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会社登記とは、登記の手順・方法を詳細解説!

会社設立時には、会社の存在や事業内容、資本金、役員なども含めた、「会社の概要」、つまり「会社設立時の必要登記事項」を法務局に登記することが義務づけられており、これは株式会社、合同会社、一般社団法人、NPO法人全てに当てはまります。

 

設立手続きは、司法書士(法務局への登記全般を業として行います。)や会社設立の専門家を通し司法書士へ依頼するのが一般的で、大きい会社などの場合は、法人の制度設計の問題もありますので、弁護士に依頼するケースもあります。(なお、弁護士は登記手続き・定款認証など会社設立などの一連の手続きが可能です)

 

自分で行う場合でも、専門家に依頼する場合でも、「そもそも登記とはなにか」「会社設立の登記の手順は」「オンライン登記でできることやメリット」「費用・注意点」などを知っておくことで、登記のイメージをつかむことは有用です。この記事では会社登記について、全体の流れや方法を解説していきます。

 

 

1 そもそも登記とはなにか?

会社設立を行う上では、必ず会社の「設立登記」という手続きを行わなければいけません。まず、登記申請には「当事者申請主義」「書面主義」という根本となる2種類の決まりがあります。

 

「当事者申請主義」は、当事者である会社の代表取締役自身や、代表取締役より委任を受けた司法書士・社員が申請を行うというルールです。

 

一方、「書面主義」は、登記にかかるものは書類・書面で作成され、その書面を持参するか、郵便で送ることにより申請しなければいけない(ただし、オンライン申請は例外)という決まりです。

 

法務局に限らず官公庁は、書類ベースであらゆる手続きを進めていきます。このことは念頭に置いておいたほうがよいでしょう。

 

会社設立の登記に関しても例外ではなく、必要とされる書類を、所定のルールに沿って作成し、順番通りに提出しなければなりません。

 

会社設立を行う人にとっては、手間も費用もかかり大変ではあります。ただ、あらかじめ存在する制度を気にしても仕方ないので、あくまで手順通りに、機械的に手続きを進めていくなり、専門家に任せられる部分は専門家に任せるなど、割り切ってしまうことが合理的でしょう。

 

 

 

1-1 会社設立登記の意義

会社設立で、登記手続きが義務づけられている大きな理由の一つは、法務局の確認を経て登記することで「この会社がきちんと存在しますよ」ということが証明できるためです。

 

数百円の発行手数料を払えば、その会社と取引しようとする事業者や第三者でも登記内容を確認できます。

 

個人事業・フリーランスの場合は、税務署に開業届を出せばすぐに開業できます。しかし、会社の場合は、扱う取引・金額も大きくなりますので、取引する相手が実在する会社であるかということは、重要になります。

 

そのため、会社が実在するのか、代表者や役員は誰か、資本金はいくらかなどの情報を、取引検討者、第三者などでもわかるようにする必要があります。

 

現在はインターネットや信用調査会社の一般化で、事業者の存在や資本金、経営者や経営状況などを容易に調べられるようになりました。ですが、以前は相手の事業者が実在するかの確認手段の一つとして、登記されているか、つまり会社が存在しているかの確認のために、登記情報証明書(全部事項証明書)を取得し調べることもありました。

 

また、現在でも役員の名前や役員の就任、退任などを確認したり、事業内容を確認するなど、様々な目的で法人の登記された情報は活用されています。

 

合わせて、自分の会社が実在することの証明として、登記事項証明書を提出するケースも多くあります。なので、会社の登記を行うことは、自分の会社のためにもなり、また第三者や取引相手方の安心材料ともなりうるのです。

 

実際、法務局に赴いたり、法務局の登記情報提供サービスを利用すると、法人名、会社の所在地(市区町村)・法人番号などがわかれば、誰でも会社の全部事項証明(以前でいう、登記簿謄本)を取得し、会社の役員や資本金など、基本的な情報を調べることができます。

 

 

 

1-2 登記手続きは司法書士に依頼するべき?

このように、登記されている情報がいかに重要かということを踏まえますと、登記される情報も正確でなくてはいけません。それゆえに、書面上だけで、客観的に証明できる資料を集め、指定さたれとおりに、非常に厳密な流れで登記手続きを行わなければなりません。

 

さらに、書き方にも詳しいルールがあります。少しでもルール上の相違があると、書類を却下されることもあります。詳しくは後述しますが、登記内容の記述方法の指定や数字、英語でも全角文字の利用など、非常に独自の決まりがあります。そのため、一般の人にとっては手続き負担が大きく、大半のパターンでは、登記の専門家である司法書士に依頼を行うケースが多いのです。

 

なお、現在法務局は、登記すべき事項について、申請用紙やCD-R、DVD-Rではなくオンライン申請での提出を推奨しています。

 

また、必要書類や書き方も複雑です。取締役会を設置する場合、設置しない場合や、現物での出資がある場合など、ケース・バイ・ケースで必要書類の内容が変わります。

 

書面申請、オンライン申請いずれにせよ、個人で行うとすると、非常に労力を使う手続きです。こちらも後ほど詳しく述べますが、オンライン申請は、普通の人では手間取るくらい複雑です。いずれにせよ、専門家に依頼をすることをおすすめします。

 

 

 

1-3 登記される内容はどのような事項?

