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不動産投資の成長にむけたアクションプランを策定〜目指せ!資産総額30兆円〜

国土交通省は6月、不動産投資市場の成長実現にむけて、官民連携で取り組む具体的なアクションプラン(行動計画)をまとめました。2020年頃を目処にREIT(リート)などの資産合格を約30兆円に倍増する目標を掲げました。

 

人口減少で空き家が増加するなか、不安視されるようになってきた不動産投資。それでも近年の日銀による超金融緩和政策や、中国人による積極的な投資で、国内不動産投資市場は活気づいていました。

 

しかし、昨年末あたりからリスク回避のため、売りにでる投資家が増えるなど人気に陰りが見え始めました。

 

果たして不動産投資の成長に向けたアクションプランとはどういうものなのしょうか。

 

 

目次

  1. 1 アクションプランの概要
  2. 1-1 企業不動産の活性化とリート市場改革
  3. 1-2 投資環境改革と人材育成改革
  4. 2 日本の不動産投資市場の現状
  5. 2-1 J-REITの保有資産は2005,2006年頃の水準まで回復
  6. 2-2 外国人観光客の増加でホテル売買が活発化

 

1 アクションプランの概要

国交省は、将来的な経済成長を持続させるために、不動産投資市場の魅力的かつ安定的な成長を促すことが重要だと捉え、都市力の向上につながるオフィスの供給や観光分野など成長分野への不動産の供給を推進する方針であることを発表しました。

 

アクションプラン

(▲国交省がまとめた不動産投資成長持続の行動計画)

 

アクションプランでは2020年頃までにリート(不動産投資信託)の資産総額を30兆円に倍増させることを目指します。具体的には、企業不動産の活性化、リート市場の改革、不動産投資家の投資環境改革、人材育成改革の4つに取り組みます。

 

・ アクションプラン概要

企業不動産の活性化 企業等が保有する不動産ストックの成長性の高い資産等への転換を進めるため、ガイドラインの改訂やフォーラムの開催等を通じ、これまでCRE(企業不動産)の有効活用に積極的ではなかった業界・団体におけるCRE戦略の導入・実施を促す
リート市場改革 成長分野で拡大する不動産需要に対し、不動産ストックの価値向上を支えるために必要な資金を調達する不動産投資市場の機能向上を図る
不動産投資家の投資環境の改革 多様な投資家からの投資を呼び込むため、不動産情報基盤の充実等、不動産投資環境の整備を進める
人材育成改革 これら3つの改革に必要な人材を確保するため、産官学金が連携して人材育成の機会の提供等を促進する

※ リートとは、投資者から集めた資金で不動産への投資を行い、そこから得られる賃貸料収入や不動産の売買益を原資として投資者に配当する商品のこと。投資者は、REITを通じて間接的に様々な不動産のオーナーになり、不動産のプロによる運用の成果を享受することができる。(参照:三井住友トラスト・アセットマネジメント)

 

 

1-1 企業不動産の活性化とリート市場改革

国交省によると、企業不動産の活性化では、たとえば、百貨店の建て替え、ホテル・オフィス等との複合施設化、今後増加する空きビル等のリノベーション・コンバージョン・建て替え、環境性・健康性・快適性に優れたオフィスの供給など、CRE※(企業・団体不動産)の有効活用に取り組む方針です。

 

このほか、不動産投資の専門家からなる有識者会議の開催や投資家に向けた周知活動などを推進するとしています。

 

一方、リート市場の改革では、空き家や空き店舗などの遊休不動産が全国で増加していることを受けて、クラウドファンディングを通じて集めた資金を活用して、地方創生につなげる取り組みである「不動産特定共同事業」を促進させます。

 

このほか、不動産投資の多様化にあわせて、不動産鑑定評価の利便性・信頼性の向上を図ります。

 

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※ CREとは、Corporate Real Estateの略で、企業が事業などのために保有している不動産のこと。たとえば、本社ビルや、出張事務所、社宅、社員寮、工場などがCREに当たる。
※ 不動産特定共同事業では、空き家・空き店舗等の再生事業に地域の不動産事業者等が幅広く参入できるようにするため、出資総額等が一定規模以下に抑えた「小規模不動産特定共同事業」が創設された。

 

 

1-2 投資環境改革と人材育成改革

不動産の投資のグローバル化に向けて、国際金融センターとしての日本の地位を向上させるため、中長期的なトータルリターンやリスク要因を示す情報の提供がされるよう取り組む方針を示しました。

