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決算情報の活かし方は情報源次第?そのソースの種類と活用のポイントとは

株式投資、企業取引、企業への融資や就職・転職の活動等に関する分析や研究には対象とする企業の決算情報の利用が欠かせないでしょう。

 

しかし、その利用の目的に合致した情報を素早く入手して活用するためにはそれに適した情報源(ソース)からの決算情報が必要になります。また、そのソースのどの部分の情報に着目して分析するかという活用のポイントも押させておかねばなりません。

 

今回は決算情報のソースの種類(およびその情報)と活用のポイントについて説明します。決算情報のソースにはどのようなタイプがあるのか、目的に合わせてどのようなソースを利用したらよいのか、どの情報を活用すると分析・研究に有効なのか、などを紹介していきましょう。

 

 

1 決算情報が得られるソースと活用の意義

決算情報についての適切な情報源(ソース)を把握して、そこからの有効な情報や機能を活用すれば欲しい情報をより早く入手して自分の目的を効果的に達成できるようになります。

 

 

 

1-1 利用しやすい決算情報のソースとそのメリット

法律等によって提出が義務付けられている決算書類は規則等に従って作成されているため、そのまま投資家等の第三者が利用するのに適しているとはいえません。

 

決算書類には、金融商品取引法が要求する有価証券報告書があり、会社法では株主総会通知書の添付書類、法人税法では法人税申告書、証券取引所の開示規則では決算短信があります。

 

これらの決算書類には投資やビジネスを行ううえで必要かつ重要な情報が多く含まれています。しかし、それらは財務諸表など数値の集合体ともいえる書類であるため利用に慣れていない者には扱いが容易ではありません。

 

また、企業の事業方針といった定性的な情報も含まれていますが、投資やビジネスで参考となる情報がどこに記載されているかを事前に把握しておかないと上手く読み取れないこともあるでしょう。

 

このように提出企業が苦労して作成した決算情報は決算短信や有価証券報告書の原本の内容のままでは投資家や企業が利用しにくいため、もっと利用しやすい形にした情報が必要なのです。

 

たとえば、提出企業が決算発表時に投資家等のために用意している決算説明資料やWEBサイトに掲載している業績ハイライトなどは分かりやすく利用しやすい資料といえるでしょう。

 

また、経済紙、ビジネス書を発刊している事業者や、お金・ビジネス情報を提供するWEBサイトは、提出企業等の情報をもとにユーザーが利用しやすい形に加工した情報を提供しています。

 

こうした資料や情報は作り手の裁量で自由に制作できるため、利用者目線での作成が重視されており、表、グラフ、図解などが適宜使用され分かりやすく使い勝手の良い情報となっているのです。

 

そのため投資家等の決算情報の利用者にとっては、そうした分かりやすい情報を活用することで自分が必要とする情報を早く見つけ、目的に応じた深い分析も可能となります。そして、その結果、投資での成功、販売先の開拓、就職先の選定など自身の目的が達成しやすくなるでしょう。

 

 

 

1-2 決算情報が入手できるソースとは

決算情報が手軽に入手できるソースとしては、提出企業のWEBサイトが中心になりますが、ほかにも幅広い情報を提供するビジネス・金融等の経済情報誌や情報提供サイトなどになります。

 

また、公的機関においても投資家等が便利に利用できるソースがあり、知っておくと目的に応じた分析や研究の作業に役立つでしょう。

 

・提出企業のWEBサイト

上場企業などは決算情報の開示義務があるという理由だけでなく、IRの観点から多くの企業がそのWEBサイトで有価証券報告書や決算短信などを閲覧できるようにしています。

 

また、それらの法的に提出義務のある資料だけでなく、投資家等のために決算説明資料(補足資料)、決算説明会質疑応答、決算説明会動画などが用意されているケースも多いです。

 

投資家を含めた幅広いステークホルダーとの良好な関係を構築・維持するための手段として、分かりやすい決算情報の提供が行われています。

 

・公的機関のソース

公的機関において有価証券報告書等の決算情報のほか投資や取引で重要となる情報が開示・提供される仕組みがあります。

 

その代表的なソースは、金融庁が運営する「EDINET」や日本取引所グループの「適時開示情報閲覧サービス」などです。

 

EDINETでは、有価証券報告書、有価証券届出書、大量保有報告書等の書類が開示されており、そこでの検索機能を利用することで必要な企業の情報が容易に入手できます。

 

適時開示情報閲覧サービスではさまざまな上場企業の銘柄などに関する投資判断に欠かせない情報が閲覧できるのです。具体的には国内の東京証券取引所等の金融商品取引所に上場している企業の情報や、日本証券業協会が指定するフェニックス銘柄に関する情報が閲覧できます。