それでは、会社の設立登記手続で、法務局に登録される内容について説明します。

 

具体的に登記される内容など、詳しい項目は、後述のリストに挙げてあります。これは、履歴事項全部証明書(全部事項証明書など、言い方が異なる場合もあります)を取得することで、誰でも確認ができます。

 

法務局で会社について取得できる書類で、主に会社の情報を知るために使われるのは、現在事項証明書及び履歴事項全部証明書の2種類です。

 

現在事項証明書は、その名の通り現在の情報、例えば役員・資本金等の情報が掲載されています。

 

一方、全部事項証明書は、過去の役員の就任・退任なども含め、創業時からの情報が全て記載されています。

 

全部事項証明書の記載事項(なお、企業規模により、記載されている内容が異なり、大企業の場合これ以外の記載事項も存在することがあります)

 

商号 株式会社○○など、会社の種別も含む正式名称です。
本店 本店の所在地で、市区町村まで記載する場合と、所在地に記載する場合があり、任意で選べます。
公告の方法 株式会社の場合(合同会社は不要)会社の決算に関する内容を、官報、新聞広告、インターネットのいずれかの形で毎年公告する必要があり、どの方法で公告するのかを定めています。一般的には、官報を利用するケースが多いですが、専門家に手続きを依頼する場合は、どの方法が適しているか相談することをおすすめします。
会社成立の年月日 会社設立書類が法務局に提出され、受理された年月日です。
目的 会社の行う業務が列挙されています。現在行っている事業だけでなく、今後行う事業、許認可を得る予定の事業が掲載されていることもあります。目的に定めている事業をしていないことによるペナルティはないので、会社が行う予定の業務はできるだけ盛り込んでおいたほうがいいでしょう。また、取り扱う業種が許認可を要する業種の場合、目的の書き方に関して、専門家と十分な打ち合わせを行い、この目的の書き方で良いかをしっかりと確認するようすることをおすすめします。
単元株式数 定めている場合のみ表示されます。株式の最小取引単位です。
発行可能株式総数 定款で定めた発行可能株式総数の上限です。法務局で手続きをすることにより、上限を上げたり、下げることができます。
発行済株式の総数並びに種類及び数 発行済株式の総数などが記載されます
資本金の額 資本金の額が記載されます。
役員に関する事項 取締役・監査役・代表取締役などの就任・退任が記載され、代表取締役は住所も掲載されます。
取締役会設置に関する事項 取締役会設置に関して記載がされています。
その他 吸収合併や監査役会などの設置がされている場合は言及されています。その他事項なども記載されます。

 

以上のように、会社の設立から現在までの動きが全部事項証明書ではカバーされています。
いわば、会社の履歴書とも言えましょう。

 

 

 

1-4 登記の内容は誰でも見られるのか

前でも少し触れましたが、登記の内容、全部事項証明書など会社の登記事項に関する書類は、会社名や所在地、法人番号が分かれば、法務局で数百円の手数料を支払うことにより第三者でも取得可能です。

 

また、オンラインシステムで、クレジットカードを利用し決済することで、データだけで良い場合は登記事項の写し(銀行の口座開設など手続きには使えません)をPDFで取得することも可能です。また、口座設立など第三者に提出するために登記事項証明書の原本を取得したい場合は、法務局の窓口を利用するか、郵送サービスを利用することとなります。

 

登記情報サービス

https://www1.touki.or.jp/

 

 

2 会社設立の登記の手順

会社設立のために必要な書類は非常に多く、かつ手続きも厳密です。法務局に限らず、官公庁は正確な書類を求めてきますので、ミスのないように作成する必要があります。

 

まず大まかに、登記の手順を並べてみましょう。

 

  1. ①必要書類を作成、また印鑑証明など必要書類を役員に取得、記入してもらう
  2. ②会社の所在地を所轄する法務局へ郵送・窓口持参・オンライン申請のいずれかで登記申請を行う(できるだけ事前相談を行うことをおすすめ)
  3. ③法務局で申請内容を確認してもらう。問題がある部分が存在する場合、補正をする必要がある
  4. ④受理後、補正がなければ登記完了。受理日が会社設立日になる
  5. ⑤登記事項証明書(全部事項証明書)や印鑑証明書を取得(銀行口座の開設など各種手続きで利用)

 

以上の流れとなります。
また、登記の様式集は、下記のサイトに掲載されています。

 

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html

 

順番だけ並べるとシンプルそうですが、実際は様々な書類をミスなく作成し、順番通りに綴らないといけません。そのため、全てのプロセスにおいて、慎重に行う必要があります。(司法書士に依頼していれば、役員の印鑑証明書の取得以外は全て司法書士が行ってくれます)

 

 

 

2-1 会社設立の書類をそろえよう

まず、必要な書類をリストにしました。

書類名 株式会社 合同会社
登記申請書 必要 必要
定款 必要 必要
資本金の払込を証する書面もしくは金融機関の残高証明 必要 必要
発起人決定書(合同会社の場合は、代表社員決定書) 必要 必要
全役員(取締役・監査役)の就任承諾書 必要 必要
全役員の印鑑証明書(市区町村役場で発行手続きを行う。発行後3ヶ月以内) 必要 必要
調査報告書 現物出資が500万円以下の場合必要。なお、現物出資が500万円を超える場合、地方裁判所が選任した検査役の調査が必要で、数十万、数ヶ月がかかるため、あまり使われない なし
財産引継書 現物出資がある場合必要 現物出資がある場合必要
資本金の額の計上に関する証明書 必要に応じて用意 必要に応じて用意
登記事項が記載されたOCR申請用紙・CD-R・DVD-Rもしくはオンライン登記申請 必要 必要(同上)
印鑑届出書 必要 必要
印鑑カード交付申請書 必要 必要
その他 法務局の指示があれば 法務局の指示があれば

 

以上の書類を、

  1. ①登記申請書
  2. ②登録免許税納付用台紙(株式会社は最低15万円より、合同会社は最低6万円より)
  3. ③定款
  4. ④発起人決定書
  5. ⑤就任承諾書
  6. ⑥印鑑証明書
  7. ⑦資本金の払込があったことを称する書面

 

上記の順番通りにホチキス留めしなければいけません。

 

なお、申請書には、補正時に連絡ができる電話番号を記入しておく必要があります。自分で申請する場合は、法務局の指示や手引きなどを参考に、電話番号を記載しておきましょう。
司法書士に依頼している場合は、司法書士の連絡先が記載されます。そのため、申請者が登記の補正に直接対応する必要はありません。

