株式会社設立の手続きは、定款などのさまざまな書類作りから始まります。そして書類を法務局や税務署といった諸官庁に提出し、審査を経て、手続きは完了します。
自分で会社をつくる場合、定款や登記申請書類の作成など、はじめての作業になるかと思います。難しい専門用語も出てきますが、分かりやすく解説するので気軽に読み進めてください。
目次
1 株式会社をつくる
株式会社は営利を目的として活動するのにもっとも適した法人です。国内にある会社のうち9割以上が株式会社で、1日に200社以上が誕生しています。近年の起業スタイルは、ハイリスク・ハイリターンよりもローリスク・ローリターンが好まれています。会社をつくった初年度は赤字になることが多いため、創業当初は節税を重視し、堅実な経営を目指します。
2 株式会社の設立に必要な書類と費用
株式会社の設立に必要なものは、極端にいえば次の2つのみです。
- 書類
- お金
株式会社をつくるにはさまざまな書類が必要です。定款、登記申請書、払込証明書、就任承諾書、印鑑届書などがあります。これらの書類を作成し、最終的には法務局に提出します。
設立手続きにかかる費用は約20〜25万円です。
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自分でする |
プロに任せる |
認証費用 |
約5万円 |
約5万円 |
収入印紙代 |
4万円 |
0円〜 |
登録免許税 |
約15万円 |
約15万円 |
合計 |
約25万円 |
約20万円 |
プロに任せた場合、収入印紙代が0円になるのは、プロはお金のかからない電子認証という方法で定款の認証を行えるからです。
自分ひとりで手続きを済ませた場合でも、税理士などのプロに任せた場合でも、費用に大きな差はありません。代行手数料込みでもプロに任せたほうが安くなることもあります。
3 おおまかな流れを確認する
設立手続きの全体的な流れを把握しましょう。
会社の設立はおおまかに6つのステップに分けることができます。
株式会社設立の流れ
それぞれのステップを見ていきましょう。
①定款を作成する
定款は会社の憲法ともいわれ、会社の基本的なルールをまとめた書類になります。法的に作成を義務付けられた書類のひとつであり、会社の活動はすべて定款に基づいて行われます。
また、定款は決められた方法で作成する必要があります。
必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」、各会社で任意に決められる「相対的記載事項」「任意的記載事項」にそって定款を作成します。「相対的記載事項」と「任意的記載事項」の違いについては、次の章で解説します。
②定款の認証を受ける
定款を完成させたあとは、公証人による定款の認証を受けなければなりません。公証人とは、証書などの書類の内容が正しいかどうかを判断する権限を与えられた公務員です。実務経験を有する法律実務家のなかから法務大臣が選出しています。
定款の認証は、各地方の法務局内に設置された公証人役場で行われます。公証人役場は全国で約300ヶ所あります。
③出資金を払い込む
公証人による定款の認証を終えると、出資金(資本金)を払い込みます。「資本金の払い込み」「株式の引き受け」ともいいます。払い込む先は、会社設立の手続きを中心的に行ってきた人物(=発起人)の銀行口座です。
④役員を選任する
資本金を払い込んだら、発起人は役員を決めなければなりません。
ここでいう役員とは、設立時の取締役、会計参与、監査役、会計監査人のことです。役員を決めたら、選任に関する書類を作成します。
⑤登記申請に必要な印鑑証明書をつくる
会社の設立には登記申請が不可欠です。法務局に行き、法人登記の申請書類を提出しなければなりません。なお、登記申請には個人と法人の両方の印鑑証明書が必要になります。会社の発起人と役員それぞれの実印が必要になるので、作成し、役所で印鑑証明書を発行してもらいます。また、会社の実印も作成し、印鑑証明書を発行しなければなりません。
⑥法務局で設立登記申請をする
登記申請に必要な書類がすべて揃ったら、登記所に申請することになります。ちなみに、登記所という名称の行政機関は実際にはなく、法務局の管轄で登記事務が行われています。
また登記するには、出資金(資本金)の0.7%もしくは最低15万円の登録免許税を支払う必要があるので、法務局に行くさいにはお金もきちんと準備しておく必要があります。
登記申請を終えたら、法的な会社の設立手続きは完了です。
このように多くの専門的な書類を作成しなければならないので、自分だけでやるとなると大変な作業です。また、法人にはさまざまな税金が絡むため、税金対策を意識した会社設立をするという面で苦労するかもしれません。ただ、本サイトでは節税を意識した会社づくりに関する情報も随時更新するので、ぜひ参考にしてください。