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【新型コロナ関連】経営者・フリーランス向けの助成金・融資・支援制度まとめ

新型コロナウイルス(Covid-19)の発生により、顧客の減少・店舗休業・売上の減少・各種業務の遅延など、相当な数の事業者が、打撃を受けています。あらゆる業態の経営が悪化する状況下で、2020年4月7日には、日本政府から地域を指定し、住民の行動を抑制する「緊急事態宣言」が発令されました。対象となる都道府県では、多数の業種に営業自粛要請を初めとする、経営に大きな影響のある自粛要請が出されています。

 

しかし、自粛が要請される一方、「給与・支払い・税金・家賃など目先の支払いをどうするか」という問題は常に存在します。解決策として、新型コロナウイルス関連の経営者・フリーランス・従業員向けの助成金・融資・支援制度をまとめます。

 

 

1 新型コロナが会社経営・個人事業主に与えている影響

新型コロナが会社経営・個人事業主に与えている影響

 

新型コロナにより、極めて多くの会社経営者・個人事業主・フリーランスが影響を受けています。例として「仕事そのものが減少する」、「事業の特性上、物理的に仕事ができない」、「クライアントからの支払いが滞る」、「クライアントが経営破綻し、売上を受け取れない」など、様々な影響が生じています。全世界的に「需要がない」というのは、リーマンショック・東日本大震災の時でもない状況でした。現在の状況下で、いつこの緊急事態宣言が収束するかは不明です。

 

 

1-1 あらゆる事業に新型コロナの影響

新型コロナウイルスが海外で発生した当初は、影響に対し楽観的な見解もありました。しかし、新型コロナウイルスが全世界に広まり、日本でも大きく流行する状況となっています。現在、47都道府県の大半で罹患者が発生しています。また、メディアに露出する芸能人、著名人の罹患、逝去なども、国民全体に新型コロナウイルスの恐ろしさを認識させていると言えます。消費活動の自粛や、テレワークへの移行による事業の混乱、新規事業・進行中の事業の停止も含め、相当多くの事業が負の影響を受けています。

 

先が見えない現状では、お金を使う事に対し、保守的になる企業が大半でしょう。「先が見えない」という状況があるので、多くの企業・個人がどうしても守りに入ってしまいます。今後いつ収束するかというのがわかれば良いですが、現時点では明確な答えがありません。

 

また、新型コロナウイルスに端を発する、企業の連鎖倒産も今後懸念すべき事項です。取引先の経営破綻により、これまで見込んでいた売り上げが、企業の破綻により回収できなくなる可能性もありうるのです。

 

 

1-2 外出が関わるビジネスへの大打撃

外出が伴うビジネス、特に店舗業、旅行業、接客業等をはじめとするサービス業は、相当な打撃を受けています。現時点の社会情勢では、地方でさえも、旅行・県境をまたいだ移動が憚られる状況ですし、都市部においては、さらに厳しく、不要不急の外出自粛が要請されている状況です。

 

移動・旅行などで新型コロナウイルスに罹患する可能性もあり、現在長距離移動・旅行を行うことは多くの人がためらうでしょう。また、飲食業も危機的状況です。外へ出て会食・飲み会をすることさえ、控える動きがあるのが現状です。特に、集団の飲み会・会合に関しては、飛沫感染の懸念もあるため、大半の企業が集団での飲み会・会合を自粛しています。

 

特に、旅行に関しては、都道府県外、国外に旅行した後に、万一自分や家族がコロナウイルスに感染したとなると、自分だけでなく、職場、関係先、訪問先などに大きく迷惑をかけると共に、「この時期になぜ旅行をした」と強い批判を浴びるのは目に見えています。実際、一部の都道府県では、新型コロナウイルスの問題が表面化している時期に旅行をした感染者が、厳しい批判を受けています。

 

加えて、店舗を構え、来客を要する物販その他全般の業務についても、影響は甚大でしょう。既に、緊急事態宣言の発令されている都道府県では、土日祝日の営業自粛要請が出され、業態によっては、平日も含めた営業自粛・営業制限がお願いされている状況です。店を閉める場合でさえも、家賃を支払う、従業員を一時休ませる、退職してもらう措置が必要になるケースもあり、撤退の場合は原状回復費用も必要と、様々な面で費用がかかります。

 

 

1-3 固定費が大きいビジネスの危機

大きな施設・設備・駅に近い立地、ブランド価値の高い土地のテナントへの入居、社員の多さなど、固定費が大きくなってしまうビジネスでは、毎月多大な固定支出が存在します。税金の猶予措置や融資などの措置はあっても、いつかは税引き後の利益から返済する必要が当然あります。

 

今回の新型コロナウイルスの影響がいつまで続くかは、極めて不明確です。事態の収束以前に、そもそもワクチンや治療法が確立されていないという状況ですので、治療法確立までは、現状のような自粛が続くでしょう。また、仮に新型コロナウイルスが一時的に落ち着いても、各地で第二波が到来するケースも想定できます。当面、消費のあり方が大きく「生命の維持」を主体にシフトしていく可能性もあります。

 

多くの企業が少なからぬ影響を受ける現状で、経営者・個人事業主・フリーランスは、「まず、物理的・経済的な面で生き残る必要がある」と言えます。また、国は現行制度の範囲内で、様々な支援策を用意しています。支援策については後述しますが、今回のようなイレギュラーな事態では、使える手段は使うのが肝要です。

 

 

1-4 アフターコロナを見据えた対応

当面は、アフターコロナに加え、withコロナ、つまり新型コロナウイルスが各方面に影響を及ぼし続ける状況が続くと推定されます。新型コロナウイルスの存在と、ある種の「共生」を考えながら、ビジネスを考えなければなりません。

 

毎月のランニングコストが高い業態であれば、いかにランニングコストを削減するか、代替手段を考えるかが重要になります。特に店舗営業自粛の動きが全国的に広がる現在、コロナウイルスが収束するまで業務撤退・業態転換・デジタルシフトに加え、不要な支出を減らし、キャッシュの流出を止める措置をとっていく必要があると言えます。

 

加えて、コロナウイルス収束はいつか来るという希望を持つことも必要です。ただ、アフターコロナの状況では、新しくビジネスを構築することが必要になる業態も多いでしょう。物理的に動けない今の時期だからこそ、今後を見据えた打ち手を冷静に考えることは重要です。

 

