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100万人を突破した外国人労働者〜日本人店員より多くなる日も近い?〜

(出展:The New York Times)
(出展:The New York Times)

人手不足が目に見える形で顕在化してきた現代ニッポン。
コンビニやレストランで外国人の店員を見かけることが増えたと感じる人も多いのではないでしょうか。

 

厚生労働省によれば、昨年の外国人労働者数が約108万に達し、4連続で過去最高を更新しました。
少子高齢化で若者を確保できないなか、女性の労働参加率も高止まり。2020年頃から人手不足により労働生産性が低下する可能性が高く、潜在成長を維持するためには年間20万人ペースの外国人労働者の増加が必要とされています。

 

特にコンビニでは日本人アルバイトの応募率が悪いため、外国人を雇うケースが増えています。

 

 

目次

  1. 1 過去最高を更新する外国人労働者数
  2. 1-1 最も多いのは中国人、増加率ではベトナム人
  3. 1-2 外国人労働者が最も多い都道府県は?
  4. 2 外国人労働者がコンビニに殺到?
  5. 2-1 日本人アルバイトが集まらない理由
  6. 2-2 中国や韓国でも人手不足
  7. 3 成長率低下を受け入れるか、それとも抗うか

 

1 過去最高を更新する外国人労働者数

外国人雇用の届出状況を取りまとめたデータによると、昨年10月時点での外国人労働者数は108万3,769人となり、前年同期比で17万5,873人増加しました。毎年20%近い増加率を維持しており、この伸び率が続けば5年以内に200万人を突破する可能性も出てきました。

 

・ 外国人労働者数増加の推移

外国人労働者数
2009 48万6,398人
2010 56万2,818人
2011 64万9,982人
2012 68万6,246人
2013 68万2,450人
2014 71万7,504人
2015 78万7,627人
2016 90万7,896人
2017 108万3,769人

(参照:厚生労働省発表数値)

 

 

1-1 最も多いのは中国人、増加率ではベトナム人

国籍別では、中国が最も多く、全体の31.8%を占める34万4685人です(前年同期比6.9%増)。次いでベトナムの17万2,018人(同56.4%増)、フィリピン12万7,518人(同19.7%増)、ブラジル10万6,597人(同10.3%増)、ネパール52,770人(同35.1%増)となりました。

 

中国人の労働者が最も多いものの、増加率ではベトナム人が最も多くなりました。またネパール人の増加も顕著となっています。

 

・ 国籍別にみた外国人労働者の割合

順位 国・地域 人数 前年同期比
1 中国 344,658 6.9%増
2 ベトナム 172,018 56.4%増
3 フィリピン 127,518 19.7%増
4 ブラジル 106,597 10.3%増
5 ネパール 52,770 35.1%増

 

外国人増加の要因として厚生省は、現在、政府が進めている高度外国人材や留学生の受入が進んできていることに加え、雇用情勢の改善が着実に進んでいることが考えられると分析します。

 

グラフ

(参照:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ 平成28年10月末現在)

 

三井住友アセットマネジメントのシニアエコノミストの渡邊誠氏は、在留資格別に外国人労働者の動向を見ると、専門的・技術的分野、技能実習、永住者など、いずれの在留資格でも外国人労働者は増加していると話し、

 

「ここ数年で目立つのは、技能実習や、留学生の就労の増加で、特に後者の増加は顕著である。在留資格が留学であっても、滞在費を賄う等の目的で、平常は週28時間、夏季・冬季・春季休みの間は1日8時間まで働くことが可能であり、日本語学校で勉強しながら就労する留学生が増えているのだと見られる」(参照:三井住友アセットマネジメント 2017年1月17日付け)

 

と分析しました。

 

※ 外国人雇用状況の届出制度は、雇用対策法に基づき、外国人労働者の雇用管理の改善や再就職支援などを目的とし、すべての事業主に、外国人労働者の雇入れ・離職時に、氏名、在留資格、在留期間などを確認し、厚生労働大臣(ハローワーク)へ届け出ることを義務付けている。(参照:厚生労働省)

 

 

1-2 外国人労働者が最も多い都道府県は?

都道府県別に見た外国人労働者数では、東京都が最も多く、33万3141人(前年同期比20.7%増)で全体の3割を占めました。次いで、愛知県11万765人(同17.0)、神奈川県60,148人(同16.0%増)、大阪59万8人(同28.7%増)、静岡県46万574人(同15.4%増)となりました。

 

・ 都道府県別の外国人労働者割合

順位 国・地域 人数 前年同期比
1 東京都 33万3141人 20.3%増
2 愛知県 11万675人 17.0%増
3 神奈川県 6万148人 16.0%増
4 大阪府 5万9008人 28.7%増
5 静岡県 46万574人 15.4%増

 

また、外国人を雇用している事業所の数は全国で17万2798ヶ所におよび、前年同期比で13.5%増加しました。

 

