決算は事業をおこなううえで必須の業務で、避けて通ることはできません。しかし、決算期が近づいてから作業をおこなうと様々な後戻り業務が発生し事業遂行に影響を及ぼすことも珍しいことではありません。しかし決算期間でも通常業務に影響を及ぼさないようにすることが大事なことです。
決算期間には通常の業務に加えて決算業務をおこなうため、経理を担当する者は大変な業務をこなさなければなりません。そこで考えなければならないのが、決算業務の効率化することです。効率化により業務を整理して業務量を減らすことができれば、担当者の負担を減らして通常業務への影響を抑えることができ、間違いによる後戻りを減らして工数の削減にもつながるので、検討すべき課題です。
決算業務は決算書の作成が主な作業となりますが、経理担当者にとっては最も負担の大きい業務となります。決算業務では決算書の作成や、法人税や消費税など税金の計算、確定申告や税金の納付などを行わなければなりません。
これらの決算業務を効率化するためには、決算業務の全体の流れを理解し、それぞれの決算業務のステップでどのような作業が必要か、まず理解する必要があります。そのうえで、決算業務を効率化するためにどのような方法があるかを整理して実行することが大切です。
そこで決算業務の流れについてまず説明し、各ステップの内容について説明します。そして決算業務を効率的におこなうポイントについて説明します。決算業務の改善や効率化を検討するさいに是非参考として頂ければと思います。
1 決算業務の流れ
決算とは1年間の事業活動の収入と支出を計算し、利益または損失を算出し確定することです。確定申告では、決算により算出・確定した会計結果をもとに、所得税や法人税および消費税などの納税額を確定し申告の手続きをおこなうことを言い、確定申告で申告した内容により納税します。
決算業務は、まず決算計画を策定し、日常の経理業務をおこない、決算日で会計を締めて決算をおこなうという流れになります。
1-1 決算計画の策定
決算日を基準にして、決算書作成スケジュールを決めます。
1-2 日常の経理業務
帳簿への記帳や日次・月次の経理作業など、日常の経理作業をおこないます。
1-3 決算期末の作業
決算期末には、決算に必要な帳票類の整備や決算書類及び納税書類の作成をおこない、確定申告・納税をおこないます。法人であれば決算公告も必要です。
それでは次に決算業務の各ステップでおこなう作業の内容について説明します。
2 各ステップでの決算業務
決算業務における、決算計画の策定・日常の経理業務・決算期間の各ステップでおこなう作業内容について説明します。
2-1 決算計画の策定
決算を円滑におこなうために、決算期末前に決算計画を策定します。この決算計画は税制改正の有無など決算に影響する要素や、決算見込みなどを考慮して作業内容やスケジュールを策定します。この決算計画をもとに、作業の分担や詳細な決算スケジュールを決めるもので、次のような手順で進めます。
① 決算方針の策定
税法や会計基準の改正など決算に影響する基準の変更を考慮し、決算方針を決めます。決算見込みに基づき利益配分を策定し、決算書の作成や法人であれば定時株主総会の日程などスケジュールなど決算方針を策定します。
② 決算方針の決定
決算方針を関係者(取締役会等)に提示し承認を得て、決算方針を確定します。
③ 決算計画を決定する
決算方針に従って、帳票類の締日や棚卸計画など決算書作成に必要なスケジュールを決め、監査役への決算書提出日・取締役会開催日・株主総会開催日など決算確定に必要なスケジュール詳細を決めます。このとき、決算帳票の整備や決算書類の作成や整理の担当を決め、それらの提出期限も決めます。
決算計画の基準となる決算月は、法人であれば法人設立時に自由に決定できます。法人決算では決算月まで、例えば決算月が3月の場合は前年の4月1日から3月31日までの1年間の収入と支出を計算して利益または損失を算出します。法人の確定申告と納税は、事業年度の終了日の翌日から2ヵ月以内に行わなければいけません。決算月が3月であれば、5月31日までです。
また個人事業の決算月は法人と異なり、12月と決まっています。したがって、1月1日から12月31日の期間の事業活動の収入と支出を整理して決算し、確定申告をおこなうことになります。確定申告の期間は、2月16日から3月15日の1か月間で、この期間内であればいつでも申告しても構いません。
2-2 日常の経理業務
事業遂行にともなって、日常の経理業務をおこなう必要があります。日常の経理業務として日々おこなう日次業務と月締めでおこなう月次業務があります。
① 日次業務