ただ、一つ心がけていただきたいことがあります。業態転換、撤退などの場合であっても、ぜひ既存顧客とのつながりは保っておくことです。具体的には、顧客のメールアドレス・住所・LINEなど、事業を再開する際、顧客に連絡をできる手段を有しておくということです。

 

そして、いざ再度立ち上がろうとするときに、事業再開の連絡をできることは大きな強みとなります。江戸時代、顧客名簿である大福帳は、こんにゃくを原料にした、水に入れても文字がにじみにくい紙で作られていました。江戸時代は大火事が多かった時代でしたが、大福帳を井戸に投げ入れ、鎮火後に大福帳の記載先にご挨拶することで、商人は再起を図ることができたというエピソードがあります。それ位、顧客名簿・顧客とのつながりは大切なものと言えます。

 

 

1-5 今の状況をどう乗り切るか

現状において経営者は、今は「どうやって支払いをしていくか」「今の状況を乗り切るか」という現実と向き合う必要があります。現在のランニングコスト、将来の可能性など含め、今後を考える事も求められます。専門家の力を借り、無駄を徹底的に見直す、資金調達を図ることが肝要です。

 

 

1-6 生き残りを図るか、一度整理か

この後紹介しますが、新型コロナウイルス対策として、融資や補助金・助成金など各種制度が、多く創設されています。今後も、制度が新設・改善されていくでしょう。税金の納税・社会保険料の納付なども含め、多くの措置が出されています。

 

ただし、融資に関しては、返済前提であることを認識する必要があります。支払いの繰り延べも、あくまで支払いを後にする手続きでしかありません。つまり、事業回復の見込みがないと、融資やその他措置を受けても、余計に傷口を広げるだけということになる可能性もあるのです。

 

そのため、融資・補助金・助成金だけでなく、リスケジューリング(返済計画の変更)や経営者保証のガイドラインなど、できるだけ支出を抑えたり、穏やかな法的整理(信用情報に影響がない、華美ではない自宅であれば住める)を行う手法も紹介します。

 

 

2 新型コロナによる倒産状況

新型コロナによる倒産状況

 

新型コロナウイルスの影響により、サービス業は大打撃を受けています。報道などでは、2020年4月10日の時点で、経営破綻・法的整理申立も含めた新型コロナ関連の経営破綻は、およそ48件(一定規模以上のもの)とされています。ただ、現在申立中のものや、零細企業・個人事業主などの法的手手続き申し立て、廃業などを含めると、新型コロナウイルスで破綻せざるを得ない企業などは、相当な数に上ると推察します。

 

 

2-1 新型コロナが倒産の引き金

新型コロナ発生前から、多くの企業、特にサービス業は人件費の高騰と消費増税、増税に伴う消費意欲の低下に苦しんできました。この状況下に加え、新型コロナウイルスの流行、それに伴う自粛ムードが、倒産の引き金を引いたと言えます。

 

現時点で経営破綻している企業を見ると、もともと業績は厳しい状態であったけれども、これまでなんとか成り立っていた会社や、設備維持に多額のお金がかかる業種(旅館業・アミューズメント施設)などが、新型コロナウイルスの影響で耐えきれなくなったという例が目立ちます。

 

 

2-2 連鎖倒産という危険性

今後懸念されるのは、大型経営破綻の件数増加に加え、破綻した企業からの回収ができず、連鎖倒産する企業が多く発生する恐れがあることです。ある産業の破綻が他の産業に想定し、ドミノ倒しのごとく企業が倒れてしまうという事態も想定しなければなりません。

 

2-3 あらゆる業種での大型倒産

新型コロナウイルスにかかる大型倒産の業種を見ると、「クルーズ船運営」「食品製造」「旅行業」「婦人服販売」「レンタカー」「出版業」など、観光・飲食産業が7割前後です。これに加え、イベント関連、住宅設備販売、製造、出版業などの業種も影響を受けています。

 

意外な業種では、「ゴム風船製造会社」もあり、中国などの現地法人より原材料の仕入れができず、経営破綻に至ったというケースさえあります。新型コロナウイルス倒産は、観光・飲食産業、販売業、イベント業、インバウンド主体の業種に限った「対岸の火事ではない」のです。

 

 

3 新型コロナ関連の融資・支援制度

新型コロナ関連の融資・支援制度

 

新型コロナウイルス関連では、2月~4月にかけて、日本政策金融公庫などが各種融資制度を整備、各団体・地方自治体などが支援制度を設け、現在も状況に応じ制度変更を行っています。なお、当内容は、経済産業省の発行する、「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」の手引きを参考にしております。

 

 

3-1 日本政策金融公庫の融資制度

日本政策金融公庫は、2月の時点から、新型コロナウイルス対策融資の制度整備をはじめ、3月、4月にかけて3つの段階(実質無利子・金利0.9%引き下げ、金利引き下げなし)における支援制度を整備しました。なお、「実質無利子」については、「返済時は金利を支払うけれども、あとからキャッシュバックする」という形式であることにご留意ください。

 

金利引き下げ 制度名 内容
なし セーフティネット貸付 売上高の要件はなく、どの法人・個人事業主でも受けられる融資
0.9%引き下げ 新型コロナウイルス感染症特別貸付 売上高5%以上減少(個人事業主の場合は、上記条件より柔軟に対応)が要件
0.9%引き下げ 新型コロナウイルス対策マル系融資 売上高5%以上減少が条件で、商工会議所を通して申請。
0.9%引き下げ 危機対応融資 売上高5%以上減少が要件
実質無利子 特別利子補給制度 金利引き下げ制度のある融資を受けた際に、下記の条件に当てはまる事業者に対し支給
・個人事業主:要件なし
・小規模法人:売上高15%以上減
・中小企業:売上高20%以上減

 

各制度の詳細・諸条件などについて、より詳しく見ていきましょう。

 