 

・決算情報が便利に入手できる経済情報誌

経済情報誌の中でも株式投資の投資判断のツールとなっている情報誌は、決算情報や会社情報がコンパクトに掲載されており投資家等にとっての便利な情報源となっています。

 

過去の株価や業績だけでなく今後の業績予想などが明記されているケースもあり、投資の判断材料として愛読する読者も少なくありません。代表的な書籍としては東洋経済新報社の「会社四季報」、投資経済社の「投資経済」などがあります。

 

・投資やお金に関する情報提供サイト

検索エンジンを提供する事業者のサイトやプロバイダーが運営するサイトでは投資やお金に関する情報の提供に特化したサイトが運営されているケースも見られます。

 

たとえば、Yahoo!Japanでは投資・お金やビジネスに関する総合情報サイトとして「Yahoo!ファイナンス」が運営されているのです。

 

こうしたサイトでは、投資に役立つ多様な情報が満載されているとともに企業の基本情報や決算情報が簡単に入手でき便利に活用できるように提供されています。

 

そのため企業の決算書類から必要な情報を抽出するよりもこうしたサイトの情報を利用したほうが分析・評価の作業の効率化が図れることもあるのです。もちろん基本的な会社情報も掲載されているため、就活の企業研究などにも利用しやすいでしょう。

 

・経済紙のWEBサイト

日経新聞のWEBサイトも(日経電子版ではない)投資やビジネスに必要な情報を把握するのに便利です。有料会員などになれば、より深い情報、同社が独自に分析した情報なども入手できるため、幅広く高度な利用ができるようになります。

 

ほかにも産経デジタルが運営する「SankeiBiz」なども幅広い企業情報や投資情報が提供されています。

 

 

2 決算情報が得られるソースの種類と活用方法

ここでは先ほど紹介したソースの中からいくつかを具体的に取り上げ、その内容と活用の方法などを紹介していきましょう。

 

 

 

2-1 企業のWEBサイト

特定の企業の決算情報を詳しく調べたい場合はその企業のホームページを確認するのが最も有効です。

 

①決算情報の掲載場所

上場企業のWEBサイトの場合、一般的に決算情報は「企業情報」などともに「投資家情報」や「企業・IR情報」などのページに掲載・格納されているケースが多いです。

 

「投資家情報」等はトップページのナビゲーションメニューに通常設定されているため、その個所をクリックすればそのページに移動できます。

 

なお、投資家情報も情報量が多いため、複数のサブメニューが設置されているケースが多く見られます。たとえば、トップメッセージ、投資家の皆様へ、決算報告、電子公告、財務データ、業績ハイライト、株式・格付け情報、プレゼンテーション資料、IRカレンダー、IRライブラリーなどです。

 

直近の決算情報などを確認するためには「決算報告」の個所をクリックすれば、最新の四半期決算短信などが確認できるでしょう。また、「IRライブラリー」には過去の有価証券報告書や決算短信などが格納されているケースが多いです。

 

つまり、その企業の決算説明資料、有価証券報告書や決算短信などの決算情報が欲しい場合は「決算報告」や「IRライブラリー」を調べれば必要な情報は入手できるでしょう。

 

②企業のWEBサイトでの活用のポイント

決算情報からその決算内容のポイントを手早く簡単に確認するには財務ハイライトや決算説明会のプレゼンテーション資料などを利用するのが有効です。

 

上記の通り決算情報をダイレクトに入手したい場合は「決算報告」等の個所で情報を入手すればよいでしょう。しかし、決算短信や有価証券報告書等の内容を分析するのに慣れていない方にとっては、これらの情報から必要な決算情報を見つけて理解するのは容易ではありません。

 

そのため決算情報を分かりやすく説明している資料の活用が重要となるのです。たとえば、以下に挙げる情報が役立つでしょう。

 

・業績ハイライト

直近の業績結果だけでなく3年や5年といった期間も含めた業績等に関する情報が必要な場合、決算短信などよりも「業績ハイライト」の情報がより役に立つはずです。

 

売上高、営業利益、当期純利益、設備投資額や研究開発費などの連結ベースの財務情報(過去5期分程度の推移情報を含む)や地域別等の販売および生産情報などをまとめたページが業績ハイライトに掲載されています。

 

売上高などの過去5年ほどのデータが表やグラフなどで分かりやすく表示されており、業績の推移が視覚的に捉えられるようになっているのです。そのためその業績の傾向から問題点や強化すべき点が把握しやすく、企業の分析・研究に役立つでしょう。

