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会社設立後に売上ゼロでも税金はかかる?

会社設立時の懸案事項の1つは税金です。税金は会社の利益に比例するものもありますが、中には売上ゼロの場合でもかかることがあるため注意も必要です。

 

この記事では、会社にかかる税金の種類と、売上ゼロの場合にかかる税金を解説します。税金はできれば目を背けたくなる話題ですが、正しい知識を取り入れることが会社を守ることに繋がります。経営者や会社設立を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

1 会社にかかる税金の種類

会社にかかる税金の種類

 

会社には様々な状況に対して税金がかかります。例えば、自社商品・サービスを売却した時、設備や物品を購入及び保有した時、また契約を締結した時など、あらゆる状況に税金はついて回ります。すなわち、会社を設立した際には売上高に関わらず何らかの税金が毎年発生します。

 

例えば、自社の商品やサービスを販売するためには、商品や部品の仕入・製作・開発や、営業活動などの諸々の経費による出費が発生します。これらの入出金の1年度分を取りまとめる作業が決算です。

 

会社にかかる税金の種類

 

決算では会社の売上や経費などの1年度分のお金にまつわるあらゆることを集計し、1年度分の所得額(≒利益額)を導き出します。この所得額を元にして算出するものが「法人税」などと呼ばれる税金です。

 

なお、法人税には、「地方法人税」「法人事業税」「法人住民税」の種類があります。その種類によって管轄が異なります。法人税と地方法人税の場合、国(税務署)が管轄しており、税務署に対しては決算時には更に、1年度分の「消費税」も申告・納付を行うことになります。

 

一方、法人事業税と法人住民税は、地方自治体(都道府県と市区町村)の管轄となります。法人事業税と法人住民税は更に、都道府県に納めるものと市区町村に納めるものとに分かれます。

 

法人税等以外を見ていきましょう。モノやサービスを購入した際には消費税が発生しますが、消費税の他にも、不動産などの高額なものを購入または保有している場合には特有の税金が発生します。

 

例えば、不動産(土地や家屋)の購入時にかかる税金は「不動産取得税」です。また、不動産を保有している場合には毎年「固定資産税」がかかります。

 

不動産以外にも購入品が10万円以上するような高額なもの(設備)には、「償却資産税」(固定資産税の設備版)が発生します。このような設備は、長年に渡って会社の営業活動に影響を与えるものとされ、原則として保有して使用し続ける限り税金(償却資産税)の対象になります。

 

また、高額な購入品の中には自動車も含まれますが、自動車の場合は固定資産税(償却資産税)とは別カテゴリーの税金が発生します。

 

それは、自動車の場合は自動車税、あるいは軽自動車税と呼ぶもので、固定資産税と同じように保有し続ける限り毎年発生する税金です。すなわち、設備・不動産・自動車などの資産は、その種類に応じて、固定資産税、償却資産税、あるいは自動車税(軽自動車税)のいずれかの対象になります。

 

さて、重要な取引の際には契約書を取り交わすことになります。この契約書に対しては「印紙税」という税金が発生します。

 

印紙税は収入印紙という形でそれらの書類(証憑)に貼り付けて消印をすることによって公的な効力を発揮するものです。印紙税は契約書の他にも、領収書や発注書などの書類にかかる場合があります。

 

さらに、役員や従業員などの個人の「所得税」や「住民税」も会社が深く関わることになる税金です。所得税や住民税は個人の給料に対してかかる税金ですが、それらの税金は会社が給料から天引きをするものです。

 

天引きとは、後日会社が個人に代わって納付を行うために預り金としておく仕組みです。この仕組を正しく理解しておかないと、預り金なのに使い込んでしまったり、会社のお金であると錯覚してしまったりして資金繰りに支障をきたす場合があります。

 

また、税金ではありませんが、個人の給料からはその個人の「社会保険料」の天引きも行います。社会保険料は会社と折半するものですが、この社会保険料の管理と納付は税金と同じくらいか、あるいは税金以上に会社に負担を強いるものとなりますので注意してください。

 

 

2 売上ゼロでもかかる税金とは

売上ゼロでもかかる税金とは

 

会社の税金には所得額(≒利益額)が基準となる法人税等と、売上ゼロの場合にも発生するものがあります。詳しく確認してみましょう。

 

 

