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経理の仕事内容 決算作業までの業務

皆さんは経理の仕事にどういうイメージをお持ちでしょうか?黙々と数字とにらめっこをしている、現金を合わせるのが大変そう、決算って難しそう、などが代表的な経理へのイメージとして挙げられます。

 

この記事では、経理の日常業務から決算作業までを取り上げます。もし、経理に対してどこかカーテンの向こう側の世界のような印象を持っていたら、この記事で一緒にカーテンを開いてみることにしましょう。

 

現在、経理として働いている方にとっては、経理の業務を網羅的に説明していますので、自分の仕事以外の業務に触れる機会となるはずです。

 

経理の月次や年間スケジュール、またやりがいも紹介していますので、是非最後まで読んでください。

 

 

1 経理の業務概要とやりがいとは

会社は、人を雇い材料を仕入れて、商品を売り工事をおこなうなどをして利益を上げます。その利益から株主に配当をし、また従業員に給与を払い、そして税金という形で社会に還元をします。会社は経済活動をおこなうことを目的とし、また社会においてはお金を循環する役目を担っているといえます。

 

会社が何かをおこなう際にまず必要となり、そして営業活動の区切りの時期に成績結果となる、お金にまつわる業務を担当するのが経理です。お金の管理や集計をする経理の業務を正しくおこなうことで、会社もまた正しく機能するといえます。

 

経理はお金の動きや残高を「科目」という区分に当てはめて管理します。科目には、売上の場合は「売上」、原価の場合には「製造原価」などがあります。設備や建物の修理費用は「修繕費」という科目に集計し、設備の現在価値を「機械設備」などの科目で表記します。

 

そして、「どうして」「幾ら」の入出金があったのかを調べて、その2つの側面にそれぞれ科目付けをおこない、会計帳簿に記載します。この2つの側面からの科目付けのことを「仕訳」といい、2側面で科目付けし会計帳簿へ記載する方式のことを「複式簿記」といいます。

 

「複式簿記」は世界共通のルールのため、共通認識に基づいて会社の利益や財務状況を分析することができます。

 

また、経理の元には会社の内外のお金の動きが集まります。会社の経営状況や取引状況、そして各部署ごとの営業状況などの情報を把握することができます。その情報を元にして、年間予算の策定や実績の管理、また経営陣の求めに応じて年度比較の集計表などの経営資料の作成をおこないます。

 

そして、決算業務においては1年間の会社の営業活動の総まとめをおこないます。経理は表に出る役回りではないものの、会社の総まとめという重要な役割と責任があり、またそこにやりがいもあるといえるでしょう。

 

経理は全体を見渡すことができるポジションであるため、業務規則やお金の取り扱いルールを制定し、全社にアナウンスすることがあります。経理が会社にとって適切な規則やルールを制定することで、従業員の意識が高まり業績が向上し、会社の発展を実感することもあります。

 

経理の具体的な日常業務には、商品の売上や人件費の管理、出張旅費や立替金の精算などがあります。現金を直に扱うこともあるため、プレッシャーもありますが、それだけに手元の現金残高と仕訳をして記帳した結果とが一致した時の喜びはひとしおです。

 

一方、現金が合わないことや、予期しない入金(出金)記帳額を目にすることがありますが、ベテラン経理担当者は長年の経験と勘によって問題を解決することが往々にしてあります。また、ベテラン経理は、分厚い綴りの中からたった一枚該当する領収証をあっという間に探しあてるなど、パソコンが普及しシステムが発達した今でも頼られる存在です。

 

さて、今までお金にまつわる担当のことを経理と呼んできましたが、会社によっては経理の仕事を「経理」「会計」「財務」と3つに分けている場合もあります。次の章ではそれぞれの役割を説明しましょう。

 

 

2 経理、会計、財務。それぞれの役割

経理の仕事を3つに分けた場合の「経理」の役割から説明しましょう。経理では、売上や原価の管理、商品や材料の入出庫管理、給料計算、そして決算に至るまでの仕訳作業や伝票の管理業務などをおこないます。

 

「会計」は、現預金の動きを管理し、現預金に関しての各種資料を作成します。また、設備などの固定資産の管理も担当するなど、会社の財産に特化した部署となります。

 

しかし、経理と会計との間に厳密な線引きはありません。文献によって、片方がもう片方の狭義となったり広義となったりします。経理と会計は、会社によって、裁量や定義が異なっているといえるでしょう。

 

