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【苦肉の策?】佐川急便、週休3日制導入で人手不足解消を狙う

(出展:Wall Street Journal)
(出展:Wall Street Journal)

佐川急便が宅配ドライバーに週休3日制を導入したというニュースが話題を呼んでいます。

 

佐川急便は6月、一部の正社員を対象に、通常業務時間を8時間から10時間とすることで、週休を3日とする制度の導入を始めました。激務で知られる宅配ドライバーの長時間労働化を解消するのが狙いで、政府が進める働き方改革を意識した措置とみられます。

 

人手不足が深刻化している宅配業界。大企業で異例の週休3日制の導入は十分なドライバー確保につながるのでしょうか。

 

 

目次

  1. 1 導入された週休3日制度とは
  2. 1-1 労働時間を8時間から10時間に
  3. 1-2 空いた時間で副業もOK
  4. 2 荷役作業をAIに?新エンジンの開発で省人化
  5. 2-1 物流画像判別AIエンジンとは
  6. 2-2 2020年度末までに累計100億円の売上げを目指す
  7. 3 ロジスティクス4.0が必須な日本

 

1 導入された週休3日制度とは

佐川急便が導入した新制度は、労働基準法で規定されている変形労働時間制を利用したものになります。

 

変形労働時間制とは、一定の単位期間について、労働基準法上の労働時間の規制を、1週および1日単位ではなく、単位期間における週あたりの平均労働時間によって考える制度です。

 

労働基準法32条は、1週40時間・1日8時間という労働時間を原則としますが、変形労働時間制では、労働時間の長い週または日と、短い週または日との間で、労働時間を平均し、その平均時間が週40時間を超えるか否かを調整することができます。(参照:労働政策研究・研究機構「変形労働時間制とは何ですか」

 

変形労働時間制には裁量労働制※やフレックスタイム制のような種類があり、医療や介護などさまざまな現場で採用されています。

 

※ 労働基準法32条…使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。 ※ 裁量労働制とは、業務の遂行方法が大幅に労働者の裁量に委ねられる一定の業務に携わる労働者について、労働時間の計算を実労働時間ではなくみなし時間によって行うことを認める制度。(参照:独立行政法人 労働政策研究・研修機構) ※ フレックスタイム制とは、労使協定に基づき、労働者が各自の始業時刻と終業時刻を原則として自由に決められる制度。(参照:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)

 

 

1-1 労働時間を8時間から10時間に

佐川急便は変形労働時間制を利用して1日当たりの労働時間を8時間から10時間に変更しました。普段より2時間延長することで、2時間×4日=8時間となり、1日分の労働時間を確保し、週休2日制と同じ週40時間を維持できることになります。

 

また、給与水準も週休2日制とほぼ同じの18万円〜26万円(都内営業所の場合)としました。
現在、週休3日制の募集は都内と山梨県など一部に限られますが、応募の状況次第で全国的に展開することも予想されています。

 

 

1-2 空いた時間で副業もOK

さらに、佐川急便は週休3日制より会社以外で過ごす時間が増えることを利用して、副業を認める方針であることを明らかにしました。

 

このほか、副業を認める流れは大企業を中心に広まりを見せており、たとえばロート製薬による社員の副業・兼業)容認制度では、本業に支障をきたさないものを条件として、土日・祝日・終業後に収入を伴った仕事(=副業)を認めるのが「社外チャレンジワーク制度」を採用しています。

 

・ 副業を容認している企業とその意見

企業名 意見
有限会社 ピジョン アシガル屋 副業で得た知識を活かして、本業に貢献してくれる。
株式会社オー ティーエス 副業容認が定着率向上に寄与すると期待している。
株式会社オルトリズム ビジネスチャンスをスピーディーにキャッチできる。
トレンダーズ株式会社 経験豊富なスペシャリストの採用に繋がる
有限会社山地林業 業を続けながら、長く働いてもらうことが出来る。
株式会社リクルートキャリア 自立してキャリアを切り拓く人財の育成に繋がる。
株式会社ループス・コミュニ ケーションズ 個人活動が企業ブランドを高め、企業ブランドが個人に誇りを持たせる

(参照:中小企業庁「平成26年度兼業・副業に係る取組み実態調査事業」)

 