2-1 均等割

法人税等は大きく「法人税」「地方法人税」「法人事業税」「法人住民税」の4つに分かれます。初めの「法人税」は、資本金額と所得額を基準にして税額を算出します。例えば、資本金額1億円を超える場合の法人税率は23.2%です。資本金額1億円以下の場合は、次に所得額800万円を基準として法人税率が設けられています。800万円を超えている金額には23.2%、800万円以下は15%が、それぞれの金額に対する法人税率となります。

 

なお、税率は年度によって変更する場合があるので注意も必要です。以後の文中における税率は、事業年度が令和2年3月31日までに開始する場合となります。

 

一方、地方法人税の税額は法人税が基準となり、法人税の10.3%がその税額です。

 

そして、法人事業税の税額は所得額の400万円と800万円という2つの金額を基準にして求めます。2つの基準金額によってそれぞれ税率が異なり、その税率は都道府県によって異なります。

 

例えば、東京都の場合の税率は、800万円超は7.0%、400万円超かつ800万円以下は5.3%、400万円以下は3.5%と定まっています。

 

最後に、「法人住民税」は都道府県または市区町村を管轄とするもので、更に都道府県か市区町村かによって税の種類が細かく分かれています。例えば、県の場合には「法人県民税」、市の場合には「法人市民税」となります。

 

「法人県民税」「法人市民税」は、さらに「法人税割」と「均等割」という2種類に分かれます。法人税割とは、その名の通り法人税を基準として求めるものです。法人県民税の法人税割は法人税の1.0%となりますが、県によって一定の法人税額を超えた場合や資本金額によって、税率1.8%とする「超過課税」としているところもあります。

 

一方、法人市民税の法人税割の税率は市によって異なります。また、法人県民税と同様に、中には超過課税としている自治体もあります。

 

そして、法人税割ではない方の均等割が売上ゼロでもかかる税金となります。法人県民税の均等割額は資本金額によって定まっており、例えば資本金額が1千万円超から1億円以下の場合は一律5万円、1千万円以下の場合は一律2万円となります。

 

法人市民税の均等割額は資本金額と従業員数が基準となります。例えば資本金額が1千万円以下の場合で従業員数が50人を超える場合は一律12万円、同資本金額で従業員数が50人以下の場合は一律5万円となります。

 

先行投資などによる戦略的赤字ではない資金繰りが厳しい状況でも、この法人住民税の均等割については納付しなければいけませんので注意してください。

 

 

2-2 消費税

消費税は日々の入出金時に発生する税金ですが、最終的に決算時に日々の出金のうちの消費税、または入金のうちの消費税を集計して、納める税額を求めます。

 

そのため、売上ゼロの場合には納める消費税も原則としてゼロとなりますが、売上ゼロの場合でも消費税を納めなければならない状況や、所得がゼロ(赤字)の場合でも納めなければいけない状況があります。

 

消費税には2種類あります。1つは、自社商品やサービスを売却したときに発生する「仮受消費税」です。こちらは売却先から預かった消費税という扱いとなります。もう1つは、仕入や経費の支払いを行ったときに発生する「仮払消費税」です。こちらは支払った先に消費税を預けているという扱いになります。

 

消費税とは、単純化すると仮受消費税から仮払消費税を差し引いた分が納める金額となります。実際には他の方法もありますが、いずれにしても、売上がゼロの場合は原則として消費税は発生しません。

 

しかし、所得がゼロまたは赤字の場合であっても、仮受消費税が仮払消費税を上回る状況となれば消費税を納めることになります。

 

一方、消費税や法人税等には「中間予納」という制度があります。これは、基本的に前年度の半分の消費税または法人税等を今年度の期中に支払う制度です。つまり、前年度に消費税を納付している場合、今年度の売上が例えゼロであっても、期中に納付しなければなりません。

 

この中間予納は任意の制度ではなく、法律によって定められているものです。中間予納は税務署から通知(納付書)が届きますので、通知が届いた場合には納付をしないと延滞税の対象となるので注意してください。

 

 

2-3 資産にかかる税金

10万円以上の高額の購入品は原則として「資産」となります。売上がゼロであっても、資産を保有している限り(廃棄をしない限り)、資産の種類が設備(機械装置や什器備品等)か、不動産か、自動車かによって、それぞれ償却資産税、固定資産税、自動車税(軽自動車税)が毎年かかります。

 

