1月23日、金融・経済情報を配信する総合情報サービス会社の米ブルームバーグが「金融サービス企業男女平等指数（BFGEI）」を発表しました。男女平等指数では参加企業を対象に役員における女性比率などの統計情報をもとに、企業の社会性や透明性、男女平等に取り組む企業を選定するものです。
ブルームバーグは調査を行った結果、職場環境の男女平等化に取り組む企業が増え、男女平等指数が拡大していると発表しました。
目次
- 1 日本企業も参加した「金融サービス企業男女平等指数」とは？
- 2 調査結果の概要
- 2-1 BFGEIの主なポイント
- 2-2 一般の金融サービス会社に対してBFGEI参加企業の女性役員率は高い
- 2-3 日本からは4社が参加
1 日本企業も参加した「金融サービス企業男女平等指数」とは？
調査を行った米企業ブルームバーグ※は、株価や債券相場、ポートフォリオなどの情報の配信・分析を行う大手の金融情報サービス会社です。
同社は、2002年～2013年までニューヨーク市長を務めたマイケル・ブルームバーグによって創業され、現在は世界100カ国以上の15万人を超えるユーザーの情報配信を行います。
ブルームバーグは昨今の多角化・複雑化する投資家のニーズに応えるため、昨年独自に金融サービス企業男女平等指数を開発しました。
※ 1987年にアジア太平洋地域における初の支店として東京オフィスを開設。そして2008年にはブルームバーグニュース支局を大阪に開設するなど日本に積極的に進出している。
2 調査結果の概要
2017年の参加対象国は日本、オーストラリア、ブラジルなど17カ国に広がり、52社が選定されました。ブルームバーグによれば各社とも、最高水準の社会的指針や慣行の導入と情報開示に積極的に取り組んでおり、男女平等の報酬体系、サプライヤーに対するダイバーシティ・プログラム、女性顧客の保持率など各種データの提供に非常に協力的だったと評価しました。
2-1 BFGEIの主なポイント
男女平等の職場環境の構築に積極的に取り組んでいるかどうかが基準となり、60以上のスコアを獲得した企業を指標に組み込みました。
BFGEI（金融サービス企業男女平等指数）参加企業の取締役会における女性比率の平均は約24％となりました。また、上級管理職の女性比率は2014年度から2015年度にかけて25.2％上昇しました。
・調査結果概要
| BFGEI参加企業の取締役会における女性比率の平均割合 | 24％ |
|---|---|
| 2014～2015年度における上級管理職の女性比率の上昇率 | 25％ |
| 性別にとらわれない管理職候補者リストを作成した企業割合 | 73％ |
| 女性に対して金融業界に関する研修プログラムを実施または資金援助している企業割合 | 83％ |
| 男女別に一単位時間あたりに支払われる賃金を追跡・記録している企業数 | 9社 |
| 女性の復職プログラムを導入している企業割合 | 9社 |
（参照：Bloomberg）
女性の取締役比率3割を主張する「30％クラブ」会長のピーター・グラウアーはBFGEIに参加する企業が増えたことについて、
「大変喜ばしいことであり、このように（参加企業が）リーダーシップを発揮して取り組んでいただいていることを心強く感じています。開放的な職場環境の構築に対する各社の取り組みをきっかけに、あらゆる組織が直面するさまざまな課題についての認識が高まっています」（参照：Bloomberg）
とコメントしました。
2-2 一般の金融サービス会社に対してBFGEI参加企業の女性役員率は高い
また、BFGRIに参加する企業とその他の金融サービス系企業の女性役員の割合は、前者の方が2倍以上高いことが分かりました。
・女性役員の割合
| 一般の金融サービス会社 | 12％ |
|---|---|
| BFGRI参加の金融サービス会社 | 26％ |
（参照：Bloomberg）
BFGRI参加企業は他の金融サービス系に比べて男女平等の課題に対して積極的に取り組んでおり、投資家はこうした取り組みを行う企業により好感を持つ傾向にあるとされています。
同社で戦略・企業開発部門の責任者を務めるアンジェラ・サン氏は
「企業はこれまで以上に業務リスクの管理を重視するようになっており、社員の確保や定着もその一環です。一方で、投資家は企業のリスク認識度を計る新たな基準を求めており、男女平等を含む社会やガバナンスに関するデータへの需要は一段と高まっています。BFGEI（金融サービス企業男女平等指数）により、業務リスクの管理や投資家の資本を呼び込むにあたり、極めて重要な要素である企業のビジネス慣行や方針についての透明性が向上します」（参照：Bloomberg）