副業を容認している会社は、リクルートキャリアによれば全体の2割ほどで、建設業やサービス業が中心となります。一方、副業に否定的な会社は、社員の過重労働の抑制や、情報漏洩のリスク、労働時間の管理・把握が困難といったことを理由として容認しないケースが目立ちました。

 

 

2 荷役作業をAIに?新エンジンの開発で省人化

人手不足による労働生産性の減少を食い止めるため、荷物の積み降ろしや倉庫からの出し入れなどの荷役作業を人工知能(AI)に行わせようとする取り組みが実験されています。

 

 

2-1 物流画像判別AIエンジンとは

佐川急便のプレスリリースによると、佐川はNTTデータおよび経済産業省と連携して、多種多様な荷物の形状、寸法、取り扱い、汚破損などを画像から自動的に判別する物流画像判別AIエンジンの適用実証に協力しています。

 

物流画像判別AIエンジンとは、スマートフォンや固定カメラが撮影した映像データを解析して、荷物の形状などを最大1000種類まで自動的に判別する装置です(参照NTTデータ)。

 

NTT

(参照:NTTデータ ニュースリリース 2017年5月31日付)

 

倉庫作業の一部をAIロボットに行わせることで、重労働だった積み込み・積み降ろし作業の軽減や、検品・梱包作業の簡略化・効率化、またはドローン等による棚卸し作業の自動化を図ることができます。

 

NTTデータ

(参照:NTTデータ ニュースリリース 2017年5月31日付)

 

佐川急便は、新しいAIエンジンの開発に参加協力していることについて

 

「社会問題化している物流需給ひっ迫を解決するために、人手に依存したオペレーションのAIによる自動化に着目した、物流業務変革コンサルティングサービスの提供を開始しています。最新のディープラーニング※技術を取り入れたAIエンジンの応用範囲は幅広く、倉庫の入庫検品、仕分け、積み降ろし業務のロボット化と言った物流業務のみならず、他分野にも役立てることができます。」(参照:佐川急便 ニュース2017

 

と述べています。

 

 

2-2 2020年度末までに累計100億円の売上げを目指す

佐川急便は通常の仕分け作業を行う現場で画像診断テストに協力し、近い将来に訪れる労働力不足に備えて、倉庫内作業の省人化の実現を目指すとしています。
また、NTTデータは、物流業務におけるAIの導入方法論を活用し、コンサルティングサービスと「物流画像判別AIエンジン」等を含むシステムの提供を通じて、2020年度末までに累計100億円の売上を目指すとの目標を掲げました。

 

※ ディープラーニングとは、ヒトの脳の神経回路に似たニューラルネットワークをベースとした手法で、データの特徴をより深く学習することができる。

 

 

3 ロジスティクス4.0が必須な日本

佐川急便の例のように、AIやIoTにより物流システムを合理化しようとすることをロジスティクス(Logistics)といい、流通業や製造業などの競争力強化のため世界各国の国家戦略として熱心な取り組みが行われています。

 

・ ロジスティクスの変遷

ロジスティクス

(参照:経済産業省「我が国ものづくり産業が直面する課題と展望」)

 

現在進んでいる第4次物流革新「ロジスティクス4.0」では、自動運転トラックの完全導入や、その他物流工程の省人化を実現しようとしています。たとえば、全日本トラック協会によると、国内のトラック運送事業者の運送コストのうち最も高いのは人件費であり、全国平均では平成25年度で約4割となります。IoTによる省人化が実現すれば、人件費をカットすることができます。

 

このほか、アマゾンが導入した棚運搬ロボットによるピッキング作業の自動化が有名です。

 

「倉庫ロボットの導入による大胆な省人化を実現した事例としては、固定棚運搬ロボットを開発していた KIVA Systemを買収した Amazonは、ロボットを用いて棚自身を移動させ、箱詰めを行う人の作業領域まで運搬するという逆転の発想で、人がピッキングのために移動する作業をすべて自動化。大幅な人件費の削減を実現した。また、商品搬送用のコンテナや台車を RFID タグでトラッキングすることで、個々の商品の物流状況を一元的に把握し、効率化を達成する事例も存在する。」(参照:経済産業省「我が国ものづくり産業が直面する課題と展望」)

 

人口減少社会に突入している日本は、世界より早く、人がこれまで行っていた作業を機械に任せざるを得ない状況になることが予想されます。
人手不足による労働力の低下が深刻化する前に、効果的な解決策を日本全体で考えていかなければならないのかもしれません。

 

 


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