ただし、償却資産税の場合「課税標準額」が150万円未満の場合には課税されません。課税標準額とはその年度におけるその設備の価値というような意味合いの価額で、設備の種類によって課税標準額を求める数式が定まっています。

 

その課税標準額の合計が150万円未満の場合には償却資産税は発生しません。ただし、例え税金が発生しなくとも資産を取得した際には、そして保有し続けている限りは、この税金の管轄である市区町村に対して資産の申告を行わなければいけませんので注意してください。

 

不動産保有時に発生する固定資産税には、都市部では更に「都市計画税」という税金が加算されます。また、不動産購入時には不動産取得税が発生します。

 

自動車(軽自動車含む)の場合も、毎年の自動車税の他に、購入時には「環境性能割」という税金が発生します。これは旧来の自動車取得税にあたるもので、取得年の(軽)自動車税に上乗せ課税されるものです。

 

 

2-4 印紙税

契約書や発注書、領収書に貼り付けることになる収入印紙=印紙税も、売上ゼロであっても発生する税金です。印紙税の金額は貼り付ける書類の種類(契約書か、何に関する契約書かなど)や金額によって、第1号文書から第20号文書まで細かく分かれています。

 

収入印紙の貼り付けは税務調査時の格好の調査対象です。貼らなくても良いと考えて貼らずにいた書類に、税務署から「貼る必要がある」と指摘を受けた場合には、過怠税を取られることになります。収入印紙の貼り付け有無と金額については税理士に確認することが大切です。

 

 

3 消費税の免税期間と免税期間を長くするコツ

消費税の免税期間と免税期間を長くするコツ

 

会社の営業活動は消費されるものを購入、または売却することによって行われますので、消費税は会社にとって切っても切り離せない税金です。会社は消費税を、お金を支払う場面と入ってくる場面の2つの側面に分けて会計処理を行います。

 

消費税を考える上では、お金を支払う側(買う側)を消費者、お金を受け取る側(売る側)を事業者と呼びます。消費税は消費者側が負担をする税金です。事業者側は、消費者側からの入金の中に含まれている消費税を預かり、後に消費者に代わってまとめて納付する形となります。

 

消費税は、消費者が消費税(を含む商品やサービスなどの代金)を支払うまでの間の過程においても発生します。例えば、消費者が製品を購入するまでの間には、製造部品の仕入れや卸業者への支払い、小売業者への支払い時などの消費税を含む取引があります。

 

上記のように局面ごとに発生する消費税ですが、消費税は局面ごとに転嫁をされて、最終的に消費者のみが負担をする形となります。二重課税、三重課税とならないような仕組みとなっているということです。

 

現在の消費税の標準税率は10%で、このうち2.2%は地方消費税という扱いとなります。新聞や持ち帰りの飲食物などは軽減税率の対象となって税率8%です。軽減税率8%のうちの地方消費税は1.76%となります。

 

消費税は地方消費税をうちに含んでいるため、日々の営業活動(売買取引)時に地方消費税のことを特に意識する必要はありません。決算時に、消費税と地方消費税を分ける処理を行うことになります。

 

さて、消費税が発生するのはお金を支払ったとき、または受け取ったときですが、会社の場合は入出金があったときでも消費税を計上しないケースや、入出金以前でも消費税を計上するケースがあります。

 

それは、会社が「発生主義」という取引の成立や取引内容のタイミングを基準として売上や経費を計上する会計方式を用いていることが理由です。

 

例えば、実際にお金を支払う(またはお金が入ってくる)タイミングが来期であっても、その取引の成立が今期中の場合、今期中に消費税を含む売上や経費の計上を行わなければなりません。

 

すなわち、その取引は今期の決算に含まれることになり、今期中の消費税として処理をする必要があります。このケースにおいて仮に今期中の消費税としなかった場合は、税務調査において指摘をされ、修正申告や追徴課税の対象となるリスクが高まります。

 

また、例えばコンサルタント料の今期と来期の2期分を今期中に一括で支払った場合、今年のコンサルタント料(科目としては外注費または支払手数料)と消費税の計上は今期分だけとなります。来期分は、来期中に改めて経費と消費税を計上します。

 

なお、消費税は「殆どの」取引に対して発生すると言いましたが、一部の取引には消費税はかかりません。例えば、土地に関する取引は「非課税」扱いとなります。

 