一方、「財務」は、経理と会計とは明確に役割が異なります。財務は会社の未来のお金や財産を扱い、予算編成や資金の調達・運用が主な仕事となります。会社の中長期的な計画を担う専門部署です。

 

 

3 経理の仕事

経理の仕事は、会社によって、お金に関する業務を専門とする場合から、一般事務作業を兼ねる場合まで様々です。ここでは、上記の経理、会計、財務という区別を特に意識することなく、広く経理が担当する可能性のある仕事の内容を、現場の空気感を混じえて一つずつ見ていきましょう。

 

 

 

3-1 社内外の窓口対応

経理は社内外の窓口となります。社内においては、従業員の出張対応や、現金に関する各種取り扱い規則の問い合わせなどに応じます。経理にとってはよく聞かれる質問事項でも、質問する側にとっては初めての質問という場合がありますので、親身になって受け答えすることで、頼られる、雰囲気の良い経理となります。

 

経理は決算時に関係部署への問い合わせが多くなりますので、困ったときはお互い様ということです。

 

社外からの問い合わせでは、経理が事務を兼ねている際には(または事務に経理業務がある場合には)、全社的な窓口となります。このとき経理は会社の顔ともいえますので、経理の対応の仕方が相手方の自社への評判につながります。

 

経理がお金を専門に扱う部署である場合は、金融機関や取引先からの問い合わせが中心となります。取引先からの問い合わせには支払日や支払額の照会があり、金融機関からは支払内容の確認などがあります。

 

 

 

3-2 伝票起票、帳簿記載処理

経理は全てのお金の動きを「伝票」によって処理します。伝票には主に「入金伝票」「出金伝票」「振替伝票」の3種類があります。

 

入金伝票及び出金伝票は、金額欄に幾らの入出金があったのかを記載し、摘要欄と呼ばれるところにその入出金の内容を記載します。入出金の内容によって科目が決定します。例えば、請求書を送付したときの郵送料は、科目欄に「通信費」と記載した出金伝票を用意します。

 

その2つの伝票では追えないお金の動きを扱うのが振替伝票です。例として、3月中に売れた商品の売上金が3月のうちに入金されない場合を取り上げます。入金されないため3月の日付で入金伝票を作成することはできませんが、3月の売上であることを示すための手段として振替伝票を使用します。振替伝票の年月欄には売上が生じた日付を記載し、科目欄には実際の入金は先であることを表す「売掛金」を記すことになります。

 

伝票は上記3種類の他にも「仕入伝票」と「売上伝票」があります。小売業など、定例的な仕入や売上が多い業種は、仕入と売上に特化した仕入伝票と売上伝票を用いることで事務処理を効率的にします。

 

伝票は、会社や使用するシステムによって、起票するタイミングや役割に癖を持っています。異なる会社の伝票処理にはベテランの経理担当者でも戸惑うことがあります。伝票とは、「会計帳簿」を作成するための手段であり、作成や保管を法律で定めるところではないことから、会社ごとに独自の仕様を取っていることがあるのです。

 

会計帳簿とは、伝票の記載内容を科目ごとにまとめる書類です。会計帳簿は法律により作成と保管を定められており、後述の決算書の元となることから、経理の第一義は会計帳簿を作成することになります。

 

伝票は会計システムの発達によって紙ベースでの出力が少なくなってきています。さらには、システムや会社によっては伝票という言葉自体が影を潜め、システム内の一処理にその役割を託している場合もあります。

 

 

 

3-3 小口現金管理(出張の精算など)

急な支払いや立替金の精算などのために、経理が手提げ金庫に現金を備えている会社があります。金庫に収める手元現金には大体の額が定められており、一定額を下回ると補充します。また、最近は手元現金を廃止する会社が多い傾向にあります。

 

出張時には、手元現金から一定額の前払いや取りあえずの仮払いをおこない、出張後に精算をおこないます。このとき、前払いや仮払いは出金伝票にて処理し、出張後に仮払いのうちから幾らか戻ってくるものは入金伝票にて処理します。

 

また、仮払いや前払いは仮の科目のため、改めて経費精算をおこない、正しい科目へと変更します。このことを会計用語で「仮勘定から本勘定へ振替える」といいます。振替処理は、仮勘定を消す処理を入金伝票にておこない、本勘定へと変更する処理を出金伝票にておこないます。または、会社によって振替伝票を用いる会社もあります。

 

出張担当者は精算報告を忘れている場合がありますので、一定期間報告が無い場合には経理の方から催促をします。

 

