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情報通信企業の前年度の売り上げ、過去最高を更新して48兆円に

今年3月、総務省および経済産業省共同による「情報通信業基本調査」が発表され、情報通信業の売り上げは48兆504億円となり、過去最高を更新しました。2010年の調査開始以降、一貫して前年度を上回ります。

 

業種別では「インターネット付随サービス業」の売り上げは2兆3954億円で前年度比17%増と大幅に増加。情報サービス業においても前年度売り上げだが6年連続増加。情報通信市場の拡大が顕著となっています。

 

本記事では情報通信業基本調査結果をもとに、情報通信業の現況を解説していきます。

 

 

目次

  1. 1 情報通信業の売上高48兆504億円に
  2. 1-1 調査開始時から伸びつづけている
  3. 1-2 インターネット付随サービスが大幅増加
  4. 2 情報通信企業の従業員数はほぼ横ばい
  5. 2-1 もっとも多いのは「ソフトウェア業」、「情報処理・提供サービス業」
  6. 2-2 8割以上が正社員?
  7. 3 今後展開したい事業分野はクラウドコンピューティング

 

1 情報通信業の売上高48兆504億円に

今年3月に発表された「平成28年情報通信業基本調査」は、有効回答企業5474社についての平成27年度末時点までの実績値をまとめた報告書です。情報通信業とは、電気通信業、民間放送業、有線放送業、ソフトウェア業、情報処理・提供サービス業、映像情報制作・配給業、音声情報制作業、新聞業、出版業、広告制作業、映像・音声・文字情報制作に付帯するサービス業、テレビジョン・ラジオ番組制作業をいいます。

 

 

1-1 調査開始時から伸びつづけている

平成27年度の情報通信業を営む企業の売上高が前年比2.9%減となる71兆9513億円だったものの、情報通信業の売り上げに限れば前年度比3.3%増加の48兆504億円となりました。調査開始の2010年より毎年1〜2兆円の高い伸びを記録しています。

 

  情報通信業の売り上げ その他の売り上げ
2009年 41兆2533億円 50兆828億円
2010年 41兆3861億円 63兆4320億円
2011年 42兆2784億円 64兆342億円
2012年 42兆5028億円 67兆1076億円
2013年 44兆5732億円 72兆3726億円
2014年 46兆5275億円 74兆824億円
2015年 48兆504億円 71兆9513億円

(参照:総務省公表資料より作成)

 

情報通信

(参照:総務省「平成28年情報通信業基本調査」)

 

 

 1-2 インターネット付随サービスが大幅増加

また、情報通信業を業種別(電気通信業、ソフトウェア業、情報処理・提供サービス業、インターネット付随サービス業、民間放送業、有線放送業、テレビ・ラジオ・番組制作業)にみると、「インターネット付随サービス業」を営む企業数は545社で、2015年度売上高は前年度比26.7%増加となる2兆3,954億円となり、調査開始以来最高を記録しました。

 

また高い伸びで成長してきたソフトウェア業は、受託開発が最も多く、売上高は15兆1356億円となります。

 

回答のあった企業について、その割合をサービス別にみると、ウェブ情報検索サービス業が前年度比8.3%の増加となる94.8%と最も高くなりました。次いで電子掲示板・ブログサービス・SNS運営業71.8%、ショッピングサイト運営業及びオークションサイト運営業30.6%、ウェブコンテンツ配信業16.0%とつづきました。

 

・ 2015年の業種別売上高

電気通信業 16兆6376億円
ソフトウェア業 15兆1356億円
情報処理・提供サービス業 5兆6150億円
インターネット付随サービス業 2兆3954億円
民間放送業 2兆3108億円
有線放送業 1兆2188億円
テレビ・ラジオ・番組制作業 4323億円

(参照:総務省公表資料より作成)

 

付随

(参照:総務省「平成28年情報通信業基本調査」)

 

 

2 企業の従業員数はほぼ横ばい

他業界と同じように人材不足が叫ばれるIT業界。平成27年度の情報通信業を営む企業の従業員数は前年度比0.7%減となる162万4851人でした。

 

 

2-1 もっとも多いのは「ソフトウェア業」、「情報処理・提供サービス業」

IT企業の従業員数は2009年から2010年にかけて200万超の増加となった以降も緩やかに上昇。また2012年から2013年にかけて100万人超増加したあとは緩やかに減少しています。

 

業種別にみると「ソフトウェア業」、「情報処理・提供サービス業」の割合がもっとも多く増加傾向にあるものの、「電気通信業」は緩やかな減少傾向となります。このほか「インターネット付随サービス業」は増加傾向を維持しています。

 

2015年度の従業員数は、「情報処理・提供サービス業」64万5967人、「ソフトウェア業」87万1744人、「インターネット付随サービス業」22万4000人、「電気通信業」16万1142人、民間放送業4万298人、テレビ・ラジオ番組制作業3万574人、有線放送業1万9703人となります。

 

・ 2015年の業種別従業員数

ソフトウェア業 87万1744人
情報処理・提供サービス業 64万5967人
インターネット付随サービス業 22万4000人
電気通信業 16万1142人
民間放送業 4万298人
テレビ・ラジオ番組制作業 3万574人
有線放送業 1万9703人

(参照:総務省公表資料より作成)

 

従業員

(参照:総務省「平成28年情報通信業基本調査」)

 

 

2-2 8割以上が正社員?

情報通信業を営む企業の従業員のうち、正社員・正規職員数は前年度比1.3%減となる131万7,193人で、81.1%となります。一方、パートタイム従業員は前年度比2.9%減となる20万4251人、受け入れ派遣従業者は前年度比5.1%増の13万8,075人となりました。

 

・ 情報通信業の従業員数の内訳

  26年度 27年度
正社員・正規職員 1,041,772 1054,533
パートタイム従業員 98,290 104,226
その他常時雇用 59,397 67,638
臨時・日雇い雇用者 6,255 6,827
受け入れ派遣従業員 110,742 117,081
従業員全体 1,205,714 1,233,224

(参照:総務省公表資料より作成)

 

・ 情報通信業における常時従業員数の構成比推移

  正社員・正職員 パートタイム従業員 その他
23年度 88.2% 7.0% 4.8%
24年度 87.5% 6.8% 5.7%
25年度 87.2% 7.9% 4.8%
26年度 86.9% 8.2% 5.0%
27年度 86.0% 8.5% 5.5%

(参照:総務省公表資料より作成)

 

 

3 今後展開したい事業分野はクラウドコンピューティング

インターネット付随サービス業を営む企業が、今後新たに展開したいと考えている事業分野について調査したところ、「クラウドコンピューティング」が21.1%と最も多くなりました。ついでウェブコンテンツ配信18.6%、情報ネットワーク・セキュリティ・サービス18.0%、情報処理・提供サービス14.4%となりました。

 

・新たに展開したい事業分野

  25年度 26年度 27年度
クラウドコンピューティング 23.2% 22.9% 21.1%
ウェブコンテンツ配信 17.7% 17.6% 18.6%
情報ネットワーク・セキュリティ・サービス 14.3% 15.6% 18.0%
情報処理・提供サービス 14.3% 13.7% 14.4%
その他のインターネット付随サービス業 30.0% 31.7% 34.5%

(参照:総務省公表資料より作成)

 

 


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