資金使途 お金を何に使うかという名目。金融機関は、資金使途から外れた用途にお金を使うことを絶対の禁止事項としている。
大別して運転資金と設備資金がある。
運転資金:会社の経営のためであれば、特に使途は問わないお金。ただし、融資利率が高くなる、貸し出し限度額が限られるケースもある
担保 大きなお金を借りるときは、以前は土地・建物などの「担保」が必要であり、もし返せない場合は、担保を競売にかけられる、つまり失うことになっていた。しかし、現在の融資の多くは、無担保を前提としており、担保がないと貸せないくらい、融資先の業況が厳しいケースや、債務者の経営に悪化が見られた場合のみ、担保を要求している。
貸付期間 返済までの最大の期間。一般的にはこれより短いケースが多い。運転資金と設備資金では、設備資金が長い傾向
据置期間 一定期間(3年~5年)、元本の支払いは不要で、金利だけを支払えばいいという期間。例えば返済期間が15年、うち据置期間5年であれば、最初の5年は金利だけ、その後10年は元金と金利を合わせて支払う形となる。よく誤解されがちだが、「金利も含め、返済自体をしなくていい期間ではない」ということに留意
融資限度額 文字通りあくまで限度額・上限であり、状況や必要に応じて実際に借りられる額は異なることに注意

 

以上の用語を踏まえ、次以降の融資の詳細をご確認ください。

 

①セーフティネット貸付

新型コロナウイルスなどの外的要因で、一時的に売り上げや業況が悪化しているが、中長期で見れば業績回復・発展が見込める中小企業等に対して、経営基盤の強化を支援する制度です。

 

資金使途 運転資金:設備資金
限度額 中小事業7.2億円、国民生活事業4,800万円
貸付期間 設備資金15年以内、運転資金8年以内
据置期間(金利のみを返済する期間) 3年以内
金利 基準金利:中小事業1.11%、国民事業1.91%

 

当初は、この融資も「売上高が5%以上減少」という数値要件がありましたが、2020年2月14日からは、「今後の影響が見込まれる事業者」と、柔軟な要件に変わりました。

 

②新型コロナウイルス感染症特別貸付

新型コロナウイルスの影響を明らかに受けている企業に対し、

 

  • ・信用力、担保によらない
  • ・一律金利
  • ・融資後の3年間までは金利を0.9%引き下げ
  • ・据置期間5年

 

など、非常に有利な条件で融資を受けられます。

 

融資対象条件 新型コロナウイルスで一時的な業況悪化をきたし、下記のどちらかに当てはまること。
・最近1ヶ月の売上高が前年又は前々年の同期と比較して5%以上減少
・業歴3ヶ月以上1年1ヶ月未満の場合、店舗増加や合併、業種の転換など、売上増加に直結する設備や雇用等の拡大している企業(ベンチャー・スタートアップ企業を含む。)など、前年(前々年)同期と単純に比較できない場合等は、最近1ヶ月の売上高が、次のいずれかと比較して5%以上減少している
a 過去3ヶ月(最近1ヶ月を含む。)の平均売上高
b 令和元年12月の売上高
c 令和元年10月~12月の売上高平均額
担保 原則不要
貸付期間 設備資金20年以内、運転資金15年以内
据置期間 5年以内
融資限度額 既存貸付とは別枠として、中小事業3億円、国民生活事業6,000万円
金利 当初3年間は、基準金利から0.9%マイナス。4年目以降は基準金利に戻る。
中小事業は、1.11%が最初の3年は0.21%、国民生活事業は1.36%が最初の3年は0.46%という形になる。また、金利は貸付期間・信用力・担保の有無により異なる
利下げ限度額 中小事業1億円、国民生活事業3,000万円。
上記を超える額は、優遇金利の対象外
備考 既に令和2年1月29日以降に日本政策金融公庫等から借り入れている場合も、要件に合えばさかのぼって利子補給などを受けられる

 

③新型コロナウイルス対応マル経融資

「マル経」の正式名称は、「小規模事業者経営改善資金融資」といいます。マル系融資は、「商工会議所・商工会。都道府県商工会連合会の経営指導員による経営改善指導を受ける」ことを前提に、日本政策金融公庫(他の金融機関が行うケースもあります)が無担保・無保証人で融資を行う制度です。

 

対象者 直近1ヶ月の売上高が前年、または前々年の同期と比較して5%以上減少している小規模事業者
資金使途 設備資金・運転資金
融資限度額 (日本政策金融公庫の既存融資に加え別枠として1,000万円)
金利 経営改善利率として1.21%、当初3年間は0.9%引き下げ

 

④危機対応融資

危機対応融資に関しては、日本政策金融公庫ではなく、商工組合中央金庫(商工中金)が行います。危機対応融資制度は、3月19日に受付を開始し、4月中旬より制度適用がスタートします。

 

制度の概要は下記の通りです。

 

融資対象者 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて一時的な業況悪化し、下記のいずれかの条件に該当
・直近1ヶ月の売上高が前年又は前々年の同期と比較して5%以上減少
・業歴3ヶ月以上1年1ヶ月未満の場合、店舗増加や合併、業種の転換など、売上増加に直結する設備や雇用等の拡大している企業(ベンチャー・スタートアップ企業を含む。)など、前年(前々年)同期と単純に比較できない場合等は、最近1ヶ月の売上高が、下記のいずれかと比較して5%以上減少している
a 過去3ヶ月(最近1ヶ月を含む。)の平均売上高
b 令和元年12月の売上高
c 令和元年10月~12月の売上高平均額
資金使途 運転資金、設備資金
担保 無担保
貸付期間 設備資金20年以内、運転資金15年以内
据置期間 5年以内
融資限度額 最大3億円
金利 東証3年間は基準金利より0.9%割引、4年目以降は基準金利。一般的なケースでは、1.11%、最初の3年が0.21%という形となる。なお、利下げの限度額は1億円まで。

 

以上が、政府系金融機関による支援融資です。

 

 

3-2 信用保証協会の融資保証

次に信用保証協会の融資保証を見てみましょう。信用保証協会は47都道府県にあり、金融機関が会社・個人事業主にお金を貸すときに、保証人代わりとなってくれる団体です。公的な団体ではあるのですが、通常は信用保証協会に「保証料」を支払う必要があります。

 

もし借り手の返済が滞り、債権を金融機関が信用保証協会に譲渡した場合、信用保証協会が80%~100%の借入分を補填します。同時に「借りたお金を返してください」という「求償権」が信用保証協会に移転しますので、今度は信用保証協会と返済に関して話し合う必要が出てきます。

 

「保証してくれると言っても、万一の時は借りた自分が返さないといけないなら、保証してもらう意味はあるのか?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、信用保証協会が保証することによって、金融機関が安心してお金を貸せる(貸し出し分をかなりの割合回収できる)ようになります。それ故に、信用保証協会の存在は、借りる人にとっても、金融機関にとっても、大切な存在と言えます。具体的な保証内容を見てみましょう。

