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【音楽市場世界2位の日本】昨年の国内音楽市場、わずかに減少して2985億円に

(出展:CBS Los Angeles)
(出展:CBS Los Angeles)

日本レコード協会は、今年4月、昨年の国内音楽市場におけるソフト生産額と有料音楽配信売上金額の合計額が前年比99%となる2985億円だったと発表しました。
CDが売れないと言われる昨今の音楽業界。CDシングルの売上枚数は前年より減少するものの、金額では4年ぶりに前年を上回りました。
一方、有料音楽配信の売上は前年比12%の529億円で、3年連続の増加となりました。

 

有料ソフトと有料音楽配信の構成比率では、音楽ソフトが82%と、国内ではデータ配信よりもCDが主流であることを裏付けました。

 

またオーディオレコードに占める邦楽と洋楽の比率については、邦楽1576億円に対し、洋楽200億円とその差は89:11にまで広がり、洋楽の衰退が進んでいることを示しました。

 

世界に目をむければ、音楽市場1位のアメリカはストリーミングが主流となっており、構成比でCD販売は2割程度にとどまるなど、日本のガラパゴス化がより顕著になってきました。

 

 

目次

  1. 1 減少が止まらない音楽ソフトの売上額
  2. 1-1 音楽ソフトの金額推移
  3. 1-2 有料配信の売上げ、4年連続の増加
  4. 2 邦楽と洋楽の市場構成比9:1
  5. 2-1 総生産金額は2010年の半分以下に
  6. 2-2 音楽ビデオ新譜数では昨年の半分
  7. 3 ガラパゴス化が進む日本の音楽市場
  8. 3-1 ストリーミングが主流のアメリカ
  9. 3-2 高齢化と日本の音楽市場

 

1 減少が止まらない音楽ソフトの売上額

日本レコード協会は、レコードの生産実績、有料音楽配信売上、新譜·カタログ数など国内レコード産業の概要を網羅した「日本のレコード産業」を毎年発表しています。

 

レコード協会

 

今年4月に発表された2017年版では、3年ぶりに増加となった2015年度国内音楽総売上3015億円からわずかに減少し、16年度は2985億円となりました。内訳では、音楽ソフト生産金額は前年比3%減で2457億円、有料音楽配信売上は前年比12%増の529億円となりました。

 

 

1-1 音楽ソフトの金額推移

2016年の音楽ソフト売上は、オーディオレコード1777億円、音楽ビデオ680億円で計2457億円となりました。レコード、ビデオともに前年より減少しました。

 

・ 過去5年間の音楽ソフトの売上推移

売上 内訳
2012年 3108億円 レコード 2277億円
ビデオ 831億円
2013年 2705億円 レコード 1985億円
ビデオ 720億円
2014年 2542億円 レコード 1864億円
ビデオ 677億円
2015年 2544億円 レコード 1826億円
ビデオ 719億円
2016年 2457億円 レコード 1777億円
ビデオ 680億円

(参照:日本レコード協会「日本のレコード産業2017年」)

 

 

1-2 有料配信の売上げ、4年連続の増加

音楽CDの規模が縮小する一方で、有料音楽配信サービス市場は拡大の一途を辿ります。

 

2016年の総売上は前年比58億円増となる529億円で、配信方式では、ストリーミングサービスを示すサブスクリプション※方式が前年比62%増の200億円に達しました。

 

このほかシングルトラックは前年より15億円の減少で175億円、アルバム前年比4億円増の96億円となりました。

 

・ 過去5年間の有料音楽配信の売上推移

  2012 2013 2014 2015 2016
Master ringtones  46億円 20億円 11億円 8億円 6億円
Ringback tones 69億円 49億円 38億円 30億円 25億円
シングルトラック 336億円 226億円 206億円 190億円 175億円
アルバム 52億円 69億円 84億円 92億円 96億円
音楽ビデオ 17億円 10億円 7億円 6億円 4億円
サブスクリプション 10億円 31億円 79億円 124億円 200億円
その他 14億円 12億円 13億円 21億円 23億円
543億円 417億円 437億円 471億円 529億円

※ 音楽サービスにおけるサブスクリプション(subscription)は、1曲ごとに楽曲を購入するのではなく、月額定額・年額定額など利用期間に応じて料金を払うことで、期間内なら無制限に視聴できる音楽配信サービスを指す。

