフォメーションによると、たとえば、新たな機関として「相談役」を設けるとき、定数(人数)、権限(職務内容)、名称を付与する機関(理事会、社員総会、評議員会など)を定めます。

 

(相談役)
第○条 この法人に、任意の機関として、1名以上3名以下の相談役を置く。
2 相談役は、次の職務を行う。
 (1) 代表理
理事の相談に応じること
 (2) 理事会から諮問された事項について参考意見を述べること
3 相談役の選任および解任は、理事会において決議する。
4 相談役の報酬は、無償とする。
(公益法人インフォメーションより)

 

 

 

3-2 法律に規定がない機関名をつける場合

また、一般法人法に規定がない任意の機関名を新たに設けて法人運営にあたる場合、社員総会や理事会、評議員会などの既存の機関の権限を奪うことがないように注意する必要があります。

 

たとえば、一部の理事だけで構成される「常任理事会」などを設ける場合、審議事項の確認など理事会の補助的機関として機能させることは可能ですが、「常任理事会の承認なしに理事会では決議できない」など理事会の権限を制限するような役割を与えることはできないとされています。

 

記載がなくても定款の効力自体に影響はないので、任意的記載事項にあたります。ただし、これを変更する場合には一般社団法人は社員総会を開催する必要があります。

 

 

4 行政庁の定款審査とは

定款変更の届出をした後、行政庁の定款審査を通らなければ、法的な効力が発生しません。

 

定款審査では、形式的には絶対的記載事項や相対的記載事項、任意的記載事項が正しく記載されているか、内容的には変更内容が一般法人法の規定および内容に違反していないか、規定趣旨に反していないかを審査します。

 

審査の結果、上記のような問題がなければ、定款は法的効力を発生します。しかし、その内容が一般社団法人および一般財団法人の規定に反すると判断されたときは、行政庁より当該箇所の修正を求められることになります。

 

公益法人が提出した変更内容が、法令に違反するものであった場合は、公益認定の取り消し処分を受ける可能性もあります。特に偽りや不正手段により公益認定を受けたときは必ず認定取り消しとなるので注意が必要です。

 

・ 公益認定の取消しとなるケース

  1. 公益認定法の欠格事由に該当する
     ①理事、監事、評議員のうちに禁錮以上の刑(認定法違反 等の場合は罰金刑も含む)に処せられた者がいる
     ②定款や事業計画書の内容が法令や法令に基づく行政機 関の処分に違反している
     ③事業を行うに当たり法令上必要な行政機関の許認可等を受けることができない
     ④国税、地方税の滞納処分が執行されている
     ⑤暴力団員等が事業活動を支配している
  2. 偽りその他不正の手段により公益認定、変更認定等を受けたとき
  3. 正当な理由なく、行政庁の命令に従わなかったとき
  4. 法人から公益認定取消しの申請があったとき

 

このほか、1.公益認定基準のいずれかに適合しなくなったとき、2.「収支相償」「公益目的事業比率」「公益目的事業財産の使用、処分」「役員報酬等の支給「事業計画書、事業報告等の提出」などの事項に関する規定を順守しなかったとき、3.上記以外で法令または法令に基づく行政機関の処分に違反したときも取消しの可能性があります。

 

 

 

4-1 一般社団法人・一般財団法人法に反するものとは

審査基準である一般法人の規定に反するもの、制度趣旨に反するものとしては、次のような内容が該当します。

 

1.事業を行うにつき、社員、評議員、理事、監事、使用人などの法人関係者に対し特別の利益を与えること(公益法人法5条3号)

 

2.公益法人の場合、その社会的信用を損なう恐れがある、公の秩序・善良な風俗を害するおそれがある事業を行うこと(同法5条5号)

 

3.社員に対して不当な差別的取り扱いをするなど、社員の権利に制限を設けること(同法5条14号)

 

4.法が規定した機関相互が特に密接な関係にあるなど権限関係を逸脱し、公益法人の運営を適正に実施できないおそれがあるもの

 

 

 

4-2 公益法人になる場合の定款変更

また、公益認定を受けようとする一般法人は、公益認定の基準に適合させるために必要な変更を済ませた「定款」を添付する必要があります。

 

公益認定後、公益目的事業の種類や内容の変更にかかる定款の変更をするときは、行政庁の変更認定を受ける必要があります。

 