 

また、司法書士に依頼する場合は、司法書士に対する委任状も添付する形となります。委任状は、取締役全員より集める必要があります。具体的には、司法書士から指示がありますので、指示に従ってください。

 

加えて、OCR申請用紙やCD-R(もしくはオンライン申請)と印鑑届書も提出する必要があります。この書類については、ホチキス留めする必要はありません。

 

ここで、特に注意してほしいのが、登録免許税納付台紙に、消印を「絶対にしてはいけない」ということです。

 

消印は法務局が行う手続きです。もし自身で消印を押してしまったり、署名をしてしまうと、無効になる可能性が極めて高いです。

 

通常の契約締結や取引ですと、消印を無意識に押してしまいがちになりますが、登録免許税の納付書類に関しては、「絶対に消印をおさない」という点に注意してください。

 

もしうっかり収入印紙に消印をしてしまった場合は、法務局や印鑑証明販売所に相談し、どうすればいいかをまず聞くようにしましょう。再発行が難しい場合は、税務署へ行き事情を説明し、振込みによる還付をうけることも可能ではあります。

 

ただ、(後で返ってくるにせよ)一時的に二重払いになり、手続きの手間や時間のロスも大きいので、やはりここは専門家・司法書士に任せるのが無難というのが正直なところです。

 

 

 

2-2 登記方法は2種類

登記方法には、書類を全て紙かCD-Rなど現物のデータで行う手続きと、オンライン申請の2種類があります。

 

オンライン申請というと、全ての手続をインターネット上で行えるイメージを持つ方もおられるかもしれません。

 

近年の制度改正で、一人株式会社もしくは一人合同会社の場合は、ほぼ完全にオンラインで手続きをできるようになりました。(流れについて、詳しくは後述します)

 

ただ、一人会社以外の場合は、登記する事項のみをオンラインで申請し、それ以外の各種書類、印紙等は紙ベースで法務局に持参、もしくは郵送する必要があります。

 

そうすると、一人株式会社や一人合同会社でない場合は、オンライン申請を行うメリットとはあるのだろうか、と考えそうになりますが、設立日にこだわりがある場合、オンライン登記であれば、書類を法務局まで持参しなくても、オンライン登記を行った日を設立日とできるというメリットがあります。そのため、日にちにこだわりがある人にとっては、オンライン登記はとても有用でしょう。

 

また、オンラインで手続きの進捗状況がわかることや、電話ではなくシステム上から補正の連絡が来ることなどもメリットとして挙げられます。

 

現状のオンライン申請そのものは課題もありますが、法務省はオンライン申請を行うことを積極的に推進しています。今後、一人株式会社・一人合同会社以外の法人も、今後は全面オンライン登記への移行や、他の書類提出のオンライン化などが進んでいくことも想定されます。

 

 

 

2-3 登記内容の記載・書類作成

登記内容に関する書類作成は、非常に細かく、神経を使う作業といえます。

 

特にありがちなのが、印鑑の押し間違いです。

 

実印を押すべきところに、認印を押してしまったり(専門家から見ると、冗談のように思えますが)、印鑑証明書の陰影と就任承諾書の陰影が異なる、つまり実印ではなく認印を押してしまっているケース(取締役会を設置しない会社の場合は就任承諾書に実印が必要です)、や、会社の代表者印を押すところに、個人の実印を押してしまうというケースは、意外とあるものです。

 

このようなケースでは、必ず実印、つまり印鑑証明書と同じ印鑑を押すよう繰り返し伝えたり、自分自身も押印時にしっかりと確認する必要があるといえましょう。実印を押すことに抵抗感がある人も少なくないでしょうが、会社設立の書類に関しては、「迷ったら実印」が確実です。

 

また、印鑑カード登録証など、会社の代表印を押す書類で、自分の実印を押す部分と法人の代表印を間違えて押すなど、印鑑の押し間違いというのは非常によくあることです。そのため、印鑑を押す書類は法務局で複数枚もらうか、法務局のサイトよりひな形をダウンロードしておいたほうがよいでしょう。

 

また、司法書士に依頼している場合は、司法書士がWord、Excelなどの形式で雛形を作成している場合も多いので、可能であればそのようなデータをもらうと、押し間違いを心配せずにすみます。

 

自分が押す部分の印鑑の間違いであれば、自分で新しい紙への押し直しができますが、取締役など他のメンバーの印鑑などだと、押し直してもらうのにも時間のロスが発生しますので、自分以外の人が押印する書類については、特に気をつけましょう。

 

 

3 現在主流のオンライン登記とは?

全項目でも触れましたが、現在オンライン登記が主流となっているとはいえ、一人株式会社・一人合同会社を除き、全てがオンラインでできるわけではありませんし、一人株式会社・一人合同会社でも、印鑑証明書を郵送するというプロセスは残っています。

 

ただ、今後オンライン登記が主流になっていくことは大いに想定されますし、わざわざOCR用紙を取りに行ったり、CD-R、DVD-Rに登記する内容を焼く手間を考えると、オンライン登記の方が、部分的にせよ、手間は省けますので、オンライン登記の概要はおさえておきましょう。

 

 

 

3-1 オンライン登記のしくみ

まず、これまでの復習も含め、オンライン登記そのものについておさらいします。

 

オンライン登記は、あくまで現在のところ、一人株式会社・一人合同会社以外の場合は、「登記する事項そのものをオンラインで申請でき、手数料をオンラインで納付できるだけであり、他の必要書類は郵送もしくは持参しないといけない」ということは念頭において置く必要があります。

 

また、MACは現在オンライン登記ソフトが対応していません。そのためMACで電子申請を行う場合、BootcampなどのWindowsがインストールできるソフトを入れる必要があります。また、正式に推奨されている方法ではないので、エラーが出る可能性もゼロではありません。