土地が非課税となる理由は、「土地は消費するようなものではない」という考えに基づいています。土地の取引では、譲渡だけではなく貸付においても消費税はかかりません。非課税となる取引には他にも以下ようなケースが挙げられます。

 

  • ・国債や株券などの有価証券などの譲渡
  • ・小切手や約束手形、仮想通貨などの支払手段の譲渡
  • ・利子、信託報酬、保険料などを対価とする役務の提供など
  • ・切手や印紙などの譲渡
  • ・商品券やプリペイドカードなどの譲渡
  • ・登記や免許、検査など公的手続きにかかる事務の役務の提供
  • ・外国為替業務に係る役務の提供
  • ・健康保険や労災保険など社会保険医療の給付など
  • ・介護保険サービスの提供など
  • ・社会福祉事業などによるサービス提供など
  • ・助産サービスの提供など
  • ・火葬や埋葬などの役務の提供
  • ・身体障害者用物品の譲渡、貸付けなど
  • ・授業料や教科書など学校教育に関する費用
  • ・住宅の貸付け

 

また、消費税は日本国内における税金ですので、外国間で行う取引は消費税非対象となります。ただし、外国からの輸入品に関しては、輸入時に消費税が発生します。

 

さて、次に消費税の「課税事業者」を見ていきます。課税事業者とは、消費税を納税する義務を有する会社(及び個人事業主)のことです。会社は須らく課税事業者に該当するという訳ではありません。課税事業者、すなわち消費税の納税の義務を負う会社となるには条件があります。

 

その条件とは、ある課税期間(事業年度)の基準期間(前前事業年度)の課税売上高が1,000万円を超える場合です。ただし、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間(原則として前事業年度開始の日以後6ヶ月間)が1,000万円を超えた場合、会社はその課税期間において課税事業者となります。

 

もし会社が上記の課税事業者となる条件を満たさない場合、消費税の納税義務を免除される「免税事業者」となります。逆にいえば免税事業者となるための条件は、課税事業者となる条件を満たさないことと言えます。ただし、免税事業者があえて課税事業者を選択することも可能です。

 

消費税の納税額は原則として、預かった消費税から支払った消費税を引く「原則課税方式」によって求めます。原則課税方式以外にも条件を満たすことで「簡易課税方式」と呼ばれる方式を選択することも可能です。

 

原則課税方式とは、売上などによって入金されたお金に含まれている消費税を抜き出し、そして仕入や経費などによって支払ったお金に含まれている消費税を差し引くことによって求める方式です。

 

ただし、支払ったお金の中には先に見たように非課税となる取引が含まれていることがあります。決算時には預かった消費税、支払った消費税、そして非課税分を集計して、最終的に納税額を求めることになります。納税額を求めるまでには少なくない事務作業、会計処理を要することになります。

 

もう一つの消費税の計算方式である簡易課税方式で求める納税額は、課税売上高に業種ごとに定められた「みなし仕入率」をかけることにより求めます。

 

・消費税納税額 = (課税売上高 * 消費税率) – (課税売上高 * 消費税率 * みなし仕入率)

 

業種ごとのみなし仕入率は次の通りです。

 

  • ・第1種事業(卸売業) 90%
  • ・第2種事業(小売業、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業) 80%
  • ・第3種事業(製造業等、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く) 70%
  • ・第4種事業(その他の事業) 60%
  • ・第5種事業(サービス業等 )50%
  • ・第6種事業(不動産業) 40%

 

簡易課税方式は、支払った消費税を集計したり非課税取引を意識したりする必要がないことから、原則課税方式よりも簡易的な納税額の計算方式といえます。ただし、簡易課税方式とするには、基準期間の課税売上高が5,000万円以下であり、かつ税務署に届出をすることが条件となります。

 

簡易課税方式は一見すると簡易的な計算方式であり、通常は事務作業の軽減というメリットを得られますが、デメリットもあります。例えば、業種ごとの課税売上高を区別しておかないと、最も低いみなし仕入率が適用されることになります。また、業種ごとに課税売上高を出す場合、原則課税方式よりも煩雑な事務作業となる場合があり得ることもデメリットです。

 

原則課税方式と簡易課税方式の計算方式が異なるということは、同取引・同入出金額であっても納税額が異なる、ということを意味します。簡易課税方式は、みなし仕入率の割合が高い卸売業や小売業にとって原則課税方式よりも一般的には低納税額となる、という特徴を持ちます。

