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会社設立で失敗する10のパターン

ビジネスマンにとって会社設立(起業)は、大きな利益や名声を得られる可能性がある行為なのでとても魅力的に見えます。会社設立後に事業が順調に拡大すれば、もしかしたらM&AやIPOにより莫大な利益を得られるかもしれません。しかし会社設立は、成功する確率よりも失敗する可能性の方が高いです。会社設立すると、その後様々な場面で失敗する要因が立ちはばかってきます。

 

会社設立後にビジネスで成功するには、魅力的な面ばかりに着目するのではなく、失敗するパターンをあらかじめ把握し、そして失敗するパターンに陥らないように対処する必要があります。

 

そこで今回の記事では、会社設立で失敗する様々なパターンを10個のジャンル別にご紹介します。具体的には「精神面」、「経営戦略・マーケティング面」、「資金調達・資本政策」、「税金」、「共同経営」、「法務面」、「財務・会計」、「営業・取引」、「人事」、「経営者の行動」の計10個のジャンルに分けて、失敗パターンをご紹介します。全ての失敗パターンを1つ1つ確認するのも良いでしょうし、特に自身が知りたい分野の失敗パターンのみを確認するのも良いでしょう。今後会社設立を行いたい方には必見の内容なので、ぜひご参照ください。

 

 

1 精神面が理由の失敗パターン

まず初めに、精神面が理由で失敗するパターンについてご紹介します。資金繰りや対人関係、経営戦略などの失敗パターンは広く知られており、対策されやすいです。しかし経営者自身の精神面が理由で失敗するパターンは、意外と軽視されがちです。精神面でも失敗する可能性は十分にあるので、あらかじめ対策を考える必要があります。精神面が理由で失敗するパターンは、主に下記5つがあります。

 

 

 

1-1 勢いだけで中身がない

若手経営者に多いのが、勢いだけで中身がないまま会社を設立するケースです。たとえば自分の好きなことをビジネスにする場合、収益性や市場規模を全く考えずに事業を始める方がいますが、これでは失敗してしまいます。

 

また逆に「市場で流行しているから」もしくは「儲かるから」という理由で事業を始めるのもよくありません。儲かる事業分野は、その分競争が激しくなります。厳しい競争に勝つには緻密な戦略や他社よりも優れている要素が必要なため、軽い気持ちで会社設立すると競争に勝てずに失敗する恐れがあります。

 

もう一つやってはいけないのが、過去の事業で被った損失を補填する目的で、勢いだけで会社を設立するケースです。一度失敗した理由を考えずに、切羽詰まった状況を解決したいという理由だけで会社を設立すると、また同じ失敗する可能性が高いです。

 

 

 

1-2 責任や自覚が足りない

経営者としての責任や自覚がない場合も、会社設立後に失敗する可能性が高いです。そもそも起業自体、簡単に成功するものではありません。技術力やノウハウといった強みを持つ経営者でも、そのほとんどは失敗に終わります。本気でやっても失敗する可能性が高いにもかかわらず、経営者としての責任や自覚がない人が成功するわけがありません。

 

経営者というと「お金持ち」とか「ちやほやされる」といった良いイメージを抱く人は多いですが、会社設立当初は地味な仕事を誰にも注目されずに行う必要があります。経営者の自覚や責任がないと、最初の地道なプロセスで諦めてしまう恐れがあります。会社設立当初は、すべての時間を仕事に捧げるくらいの覚悟と自覚が必要となるのです。

 

 

 

1-3 自信過剰もしくは自信がなさすぎる

経営者が自信過剰もしくは自信がなさすぎる場合には、会社設立が失敗する可能性が高くなります。自信過剰な経営者は、自分ができないことまでできると思い込む傾向があります。そのため、苦手なことややったことがないことにまで手を出し、自滅する可能性があります。またあまりにも自信過剰だと、取引先や顧客から「生意気」とか「上から目線」であると思われ、本来なら成立するはずの取引が失敗に終わることもあります。

 

一方で自信がなさすぎる経営者の場合は、自信がないためにここぞというチャンスに一歩踏み出せないケースが多いです。事業の成長に必要な投資や新規事業の立ち上げを行わなければ、当然ですが会社設立は失敗に終わってしまいます。また自信がない人が商品やサービスを宣伝しても、「本当にこの人から買って大丈夫かしら」と思われて、思うように売上高が伸びないかもしれません。

 

自信がありすぎるのも、逆に自信がなさすぎるのも、どちらも会社設立後に失敗を招く要因となります。自分が得意なことには思いっきり自信を持つ一方で、苦手なことや自信のないことには謙虚になるのが大事です。

 

 

 

1-4 過去の成功体験に固執する

会社を取りまく経営環境は、常に激しく移り変わっています。今現在通用する技術ややり方、ノウハウであっても、ある日から突然通用しなくなる可能性も十分あります。たとえば一昔前まではガラケーが市場を席巻していましたが、スマートフォンの台頭とともに、ガラケーの市場規模は一気に縮小しました。このように市場は大きく移り変わるので、会社経営では常に今後の市場に目を向ける必要があります。過去の成功体験に固執し、これまでと同じやり方を貫きとおしていると、ある時をさかいに、業績が急激に悪化する恐れがあります。

 

 

1-5 資金調達を果たしただけで成功した気持ちになる

ベンチャーの若手経営者に多いのが、資金調達を果たしただけで成功した気持ちになるケースです。ベンチャーキャピタルなどから数千万円〜数億円規模の資金調達を果たすのは確かにすごいです。しかしそのお金はあくまで相手が投資や融資の意味合いで出したものであり、決して商品やサービスの儲けではありません。

 