 

①セーフティネット保証4号

対象 全都道府県で、売上高が前年同月比20%以上減少している企業
保証枠 最高2.8億円(既存の保証枠とは別)
借入債務保証 100%(万一貸し倒れが発生した場合、通常は保証協会がカバーするのは80%までだが、今回は全額保証するため、金融機関の貸し出しリスクも減り、貸し出しをしやすくなる
窓口 取引金融機関もしくは信用保証協会
必要な手続き 本店所在地の市区町村に認定申請を行い、認定申請書を取得する必要あり

 

②セーフティネット保証5号

対象 587業種(2020年3月23日時点)の、新型コロナウイルスで特に影響が生じている業種で、売上高が前年同月比5%異常現象等の企業対象
保証枠 最高2.8億円(既存の保証枠とは別)
借入債務保証 80%
窓口 取引金融機関もしくは各都道府県の信用保証協会
必要な手続き 本店所在地の市区町村に認定申請を行い、認定申請書を取得する必要あり

 

③危機関連保証

セーフティネット4号保証、5号保証に上乗せして、さらに別枠として確保される保証。

 

対象 全国・全業種の事業者で、売上高が前年同月比マイナス15%以上減少する中小企業や小規模事業者が対象
保証枠 最高2.8億円(一般保証枠・セーフティネット保証とは別枠で、全ての枠を使うと、理論上は最高8億円の保証枠になる(実際に利用できるかは別だが・・・
借入債務保証 100%保証
窓口 取引金融機関もしくは各都道府県の信用保証協会
必要な手続き 本店所在地の市区町村に認定申請を行い、認定申請書を取得する必要あり

 

④信用保証付き融資における保証料・利子減免

政府系金融機関で、現在殺到している融資申請へのカバーができないため、民間金融機関でも実質無利子・無担保等の融資を拡大しています。併せて、信用保証協会の保証の付いた債務も借り換え可能というメリットもあります。

 

対象条件 セーフティネット融資4号、セーフティネット融資5号、危機関連保証と同等の売上高の減少があること個人事業主:売上高等前年同月比マイナス5%以上現象→保証料・金利0小規模・中規模事業者:売上高等前年同月比マイナス5%以上現象で保証料2分の1、さらに15%以上減少なら保証料・金利0
融資上限 3,000万円
据置期間 最大5年
金利補給(実質無金利)期間 3年間。4年目からは制度融資所定金利
既に借りている債務の借り換え 対象要件を満たせば、制度融資を活用した実質無利子融資に借り換え可能

 

このように、非常に大きな枠が設けられています。ただ、現在はどこの日本政策金融公庫支店、銀行窓口でも申し込みが混み合っています。新型コロナウイルスへの罹患を防ぐためにも、電話連絡による事前相談と、書留と速達に近い機能があるレターパックプラスを利用した郵送が望ましいと言えます。

 

⑤各生活衛生関係事業者向け無利子・無担保融資

理美容店、旅館業、飲食店業など、生活衛生に関わる業種は、特に今回のコロナウイルスで大きな影響を受けていると言えます。そのため、生活衛生に関わる業種には、融資条件が別途設定されています。

 

融資対象 ・生活衛生関係の事業を営む
・新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一時的な業況悪化という状況で、下記のいずれかに該当
①最近1ヶ月の売上高が前年又は前々年の同期と比較して5%以上減少
②業歴3ヶ月以上1年1ヶ月未満の場合、または店舗増加や合併、業種の転換など、売上増加に直結する設備投資や雇用等の拡大を行っている企業(ベンチャー・スタートアップ企業を含む。)など、前年(前々年)同期と単純に比較できない場合等は、最近1ヶ月の売上高が、次のいずれかと比較して5%以上減少
a 過去3ヶ月(最近1ヶ月を含む。)の平均売上高
b 令和元年12月の売上高
c 令和元年10月~12月の売上高平均額
資金使途 運転資金・設備資金(振興計画認定組合の組合員)設備資金(組合員以外)
申込先 日本政策金融公庫
貸付期間 設備資金20年以内、運転資金15年以内
据置期間 5年以内
融資限度額 別枠で最高6,000万円
担保 無担保
金利 当初3年マイナス0.9%、(0.46%)、4年目以降1.36%
利下げ限度額 3,000万円

 

⑥生活衛生改善貸付の金利引き下げ

条件 生活衛生同業組合などの経営指導を受けていること
申込先 日本政策金融公庫
特例措置 別枠1,000万円の範囲内で当初3年間、通常の貸付金利からマイナス0.9%引下げ。据置期間を運転資金で3年以内、設備資金で4年以内に延長
対象者 最近1か月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している小規模事業者
資金使途 運転資金・設備資金
融資限度額 1,000万円
金利 当初3年は0.31%、4年目以降は通常の経営改善利率1.21%

 

また、生活衛生関係の事業者にも、特別利子補給制度が存在していますが、今後具体的な方針が中小企業庁ホームページで公開される予定です。

 

⑦衛生環境激変対策特別貸付

目的 感染症等の発生による衛生環境の著しい変化に起因して、一時的な業況悪化から資金繰りに支障を来している生活衛生関係営業者の経営の安定化
申込先 日本政策金融公庫
対象者 新型コロナウイルス感染症の発生により、一時的な業況悪化から資金繰りに支障を来している旅館業、飲食店営業及び喫茶店営業を営む事業者で、下記の両方に該当・最近1ヵ月間の売上高が前年または前々年の同期に比較して10%以上減少しており、かつ、今後も減少が見込まれる・中長期的に業況が回復し発展することが見込まれる
資金使途 運転資金
融資限度額 別枠1,000万円(旅館業は別枠3,000万円)
金利 1.91%(振興計画認定を受けた生活衛生同業組合の組合員についてはマイナス0.9%)
貸付期間 7年間
据置期間 2年間

 

 

3-3 金融機関への配慮要請など

今回の新型コロナウイルスの問題では、金融機関に対して配慮要請、リスケジュールへの配慮要請が行われています。金融機関へ要請された配慮としては主に、「全力を挙げて最大限のスピードで万全な対応を求める」「赤字、債務超過等の形式ではなく、実情に最大限配慮することを求める」と言う点です。なお、リスケジュールに関しては、各都道府県の中小企業再生支援協議会が、窓口相談や金融機関との調整も含め、計画策定を行います。

