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急成長するクラウドソーシングビジネス

与党政権が推し進める働き方改革。先日、ロート製薬が副業を正式導入したように、これまで日本社会を支えてきた、社員同士がオフィスに集まって仕事をする集約型就業形態、または一つの会社で定年まで働く一社終身雇用の形が変わりつつあります。

 

その代表的な牽引役とも言えるのがクラウドソーシングです。ネットを介して不特定多数の人に仕事を発注するやり方は、納期を守れば働く場所や時間にとらわれることなく、若い世代を中心に広がり始めています。

 

国内最大の会員数を誇るランサーズ株式会社はクラウドソーシングで急成長した企業の一つで、4月、売上高が3年前の7倍となる21億円だったことを発表しました。今後は新会社の設立や個人間スキルシェアに本格参入するなど、クラウドソーシングビジネスからますます目が離せない状況です。

 

 

 

目次

  1. 1 クラウドソーシングの実情を知る
  2. 1-1 世界市場規模は13兆円
  3. 1-2 国内は驚異の年平均成長率45.4%
  4. 1-3 話題となったウェブ記事の不正作成問題
  5. 2 急成長で国内最大となったランサーズ
  6. 2-1 副業、兼業の利用拡大を促すスマホアプリ「pook」
  7. 2-2 新会社QUANTの設立
  8. 3 地方の活性化に期待

 

1 クラウドソーシングの実情を知る

クラウドソーシングは、不特定の人(crowd=群衆)に業務委託(sourcing)するという意味の造語で、インターネットを活用して必要な時に必要な人材を調達する仕組みとなります。依頼主が発注する仕事は公募の形で不特定多数から募り、引受人(労働者)は成果物提出することで報酬を得ることができます。

 

また、依頼主は公募の際、ネット上に設けられたサーバーで行うことになるため、サーバー管理会社に手数料を支払う必要があります。手数料は仕事の引受人への報酬から差し引かれる形が一般的となっています。

 

 

1-1 世界市場規模は13兆円

平成28年版の情報通信白書によれば、世界のクラウドサービス市場規模は2016年時点で1229億ドル(約13.4兆円)に達しているとされます。さらに2019年には2420億ドル(約26.4兆円)になると予測されます。

 

・世界のクラウドサービスの市場規模

平成28年度情報通信白書

(参照:平成28年度情報通信白書)

 

クラウドサービスの需要が急増している背景として、アマゾンやグーグルをはじめとするメガ・クラウドサービスの普及などが挙げられると白書は分析します。2015年時点では、IBM、マイクロソフト、アマゾンなど上位5位までに位置する米国企業で市場の約35%を独占しており、市場全体でみても約半分が米国企業です。

 

・クラウドサービス市場の国別シェア

・	クラウドサービス市場の国別シェア

(参照:平成28年度情報通信白書)

 

また、クラウドサービスに係るセキュリティや機能向上が進んだことなどから、企業の情報系システムやインターネット関連システム、開発環境などにおいて、クラウドサービスの利用が進展しているとしました。今後も、引きつづき米国企業主導で市場は拡大していくと予測されます。

 

1-2 国内は驚異の年平均成長率45.4%

また、国内のクラウドソーシング市場については、2020年度まで年平均成長率45.4%で推移するとの予測がされていることがわかりました。

 

矢野経済研究所によると、将来的には電子契約が浸透し、大手企業が懸念するコンプライアンス(法令遵守)への不安が解消されると見込まれることなどから、大手企業による大口案件の流通量が増加、2020年には2950億円に達するだろうと予測されています。

 

・国内市場規模の推移

矢野

(参照:矢野経済研究所)

 

1-3 国内は驚異の年平均成長率45.4%

しかし、クラウドソーシングの普及は、ウェブ記事の質の低下や盗用といった問題を引き起こしました。

 

昨年末、大手IT企業のDeNA(ディー・エヌ・エー)が運営していた医療系キュレーションサイト※WELQが全記事を公開停止したことが話題となり、のちに内容のいい加減さや他サイトからの無断転載などが指摘され、WELQ含む10サイトが閉鎖に追い込まれる事態となりました。

 

・閉鎖となったキュレーションサイト一覧

WELQ(ウェルク) 医療・健康情報総合サイト
Iemo(イエモ) インテリア・住宅情報サイト
MERY(メリー) 女性向けファッション情報サイト
Find Travel(ファインド・トラベル) 旅行情報サイト
cuta(キュータ) 主婦向け育児情報サイト
Upin(アップイン) 節約・投資・保険関連サイト
CAFY(カフィ) 飲食系情報総合サイト
JOOY(ジョーイ) 男性向けファッション情報サイト
GOIN(ゴーイン)) 大人向けライフスタイルサイト
PUUL(プウル) エンターテインメント系サイト

 

welq

(▲サイトの公開停止を告げる案内)

 

