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会社設立に必要な資金の調達方法を解説!利用できる補助金・創業融資まとめ

会社を設立する際には、登記費用や運転資金などをあらかじめ確保しておくことが必要です。理論上は登記費用のみで資本金1円からでも会社を設立することはできます。しかし会社設立後には広告費や人件費などが発生するため、事業を継続させていくためには、ある程度の運転資金を確保しておいた方が無難でしょう。
会社設立の資金は、出資や銀行からの借入など、様々な方法で資金調達することが可能ですが、現実的に会社を設立したばかりの段階では、信用力の問題上、出資や銀行からの借入により、会社設立の資金を調達することは困難です。
そこで今回の記事では、会社を設立する段階や設立直後でも利用できる可能性の高い補助金や助成金、創業融資制度をいくつかご紹介します。会社設立を検討している方や、会社を設立したばかりで運転資金や投資資金が必要な方はぜひご参考ください。

 

 

1 会社設立の際に行う資金調達の方法

まず初めに会社設立の際に取り得る資金調達の方法をご紹介します。会社を設立するに際しては、主に以下4つの方法で資金調達を実施できます。資金調達の方法ごとに、メリットやデメリットが異なるので、違いに注目してご確認ください。

 

 

1-1 出資する・出資を募る

株式の発行により資金調達する方法です。株式会社を設立する場合、自身や第三者が株式を取得する際に、原則的には対価として資金を出資する必要があります(一部例外あり)。

 

創業者自身に豊富な資金力がある場合には、会社を設立する際に多額の資金を出資することで、当分の運転資金を確保できるでしょう。一方で自身に豊富な資金力がない場合には、取引先や知人、ベンチャーキャピタルに出資してもらう形で、会社設立に必要な資金を賄うことができます。

 

出資の仕組みを用いた資金調達には、資金の返済義務がないという大きなメリットがあります。返済義務がないため、利息や元本の返済を理由に資金繰りが悪化するリスクはありません。また、知名度や実績が豊富な企業であればあるほど、多額の資金調達を一度に行いやすい点も、出資による資金調達の大きなメリットです。

 

上記のメリットがある一方で、この方法には主に2点のデメリットがあります。
一つ目のデメリットは、知名度のない企業の場合。出資を引き受けてもらえる可能性が低い点です。会社への出資はあくまで投資であるため、将来性や実績のない会社に出資してもらえる可能性はほぼないと言っても過言ではありません。よほど革新的な事業内容であったり、人脈面に強みを持っている訳でない限り、第三者から出資の形で資金調達するのは難しいでしょう。

 

二つ目のデメリットは、創業者の経営権が弱くなるリスクがある点です。株式会社では、持ち株割合に応じて各株主の行使できる権利の強さが決まります。資金調達を目的に外部の第三者に株式を渡すと、経営権が脅かされるリスクがあります。

 

以上2点の理由から、会社設立の際にこの方法で資金調達することはあまり現実的ではありません。

 

 

1-2 資金を借りる

会社設立資金を借りる上で最も一般的な方法が、第三者から資金を借りる方法です。出資による資金調達とは異なり、財務上は「負債」の金額が増加する形になります。

 

一概に資金を借りると言っても、誰から借りるかによってメリットやデメリットが異なります。資金を借りる場合、真っ先に思い浮かぶ手段といえば「銀行からの借入」かもしれません。確かに銀行からの借入には、低金利である点や長期にわたり資金を借りられる点など様々なメリットがありますが、会社設立の段階では信用力がないため、簡単には借入できないでしょう。

 

簡単に借入するのであれば、知人や家族から借入する方法も一つの手です。相手との関係が親密であればあるほど借入しやすいですが、後々大きなトラブルになり、関係が悪化するリスクがあります。

 

上記のように、会社を設立する段階では、銀行や知人から資金調達することには、一定のリスクが伴います。そこで中には、公的な融資制度を活用して、資金調達する方も存在します。

 

国や商工会議所などの公的機関では、ビジネスを行う事業者向けの融資制度を設けており、その中には会社設立に役立つ融資制度も存在します。公的機関から資金を調達する場合、非常に有利な条件で資金調達できるのが魅力的なメリットです。銀行に引けを取らないほど低金利であったり、担保や保証を設定しなくても資金を借り入れられたりと、全面的に事業者に寄り添った制度が多いです。

 

一方で公的機関からの融資制度には、資金調達の手続きに手間がかかるデメリットもあります。単なる資料作成に留まらず、計画書の作成や経営指導なども必要となるケースが多いため、会社設立で忙しい方にとっては手続きをこなすのが大変かもしれません。