 

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*トヨタ自動車のWEBサイト 業績ハイライトからの引用

 

たとえば、上記のグラフはトヨタの業績ハイライトの一部ですが、売上高のグラフを見れば2018年までの5年間の売上高が概ね上昇していることが分かります。

 

しかし、営業利益のグラフを見ると営業利益が伸び悩んでいる点が把握できるとともに売上高営業利益率も同様に厳しくなっている点が視覚的に捉えられるでしょう。

 

業績ハイライトはその企業の数年の業績結果を視覚的にわかりやすく端的に示されることが多いため、短時間でその企業の業績の状況を把握するのに極めて有効です。

 

また、企業によっては配当金や配当性向といった株主還元のデータも掲載されることもあり、その場合は企業の株主重視の姿勢が視覚的に把握できます。なお、グラフではなく一覧表で掲載する企業も少なくありません。

 

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*エイチ・ツー・オーリテイリング(株)のWEBサイトより引用

 

・財務データ(主な財務指標)

業績ハイライトと同じような業績データなどが掲載される場合もありますが、過去5年程度の主な財務指標の結果が示されるケースもあります。

 

たとえば、売上高営業利益率、総資産当期純利益率、株主資本当期純利益率などの指標のほか、収益性、成長性や安全性に関する指標をまとめて示すケースなどが見られるのです。

 

スクリーンショット 2019-03-22 12.26.37

*西部ガス(株)のWEBサイトより

 

上表のように収益性、成長性や安全性の指標をコンパクトにまとめて表示されていれば、経営分析の方法を知らない方でもその企業の経営状況を把握しやすくなるでしょう。

 

・プレゼンテーション資料

企業が決算発表説明会・決算報告会などの資料として用意されるプレゼンテーション資料は特に重要な決算内容の部分が視覚的に分かりやすくまとめられています。

 

プレゼンテーション資料では業績ハイライトのようにグラフや表が使われますが、投資家等に重要な点をアピールしたり納得したりしてもらうための工夫が多く取り入れられているのです。

 

そのため投資家など見る側にとっては非常に分かりやすい情報源となるため、財務諸表を含む決算書類に馴染みの薄い方でも利用しやすいでしょう。また、短時間で決算内容の重要なポイントを把握することにも役立つはずです。

 

プレゼンテーション資料の構成・内容は各企業によって異なりますが、業績に関する結果と見通しの情報のほか、経営戦略や今後の経営方針(競争力の強化等)などが取り上げられます。

 

最初に当該年度の業績結果として、連結ベース、単独ベース、地域別やセグメント別の売上高や営業利益等の情報、製品の販売量や生産量の情報などが表示されるケースが多いです。

 

表示の方法は、グラフ、表などを使いその資料で理解してもらいたい点をマークしたり短い説明を付記したりしてアピールするなどの多様な方法が取り入れられています。

 

そして、その業績結果の後に新年度の業績の見通しを説明し、続いてその見通しを達成するため、将来の更なる発展に繋げるための経営戦略などの説明という流れになります。

 

投資家にとっては業績の見通しを裏付けできるような競争力の確保や促進の方法が具体的に示されているか、実現可能性が高いか、といった点がこの部分で確認できるでしょう。

 

また、原材料・部品等の供給者などの取引先にとっては資料の情報により自社の業績への影響(低下・上昇)、生産や販売の体制への影響(改善や強化)などが確認できるはずです。金融機関等にとっては、その情報が融資の判断に役立つこともあります。

 

・IRカレンダー

IRカレンダーは、その企業の決算発表説明会・報告会(各四半期)、株主総会(定時および臨時)など主に投資家にとって重要な予定を知らせるためのページです。たとえば、トヨタでは以下のような表で示されています。

 

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*トヨタのWEBサイトより

 

また、企業によっては最新のIRイベントについては開催内容のほか、その開催日時、場所、地図などを表示しているケースも見られます。

 

・IRライブラリー

IRライブラリーは決算報告などの決算情報をまとめたページで、さまざまな決算書類の情報を入手するための窓口的な役割を果たすものです。

 

たとえば、トヨタのIRライブラリーでは「決算報告」「有価証券報告書」「TOYOTAレポート」「米国SEC提出書類」「コーポレートガバナンス報告書」「アニュアルレポート」などが用意されています。

 

「決算報告」をクリックすれば、直近の決算報告書が確認できるページに移動して、次のような情報の入手が可能となるのです。

 

「2019年3月期(平成31年3月期)の第1四半期決算情報」として以下の資料が提供されています。

 