手許現金の入出金が発生した日は、その日のうちに現金を計数することが基本です。そうすることで帳簿と現金残高の不一致が生じた際にも迅速に対応することができます。
経理も人間ですので、単純な渡し間違いをすることがありますので、手渡しの際に双方で確認するようにしましょう。

 

 

 

3-4 入出金管理

会社には様々な入出金があります。毎月の定例的な取引先への支払いや、売上の入金、年に数回または1回のみの税金の納付などです。

 

経理では入出金日や入出金額、また入出金の有無を管理します。必要な伝票が起票されているか、伝票に基づいて作成した帳簿の残高と通帳残高が一致しているか、確認をおこないます。期末の決算作業の際に慌てることがないよう、定期的にチェックし、問題を早めに潰しておくことが肝心です。

 

 

 

3-5 請求書の作成、送付

関係部署から情報を吸い上げて請求書を作成し、取引先に送付します。請求書作成時には「売上を計上するが入金は先」であることを示す振替伝票も共に作成します。

 

経理としては、関係部署からの情報伝達が滞りなく行われるように、経理宛の伝達方法を定型化し、分かりやすくすることも大事な業務です。

 

 

 

3-6 商品や材料の発注・受注・入荷・出荷の管理

商品や材料などの、取引先や倉庫などへの発注・受注・入荷・出荷状況を管理します。商品や材料を管理する部署が経理とは別部署となっていることもあり、その際は、当該部署では実際の商品や材料の個数を管理し、経理では種類や個数を元にした金額を帳簿にて管理することになります。

 

 

 

3-7 業務の見直し

会社が長く続けば続くほど、この資料は何のためにあるのか、誰が必要としているのか、形骸化し無駄な作業と化しているものがあるものです。現在実際に活用している書類の中にも、一部に不要な情報があるものの、そのままになっている場合があります。

 

資料は、どういう意味があり、どう繋がっているのか分かることで精度が上がります。経理は全体の業務を見渡し情報が集まってきますので、経理内の業務はもちろん、全社に関わる業務においても、より精度が上がるように業務の見直しを図ります。

 

 

 

3-8 売上・原価管理表やキャッシュフロー表など、各種資料の作成

直近の売上や原価を反映した管理表を作成するのも経理の重要な業務です。売上・原価管理表は将来の経営戦略のための資料や部署ごとの営業管理表として活用されます。

 

商品の販売や工事の引き渡しなどと、現預金の入出金までには時間差があり、当月中にて完結しないものです。このとき資料としては、売上や原価の認識ベースでの月次表と、現預金の増減の月次表の2種類を作成します。

 

現預金の増減の履歴表のことをキャッシュフロー表といいます。また、先の月の入出金予定を記載し、その月に資金が幾ら残っているか、枯渇することがないか管理する表のことを資金繰り表といいます。キャッシュフロー表や資金繰り表で会社の財務状況や資金を管理します。

 

経理では他にも経営陣からの求めに応じて様々な資料を作成します。時には、必要な情報が手元に無い状態での資料作成を依頼されることがあります。その際には、過去のデーターや経験から予測される数字を見積もり、経営陣の要求を満たす技量を問われることになります。

 

 

 

3-9 試算表の作成

決算時には1年間の総まとめの資料として、年度末時点の資産や負債残高を表す「貸借対照表」と、1年度分の収支の動きを表す「損益計算書」を作成しますが、その前段階として月次ごとに、ミニ貸借対照表・損益計算書ともいえる「試算表」を作成します。

 

試算表は通常上部と下部の2区分に分かれており、上部には貸借対照表の項目を記載し、下部には損益計算書に記載する各科目の合計額を記載します。この試算表の完成をもって、当月の経理の仕事の締め括りとします。

 

年度中のその月の金額の動きはある程度予想できるため、試算表の金額がその予想から大きく外れている場合には、予想外の何かが生じたことが分かり、早目に問題対策をおこなうことができます。

 

 

 

3-10 消費税の計算、申告

会社には入金に伴って発生する「仮受消費税」と、出金に伴って発生する「仮払消費税」の2種類の消費税があります。会社の規模に応じた一定期間ごとに、その差額分を税務署に申告します。その際、仮受消費税分が多くなった場合には納付をおこない、仮払消費税が多くなった場合には還付を受けることになります。

 