 

さて、ここまで消費税の一般的な特徴を見てきました。次の章では、消費税の会社設立時の大きな特徴である「免税期間」に焦点をあてて見ていきましょう。

 

・消費税の免税期間と免税期間を長くするコツ

 

会社設立時に免税事業者となるためには、会社設立時の資本金を1,000万円未満とする必要があります。もし会社設立時の資本金が1,000万円以上である場合、その会社は設立時点で課税事業者となります。

 

資本金とは、貸借対照表の自己資本の部の中の一科目です。自己資本とはその名の通り返済の必要のない自己調達の資本を指すため、会社の安定性を図るための指標となります。

 

そのため、通常であれば資本金は多ければ多いほど良いことになりますが、会社設立後1年目(1期目)を免税事業者として迎えるためには、資本金を1,000万未満に抑える必要があることに注意してください。

 

参考までに、会社の安定性を高めるべく自己資本比率を高くし、かつ資本金を抑えるための方法を紹介しましょう。その方法とは、資本金に計上するのは1,000万円未満とし、残りを「資本準備金」として計上することです。

 

資本準備金とは、資本金と同じ自己資本の部に属する科目のことで、資本金の払込額の2分の1を上限に計上することができます。すなわち、自己調達資金が1900万円ある場合は、資本金と資本準備金にそれぞれ950万円計上することで、会社設立直後に課税事業者になることを避けることができます。

 

消費税の免税期間の話しに戻ります。上記では、消費税の課税事業者となるためには、基準期間(前前事業年度)の課税売上高が1,000万円以上であることを言いましたが、この仕組みはかつて、会社設立後の2年間は「前前事業年度」に該当する期間がないため、資本金1,000万円未満の会社は設立後の2年間は自動的に免税業者になることを意味していました。

 

しかし、平成25年に施行された消費税法において、資本金1,000万円未満の場合に消費税が免除となるのは原則として2年間ではなく1期目のみとするという条項が加わったため、現在は原則として自動的に免税業者となるのは会社設立後の1期目のみとなっています。

 

会社にかかる税金の種類

 

一方、次の3つの方法により2期目も免税事業者となることができます。1つ目の方法は、特定期間の、すなわち前事業年度開始の日以後6ヶ月間の課税売上高を1,000万円未満とすることです。この条件を満たすことで2期目も免税事業者となることができます。

 

2つ目は、特定期間の給与等支払額の合計額を1,000万円以下とすることです。1つ目の課税売上高を基準とする方法は調整しにくいもので、また恣意的な売上高の操作はそもそも認められていません。

 

その点、2つ目の方法である給与等支払額の基準は、より調整しやすいものとなります。給与の一部を特定期間以降の賞与に回したり、会社設立後の従業員数を計画したりすることで調整する余地があります。

 

3つ目は、会社設立時期を調整する方法です。前事業年度(=1期目)が7ヶ月以下である場合、その期間は特定期間に該当しないという取り決めに注目した方法です。

 

例として決算月を3月とする会社の場合を考えてみましょう。この会社の設立年月日を9月以降とすることで、1期目は7ヶ月以下となります。この場合、特定期間に該当する期間がないため、2期目も免税事業者として迎えることができます。

 

3つ目の方法を採ることで、1つ目、2つ目の方法を考える必要が無くなります。ただし、3つ目の方法における正確な免税期間は2年間ではなく、1年7ヶ月が最高の免税期間ということになります。

 

なお、免税事業者となる場合でも課税事業者を選択した方が良いケースがあります。例えば、会社を設立したばかりの頃は設備投資を行い、消費税も多額を支払う場合があります。

 

課税事業者となり消費税を一旦納付したとしても、支払った消費税額が預かった消費税よりも多い場合には、後に納めすぎた分が還付されることになります。

 

還付時には還付加算金という、受取利息に該当する益金が発生します。ただし、還付されるとしても一旦現金はなくなりますので、資金繰りには注意しなければいけません。消費税は身近で必ず関わることになる税金だからこそ、良く知ることが消費税と上手に付き合える近道となります。

 

 

4 まとめ

まとめ

 

今回の記事では、会社の税金や売上ゼロでもかかる税金について見てきました。経営が苦しいときでも納めなければいけない税金がありますので、それぞれの税金の特徴を踏まえて、資金繰りに注意することが大切です。


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