決算要旨(決算短信等)
決算報告プレゼンテーション資料
競争力プレゼンテーション資料

 

また、「有価証券報告書」をクリックすれば、直近の有価証券報告書・四半期報告書の情報が入手できるほか、そのページから過去の有価証券報告書の情報も得られます。

 

このようにIRライブラリーからさまざまな決算情報にたどり着くことができるため、どういった決算書や決算資料があるかを知りたい場合はIRライブラリーで確認するとよいでしょう。

 

 

 

2-2  EDINET

EDINETとは「金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム」のことです。EDINETは金融庁の主導のもとで2001年6月から稼働がスタートしており、有価証券報告書、有価証券届出書、大量保有報告書等の書類が開示されています。

 

なお、開示の目的は以下の通りです。

 

  • 有価証券の発行者の財務内容、事業内容を正確、公平かつ適時に開示する
  • 有価証券を大量に取得・保有する者の状況を正確、公平かつ適時に開示する
  • 投資者がその責任において有価証券の価値その他の投資に必要な判断をするための機会を与え、投資者保護を図る

 

①EDINETの掲載場所

EDINETは金融庁が運営するWEBサイトにアクセスすることで利用できます。本サイトには「書類検索」「公告閲覧」「書類比較」などの機能(メニュー)もあり便利です。

 

②EDINETでの活用のポイント

・書類検索

書類検索のページには「書類簡易検索画面」が用意されており、指定する有価証券報告書などの決算書類を簡単に検索できます。

 

まず、「書類提出者/有価証券発行者/ファンド情報を指定する」の入力欄に対象企業名等を入力します。
⇒たとえば「トヨタ」等

 

次は有価証券報告書などの書類種別の情報の入力です。
⇒たとえば、「☑有価証券報告書」

 

最後は決算期・提出期間を指定します。
⇒たとえば、決算期=「平成30年3月期決算」、提出期間=「過去1年」

 

入力後検索ボタンをクリックすれば、トヨタ自動車、豊田通商、豊田自動織機、トヨタ紡織などのトヨタの名称に関連する企業と提出書類の一覧表が表示されます。その情報から該当する企業の提出書類がダウンロードできるわけです。

 

・公告閲覧

公告閲覧では決算情報、吸収分割や公開買付など投資家等に開示されるべき公告情報が閲覧できます。

 

公告日、コード、提出者、公告名称が記載された一覧表が表示され、閲覧したい公告名称をクリックするとその情報が開示されるわけです。

 

たとえば、下表の「公開買付開始公告」をクリックすれば、その情報が直ぐに確認できます。

 

H30.09.18 E01704 サンセイ株式会社 公開買付開始公告

 

公告閲覧は、公開買付のような株価に大きな影響を与える情報が一覧表で確認できるため投資家にとっては重要な情報源となるでしょう。

 

・書類比較

書類比較には「書類情報比較画面」があり、同一の書類提出者の複数期の書類、異なる書類提出者の同じ期の書類など複数の書類を並べて比較することが可能です。

 

たとえば、同じ企業の1年間の有価証券報告書、半期報告書、四半期報告書などが一覧表として表示できます。比較結果は、「列」には該当書類の内容、「行」には書類に含まれる項目が表示されるのです。

 

例:行の項目は、「目次」(例:「貸借対照表」)、「表示項目」(例:「資産」)などとなっていて、右側の列に該当書類のデータが示されます。つまり、1年間の有価証券報告書、半期報告書、四半期報告書における企業の資産の金額などが簡単に比較できるわけです。

 

 

 

2-3 四季報

四季報とは東洋経済新報社が発行している投資に関する情報が集められた書籍で、正式名称は「会社四季報」といいます。四季報は年4回(3月・6月・9月・12月)発行されており、その各号の発行部数は約50万部もあり、投資情報誌分野におけるシェアは80%以上もあり、多くの投資家に愛用されているのです。

 

四季報の各号には3,700社以上に及ぶ決算情報を含む企業情報が掲載されており、各号のページ数は約2千ページ以上もあります。

 

その主な情報には、国内上場企業の住所、取引先、役員、従業員数、大株主、メインバンク、業績、財務データ、株価や配当などが含まれます。ほかにも四季報独自の業績や配当の予想なども掲載され投資判断の参考として利用されているのです。

 

投資のほか販売先の検討・評価といったビジネスユースや就職・転職先の検討などに利用されるケースも少なくありません。

 

なお、四季報には未上場企業を対象とした「会社四季報 未上場企業版」もあります。

 