・行政庁の認定が必要な変更事項(公益認定法11条)

①公益目的事業を行う都道府県の区域(定款で定めるものに限る。)または主たる事務所もしくは従たる事務所の所在場所の変更(従たる事務所の新設または廃止を含む。)
②公益目的事業の種類または内容の変更
③収益事業等の内容の変更

 

②公益目的事業の種類または内容の変更については、現行の公益目的事業において一部追加・変更・廃止を行ったことにつき、事業の公益性の判断に影響を及ぼす場合に変更認定申請が必要になるとしています。ただし、事業の日程や財務数値など毎年度変更することが想定される内容までは、変更届出および変更認定申請は必要ないとしています。

 

変更認定申請が必要な具体例としては、公益目的事業の統合において、「収益事業等とされている事業を公益目 的事業とし、または公益目的事業と されている事業を収益事業等と整理しなおす場合」、公益目的事業の追加においては、「新たに事業番号を付して事業の追加を行う場合」「定款の目的・事業を変更して事業を追加する場合」、公益目的事業の廃止においては「事業番号の削除は伴わないがチェックポイントの事業区分を削除する場合」などのケースが考えられます。

 

詳細は、公益インフォメーション「公益目的事業にかかる変更認定・変更届出ガイド」をご覧ください。

 

一方、届出で足りる変更事項は次のようになります。

 

・ 行政庁に届出が必要な変更事項(公益認定法13条1〜3項)

①名称または代表者の氏名の変更
②内閣府令で定める軽微な変更
③定款の変更

 

 

 

4-3 公益法人に対する寄付が非課税となる場合

公益法人の理事の構成においては、評議員のような制約があるのは前述のとおりです。

 

また、個人が公益法人に寄付を行った場合、次の要件を満たす場合に限り、譲渡所得に関する所得税が非課税となります。

 

・ 所得税が非課税となる要件

定款において、その理事、監事、評議員その他これらの者に準ずる者のうち親族関係を有する者およびこれらと次に掲げる特殊の関係がある者の数がそれぞれの役員等の数のうちに占める割合は、いずれも3分の1以下とする定めがあること A 親族関係を有する役員等と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
B 親族関係を有する役員等の使用人および使用人以外の者で当該役員等から受ける金銭 その他の財産によって生計を維持しているもの
C AまたはVに掲げる者の親族でこれらの者と生計を一にしているもの
D 親族関係を有する役員等およびAからCまでに掲げる者のほか、次に掲げる法人の役員または使用人である者
①親族関係を有する役員等が会社役員となっている他の法人
②親族関係を有する役員等およびイからハまでに掲げる者並びにこれらの者と法人税法2条10号に規定する政令で定める特殊の関係のある法人を判定の基礎にした場合に同号に規定する同族会社に該当する他の法人
定款において、公益法人が解散した場合にその残余財産が国若しくは地方公共団体または租税特別措置法40条1項に規定する公益法人等に帰属する旨の定めがあること。
贈与または遺贈にかかる財産が贈与または遺贈をした者またはこれらの者の親族が法人税法2条15号に規定する役員となっている会社の株式または出資である場合には、その株式または出資にかかる議決権の行使に当たっては、あらかじめ理事会において理事総数(理事現在数)の3分の2以上の同意を得ることを必要とすること。

 

 

5 その他定款を変更する際の留意点

このほか、社団法人や財団法人が、定款を変更するときに留意したい事項は次のようなものがあります。

 

 

 

5-1 理事会の決議要件を変更する

理事会決議について従来制度では、賛成反対同数のとき、その決定権は議長に委ねることも可能でしたが、現制度では、特定の理事や評議員にのみ議決権を2個与えるような内容を定款で定めることはできません。

 

理事(評議員)の議決権については、その理事または評議員の人数により決せられる頭数主義が採用されています(一般法人法95条)。なお、その決議内容について利害関係がある理事はその議決に参加することができません(同法95条2項)。

 

ただ、理事会決議において議長である理事が議決権の行使を一旦保留としたうえで可否同数になった場合に、行使するという方法は差し支えないとされています(公益法人インフォメーションより)。

 

一方、社員はひとり1つの議決権を持つとされますが、定款で別途の定めをすることも可能です(一般法人法48条)。ただし、前述したとおり、社員総会での決議事項において議決権を行使することができないとする内容にすることはできません。