都道府県別にみると、東京が最も多く4万7777ヶ所(前年同月比14.3%増)で、次いで愛知県1万3893ヶ所(同13.5%増)、大阪1万1322ヶ所(同17.7%増)、神奈川1万1061ヶ所(同11.8%増)、埼玉7635ヶ所(同15.6%増)となりました。

 

・ 都道府県別の外国人を雇用する事業所

順位 国・地域 人数 前年同期比
1 東京 4万7777ヶ所 14.3%増
2 愛知 1万3893ヶ所 13.5%増
3 大阪 1万1322ヶ所 17.7%増
4 神奈川 1万1061ヶ所 11.8%増
5 埼玉 7635ヶ所 15.6%増

 

事務所数

 

発表によれば、規模別では「30人未満事業所」が最も多く、事業所全体の56.7%を占め、外国人労働者全体の34.0 %を占めている。さらに事業所数はどの規模においても増加しており、特に、「30人未満」規模では前年同期比で15.7%増加し、最も大きな増加率となりました。

 

・ 規模別の外国人雇用事業所数

事業所

 

 

2 外国人労働者がコンビニに殺到?

外国人労働者が最も多い都内のコンビニでは、ベトナムやネパールなど東南アジアからの留学生※がレジ打ちや接客をしている姿をよく見かけるようになりました。

 

コンビニ大手のローソンは日本に留学予定の学生を対象に、現地でレジの打ち方の接客の仕方に関する基本の研修制度を導入しています。来日後、即戦力として働いてもらうことで、人手不足を解消するのが狙いです。

 

日本への留学が決まっているネパールのある学生は「コンビニでの接客は日本語の上達にもつながる。日本語が上達しないと倉庫作業などの単純作業をしなければならないから」と話します。

 

 

2-1 日本人アルバイトが集まらない理由

コンビニチェーンが外国人を雇わなければならない背景には、少子高齢化のほか、日本の若者がコンビニのアルバイトを避ける傾向にあるためだと言われます。

 

コンビニでの仕事はレジ打ちや接客、店内整理のほか、宅配荷物の受取や伝票処理など非常に多岐に渡るにも関わらず、時給はそれほど高くなく、他のアルバイトと比較すると“割りにあわない”といった印象が強いとされます。ライブドアニュース(2017年6月12日付け)の記事では、

 

「アルバイトに応募する人たちは、まず最初に時給を確認し、その後に他の待遇を確認する傾向があります。コンビニと他業種との時給差は今に限った話ではないのですが、それが原因でアルバイト不足の解消がさらに困難になっており、業界に大きな影を落とす形となっているのです。実際、東京の新宿エリアのあるコンビニチェーンでは、外国人アルバイトの比率が40%を超えたそうです」(参照:livedoor NEWS「コンビニに日本人バイトが集まらない…」

 

と伝えられました。

 

日本人アルバイトが集まらないなか、外国人留学生は欠かせない戦力となっており、近い将来、日本人店員よりも外国人店員を多く見かける世の中になるのかもしれません

 

ベトナム

(出展:Thanh Nien News)

 

※ 留学生の労働について、入管法19条2項では、「1週に28時間以内であること及び活動場所において風俗営業等が営まれていないことを条件として」認めている。

 

 

2-2 中国や韓国でも人手不足

少子高齢化から来る労働人口の減少は、日本に限った問題ではありません。
中国メディアのレコードチャイナによれば、日本同様に出生率の低下が続く韓国では、労働力不足が2060年に900万人に到達するとされています。

 

また、人口13億人の中国でも、一人っ子政策による将来の労働力不足が指摘されており、2000万人の人手不足に陥るとの報道もされています。

 

日中韓で広がる人手不足問題。人口減少もさることながら、労働生産性低下により国際社会での東アジアの地位低下が懸念されます。

 

不足

(▲人手不足のプラカードを掲げる中国人労働者 / 出展:South China Morning Post)

 

 

3 成長率低下を受け入れるか、それとも抗うか

労働力の低下に関して、人口減少に伴う成長率を素直に受け入れ、外国人労働者の増加に頼らないといった選択肢もあるとの意見も少なからず見受けられます。
しかし、三井住友アセットマネジメントのシニアエコノミストは、潜在成長率の低下は日本社会にさまざまなゆがみをもたらすと警鐘を鳴らします。

 

「これまでの潜在成長率の低下で、高度成長期に構築された社会保障制度を始めとした様々なシステムの欠陥が露呈したが、そうしたシステムの欠陥がもたらす問題は一段と深刻化する。既に将来的に介護問題が深刻化するリスクなどが指摘されているが、こうした問題を高齢化する日本人だけで分かち合い、解決していけるのだろうか。ある程度は外国人労働者の助けを借りて解決していくというのが現実的な選択肢かもしれない」(参照:三井住友アセットマネジメント 2017年1月17日付け)

 

東京オリンピックが開催される2020年には400万人超の労働力不足に陥ると試算されます。決して遠い未来の話ではなく、今後数年で起きる問題として捉え、国民全体で取り組まなければならないのかもしれません。

 

 


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