 

このほか、不動産市場の透明度の向上(日本19位)や、リートの多様化にあわせてホテル・ヘルスケアなどの事業用物件で収益を確保するオペレーショナル・アセットの情報・指標の充実化を図ります。

 

一方、人材育成では、産学連携を強化し、不動産投資戦略を進めることができる企業内人材の育成、アウトソーシングできるコンサル業の育成に取り組みます。このほか、不動産アナリスト、アセットマネージメントを担うマネージャー、グローバルスタンダードに対応できる人材の育成にも取り組みます。(参照:国土交通省)

 

 

2 日本の不動産投資市場の現状

野村総合研究所は、日本経済は、人口減少や成長率の鈍化など明るい材料は少ないものの、その規模は依然として大きく、今後も投資対象として無視はできないだろうと分析します。

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・主要国の名目GDP比較

GDP

(▲2020年代に入っても日本の名目GDPはインド等の新興国に追い付かれることはなく、世界第3位であり続ける見通し / 参照:野村総合研究所「日本の不動産投資市場2016」)

 

 

2-1 J-REITの保有資産は2005,2006年頃の水準まで回復

野村総研によれば、日本版の不動産投資であるJ-REITは2013年度に前年比約7000億円増となる2兆円の資産を取得し、2006年時を超えました。2014年以降は、J-REITは最有力購入者の座から転落、私募ファンド(TMK、GK-TKなど)が台頭しています。

 

・ 証券化対象不動産の取得実績の推移

  J-REIT 私募ファンド(TMK、GK-TK)
2005年 1.772兆円 5.159兆円
2006年 2.031兆円 6.242兆円
2007年 1.679兆円 7.205兆円
2008年 0.628兆円 2.210兆円
2009年 0.439兆円 1.359兆円
2010年 0.604兆円 0.539兆円
2011年 0.792兆円 1.549兆円
2012年 1.555兆円 1.791兆円
2013年 2.237兆円 2.156兆円
2014年 2.080兆円 3.433兆円
2015年 2.066兆円 3.302兆円

 

推移

 

※ J-2013REITは、多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数2014の不動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する不動産投資法人。20012015年に証券取引所に上場。(参照:一般社団法人投資信託協会

※ TMKとは、資産を取得・保有し、その資産を裏付けにした証券を発行して資金を集めることを目的として設立された法人のこと。Tokutei Mokuteki Kaisha(特定目的会社)の略。(参照:不動産ジャパン)。一方、GK-TKとは、投資家の皆様に匿名組合(TK)出資をしていただいた出資金と金融機関からの借入金により、不動産信託受益権を取得し運用する法人のこと。GK(Goudou Kisha=合同会社)、TK(Tokumei Kumiai=匿名組合)の略。

 

 

2-2 外国人観光客の増加でホテル売買が活発化

インバウンド産業の急成長によりホテル投資は活況です。
円安やビザ緩和を受けて今年4月の訪日外国人観光客数が前年同月比23.9%増となる257万9000人に達し、単月としてはじめて250万人を突破。野村総合研究所の推計では、2030年までに年間5000万人まで拡大すると見られています。

 

それに応じて、ホテル投資も2012年度より急激な伸びを見せはじめ、2014年度には4190億円、2015年度には6620億円に拡大しました。東京都では今後3年間で約1万室の宿泊施設が、大阪では4000室以上の新設が見込まれており、ホテル収益の拡大は続くと見られています。

 

・過去6年間におけるホテルREIT賃料の推移

ホテル収益

(参照:野村総合研究所「日本の不動産投資市場2016」)

 

また、過去5年間を平均した用途別の不動産の割合は、オフィス37.0%、住宅15.1%、商業15.7%、物流14.8%、ホテル7.3%、複合施設2.1%、ヘルスケア1.0%、その他7.0%となりました。

 

・ 過去5年間の用途別不動産の取得実績

オフィス 37.0%
商業 15.7%
住宅 15.1%
物流 14.8%
ホテル 7.3%
複合施設 2.1%
ヘルスケア 1.0%
その他 7.0%

 

今年に入って活況ぶりに陰りが見え始めたと指摘される国内の不動産投資市場。「五輪までもつかどうか」との声も少なくありません。果たして日本の不動産投資市場の成長は止まってしまうのか。今後は、国交省によるアクションプランの真価が問われることになりそうです。

 

 


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