 

そのため、オンライン申請を確実かつ無難に行いたい場合は、Windowsパソコンを利用する必要があります。

 

そして、スマートフォンでは、オンライン手続きを行うことができません。パソコンの暗号鍵など独自のシステムを利用しているため、スマートフォンでは独自のシステムが使えないのです。

 

今後、将来的にはスマホアプリを使った法人設立も・・・という可能性はあるかもしれませんが、法人の登記の場合、パソコンを利用した方法でないと、ファイルの添付などが難しいケースが多く、利用するのも一般の人ではなく司法書士であるケースが多いですので、当面はパソコン、しかもWindowsパソコンに限定したオンライン申請の流れは続いていくでしょう。

 

ただ、オンライン申請制度は、進化をしていないわけではありません。

 

近年の制度改正で、一人株式会社もしくは一人合同会社の場合は、ほぼ完全オンライン(印鑑証明書だけは郵送)で手続きを申請できるようになりました。この改正を踏まえ、一人株式会社・一人合同会社の場合のオンライン申請の流れと、それ以外の会社・法人の場合のオンライン申請の流れについて触れてみましょう。

 

 

 

3-2 一人株式会社・一人合同会社の場合のオンライン申請の流れ

一人株式会社・一人合同会社であれば、登記手続きに関しては、前述の通り、印鑑証明書の郵送以外は全てオンラインで完結できるようになりました。(ただし、株式会社の場合は公証人役場での後述する定款認証は必要のため、会社設立手続の全てがオンライン化されたわけではないことに注意する必要があります。)

 

なお、当記事は平成31年3月(つまり令和元年)に更新された内容です。今後手続きの流れ等が大きく変わることも想定されますので、ぜひ最新の情報を、法務省のホームページで確認いただければと思います。

 

①事前準備を行う

まず、「事前準備の前の事前準備」が必要です。

 

それは、「マイナンバーカード」(当初役所から届く薄い紙の通知カードではありません。プラスチックにICチップの付いた、少し厚めのカードです)の取得です。

 

さらに、マイナンバーカードを取得後、市区町村役場でマイナンバーカードに電子署名を入れてもらうことも必要になるので、忘れないようにしましょう。

 

もし、マイナンバーカードを未取得であれば届くまでに長いと1ヶ月~2ヶ月かかる可能性もあります。そのため、マイナンバーカードを保有しておらず、急ぐ場合は、一人株式会社・一人合同会社向けのオンライン申請ではなく、通常の会社設立の手続を行うことがおすすめです。

 

マイナンバーカードに、市区町村の電子署名を導入してもらったら、今度はICカードリーダーを店舗などで購入する必要があります。

 

現在たいていの機種は、マイナンバーカードに対応しております。非接触型というのが主流ですが、念のため、マイナンバーカード対応か、法務省の電子申請に対応しているかについては、店頭で確認いただくことをおすすめします。

 

上記の「マイナンバーカードに電子署名を入れてもらう」「ICカードリーダーを購入する」手続きを終えたら、事前準備に入ります。

 

上記の法務省のホームページ内の、オンライン申請の事前準備を元に、専用のソフトウェアなどをセットアップしてください。

 

②申請手続きのページをもとに、各種書類の作成・添付を行う

申請手続きのページの最新データをもとに、申請者情報の作成と、電子署名を付与した添付署名情報を、電子申請ソフトに添付します。

 

また、設立を行う本人の印鑑証明書だけは、電子提出ではなく、原本を郵送か持参で法務局に送信する必要があります。

 

ただし、今後制度が改正され、印鑑証明の原本提出についても、提出方法が変わるか、他なんらかの変更がなされる可能性があります。最新情報は法務省のホームページをご確認ください。

 

③電子署名の付与と送信

申請データを登録し、法務局の登記・供託オンラインシステムに送信します。

 

④到達のお知らせ・受付のお知らせ

電子データが法務局に到達すると通知がなされ、またその後法務局より「データを確かに受信しましたよ」と受付のお知らせが来ます。

 

⑤登録免許税の納付

ここの部分はオンライン化で非常に便利になったところです。インターネットバンキング等やペイジー(Pay-easy)などのシステムでATMなどからの納付もできます。

 

⑦補正があれば補正のお知らせ、不備がなければ手続き終了

補正がある場合、補正指示が法務局より届きます。不備がない場合は、手続き完了となります。

 

以上、一人株式会社・一人合同会社の完全オンライン申請の大まかな流れについて書きました。

 

ただ、実際にオンラインで手続きを行おうとすると、事前準備の時点から手間がかかります。結果として専門家に依頼するほうが確実であるといえましょう。

 

 

 

3-3 それ以外の会社の場合のオンライン申請の流れ

一人株式会社・一人合同会社以外の場合は、原則、登記する事項だけをオンラインで申請し、それ以外の付属書類は書面の形式で法務局に郵送か持参をする必要があります。

 

上記の前提を踏まえた上で、オンライン申請の流れを説明します。前述の、一人株式会社・一人合同会社と重複する部分もあるため、説明は簡略化しています。

 

①一人株式会社・一人合同会社のケースと同様、マイナンバーカードを取得し、市区町村役場で、マイナンバーカードに対し電子署名を入れて貰う必要があります。また、ICカードリーダーも必要です。

上記の電子署名を入れたマイナンバーカードを取得後、前述の法務局のページの指示に従い、申請用総合ソフトや関連ソフトを導入します。

②登記・供託オンライン申請システムに登録・ログイン

③申請書を作成

④電子署名を付与し、申請データを送信、それ以外の紙ベースの書類は法務局に郵送か持参。

印鑑届書の余白には申請番号か記述番号を記入。事前に法務局に内容を確認することをおすすめ

⑤到達後、インターネットバンキングやペイジーを用いた方法でATMなどを利用し、登録免許税を納付

⑥補正がある場合は補正指示、問題がなければ登記完了となり、送信日が会社設立日となる

 

