複数の韓国紙は8月、サムスン電子がスマートホーム時代の到来に向けて本格的に準備を開始したと報じました。
スマートフォンなどからネットを通じて家電製品をコントールすることができる“スマート家電製品”は近年増えており、スマートフォン市場を牽引するサムスンは、いち早く対応に乗り出す構えです。
同社ニュースリリースによれば、2020年までに全家電製品にスマート機能を搭載する予定で、「(サムスン製冷蔵庫の)『ファミリーハブ』のように、スマートホームを構築するための分野で重要な技術の蓄積と製品化に力を注いで、本格的なスマートホームの時代を準備している」と発表しました。
9月からドイツ・ベルリンで開催される家電見本市「IFA2017」で紹介する予定であることを明らかにしています。
スマート冷蔵庫の「ファミリーハブ」では、音声認識や人工知能を搭載させ、音声だけで制御できるようするのが目標だとしています。
すでに数々のスマート家電を打ち出しているサムスン。あらゆるモノがインターネットにつながるIoT時代の本格化を前に、競合メーカーを一歩リードしています。
1 スマート冷蔵庫「ファミリーハブ」、その驚きの機能とは
(出展:SMAhome)
製品発表とともに大きな反響を呼んだ、サムスン製冷蔵庫のファミリーハブ(Family Hub)。冷蔵庫でありながらドア部分に21.5インチのタッチスクリーンを搭載し、インターネットに接続することもでき、音声で食材やレシピの検索、注文まで行うことが可能です。
1-1 まさに未来の冷蔵庫
冷蔵庫内にはカメラが内蔵されており、ドアを閉めるたびに、カメラが庫内の様子を撮影。外出先でもスマートフォンで庫内を確認できるため、食材の買い忘れを防ぐことができるといったメリットがあります。
(スマートフォンで冷蔵庫の中を確認できる / 出展:Electrical Discount UK)
このほかタッチスクリーンでは、写真やカレンダーの表示、家族へのメモの表示もでき、もはやメッセージを伝えるために冷蔵庫にマグネットでメモ用紙を貼り付ける必要はないとのこと。さらにスピーカーが内蔵されており、料理中に音楽プレーヤーとして活躍させることもできます。
(出展:openxcell.com)
1-2 100万円する最高級スマート冷蔵庫も登場
今年3月に発売された同社のスマート冷蔵庫「シェフレコレクション・ファミリーハブ」は100万円する超高級冷蔵庫。音声操作やインターネット接続など従来のスマート機能に加えて、919リットルの大容量版で、韓国メディアによれば、発売直後の体験イベントでは200万件を超えるアクセスがあるなど大きな反響があったとしました。
(高級スマート冷蔵庫「シェフコレクション」 / 出展:Samsung SDS)
2 2020年をめどに家電製品を全てスマート化
サムスンは8月に発表したニュースリリースのなかで、家電製品全てに「ファミリーハブ」のように、家電製品全てに音声認識・人工知能技術を搭載した「スマートホーム」を目指す方針であることを発表しました。
ユーザーの立場で最も理想的なスマートホームを構築するため、音声認識と人工知能をベースにしたユーザー体験の革新のほか、複数の機器を簡単に接続・制御するためのプラットフォームの構築、さらにクラウドベースのサービスを強化する予定であることを明らかにしています。
2-1 家電の全てを音声制御可能に
「ファミリーハブ」では自然言語処理が可能な音声認識ベースの人工知能機能を適用して、音声を介して必要なレシピを見つけて料理し、さらに食材を注文することができます。今後は家庭のなかにある全ての電化製品をつなぎ、音声のみで制御できるよう進化させる方針です。
たとえば、料理中に汚れたキッチン周りを、「音声制御」によりロボット掃除機を呼んですぐに掃除させたり、洗濯置き場に行くことなく洗濯機を作動させたり、離れた場所から洗濯過程を監視することができるなど、さまざまな利用シーンが可能になると予想されています。
現在、スマートフォンから各家電製品を操作できるアプリ「サムスンコネクト」がすでにリリース中で、機器の種類、オペレーティングシステムに関係なく、クラウドをベースに接続されたすべての製品を一つのアプリで制御可能にしたものとなります。
(スマホアプリ「サムスンコネクト」ではテレビ、エアコン、スピーカー、洗濯機、冷蔵庫などの家電製品を操作することができる / 出展:Samsung)
サムスンによれば、今後、スマートフォンはスマートホームの構築において各機器を制御する人工知能の役割を、「ファミリーハブ」はキッチンから各機器を音声認識で制御するハブ機能になることが期待されています。
2-2 スマート家電業界を牽引しようするサムスン
現在は、サムスンの家電製品の多くが、スマートフォンや音声認識で制御可能で、今後対応可能な製品を順次拡大していく方針です。
さらに、現在配信されている人工知能による「リモート診断サービス」をサムスンコネクトアプリと連携させ、スマートフォンを介して各製品の状況をリアルタイムに把握し、解決することができるサービスの提供を目指します。
昨年7月から米国に販売が開始された「サムスンコネクトホーム」も、スマートホームの構築において重要な役割を担うとします。サムスンコネクトホームは、Wi-Fiルータとハブ機能の2つを提供する製品で、連動可能な約130個の危機を接続してスマートホーム環境を構築します。
この製品は、「サムスンコネクトホーム」、「サムスンコネクトホームプロ」など2種に、米国、カナダ、ヨーロッパなどに順次発売する予定です。また韓国を含むほかの国の市場にも導入を検討しているとのことです。
(出展:Domotica.nl)
サムスン生活家電事業部の構成機常務は、「人工知能、音声認識、クラウドなどIoT関連技術は、私たちが予測するよりもはるかに速い速度で発展するだろう」とし、「これらの技術の進歩が消費者の日常に意味のある変化をもたらすことができるように貢献し、業界の生態系を強化していく」と述べました。
じわじわと普及を見せ始めているスマート家電。サムスン電子の快進撃は終わりそうにありません。