 

一括して既存債務の元金返済猶予要請 資金繰りに悩む中小企業者に代わり、主要債権者の支援姿勢を確認の上で各都道府県の中小企業再生支援協議会が一括して、1年間の元金返済猶予の要請を実施
資金繰り計画策定における金融機関調整 中小企業者と主要債権者が作成する資金繰り計画の策定を支援。複数の金融機関から借入がある場合、新規融資を含めた金融機関の間に中小企業再生支援協議会が調整を行った上で、既往債権者の合意形成をサポートする
資金繰りの継続サポート 特例リスケジュール計画成立後も、毎月資金繰りを継続的にチェックし、適宜助言をおこなう
事業改善サポート・継続が厳しい場合は経営者保証ガイドラインを活用した事業の軟着陸 特例リスケジューリングが完了した後、本格的な再生支援を希望する中小企業者に改めて、リスケジュール計画を含む再生支援を実施。
また、再建が厳しい先には、別の専門家につなぎ、「経営者保証に関するガイドライン」を活用した、会社の事業を、本人・関係者の負担をできるだけ少なくする形で事業整理になる可能性も。
経営者保証ガイドラインに沿った処理である場合、信用情報の毀損や、家や車も華美でなければ保有しつつづけられるのが原則とされている

 

また、都道府県・市区町村でもそれぞれ独自の支援策を行っております。それぞれ各都道府県・市町村のホームページをご確認ください。

 

 

3-4 新型コロナ関連の支援制度

融資以外にも、新型コロナウイルス関連の支援制度は、日々拡充されています。ただし、各種支援制度は日々アップデートされています。今回の記事では、極力最新の事項を盛り込んでおりますが、内容の追加・拡充・変更が行われる可能性があることはご理解ください。

 

まず、補助金については、注意が必要です。

 

  • ・必ず採択されるとは限らない
  • ・税金として課税対象
  • ・全額の補助ではないケースが多い
  • ・費用は先払い、後から補助
  • ・成果に関する報告義務があるケースが多い

 

このように、最初に支給されるわけではなく、あとから一定割合を補助してもらう仕組みと考えておいた方がよいでしょう。

 

①持続化給付金

当制度に関して、4月13日現在の時点では、まだ詳細はで検討中です。制度設計に関し様々な意見が出ているため、今後変更される可能性がありますが、あくまで現時点での情報を掲載します。

 

目的 感染症拡大により、特に大きな影響を受けている事業者に対して、使途を限定せず、事業全般に広く使える給付金を支給
対象者 ・中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者等、その他各種法人等
・新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が前年同月比で50%以上減少している
給付額 前年の総売上(事業収入)— (前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月)法人は200万円、個人事業者・フリーランスは100万円が上限

 

②生産性革命推進事業における特別枠の設定

目的 新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるために前向きな投資を行う事業者を対象に、補助率や補助上限を引き上げた特別枠を設け、優先的に支援
特典 ・申請要件緩和を緩和し、ものづくり・商業・サービス補助において、生産性向上や賃上げに係る目標値の達成時期を1年間猶予
・ものづくり・商業・サービス補助において、交付決定日前に発注した事業に要する経費についてもさかのぼって対象に

 

②生産性革命推進事業推進にともなう各種補助金の拡充

補助対象経費の6分の1以上が、

 

  • ・サプライチェーンの毀損への対応
  • ・非対面型ビジネスモデルへの転換(EC販売・VR・インサイドセールスなど)
  • ・テレワーク環境の整備(Web会議・PCのリプレース・ネットワークシステムなど)
  • であることを前提として、下記の補助金が用意されています。

 

補助金名 補助率・額 支援内容
ものづくり補助金 3分の2 中小企業等が感染症の影響を乗り越えるための、新製品・サービス・生産プロセスの改善に必要な設備投資等を支援
持続化補助金 最大100万円 経営計画を作成して取り組む販路開拓等の取組を支援し、諸費用を助成
IT導入補助金 2分の1 ハードウェア(PC、タブレット端末等)のレンタル等も含めた、ITツール導入を支援。以前はレンタルは含まれていなかった

 

③ものづくり・商業・サービス補助

新製品・サービス開発や生産プロセス改善等のための設備投資等を支援するのが目的で、締め切りがあることに注意する必要があります。

 

対象 中小企業・小規模事業者等
補助上限 原則1,000万円
補助率 中小1/2、小規模2/3(前述の特別枠は、一律2/3)
公募時期 2次募集:申請開始:4月20日(月)17時申請締切:5月20日(水)17時なお、8月、11月、来年2月にも締め切りがあるので、応募開始と締め切りを確認すること

 

④持続化補助

目的 小規模事業者の販路開拓等のための取組を支援
対象 小規模事業者等
上限 50万円(特別枠100万円)
補助率 3分の2
小売店がインターネット販売を強化するなど業務転換ホテルが自動受付機を導入し、非対面サービスを提供

 

⑤IT導入補助

目的 ITツール導入による業務効率化等を支援
対象 中小企業・小規模事業者等
補助率 1/2(特別枠は、2/3)
在宅勤務制度の導入など

 

その他、「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業」、「海外サプライチェーン多元化等支援事業」、「JAPANブランド育成支援等事業」など、補助金の拡充が行われています。

 

各補助金には、申し込み開始・申し込み締め切りがあるものが多く、補助金によっては早いほど有利、予算が尽きたら終わりという補助金もあります。多少手続き費用がかかっても、このような助成金や補助金に通じた専門家とネットワークを持ち、手続きをお願いすることも重要と言えます。

 

また、「経営資源引継ぎ・事業再編支援事業」では、事業承継に関する支援制度を行う方針、「感染症対策を含む中小企業強靱化対策事業」では、感染症対策を含んだBCP(事業策定計画)策定支援を行うなど、各制度策定などへの支援もあります。

 

そして、税金・社会保険料に関して、納税猶予等の施策も出されています。

 

⑥納税の猶予の特例

内容 2月以降、売上が減少(前年同月比▲20%以上)したすべての事業者について、無担保かつ延滞税なしで納税を猶予
対象 法人税や消費税、固定資産税など、基本的にすべての税が対象
その他 担保・延滞税不要、ただし当事者からの申出必要

 