資金調達によって得た資金を有効活用する必要があるにも関わらず、SNSで調達額を自慢して満足してしまう経営者は少なくありません。満足した時点で向上心がなくなり、会社経営で手を抜いてしまうと、当然ですが事業は失敗に終わります。

 

 

2 経営戦略やマーケティングに関する失敗パターン

次に、経営戦略やマーケティングといった事業の根幹部分に関する失敗パターンをご紹介します。会社設立後に事業を成功させるには、販売する商品やサービスがお客さんに売れなくてはいけません。しかし経営戦略が間違っていたりマーケティング施策の見通しが甘いと、思うように商品やサービスは売れません。この項では、経営やマーケティングに関わる失敗パターンを4つご紹介します。

 

 

2-1 理論(知識)に偏重もしくは知識が全くない

「ファイブフォース」や「差別化戦略」といった、経営学やマーケティングの理論や知識を重視する経営者は意外と少なくありません。確かに学問的知識は、あったらあったで役に立つ時もあります。しかし知識や理論をどれだけ知っていても、100%会社経営で成功するとは限りません。勉強で勝ち抜けるほど甘くなく、むしろ自分の頭で論理的に考えることができたり、試行錯誤を繰り返す行動力が重要になります。

 

ただ本やセミナーで理論や知識を吸収するのではなく、その理論や知識を「どうやって活用するか」を自分自身で考えて初めて、知識を役立てることができるのです。

 

 

 

2-2 自身の強みや市場のトレンドを無視した事業を行う

自分が慣れていなかったり苦手なことよりも、自分が強みとしている部分を活用した事業を行う方が成功可能性は高くなります。たとえば全くスキルがないにもかかわらず、ある日突然エンジニアの受託開発を行おうと思っても無理ですよね。会社経営で成功する可能性を少しでも高める場合は、経営者自身や会社の強みを活かすのが不可欠です。

 

また市場のトレンドを無視した事業を行うのも、会社設立後に失敗するパターンの最たる例です。たとえば今現在衰退している分野で事業を行うと、そもそもの顧客数が減っていくので、長期的にはあまり利益を得られません。また市場規模を考えずに事業を始めた結果、ニッチ市場すぎて儲からなかったというケースもあります。会社設立して事業を始める際には、市場規模や市場の成長性といった要素を確認しなくてはいけないのです。

 

 

 

2-3 お客さんの理解が不十分

商品やサービスで売上を得るには、それを欲しているお客さんに適切な価格で適切な方法で販売しなくてはいけません。つまり事業を成長させるには、お客さんの理解が不可欠なのです。お客さんの特徴やニーズを分析せずに商品を販売すると、そもそも販売相手が間違っていたり、見当違いな価格で販売してしまう恐れがあります。

 

会社設立して商品やサービスを販売するとなったら、まずは顧客の特徴を分析し、どのような顧客にどのような方法で販売していくかを考える必要があります。お客さんに対しての理解があって初めて、顧客ニーズに沿った商品を提供できるのです。

 

 

 

2-4 不必要な多角化を行う

多角化とは、既存で行なっている事業とは全く異なる分野で新規事業を立ち上げる行為です。これまで行った経験がない分野で事業を立ち上げるので、当然ながら難易度はとても高いです。また多角化した事業が起動に乗るまでには、多大な時間や費用がかかります。

 

このように多角化はハイリスクな行為なので、あまり深く考えずに行うと取り返しのつかない失敗を招く可能性があります。具体的には、立ち上げた新規事業が思うようにうまくいかず、大きな損失を被ってしまいます。

 

多角化を実施する際には、「そもそも本当に多角化する必要があるのか?」からしっかりと検討し、行うときには緻密な戦略を立てておく必要があります。

 

 

3 資金調達・資本政策での失敗パターン

次に、資金調達や資本政策での失敗パターンについて解説します。会社設立にはさまざまな失敗パターンがありますが、その中でも特に多いのが「資金調達や資本政策にまつわる失敗」です。会社設立が成功する上では、資金調達や資本政策での失敗を回避するのがとても重要となります。この項では、資金調達や資本政策に関する失敗を4つご紹介します。

 

 

 

3-1 資金調達・資本政策に関する知識がない

とても基本的な部分ですが、資金調達や資本政策に関する知識がないと会社設立が失敗する可能性は一気に高くなります。たとえば投資と融資とでは、資金調達におけるメリットとデメリットが根本的に異なります。その違いを知らずに「とりあえず融資」という感じで資金調達をすると、思わぬ形で資金繰りに苦しんだりします。

 

また持ち株比率などの基本的な資本政策を知らないと、いつの間にか経営権を失ったり、意思決定のスピードが遅くなるといった事態に陥る可能性があります。さまざまな場面で損をしてしまうので、会社設立する以上は最低限の知識は身につけておくのが大事です。

 

 

 

3-2 助成金や補助金頼りで会社設立を行う

助成金や補助金とは、簡単にいうとタダで利用できる上に返済不要の資金です。会社設立の際や設立直後に必要な条件を満たせば、国の公共機関から数十万円〜数百万円もの助成金や補助金を受け取れます。

 

資金力に乏しい会社設立時において、返済不要の補助金や助成金はとても魅力的な資金調達源です。しかし助成金や補助金頼りで最初から会社設立を行うと、思わぬ失敗にハマる可能性があります。そもそも補助金や助成金は必ず受給できるとは限りません。条件も競争倍率も厳しいため、もらえない可能性も十分あります。最初からもらえる前提で事業を始めてしまうと、もらえなかった時に資金繰りが回らなくなってしまいます。

 

また仮にもらえたとしても、たいていの助成金や補助金は一度しかもらえません。そのため、長期的に会社を経営するとなると、別の資金調達源が必要となります。

 