①四季報の入手に関連する情報

四季報自体は書籍であるため書店や通販サイト等で購入して利用することになります。四季報の定価は2,060円ですが、定期購読を申し込めば割引が受けられます。1年間の定期購読の場合、4冊分の代金が8,000円、2年間では8冊分が15,500円とお得です。

 

なお、四季報のWEB版として位置づけられるWEBサイト「会社四季報ONLINE」があり、有料プランに登録すればさまざまな投資等に役立つ情報が得られるでしょう。

 

また、スマホ等で利用できる無料の「四季報 株アプリ」もあります。

 

②四季報での活用のポイント

四季報の基本的な情報としては、下表の内容が挙げられます。

 

情報 内容
基本情報 社名、コード、設立年、特色、事業構成、など
会社情報 本社、支店・工場等、従業員数・平均年齢・年収、銀行、仕入先・販売先など
株価チャート 月足のローソク足、12カ月・24カ月の移動平均線など(過去の株価の動きが把握できる)
コメント 今期の予想や中長期の課題に対するコメント
株主、役員 株主数、大株主、外国株主、浮動株数、役員など
株式、財務、指標等 発行済株式数、資産、負債、資本、キャッシュフローのほかPER、PBR、ROEなどの指標
その他 資本移動、株価、格付け、業種、比較会社
配当 配当、予想配当利回り、一株当たり純資産
業績 売上高、営業利益、経常利益 純利益、一株利益(EPS)、一株配当のデータのほか、四季報の今期と来期に対する業績予想と会社が発表した業績予想

 

また、四季報の各号では上記の情報以外にも各々以下のような特色が見られます。

 

A 3月中旬発売の2集[春号] :

決算月として最も多い3月期末を迎えることになるため、2集[春号]は今期業績の終着点と来季予想に注目が集まる号となります。また、来季以降の業績動向を考える上で重要となる号であり、関連情報のチェックが欠かせません。

 

B 6月中旬発売の3集[夏号] :

3集[夏号]は最新の3月決算の実績を収録した号であるため、その情報に基づいた新年度の業績予想と四季報のコメントが注目されます。そのため3集[夏号]は6月以降の銘柄選定に活躍する号となるでしょう。

 

C 9月中旬発売の4集[秋号] :

4集[秋号] は4~6月期の業績の結果をもとに9月中間期の業績の見通しに注目が集まる号です。そのためこの号の情報から増額や減額に関する今期予想も確認できるため、今期の動向を占う上で欠かせない号となります。

 

D 12月中旬発売の1集[新春号] :

1集[新春号] は11月末までに発表されている9月中間決算の情報を収録しているため、今期予想における増額や減額の修正情報がより反映されておりその点に注目が集まるでしょう。そのため同号は今期の予想はもちろん、来期の業績を予想する上でも重要となる号です。

 

・投資の判断材料として活用すべき情報

四季報は株式投資に欠かせない情報を余すところなく掲載している書籍ですが、その情報の中でも特にコメント記事は重要です。

 

東洋経済新報社の記事が独自に取材して集めた情報をもとに分析された予想がこのコメント記事に掲載されています。投資家としてはどの銘柄の株価が上昇するのか、どの企業が成長していくのかに注目が集まりますが、そのヒントがコメントで確認できるのです。

 

たとえば、コメント記事の中で「最高益更新」「大幅増益」「増配」「上振れ」「減額」「鈍化」といった言葉の入る銘柄には要注意です。

 

「最高益更新」「大幅増益」「増配」「上振れ」は文字通り予想を上回るような好調な業績となったか、それが予想できる内容であることからその銘柄の株価の上昇が期待されます。

 

逆に「減額」「鈍化」が使われる銘柄では業績の悪化や悪化が予想されるため、株価の下落や低迷につながる恐れがあるのです。

 

もちろんそれ以降の業績動向で株価がどう変化するかわかりませんが、コメント記事を参考にしつつ他の情報も加えて分析すれば適切な投資判断も下しやすくなるでしょう。

 

・対象企業の状況を簡単に把握できる情報

四季報は業績や財務状況などを端的に掲載しているため、各企業の状況を短時間で把握するのに便利です。

 

株価、株式の取引単位、配当、株主優待などの投資家の興味を直接そそる情報だけでなく、ビジネスユースに重要な株主構成、メインバンク、仕入先・販売先などの会社情報も掲載されています。

 

また、有利子負債額、キャッシュフロー、自己資本比率など経営指標を含む財務情報も多く掲載されているため、企業の安全性を把握することも可能です。本社所在地のほか支店・店舗・工場などの情報、従業員数、従業員の平均年齢や年収などの企業の基本情報もコンパクトにまとめられています。