 

したがって、いち早く資金調達したい方にとっては、あまり使い勝手の良くない制度も少なくないです。

 

 

1-3 補助金や助成金を利用する

次は「補助金や助成金による資金調達」です。補助金や助成金は、銀行や公的機関からの借り入れとは異なり、原則返済が不要になります。そのため、資金の返済に追われることなく事業を継続することができます。

 

事業者に対して補助金や助成金を交付してくれるのは、主に次の4つの団体があります。まず一つ目は、「厚生労働省」です。労働や雇用に関する問題を管轄している省庁であるため、主に雇用促進や従業員の能力向上を図る事業者向けの補助金や助成金が多くなります。

 

二つ目は、「経済産業省」です。経済や産業の発展を担う省庁であるため、小規模事業者や地域活性化などを目指す事業者に向けた補助金が多いです。
三つ目は、「地方自治体」です。都道府県や市区町村ごとに、特色のある補助金や助成金を設けています。
最後に紹介するのが「民間団体(企業)」です。民間団体の中には、社会貢献を目的として補助金や助成金を実施している所もあります。

 

補助金や助成金の種類によって、メリットやデメリット、特徴は大きく異なります。会社設立の際には、自身に合うものを比較しながら探しましょう。

 

 

1-4クラウドファンディングを用いる

以上3つの方法が基本的な資金調達方法ですが、近年は「クラウドファンディング」を用いた資金調達も盛んになりつつあります。

 

クラウドファンディングとは、インターネット上で不特定多数の人から、資金調達する方法です。IT技術の発展に伴い、クラウドファンディングによる資金調達事例は増加してきました。クラウドファンディングには、「投資型」と「購入型」の二種類があり、それぞれメリットとデメリットが異なります。

 

投資型とは、株式を交付する形で実施するクラウドファンディングです。株式を相手に交付する代わりに資金調達する方法なので、基本的には「出資を募る方法」とメリット・デメリットは同じです。しかしインターネット上で出資を募ることで、会社を設立する段階でも資金調達しやすいメリットが期待できます。

 

一方で購入型とは、資金調達の対価として自社製品やサービスを提供する形で行うクラウドファンディングです。持ち株比率の変化がない点や返済義務を負わない点など、購入型には多くのメリットがあります。しかし一方で、新商品やサービスに魅力がない場合、全く資金調達できないというデメリットもあります。

 

画期的なアイデアなどがある方は、クラウドファンディングにより資金調達するのも一つの手です。

 

 

2 会社設立の資金調達で利用できる創業融資の制度

ここからは、会社設立の際に行う資金調達方法の中から「融資」と「補助金・助成金」について具体的にご紹介します。

 

まず初めに、創業融資の制度からご紹介します。会社設立の際に利用できる創業融資制度には、主に下記8個の制度があります。

 

なお一部の融資制度には、「国民生活事業」と「中小企業事業」の二種類があります。両者では融資額や利率などに違いがあり、基本的には中小企業事業の方が大規模な事業を行う方向けの制度になります。今回の記事では制度をわかりやすく説明するために、国民生活事業に絞って解説します。

 

 

2-1 新規開業資金

⑴融資制度の内容(対象者)

新規開業資金(新企業育成貸付)とは、日本政策金融公庫が実施する融資制度の一つです。

 

新規開業資金の制度では、これから会社設立を行う方や、事業を始めてから約7年以内の方を対象に、資金の融資を実施しています。

 

具体的には、下記の要件を満たす方が「新規開業資金」の融資対象となります(※事業を始めてから7年以内の方も下記要件に含みます)。

 

  • 雇用の創出を伴う事業を始める方
  • 現在勤めている企業と同じ業種の事業を開始する方
  • 産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を開始する方
  • 民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を開始する方

 

⑵資金の使い道と融資限度額

新規開業資金の制度で受け取る金銭は、新しく事業を始める際、もしくは事業を開始した後に必要とする資金(設備資金や運転資金)に使う必要があります。融資限度額は7,200万円となっており、うち運転資金は4,800万円と指定されています。

 

⑶返済期間と保証人・担保の有無

新規開業資金で融資してもらった資金については、設備資金と運転資金で返済期間が異なります。設備資金については「20年以内(据置期間は2年以内)、運転資金については「7年以内(据置期間は2年以内)」と、それぞれ設定されています。

 

保証人や担保の有無に関しては、公庫との相談により決定する形となります。会社の財務状況や借りいれる金額などにより、保証人や担保の有無が変動することがあります。

 