 

 

3-3 融資後の資金繰りを考えずに資金調達を行う

資金の返済義務を負う「融資」により資金調達する場合には、その後の資金繰りを十分考えておく必要があります。融資を受けた場合、元本の返済義務に加えて利息の支払いが定期的に発生します。会社設立当初は十分な利益がないため、元本の返済や利息の支払いで資金繰りが狂う可能性があります。

 

利息の支払いや元本返済を行えなくなるほど資金繰りが悪化し、会社設立からあまり時間が経たない間に倒産に追い込まれるケースも少なくありません。融資で資金調達を受ける際には、毎月得られる収益を予測した上で、毎月の利息支払いや元本返済の計画を立てておきましょう。

 

 

 

3-4 資金調達を優先するあまり経営権を失う

「融資は返済義務があってリスクがあるから、出資してもらおう」という考えを持つ経営者の方も少なくありません。ですが株式を交付する形での資金調達にも大きなリスクがあります。そのリスクとは「経営権を失うリスク」です。

 

株式会社では、保有する持ち株割合に応じて実行できる権限の強さが変わってきます。たとえば過半数の議決権株式を保有していると、一人で役員の選任などを行えるようになります。さらに2/3以上の議決権株式数を持つと、定款変更などの会社の根幹に関わる決議を原則独断で行えます。

 

資金調達を行いたいがために、自社の株式を第三者にばら撒いて経営陣の持ち株比率が低下すると、経営陣のみで意思決定を行えなくなります。極端な話外部の機関に大多数の株式を保有されると、相手の思い通りに会社を動かされてしまいます。

 

出資してもらう形で資金調達する際には、最低でも過半数の株式は経営陣が保有しておくのがベストです。

 

 

4 税金での失敗パターン

会社を経営する上で欠かせないことといえば、「税金の支払い」です。会社設立時からその後の会社経営に至るまで、税金はさまざまな場面で発生します。この項では、そんな税金に関する失敗パターンを4つご紹介します。

 

 

 

4-1 会社経営に必要な税知識がない

会社経営で必要となる最低限な税知識がないと、節税面で不利を被ったり、納税忘れなどによるペナルティを課される恐れがあります。会社経営で利益をあげた場合には法人税や地方税、消費税といった税金が課税されます。

 

会社を経営する以上、法人税や地方税などに関する基本的な税知識は最低限持っておく必要があります。

 

 

 

4-2 会社設立後に行う税務署への届け出を行わない

会社設立を行なったら、そこから原則三ヶ月以内に青色申告の承認申請書を提出する必要があります。青色申告の承認申請書とは、青色申告と呼ばれる方式で税金の確定申告を行うための書類です。

 

青色申告を行うことで、損失を最大10年間(平成30年4月1日以後)繰り越すことができたり、10万円以上30万円未満の消耗品を購入した際に、それを1年で全額経費にすることなどが認められます。つまり青色申告の承認申請書は、節税面で有利となる上では、必ず提出すべき書類なのです。この書類を提出しないことを理由に青色申告の優遇措置を受けられず、多額の税金に苦しむ失敗に陥る企業も少なくありません。

 

会社設立の際に、司法書士に設立手続きを丸投げする方は特に注意しなくてはいけません。なぜなら司法書士は税の専門家ではないため、会社設立後に行う申請手続きは行わない可能性が高いからです。後から責任を追及することは基本不可能なので注意が必要です。

 

 

 

4-3 必要な税金の払い忘れや金額不足

脱税目的で故意に税金を払わないケースはもちろんですが、単純に必要な税金を払い忘れる場合や実際よりも少ない金額を納税する場合にも処罰が下されるので注意しなくてはいけません。

 

払い忘れや過小な納税を行なった場合、具体的には「加算税」と呼ばれる税金がペナルティとして課されます。加算税には申告書を法廷期限までに提出しないケースで課される「無申告加算税」、申告した納税額が本来よりも少ない場合に課される「過少申告加算税」、期限までに源泉所得税を納付しなかった際に課される「不納付加算税」などの種類があります。またあわせて、本来納付するはずの税額に対して利子として「延滞税」も課税されます。

 

とても重いペナルティが課されて資金繰りが悪化する恐れがあるため、必ず期限内に納税するのがおすすめです。

 

 

 

4-4 自身の判断で節税対策を行う

少しでも支出を減らす上で節税対策はとても重要ですが、ご自身の判断で節税対策を行うと脱税などを疑われる恐れがあるので注意が必要です。ネットで検索したり知り合いの社長さんの意見を聞いてみると、ありとあらゆる節税対策を知ることでしょう。なんでも経費になると勘違いしてしまうか違いますが、他人の意見が正しいとは限りません。

 

たとえばスーツ代やクリーニング代といったものは、法人では経費として原則認められません。法人と個人事業主でも経費として認められるものは違いますし、会社の状況などによっても経費は異なってきます。経費かそうでないかの基準は複雑なので、他人の意見はあてになりません。

 

他人の意見を鵜呑みにして節税効果を行うと、脱税行為や過少申告とみなされて重いペナルティを課されるおそれもあります。ペナルティによる資金繰りの悪化という失敗に陥らないためにも、必ず税理士の意見を聞いた上で節税対策を行いましょう。

 

 

5 共同経営での失敗パターン

友達や会社の同僚といった仲の良い人同士で会社設立するケースは近年多く見られますが、思わぬ失敗が多いので注意しなくてはいけません。この項では、共同経営での失敗パターンを4つご紹介します。

 

 

 

5-1 仲間内でなんとなくノリで起業する

まず一つ目の失敗パターンは、仲間内でなんとなくノリや勢いで会社設立するケースです。職場の同僚や大学の同期など、仲が良くて志が同じ人同士で会社設立することは、一見すると素晴らしいことに思えると思います。