 

これらの情報から投資以外にも販売先や仕入先の検討材料、就職先や転職先の判断材料としても四季報は利用できるでしょう。

 

 

 

2-4  Yahoo!ファイナンス

Yahoo!ファイナンスはヤフー(株)が運営する、株式やFXなどの投資やお金に関する総合情報サイトです。このサイトでは、株価、配当、株主優待やIPOなどの国内株式や投資信託に関する情報、中国株などの外国株式の情報、外国為替や金利、その他投資等に関わるニュースや企業情報などが掲載されています。

 

①Yahoo!ファイナンスの掲載場所

Yahoo!ファイナンスは下記URL*にアクセスすれば閲覧できますが、ポータルサイトであるYahoo Japanのサービスメニュー(ナビゲーションメニュー)の「ファイナンス」からも移動できます。

https://finance.yahoo.co.jp/ Yahoo!ファイナンスのナビゲーションメニューには、「株式」「FX・為替」「投資信託」「株価予想」「ニュース」「金利」「企業情報」「証券口座」などがあり、決算情報を入手したい場合は「企業情報」で探すことになります。

 

その企業情報などには、「上場企業検索」が用意されており、企業名などを入力すれば対象企業がリストアップされ、該当企業の証券コードをクリックすると企業情報が閲覧できるのです。

 

この上場企業検索を利用すれば対象企業の会社情報(会社概況等)のページへ簡単に移動できます。会社情報としては、会社の特色、連結事業内容、本社所在地、最寄り駅、電話番号、業種分類、代表者、設立日、市場名、決算月、単元株数、従業員数、平均年齢、平均年収などです。

 

また、このページのナビゲーションメニューには、「単独決算推移」「連結決算推移」「中間決算」の項目があり、クリックすれば各々ページに移動できます。

 

なお、トップページの上部にある「株価検索」の個所に企業名等を入力すれば、該当する企業(銘柄)がリストアップされます。そこで対象の企業をクリックすると該当企業の「(株価の)詳細情報」「企業情報」「業績予報」が確認できるページに移動できるのです。

 

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*Yahoo!ファイナンス WEBサイトより

 

②Yahoo!ファイナンスでの活用のポイント

・株価情報

株価情報を調べたい場合は、上記の「詳細情報」で確認するとよいでしょう。前日の終値と当日の始値、高値、安値、一定時刻のリアルタイム値が表示されます。

 

また、「チャート」や「時系列データ」の機能が用意されており、株価の分析等に便利です。たとえば、チャートでは1日、1週、1カ月、3カ月~10年といった期間でチャート化ができ、移動平均線、ボリンジャーバンドといった指標のほか、MACD、MFI、などの指標を追加することも可能です。

 

このチャートを利用すれば対象銘柄の株価について短期のほか中長期の動向も把握でき、さまざまな視点から分析できるでしょう。

 

また、時系列データでは1983年からの毎日の始値、高値、安値、終値、出来高のデータが確認できます。チャートでは詳細な株価の動きは掴みにくいですが、時系列データを利用すれば正確な株価による分析も可能となるはずです。

 

・企業情報

企業情報は①で紹介した内容になりますが、会社概要や決算の内容を確認したい場合にこのページの内容は役に立つでしょう。

 

会社概要については以下のような内容が確認できます。

 

会社概要の主な表示項目とその内容(例:トヨタ自動車)

 

特色 4輪世界首位級、国内シェア4割超。日野、ダイハツを傘下。SUBARU、マツダ、スズキと提携
連結事業 【連結事業】自動車90(8)、金融7(14)、他4(6)
【海外】75(2018.3)
業種分類 輸送用機器
代表者 豊田 章男
設立年月日 1937年8月28日
決算 3月末日
単元株数 100株
平均年齢 39.2歳
従業員数 373,272人(連結)
平均年収 8,310千円

 

以上のような会社の基本情報が確認できるため、就活や転職を検討している方の企業研究にも役立つはずです。

 

また、「単独決算推移」「連結決算推移」「中間決算」から各々の情報が確認できます。

 

たとえば、連結決算推移では前期、2期前と3期前の決算内容が一覧できるようになっており、以下の項目の数値による比較が可能です。中間決算の情報を合わせて利用すれば、過去3年間のデータと当期のデータを比較した多様な企業分析や株価分析もできるでしょう。

 

売上高、営業利益、経常利益、当期純利益、EPS(一株当たり利益)、BPS(一株当たり純資産)、総資産、有利子負債、自己資本、資本金、ROA(総資産利益率)、ROE(自己資本利益率)、総資産経常利益率