⑷利率(年間)

利率については、融資を受ける会社によって変動します。基本的には1%~2%台で融資を受けることができますが、条件次第ではさらに低い利率が適用されるケースもあります(参照:日本政策金融公庫「新規開業資金」)

 

 

2-2 再チャレンジ支援融資

⑴融資制度の内容(対象者)

再チャレンジ支援融資とは、廃業歴があるものの、再び会社を設立し事業運営にチャレンジしたいと考えている方に向けた融資制度です。

 

新規で事業を開業する方もしくは会社設立後おおむね7年以内である方のうち、以下の要件全てに該当する方は、この融資制度を活用できます。

 

  • 廃業歴等を有する個人または経営者が運営する法人である
  • 廃業等の負債が新たな事業に影響を与えない程度に整理される見込みがある
  • 廃業理由や事情がやむを得ないものである

 

⑵資金の使い道と融資限度額

再チャレンジ支援融資では、「新たに事業を始めるため、もしくは事業開始後に必要となる設備資金や運転資金」を資金の使い道として設定しています。

 

融資限度額は「新規開業資金」と同様に、7,200万円(うち運転資金4,800万円)となっています。

 

⑶返済期間と保証人・担保の有無

返済期間も新規開業資金と同じく、設備資金は20年以内、運転資金は7年以内です(共に据置き期間は2年以内)。

 

また担保・保証人については、公庫側との交渉により決定します。

 

⑷利率(年間)

利率については、通常は「基準利率(1%~2%)」が適用されます。ただし技術やノウハウなどに新規性がある等の要件に該当する場合は、「特利A」または「特利B」が適用され、より低い利率が適用されます(参照:日本政策金融公庫「再挑戦支援資金」)。

 

 

2-3 女性、若者/シニア起業家資金

⑴融資制度の内容(対象者)

女性、若者/シニア起業家資金とは、会社設立を希望する(事業開始後7年以内も含む)女性や若者(35歳未満)、シニア(55歳以上)を対象に、資金を融資する制度です。

 

⑵資金の使い道と融資限度額

女性、若者/シニア起業家資金では、会社設立(新規事業)に要する費用や、事業開始後に要する資金を使い道としています。

 

融資限度額はこれまでご紹介した創業融資制度と同様に、7,200万円(うち運転資金4,800万円)です。

 

⑶返済期間と保証人・担保の有無

返済期間は上記でご紹介した融資制度と同様に、設備資金で20年以内、運転資金で7年以内です(国民生活事業、中小企業事業の間で違いはありません)。

 

担保・保証人については、他の制度と同様に原則相談した上で決定します。

 

⑷利率(年間)

この制度では、資金の使い道に応じて利率が変動します。

 

土地取得資金の場合は、基準利率(1%~2%)が適用されます。運転資金および設備資金については、基準利率よりも若干低い特別利率Aが適用されます。技術・ノウハウなどに新規性がみられる方の運転資金や設備資金については、特利Aよりもさらに低金利となる特別利率Bが適用されます(参照:日本政策金融公庫「女性、若者/シニア起業家支援資金」)。

 

 

2-4 新事業活動促進資金

⑴融資制度の内容(対象者)

新事業活動促進資金とは、経営の多角化や事業転換を契機に、第二創業を図る方に向けて融資する制度です。

 

新しく会社設立する方というよりは、事業承継を契機に、会社を新しく設立して事業を始めるかのように、新規事業を始める方にオススメの融資制度です。

 

この制度では、主に以下の要件に該当する方を融資対象としています。

  • 「経営革新計画」の承認を受けた方
  • 「新連携計画」の認定を受けた方
  • 「農商工等連携事業計画」の認定を受けた方
  • 「地域産業資源活用事業計画」の認定を受けた方
  • 「地域産業資源活用支援事業計画」の認定を受けた方
  • 「経営力向上計画」の認定を受けた方
  • 技術・ノウハウなどに新規性がみられる方

 

⑵資金の使い道と融資限度額

この制度により借り入れた資金は、運転資金もしくは設備資金に使う必要があります。

 

新事業活動促進資金の融資限度額は、7,200万円(運転資金は4,800万円)です。

 

⑶返済期間と保証人・担保の有無

返済期間は設備資金で20年以内、運転資金で7年以内になります。なお据置期間は、設備資金と運転資金共に2年以内です。

 

保証人・担保の設定に関しては、公庫と借り入れする側の交渉により決定されます。

 

⑷利率(年間)

