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コロナ禍での会社設立は大丈夫?設立する流れやメリット・リスク

新型コロナウィルスの感染拡大で世界中の経済が大打撃を受ける中、新たなビジネスチャンスを発掘したり、逆にチャンスと捉えて起業に挑戦する方もおられます。しかし、新たな生活様式(ニューノーマル)では、他人との接触機会をなるべく少なくする必要があるため、コロナ禍でも需要のある業種や会社設立の全体像を把握しておくことがとても重要になります。

 

今回の記事では、コロナ禍中の副業や会社設立の在り方やメリット・デメリット、会社設立の流れを詳しく解説します。逆境を糧に起業したい方、会社設立の手順を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

1 コロナ禍は社会にどのような影響を与えたか

コロナ禍は社会にどのような影響を与えたか

 

新型コロナウイルスは世界中に甚大な被害をもたらしています。世界のGDP成長率は、リーマンショック時の-0.1%を除いて、2000年から2019年まで2%を下回ることはありませんでした。2019年の世界のGDP成長率は2.4%でしたが、新型コロナウイルスによって、2020年の同成長率予想値はリーマンショック時を上回る-5.2%となっています。

 

日本の2019年の同成長率は0.7%でしたが、2020年では-6.1%の予想値となっており、世界の同予想値よりも下回っています。ユーロ圏では2019年の1.2%に対して2020年では-9.1%と、日本よりも更に深刻な数値となることが予想されています。

 

アメリカの失業率を見てみると、これまでは1933年の大恐慌時の25.6%がピークで、第二次世界大戦終戦後からコロナ禍以前までは10%を大きく上回ることなく推移していました。それがコロナ禍に瀕した2020年4月では14.7%となり、戦後最高値を更新しています。

 

アメリカの失業保険申請数も、コロナ禍以前の数年間は20万件台だったものが、コロナ禍以後は一時的に600万件を上回っており、桁違いどころではない衝撃の数値となっています。

 

日本国内の会社の売上高の推移に目を向けると、今年度(2020年)4月と前年度(2019年)4月の売上比では、ほとんど全ての業種において全体の84%の会社が減少をしています。

 

特に顕著なのが飲食業や宿泊業で、前年度同月よりも売上減少となった会社は95%を超えるという結果となりました。製造業や運輸業といった業種でも、前年度同月よりも1割以上売上が下がったとする会社が70%を超えています。

 

日本の基幹産業である自動車製造業については、リーマンブラザース破綻前後の1ヶ月間で国内の自動車生産量は10%程度減少しましたが、コロナ禍に瀕した2020年3月と4月の1ヶ月間では、約30%もの減少となっています。

 

自動車製造は裾野が広い産業分野であるため、多くの会社が絡んでいます。自動車の製造が滞るということは、日本の経済に大変影響の大きい事象となります。先述の飲食業界や観光業界は引き続き自粛を強いられており、経済への被害総額はまだ茫洋としたままです。

 

コロナは国家ごとに被害を与えただけでなく、国家間にも影響を及ぼしました。多くの国は国境を閉じるか、または国境を越える往来を制限しました。また、日本でもそうですが、国によっては自国内でも移動を制限したり、あるいは移動の自粛要請をしています。

 

人の往来が途絶えるということは、経済活動も停滞することを意味します。物は生活必需品しか売れず、飲食店やホテルからは人影が途絶えました。売上の減少は最悪会社の倒産に繋がり、従業員が職を失う結果へと繋がって、ますます経済が停滞するというネガティブスパイラルに陥ります。

 

各国ではコロナ禍に対する経済対策を策定しました。アメリカでは、家計への現金給付や中小企業への給与補助を柱として、約300兆円(3兆ドル)の対策を決定しています。ドイツでは約130兆円(1兆ユーロ)を、仏では約50兆円(4200億ユーロ)を対策費用としました。

 

日本では対策費用として約230兆円の予算を組みました。中小企業に対しては持続化給付金を、そして国民一人あたりに対しては10万円の特別定額給付金を支給することにしており、約230兆円という金額はGDPの約4割に相当しますので、それだけの経済対策をする必要があったということです。