事業内容が海外との取引を含んでいる場合には消費税の計算も特殊な計算式を要することになります。また、国内取引においても、消費税が課税されるものと非課税となるものがありますので、その区分に基づいた仕訳を日頃からおこなうことが必要となります。

 

 

 

3-11 書類(証憑)整理

領収証や見積書、請求書、契約書、納品書などのお金にまつわる書類の管理は、経理の大事な仕事です。会計用語ではこれらの書類を「証憑」と呼び、証憑をまとめたものを「証憑綴り」といいます。

 

日付順、種類ごとに整理しておくことで、調べものが生じた際に時間を掛けずに調査をすることができます。証憑の綴り方も会社によって特徴があり、その会社にとって特に大事な資料や定期的に発生するものは、単独で専用の綴りを設けます。

 

後述する監査や税務調査の際には各種証憑の提出を求められます。このとき証憑の準備に時間を掛けすぎることは心証を悪くする元となり得ます。

 

また、証憑は法律により一定期間保存することになっていますので、自分で要不要の判断をすることなく大切に保管をしておきます。

 

 

 

3-12 予算・実績管理

お金を専門に扱う経理は、営業上の数字が最終的に行きつく場所でもあります。関係部署から集約した数字を帳簿に記載することで、売上や原価などの実績数値が算出されます。

 

また、数年間の実績を比較し、今年の見込みを加え、そして会社から与えられた範囲の中で予算を策定します。予算や実績は各部署にメールで報告をしたり、会議を開催したりして管理をおこないます。

 

 

 

3-13 金融機関とのやり取り

金融機関は経理にとって大事な取引先です。毎月の支払い時の振込依頼や、融資の際の折衝など、日頃から金融機関の担当者とは密接に関わることになります。金融機関とは持ちつ持たれつの関係のため、時には、個人的な運用やローンの営業の話を持ちかけられることもあります。

 

 

 

3-14 税務調査、会計監査への対応

経理では、税務署による「税務調査」や、監査人による「会計監査」への対応も担当します。

 

税務調査は、会計処理が法に基づいて正しく行なわれているかを、税務署の担当者が会社に赴いて実地調査するものです。調査頻度は特に定められておらず、数年間行われないこともありますが、上場会社では2年に1回となります。調査期間は会社の収支状況や規模により、数日から数ヶ月と様々です。

 

会計監査は監査人による会計処理の確認と承認が行われます。監査人は会社が定めた人物や、上場会社の場合は第三者の公認会計士を擁することが定められています。監査は少なくとも決算後に行われますが、期中に置いても適宜実施されます。

 

税務調査と会計監査は異なる立場・法律からの調査となりますが、両者ともに日頃から証憑の整理をおこない、不明な点は顧問税理士に問い合わせをして問題を解決しておくことで、スムーズに乗り切ることができます。問題点や課題点を提起された場合には、同じ間違いをしないように以後チェックをおこなうようにすることが肝要です。

 

 

 

3-15 給料、社会保険料などの計算

経理にて、給料計算やそれに伴う社会保険料や源泉所得税の計算を会社もあります。給料計算が別部署の担当であっても、社会保険や源泉所得税などはお金にまつわる分野ですので、基礎的な知識があると経理として業務に幅が出てきます。出張精算や立替金の精算などを給料に含める会社もあります。

 

 

 

3-16 原価計算

製造業などの、人件費や材料費などの各費用が積み重なって1つの製品ができあがる場合には、原価計算をおこないます。人件費を工数に基づいて商品ごとに振り分けたり、後述する減価償却費を商品ごとの設備稼働時間に応じて製品に振り分けたりする作業をおこないます。この振り分けのことを会計用語で「配賦」と呼びます。

 

また、経理が出した原価の数字と、営業などが算出した実績の数字とでは異なることがありますので、そのギャップを埋めていくのも経理の仕事の1つです。

 

 

 

3-17 固定資産管理

一定の金額以上の建物や設備のことを「固定資産」と呼びます。修繕費や広告宣伝費などはその年度内に処理する「費用」となりますが、固定資産の購入額は費用とはなりません。固定資産は長く会社に貢献する「資産」となり、年度をまたいで会計台帳に留まります。

 

固定資産の件数は会社によって数件から数万件と様々です。経理では帳簿上において固定資産を管理しますが、往々にして現物の固定資産と帳簿上の固定資産とでは、数量や使用状況において一致しないことが起こり得ます。

 