このように、オンライン申請のシステムであっても、全てがオンラインで完結するわけではないことは、改めてご理解いただけたかと思います。

 

また、申請用総合ソフトの使用感は非常に独特です。使い慣れた専門家(司法書士)でないと、戸惑う点も多いかと思いますので、できるだけ最初から専門家に依頼することをおすすめします。

 

 

 

3-4 オンライン登記のメリット

このように、オンライン登記については、一人株式会社・一人合同会社であれば、大半の手続きをオンラインで行える、指定した期日に確実に会社を設立できる、法務局まで行く必要がない、登録免許税の納付をオンラインで行えるので、法務局の収入印紙販売所で高額な印紙を現金で購入したり、印紙の貼り間違いや、誤って消印をしてしまうなどのミスを防げる点などのメリットなど、派手ではありませんが、意外とメリットがあります。

 

ただし、定款作成時の、電子定款認証で印紙代4万円が安くなるというような、電子システムやオンラインを用いることによるコスト面でのメリットは、登記についてはありません。電子定款を作成するポイントについては後述します。

 

つまり、オンライン申請を行ったからといって、登録免許税が安くなるわけではありません。その点は、念頭におくとよいでしょう。

 

 

 

3-5 オンライン登記のシステムは、独特の使い勝手

以前の項目でも触れましたが、オンライン登記のシステムは、Windows専用、かつ使い勝手が特殊です。登記の専門家である司法書士であっても、使いにくいという意見があるくらいです。(ただ、仕事で使わざるを得ないので、使っていくうちに慣れるそうですが・・)

 

そのため、普通の人が簡単にオンラインで手続きをできる、とは言い難いのが現状です。

 

また、事前準備やマイナンバーカードの用意、電子署名の取得(費用がかかります)も必要です。以上の点を踏まえ、個人が単発でオンライン申請を利用するのには、少し敷居が高い印象があります。

 

準備、手続きの手間も踏まえると、やはり会社設立の専門家に一任することを、改めておすすめします。

 

 

4 会社設立登記の費用と注意点

次に、会社設立登記にかかる費用及び注意点を説明します。
よく、会社を登記するときに、「十数万かかる」という話があります。この中の多くの部分は、「登録免許税」という税金です。

 

このことを踏まえ、費用等についてより詳しく記載します。

 

 

 

4-1 会社設立登記の費用はいくらかかる?

純粋な会社設立登記の費用は、下記のとおりです。

 

株式会社 15万円か、資本金の額×0.7%の大きい方
合同会社 6万円か、資本金の額×0.7%の大きい方

 

そのため、資本金が300万円の株式会社であれば、15万円の登録免許税、資本金300万円の合同会社の場合であれば6万円の登録免許税を支払うことになります。

 

最低納付額を超えるケースは、株式会社でおおむね2,150万円以上、合同会社の場合で概ね860万円以上になりますので、基本的には、株式会社15万円、合同会社6万円が、多くの新設会社の設立登記費用になることが見込まれます。

 

なお、登録免許税が最低納付額を上回る場合、一部を資本準備金に繰り入れることで、登録免許税の額を減らすことも可能です。

 

また、司法書士の登記手続き費用として、数万円がかかりますが、多くの専門家・司法書士は、会社設立一式という形で業務を受託するケースが多いことや、専門家を通して電子定款認証を利用すると、印紙代の4万円が不要となるため、実質の負担額(司法書士報酬)はもっと少ないケースが多いです。

 

いずれにせよ、専門家にまとめて依頼したほうがかえって安かったり、負担があるとしても数万程度で、必要な手続きやアドバイス、調べる手間を考えると、専門家にまとめておまかせしたほうがよいでしょう。

 

 

 

4-2 会社設立登記の注意点は?

会社設立登記を行う上で、自分で行う場合の注意点、専門家にお願いする場合の注意点、共通の注意点など、複数の注意点が存在します。

 

ここでは、会社設立登記全体にかかる注意点を列挙します。

 

①商号に気をつける

会社の商号が、同じ法務局内に存在すると、登記手続きができません。また、著名な企業に類似した名称を商号とした場合、却下されないことはあっても、著名な企業から、「この名前を使うのはやめてください」と言わたり、場合によっては訴訟される可能性もゼロではありません。

 

そのため、事前の法務局での商号調査は重要です。専門家を通すか、自分自身で、法務局に赴き、確認することで自分の会社と同じ商号、著しく類似した商号の会社が存在しないか注意してください。

 

②CD-R、DVD-Rなどで登記事項を記載する場合は、数字・英字も含め、全て全角・テキストファイル(末尾に.txtと記載されており、メモ帳などで読めるファイル)で記述しなければならない

多くの会社は、英字、数字は半角で記載するケースが多いかと思いますが、法務局に提出するCD-Rのデータは、全て全角であることが求められます。ここも非常に特殊で、実際作成すると違和感を感じるかもしれませんが、「このような形式の手続きだ」と割り切って、ルール通りに記載するようにしてください。

③書類にはできるだけ捨印を押す(押してもらう)

会社設立登記にかかる書類は、一文字のミスであっても、間違いがあると受理してもらえません。そのため、自分や役員が書類に印鑑を押す場合、書類の余白部分に極力捨印を押してもらうようにすることをおすすめします。

捨印が押してあれば、「○○字訂正、○○字加入」のように、間違いを後から手書きで直せますが、捨印がない場合はもう一度書類を再作成し、印鑑を押してもらう必要があり、大きなタイムロスとなります。

