レアル・マドリードやバルセロナと聞けば、サッカーのクラブチームをイメージする人も多いのではないでしょうか。超ビッグクラブに所属するリオネル・メッシ選手やクリスティアーノ・ロナウド選手は、全スポーツ選手の中でもトップクラスの年俸をもらっていることでも有名です。(引用:HONG KONG)
ところが、この2人の年俸に勝るとも劣らない金額を支払ったアジアのクラブが注目を集めました。中国スーパーリーグ(CSL)の河北華夏です。近年、サッカーバブルに沸く中国ですが、どうして世界最高額の年俸を支払うことができるのか。また、どのようなビジネスモデルが構築されているのかを調査しました。
目次
- 1 中国で沸くサッカーバブル
- 1-2 中国スーパーリーグ 選手別年俸ランキング
- 1-3 日本代表CBには破格の“言い値”年俸でオファー
- 2 サッカー市場に中国が本気を出した理由
- 3 中国サッカーにビジネスチャンスあり
1 中国で沸くサッカーバブル
中国代表はFIFAランク83位、アジアサッカー連盟内でも8位ですが、アジアクラブのナンバーワンを決めるアジアチャンピオンズリーグでは毎年好成績をおさめます。なぜなら、首を横に振ることができないほどの年俸で、欧州リーグから有名外国人選手を引き抜くからです。
1-2 中国スーパーリーグ 選手別年俸ランキング
(引用:FANPIECE)
順位 | 選手名 | 所属クラブ | 推定年俸 |
---|---|---|---|
1 | フッキ(ブラジル) | 上海上港 | 約24.5億円 |
2 | ペッレ(イタリア) | 山東魯能 | 約18.4億円 |
3 | ギャン(ガーナ) | 上海上港 | 約18.1億円 |
4 | ラベッシ(アルゼンチン) | 河北華夏 | 約17.2億円 |
5 | ラミレス(ブラジル) | 江蘇蘇寧 | 約15.9億円 |
6 | J・マルティネス(コロンビア) | 広州恒大 | 約15.3億円 |
7 | ティシェイラ(ブラジル) | 江蘇蘇寧 | 約18.4億円 |
8 | イルマズ(トルコ) | 北京国安 | 約14.7億円 |
9 | コンカ(アルゼンチン) | 上海上港 | 約9.2億円 |
10 | パウリーニョ(ブラジル) | 広州恒大 | 約8.6億円 |
※()は出身国 (参照:Sportsnavi)
イギリスの調査会社によれば、4位のエセキエル・ラベッシの年俸はさらに上だとも言われています。イタリア誌などは、レアル・マドリードのクリスティアーノ・ロナウドやバルセロナのリオネル・メッシの年俸・約27億円を超え、33億5000万円であると伝えました。
1-3 日本代表CBには破格の“言い値”年俸でオファー
(引用:difangzhi)
中国サッカーバブルの波は日本代表選手にまで押し寄せました。Jリーグ・浦和レッズ所属の槙野智章選手に中国スーパーリーグ・広州恒大が獲得オファーを出しました。年俸は言い値という破格の待遇です。のちに同選手は断りの連絡を中国側に入れたそうですが、あらためて中国サッカーの資金力に驚かされるニュースとなりました。(参照:スポニチ)
2 サッカー市場に中国が本気を出した理由
(参照:湖北省林业厅主办)
なぜこれほどまで資金力があるのか。
その背景にはサッカー投資と政治が関係しています。
一見華やかに見える中国スーパーリーグ。スタジアムには毎試合平均して2万人近く入るも、チケット代が安いため入場料収入はわずかで、ほとんどをスポンサー収入でまかなっている状況です。(日本のJ1の2016年平均観客動員数は1万7968人で、全体の収入における入場料収入の割合は20%?40%)
また、中国では不動産業界は政府とのつながりが強いと言われているため、スポンサー企業はその多くが不動産業を扱っています。
習近平国家主席がサッカー改革を自国の優先課題と位置づけ、莫大な予算をつぎ込んでいることを受け、本土の投資家たちは地方官僚の気を引くために、投資を続けているようです。(参照:KINBRICKS NOW)
3 中国サッカーにビジネスチャンスあり
中国国内では日本人の指導者が求められています。20周年を迎えたJリーグの成功や、欧州クラブに多くの選手を輩出する手法を学ぼうと、中国の視察団がたびたび日本のサッカー協会を訪れていました。
現在では多くの日本人スタッフが中国サッカークラブの指導者として活躍。中国では技術や高度な戦術を指導できる指導者が不足しているため、日本人指導者は貴重な存在です。
中国にいる日本人指導者 2016年1月3日現在 ※敬称略
・超級リーグ(中国スーパーリーグ)(1部)
所属クラブ | カテゴリー | 人数 |
---|---|---|
杭州緑城 | 育成年代 | 日本人複数名(神戸昌宏) |
河北華夏幸福 | 育成年代 | 日本人4名(高畠勉、柳田伸明、矢野玲、古島清人) |
広州富力 | トップチーム | 日本人1名(喜熨斗勝史)/td> |
・中乙リーグ(3部)(1部)
所属クラブ | カテゴリー | 人数 |
---|---|---|
銀川山嶼海賀蘭山 | トップチーム | 日本人1名(内田一夫) |
河北華夏幸福 | 育成年代 | 日本人4名(高畠勉、柳田伸明、矢野玲、古島清人) |
※敬称は省略
・JFA(日本サッカー協会)派遣
江蘇省女子ユース監督 日本人1名(金子隆之)
(引用:アジアサッカー研究所)
中国の各クラブは育成の下部組織作りを重視しています。中国は、日本のサッカー発展の鍵は長期的な計画に基づいた育成にあると分析。そのため、下部組織の日本人監督・コーチの需要は大いにあるとアジアサッカー研究所は指摘します。
日本国内では中国人による爆買いが話題になりましたが、日本人需要が高い中国のサッカー市場であらたなビジネスチャンスを発掘できるのではないでしょうか。