 

しかし仲が良い同士で会社設立すると、お互いに甘えが生じたり、逆に事業が順調にいっていないと喧嘩が絶えなくなる可能性が高いです。仲が良い同士で会社設立するのが100%悪いというわけではありませんが、必ず今後のビジョンや上手くいっていない状況についても話し合った上で会社を設立するのがオススメです。

 

 

 

5-2 利益配分や役割の分担を決めずに事業を行う

共同経営でよくある失敗パターンが、利益配分や役割分担を決めずに会社設立してしまい、のちのち大きなトラブルに発展するケースです。

 

会社設立当初は、どうしても役割を決めずに互いができる仕事を行き当たりばったりで行うケースが多いです。しかし一度利益が出た時に、どのように利益を配分するかで対立する可能性があります。あらかじめ利益配分や役割分担を決めていないので、互いに「自分の方が仕事をしているから、よりたくさんの利益を欲しい」という意見をぶつけ合い、問題がなかなか解決しなくなります。

 

共同経営を始める際には、あらかじめ役割分担をしっかり定めておき、その役割分担の比率や出資額に応じて、利益の配分を決定しておくのが大事です。利益が出た時に決めれば良いと考えていても、ほぼ必ず利益の配分割合で対立するため、事前に決めておくのがおすすめです。

 

 

 

5-3 株式を平等に分配する

「二人とも立場が同じ経営者だから、株式を半分ずつ持っておこう」という考えは共同経営ではしばしば起こりますが、これは後々大きな失敗を招く可能性があります。

 

資本政策の項でもお伝えしましたが、株式会社では持ち株比率によって行使できる権限が決まります。3分の2以上で特別決議、過半数で普通決議をそれぞれ決定できるようになります。株式を2人の経営者で50%ずつ分けた場合どうなるでしょうか?仮に意見の対立が発生した場合、特別決議どころか普通決議すら決定できなくなります。

 

株式を平等に分配するのは一見すると合理的に思えますが、意思決定をスピーディーに行えなくなるリスクが潜んでいるのです。会社設立直後は意思決定の迅速さが大切となるので、どちらか片方の経営者が株式を多めに持っておくのが好ましいでしょう。

 

 

 

5-4 意見の対立により仲違いする

仲が良い人同士で会社設立を行うと、意思決定の対立により実際の友情関係も壊れてしまうリスクがあります。仕事とプライベートは別と考えていても、やはり仕事上で真っ向から対立してしまうと、相手の存在が憎くなってくる可能性は十分あります。

 

会社設立当初は事業で思うように結果が出ず、意見の対立が生じやすくなります。本当に仲が良くて友情関係を壊したくないのであれば、逆に共同経営はしない方が良いとも考えられます。

 

また、意見の対立が生じて片方が会社を去ってしまい、会社経営を満足に行えなくなるリスクもあるので注意が必要です。

 

 

6 法務面での失敗パターン

経営戦略や税金、精神面での失敗と比べると軽視されがちですが、法律面で思わぬ失敗に陥るケースもあります。経営者にとって法務面は専門ではないため、十分な注意を払うのは難しいかと思います。ですが会社経営に失敗しないためにも、最低限の失敗パターンにはあらかじめ対処しておくのが望ましいです。

 

 

 

6-1 契約書を取り交わさない

取引を行う際に契約書を締結しておかないと、後々大きなトラブルに巻き込まれる可能性があります。たとえば自社で業務管理システムの受託開発を行っていたとしましょう。完成後に報酬を受け取る契約書を取りかわしておかないと、「そんな契約していない」と言われて代金を受け取れなくなる恐れがあります。またお客さんと契約書を結ばずに取引を行った結果、「自分が要求したものとは違う」と言われて代金の支払いを拒否されたり、訴訟に発展する恐れがあります。

 

どれほど仲が良かったり信頼できそうな相手でも、口約束を100%守ってくれる保障はありません。いざ代金の支払いとなった際に、コロッと態度を変えてくる可能性は十分考えられます。仮に訴訟により争うとしても、多大な労力や費用がかかってしまい、裁判に勝ったとしても損失を被ります。どのような相手との取引にしろ、仕事内容や報酬などの重要事項については契約書に明記し、証拠として残しておくのが大事です。

 

 

 

6-2 安全面への配慮や契約の履行を怠る

お客さんとの取引に際して、安全面への配慮を欠いたり契約の履行を怠ると、会社設立は失敗に終わる可能性が高いです。会社設立当初は、事業を拡大するために社員に無理をして仕事を行ってもらうケースが少なくありません。無理して働かせた結果、うつ病や思わぬ事故による怪我を招く可能性があります。そうなってしまうと「ブラック企業」とか「安全への配慮が足らない企業」というレッテルをつけられて、その後の事業運営で不利益を被ってしまいます。

 

また事業を拡大する上で、お客さん一人一人との契約を軽視してしまい、契約の履行を怠ってしまう場合もあります。仮に契約の履行を怠ってしまうと、お客さんからの信頼度が下がり、評判が悪化して売上高が減少してしまう恐れがあります。最悪の場合訴訟問題に発生し、事業の運営が困難となる場合もあります。

 

 

 

6-3 許認可や資格が必要な事業かどうかを十分調べずに事業を行う 

基本的には誰でも好きなビジネスを始められるものの、中には「許認可」や「資格」の保有がビジネスを始める条件となる事業分野もあります。たとえば労働者派遣業や建設業は、指定の機関から許可を得る必要があります。事業を始める際に、許認可や資格が必要かどうか調べずに事業を行うと、無許可営業とみなされる可能性があります。