④書類の順番に気をつけ、提出書類はコピーを取る

以前にも説明しましたが、法務局に書類を提出する場合は、この順番に並べて、ホチキスでとめるという細かいルールがあります。

順番は、登記申請書→登録免許税納付用台紙→定款→発起人決定書→就任承諾書→印鑑証明書→資本金の払込があったことを称する書面という並べ方で、全てひとまとめにし、ホチキスで留めないといけません。

また、受理された書類は返却されませんので、ホチキス前に順番通り、あらかじめコピーをとっておくことをおすすめします。

⑤オンライン登記とはいえ24時間できるわけではなく、土日祝日は休みかつ、深夜早朝は止まっている、書類提出受付は法務局の開庁時間と同じという点に注意

オンライン登記というと、24時間対応しているイメージがあります。しかし、令和元年7月時点では、オンライン登記システムの利用時間は、月曜から金曜の8時30分から21時までとなります。

さらに、会社設立日に希望がある場合は、法務局の開庁時間である8時30分から17時15分までに送信を完了する必要があり、17時15分以降の申請は、翌開庁日に受理される扱いとなります。

意外と誤解されがちですが、オンライン申請ができるから、土日でも申請ができる、と思われることもあります。しかし、土日祝日、年末年始については申請ができません。(なお、お盆は土日以外普通に可能です)

24時間利用できるわけではない、という点や土日祝日休み、書類受理は法務局の開庁日・時間に準じるということは、念頭に置いて置いたほうがよいでしょう。

⑥登記完了後に受け取る印鑑カードは、法人印(代表者印)と同様、金庫などセキュリティの強い場所に保管する

印鑑証明書を取得できる印鑑カードは、非常に大切なカードですので、厳重に保管してください。

銀行の口座開設、会社名義の不動産売買、各種重要な取引などで、法人の印鑑証明を求められることがあり、法務局で法人の印鑑証明書を発行してもらうには、印鑑カードが必要です。

⑦払込を証する書面のミスに注意

払込を証する書面の具体例については、法務局のホームページをご参照いただきたいのですが、払込を証する書面は非常にミスが多く起こりがちです。

よくあるミスや注意点を列挙します。

  • 資本金の払込を示す通帳のコピーは発起人名義(複数の場合は誰か一人のもの)
  • 資本金を振り込んでもらう日付は、定款作成日以降であり、かつ必ず出資者から、出資者の名義で振り込んで貰う必要がある。自分自身で出資をする場合、他の口座から自分の口座に、自分の名義で振り込むという手続きが必要
  • 資本金の払込が分かる場所を蛍光ペンで明示する必要がある
  • 残高や他の取引部分については、プライバシーに関わるので、マジックなどで塗りつぶしても良い
  • インターネットバンキングの場合は、通帳が存在しないので、入出金のPDFや、資本金の入出金が印刷され、金融機関・名義人・支店名・口座名がわかるものを印刷すればよい
  • 払込があったことを証する書面と通帳のコピーの表紙・裏表紙・振込ページを重ね、2ヶ所をホチキス留めし全てのページの間に契印を押す。各コピー間の契印は意外と忘れやすいので注意。

 

いずれにせよ、払い込みを証する書面については、細かい点が多いので、(特に日にち)注意して振り込んでもらったほうがいいでしょう。

 

 

 

4-3 会社設立登記は専門家(司法書士)にお願いするべき?

以上、登記の流れについて多くのことを説明いたしました。

 

流れや手続きの多さを踏まえ、自分で会社設立の登記を行うことが、いかに手間がかかり、大変かということがおわかりいただけたかと思います。

 

改めて強調したいのは、この会社設立の登記手続きは、「あくまで会社設立及び設立後の手続きにおいて、全体の中における手続きの一部でしかない」ということです。

 

この他にも、会社の定款作成、公証人役場での定款認証、税務署、都道府県税事務所、市町村への届出、年金事務所、労働基準監督署、ハローワークなどへの届出が必要になります。

 

これをもし自分でやろうとした場合、どれだけの時間を費やすことになるのか・・・。

 

ですので、他の手続きも含めた全体の事務量を考えても、最初から専門家に一連の手続きを依頼し、法人の登記手続きについては司法書士・もしくは専門家経由で司法書士に依頼したほうが、圧倒的にスムースに手続きを進めることができるでしょう。

 

また、会社設立手続きは、はじめての人には難解かつ複雑で、変にやりがいを感じてしまう人もいるようです。しかし、会社設立手続きを自分でやったところで、評価されるわけではありません。

 

加えて、顧客獲得やよいサービスの提供など、起業家が本来行うべき仕事の方がおろそかになってしまう可能性もあります。また会社設立手続きを自分ですることで、「仕事をしたつもり」になってしまいます。

 

起業家・会社設立を行う人の仕事、本来やるべきことは、書類作りの手続きではなく、自身のビジネスをきちんと伸ばしていくことです。

 

その点を踏まえても、最初から専門家に依頼し、自分は商品・サービス・プロダクトづくりなど本来やるべき仕事に注力するほうが、望ましいのでしょう。

 

 

5 電子定款作成とは

会社設立には会社の経営や運営に関わる基本的な規則等が記載された定款の作成・認証が必須です。定款の作成・認証では、紙で作成する定款とPDFで作成し電子署名付きの電子定款があります。電子定款で手続きを進める事でのメリットは紙で手続きする場合に必要な収入印紙4万円分が不要になります。一方デメリットは定款を電子化するツールの購入とインストールなどの準備が必要な事です。電子定款を作成するという事だけを考えると、ツールの購入費用と同程度ないしは購入費用の場合のほうが高くなる可能性もあります。
ぜひ電子定款を作成するポイントをおさえて、正しくやり直しがない電子定款作成を実施しましょう。

 

定款に関しては作成と認証を得る事が必要になります。認証は会社の本店所在地を管轄する公証人役場で認証を得る手続きが必要です。この認証手続きにおいて定款を書面で提出するか、PDF化された定款で提出するという2種類の提出方法があります。このPDF化された定款を電子定款といいます。どちらで提出するにせよまずは『会社の憲法』とも呼ばれる定款を作成する必要があります。