利率については、先ほどご紹介した要件のうち、どれに該当するかで変動します。たとえば「経営革新計画」の承認を受けた方の場合は、「特別利率B(基準よりも低金利)」が適用されます。

 

この制度を利用する際は、どの利率が適用されるのかあらかじめ確認しておくのが良いでしょう(参照:日本政策金融公庫「新事業活動促進資金」)。

 

 

2-5 新事業育成資金

⑴融資制度の内容(対象者)

新事業育成資金は、高い成長性が期待される新規事業を行う方を対象とした融資制度です。他の制度とは異なり、「中小企業事業」という種類に分類される融資制度です。

 

具体的には、下記全ての要件に該当する方が融資の対象となります。

  • 事業を始めてから約7年以内の方
  • 次のいずれかに該当する方
    (ア) 公庫の成長新事業育成審査会から事業の新規性・成長性の認定を受けた方
    (イ) 独立行政法人中小企業基盤整備機構が出資する投資事業有限責任組合から出資を受けた方
    (ウ) 他企業に利用されていない知的財産権や中小企業技術革新制度に係る特定補助金などの交付を受けて開発した技術を利用して新事業を行う方
  • 継続的に経営課題に対する経営指導を行うことにより、円滑な事業の遂行が可能と認められる方

 

以上をまとめると、公庫から新しい事業の成長性が認められれば、融資を受けることが可能になります。

 

⑵資金の使い道と融資限度額

資金の使い道として、新たな事業を実施するために必要な設備資金および長期運転資金という指定があります。融資限度額は6億円と、他の制度と比べて非常に多いです。

 

⑶返済期間と保証人・担保の有無

返済期間に関しては、設備資金は20年で運転資金は7年と、他の融資制度と変わりません。

 

ただし据置期間は他の融資制度とは異なるので注意が必要です。設備資金の据置期間は5年、運転資金の据置期間は2年以内となっています。

 

⑷利率(年間)

上記で述べた(ア)から(ウ)の要件のうち、どれに該当するかによって、設定される利率が変動します。

 

(ア)に該当する場合は、原則特別利率②(0.46%~0.75%)が適用されます。ただし、(ウ)にも該当する方は②よりも低金利である「特別利率③」が適用されます。一方で(イ)または(ウ)に該当する方は、特別利率②が適用されます。

 

ここで注意していただきたいのが、上記はあくまで標準的な貸付利率である点です。信用リスクに応じて、上記よりも高い利率が適用されるケースもあります(参照:日本政策金融公庫「新事業育成資金」)。

 

 

2-6 中小企業経営力強化資金

⑴融資制度の内容(対象者)

中小企業経営力強化資金とは、外部専門家の指導を受けながら、新規事業の展開を図りたい方に向けた融資制度です。

 

この制度では、下記の要件全てに該当する方に向けて融資を実施しています。

  • 経営革新などを伴った上で行う新事業分野の開拓などにより、市場創出や開拓(会社設立を含む)を実施する方
  • 自ら事業計画の策定を実施し、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関による指導や助言を受けている事業者

 

⑵資金の使い道と融資限度額

融資により得た資金は、会社設立後に行う事業運営で必要となる設備資金や運転資金に活用する必要があります。

 

融資限度額は「国民生活事業」に該当する他の制度と同じく、7,200万円(4,800万円は運転資金)となります。

 

⑶返済期間と保証人・担保の有無

資金の返済期間は、新規開業資金や再チャレンジ支援融資と全く同じです。

  • 設備資金→20年以内(据置期間2年以内)
  • 運転資金→7年以内(据置期間2年以内)

 

⑷利率(年間)

融資を受ける方の状況によって、利率は変動します。
1 融資限度額のうち2,000万円以内で無担保・無保証人にてご利用いただく方
こちらに該当する方には、「特別利率S(2.06%~2.35%)」が適用されます。

 

ただし、「中小企業の会計」を適用している場合は、上記の利率から0.1%分を差し引いた利率が適用されます。

 

2 1以外の方
上記①に該当しない方には、基準利率(2.06%~2.55%)が適用されます。ただしこちらも、「中小企業の会計」を適用している場合は、上記利率から0.1%分を差し引いた利率となります(参照:日本政策金融公庫「中小企業経営力強化資金」)。

 

 

2-7 事業承継・集約・活性化支援資金

⑴融資制度の内容(対象者)

こちらの制度は、新たに会社を設立する方ではなく、事業承継により会社を引き継ぐ方に向いている融資制度です。

 