⑦事情に基づく国税納付の猶予

概要 新型コロナウイルス感染症の影響により国税を一時に納付することが困難な場合には、税務署に申請することにより、換価(税務署が預かっているものを売却してしまうこと)の猶予が認められることがある。
また、以下の事情がある場合には、納税の猶予が認められることがある。
・災害により財産に相当な損失が生じた場合新型コロナウイルス感染症の患者が発生した施設で消毒作業が行われたことにより、備品や棚卸資産を廃棄するなど
・本人又は家族が病気にかかった場合納税者本人又は生計を同じにする家族が病気にかかった場合、国税を一時に納付できない額のうち、医療費や治療等に付随する費用文
・事業を廃止し、又は休止した場合納税者の営む事業について、やむを得ず休廃業をした場合、国税を一時に納付できない額のうち、休廃業に関して生じた損失や費用に相当する金額
・事業に著しい損失を受けた場合納税者が営む事業について、利益の減少等により、著しい損失を受け、国税を一時に納付できない額のうち、受けた損失額に相当する金額
措置 猶予が認められた場合、
・原則1年間猶予、状況に応じて更に1年間猶予
・ 猶予期間中の延滞税の全部又は一部が免除
・財産の差押えや換価(売却)が猶予
その他 地方税も同様。他にも固定資産税の減免措置などあり

 

⑧事情に基づく社会保険料等の猶予

概要 厚生年金保険料等の猶予、国民健康保険、後期高齢者医療制度及び介護保険の保険料等猶予、電気・ガス料金の支払猶予など各種支払い猶予
申出先 年金事務所・市区町村役場・電力業者・ガス業者等(全て申出が必要)

 

 

3-5 従業員・自営業・フリーランス支援

従業員・自営業・フリーランスのための支援制度に関しても、新型コロナウイルスの被害の広がりを踏まえ、当事者・家族・その他個人向けの制度が拡充されています。

 

①雇用調整助成金の特例措置

制度 事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、労働者の雇用維持を図った場合に、休業手当、賃金等の一部を助成。新型コロナウイルスの拡大により助成率を拡大
助成内容 【助成率】大企業2/3、中小企業4/5→解雇等を行わない場合は大企業3/4、中小企業9/10
支給限度日数 4月1日~6月30日は、1年間の支給限度日数100日とは別に、雇用調整助成金を利用可能とする特例
対象 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主(全事業主)
その他 前回の支給対象期間の満了日から1年を経過していなくても助成対象

 

②小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援

制度 小学校等が臨時休業した場合等に、その小学校等に通う子どもの保護者である労働者の休職に伴う所得の減少に対応
・正規・非正規問わない
・労働基準法上の年次有給休暇とは別途、有給の休暇を取得させた企業に対する助成金
対象 下記のどちらかに当てはまる労働者に対し、労働基準法上の年次有給休暇とは別途、有給(賃金全額支給)の休暇を取得させた事業主
・新型コロナウイルス感染症に関する対応として、臨時休業等をした小学校等(※)に通う子ども
※小学校、義務教育学校(小学校課程のみ)、特別支援学校(全ての部)、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園等
・新型コロナウイルスに感染した等の子どもであって、小学校等を休むことが必要な子ども
支給額 休暇中に支払った賃金相当額 × 10/10(上限8,330円)

 

③自営業・フリーランス向け小学校等の臨時休業に対応する保護者支援

制度趣旨 新型コロナウイルスの影響による小学校等の臨時休業等に伴い、子どもの世話を行うため、契約した仕事ができなくなっている子育て世代を支援し、子どもたちの健康、安全を確保する
対象 下記に該当する子どもの世話を行うことが必要となった保護者・新型コロナウイルス感染症に関する対応として、臨時休業等した小学校等(※)に通う子ども
※小学校、義務教育学校(小学校課程のみ)、特別支援学校(高校まで)、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園等
・新型コロナウイルスに感染した等の子どもであって、小学校等を休むことが必要な子どものどちらかに該当し、かつ、個人で就業する予定であった場合に就業できないなどあった場合
支給額 1日4,100円

 

④個人向け緊急小口資金等の特例

制度 新型コロナウイルスの影響による休業等を理由に、一時的に資金が必要な人に対し緊急の貸付を実施。
失業し、生活困窮者には、生活の立て直しのための安定的な資金を貸付
貸付内容 ・緊急小口資金(無利子)
原則10万以内
学校等の休業、個人事業主等の特例の場合、20万円以内
【据置期間】1年以内 【償還期限】2年以内
・総合支援資金(生活支援費・無利子)
緊急小口資金でも足りないケース向け。
【貸付上限】(二人以上)月20万円以内、(単身)月15万円以内(
貸付期間は原則3ヶ月以内)
【据置期間】1年以内 【償還期限】10年以内
注意点 総合支援資金(生活支援費)については、原則、自立相談支援事業等による継続的な支援を受ける必要がある。
生活内容を社会福祉協議会の担当者に提出しなければならないことに留意
補足 償還時において、なお所得の減少が続いて返せないという住民税非課税世帯に関しては、償還を免除されるケースがある

 

⑤休業など収入が激減した世帯に30万円給付

給付対象条件 2~6月のうち、いずれか一カ月でも「世帯主」の収入が、住民税の「均等割」といわれる部分が非課税(下記の特別措置も含む)になる水準まで減っているもしくは、感染拡大後のいずれかの月の月収が半分以下まで減少
(特別措置)
申請・審査手続の簡便化のため、世帯主(給与所得者)の月間収入が下記の基準額 以下であれば、級地区分にかかわらず住民税非課税水準であるとみなす。
扶養親族等なし(単身世帯) 10万円
扶養親族等1人 15万円
扶養親族等2人 20万円
扶養親族等3人 25万円
(注1)扶養親族等とは、扶養親族及び同一生計配偶者を指す。
(注2)扶養親族等の4人目以降は、基準額を1人当たり5万円加算
支給額 1世帯30万円
手続 まだ未確定だが、源泉徴収票や給与明細書など収入を証明できる書類を添付して原則郵送かオンライン申請の予定
注記 現在、制度そのものに様々な意見があり、今後条件・金額が変更される可能性がある

 

 

3-6 あらゆる制度を活用する

ここまでの案を見ていただけると分かるとおり、現時点では詳細が確定していない制度もあり、今後追加の支援策が出てくる可能性も大いに想定できます。重要なのは、新制度や制度変更に対してアンテナを張ることですが、なかなか経営者個人だけでは、新しい制度に気づくことが難しいケースもあります。各種制度の知識に通じた専門家から情報を得ていくのが理想と言えます。

 

 

4 銀行が融資したくなる中小企業の決算書とは?