 

 

 

5-1 定款作成で押さえるべきポイント

定款の認証作業の前提は正しい定款作成がまずは必須になります。定款に記載する事項は以下の3つがあります。

 

1)絶対的記載事項

必ず定款に記載する事が求められる6項目をいいます。この絶対的記載事項の記載がないと不備になり、認証を受ける事ができません。

  1. ①商号…会社名称を記載します。
  2. ②目的…会社の経営の目的となる事業内容を記載します。
  3. ③本店所在地
  4. ④設立に際して出される財産の価額またはその最低額…設立時の出資金額の最低額を記載します。ここでいう最低額というのは実際に出資の履行の最低額をいいます。
  5. ⑤発起人の氏名または名称及び住所…会社設立を行う人や定款を最初に作成する人を発起人(ほっきにん)といいます。発起人は株式会社設立後には株主となります。
  6. ⑥発行可能株式総数…その会社が発行できる株式の上限を示す株式総数を規定します。

 

2)相対的記載事項

記載がなくても定款自体は有効ですが、定款に記載がない場合には効力が認められない事項をいいます。以下には相対的自裁事項の一部ですが、主たる事項を説明します。

 

  1. ①株式の譲渡制限…株式の全てまたは一部の譲渡を行う際には会社の承認を必要とする事を定めることをいいます。
  2. ②取得請求権株式…株主の所有する株式について買い取り=取得を会社に請求する株式に関して定める事をいいます。
  3. ③取得条項付株式…会社が株式について取得権を有する株式について定める事をいいます。
  4. ④基準日…株主が行使できる権利に対してその内容と基準日の公告が必要ですが、定款に定めを設ける事で公告は不要になります。
  5. ⑤各機関の設置…代表取締役、委員会、取締役会、会計参与、監査役、監査役会などを設置する場合は定款で定める必要があります。また取締役の任期の短縮や取締役や監査役の伸長も定款で定める事ができます。
  6. ⑥公告方法…公告方法は以下3つの中から選択が可能です。定款で定めがない場合、官報に掲載する事になります。

 

  1. 官報に掲載する方法
  2. 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
  3. 電子公告

 

3)任意的記載事項

絶対的記載事項にも相対的記載事項にも該当事項がない事項を任意的記載事項といいます。基本的には公序良俗や社会的規範に逸脱していなければ、どのような事項でも定款に記載する事はできます。ただし、定款に記載があっても内容が明確になるものの、定款の効力には影響がありません。また定款に記載した事項の変更は任意的記載事項であっても、株主総会の特別決議による決議が必要です。

 

 

 

5-2 電子化必要事項

定款の作成が完了したら、電子定款を作成します。電子定款の作成は電子証明書をつけた定款のPDF化が必要になります。電子定款に必要なものとその準備について説明します。
電子定款に必要なものは以下になります。

 

  1. ①マイナンバーカード
  2. ②電子証明書手続き
  3. ③ICカードリーダー

 

それぞれについて以下に説明をしていきます。

①マイナンバーカード

マイナンバー制度開始以前は住民基本台帳カードが必要でしたが、現在はマイナンバーカードに換わっています。ここで必要になるのはプラスチック製ICカードになり、マイナンバーが記載された紙でありませんので注意してください。マイナンバーカードを未取得の場合、交付申請を行い市区町村での受取が必要です。マイナンバーカードの交付申請から市区町村による交付準備ができたことを知らせる交付通知書を発行するまで、概ね1か月程度の期間が必要です。(交付申請に不備がある場合にはさらに期間が必要になります。)マイナンバーカードを受け取っていない場合でかつ会社設立を急ぐ場合は、電子定款をやめる事も検討が必要です。

 

②電子証明書利用手続き

マイナンバーカードの標準搭載には『電子証明書』がありますが、利用するためには市区町村の自治体窓口での手続きが必要です。手続きを行うためにはマイナンバーカードと印鑑が必要です。

 

なお、手続きに費用は必要ありません。マイナンバーカードを受け取った際にそのまま手続きが可能ですので、実施する事をお勧めします。電子証明書の発行手続きと暗証番号の設定をすれば、電子証明書が記録されたマイナンバーカードを受け取る事ができます。なお電子証明書には有効期限があり、発行の日から5回目の誕生日まで有効になります。また署名用電子証明書は、住所や氏名や性別を変更すると無効になります。
電子証明書が記録されたマイナンバーカードで実施できる『公的個人認証』は電子定款作成においては不要です。混乱しないようにしましょう。

 

③ICカードリーダライタ

マイナンバーカードを読み込むことができるICカードリーダライタが必要です。注意すべき点は2点あります。1つはマイナンバーカードの公的個人認証サービスポータルサイトに対応するICカードリーダライタ*が必要になる事です。もう1つは電子証明書を作成しようとするパソコンのOS(Windows10 64bit/macOS 10.12 Sierraなど)で利用できるICカードリーダライタが必要になります。
*対応するICカードリーダライタは地方公共団体情報システム機構が提供する公的個人認証サービスのポータルサイトで確認する事ができます。
公的個人認証サービスポータルサイトはこちら

 

ここまで確認して自分でやるのは面倒だと感じた方も多いかもしれません。電子定款を専門家へ依頼する事も当然可能です。しかも費用1件作成を行う費用は5万円程度になるため、電子定款を自分で作成するためにICカードリーダライタや電子定款作成用のソフトをインストールする費用が2万円かかるため、自ら作成しても専門家に依頼しても数万円の差しか発生しないというのが実態です。

 

 

