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計算について

会社法が会社の計算について詳細なルールを規定した背景は、大きく言えば、①株主や会社債権者に対する的確な情報提供と、②剰余金分配規制の2つです。

 

①は、株式会社の特徴である「所有と経営の分離」を前提に、株主や債権者に正確な会計や会社財産の状況等の情報を提供し、②では、株主と会社債権者との利害調整のために剰余金分配等の規制と違法な分配に対する責任を規定しています。

 

会社の計算(会計)では、会社法によるルール設定の他に、金融商品取引法等の様々な規定が存在しますが、ここでは、会社の計算についてその理解を進めるための基本的な知識を示したいと思います。

 

 

目次

  1. 会社の計算とは
  2. 会計帳簿について
  3. 計算書類等について
  4. 計算書類の監査・承認
  5. 計算書類等の備置き、閲覧
  6. 資本金・準備金について
  7. 株主総会決議による剰余金の配当について
  8. 取締役会の決議による余剰金の配当について
  9. 剰余金配当可能額

 

会社の計算とは

会社の計算とは、会社の財産状況や事業成績を明確に示すための会計制度と言えます。

 

会社法は、会社の計算について、株式会社の計算については第二編第五章(会社法431条~465条)で、合同会社等の持ち分会社の計算については、第三編第五章(法614条~636条)に詳細な規定を設けています。

 

会社法が会社の計算について詳細な規定を設けている趣旨は、①株主に対する報告、②債権者に対する会社の情報提供、③剰余金配当等の分配可能額の算定の明確化の以上3つがあると考えられます。

 

①については、株式会社が多数の株主の出資財産をもとでに事業を行い、出資者にその利益を分配することを目的とする会社形態であるため、定期的に損益計算や会社財産の状況を客観的な基準に照らして報告する必要があるためで、また、客観的で明確な会計基準に従う事で、他社との財務状況や会社の業績の比較も可能になります。

 

②については、株式会社の社員である株主は、間接有限責任を負うにすぎない為(法104条)、会社債権者に引き当てられる財産は会社財産に限定されます。そこで、会社の会計に不正処理がないように、会社財産の適切な状況を開示する義務を会社に課し、債権者の保護を図ります。

 

③については、株式会社は、その保有する資産のうち、事業で生じた利益や事業に直接使用していないものの活用で得た利益を、一定の範囲内で株主に分配することができます。この分配可能額の算定のためには、その時点の会社の資産状況等の把握が不可欠です。ただ、この問題は、少しでも多くの余剰金配当を受けたい株主と会社債権者の利益を如何に図っていくのか調整が必要です。

 

会計帳簿について

会社の計算に関して必ず理解しておく必要があるものに、会計帳簿があります。

 

会計帳簿とは、会社の日々の取引と、その他会社財産に影響を及ぼす事項を継続・組織的観点から計算した帳簿(会計帳簿とは、日記帳、仕訳帳、総勘定元帳等のことを言います)です。

 

会社は、法務省令に従って、正確な会計帳簿を作成する義務があります(法432条2項)。また会社は、会計帳簿及び事業に関する重要な資料を会計帳簿閉鎖の日から10年間保存する必要があります。

 

会社は、会計帳簿について、ある一定の条件のもとで株主の閲覧請求・謄写請求に応える必要があり、親会社の社員も、その権利行使を行うために必要がある時は、会計帳簿の閲覧・謄写請求権があります(法433条2項)。

 

計算書類等について

計算について

会社の計算(会計業務)は、公正で妥当な企業会計の慣行に従う必要があり、会社は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、その他会社財産及び損益状況を必要かつ適当なものとして法務省令で定める「計算書類」を作成する必要があります。

 

通常は、これら計算書類に事業報告書や付属明細書をまとめて、「計算書類等」と称しています。

 

貸借対照表とは、会社のある一定の時点における財産状況をまとめた一覧表です。損益計算書は、一定の期間に発生した収益と費用を記載し、その間に会社に発生した純利益と損失を表示する会社の経営成績表を示す計算書です(小学生で言えば、通信簿)。

 

株主資本等変動計算書は、事業年度における純資産項目の変動明細書です。

 

会社は、計算書類を作成した時から10年間、計算書類及び付属明細書を保存しなければなりません(法435条4項)。

 