具体的には、主に下記要件に該当する方は「事業承継・集約・活性化支援資金」を利用できます。

  • 安定的な経営権の確保などにより、事業承継・集約を実施する
  • 中小企業経営承継円滑化法の規定に基づき、認定を受けた中小企業の代表者である
  • 事業承継を契機に、新たに第二創業または新しい取り組みを実施する

 

⑵資金の使い道と融資限度額

制度の活用によりもらった資金は、事業承継や集約に要する設備資金や運転資金に活用できます。

 

融資限度額は他の制度と同様です。
融資限度額→7,200万円(うち運転資金4,800万円)

 

⑶返済期間と保証人・担保の有無

返済期間も、新規開業資金や再チャレンジ支援融資などの制度と全く同じです。

  • 設備資金→20年以内(据置期間2年以内)
  • 運転資金→7年以内(据置期間2年以内)

 

⑷利率(年間)

利用要件のどれに該当するかによって、適用される利率が変わってきます。

 

たとえば「安定的な経営権の確保等により、事業承継・集約を実施する」方の場合は、基準利率や特別利率A、特別利率Bのいずれかが適用されます。

 

この制度を利用する際は、どの利率が適用されるか事前に確認しておくと良いでしょう(参照:日本政策金融公庫「事業承継・集約・活性化支援資金」)。

 

 

2-8 新創業融資制度

⑴融資制度の内容(対象者)

これまでいくつか融資制度をご紹介してきましたが、会社設立を予定している方に特にオススメなのが、「新創業融資制度」です。

 

こちらは、新しく事業を開始する方や事業を始めたばかりの方に対して、何と無担保・無保証で資金を貸付する制度です。無担保・無保証なので、会社設立が失敗に終わった(廃業した)場合には、経営者個人が返済する必要はありません。

 

この制度では、新規で事業を開始する(開始したばかりの方も含む)前提を満たした上で、「雇用創出等の要件」と「自己資金要件」を満たす必要があります。簡単に言うと、従業員を雇用する事業であり、かつ一定程度(創業資金総額の10分の1以上)の自己資金を持っていることが条件になります。

 

ただし一部の条件に該当する場合は、要件が緩和されるケースもあります。

 

⑵資金の使い道と融資限度額

資金の使用用途は、会社設立後に必要となる事業用資金となります。

 

また、融資限度額は3,000万円(うち運転資金は1,500万円)になります。

 

⑶返済期間と保証人・担保の有無

この制度により資金を借り入れするためには、公庫が行う他の融資制度(女性、若者/シニア起業家資金など)との併用が必須となります。つまり、新創業融資制度単体では利用できません。このような制度であるため、資金の返済期間は併用する融資制度と同じになります。

 

また、保証人や担保については、最初にお伝えした通り原則不要です。ただし法人の顧客が自ら希望するケースでは、代表者が連帯保証人になることができ、その場合には利率が0.1%低くなります。

 

⑷利率(年間)

新創業融資制度では、他の融資制度とは異なる独自の利率が適用されます。基準利率と特別利率(A、B、C、E、J、P)の合計7種類の利率があります。

 

どの利率が適用されるかはケースバイケースですが、大体1~3%の間に収まるでしょう。非常に有利な条件で資金を調達できる制度なので、会社設立の際には利用をぜひ検討してみましょう。(参照:日本政策金融公庫「新創業融資制度」)。

 

 

3 会社設立の資金調達で利用できる助成金・補助金

次に会社設立の資金調達で活用できる、「助成金・補助金」についてご紹介します。融資制度とは違い、原則返済不要ですのでオススメです。

 

なお補助金制度の多くは、年度ごとに対象者が異なります。そのため、最新の情報ではない場合もあるのでご了承ください。

 

 

3-1 地域創造的起業補助金

⑴補助金の内容(対象者)

地域創造的起業補助金とは、経済発展や雇用創出を伴った創業(会社設立)を行う方に向けて、会社設立や事業に要する経費を補助する目的で支給する補助金です。昨年の当補助金は、中小企業庁から委託を受けた民間企業によって実施されました。

 

年度ごとに条件は変動する可能性があります(他の補助金も同様)が、昨年は「事業実施完了日までに、計画した事業の遂行のために、新しく従業員を一人以上雇用すること」などが条件として指定されていました。

 

この制度に限らず、補助金や助成金の利用を検討する際は、必ずその年度の条件を確認してください。

 

⑵補助金の使い道(対象経費)と補助額

地域創造的起業補助金の補助を受けるためには、下記全ての要件を満たす経費である必要があります。

 

  • 使用目的が事業遂行に必要であるものと明確に特定できる
  • 交付決定日以降、補助事業内の契約や発注により発生
  • 証拠書類により、金額や支払を確認できる