 

本来必要な許認可や資格を得ていないと、その資格や許認可を取るまで事業を行えなくなったり、最悪の場合罪に問われる恐れもあります。会社設立する際には、あらかじめ自身の行う事業分野で資格や許認可などが必要でないか確認しておきましょう。

 

 

7 財務や会計面での失敗パターン

会社を経営する上で無視できない要素が、「財務」や「会計」です。日々売り上げや費用を計上する上で、思わぬ失敗に陥るケースがあります。この項では、財務や会計面での失敗パターンを4種類ご紹介します。

 

 

 

7-1 会計や財務に関する基礎知識を知らない

先ほどもお伝えしたように、会社の経営では売上高や費用が日々発生し、それを適切に記録・処理する必要があります。ですので、会社の経営者には最低限の財務や会計の知識は不可欠と言えます。会計や財務に関する基礎知識を知らないと、利益を算出できなかったり、適切な節税方法を考えることができなくなります。数字で会社経営を考えることができないので、とても危なっかしい経営管理となってしまい、ちょっとした業績悪化や環境変化に耐えられずに事業が失敗に終わる可能性が高いです。会社設立を行う以上、最低でも財務諸表を読めるレベルの知識を持っているのが好ましいでしょう。

 

 

 

7-2 どんぶり勘定を行う

会社設立したばかりの経営者に多いのが、どんぶり勘定で会社を経営するパターンです。会社設立したばかりの段階では売上高がほとんどないので、どうしても正確に会計処理を行わない傾向があります。

 

ですがしっかりと会計処理をしておかないと、確定申告の際に正確な数字を算出できずに、後から修正を行う手間が発生したりする可能性があります。また、会計処理は経営状況の管理でも重要な役割を果たします。売上や費用がどのくらい発生しているか知らないと、「どこの作業で無駄が発生しているか」とか「事業がどのくらい成長しているか」を把握できません。

 

 

 

7-3 無駄な投資を繰り返し固定費が増大する

事業を成長させるには、必要となる設備や新規事業に投資することはとても大事です。しかし無駄な部分に投資を繰り返していると、固定費が増大し経営状況の悪化を招きます。固定費は販売量や売上とは無関係に発生するので、仮に売上高や販売数量が減少すると、固定費が原因で赤字となるおそれがあります。

 

そして固定費が原因で赤字が続けば、最終的には資金繰りが破綻し、事業は失敗に終わります。固定費の増大による失敗を防ぐためにも、本当に必要な部分にのみ投資するのがベストです。

 

 

 

7-4 日々の細かい経理処理を怠る

どんぶり勘定の話と重複しますが、日々の細かい経理処理を怠ると後々痛い目を見るかもしれません。会社を経営するにあたっては、年度末の確定申告や日々の経営管理のために取引を適切に処理する必要があります。ですが会社設立したばかりの経営者は忙しいので、なかなか日々の経理処理まで手が回らなくなることが多いと思います。ですが経理処理を先延ばしにしておくと、確定申告間近になって処理に追われたり、そもそもどんな取引があったか忘れてしまう可能性があります。

 

後から忙しい目に遭わないためにも、日々の経理はこまめに行なっておきましょう。忙しくて経理まで手が回らない方は、経理を外注するなり会計ソフトを活用するなりしましょう。

 

 

8 営業や取引に関する失敗パターン

会社設立の手続きが終わったら、いよいよ本格的にサービスを始めたり商品を販売し始めます。サービスや商品で売上を得るには、営業活動や他社との取引がほぼ必須となります。ここでは、営業や取引で生じ得る失敗パターンを4つご紹介します。

 

 

 

8-1 自身にとって不利な条件で取引してしまう

会社設立したばかりの頃は、経験の少なさから自身にとって不利な条件で取引してしまうケースが多々あります。たとえば仕事の経験値がないと、報酬の相場や相手の言っていることが誠実かどうかを見抜くのは難しいです。このような不利な条件で取引してしまうと、赤字になって資金繰りが悪化したり、後々大きなトラブルに発展する恐れがあります。複数の業者に見積もりを依頼したり、他の人に意見を聞いたりして、不利な条件で取引しないようにする必要があります。

 

 

 

8-2 相手からもらってばかりで与えない

相手からもらってばかりで自分は相手に何かを与えない経営者がたまにいますが、このような態度を続けるといずれ大きな失敗に陥るかもしれません。たとえば安く仕事を請け負ってもらうばかりで、相手から依頼されたことは断ったりすると、いずれ取引を打ち切られる恐れがあります。その相手と取引を打ち切られるだけならまだしも、他の人に「あの会社は自分がやってもらうばかりで何も与えてくれない」と噂される可能性があります。悪い噂が広まってしまうと、業界内で満足に取引できなくなり、事業が失敗に終わる恐れがあります。相手に何かしてもらったのならば、自分も相手に良いことを施す意識を持ちましょう。

 

 

 

8-3 顧客や取引先の意見に耳を傾けない

顧客や取引先から得た意見に耳を傾けないと、周りから誰もいなくなり事業は失敗に終わってしまいます。商品を販売したり他社との取引をしていると、「こうした方が良いのでは?」とか「こうしてほしい」という意見を耳にすることがあります。自社の改善点を他社から指摘されたにもかかわらず意見を聞かないと、「この人は意見しても耳を傾けてくれない」と思われて、契約を打ち切られる可能性があります。自社にとって不利な意見は聞き流しても良いでしょうが、自社にとってプラスとなる改善点や要望であればしっかりと耳を傾けましょう。

 

 

 