 

 

 

5-2 社員・理事、理事会、評議員会のみなし決議

また、理事または社員が社員総会の目的である決議事項について一般法人法では「みなし決議」が定められています。「みなし決議」とは社員の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたとき、その提案を可決する旨の社員総会の決議があったものとみなされる制度です(一般法人法58条)。

 

理事会のみなし決議については、同法96条で、理事が理事会の決議の目的である事項について提案をした場合、提案事項について議決に加わることができる理事の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、提案を可決する旨の理事会の決議があったものとみなす内容を定款で定めることができると定められています。ただし、監事が提案事項について異議を述べていないことが条件となります。

 

一般社団法人における監事は、理事の業務執行の監査、計算書類の監査、財産の状況監査、理事会の召集などの職務になります。理事に対する監督・監査としての役割を求められる機関です。このほか、法人の代表権(法人と理事との間で訴えを起こしている場合)、差し止め権(理事が定款に違反する行為をしたとき)、事業報告請求権(理事、使用人に事業の報告を求めることができる)、会計監査人の解任権などの権限も持ちます。社団法人と監事は委任の関係にあり、民法上の善管注意義務を負っています。

 

評議員会のみなし決議については、理事が評議員会の目的である事項について提案をした場合、提案事項について議決に加わることができる評議員の全員が書面または電磁的記録により同意の意思を示したときは、当該提案を可決する旨の評議員会の決議があったものとみなされます。

 

 

 

5-3 自主的に解散できない一般財団法人

一般財団法人が一般社団法人と大きく異なる事項の一つに、自主的に解散することができない点が挙げられます。つまり、財団法人は、評議員会の決議など法人期間の意思決定により、解散できません。解散できるのは、①定款で定めた存続期間の満了、②定款で定めた解散の事由の発生、③基本財産の滅失その他の事由による一般財団法人の目的である事業の成功の不能、④合併(一般財団法人が消滅する場合の合併に限る)、⑤破産手続開始の決定、⑥裁判所の決定のみとなっています(一般法人法202条1〜6項)。

 

一方、一般社団法人は社員総会の決議など法人の意思決定により自主的に解散することが可能です。このほかの解散事由としては、①定款で定めた存続期間の満了、②定款で定めた解散の事由の発生、③社員が欠けたこと、④合併(一般社団法人が消滅する場合の合併に限る)、⑤破産手続開始の決定、⑥裁判所の決定となります(一般法人法202条1〜6項)。

 

 

 

5-4 消滅法人は承認を受ける義務がある

一般法人法が定める合併には、吸収合併と新設合併の2種類があります。吸収合併とは、「一般社団法人または一般財団法人が、ほかの一般社団法人または一般財団法人と合併する場合に、合併により消滅する法人の権利義務の全部を合併後存続する法人に承継させるもの」(同法2条5項)をいいます。新設合併は「2つ以上の一般社団法人または一般財団法人がする合併であって、合併により消滅する法人の権利義務の全部を合併により設立する法人に承継させるもの」(同法2条6項)となります。

 

なお、一般社団法人が解散した場合には、一般社団法人は、当該一般社団法人が合併後存続する一般社団法人となる合併をすることができません(同法151条)。一般財団法人が解散した場合も、一般財団法人は、一般財団法人が合併後存続する一般財団法人となる合併をすることができない(同法205条)

 

また、吸収後、消滅する法人は、吸収合併契約の法的効力が発生するまでの間、契約書を主たる事務所に備えおく義務が生じます(同法246条)。また、この間、吸収合併消滅法人の社員、評議員及び債権者は、吸収合併消滅法人に対して、その業務時間内はいつでも「書面の閲覧請求」「書面の謄本・抄本の交付請求」「電磁的記録の閲覧請求」「電磁的記録の提供請求、その事項を記載した書面の交付請求」をすることができます(同法246条3項)。

 

さらに、効力発生日の前日までに、吸収合併により消滅する法人は、社員総会または評議員会の決議で、吸収合併契約の承認を得なければなりません(同法247条)。吸収合併消滅法人は、吸収合併存続法人との合意のもと、効力発生日を変更することができますが、変更前の効力発生日の前日までに、変更後の効力発生日を公告しなければなりません(同法249条)。

 

 


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