 

コロナ禍による身近な生活への影響には、外出の自粛とリモートワークの推奨が挙げられます。GW後の一時収束ムードにより元の生活様式への揺り戻しが一時起こりましたが、7月に入って再び感染者数が増加し、政府や自治体は有効な解決策を見出だせず事態は混沌としています。

 

そしてコロナ禍は、人間社会に半ば強制的に生活様式を改めることを余儀なくしています。また、かねてより問題視されていた満員電車や東京への一極集中は、今回のような感染症の流行時には大変脆く、非常に高いリスクを有していることが分かり、解決する必要があることを改めて突き付けられています。

 

そのために今後、リモートワークやインターネットの活用が一層推進・整備されていくことが予想されます。そこにはこれからの起業家や副業家にとってビジネス上のヒントが隠されています。

 

 

2 ウィズコロナの生活様式

ウィズコロナの生活様式

 

ウィズコロナという言葉に代表されるように、今後は望むと望まないに関わらず、コロナを念頭に置いた経済活動や生活様式の切り替えが行われていくことになります。そのウィズコロナによって起きる社会変化と新しい仕事の在り方とはどのようなものでしょうか。

 

新型コロナウイルスに罹らないためには、「密を避ける」ことが重要であるとされています。通勤・通学の電車やバスなどの空間は密になる可能性が高くなります。そのため、通勤や通学の手段として「自転車」や「相乗り」が脚光を浴びています。

 

オフィスや会議室も密となる空間です。密を避けるために、会社ではオフィスを離れてリモートワーク導入に舵を切る会社が増えています。オフィスを削減してリモートワークを導入することには、賃貸料という固定費の削減効果もあり、うまく切り替えを行うことで会社にとってプラス効果もあります。

 

リモートワークでは、業務報告や会議をWebビデオ会議ツールなどで行います。教育機関でもオンライン授業の導入が検討されており、実際に既にオンライン授業を導入している大学などもあります。

 

会社では例えば富士通では、今後3年で国内のオフィス面積を半減してリモートワークを推進する、という目標を打ち立てています。リモートワークに伴う評価や手当などの制度の見直しも行っており、今後も同様にリモートワークを導入する会社は増えていくことでしょう。

 

リモートワークという、今までとは異なる仕事の形態が採り入れられるためには、評価面にも今までとは異なる形態を採り入れる必要があります。

 

メンバーシップ型とジョブ型

 

今までの日本の働き方は「メンバーシップ型」という、「人に仕事を割り当てる」形態でした。

 

メンバーシップ型では、仕事を割り当てられた人はその仕事に対する責任感を強くして、専門性を高めていくことになります。一方、人に仕事がつく、すなわち仕事が人に従属するという、マイナス面での特徴も有しています。

 

人に仕事がついた場合、その人がいないと仕事が進まなかったり、全体の業務効率が落ちたり、権力が発生して不正が起きたりする、という弊害が発生します。

 

このメンバーシップ型とは逆に、「仕事に人を割り当てる」働き方を「ジョブ型」と呼びます。ジョブ型は、ある仕事に対して労働時間や報酬、勤務形態を決めるという、海外の会社に多い形態です。個人のスキルや経験がより重用される、プロフェッショナルな働き方といえます。

 

元来日本社会には、仕事をしていなくともオフィスにいる時間が仕事をしているとして評価されるという側面がありました。また、必要ではない会議、会議のための会議をいわば惰性で行っているにも関わらず、それが仕事をしているという評価に繋がっていました。

 

リモートワークでは、割り当てられた時間内で成果を出すことを求められるため、正当な評価がなされ、かつ無駄な会議の削減も期待できるなどの効果を期待できます。リモートワークとジョブ型は相性が良い、ということです。

 

ジョブ型は仕事が基準となりますので、契約した仕事の完了と同時に契約も終了となる可能性があります。これは、日本社会に伝統的な「終身雇用」や「年功序列」とは相反する特徴です。

 