日常の経理業務で、現金管理は最も重要な日次業務です。現金の出入金と銀行口座の入出金は毎日確認するようにしてください。特に現金の入出金は日次業務としてチェックしておかないと、現金の不一致が生じたさいにどこで間違いが起こったかの特定が困難となります。
そのほかに取引先から受け取った請求書や納品書のチェック・整理・保管や、取引先に発行請求書や納品書の整理・保管をおこないます。
またこれらの取引を仕訳帳・現金出納帳に記帳して管理しますが、これらの作業は決算の基本となる作業となります。
② 月次業務
月次の経理業務として、月締めの取引先への請求書の発行と売掛金の入金確認や、買掛金の支払いや経費の支払いが有ります。特定の取引先との間での売上げを月ごとに締日を決めておいて、請求書を発行し、決められた支払日に集金することはよくあります。また買掛けの場合は、決められた支払日に支払いをおこないます。
月締めの締日や支払い日は取引先により異なりますので、その管理は大事な仕事です。これらの売掛金や買掛金の入金や支払いのチェックをおこない、差額があれば取引先に確認する必要があります。
得意先ごとに違いますので、その内容をきちんと把握することがとても大切です。支払いが請求書どおりかどうか、差額があるならその内訳は何かを調べなければなりません。一方、費用については、請求書をもとに、その内容に誤りがないかをきちんと調べたうえで、期日に支払うようにします。
これらの取引を売掛金元帳・買掛金元帳に記載し、仕訳帳・現金出納帳に記帳して管理します。
また他の月次業務として給与計算と支給があります。給与は源泉徴収して従業員に支給しますが、源泉徴収は従業員へ支払う給与や報酬及び税理士等への報酬支払いの都度、支払金額に応じた所得税を源泉徴収し、源泉所得税として納税するという経理作業を行わなければなりません。
2-3 決算期末の経理業務
法人決算では決算月まで、例えば決算月が3月の場合は前年の4月1日から3月31日までの1年間の収入と支出を計算して利益または損失を算出します。
この決算の過程で、納税に必要な帳簿と書類(帳簿書類)を整備します。帳簿として総勘定元帳・仕訳帳・現金出納帳・売掛金元帳・買掛金元帳・固定資産台帳・売上帳・仕入帳などがあり、書類は棚卸表・貸借対照表・損益計算書・注文書・契約書・領収書や、納税のさいに必要な申告書などあります。
・帳簿と書類の種類
帳簿 | 1 | 総勘定元帳 |
---|---|---|
2 | 仕訳帳 | |
3 | 現金出納帳 | |
4 | 売掛金元帳 | |
5 | 買掛金元帳 | |
6 | 固定資産台帳 | |
7 | 売上帳 | |
8 | 仕入帳 | |
書類 | 1 | 棚卸表 |
2 | 貸借対照表 | |
3 | 損益計算書 | |
4 | 注文書 | |
5 | 契約書 | |
6 | 領収書 |
①帳簿
仕訳帳は日々おこなう全ての取引を日付順に記録するもので、勘定科目を使って「貸方」と「借方」に分けて記載します。
総勘定元帳は、全ての取引を勘定科目ごとに記録した書類で、単に「元帳」と呼ばれることもあります。総勘定元帳から、決算の重要な書類である貸借対照表と損益計算書が作成されます。
現金出納帳は現金の入出金を記録し、売掛金元帳は売上金の未収金を、買掛金元帳は未払い金を管理するための帳簿です。売上帳と仕入帳は、何を単価いくらで何個売ったか買ったかを記録する帳簿です。
固定資産台帳では、その法人で継続して使用する土地・家屋・机・PC等の資産の中で10万円以上のものを記録する帳簿です。決算で作成される書類には、固定資産の総額は記載されますが、その明細はわからないため詳細を明らかにするものです。また、固定資産の減価償却費用計算の根拠にもなります。
②書類
帳簿類から作成される決算書類と、決算の資料・証拠となる書類があります。特に、貸借対照表・損益計算書・勘定科目内訳説明書・個別注記表などをまとめて、決算報告書とも呼びます。
貸借対照表(B/S: Balance Sheet)は、決算日時点でのその法人の資産と負債およびその差額である純資産(自己資本)を表すもので、資産は負債と純資産を足したものになります。賃貸対照表でその法人の財政状態が分かります。
損益計算書(P/L: Profit and Loss statement)は、法人の1年間の決算期間の収益と費用を整理して比較し利益を示すものです。損益計算書は投資家などの利害関係者に、その年度の事業成績を提供します。
勘定科目内訳説明書は、賃貸対照表や損益計算書に記載された勘定科目の内訳を明らかにする書類です。
個別注記表は、法人の方針についての重要な注記や、賃貸対照表・損益計算書に関する注記をまとめた書類です。個別注記表を作成せずに、賃貸対照表・損益計算書などに注記することも認められています。
法人事情概況説明書は、法人の事業内容や取引情報、従業員の状況などを記した書類で、注文書や契約書、領収書は取引の正当性を証明するための書類です。