 

上記の要件を満たした場合には、会社設立後に必要となる人件費や原材料費などを、補助金によって賄うことができます。

 

また補助金額は、外部資金調達の有無によって異なります。外部資金調達がない場合は50万円~100万円、外部資金調達がある場合は50万円~200万円です。

 

加えてこの制度には補助率が設定されており、受け取れる金額は補助対象と認められる経費の1/2以内になります。

 

⑶申し込み方法

地域創造的起業補助金の受給を申し込む際は、指定の期間内に「地域創造的起業補助金事務局」に必要書類を提出する必要があります。

 

必要書類の提出に際しては、書面または電子メールのいずれかにより実施できます。

 

 

3-2 ものづくり補助金

⑴補助金の内容(対象者)

会社を設立し、革新的なサービス・商品を開発したい方にオススメなのが、「ものづくり補助金」です。ものづくり補助金とは、中小企業庁が主体となって行う補助金制度です。

 

革新的なサービス・製品の開発や生産プロセスの改善などに必要な経費の一部を補助する目的で支給される補助金です。

 

ものづくり補助金を利用するには、認定支援機関の全面バックアップを得た中小企業や小規模企業である必要があります。さらにその上で、3~5年間で付加価値額や経常利益を一定以上向上できる見込みがある必要もあります。

 

⑵補助金の使い道(対象経費)と補助額

補助金の使い道は、会社設立後に行う事業で発生する機械装置費や技術導入費などが対象になります。

 

また補助金には「一般型」と「小規模型」の二種類があり、それぞれ補助金額が異なります。一般型の場合は100万円~1,000万円が補助金額(補助率は1/2)となります。一方で小規模型では100万円~500万円(補助率:小規模事業者は2/3、その他会社は1/2)となります。

 

⑶申し込み方法

ものづくり補助金を申請する際には、所定の書類を揃えた上で、「経済産業省中小企業庁経営支援部 技術・経営革新課」宛に送付する必要があります。

 

 

3-3 小規模事業者持続化補助金

⑴補助金の内容(対象者)

こちらの補助金は、商工会議所が実施している補助金制度です。商工会議所の管轄地域で事業を行う小規模事業者を対象としています。

 

平成30年度の補助金は、諸災害で被害を受けた小規模事業者を主な対象としていたので、ここでは平成29年度の補助金制度を基にお伝えします。

 

平成29年度の同制度では、医療法人や一般社団法人などを除く、小規模事業者(個人事業主を含む)を対象としています。それに加えて、「経営計画」を策定し、商工会議所の支援を受けながら販路開拓に取り組むことも条件です。

 

⑵補助金の使い道(対象経費)と補助額

補助対象の経費には、機械装置費や広報費など、販路開拓や業務効率化に要する費用が該当します。また補助額は原則50万円、最高で500万円となっています(平成29年度の場合)。

 

⑶申し込み方法

小規模事業者持続化補助金の申し込みは、日本商工会議所への申請書類の送付により行います。

 

まだ詳細は公表されていませんが、平成31年度の小規模事業者持続化補助金も実施されると見込まれています。会社を設立して小規模事業を行う予定の方は、要件をこまめにチェックしましょう。

 

 

3-4 生涯現役起業支援助成金

⑴助成金の内容(対象者)

生涯現役企業支援助成金とは、会社設立を検討中もしくは事業を開始して間もない中高年齢者(40歳以上)の方を対象とした助成金制度です。

 

厚生労働省が実施している同助成金では、主に下記の要件を定めています。

  • 起業基準日から起算して11ヶ月以内に計画書を提出し、都道府県労働局長の認定を受ける
  • 起業者自身が当該事業分野において通算10年以上の職務経験を有している
  • 生産性が一定以上向上する

 

上記以外にも細かく助成金受給要件が定められているので、詳しく知りたい方は厚生労働省のHPをご覧ください。

 

⑵助成金の使い道(対象経費)と受給額

この制度では、下記2つの費用を助成します。

▪ 雇用創出措置助成

会社設立後の事業運営に必要となる、従業員の雇入れに要する費用

▪ 生産性向上助成

生産性の向上に必要となる費用

 

また助成金の金額は、助成費用の種類起業時の年齢や費用の合計金額によって異なります。

 

▪ 雇用創出に要する費用

会社を設立する方が60歳以上の場合は、助成率2/3、助成限度額は200万円です。一方で40歳から59歳の場合は、助成率1/2、助成額の上限は150万円です。

▪ 生産性向上に要する費用

雇用創出に要する費用への助成として支給された金額の1/4が支給されます。たとえば200万円の支給を受けている場合は、生産性向上への助成金として50万円を受け取れます。

