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高齢者の貧困問題を考える〜韓国では65歳以上の2人に1人が貧困?〜

下流老人など一時期話題となった高齢者の貧困問題。米誌フォーブスが伝えたOECD(経済協力開発機構)加盟国の65歳以上人口の12.6%は貧困層に属するとされます。貧困率1位は韓国の49.6%で、実に高齢者の二人に一人が貧困であることが判明し、韓国社会に衝撃を与えました。
また、日本の高齢者貧困率は19.4%で全体で4位と、決して楽観視できない数字です。

 

厚生労働省によれば、生活保護を受給する全世帯のうち、65歳以上の高齢者世帯が半数を超えるとの調査結果も出ました。

 

深刻化する世界の高齢者貧困問題。「老後は安心してのんびり暮らせる」はもはや過去の出来事なのでしょうか。

 

 

目次

  1. 1 OECD加盟国の平均高齢者貧困率12.6%
  2. 1-1 韓国、2人に1人の高齢者が貧困
  3. 1-2 原因は年金制度の成熟度
  4. 1-3 貧困率1位は誤解?新指標の開発へ
  5. 2 国内高齢者の貧困状況
  6. 2-1 高齢者世帯の52%、「生活が苦しい」
  7. 2-2 生活保護受給者の52.4%が高齢者

 

1 OECD加盟国の平均高齢者貧困率12.6%

OECD加盟各国の65歳以上の家計収入を取りまとめた報告書(2015年)によると、12.6%が相対的貧困層に属することがわかりました。相対的貧困層とは、その国の平均収入の半分以下の所得で暮らしていることを指します。

 

 

1-1 韓国、2人に1人の高齢者が貧困

各国の高齢者貧困率をもとにランキングを作成すると、2位を15ポイント近く引き離して韓国が1位となります。貧困率49.6%とほぼ半数の高齢者が平均収入の半分以下の所得で暮らしていることがわかります。

 

ついで、2位オーストラリア35.5%、3位アメリカ21.5%、4位日本19.4%、5位トルコ18.4%、6位イギリス13.4%、7位ドイツ9.4%、8位イタリア9.3%、9位ポーランド8.4%、10位アイルランドおよびギリシャ6.9%となりました。

 

一方、貧困率が最も低いのはオランダでわずか2.0%。ついで、フランス3.8%、カナダ6.7%、スペイン6.8%とつづきました。

・ 高齢者貧困率トップ10

順位 国・地域名 貧困率
1 韓国 49.6%
2 オーストラリア 35.5%
3 アメリカ 21.5%
4 日本 19.4%
5 トルコ 18.4%
6 イギリス 13.4%
7 ドイツ 9.4%
8 イタリア 9.3%
9 ポーランド 8.4%
10 アイルランド 6.9%
ギリシャ
12 スペイン 6.8%
13 カナダ 6.7%
14 フランス 3.8%
15 オランダ 2.0%

 

ランキング

(参照:statista

 

 

1-2 原因は年金制度の成熟度

調査を行ったドイツ・statista社のNiall McCarthy氏は、韓国の貧困率について「この驚くほど高い数字の理由の一つとして、完全に成熟していない年金制度を挙げられる」と指摘します。

 

韓国の年金制度は、1999年、公務員を対象とする特殊職域年金と国民年金をもとに皆年金制度が成立しました。
受給額は、国民年金が60%、それ以外(公務員年金、私学年金、軍人年金)は最高76%とされていましたが、高い給付水準が年金財政を圧迫した結果、次第に引き下げられ、2028年には40%ほどになり生活保護を下回るとの試算もあります。

 

 

1-3 貧困率1位は誤解?新指標の開発へ

コリア

(出展:CNN.com)

 

OECD加盟国中ダントツの貧困率1位となったことを受けて、韓国保健福祉部は汚名返上のため新しい貧困指標の開発に着手した、と韓国紙ハンギョレ(16年6月14日付)は報じました。

 

保健福祉部は高齢者貧困に関する研究テーマのなかで、従来の高齢者貧困率の指標以外に、高齢者の所得や財産状況など韓国の特殊性を考慮した正確な指標を開発することが必要だと発言。

 

ハンギョレによると韓国では住宅を保有する高齢者が多く、年金収入だけでは判断できないと反論しています。

 

しかし、保健部の対応に対して、貧困問題を解決するのではなく、指標の統計基準を変えることで誤魔化すだけだとの批判も出ていると、ハンギョレは伝えました。

 

 

2 国内高齢者の貧困状況

厚労省の平成28年年度国民生活基礎調査によると、「生活が苦しい」と感じている高齢者世帯※は、全体で52%いることがわかりました。

 

2-1 高齢者世帯の52%、「生活が苦しい」

各種世帯別にみた生活意識(熊本県を除く)では、高齢者世帯のうち「大変苦しい」「やや苦しい」と応えた割合はそれぞれ20.9%、31.1%で合計すると52.0%となります。

 

一方、「普通」「ゆとりがある」と応えた高齢者世帯はそれぞれ、43.4%、4.6%となりました。

 

・生活意識調査

  高齢者世帯 児童のいる世帯 全世帯
「大変苦しい」 20.9% 26.8% 23.4%
「やや苦しい」 31.1% 35.2% 33.1%
「普通」 43.4% 33.7% 38.4%
「ややゆとりがある」 4.0% 4.0% 4.5%
「大変ゆとりがある」 0.6% 0.3% 0.6%

 

高齢者

(参照:厚生労働省「平成28年年度国民生活基礎調査」)

 

 

2-2 生活保護受給者の52.4%が高齢者

このほか同省の被保護調査※によると、2017年3月時点の生活保護受給世帯のうち、高齢者世帯は52.4%であることがわかりました。

 

保護停止中を含まない163万3768世帯の被保護世帯のうち、高齢者世帯は85万5586世帯で、前月比3.5%増加、全体の52.4%を占めます。他の受給世帯と違い、高齢者の被保護世帯は右肩あがりに増え続けているのが特徴です。

 

・ 世帯別に見た被保護世帯の推移

年・月 高齢者世帯数
2016年1月 80万6548
2月 80万8308
3月 82万6660
4月 83万0512
5月 83万1568
6月 83万2525
7月 83万3447
8月 83万4621
9月 83万5402
10月 83万6387
11月 83万7742
12月 83万8386
2017年1月 83万8843
2月 83万9073
3月 85万5586

 

・貧困率の推移

推移

(参照:厚生労働省「平成28年年度国民生活基礎調査」)

 

国内の貧困高齢者数は増加の一途をたどり、今後も減少する見込みはないとされています。日本も韓国社会と同じように、2人に1人が「下流老人」となる日が来てしまうのでしょうか。

 

※ ここでいう高齢者世帯とは、男女とも65歳以上の者のみで構成されている世帯か、これらに18歳未満の者が加わった世帯をいう。

※ 被保護調査とは、生活保護法による生活保護を受けている世帯の保護の受給状況等、また、社会福祉関係諸法規の施行に伴う各都道府県、指定都市及び中核市における行政の実態を数量的に把握する調査のこと。2012年度より被保護者全国一斉調査と福祉行政報告例(生活保護部分)を統合したもの。

 

 


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