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シャープに復活の兆し?〜3年ぶり、経常利益が黒字に転化

(出典:AFPBB News)
(出典:AFPBB News)

経営再建中のシャープから久々に明るいニュースが届けられました。昨年の3月期末で債務超過に転落してからわずか1年で経常利益を黒字に転化させたことがわかりました。

 

シャープは昨年8月に台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業による買収が完了したばかり。戴正呉社長は2018年までに東証一部の復帰を目指すとしていますが、シャープは世界的企業としての栄光を取り戻すことはできるのでしょうか。

 

目次

  1. 1 赤字転落から経営危機、買収に至るまで
  2. 1-1 没落のきっかけは韓国企業への半導体技術の供与
  3. 1-2 過去最大の赤字記録と希望退職の募集
  4. 1-3 救いの手を差し伸べた台湾企業
  5. 2 シャープ復活計画~鴻海が仕掛ける改革とは
  6. 2-1 役職の廃止、社長室を新設
  7. 2-2 「研究開発事業本部」への改称
  8. 3 今後の展望は?

 

1 赤字転落から経営危機、買収に至るまで

戦前に創業者早川徳次※がシャープペンシルを発明したことが現在の社名に由来するシャープ株式会社。世界初のオールトランジスタ電卓※や国産初のターンテーブル式家庭用電子レンジなど数々のヒット商品を生み出してきました。東芝、パナソニック、ソニーと並ぶ日本の大手家電メーカーとして世界に名を馳せ、高度経済成長期の電子作業を支えました。

 

※ シャープの創業者。18歳で独立。「早川式繰出し鉛筆」(シャープペンシル)や「徳尾錠」(ベルトのバックル)の発明者としても知られる。

 

 

1-1 没落のきっかけは韓国企業への半導体技術の供与

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(出典:AP)

 

1980年代、世界でも指折りの半導体技術を有していたシャープは、半導体事業に進出したばかりの韓国・サムスングループ(現サムスン電子)の社員を技術訓練生として受け入れていました。

 

当時シャープは技術移転に積極的ではなかったものの、サムスン社員はイ・ビョルショル会長の「技術を完全に伝授してもらうまで戻ってくることを考えるな」との厳命の下、必死に技術を習得。韓国に帰国後は学んだ技術をつなぎあわせ、現在の世界最高の半導体企業・サムスン電子誕生に至ります。(参照:中央日報

 

※ シャープが開発したのは世界初のオールトランジスタ・ダイオード電卓「コンペット CS-10A」。事務・経理作業の大幅な効率化を実現した。歴史的な偉業としてイギリスの大英科学博物館にも永久保存されている。発売当初の価格は53万5,000円、重量は25kgもあった。(参照:電卓博物館)

 

 

1-2 過去最大の赤字記録と希望退職の募集

安い人件費や生産コストから作られるサムスンの半導体機器に対抗することができず、シャープの経営状態は次第に悪化します。売上高の約3分の1を占める液晶事業の不振も続き、2013年3月期の連結決算では5000億円前後の赤字となりました。2期連続となる過去最大の赤字更新に、世間ではシャープの没落が囁かれるようになります。

 

さらに2012年には国内で働く45歳から59歳までの社員を対象に希望退職の募集を始め、2016年までの4年間で計6000人の従業員がシャープを去りました。

 

・退職者の推移

退職者

 

 

1-3 救いの手を差し伸べた台湾企業

経営に苦しんでいたシャープは2012年、台湾企業の鴻海精密工業と業務提携契約を結びました。
鴻海精密工業は、電子機器受託製造サービス(EMS※)としては世界最大手の企業。アップル社・iPhoneの製造などを一手に引き受けていることでも有名です。

 

・鴻海EMSの仕組み

ビジネスモデル

(参照:ビジネス+IT

 

 

2 シャープ復活計画~鴻海が仕掛ける改革とは

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(出典:Nikkei Asian Review)

 

昨年5月、シャープが東証一部から二部へと指定替えされると同時に、新社長に鴻海グループ元副総裁の戴正呉※が就任。経営再建に向けた本格的な改革が始まりました。

 

※鴻海の役員は昨年で退任。鴻海精密工業に1985年に課長として入社。台湾では「現代のチンギス・ハン」とも呼ばれている。

 

 

2-1 役職の廃止、社長室の新設

功労者には必ず褒美を与え、罰すべき者は必ず罰するという「信賞必罰」の理念のもと、人事改革に着手。組織構造を抜本的に見直し、経営計画や人事などあらゆる権利を握る社長室を新たに設けることで経営のスピードを速めて早期の黒字化を目指しました。

 

さらに、トップの社長室長を除き、部長や参事など約200人の社員の役職は「フラットにすべきだ」として、全て廃止。社内の電話帳からも役職部分が削除されました。さらに執行役員も大幅に削減。組織のスリム化が図られました。(参照:毎日新聞

 

 

2-2 「研究開発事業本部」への改称

また、経営改革の一環として組織改革で実施した「研究開発事業本部」へ改称しました。従来の「研究開発本部」に「事業」という単語を追加しただけでなく、研究開発本部も自ら稼ぐ姿勢を盛り込んだものといえます。

 

戴社長は、今年1月、社内イントラネットを通じて

「一人ひとりのスキルの向上、変革マインドの醸成、外部からの血の注入などを通じて、個の力を高めていくことが、環境変化にも動じず、持続的な成長を実現する本当に強い組織を創り出すことに繋がると考えている。だが、まずは、社員が、『自ら成長したい』、『自らが変革を担う』といった当事者意識を持つことが必要である」(参照:マイナビニュース

と、社員に呼びかけました。

 

 

3 今後の展望

戴社長による改革の成果は早くも現れます。
昨年4~6月期連結決算は、本業のもうけを示す営業損益が数十億円の赤字となり、前年同期の287億円から大幅な赤字縮小となりました。

 

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(参照:毎日新聞

 

さらに今年に入ると2017年3月期の連結経常損益が99億円の黒字になる見通しと発表しました。前期(2016年の3月期)は1924億円の赤字でしたが、3期ぶりの黒字転換となりました。

 

戴社長は、今後の展望について

「当社がこれまで培ってきた強固なDNAや、創業の精神として会社を導いてきた経営信条「誠意と創意」に基づき、ブランド力をさらに強化し、輝けるグローバルブランドを目指す。さらに、鴻海との戦略的提携を推進し、両社の強みを活かした幅広い分野での協業を通じ、大きなシナジー(相乗)効果を創出し業績向上に向けて邁進(まいしん)する」とコメントしました。(参照:シャープ

 

 


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