8-4 特定の外注先や取引先に依存しすぎる

会社設立後、少数の外注先に依存しすぎると、いざという時に対処できなくなり失敗します。たとえば原材料の仕入れ先を特定の一社に依存しているとしましょう。普段は複数の会社とコミュニケーションする手間を省けますし、大量に発注することでコストを抑えられます。ですがその会社が何らかの理由で倒産した場合、原材料を全く仕入れられなくなります。外注先についても同じで、一つの外注先に依存していると、そこの会社がダメになったら商品を作れなくなります。他社の倒産や業績悪化のあおりを受けないためにも、複数の外注先や取引先にリスクを分散させるのがおすすめです。

 

 

9 人事に関する失敗パターン

会社設立後に本格的に事業を運営しようと思ったら、人を雇用する必要性が高まります。従業員の力は事業の成長にとって大きな存在ですが、従業員に対する態度や処遇を間違えると、有効活用できずに失敗してしまいます。ここでは、人事(従業員)に関する失敗パターンを3つお伝えします。

 

 

 

9-1 従業員に対して負荷をかけすぎる

会社設立当初は人手不足なので、どうしても少数の従業員に負担をかけがちになります。ですがあまりにも従業員に負荷をかけると、過労で働けなくなったりモチベーションが低下して離職したりして、さらに人手不足が悪化する可能性があります。人手不足が悪化するだけでなく、ブラック企業というレッテルを貼られて、新しく人を雇用したり他の会社と取引することが難しくなります。人手不足なのであれば、フリーランスへの外注や業務の効率化を図り、なるべく一人あたりの労働負荷をあげすぎないようにしましょう。

 

 

 

9-2 職場環境の整備を軽視する

職場環境の整備を軽視し、やる気や熱意をやたら重視する会社は少なくありません。ですが職場環境の整備を軽視していると、従業員が離職したりモチベーションが低下してしまいます。たとえば狭くて薄暗い部屋で仕事をやらされたり、ギクシャクした人間関係の場所で仕事をしていると、従業員のやる気はかえって下がるでしょう。やる気を持って働いてほしいのであれば、従業員が働きやすい環境を整備する必要があります。

 

 

 

9-3 人員が多すぎる・少なすぎる

「人員が過度に多い」または「少ない」と、生産性の低下や労働力不足により会社設立が失敗に終わるリスクが高まります。人員不足はわかりやすいですが、そもそも仕事を行う人がいないので、十分な売上高を得られなくなります。売上高はないのに固定費ばかり発生していると赤字経営になってしまい、いずれ事業は破綻します。また人員が少ない場合はもちろんですが、過度に多いと生産性の低下や怠ける従業員が出てくる場合があります。会社設立後は、人員の確保はもちろんのこと、あまり人を増やしすぎないように注意しなくてはいけません。

 

 

10 経営者としての行動面に関する失敗パターン

会社設立を経ると晴れて経営者となり、友人や知人始めとして多くの人から祝福を受けます。周りからちやほやされるので、経営者になるとどうしても気が大きくなってしまいます。経営者になったら気が大きくなったことで間違った行動をしないよう、十分注意する必要があります。実際に経営者として間違った行動をしたことが原因で、会社経営に失敗するケースは少なくありません。この項では、経営者としての行動面に関する失敗パターンを3つご説明します。

 

 

 

10-1 SNSでの自慢合戦に力を注ぐ

FacebookやツイッターなどのSNSで良く見られようとして、お金がたくさんあるアピールや儲かっているアピールをする経営者は少なくありません。実際に儲かっていてお金がたくさんあるなら良いでしょうが、経営者としてチヤホヤされたいがために自慢合戦をするのは良くありません。無理にSNSで自慢アピールをしたところで、本業がおろそかになる上に、資金を無駄に費やしてしまうだけです。

 

 

 

10-2 パーティーや交流会に足繁く通う

経営者や役員クラスが集まるパーティーや交流会に足繁く通う経営者は、最終的に失敗する可能性が高いです。重要な人物とつながれる点で、意味のある交流会やパーティーは確かに存在します。でもたいていの場合、売れていない経営者や役員が互いの営業トークを行うために来ていたり、見栄を張るために来ているパーティーや交流会ばかりです。このようなイベントに足繁く通っても、新しいビジネスチャンスは何一つ生まれません。結果的に時間と費用ばかり無駄にして、会社設立は失敗に終わります。

 

 

 

10-3 自身の承認欲求のための行動を取る

重複する部分もありますが、自身の承認欲求のために取る行動は基本的に全て無駄です。SNSで自慢するのはもちろん、儲かっているアピールをするために高級なものを購入して見せびらかす行為などです。このような行動に走ってしまうと、売上に直結しない費用ばかりかかり、最終的には資金繰りが悪化して失敗に終わります。会社設立するのであれば、あくまで事業に関係のある行動だけに集中する必要があります。

 

 

11 会社設立日・決算日を決める際の注意点

会社設立の際に、よく疑問とされるのが、「会社の設立日はいつになるのか」という点です。実際に業務を始めた日なのか、「定款」という会社の決まりを作った日なのか、それとも法務局に申請を出した日なのか、法務局に会社の存在が登記された日なのか、わからないこともあるのではないでしょうか。

 

会社設立日については、設立希望日がある場合は早めに手続きを行う必要があります。また、決算日を決める上では、原則としては、できれば設立日からできるだけ先の末日とし(例外のケースは後ほど説明します)、可能であれば税理士の繁忙期を避けるなど配慮することが望ましいと言えます。

 

会社設立日とは、「会社設立の届出書類を法務局に提出し、受理された日」となります。登記完了日というのもありますが、こちらは法務局が書類のチェックの完了を終え、正式に会社の存在が法務局に登記された日であり、会社の設立日とは異なります。会社設立日は、法人・個人がその会社に関する全部事項証明書(いわゆる登記事項証明書)を取得することでわかります。

 

書き方としては、「会社成立の年月日」という形で、全部事項証明書に記載されます。会社設立の年月日には、会社提出の書類が法務局に受理された日(届いた日)がそのまま反映されるのです。

 

そのため、設立日にこだわりがある場合は、郵送ではなく直接法務局に提出する必要があり、また、確実に受理されるように厳密に確認を行うか、より確実にするには、会社設立の専門家に依頼する必要があります。

 

 

 

11-1 会社設立日について、気をつけたほうがいいことは?