 

⑶申し込み方法

生涯現役起業支援助成金を申し込む際には、所定の申請窓口にて手続きを行わなくてはいけません。お住いの場所によって申請先が異なるので、十分な注意と確認が必要です。

 

 

3-5 ふるさと起業・移転促進事業助成金

⑴助成金の内容(対象者)

ふるさと起業・移転促進事業助成金は、平成30年度に兵庫県で行われた助成金制度です。この助成金は、UJIターンにより兵庫県内で起業(会社設立)する方を対象としています。

 

この助成金を活用するためには、下記二つの要件のうちいずれかに該当する必要があります。

  • 兵庫県内に活動拠点を置いて、会社を設立するもしくは第二創業を行う予定である
  • 対象年度内に県外の事業所を圏内に移転する予定がある

 

非常に有意義な制度であったため、今年度(平成31年度)も助成金が実施される可能性があります。兵庫県での会社設立を検討している方は、忘れずにチェックしましょう。

 

⑵助成金の使い道(対象経費)と受給額

助成金としてもらった資金は、主に以下3つの用途に使用でき、それぞれ100万円まで助成を受けることができます。

  • 起業(会社設立)・事業所移転に要する費用
  • 移住に要する費用
  • 空き家活用に必要となる費用

 

なお助成率は、助成対象となる費用の1/2以内になります。

 

⑶申し込み方法

申し込みに際しては、事業計画申請書や決算書などを揃えた上で、「公益財団法人ひょうご産業活性化センター」に送付します。

 

 

3-6 大阪起業家スタートアップ補助金

⑴補助金の内容(対象者)

大阪府で会社を設立したい方や新規事業を行いたい方にオススメなのが、「大阪起業家スタートアップ補助金」です。

 

こちらの制度では、ビジネスプランコンテストの優秀提案者を対象に、補助金の支給要件として下記を定めています。

  • 補助金の交付決定日翌日から、1年以内に県内で創業(会社を設立)する
  • 事業計画を基に、年度ごとに設定した経営目標を達成する

 

なお補助金をもらう場合は、補助金の交付が完了した日が属する年度から5年間は、大阪府内に事業所を設定しておく必要があります。

 

⑵補助金の使い道(対象経費)と補助額

同制度では、会社設立費や広告宣伝費、研究開発費などを補助金の用途(対象経費)としています。ただし消費税(地方消費税含む)は補助対象外となるので注意が必要です。

 

なお補助金の限度額は100万円、補助率は1/2以内です。

 

⑶申し込み方法

大阪起業家スタートアップ補助金を申請する時は、支出計画書や事業計画書などを揃えて、大阪府の定める機関に送付する必要があります。

 

提出書類や補助金の受給条件についてさらに詳しく知りたい方は、該当ホームページでご確認してください。

 

 

3-7 起業支援事業費補助金

⑴補助金の内容(対象者)

起業支援事業費補助金は、秋田商工会議所が運営する補助金制度です。秋田県内における会社設立の促進や地域経済の発展と雇用創出を目的としているこの制度では、新規での操業を目指している起業家に向けて補助金を支給しています。

 

この補助金を受けるためには、下記全ての要件をクリアする必要があります。

  • その年度の募集締め切り日前後12ヶ月以内に、新しく中小企業(NPO法人を除く)を設立する
  • 優れたビジネスプランを持った上で会社を設立する
  • 企業後の事務所や店舗などが秋田県内にある
  • 起業において新規雇用が確実に発生すること
  • 会社を確実に設立する(確実に起業する)
  • 起業の模範となる新規事業である
  • 起業する事業が関係法令や公序良俗に反することなく、地域社会に寄与するものである

 

要件がやや厳しいため、補助金の利用を検討する際は早い段階から準備を進めておく必要があります。

 

⑵補助金の使い道(対象経費)と補助額

会社設立や事業運営に必要となる費用のうち、以下のものが補助対象になります。

  • 設備費
  • 機械器具費
  • 構築物費
  • 人材育成費
  • 広告宣伝費
  • 人件費

 

補助率(補助金額)は、補助対象の費用によって異なります。設備費や人材育成費、広告宣伝費などに関しては、実際に発生する費用の1/2位内で、最大で75万円まで補助を受けられます。一方で人件費は、最大で1/2までの金額を受け取ることができます。

 