銀行が融資したくなる中小企業の決算書とは?

 

中小企業の経営において、時に事業の存続を左右するのが“資金繰り”です。そのため、中小企業の経営者は常に資金繰りの方法を考えています。中小企業の資金繰りの代表的な方法が、金融機関からの融資になります。

 

金融機関からの融資の審査には決算書が必要になり、決算書次第で融資が受けらえるかどうかが左右されます。

 

2016年版中小企業白書概要』によれば、借入のある企業の86%が『成長のための課題解決に必要な資金の調達先は金融機関』であると回答しています。その次の資金調達方法である『内部留保』と答えた割合が23%で、金融機関からの借入とは4倍近い圧倒的な差があります。

 

つまり、銀行からの融資を受けられるようにしておくことは、中小企業の資金調達には非常に重要になるといえます。

 

 

4-1 金融機関の融資の種類

中小企業へ融資を行っている金融機関は以下の4つに分ける事が出来ます。

 

中小企業へ融資を行っている金融機関

 

  1. ①日本政策金融公庫を代表とする政府系金融機関
  2. ②メガバンクなどの日本全国に支店がある都市銀行や特定の地域に密着している地方銀行
  3. ③市区町村単位でより商圏を限定して地域密着度が高い信用金庫や信用組合
  4. ④地域の縛りがなく、支店を持たずインターネットを活用したサービス展開のネット銀行

 

知名度が高く、支店やATMなどが多いメガバンクを利用したい、と思う方も多いかもしれません。しかし、中小企業が融資を受けやすいのは、中小企業を支援する目的の日本政策金融公庫や地域経済の活性化を求める地方銀行や信用金庫や信用組合などになります。

 

 

4-2 銀行の融資における審査のプロセス

銀行が融資を実行するかどうかを決めるために行うのが、審査です。銀行の審査のプロセスは、大きく2つに分けられます。

 

銀行の融資における審査のプロセス

 

  1. ① 取引をしても良い企業か
  2. ② 融資した金額は確実に返済できるか

 

〇取引をしても良い企業か

まず、銀行が確認するのが取引相手となる企業についてと、その融資内容です。もし、この段階で取引をすべきではない、と判断されると審査は終了してしまいます。

 

なぜなら、いくら返済能力があったとしても、取引すべきではない相手には融資が行えないからです。具体的には、“事業実態がない企業”や“税金の滞納”や“融資の利用用途が不適切”などがあります。また、代表者の人となりや過去に別会社等で業法違反がなかったかなども確認されます。

 

〇融資した金額は確実に返済できるか

取引をしても良いと判断された後には、いくらなら融資できるかの審査になります。具体的には、月々いくらなら無理なく返済できそうかという事を審査していきます。
この段階になって詳細にみられるのが、決算書と担保価値になります。

 

 

5 銀行が融資したくなる決算書の3大要素

銀行が融資したくなる決算書の3大要素

 

そもそも、融資をしたい相手とはどんな相手でしょうか。それをまとめると、以下の3項目になります。

 

銀行が融資したくなる決算書の3大要素

 

  1. ①返済する能力が継続的に見込める
  2. ②借入自体が少なく、毎月の返済額が少ない
  3. ③正直で返済意思がある

 

このことは銀行であっても変わりません。銀行は、上記3つの要素を決算書で確認します。

 

銀行が融資したくなる決算書の3大要素

 

  1. ①経常利益が3期連続で黒字である事
  2. ②借り入れはあってよいが、少ない事
  3. ③適切に事業実態を反映させる事

 

 

5-1 経常利益が3期連続で黒字である事

銀行からの融資を受けようとするなら、まずは利益が大事です。
決算書の一つである損益計算書企業には5つの利益があります。売上総利益と営業利益と経常利益と税引き前利益と税引き後利益です。

 

全ての利益が出ている事が望ましいのですが、その中でも重視されているのが経常利益です。

 

経常利益が黒字であるという事は、その会社が営業活動や投資や融資などの資産を活用した財務活動などの事業活動にかかる費用を差し引いて利益が出せている事が分かるからです。

 

そして、経常利益が3期連続で黒字である事は、継続的に利益が出る構造である事の証拠になります。
赤字が出ていてもその原因が一過性のものである事を示せれば良いのですが、黒字が続いている事に越した事はありません。

 

継続的に利益が出る事業構造は、将来的にも利益がでる、すなわち返済する能力が継続して見込めます。過去に赤字で現在黒字である場合には、事業構造がどのように変化して、その構造が将来的にも定着できる事を説明する事ができれば良いです。

 

同じく創業から直近の期までの利益の累積が、累積損失になっていないかも同様の理由から銀行はチェックしています。

 

 

5-2 借入はあってよいが、少ない事

借入が多いと、企業は債務超過になります。
債務超過とは、貸借対照表の資産から負債を差し引いた純資産がマイナスになっている状態をいいます。例え、経常利益が3期連続で黒字でも、負債が資産より大きければ債務超過の状態になってしまいますので注意してください。

 

債務超過の状態であると、銀行が懸念するのはその企業の破綻です。企業が破綻すれば、その企業からの返済は滞ってしまうからです。

 

債務超過にならない為には、最良なのは負債がないことです。しかし、負債がある事自体は決してマイナス要素ではありません。なぜなら、借り入れができる事自体が誰かの信用をえている証拠になるからです。

 

つまり、負債はあっても良いが、その金額自体は少ないあるいは適量が良く、さらに返済期間が長い借入であれば返済能力にさらに余力が残る事になります。

 

 

5-3 適切に事業実態を反映させる事

元々決算書は、1年の企業活動の実績やその結果の財務状況を株主などのステークホルダーに示すため事を目的として作成されます。

 

一般的に、決算書とは前述の損益計算書や貸借対照表の他にフリーキャッシュフロー表の3つをいいます。これらの書類はお互いに連動して整合性を補完しあいます。また、決算書は過去の決算書と連続しています。

 

これらの事から、基本的にごまかす事が難しいものです。しかし、その目的からも経営者からすると決算書をできるだけ良く見せたいという願望が強くでます。

 

この願望が事実と異なる内容を決算書に反映させるのが、粉飾となります。粉飾とは実態と異なる内容で不正な会計処理を故意に実施して決算書を作成する事をいいます

 