棚卸表は未出荷の商品や半製品・仕掛品などの未完成の商品、商品の原材料や備品及び費やした人件費や外注費などをまとめたもので、売上原価の算出のさいに使用されます。
③納税申告書
法人が納税をするさいの申告書も決算で作成します。法人は、法人税・法人事業税・法人住民税・消費税が課税されますので、法人税申告書と消費税申告書および地方税申告書を作成します。なお、法人税と法人事業税は1つの申告書でまとめて納税します。
なお、納税申告書は確定申告のさいに必要となります。決算で作成しなければならないものではありませんが、納税額を確定する必要がありますので、決算のさいに作成するほうが合理的です。
④決算の公告
株式会社は定時株式総会の終了後、すぐに賃借対照表を公告しなければなりません。大会社(賃借対照表で資本が5億円以上か負債が200億円以上)は賃借対照表と損益計算書の公告が必要です。ほとんどの大企業はIR(Investor Relations:投資家向け広報)で決算公告を行っていますが、会社法に違反する決算公告を行っていない株式会社も多数存在します。
なお、決算の公告が不要な例外として特例有限会社があります。特例有限会社は2006年の会社法施行以前に有限会社であった会社で、現在もそのまま「有限会社」の商号を使用しているものです。
⑤決算帳簿書類の保存義務
決算や確定申告で作成した書類の保存義務があります。保存の方法は原則紙ですが、事前に税務署長に申請して承認を受ければサーバーやDVD/CD等の電磁的保存も可能です(保存方法の詳細は後述)。
帳簿書類の保存期間は、原則、確定申告書の提出期限の翌日から7年間です。例えば3月決算の法人であれば確定申告書の提出期限は5月31日となり、平成29年度の決算書類は平成30年6月1日から7年間ですので平成37年5月31日まで保存しなければなりません。
但し、平成30年4月1日以降の「欠損金が発生する」事業年度では、保存期限が10年になりますので注意が必要です。
保存方法について、国税庁によれば①紙による保存、②6年目以降のマイクロフィルムによる保存、③電磁的記録による保存方法、④一定の書類のスキャナ読取りの電磁的記録の保存、⑤電子計算機出力マイクロフィルム(COM)による保存が推奨されています。
①原則的保存法 | 紙による保存方法。データとしてまとめられている書類を紙に印刷して保存・管理する。 |
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②6年目以降のマイクロフィルムによる保存法 | 保存期間の6年目以降は一定の要件を満たすマイクロフィルムにより保存することができる。なお、この場合、一定の基準を満たすマイクロフィルムリーダ、またはマイクロフィルムリーダプリンタを設置しなければならない。 |
③データによる保存法 | 作成・記録の段階からデータで作成された帳簿書類であって一定の要件を満たす場合、パソコン・DVD・CDなどに記録した電子データのままで保存することができる。 |
④一定の書類のスキャナ読取りの電磁的記録の保存法 | 保存すべき書類のうち、「棚卸表」「貸借対照表」「損益計算書」その他決算に関して作成された書類」以外の書類の場合、紙による保存によらず、スキャナ読み取りの電子データで保存することができる。 |
⑤電子計算機出力マイクロフィルム(COM)による保存法 | 作成・記録の段階からデータで作成された帳簿書類であって一定の要件の下で、その電磁的記録の電子計算機出力マイクロフィルム(COM:Computer Output microfilmの略)により保存することができます。 |
(参照:国税庁「帳簿書類等の保存期間及び保存方法」)
3 決算業務を効率化する方法
決算業務はどんな会社でも必ず行わなければならない業務で、決算書を作成して納税しなければなりません。決算のための経理業務は、全ての取引に関する記帳や現金や預金の入出金管理業務、決算書作成・確定申告・納税業務などの色々な作業を行わなければなりません。
これらの決算業務に毎年多大な労力を費やしていますが、これらの経理業務の多くは決まったルールに従って処理するルーチンワークなのです。この作業を合理化・効率化できれば決算業務に関わる労力をとコストを大幅に削減できる可能性があります。ここでは決算業務効率化を実現する4つのポイントについて説明します。
3-1 決算業務の前倒し
決算日は決まっていますので、決算の締め日である決算日を待ってから膨大な決算業務に取り掛かることはナンセンスです。決算日前からできる限り決算業務を前倒しして始めることが負荷分散のために重要となります。