終身雇用や年功序列は日本社会の特性に根付いた働き方なので、ジョブ型を導入するときにどのように日本社会に落とし込んで行くかが今後の課題といえるでしょう。

 

また、現在の働き方の主流であるオフィスワークには、人やモノが集約していくという特徴があります。人やモノはそれ自体が更にお互いを呼び寄せるために、都会への一極集中が起こります。首都機能を独占している東京では特に、あらゆる人やモノ、情報が集約し、満員電車などの社会問題が発生しています。

 

仮に、リモートワークという働く場所を特定の一箇所に定めない形態を主流とすることができた場合には、人やモノを分散し、一極集中の緩和効果を期待できるでしょう。

 

以上のように、リモートワークとジョブ型という働き方への転換は、既存の会社にとってコロナ禍を生き延びるための方策となります。また、新規会社にとっては、旧態を改めない会社を追い抜かすための強力な手段となり得ます。

 

 

3 コロナ禍中の副業と会社設立のメリット・デメリットとは

コロナ禍中の副業と会社設立のメリット・デメリットとは

 

ウィズコロナ時代とは、新しい社会様式(ニューノーマル)が求められています。ニューノーマルでは場所や既存の価値観からの脱却を求められることになりますが、現代にはそれらを実現するためのインターネットというツールがあります。

 

コロナ禍中の副業と会社設立のメリット

 

インターネットで仕事や取引を行うことができれば、時間や情報の効率化に繋がります。また、オフィス賃料の削減によって固定費を低く抑えることにもなります。

 

また、副業とインターネットの相性は良いので、時間や場所を選ばずに仕事を行うことができれば、自身のスキルや実績を高めることもできるので、独立という選択肢も出てきます。

 

副業では会社側(雇用主側)にとっても、従業員を雇うほどの資金が無い場合、あるいは従業員を雇うほどではないスポット作業をインターネット上で外注することによって、費用や時間を節約することができます。

 

時間や場所を有効に活用できる副業の選択肢の一つにYoutubeなどの動画配信サービスが人気です。コロナ禍中では、例えば、健康用品の紹介や巣ごもり時間の活用方法などが需要のあるテーマとなっています。

 

また、動画配信は副業を行う個人だけではなく、新規設立する会社の新事業としても有力な選択肢になり得ます。勉強や資格、音楽などの講座や討論会などのWeb配信は、今後ますます普及して広まっていくことでしょう。

 

起業家にとっても、インターネットという手段は地方に活路を見出すツールとなります。ニューノーマルでは東京の一極集中の解消が目標の一つとなりますので、今後地方への移住や拠点の分散化が進む可能性もあります。

 

地方では東京よりもモノや情報が少ない反面、今後の移住者や分散化によって東京にないビジネスチャンスを狙うことができます。

 

また、自身が地方へUターンやIターンをして、食糧自給率を課題とすることに注目して農業によって起業をすることも選択肢の一つです。

 

以上のように、コロナ禍での副業や会社を設立するメリットは、既存の価値観にはない新しいビジネスや需要を狙えることとなります。

 

新しい価値観の主要ツールとなるインターネット上には、すでに多くの人や会社が参入していますが、ニューライフのニーズの機微を捉えることができれば、ビジネスチャンスは未知数に埋まっているといえます。

 

コロナ禍中の副業と会社設立のデメリット

 

デメリットは、競合者が多いため埋もれる可能性もあるということです。また、ウィズコロナの影響で人や物の動きは鈍く、お金も回り辛いことに留意しなければなりません。効率的に資金を活用することを心掛けないと、コロナ禍以前の時代よりも早く資金難に陥ってしまう可能性があります。

 

また、ニューライフには旧来にはない需要が眠っているとはいえ、社会全体の経済活動が停滞しているために、そもそも経済意識が低いことに注意する必要があります。仕事の供給よりも、働き場という需要を求める人の方が多いため、副業家にとっては困難な時期が続くことが予想されます。

 

 

4 会社を設立するまでの流れ

会社を設立するまでの流れ

 