計算書類の監査・承認

作成された計算書類等は、会社の機関設計に応じて、各機関の監査・承認を受ける必要があります(法436条~439条)。

 

監査役設置会社で会計監査人を設置していない会社では、監査役の監査を受けます。会計監査人設置会社では、監査役と会計監査人双方の監査を受けます。ただ、事業報告と付属明細書については、監査役のみの監査で足ります。

 

取締役会設置会社では、上記の監査を経たうえで、取締役会の承認を受けます(法436条3項)。ただ、取締役会非設置会社では、この承認は省略されます。

 

取締役会設置会社では、取締役は、定時株主総会の招集に際して、取締役会の承認を受けた事業計画書、計算書類等を提供する義務を負います。

 

取締役は、定時株主総会において、計算書類および事業報告を提出し、計算書類については承認を受け、事業報告については、報告することが必要です。

 

計算書類等の備置き、閲覧

会社は、計算書類等並びに監査報告、会計監査報告を定時株主総会の日の2週間前(取締役会非設置会社では1週間前)の日家から、本店に5年間、支店に3年間備置きする必要があります(法442条1項1号、2項1号)。また、株主及び会社債権者は、これらの書類の閲覧・謄写を請求する権利があります(442条3項)。また、親会社の社員も、その権利を行使するために必要がある時は、裁判所の許可を得て、同様の請求権を有しています(442条4項)。

 

資本金・準備金について

会社の計算を理解するにあたり、資本金・準備金の知識を得ることは重要です。

 

資本金とは、会社財産の維持するための基準となる数額のことです。株式会社では、株主は間接有限責任に限定されるので、会社債権者にとって、債権に引き当てられるのは、会社の財産のみです。そこで会社法では、会社債権者の保護のため、資本金と言う一定の額を定めて、会社が株主に対する会社財産の分配に対する際に、会社財産が資本金として定めた額を下回ることがないよう規定しています。

 

また、準備金とは、資本金を基準に資本金に付加して会社に積み立てておくべき保留額のことを言います。会社法の原則では、会社財産に加えて、準備金が付加された会社財産が確保されない限り、剰余金の株主配当を行えないようにして、株主と会社債権者の利益衡量を図っています。

 

株主総会決議による剰余金の配当について

株式会社は、剰余金の配当をもって、株主に還元します。剰余金の配当は、原則として、株主総会決議により、配当財産の種類及び帳簿価額の総額、株主に対する配当財産の割当事項、及び、剰余金の効力発生日を定めて行います(454条1項)。

 

以上のような要件が定められた趣旨は、剰余金を株主に配当するより、会社の設備充実や新規事業に投資した方がより大きな利益を生み、そうした方が、株主にとっても好都合で有ることも考えられるので、最終的な判断を会社の実質的所有者である株主の判断に委ねるためです。

 

取締役会の決議による余剰金の配当について

計算について

取締役会及び会計監査人を設置し、かつ、取締役の任期を選任後1年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会終了日以前とする会社、又は、委員会設置会社では、剰余金の配当を取締役会が決定できることを定款に定めることが可能です(459条1項)。

 

この条項の立法趣旨は、会社の業績は常に変動するので、時を得た剰余金の配当を行うには、取締役会が決断することに一定の実益があり、しかも、取締役の任期を約1年とする会社では、定時株主総会における取締役選任決議で、取締役が行う資本政策についても、株主のコントロールが十分及ぶためとされています。

 

剰余金配当可能額

剰余金の配当は、剰余額のうち、株主に配当等により交付することが認められる額(配当可能額、法461条2項)の範囲内で認められます。この規定の趣旨は、無制限に剰余金を株主返戻することを防止し、もって、会社財産を確保して会社債権者を保護することにあります。

 

ただ、剰余金が分配可能額を超えて株主に返戻されても、その行為自体は無効になりません。会社が分配可能額を超えた剰余金を行った場合は、返戻を受けた株主は、その帳簿相当額を会社に支払う義務があり、配当に関する職務を行った取締役や執行役は、株主と連帯して帳簿金額の相当額を会社に支払う義務を負います(462条1項)。

 

また、監査役、会計参与も、違法な剰余金配当に関して、これらの者の職務に関して懈怠がある場合は、会社に対して損害賠償責任を負います(423条1項)。また、取締役・執行役と同様に、これら者に故意や重過失がある場合は、第三者に対する責任が生じる場合もあります(462条2項)。

 


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