6 定款の電子化手順

電子証明書が記載されたマイナンバーカードとICカードリーダライタが用意出来たら、電子定款の作成に入ります。なお定款を電子化する前に作成済みの定款を公証役場で事前確認を行う事をお勧めします。電子化には少なからず手間が発生しますが、定款内容に間違いがある場合にはやり直しが必要となります。事前確認は所轄の公証役場や法務局へ電話で問い合わせを行ったうえで、メール等の指定された方法で確認を依頼する定款を送る事で対応をしてもらえます。

 

以下の日本公証人連合会のwebページに問い合わせができる公証役場一覧がリスト化されています。
日本公証人連合会ポータルサイトはこちら

 

 

 

6-1 電子化に必要なソフトのインストール

①Adobeのインストール

電子定款作成には電子署名を付与してからのPDF化が必須になります。電子署名とはPDFファイルなどの電子文章に電子的な証を付与する事で、書面に捺印やサインをする事と同じ効果をもちます。この電子署名を行うソフトは『Adobe Acrobat』(以下はAdobeとよびます)が代表的でかつ一般的に使用されているため、今回はAdobeの使用を説明します。
具体的なAdobeのインストールについては、Adobeが提供するヘルプページを確認してください。
Adobe ダウンロードとインストールのヘルプサイトはこちら

 

なお、PDF化するだけなら無償サービスでもできますが、電子定款に必要な電子署名付きのPDF化については有償になります。プランと料金はAdobeのWebサイトで確認ができます。
ADOBE ACROBAT DC PLANS & PRICING サイトはこちら

 

②ICカードリーダライタのインストール

どのICカードリーダライタを選択するかによってインストール方法は異なってきます。先述した公的個人認証サービスのポータルサイトでメーカー別のインストール方法を紹介しています。参考にしてください。
公的個人認証サービスポータルサイトはこちら

 

 

 

6-2 定款の電子化と定款受取まで

電子定款の作成は以下の手順で行います。

 

  1. ①事前確認を済ませた定款を電子署名が行えるAdobeを使用してPDFに変換します。
  2. ②公的個人認証サービス対応ICカードリーダライタで、電子証明書付き毎カードナンバーを読み込みます。
    公的個人認証サービスを利用するには、利用者クライアントソフトのインストールが必要です。利用者クライアントソフトのインストールならびに利用方法については先述の公的個人認証サービスポータルサイトの『パソコンのセットアップ』で確認できます。
    公的個人認証サービスポータルサイト パソコンのセットアップはこちら
  3. ③PDF署名プラグインソフトを使用し、保存した電子証明書を電子定款*に埋めこみし、電子定款が完成します。
  4. ④電子定款を所轄の公証人役場へ送信を行います。
    送信は『登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと』のwebサイトから実施します。

 

具体的にはトップページに『申請者情報登録』ボタンから申請者情報入力から実施していき、申請者登録を完了させます。申請者情報入力事項は以下になります。

 

  1. あ.申請者ID(任意で決定し入力)
  2. い.パスワード(任意で決定し入力)
  3. う.氏名・フリガナ
  4. え.郵便番号
  5. お.住所・フリガナ
  6. か.職業
  7. き.連絡先・電話番号
  8. く.連絡先・FAX番号
  9. け.メールアドレス
  10. こ.メールの受信内容選択
  11. さ.質問と答え

 

登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと トップページはこちら

 

⑤所轄の公証人役場にて定款の受取**を行います。

 

*PDF作成ソフトに組みこむ事で電子署名をするためのソフトウェアになります。この法務省の『登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと』のサイトからPDF署名プラグインのインストールならびにPDF署名プラグイン操作説明書のダウンロードが可能です。
登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと はこちら

 

**定款の受取に必要なものは以下7つになります。事前に訪問日時を設定の上、必要なものを持参しないと、手続きが完了しないため注意してください。

  1. ①外部記憶媒体(USBメモリなど)
  2. ②発起人などの全員の印鑑証明書
  3. ③電子署名をした発起人以外の委任状
  4. ④発起人の身分証明書
  5. ⑤発起人の印鑑
  6. ⑥認証手数料5万円
  7. ⑦印刷された電子定款2通

 

 

7 まとめ

以上、会社設立登記や電子定款を作成するポイントについて、全体の流れを説明し、オンライン申請、また最新の動向として、一人株式会社・一人合同会社の場合、大半の手続きがオンラインでできるように仕組みが改正されたことなどのトピックを取り上げました。

 

このように、会社設立の登記に関する制度は、年々変化はしていきます。ただ、一人の人が会社を設立する手続きに携わるというのは、大企業の総務・法務など特殊なポジションでもない限り、一生に1回あるかくらいでしょう。事業が回り始め、複数の会社を設立することになった場合でも、自分で設立手続きをする時間はなくなる可能性が高いでしょう。結局どこかで専門家に依頼することになるため、それならば最初から自分で行おうとせず、会社設立の手続を専門家に依頼し、自分は事業の方に集中したほうが生産的な場合もあります。

 

また書面での定款認証を受ける場合でも所轄の公証役場で実施することを考えると、手間は電子定款を作成する作業が発生する分、電子定款での提出をすると手間が多いようにも思われます。ただし、冒頭でも記載しましたが収入印紙4万円分を節約できます。会社経営では経費節約の精神は非常に重要です。また電子署名を行うインフラであるAdobeの設定環境を持つ事や、実際に実施した経験などは今後も契約締結や届出時に必要となるケースも充分想定できるため無駄な知識とはなりません。

 

一方で外部の行政書士に作成の委託や有償のWebでの電子定款作成ツールも充実してきています。会社開設時には資金もですが、時間も限られています。まず定款作成にかけられる時間と委託などでかかる費用を考慮し、どの方法で定款の作成をするのかを選択する事が必要になります。

 

ぜひ、専門家の力を借りられる部分は遠慮なく活用して、ぜひ起業において、大切な部分に集中できるようにすることをおすすめします。

 

 


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