決算業務のなかで決算日前に前倒しで取り組めるものを精査して前倒しで業務をおこなうことは、決算業務効率化で最初に検討するべきでしょう。決算業務の前倒しで意識すべき事項について以下に説明します。
①前倒して実施する決算業務の明示
前述したとおり、決算業務のなかで決算日前に前倒しで取り掛かることができるものを精査し、前倒しで業務をおこなうことを最初におこなうべきです。決算業務は期末日前から始まっているという認識に変えなければなりません。決算日にならないと決算対象が確定しないので、それまでは作業を控えるなどという考え方では、効率的におこなうことは難しいでしょう。
これまで決算業務の前倒しをおこなっていないのであれば、この意識を変えることが決算効率化を実現するうえでとても大切になります。
②決算業務前倒しに伴う業務分担の見直し
これまで決算業務の前倒しを行っていない場合、決算業務の前倒しにより決算業務ピーク時の業務の負担が大きく減ることが考えられます。この場合には、決算業務を複数の担当者で分担していれば業務分担を見直して担当者間の負荷の平準化を計る必要があります。
このように業務分担の観点では、決算業務の前倒しは担当者個人の問題ではなく、担当者全員の負荷を考えて会社として取り組まなければならなくなる場合ある点を考慮しておく必要があります。
③決算業務前倒しに伴う工数の変化
これまで決算業務の前倒しを行っていない場合、決算業務の前倒しにより決算日以降の業務が前倒しによりそのまま減る場合もありますが、決算日以降に再度見直しを行わなければならないものもあります。決算日以降に見直しが必要ということは、全体の工数を考えるとかえって増加することになります。
見直し不要な決算業務のみ前倒しすれば総工数は増えませんが、総工数が増加してもピーク時の負荷を減らしたいという場合は意識しておいたほうが良いでしょう。
3-3 決算業務ツールの導入
決算業務の効率化を考えるうえで、法人ならば会計ソフトなど決算業務ツールの導入はほぼ必須と言えるでしょう。決算業務ツールを利用すると、複式簿記の知識が無くても必要な項目の入力により自動で決算に必要な計算をおこない、入力したデータから勘定科目の振り分けを行ってくれるなど、決算業務の負担を軽減できます。
決算業務ツールは自社で決算業務をおこなう場合には、経理担当者の負担を減らしミスを減らすためにも有効ですので、導入して決算業務の効率化を進めていきましょう。
決算業務ツールには、ローカルPCにインストールして使用する会計ソフト(ここではインストール会計ソフトと呼びます)とネット経由で決算業務サービスを利用するクラウド会計ソフトがあります。それぞれについて説明します。
① インストール会計ソフト
インストール会計ソフトは、会社のローカルPCにインストールして利用する会計ソフトで会社の取引情報などを入力して決算に必要な決算書(貸借対照表・損益計算書等)を作成することができます。
② クラウド会計ソフト
クラウド会計ソフトはネット経由で決算業務サービスを利用することができ、機能的にはインストール会計ソフトと同様ですが次のような特徴があります(契約サービスの内容による)。
・OS/端末に依存しない
基本的にブラウザ経由で利用するネット上のクラウドサービスですので、OSを選びません。会計ソフトはWindows版/Mac版などと別れていますがクラウド会計サービスはどちらからでも使用できます。またブラウザ祖備えた端末であれば、PC・スマートフォン・タブレットなどからもアクセスできます。
またインストール会計ソフトでは、OSのバージョンアップがあると対応に時間がかかったりする場合があり、従来の会計ソフトでは古いOSでしばらく使用しなければならないということがあります。しかしネット上のサービスであるクラウド会計ソフトなら基本的にその心配はありません。
・金融データとの連携可能
銀行やクレジットカードのデータを自動で取り込み連携することができます。これにより銀行の入出金やクレジットカードの利用データの収集と記録を自動的におこなうことができます。
・複数ユーザーで使える
OSや端末を選ばないことに加えて、複数の端末からアクセスして使用できます。例えば会社の異なるPCや自宅のPCからそれぞれアクセスして利用できるのです。インストール会計ソフトでは、例えばサーバーを設置して会計ソフトをインストールして複数ライセンスを購入するなど手間も費用も必要です。
さらにインストール会計ソフトでPCが故障したさいにPCを修理・交換などの対応が必要で、会計データをバックアップしておかなければ復旧できませんが、クラウド会計ソフトではその対応は不要です。
・随時バージョンアップで月額課金