会社には株式会社を初めとして4つの種類がありますが、ここではまず最も知名度の高い「株式会社」に的を絞って設立までの流れを見ていきます。まずは株式会社設立までの流れや必要となる書類を、そして後の章では株式会社以外の会社設立の流れにも触れます。

 

 

4-1 会社の発起人の決定から定款認証まで

会社の設立とは、「法人」という法律上の人格を社会に誕生させる、ということです。法人を社会に産み出すためには、人間の出生届にあたる書類を「法務局」に提出して会社設立の申請を行うことになります。しかし、会社の設立にはこの法務局への手続きより先に幾つかの準備作業を行わなければなりません。その一つは発起人(会社設立者)の決定です。

 

発起人は、以後に続く会社設立作業の中核を担う事になり、また会社設立の責任を負うことになります。もし複数の発起人がいる場合は、それぞれの役割や会社設立後の役職などを早いうちに明確にしておきましょう。

 

次に行うことは商号(会社名)の決定です。もし、同一の商号が既にある場合でも、所在地が同じでない限りはその商号を用いることができます。しかし、有名企業などの商号を不正に使用した場合には訴えられることがあり、もし不正と認められた場合には100万円以下の罰金を課されることになります。

 

また、不正の目的ではないにしても同一商号がある場合には、想定していたインターネットのドメインが既に使われており、そのドメインを取得できない場合があります。現代ではホームページが会社の主要な窓口となりますので、ドメインが既に使われていないか事前に調べておくと良いでしょう。

 

会社の顔としての商号という観点では、商号は聞き取りやすく日常よく使われている言葉を用いることが好ましいといえます。ただし、よく使われる言葉を用いた商号はインターネット上でもありふれていることとなり、逆に検索されにくいものとなりますので注意をしてください。

 

次に、会社の資本金を決めます。資本金は1円以上が会社設立の要件となっていますが、資本金は会社設立時の運転資金にあたり、また会社の信用に関わってくるものですので、後のことも考えて慎重に決めましょう。

 

そして、会社の本店所在地を選定します。本店所在地となる住所はインターネットなどを通して公開される情報となりますので、自宅を本店所在地とする場合には個人情報保護の観点から十分留意する必要があります。

 

以上の商号や本店所在地、そして資本金といった事柄は、自社の法律集・ルールブックにあたる「定款」という書類に記載をすることになります。定款は自分で作成をする類の書類で、定款には他にも事業目的や発起人の氏名と住所、そして発行可能株式総数などを記載します。

 

定款は作成したままでは会社のルールを羅列した書類(ただの紙)です。その書類を定款足らしめるためには、書類に収入印紙4万円を貼り、その収入印紙に発起人の実印を消印するという手続きが必要です。

 

株式会社の場合、その定款を公的なものとして認証するための「定款認証」という手続きを行います。定款認証は公的機関である「公証役場」にて手数料5万円を払って行います。

 

定款認証を済ませたら、その後の手続き用の添付書類として定款謄本を2冊請求しておきます。定款謄本は定款の枚数によって料金が変わります(一枚250円)。多くは1冊千円となりますので、2冊で2千円が相場です。

 

定款認証が完了した後は、資本金の払い込みという作業を行います。この段階ではまだ会社は設立されておらず、したがって会社用の口座はありませんので、代わりに発起人の口座へ払い込みを行います。

 

資本金を払い込んだ後は、払い込みの記帳をした通帳をコピーして払込証明書を作成します。払込証明書は通帳のコピーとまとめて一冊にします。

 

 

4-2 法人登記について

法務局での手続きに近づいてきましたが、まだ下準備が残っています。法務局での手続きには、前述の定款謄本と払込証明書と通帳コピーをまとめた書類の他に、次の書類が必要となります。

 

  • ・登記申請書
  • ・代表取締役と取締役(複数の発起人がいる場合)の就任承諾書と印鑑証明書など
  • ・監査役の就任承諾書と本人確認書類
  • ・記載事項を別途記載した用紙、または記録したCD-Rなど
  • ・印鑑届出書

 

最後の印鑑届出書とは、会社の実印を登記するために必要となる書類です。日本では印鑑文化が根強く残っているため、押印をする様々な局面に出くわすことになります。

 