会社設立日を特定の日にしたいなどの希望がある場合は、3週間から1ヶ月など、余裕を持って手続きを始める必要があります。確実に希望日を会社設立日にしたい場合は、専門家に依頼するのが確実です。

 

会社設立そのものは、上記の期間より短くできるケースもあります。ただし、実際に会社を設立する段階になると、書類のやり取りなどでタイムラグが発生することがあります。自分以外の役員がいる場合はその役員の印鑑証明の取得、資本金の振込、公証人役場での定款認証、各種書類への捺印などそれぞれのプロセスで、予想より多く時間がかかる可能性があります。

 

また、自分で作成する場合だと、「希望日に提出しようとしたところ、書類に誤りがあり、受理してもらえなかった」というケースも懸念されます。法務局は登記に関わる公的な情報を扱う関係上、あらゆる書類、手続きが厳密で、少しでも漏れ、欠けなど不具合があれば受理されません。いずれにせよ、確実に予定日に手続きを行いたいならば、専門家に依頼したほうがいいでしょう。特別な希望日がある場合は、時間に余裕を持って、専門家に手続きを依頼することをおすすめします。

 

 

 

11-2 会社設立ができない日がある

会社設立においては、何かの記念の日を設立日としたい、ゾロ目やお正月など縁起の良さそうな日を設立日としたいというニーズもあるでしょう。

 

しかし、会社設立日とできるのは、法務局が開いていて、書類を受理できる「平日」だけです。例えば1月1日のような休日・祝日は設立日にできません。土日祝日も同様です。ですので、事前に設立希望日が休日・祝日に該当しないか調べておくことは重要です。

 

 

12 会社設立日と決算の関係、注意点

会社設立日と合わせて重要なのが、決算日です。決算日は、月の末日におくことが実務上の通例です。月末以外にすることも可能ですが、会計処理が煩雑になり、他社の支払いサイトなどとのズレが生じる可能性もあるため、月末にするのが無難です。原則、会社設立日から、定款で定めた最初の決算日までが第一期の決算日となります。

 

 

 

12-1 会社設立は、初年度決算のことを考えて決めよう

会社設立時は、初年度決算を踏まえ、できるだけ設立から決算までの期間が長くなるよう設定するのが一般的には望ましいです。(ただし、節税などを検討する場合は、ある程度短くしたほうがいいケースもあります。そちらは後述します)

 

例えば、8月17日設立であれば、翌年の決算日を7月末日とするように、11ヶ月+アルファのように期間をもたせる形となります。

 

定款作成から実際の登記申請日(つまり会社設立日)との時間も考慮しつつ、法人成り(売上・利益が大きくなり、個人事業から法人に改変する)で節税したいなどの特別な事情がない限りは、会社設立日からできるだけ期間のある日の末日を、決算日として設定するのが適切でしょう。

 

やはり、初年度の業績を良くするためには、単純に営業期間が長いことが重要になります。

 

また、詳しくは後述しますが、小規模の新設法人の場合、設立から2期までは消費税を納めなくてよいケースがあります。ただし、消費税の新設法人に該当する旨の届出書など、書類提出をする必要があります。

 

そもそも、事業を今後行っていく中や、資本金など諸状況の関係で、自身の会社が免税事業者に当たるかどうかという問題があります。また、法人成りの場合、期間によっては免税条件に該当しないケースもありえます。これについては、ケース・バイ・ケースという側面がありますので、税の専門家である税理士・税理士資格を持つ公認会計士などに確認することを強くおすすめします。

 

 

 

12-2 会社設立日・決算日はいつが望ましい?

一般論としてゼロから会社を設立する場合は、会社設立日と決算日は極力離れ、11ヶ月なり1年近くなりできるだけ先を決算期にするよう、定款で定めるとよいでしょう。

 

一方、個人から法人成りする場合や、当初から大きな売上が見込める場合は、専門家(税理士)と相談する必要があります。1期目から1千万円以上の課税売上が発生すると、翌翌年度に消費税の納税義務が発生します。

 

決算期を半年なり短めにすることで、年間の課税売上高を1千万円以下に抑えることで、翌翌年度の消費税が免税になるなど、消費税の免税期間を長くすることができるケースもあります。

 

ただ、極端に短い期間(設立後1~3ヶ月)はあまりおすすめしにくいです。なぜなら、設立後、営業、実務などただでさえ忙しい時期に、決算の手続きもしないといけないため、経営者自身がとてもしんどい思いをすることになります。合わせて、法人決算の場合は複雑なため、税理士に依頼することは不可欠です。

 

決算にかかる税理士報酬も、十数万円から二十万、三十万円近くかかるケースが多いため、創業当初のお金が大きく出ていく、かつ忙しい中で売上につながらない決算作業と出費は負担になるでしょう。

 

特に税制の部分に関しては、様々な状況を踏まえて改正されることも多いため、条件や額等の様々な要素が変わる可能性もあります。そのため、税の最新情報に精通した税理士としっかり相談することを、おすすめします。

 