 

・業績予報

業績予報をクリックすると「株予報」のページに移動することになり、個別企業の予報情報が掲載されている下図のページが表示されます。

 

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このページの内容は上表の通り業績に関する予想情報で、経常利益の進捗に対する評価(晴れマークなどで表示)、売上/経常利益の見通しとしての会社予想(増収、減収、増益、減益など)、会社予想に対するアナリスト予想(強気、弱気など)が表示されます。

 

また、「概要」のページでは、チャートやPERなどの主な株価指標やアナリスト評価などが確認できるのです。ほかにも「銘柄診断カルテ」が下部に用意されており、業績予想、増田足チャート、目標株価、トレンドシグナル、理論株価 の内容がコンパクトに示されています。

 

銘柄やその株価を適切に評価するのは容易ではなく、経験の浅い投資家にとっては苦労することも多いですが、上記の予想情報を利用すれば無謀な投資行為も回避できるのではないでしょうか。

 

 

 

2-5 日経新聞WEBサイト

多くの愛読者や利用者がいる日刊の経済紙である日経新聞ですが、そのWEBサイトの利用価値も高いです。ここではその内容や活用のポイントを紹介しましょう。なお、日経新聞WEBサイトは日刊紙がデジタル化された日経電子版(朝刊・夕刊)のことではありません。

 

①日経新聞WEBサイトの掲載場所

日経新聞WEBサイトでは経済・政治、ビジネスやマーケットを中心として社会、文化やマネーといった幅広い分野の情報が提供されています。

 

企業の業績・決算情報を確認したい場合は、ナビゲーションメニューの「マーケット」*から調べるとよいでしょう。

https://www.nikkei.com/markets/ 「マーケット」のメニューには、株式、企業業績・財務、為替・金利、海外、商品、企業IR などの項目があり、決算情報などについては企業業績・財務などで確認できます。

 

企業業績・財務のページでは、記者の目、日経会社情報、業績ニュース、適時開示速報、大量保有報告書検索、経営トーク、企業統治、社債格付けニュース、銘柄レーダー、IPO、M&Aニュース、スケジュールなどを項目とした情報が掲載されているのです。

 

なお、スケジュールの項目では決算発表、株主総会、資本イベントなどの予定が確認できます。

 

②日経新聞WEBサイトでの活用のポイント

・株式

株式の項目では、「国内株概況」「注目株概況」「スクランブル」といった注目される銘柄等の最新ニュースの閲覧が可能です。

 

また、「マーケットニュース」では、「株、信用買い残が2週連続で減少・21日時点」「株、海外投資家が2週連続売り越し 個人も売り越し・9月第2週」といった市場全体の動きを把握できるニュースも多く掲載されています。

 

もちろん株価に関する情報も豊富で、新高値を付けた銘柄が確認できるほか同サイトの有料会員や登録会員になればその銘柄データを保存することも可能です。ほかにも「週間株価高低」では各銘柄の週間での始値、高値、安値、終値、年初来高値、年初来安値などのデータが確認できます。

 

「株価材料」のページではその日に発表されている企業ニュースの中で株価に大きな影響を与えそうな内容が掲載されているのです。たとえば、「今日の株価材料(新聞など・22~25日)北海原油が急伸」といった記事が掲載されています。

 

そうした情報をもとに関連銘柄の他の情報や株価のデータを本サイトで入手すれば、新たな投資先の検討も容易になるでしょう。

 

・企業業績・財務

企業業績・財務の項目では「業績ニュース」の利用が重要になります。たとえば、「東武、4~9月期業績を下方修正 事業再編で減損、猛暑も重荷」「ニトリHDの3~8月期、純利益8%増 家具や雑貨好調で最高益」といった株価に直接的に影響するような見出しの記事が掲載されているのです。

 

こうした業績ニュースはその日の大引け後に発表されるケースがほとんどですが、翌営業日の株価が大きく変動することも多いため注意が必要です。そのため保有銘柄、検討中の銘柄などに関する上記のようなニュースは見逃すことができません。

 

また、「適時開示速報」のページも同様の注意が求められます。このページではその日の適時開示情報が時刻順に表示されるのです。たとえば、「18/9/26、17:00、四国電力、法的分離に向けた送配電事業の分社化の方向性について」といった内容が表に掲載され、情報内容をクリックすれば、その発表ニュースの内容が閲覧できるのです。

 