粉飾の具体例としては、架空売り上げや前倒しでの売上計上や経費の繰り延べや経費を仮払金や貸付金などに振替する方法があります。

 

これらの粉飾は、銀行は必ず確認します。
銀行の融資の審査では、決算書の他に税務申告書や株主資本等変動計算書や販売管理費内訳書や売掛金や買掛金の内訳書など様々な内訳表も確認していきます。また、3期分の決算書は連続しているため、1期分だけならわからない綻びも3期分を確認する事で大きな綻びになっている事もあります。

 

粉飾せずに適切な事業実態を表す決算書である事は、正直である事や信用できる証明になります。
同様のことから、企業の義務である税金の支払いに滞納がある企業というのも信用が出来なくなる要因になり、銀行の融資は受けにくくなります。

 

 

6 銀行が融資を決める決算書

銀行が融資を決める決算書

 

前述の利益、借り入れ、整合性以外の銀行が融資したくなるポイントを解説していきます。ポイントは『安定性』と『計画性』と『自己資本と資産』の3つになります。

 

ポイントは『安定性』と『計画性』と『自己資本と資産』の3つ

 

 

6-1 安定性

安定性を見るポイントは、以下の2点などがあります。

  • 〇営業利益が黒字である事と、同業種と比較して営業利益率が高い
  • 〇借入金の残高が適正である

 

〇営業利益が黒字である事と、同業種と比較して営業利益率が高い

利益の面で重要になるのは、前述の利益の一つである“営業利益”になります。その絶対額もそうですが、営業利益率も重要になります。

 

営業利益とは、売上から商品やサービスの原価と事務所家賃や人件費などの販売管理費を差し引いて残った利益になります。
また、営業利益率は『営業利益÷売上高』で計算します。同業他社より高い営業利益率であれば経営がうまくいっている事が分かります。

 

具体的に、営業利益率が高くなる要素は以下の3項目のいずれかないしは複合的に良い事業を行っている効率的な経営を行っている事を示します。

 

  1. ①商品やサービスの単価が高い…優れた価値の商品やサービスを実施する事で実現できます。
  2. ②コストを抑える…商品原価や販売にかかるコストを下げる効率的な経営をする事で実現できます。
  3. ③販売力が高い…同じ価格、同じコストだとしても、販売量を多くすることで実現できます。

 

つまり、営業利益率が高いというのは本業において効率的な経営を行っている証明になります。

 

〇借入金の残高が適正である

借入金の残高の適正は、月の売上3ヶ月分を銀行は一つの目安にしています。例えば月間の売上が2,000万円の場合には6,000万円以内であれば銀行は良い評価をします。

 

 

6-2 計画性

計画的に動いている会社かどうかは、以下の2点などがあります。

 

  • 〇在庫は無駄なく、必要な分をストックしている
  • 〇売掛金や受取手形が少ない

 

〇在庫は無駄なく、必要な分をストックしている

商品や製品の在庫や、商品を作るための原材料や仕掛品は棚卸資産で確認できます。
在庫が少ないと販売機会を失うので売上が上がりません。一方で、無駄な在庫があると資金繰りを苦しめる要因になります。例えば、飲食店などでは多く食材を仕入れて廃棄する事になると、売上は0円なのに費用のみ発生する事になってしまいます。また、売れ残った商品は不良在庫化してしまいます。

 

在庫資産を何日分持つかは業種ごとに異なり、事業規模によっても変わってきます。そのため、棚卸資産回転期間などで適正な在庫量を事業環境や将来の見込みながら調節する計画性が求められます。

 

〇売掛金や受取手形が少ない

手形の利用は次第に減少が続いていますが、売掛金は日常的に発生しています。売掛金とは、取引の代金を後で受け取る事が出来る権利です。売掛金が1,000万円あれば、あとで1,000万円を受け取る事が出来ます。

 

しかし、売掛金を支払いするはずの企業が倒産すると、売掛金が回収できなくなります。そのため、理想は商品やサービスを提供するのと同時に代金を受け取る事が最良です。

 

現実的には支払いサイトが1ヶ月という企業も多くいますので、取引先とは計画的に支払い方法の相談・交渉を行う事が求められます。

 

 

6-3 自己資本と資産

万が一にも事業うまく行かなくなった場合にでも、支払いを続けるだけの資産があるかを銀行は重視します。

 

具体的には以下の2点などになります。

 

  • 〇自己資本比率が高い
  • 〇会社や代表者個人の資産の担保価値

 

〇自己資本比率が高い

資本は、自己資本と他人資本の二つに分けられます。その資本の中で自己資本の割合がどのくらいかというのが自己資本比率になります。

 

他人資本というのは、流動負債と固定負債からなるいわゆる借入などの返済義務を持つ資本をいいます。一方自己資本は返済義務のない自己資本や資本準備金や利益剰余金などをいいます。

 

そのため、自己資金比率が高いという事はそれだけ比較的自由に活用できる資金を潤沢に持つ企業である事を示しています。一方で、自己資本比率が低いと借入が多い事を示しています。

 

自己資本比率が40%を超えると優良企業といわれています。また、中小企業における自己資本比率の平均は15%前後ですので、20%を超えていれば自己資本比率が高いといえるところです。

 

〇会社や代表者個人の資産の担保価値

会社や代表者個人の不動産などの資産に担保価値があれば、銀行は融資を受けられる可能性が高まります。
担保価値とは、万が一融資の返済が出来なくなった場合に損害を補うために債務者が債権者に渡す価値をいいます。そのため、担保価値がある資産があれば、銀行は万が一に返済を受けられない場合でも損害を出さないもしくは少なくする事が出来ます。

 

決算書は事業を映す鏡です。決算書を良くしようとする努力は決算書について学ぶ必要があるのと、事業経営自体もより良いものにしていく必要があります。
ぜひ、経営と決算書をブラッシュアップして、銀行からの融資を受けられるようにしていきましょう。

 

 

7 まとめ

まとめ

 

全ての制度に共通して言えることですが、制度は自分・自社から申請しないと活用できません。独力で全てをカバーするのは大変です。助成金や融資に精通した専門家の力を借り、経営者仲間・専門職で情報交換を行うことで、様々な制度の存在を知り、活用していくことが現状において大切な生き残り策と言えるので、十分な検討をしてみてください。


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