また、社員を最初から雇用したり、助成金・補助金を申請する場合は、社会保険労務士にも設立日がその日でよいか確認をし、足並みを合わせたりする必要があります。規模が大きくなればなるほど、複数の専門家のアドバイスと、早い時点からの相談が重要になってきます。

 

また、会社設立日について特別なこだわり(子供の誕生日を設立日にしたい、ゾロ目の日を誕生日にしたい、縁起が良い日を選びたい等)がある場合も、専門家に相談してから進めたほうがよいでしょう。もし、希望日でデメリットがある場合は、どちらを優先するか、天秤にかけて考えると良いでしょう。

 

会社設立の希望日で問題がなければその日に、他の日が望ましい場合、土日などで不可能な場合は他の日にするなど、あくまで希望日にこだわりすぎないことも大切です。

 

 

13 会社設立日・決算日を考慮することのメリット

会社設立日を考慮することにより、決算期が長くなることや、逆に期間を短くすることで翌翌年度の消費税が免税になる可能性がある点の他にも、税理士の税理士が余裕をもって対応してくれやすくなるなどのメリットがあります。

 

 

 

13-1 免税期間が長くなる

前述のとおり、新設法人のメリットとして、一定規模以下の資本金・規模の会社であれば、2期まで消費税を納めなくて良いという特例があります。(ただし、取引を行う場合は、課税事業者・免税事業者を問わず、相手から消費税を受け取ることは全く問題ありません)

 

ただし、新規設立法人でも、1期目、2期目の課税売上高や給与によって、消費税の納税対象になるケースがありますので、売上見込や、法人成りの場合は過去の書類も踏まえ、税務署・専門家に確認するのがよいでしょう。

 

加えて、1期目から大きな額の設備投資を行い、受け取る消費税より支払う消費税が大きくなる場合は、消費税課税事業者選択届出書の届出を行い、課税事業者となることで、消費税の還付を受けることができるケースもあります。ただし、この場合は最初から課税事業者となるわけですので、税理士とよく相談してから決めるのが適切です。

 

節税を考慮する場合は、資本金の額や営業期間等について専門家に事前確認した上で、会社設立以前の段階から免税業者に該当する状況になるよう、注意して設立準備をする必要があります。

 

なお、国税庁のサイトにある資本金の額または出資の金額が1,000万円以上である法人、一部の特定新規開設法人については、一部例外もありますので、この点も留意したほうがよいでしょう。

 

決算期間や、免税、課税どちらがよいかなどは、個人で判断することはかなり難しいです。様々な書類等判断材料を備えて、専門家に相談することが重要です。

 

 

 

13-2 税理士の繁忙期を避けると、確実な決算を行ってくれる

税理士事務所は、3,4月が個人の申告、法人の申告等、ゴールデンウィークの関係もあり多忙な時期です。

 

特に、3月はじめから3月末までは、個人の確定申告も絡むので、多くの税理士が一番忙しい時期であるとも言われています。そのため、3月末決算はできるだけ避けることをおすすめします。4月も、年初や確定申告の遅延分、ゴールデンウィークがありますので、できれば避けたほうが望ましいです。

 

また、6月末、12月末も、企業の上半期決算・下半期決算などで多忙になるケースが考えられます。

 

以上を踏まえ、3月末、4月末、6月末、12月末の決算はできるだけ避けたほうが、税理士側も負担が少なくなり、より決算をスムースに行ってくれる可能性が高いでしょう。

 

ただ、税理士事務所のメインクライアントによって繁忙期は変わりますので、依頼する税理士に、「お忙しい時期やできれば避けてほしい時期はいつごろですか?」など確認することをおすすめします。

 

 

14 まとめ

今回の記事では、会社設立で失敗する10のパターンをそれぞれご紹介しました。説明が長くなったので、最後にもう一度お伝えした内容をおさらいしてみましょう。

 

会社設立後に失敗するパターンは、大きく分けて「精神面」、「経営戦略・マーケティング」、「資金調達・資本政策」、「税金」、「共同経営」、「法務」、「財務・会計面」、「営業・取引」、「人事」、「経営者としての行動」の10種類に大別できます。

 

その中でも特に重要なのが、経営戦略・マーケティングや資金調達・資本政策、財務・会計面でしょう。これらの分野は会社経営にとって不可欠な部分であり、ここで間違った行動をしてしまうと、会社設立が失敗に終わる可能性は高くなってしまいます。会社設立を行う際には、会計やマーケティング、資本政策などに関する最低限の知識を付けておくと同時に、自身の頭で明確な戦略を立てておくのが大事です。

 

もちろん精神面や行動面といったその他の失敗パターンについても、会社設立を予定している方は十分注意しておく必要があります。会社設立後には、事業の成長を妨げるさまざまな落とし穴や壁が待ち受けています。今回ご紹介した失敗パターンを踏まえて、あらかじめ対策を考えておくのがおすすめです。

 

また会社設立の日にちについては、希望があれば1ヶ月程度の余裕をもって、早めに準備をしておくことが大切です。また、事前にカレンダーで確認し、土日祝日に該当しない日であるかの事前確認も重要です。

 

決算日については、長いほうが良いケースが一般的ですが、個人から法人成りするケースや、当初から大きな受注があり、ある程度の売上が見込まれ、節税を行いたいケースは、短くした方がよい場合もあります。

 

いずれにせよ、決算期の長短については、税理士、もしくは他の会社設立の専門家を通して税理士に、今後の売上見込なども含めて確認してもらい、判断をしてもらうことが大切です。

 

節税のために決算期をある程度短くするのが望ましいか、それとも長めに設定するのが望ましいかなど、きちんと個々の状況を専門家に伝えながら、会社設立手続きの最初の時点で目星をつけてもらうのがよいでしょう。

 

 


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