⑶申し込み方法

起業支援事業費補助金を利用する際は、事業計画書をはじめとした書類を会社を設立する地域の管轄商工会・商工会議所に提出します。

 

なお補助金の利用に際しては、事前に商工会や商工会議所に相談することも必要なので注意が必要です。

 

 

3-8 キャリアアップ助成金

⑴助成金の内容(対象者)

会社設立後、従業員を多数雇いだしたタイミングで役立つのが「キャリアアップ助成金」です。キャリアアップ助成金とは、非正規雇用労働者のキャリアアップに資する取り組みを実行した事業主に対して助成金を支給する制度です。

 

キャリアアップ助成金の制度を利用するためには、最低でも以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 雇用保険適用事業所の事業主である
  • 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主である
  • 雇用保険適用事業所ごとに、対象となる労働者に対して、キャリアアップ計画を策定し、管轄労働局長の資格認定を受けている
  • 労働者に対する賃金の支払い状況を明らかにする書類を整備している
  • キャリアアップ計画期間内に、キャリアアップに取り組んだ事業主である

 

またこの制度には計7つのコースがあり、それぞれでさらに助成金の受給条件が設定されています。したがって、実際に助成金を受給する場合には、あらかじめどのコースを利用するかを決めておく必要があります。

 

キャリアアップ助成金の利用条件やコースに関して詳しく知りたい方は、該当サイトをご覧になるのがオススメです。

 

⑵助成金の使い道(対象経費)と受給額

キャリアアップ助成金では、助成金の使い道が厳格に指定されているわけではありません。ですが、7つのコースごとに支給額が変わってくるので注意が必要です。

 

たとえば有期契約労働者を正社員に転換(直接雇用)した際に適用される「正社員化コース」では、一人当たりおよそ20万円~70万円(状況によって異なります)の助成金を受け取ることができます。

 

有期契約労働者の賃金規定等を2%以上増額した際に適用される「賃金規定等改定コース」では、1事業所あたりおよそ2万円~36万円(労働者数などによって変動)の助成金を受け取れます。

 

他にも健康診断制度コースや諸手当制度共通化コースなど様々ありますが、それぞれ支給される金額に違いがあります。支給額を把握したいのであれば、自身が利用するコースの詳細を確認する必要があるでしょう。

 

⑶申し込み方法

キャリアアップ助成金を申し込むにあたっては、コースごとに異なる申請期間内に、必要書類を揃えた上で事業所が所在する地域の管轄都道府県労働局に提出する必要があります。なお場合によっては、ハローワークを通じて申請書類を提出できるケースもあります。

 

見てきた通り多額の資金を受け取れる魅力的な制度ですが、利用するためにはキャリアアップ計画の策定など、手続きが比較的大変です。

 

よってキャリアアップ助成金の利用を検討している方は、早めの行動を心がけたほうが良いでしょう。

 

 

4 まとめ

今回の記事では、会社設立に必要な資金の調達方法を網羅的に解説しました。会社設立の際に取り得る資金調達方法には、主に「出資する・出資を募る」「資金を借り入れる」「補助金や助成金の利用」「クラウドファンディング」の4種類があります。

 

出資には返済義務がないというメリットがありますが、会社設立時点では資金を集めにくいデメリットがあります。一方で資金の借り入れを行う場合は、一度に多額の資金を調達しやすいものの、利息の返済義務が生じるデメリットがあります。補助金や助成金の利用には、手続きや条件が厳しいものの返済義務がないメリットがあります。そしてクラウドファンディングには、革新的な事業であれば資金を調達しやすいメリットがあります。それぞれ一長一短なので、会社を設立する際は自身に適した方法を考えることが重要になります。

 

会社設立の際に利用できる融資制度としては、日本政策金融公庫の融資制度が役立ちます。それぞれ対象者や利用条件が異なるため、よく確認した上で制度を検討しましょう。

 

助成金や補助金を利用する場合は、厚生労働省や商工会議所などの制度利用がベターです。手続き面は面倒ではあるものの、返済義務がないため、会社設立に際しては大いに役立つかと思います。

 

また会社設立時に利用できるものの中には、地域独自の補助金・助成金制度も存在します。自身の故郷や憧れの場所で会社を設立し起業する時には、事業者向けの補助金・助成金があるかどうか確認してみましょう。

 

会社設立を検討している方は、資金繰りをスムーズに進めるためにも、創業融資の制度や補助金・助成金の制度を積極的に活用して見てはいかがでしょうか。今回ご紹介した創業融資制度や補助金・助成金制度の内容がをぜひ会社設立の際に役立ててみてください。

 

 


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