安倍政権の目玉の政策の一つでもある女性の雇用の拡大。その柱として制定されたのが女性活躍推進法です。会社の経営者になるなら最低限は知っておきたい、女性の登用に関する法律知識をご紹介します。
目次
- 1 女性の登用を増やすことが狙い
- 2 大企業は義務、中小企業は努力義務
- 2-1 大企業に義務付けられた行動計画の内容
- 2-2 認定制度の創設
- 2-3 助成金の活用
- 3 女性役員を15%に
1 女性の登用を増やすことが狙い
企業のさまざまなシーンにおいて、女性の登用を促す女性活躍推進法が2016年より施行されています。採用比率はもちろんのこと、管理職の割合に関する数値目標の設定や、その公表などを義務付けています。
女性が企業に採用される機会を増やし、活躍を推し進めるのが狙いで、家庭生活との両立をしながら働き続けられる環境づくりを目指します
なお、女性活躍推進法は、2025年までの時限立法となっています。
2 大企業は義務、中小企業は努力義務
女性活躍推進法では、女性の採用をどのように進めるかについての行動計画を作成することが義務付けられています。
ただ、行動計画を示さなければならないのは、従業員301人以上の大企業に限られます。また雇用主としての国や地方自治体、学校、病院などに対しても同様の義務が課せられます。
なお、300人以下の中小企業に対しては行動計画の作成は努力義務となっています。
2-1 大企業に義務付けられた行動計画の内容
企業の行動計画には、女性の活躍の課題を解決するための数値目標※や取組内容とその期間などが含まれます。
また、現在の女性の採用状況や管理職の比率、勤続年数の男女差、労働時間の差などの項目に対して、それぞれの企業が任意に選ぶことができます。
行動計画の策定を行わない大企業に対して国は報告の提出を求めることができます。仮に企業が虚偽の報告をした場合、罰則を受けることになります。
しかし、策定した行動計画を実行しなかったり、目標を達成できなかったりした場合は、罰則規定は適用されません。
※ 性別による男女の役割分担意識や、過去の経緯から企業内で男女の労働者の間に生じている差を解消しようと企業が行う取組をポジティブアクションという。
2-2 認定制度の創設
また、優れた取組をする企業を厚生労働大臣が認定する制度も導入されました。認定された企業は商品や広告に認定マークをつけることができ、事業入札では受注が優遇されるなどの措置が講じられます。
さらに、認定マークを活用することで、女性の活躍が進んでいる企業として、企業イメージの向上や優秀な人材の確保につながるといったメリットがあります。
・女性活躍の「えるぼし認定マーク」
えるぼし認定マークは、都道府県労働局への申請により、厚生労働大臣の認定を受けることができます。
①採用、②継続就業、③労働時間等の働き方、④管理職比率、⑤多様なキャリアコースの5つの評価項目を満たす項目数に応じて取得できる認定段階が決定します。
このうち、5つの基準を全て満たしている企業は3段階目のマーク、3〜4つの基準を満たしている企業は2段階目のマーク、1〜2つの基準を満たしている企業は、1段階目のマークをつけることになります。
2-3 助成金の活用
企業の女性の活躍に関する「数値目標」、「数値目標」の達成に向けた取組目標を盛り込んだ「行動計画」を策定して、目標を達成した事業主に対して、女性活躍加速化助成金が支給されます。
・女性活躍加速化助成金
コース | 支給額 |
---|---|
Aコース(取組目標を達成) | 30万円 |
Nコース(数値目標を達成) | 30万円 |
3 女性役員を15%に
現在の日本は深刻な人口減少社会に直面しています。将来の労働力不足が不安視されるなか、解決策として高齢者の活用や女性の活躍が重要と考えられています。
政府が発表した男女共同参画基本計画では、指導的地位に占める女性の割合を2020年までに15%にするとの目標を掲げています。