インストール会計ソフトはバージョンアップ費用がかかり、税制改正があると大きな変更はなくてもバージョンアップが必要となります。また、バージョンアップしないと特定の機能が使えないこともあります。例えば、平成31年10月に予定されている消費税法改正(8%から10%)があるためアップデートが必要です。
クラウド会計ソフトは基本的に月額(年額)課金制で、ネット上のサービスですので随時バージョンアップされます。
3-4 アウトソーシング(外注)の利用
経理業務や決算業務を自社でおこなうのではなく、税理士事務所など依頼(アウトソーシング)することもできます。自社に経理をする人材が不足している場合や、事業にコア業務に社員を専念させたい場合などは外注することも決算業務の効率化の選択の一つです。
経理業務や決算業務のアウトソーシングはさまざまありますが、例えば次のようなサービスから必要なサービスを選択して利用することができます。
① 経理全般をアウトソーシングする
起業したての会社や経理人材が足りていない場合、記帳作業・経理を丸投げできるアウトソージングサービスを利用するのがオススメです。サービス内容は次のとおりです。
・記帳代行
経理部門を持たない中小企業、起業したばかりの会社など、経営者をはじめ従業員を営業や開発などのコア業務に専念させて経理部門に人員を置かず、記帳代行を丸投げできます。記帳代行は決算の基礎となる取引データを記録するための作業です。
・経理アウトソージング
前述の記帳代行以外に、各種経理事務作業(帳簿の作成、資金繰り表作成、支払業務代行)といった業務をアウトソーシングします。経理の外注は現金の流れの整理をする仕事で、提供されるサービスから必要なサービスを選択して利用できます。
・給与計算
従業員やアルバイト等の給与計算のアウトソーシングができます。給与は源泉徴収して従業員に支給しますが、源泉徴収は従業員へ支払う給与や報酬及び税理士等への報酬支払いの都度、支払金額に応じた所得税を源泉徴収し、源泉所得税として納税するという経理作業となります。
② 決算業務アウトソージング
決算書作成などの決算業務を外注することもできます。日常の経理業務は自社でおこない決算業務のみアウトソーシングすることも可能ですし、経理業務も含めてすべてアウトソーシングするという選択肢もあります。
単体決算から連結会計、決算業務のなかでも一般的に難しいとされる税効果会計までサポートしている会社もあります。
3-4 その他一般的改善事項
これまで説明した以外に、決算業務で改善したほうが良い事項について補足します。
①優先順位をつける
決算業務のピーク時には通常の業務に加えて決算業務をおこなうことになりますので、負担は大きくなってしまいます。自分の担当する業務には優先順位をつけて処理し、仕事を滞留させずにこなしてゆくことで業務を効率化しましょう。
②作成者とチェック者を分ける
決算書類の作成とチェックを同一担当者でおこなうことはチェックにならない場合が多々あり、効率的にも誤り検出の意味でも良くありません。決算書類を作成する担当者と決算書類の確認をおこなう担当者を分けて、決算業務を正しく効率的におこなうようにしてください。
4 決算業務効率化のポイント3つ
決算業務を効率化することにより、決算に要する時間とコストを大幅に削減できます。決算業務効率化のポイントを整理すると次のようになります。
決算業務効率化のポイントまとめ
①決算業務の前倒し:決算業務を前倒ししてはじめる
②決算業務ツールの導入:クラウド会計サービスなどの利用で省人化
③アウトソーシングの利:専門会社に外注して本業に集中
まず、「決算業務の前倒し」です。決算業務の中で決算日前に前倒しで取り掛かることができるものを洗い出し、前倒しで業務をおこなうことは決算業務効率化で最初に検討するべきこととなります。決算日前からできる限り決算業務を前倒しして始めることが負荷分散のために重要となります。
次に、「決算業務ツールの導入」です。会計ソフトなどの決算業務ツールは自社で決算業務をおこなう場合には、経理担当者の負担を減らしミスを減らすためにも有効ですので、導入して決算業務の効率化を進めていきましょう。また近年は安価で便利なクラウド会計サービスが多数提供されていますので、インストール会計サービスよりもお薦めです。
最後に、「アウトソーシングの利用」です。自社に経理人員が不足している場合や、事業にコア業務に社員を専念させたい場合などはアウトソーシングも決算業務の効率化の選択肢となります。自社で決算業務ツールを導入して決算をおこなう場合(可能であれば)と、アウトソーシングする場合の費用を比較してより有利な方法を選択することになります。
ここまで決算業務の流れと決算業務の各ステップでおこなう作業について説明し、決算業務を効率化する方法について説明しました。決算業務の効率化を検討されるさいに参考となれば幸いです。