実印は法務局で「実印登記」を行うことによって実印としての公的な効力を持つことになります。実印を悪用された場合は会社に重大な損害を及ぼすため、実印は大切に管理をする必要があります。

 

そのため、印鑑には他にも実印を求められていない平時で使うときのための認印や、会社の住所・社名・代表者を記載したゴム印(住所印)なども用意しておくと良いでしょう。

 

ここまで済んだら、いよいよ法務局での会社設立手続きに移ります。法務局で行うこの手続は「法人登記」と呼ばれるものです。会社の設立日は法人登記の申請書類を法務局に提出した日となります。なお、前述の会社の実印登記もこの法人登記と同じタイミングで行うことで、工数を一つ減らすことができます。

 

法人登記の申請には登録免許税という税金を納める必要があります。この登録免許税はある資本金額を境に固定額と変動額に分かれます。その境となる資本金額とは2143万円で、2143万円未満の場合の登録免許税は一律15万円となり、2143万円以上の場合は資本金の0.7%にあたる額となります。

 

法人登記の完了までには1~2週間程度を要します。全てをゼロから始める場合、法人登記の申請に行き着くまでに1~2週間程度を見ておいた方が良いでしょう。そのため、会社設立が完了するまでには最短でも1~2週間を、各種作業に時間を費やした場合は1ヶ月以上を要することになります。

 

法人登記が完了したら、この後に続く作業のために登記簿謄本(600円)と会社実印の印鑑証明書(450円)を取得しておきます。

 

 

4-3 法人設立後の作業

会社には、設立登記が完了した後も設立時の作業が残っています。その一つは税務署に対して行う手続きです。法人設立届出書や青色申告の承認申請書などを始めとして、従業員がいる場合には給与支払事務所などの開設届出書を税務署に提出します。

 

更に、都道府県と市区町村への会社設立届けも並行して行う作業の一つです。また、自身を含んで一人でも給与(役員報酬)が発生する場合には、年金事務所へ社会保険適用手続きを行います。従業員を雇っている場合には、労働保険の保険関係設立届けを労働基準監督署へ提出するなどの作業もあります。

 

ここに上げた各届けにはそれぞれ提出期限がありますので、期日に遅れないように気を付けてください。期日内に漏れなく行うためには、税理士や司法書士などの専門家に依頼することが確実です。

 

 

5 会社設立費用のまとめと安く抑える方法

会社設立費用のまとめと安く抑える方法

 

標準的な株式会社の会社設立費用をまとめると次のようになります。

 

  • ・定款用収入印紙  4万円
  • ・定款認証手数料  5万円
  • ・定款謄本請求手数料 2千円
  • ・登録免許税  15万円~
  • ・印鑑セット代  2万円~
  • ・登記簿謄本 600円+印鑑証明代 450円

 

以上を合計すると263,050円になります。なお、実際には上記の他にも資本金の準備や、役場に赴くための交通費や書類の準備・郵送などの実費が発生します。資本金を100万円とした場合、会社設立には130万円程度の資金が必要と考えておくと良いでしょう。

 

会社設立費用のまとめと安く抑える方法

 

さて、会社設立費用が高額となることは分かりましたが、費用を安く抑えることはできるのでしょうか?答えは「条件によって可能」で、その条件の一つは「電子定款認証を用いる」ことです。

 

電子定款認証とは、定款を紙ではなく電子データーとして作成することです。電子定款認証とした場合、収入印紙の4万円は必要ないため、その分を浮かすことができます。ただし、ここには落とし穴と呼ぶべきものがあります。

 

電子データーの定款を作成するためには、専用の機器やソフトが必要となります。もし、これらの専用機器やソフトを持っておらずゼロから揃えるとなると、通常4万円以上の費用が掛かりますので、結果として収入印紙の4万円の方が安く済むことになります。

 

会社設立費用を安く抑える(可能性のある)方法はまだあります。会社設立手続き一式を請け負っている税理士などの専門家に依頼をすることです。

 