事務所勤務となる経理では固定資産の現物状況を知ることは困難ですので、設備担当者に現存確認や稼働状況を聞き取りし、あるいは共に現物調査をおこない、現物状況との突き合わせをおこなう作業が重要となります。廃棄した場合には帳簿から取り除き(会計用語で「除却」といいます)、能力が著しく低下した場合には帳簿上の価値を下げる「減損」をおこないます。

 

また、固定資産は購入年度では費用化されず、長く帳簿に留まりますが、現実の設備と同様に年を経るごとに価値を下げる処理をおこないます。この価値を下げる処理のことを「減価償却」といい、価値の減少は「減価償却費」という科目で費用化することになります。

 

減価償却費は期末に1年分まとめて計上する会社もあれば、月ごとに計上する会社もあります。設備の商品への貢献度(稼働時間)に応じて、原価に減価償却費の配賦処理をおこなう会社もあります。

 

また、固定資産には特有の税金である「償却資産税」がかかります。例年1月末までに、固定資産の所在先の地方自治体に前年中の固定資産の増減報告をおこない(または前年中に現存している固定資産の一覧を報告し)、その固定資産に応じた償却資産税の納付書が届きます。

 

 

 

3-18 棚卸し

期末日時点での商品や材料などの在庫数を数える作業です。倉庫の担当者などと調整の上、経理担当者同席の上で実地調査をおこなうのが一般的です。棚卸し作業のうちに、前述の固定資産の現物確認も含める会社もあります。後述の決算作業の1つに数えられる業務です。

 

 

 

3-19 決算作業

決算作業は経理の、そして会社の1年間の集大成となる業務です。決算作業にて現金や費用の締めをおこない、棚卸しにより商品や材料の数を確定し、売上や原価を算出し、それらを基にして1年間の営業成績資料である「決算書」を作成していきます。

 

決算作業のゴールは2つ、あるいは上場会社の場合は3つあります。どの会社にも共通するのは、「法人税法」と「会社法」で定めるところの2つで、上場会社の場合は更に「金融商品取引法」による取り決めもあります。この3つの定めるところに関してはそれぞれ後述します。

 

決算書には様々な書類がありますが、上記の3つの法律に応じて必要な書類が異なります。3つに共通するものは、前述の貸借対照表と損益計算書、及び会社の資本金などの変動額を記載した「株主資本変動計算書」です。

 

他には、お金の流れをまとめた「キャッシュフロー計算書」や科目ごとに内訳を羅列する「内訳書」、固定資産の明細書、1年間の事業内容をまとめた「事業報告書」などがあります。

 

また、貸借対照表や損益計算書は、提出先に応じて円の単位を百万円単位としたり、一部の科目はその他扱いでまとめたりと、数種類を用意することもあります。

 

 

 

3-20 法人税法に基づいた法人税納付と申告

法人税法では、税務署や地方自治体への決算の申告(「税務申告」といいます)と、法人税などの納付が定められています。

 

法人税などの納付日は決算日(年度末日)から数えて2ヶ月以内です。税務申告も同様に決算日から2ヶ月以内に提出するのを原則としていますが、特例により3ヶ月以内の提出が認められています。

 

経理はこの申告日までの間に、監査人による監査を受け、税理士へ各種決算書を提出して指摘事項があれば修正をおこない、そして通常は税理士にて作成することになる申告書類を税務署などに提出します。

 

 

 

3-21 会社法による株主総会の開催

会社法では株主総会の通知と開催を義務付けています。株主総会は株主に1年間の事業報告をおこなう会社の一大イベントです。経理では、決算書(会社法上では「決算報告書」)の用意はもちろん、株主総会開催日の通知から会場の調整、運営次第に関わります。

 

株主総会では収支の報告もおこないますが、営業活動内容や今後の計画の発表もおこないますので、関係部署との連携が重要となります。

 

 

 

3-22 金融商品取引法による財務諸表の開示

金融商品取引法上では決算書のことを「財務諸表」と呼びます。同法では財務諸表の開示を定めています。財務諸表は誰でもインターネット上で閲覧することができ、投資家の投資判断用の資料として活用されます。

 

 

 

3-23 銀行説明会の開催

取引先金融機関の支店長や担当者を集めて決算事項の説明会をおこなう会社もあります。金融機関への決算説明会は法によって定められているものではないため、開催の有無は会社の判断、または慣習化されているかによって決まります。

 

決算事項の説明会の後には、通常、会社の役員を交えての親睦会が開かれます。説明会の開催日の調整、通知や出欠確認は経理の役割となります。

 