問題視されたのは記事の内容とその作成過程です。医療系の情報を扱うにも関わらず、「肩こりの原因は霊が取り付いているから」など著しく医学的根拠に欠けていたり、他医療サイトと一部文章が全く同じで、「無断で記事を転載されている」との被害報告が相次ぎました。

 

不正に記事が作成された背景には、クラウドソーシングで不特定多数の無名ライターに記事作成の発注をしていたことが挙げられました。内容は二の次でとにかく大量の記事を作ることを目的としていたため、記事制作予算は限界まで抑えられ、ライターは1文字0.1円で書かせられるなど買い叩きの状態となっていました。

 

結果、記事内容は正確性や質に疑問が生じるものばかりとなり、他サイトからの“パクり”も目立つものとなりました。

 

DeNAの守安功社長は3月に開かれた記者会見で不正記事掲載の問題について

 

「メディアとしても求められる責任への理解が不十分であり、権利関係や記事の正確性などへの、本来、当然配慮すべき部分について適切に運営されておりませんでした」

 

と謝罪。またメディア運営を担当していた役員が辞任の意向を表明していたことを明らかにしました。

 

同社の創業者で会長の南場智子氏は会社として、管理体制の不備があり、コンプライアンスの徹底ができていなかったと述べ、

 

「今後は、私自身も、代表取締役として、強い決意を持って、守安とともに、会社全体の変革に取り組んでまいります。DeNAが社会から存在を許され、歓迎され、そして、信頼される会社になれるように、全力で努めてまいります」

(参照:logmi 2017年3月13日

 

と語りました。

 

クラウドソーシングでは依頼主と顔を合わせず、仕事も時間と場所を選ばないといったメリットがある反面、成果物の質や責任の所在の不明確さ、企業のコンプライアンスの意識などの問題が浮き彫りとなりました。

 

※キュレーションとは、インターネット上の情報を収集しまとめること。または収集した情報を分類し、つなぎ合わせて新しい価値を持たせて共有することを言う。キュレーションを行う人はキュレーターと呼ばれる。 キュレーターの語源は、博物館や図書館などの管理者や館長を意味する「Curator(キュレーター)」からきている。(参照:コトバンク

 

2 急成長で国内最大となったランサーズ

クラウドソーシングプラットフォーム「Lancers」を提供するランサーズ株会社は2008年に創業以来、右肩上がりに業績を伸ばし、上場が期待されるIT企業です。すでに上場しているクラウドワークスよりも会員数など会社規模は大きく、国内最大とされます。

 

・クラウドソーシングサービス会社比較

ランサーズ クラウドワークス クラウディア ジョブハブ
サービス開始月 2008年12月 2012年3月 2012年12月 2012年4月
会員数 42万人 26万人 25万人 8万人
利用社数 11万社 5万社 非公開 非公開
報酬支払 3000円以上 1000円以上 3000円以上 非公開

(参照:MMD研究所)

 

2016年度の売上高は3年前の7倍となる21億円。同社代表取締役の秋好陽介社長は「(サービス開始の)8年前に想像できなかったこと」と自己評価しました。今後はスキルシェアサービスの新アプリpookや子会社QUANTの設立など、事業拡大を目指します。

 

CNET

 

2-1 副業、兼業の利用拡大を促すスマホアプリ「pook」

ランサーズは2008年のサービス開始時より個人間でのスキル提供サービスに注目。「テクノロジーで誰もが自分らしく働ける社会(オープン・タレント・プラットフォーム)」をつくることをビジョンに、スキルや趣味を活かし、副業や空き時間に仕事を得られる個人マッチングサービスアプリpookを開発しました。

 

pookでは、ヨガインストラクター、ネイリスト、カメラマン、家庭教師、掃除代行、料理代行などスキルを持つ個人と、日常生活のちょっとした仕事や悩みを解決したい個人を結びつけます。ランサーズによれば6月にベータ版がリリース予定です。

 

2-2 新会社QUANTの設立

また、ランサーズはデジタルマーケティング事業強化のため、京都大学と共同で100%出資する新会社QUANTを設立しました。クライアント企業のマーケティングを支援する「クオント」はユーザーのロイヤリティを判別し効果指標データとして生成する技術において、新たに特許を取得。単年10億円の売り上げを目指すとしています。(参照:ランサーズ

 

3 地方の活性化に期待

クラウドソーシングは衰退する地方経済の活性化にも期待が寄せられています。場所を問わず働くことができるクラウドサービスの特性を利用して、ランサーズは地方自治体向けにエリアパートナープログラムを提供。都会の企業と地方のフリーランスを結びつけ、在宅で働きたい若い子育て世代などを支援することで地方創生を狙います。

 

地方創生

 

ランサーズは自社ホームページで地方創生事例として鹿児島県奄美市や群馬県桐生市などでの取り組みを紹介。新しい地方創生の形として各メディアからも注目されています。

 

企業だけでなく政府までも多様な働き方を推進するようになった現代。ひとつの会社にとらわれず、国民一人一人が独立して活躍するような時代がくるのかもしれません。

 


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