専門家によってサービス内容や費用は様々で、高額の料金設定としているところもありますが、定款作成アドバイスから税務署や自治体などへの届けまでを含めて良心的な料金で行っているところもあります。サービスの手厚いところは例え高値でも、安心感などによって金額以上の見返りがあるといえます。

 

中には、会社設立後の会計・税務処理の契約をセットにすることによって会社設立代行料を格安で請け負っているところもあります。標準的会社設立費用である約26万円を基準に、インターネットで検索をして各社の設立料金を比較してみるのも良いでしょう。

 

そしてもう一つ、会社設立費用を安く抑える技があります。それは、設立する会社の種類を株式会社ではなく「合同会社」とする、というものです。次の章では合同会社について詳しく解説します。

 

 

6 合同会社について

合同会社について

 

合同会社とは4つある会社の種類の一つです。4種類の内一つはもちろん株式会社ですが、株式会社以外にも会社の種類には「合同会社」、「合名会社」、「合資会社」があります。合同会社は、この4つの内最も新しく設けられた会社の種類です。

 

合同会社とは4つある会社の種類の一つ

 

 

6-1 合同会社の特徴

合同会社の特徴

 

まず株式会社の話しから入りますが、株式会社の特徴かつメリットは、メジャー感と資金調達のし易さです。他の会社、例えば合名会社は認知度が高いとはいえず、それが会社の宣伝効果の低さにも繋がりますが、株式会社の場合はその言葉だけで安心感とメジャー感において勝っているといえます。

 

また株式会社は、会社の運転資金を株式という形で外部から調達することができます。他の会社では資金を外部から募るということはできません。

 

しかし、株式はその所有数がそのまま会社の持ち分に直結するものですので、注意をしないと会社を乗っ取られる事態もあり得ます。一方、会社の債務(借金)は株式会社の場合は原理的には社長や発起人とは切り離されて考えられますので、会社の借金=自分の借金ということにはなりません。

 

この会社の借金≠自分の借金となる扱いを「間接有限責任」といいます。ただし、借金の保証人を自分としている場合にはこの限りではありませんので注意をしてください。

 

一方、会社の借金=自分の借金となることを「無限責任」といいます。この無限責任となるのが合名会社と合資会社です。これだけでは合名会社と合資会社のメリットは無いように思えますが、合名会社と合資会社には株式会社にはない「自治権の大きさ」があります。

 

株式会社は外部から資金を募ることができる反面、外部に対して開かれているため社会に対する影響力や責任も大きくなり、その分制約や決まりごとも多く設けられています。そのため、自治権面では大きいとはいえません。

 

そのような株式会社の間接有限責任と、合名会社・合資会社の自治権の大きさを併せ持った存在が、合同会社という存在です。合同会社は、合名会社と合資会社の明らかなデメリットである無限責任を有していないため、現在では株式会社に次いで会社設立時に選ばれる存在となっています。

 

 

6-2 合同会社の会社設立費用

合同会社は、株式会社の外部に開かれているという特徴を有していないため、株式会社の事業規模に比べると小規模事業者向きとなりますが、株式会社に比べると設立費用を安く抑えることができます

 

具体的には、合同会社を設立する際には公証役場による定款認証は必要なく、したがってその手数料も発生しません。株式会社を法人登記する際に発生する15万円の登録免許税も6万円で済みます。なお、この費用面の取り扱いは合名会社と合資会社も同様となります。

 

合同会社の設立費用をまとめると以下のようになります。

 

  • ・定款用収入印紙 4万円(電子定款の場合はゼロ円)
  • ・登録免許税 6万円
  • ・印鑑セット代 2万円
  • ・登記簿謄本 600円+印鑑証明代 450円

 

合計して121,050円となり、約26万円の株式会社と比較をした場合格安です。会社設立前後の出費が痛い時期には見逃せないメリットとなります。

 

合同会社は知名度では株式会社に劣りますが、会社設立費用以外にも自治権の大きさや徐々に大きくなっている注目度によって、スマートビジネスに適した会社の種類といえます。自社の会社の規模や目指す方向性によっては、合同会社は充分検討に値する会社の種類といえるでしょう。


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