 

 

2 邦楽と洋楽の市場構成比9:1

今年の調査結果では、下降傾向にある洋楽市場の現状が明らかになりました。
2016年の音楽ソフト総生産(CD、アナログティすく、カセット、その他含む)の売上1777億700万円のうち、邦楽の売上1576億3600万円なのに対し、洋楽200億7100万円と、全体の1割にとどまりました。さらに邦楽が前年比1%の減少だったのに対し、洋楽は14%の減少でした。

 

 

2-1 総生産金額は2010年の半分以下に

オーディオレコードの総生産金額のうち、洋楽は2007年で765億だったものの、2010年で415万円に落ち込み、2016年では200億円と半分以下となりました。
一方、邦楽は、2007年に3333億でしたが、右肩下がりに下降し、2016年では1777億円と、こちらも半分近く縮小しました。

 

・オーディオレコードの総生産額推移

  邦楽 洋楽 合計
2007年 2568億円 765億円 3333億円
2008年 2316億円 646億円 2961億円
2009年 1936億円 560億円 2496億円
2010年 1835億円 415億円 2250億円
2011年 1727億円 389億円 2117億円
2012年 1923億円 355億円 2277億円
2013年 1677億円 307億円 1985億円
2014年 1557億円 307億円 1864億円
2015年 1591億円 235億円 1826億円
2016年 1576億円 200億円 1777億円

 

オーディオ

 

 

2-2 音楽ビデオ新譜数では昨年の半分

また、昨年1月〜12月に発売された音楽ビデオ新譜のうち、DVDの洋楽の新譜数は、2015年209タイトルから2016年114タイトルとほぼ半減しました。
一方、邦楽は2015年733タイトルから2016年733タイトルと変化がありませんでした。

 

・ 種類別新譜数の比較

    2015年 2016年
DVD 邦楽 733タイトル 733タイトル
洋楽 209タイトル 114タイトル
ブルーレイディスク 邦楽 517タイトル 484タイトル
洋楽 98タイトル 94タイトル

 

 

3 ガラパゴス化が進む日本の音楽市場

米国に次いで音楽市場世界2位の日本。ところが、米国をはじめ英国、ドイツ、フランスなど世界各国の市場からCDが撤退しているにも関わらず、日本では未だ主流の媒体です。

 

revenue_bycountry

(▲世界各国の音楽市場規模を面積であらわした図表)

 

日本では売上に占めるCDの割合が75%ほどですが、イギリスでは約35%、アメリカに至っては約20%となります。CDショップ数では、日本は6000店舗ほどありますが、アメリカは1900店舗、ドイツは700店舗しかありません。

 

この日本特有の消費行動はガラパゴス症候群の一つとされ、海外メディアも注目する現象となっています。

 

・ 世界各国の総売上に占めるCDの割合

世界比較

 

 

3-1 ストリーミングが主流のアメリカ

2016年の米国音楽市場は前年比11.4%の増加で77億ドル(約8620億円)となりました。市場が拡大したのは、ストリーミング購買層が倍増したことが主な要因と見られています。米国のストリーミングは市場の51.4%を占めます。

 

米国のストリーミング市場は、2011年時点では全体の9%にとどまりましたが、以降右肩上がりに上昇し、2016年に前年比17%増と過去最高の伸びを記録しました。

 

・ ストリーミング市場が占める割合の推移

全米音楽市場に占める割合
2011 9%
2012 15%
2013 21%
2014 27%
2015 34%
2016 51%

 

一方、CD製品やレコード、デジタルダウンロードなどは前年から引き続き大幅に減少しました。製品系は市場全体の21.8%で、デジタルダウンロードは24.1%にとどまります。

 

円グラフ

(参照:アメリカレコード協会)

 

 

3-2 高齢化と日本の音楽市場

超高齢化社会となった日本では、音楽ファンも高齢化した結果、未だにCDを買い続ける傾向にあるのではないかとの海外ニュースメディア「QUARTZ」は指摘します。事実、デジタル・ダウンロードサービスや、ストリーミングサービスを利用しているのは10代が中心です。

 

しかし、ファンが高齢化するなかでも日本のストリーミングサービス市場は拡大傾向にあるため、遅かれ早かれCD市場と逆転するだろうと言われています。

 

 


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