適時開示速報のニュースでは、役員人事・報酬、本社移転、ストックオプション、企業統治、経営計画、など幅広い内容が扱われます。その中でも業績予想の修正、子会社化、株主優待、配当など株価に大きく影響する情報も多く、それらの情報は注視しておかねばなりません。

 

ほかにも「M&Aニュース」も株価に大きな影響を与える可能性があるため要注意です。適時開示情報でその企業のM&A情報は確認できますが、M&Aニュースのほうが目につきやすく企業の成長や株価への影響などが把握しやすいでしょう。

 

たとえば、「ユニチャーム、タイの衛生用品メーカー買収 約600億円で全株取得」という見出し記事では以下のような内容が示されています。

 

「取得金額は5億3000万米ドル(約600億円)。東南アジア地域での事業強化や物流機能の統合を目指す。ユニチャームの2018年12月期業績に与える影響は軽微だという」

 

つまり、株価への影響は大きくないと予想されるわけです。M&Aのニュースはその企業の株価を押し上げる要因になり得ますが、内容によってはほとんど影響がなかったり、逆に株価を押し下げたりすることもあるため、株価への影響に関するコメントなどの情報には注意しておく必要があります。

 

「IPO」のページでは、間近に迫った新規上場銘柄の一覧が表示されています。上場日、新規上場企業名、ブックビルディング期間、仮条件、上場場所などのデータが示されており、新規上場企業名からその引受証券会社も確認できるのです。

 

IPO株の購入は大きな売却益を得るチャンスとなるため、こうしたIPO情報の活用は投資家にとって重要な投資活動になるでしょう。

 

 

3 決算情報が得られるソースを活用する上での注意点

今まで紹介したソースは投資や企業の研究等に重要な役割を果たしますが、利用の仕方によっては効果が得られなかったりデメリットを被ったりすることもあるため注意が必要です。ここではその注意点を2つ説明します。

 

 

 

3-1 最小限のソースを効率的に利用する方法を学ぶ

投資等の判断に利用するソースを多数使用するとかえって企業や株価等の分析に手間取ることになりかねないため、利用するソースを最小限にとどめた利用法も考えましょう。また、それらの情報を効率的に利用する方法の習得も必要です。

 

有価証券報告書等の公式の決算情報は数字の塊であったり、抽象的な表現が多かったりするため、情報の読み取り方や分析は簡単とはいえません。そのため分析等の目的に応じた情報の読み方等を学習しておく必要があります。

 

分析に必要な情報が有価証券報告書等のどの箇所に記載されているのか、どのデータを見れば事業の収益性や安全性が把握できるのか、ということを理解しましょう。

 

また、経済情報サイトなどの決算情報等を利用すると分析等が効率的に実施できますが、多用すると逆に混乱して効率が落ちかねないため注意が必要です。

 

思いつくままにその都度多様なソースを利用するとマッチしない情報サイトを無駄に閲覧する、利用するサイトをある程度決めておかないとどれを使ったらよいかで迷い分析等が遅れる恐れがあります。また、利用するソースを決めて慣れておかないと必要な情報を探すのに時間がかかり作業効率が低下することになりかねないのです。

 

決算情報を効率的に利用するには、まず自分が便利と思うソースを最小限選んで利用に慣れ作業の効率化を図れるようにすることが重要です。そして、その方法の練度を高めるとともに、必要に応じて別のソースを利用するとった柔軟な方法も取り入れるとよいでしょう。

 

 

 

3-2 データや予想などは保証されたものではない

会計士等の監査を受けた信頼性の高い情報である有価証券報告書や決算短信などと同様に、経済情報誌や情報サイトが提供する情報も信頼性はあるものの、そのデータや予想などは保証されるものではありません。

 

有価証券報告書等の決算書に基づく過去の決算情報については経済情報誌や情報サイトの情報もそれらの情報をもとにして作成しているため信頼性は高いと言えます。しかし、会社予想以外の業績予想を行っている場合、その内容は情報提供者側の判断で行われており公式のものではありません。

 

業績予想について、市場コンセンサスの情報をそのまま活用する場合や情報提供者側が独自の取材や分析により予想する場合もあるなど、その内容はさまざまです。

 

そして、その予想の情報提供は、あくまで利用者へのサービスとして実施されるものですが、その利用による利益や損失に関する責は提供者に及ばないことになっています。つまり、予想情報を利用するかどうかは利用者側の自己責任なのです。

 

そのため予想はあくまで参考として活用する必要があるとともに、1つのソースの予想だけに頼るのは避けるべきでしょう。複数のソースの予想や自分なりの分析結果を加えた評価により投資判断を下すことが重要です。

 

 


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