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世界に羽ばたく日本のランドセル〜過熱するラン活ビジネスとは

春の入学シーズンに合わせて、年明けからランドセルを探すのでは遅いようです。近年はランドセルの差別化・ブランド化が進み、TVや雑誌で紹介される商品はたちまちに品薄状態となるため、年明けから探していたのでは手に入りません。

 

一方、ランドセルの平均価格も上昇。10年前の約2倍となる4万円~5万円が主流で、10万円以上の高級ランドセルも人気のラインナップとなっています。
また、日本のランドセルは海外でも注目され、ファッションアイテムとしてランドセルを背負う外国人の大人が急増中とのことです。

 

少子高齢化で縮小すると思われていたランドセル市場は2010年から右肩上がりを続けています。果たして、日本のランドセル業界に今なにが起きているのでしょうか。

 

 

 

目次

  1. 1 過熱するラン活商戦
  2. 1-1 数時間待ちの行列、店頭販売を打ち切り
  3. 1-2 サーバダウンで購入できない
  4. 2 海外セレブもご用達のランドセル
  5. 2-1 お土産の新定番
  6. 2-2 ランドセルの国内・海外市場
  7. 3 海外の子供たちがランドセルで登校する日も近い?

 

1 過熱するラン活商戦

過去にランドセルが最も売れる時期は年末商戦やクリスマス商戦とされていましたが、年々早まり、今では初夏まで前倒しされました。再来年に創業70年を迎えるランドセルメーカーの鞄工房山本では、十数年前は年間販売数200本※程度でしたが、2015年はおよそ50倍となる13,000本を売り上げました。6月に販売の受付を開始したところ、わずか1ヶ月で完売したといいます。

 

ランドセル

(▲鞄工房山本のランドセル(出典:土屋鞄))

 

 

1-1 数時間待ちの行列、店頭販売を打ち切り

鞄工房山本は昨年6月、実店舗でのランドセル販売を中止し、今後はウェブ上での販売のみに切り替えることを発表しました。

 

おしらせ

(▲実店舗での販売中止を告げる公式HP(出典:土屋鞄))

 

奈良本店や銀座支店では早くから行列ができ、深夜に及ぶ数時間待ちの状態となっていました。近隣に迷惑となることや混乱を避けるため、山本は「これ以上の店舗でのランドセル販売は極めて難しい」とのコメントをHPに掲載しました。

 

このようにランドセル購入に向けた活動、通称“ラン活”は毎年激しさを増し、予約受付の開始と同時にホームページがダウンすることも珍しくありません。

 

 

1-2 サーバダウンで購入できない

熟練の職人が手作りする土屋鞄のランドセルも人気商品の一つです。定番の黒・赤からピンク・チョコ色などカラフルなカラーも取り揃えます。天然素材の牛革で作られたランドセルは傷つきにくく、年を重ねるごとに味わい深くなるのが特徴です。

 

ランドセル2

(▲土屋鞄のランドセル)

 

2016年7月、土屋鞄がウェブサイト上で予約注文の受付を開始したところ、アクセスが殺到しサーバダウン。ウェブサイトは24時間経っても復旧せず、SNS上では購入できないとなげく保護者のツイートで溢れかえりました。

 

メンテナンス

(▲サーバダウンを告げる土屋鞄のHP 参照:こどもと)

 

※ランドセルは「1本」「2本」と数える

 

 

2 海外セレブもご用達のランドセル

一方、海を渡ったランドセルは、日本とは異なる使い方をされているようです。

 

アメリカやフランス、アジア、中東などでは大人のファッションアイテムの1つとして注目を集め、頑丈なつくりと機能性の高さから流行に敏感な若者からハリウッドセレブに至るまで愛用されています。

 

 

2-1 お土産の新定番

日本のアニメやドラマをきっかけにランドセルの存在を知ったという外国人も多く、訪日客のお土産の定番ともなっています。また、日本のポップカルチャーを紹介する海外イベントでランドセルを販売すれば即完売となるなど、その人気ぶりが伺えます。

 

 

2-2 ランドセルの国内・海外市場

船井総合研究所によれば、国内のランドセル市場規模はおよそ500億円と試算されました。

 

国内で販売されるランドセルの平均価格は4~5万円ですが、20万円以上するハイエンドクラスの高級ランドセルも人気のラインナップの1つとなっています。

 

平均価格

(船井総研調べ 参照:ダイヤモンドオンライン

 

海外では特に中国や韓国で人気で、朝鮮日報によれば中間層から富裕層を中心に1つ30万~100万ウォン(約2万7000~9万円)するものが売れているようです。子ども向けブランドショップの関係者は「ランドセル10製品のうち6製品は売り切れ、あとの4製品も数個しか残っていない」と語りました。保護者の中には、どうにかして日本製のランドセルを入手しようと共同で海外輸入を試みる人もいるとのことです。

 

このほか、ランドセルはアフガニスタンの教育支援品として贈られており、子供たちが学校にいくきっかけにもなっている模様です。公共財団法人ジョイセフは2004年にランドセルを紛争地域の子供達に届ける事業「思い出のランドセルギフト」を開始。2013年までに、日本全国の支援者から寄贈されたランドセルは12万個を超えました。(参照:NGOアリーナ)

 

船井総合研究所によれば海外のランドセル市場はおよそ1~2億。今後は、市場規模は拡大していくだろうと予測されています。

 

ジョイセフ

(ランドセルを背負うアフガニスタンの子ども 参照:ジョイセフ

 

 

3 海外の子供たちがランドセルで登校する日も近い?

ランドセル3

(出典:RANDSELLIER PARIS)

 

日本のメーカーがフランスの子ども達のための新しいランドセルを考案したと話題を呼んでいます。

 

スポーツシューズなどを得意とするテイジンと、大阪の老舗ランドセルメーカー加藤忠がコラボレーションした「RANDSELLIER PARIS」は、フランス人のために作られた日本製ランドセルです。

 

「RANDSELLIER」は、日本のものより一回り大きいなど、パリの学生のニーズを徹底的に現地調査して作り上げられました。帝人コードレ株式会社が上質な天然皮革の代替製品として展開している「MAESTLEY」(マエストレ※)を使用し、重厚感に加え、透湿性、耐久性などの快適性や機能性を備えており、軽さと丈夫さの両面を実現しています。(参照:帝人ニュースリリース

 

パリ在住のジャーナリスト鈴木春恵氏はパリにおける通学事情について

 

「フランスでもこどもが背中に背負うタイプの通学用カバンはあるにはある。だが、頻繁に買い替えるし、大人が使うようなリュクサックで通学したり、いっときはキャリータイプのものがはやったりと、制服がないのと同じように持ち物も人それぞれ。とにかく、小学校6年間ずっと同じカバンを持って通学するという習慣はない」(参照:日本のランドセル 世界へ

 

と語ります。

 

海外ニーズが高まる日本製ランドセル。これと合わせて文化祭や部活動、生徒自身による教室掃除など日本独自のスクールライフが海外で高い注目を集めています。新たなビジネスチャンスは案外身近なところにあるのかもしれません。

 

※「MAESTLEY」とは帝人コードレが製造・販売する人工皮革「CORDLEY」の中でも、日本タンナー(天然皮革の生産・加工事業者)の伝統技術を継承するMAESTRO(巨匠)の技を融合させた本革の質感を持つ製品(参照:帝人HP)

 

 


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