と語ります。
2-3 日本からは4社が参加
選定された全52社のうち、日本は、みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、MS&ADホールディングス、大和証券グループの4社となりました。
大和証券グループの日比野隆司社長は、
「当社は、ダイバーシティに関する方針の設置、女性管理職の登用状況、外部コミュニティへの支援、情報開示の状況などが評価され、選定企業の1社に選ばれました。今後も、多様な価値観を持つ人材が能力を最大限発揮できる環境整備をさらに加速し、尚一層のサービス水準の向上に努めてまいります」（参照：大和証券グループ プレスリリース）
とコメントしました。
・ 2017年ブルームバーグ「金融サービス企業男女平等指数」に選定された企業（※赤字が日本企業）
AIA グループ（AIA Group）
アリアンツ・グループ（Allianz）
アメリカン・エキスプレス（American Express）
オーストラリア・ニュージーランド銀行（Australia & New Zealand Banking）アクサ（AXA）
サンタンデール銀行（Banco Santander）
バンク・オブ・アメリカ（Bank of America）
バンク・オブ・モントリオール（Bank of Montreal）
バンク・オブ・ニューヨーク・メロン（Bank of New York Mellon）
クイーンズランド銀行（Bank of Queensland）
バークレイズ（Barclays）
BBセグリダーデ・パルティチパソエス（BB SeguridadeParticipacoes）
BNP パリバ（BNP Paribas）
カナディアン・インペリアル・バンク・オブ・コマース（CIBC）
シティグループ（Citigroup）
大和証券グループ本社（Daiwa Securities Group Inc.）
ドイツ銀行グループ（Deutsche Bank）
フィフス・サード・バンコープ（Fifth Third Bancorp）
ファースト・データ（First Data）
フランクリン・リソーシズ（Franklin Resources）
グルポ・フィナンシエロ・インブルサ（GrupoFinancieroBanorte SAB de CV）
恒生銀行（Hang Seng Bank）
ハートフォード・ファイナンシャル・サービシズ（Hartford Financial Services）
HDFC 銀行（HDFC Bank）
ING グループ（ING Groep）
イタウ・ウニバンコ・ホールディング（ItauUnibanco Holding）
JP モルガン・チェース・アンド・カンパニー（JPMorgan Chase）
メイバンク（Malayan Banking）
マスターカード（Mastercard）
メットライフ生命（MetLife）
三菱UFJフィナンシャル・グループ（Mitsubishi UFJ Financial）
みずほフィナンシャル・グループ（Mizuho Financial）
モルガン・スタンレー（Morgan Stanley）
MS&ADインシュアランス・グループ・ホールディングス（MS&AD Insurance）
ノルデア・バンク（Nordea Bank）
オールド･ナショナル･バンコープ（Old National Bancorp）
パーク・ナショナル（Park National）
PNCファイナンシャル・サービシズ・グループ（PNC Financial Services）
プルデンシャル（Prudential）
QBEインシュアランス・グループ（QBE Insurance）
カナダロイヤル銀行（Royal Bank of Canada）
ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ（Royal Bank of Scotland）
スタンダード・チャータード銀行（Standard Chartered）
ステート・ストリート・グループ（State Street）
スウェドバンク（Swedbank）
トロント・ドミニオン・バンク（Toronto-Dominion Bank）
ガランティ銀行（トルコ）（TurkiyeGarantiBankasi）
UBS グループ（UBS）
ビザ（Visa）
ボヤ・ファイナンシャル（Voya Financial）
ウェストパック銀行（Westpac Banking）
チューリッヒ保険会社（Zurich Insurance）