 

4 経理の月次スケジュール

経理の一般的な月次スケジュールを説明しましょう。当説明においては、給料は月末締めの翌月25日払い、支払いは月末締めの翌月末日払いとしています。

 

期間 内容
1~10日 ・関係部署から前月の売上情報の収集をおこなう
・前月分請求書を作成し、送付する
・前月分の売上の伝票を起票する
・取引先からの入金確認や、入金用の伝票を起票する
・10日までに住民税や源泉所得税を納付する
11日~20日 ・前月の発注・受注・入荷・出荷の確認をおこない、伝票を起票する
・前月分伝票を帳簿へ反映する(会計システムへ入力する)
・前月の仮払消費税、仮受消費税を集計し、消費税額を計算する
・前月の試算表を作成する  
21日~月末 ・前月の給料や社会保険料、源泉所得税などの計算をおこなう
・消費税の申告(毎月の申告は前期の消費税額が4,800万円超であることが要件)
・支払いの準備をおこない、金融機関へ依頼する
・給料の振込み
・支払いの伝票を起票する

 

 

5 経理の年次スケジュール

経理の年間スケジュールを見てみましょう。決算月を3月と想定した場合の1年間の流れを記載します。

 

期間 内容
4月

・決算作業
棚卸しのまとめや各種伝票を整理し、科目の締めをおこないます。貸借対照表や損益計算書などの決算書を作成し、法人税の申告や株主開催の準備を進めます。

・軽自動車税や固定資産税・都市計画税・償却資産税を納付
納付書が届きますので(地方自治体により当月ではない場合もあります)、第1期分納付日が4月末日の場合は納付します。

5月

・法人税など(法人税、法人住民税、法人事業税、消費税)を納付(及び確定申告)
決算日から2カ月以内に納付します。確定申告の特例措置を受けていない場合は確定申告もおこないます。

・自動車税を納付

・株主総会の通知
開催日を調整し、株主あてに開催の通知をおこない、決算書の用意を進めます。

6月

・株主総会の開催

・(特例措置を受けている場合)確定申告をおこなう

・財務諸表の開示

7月

・源泉所得税を納付(特例を適用している場合)
通常は毎月10日までに納付をおこないますが、特例が適用されている場合は7月と1月の10日までの納付となります。

・固定資産税・都市計画税・償却資産税の第2期分を納付(地方自治体により異なる)

・健康保険や厚生年金保険額の提出
7月10日までに4月から6月の3ヶ月分の社会保険料を算出して日本年金機構に提出します。

8月 ・消費税の四半期中間申告及び納付
前期の消費税額が400万円から4800万円までの会社は、消費税の中間申告をおこない、納付します。
9月 ・中間決算の準備
中間決算をおこなう会社は、9月末に棚卸しなどをおこないます。中間決算の棚卸しは本決算に比べると簡素化されているのが通例です。
10月 ・中間決算作業
中間決算をおこなう会社は中間決算作業を進めます。
11月 ・中間決算(中間申告と納付)
中間申告と納付は、事業年度開始日から6ヶ月を経過した日より数えて2ヶ月以内(3月決算の場合は11月末日まで)におこないます。
中間決算をおこなう会社は中間決算に基づいて申告と納付をおこないます。中間決算を行わない会社は前年度納税額の半分を納付します。
12月

・年末調整
当年中(1月から12月まで)に納めた所得税と、扶養家族や生命保険料、そして住宅ローンを加味した計算を改めておこない、過不足額を徴収または還付します。

・固定資産税・都市計画税・償却資産税の第3期分を納付(地方自治体により異なる)

1月

・10日までに源泉所得税を納付(特例を適用している場合)

・末日までに地方自治体へ固定資産の増減、または一覧を申告

・末日までに法定調書や給与支払報告書、及び支払調書を作成・提出

2月

・固定資産税・都市計画税・償却資産税の第4期分を納付(地方自治体により異なる)

・消費税の四半期中間申告及び納付(前期の消費税額が400万円から4800万円までの会社が対象)

3月 ・決算の準備
末日に棚卸しをおこない、関係部署に決算の作業依頼をおこなうなど、できるところから決算の準備をおこないます。3月から5月にかけて経理は繁忙期となります。

 

以上、経理の業務内容ややりがいなどを説明してきました。経理に協力するということは、全社に関係する業務に対して貢献するということと同じ意味となりますので、この記事が経理に対しての理解を深める一助となれば幸いです。

 

 


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