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訪日旅行者が増加する一方、おとなり韓国では外国人観光客が激減?〜THAAD配備問題で中韓関係悪化の影響〜

(出展:IMTJ)
(出展:IMTJ)

韓国の聯合ニュースは6月11日、4月の訪日外国人旅行者数が257万人を突破し過去最高を記録した一方で、韓国への旅行者数は大きく減っていると伝えました。今年4月に入ってからは観光客減少により旅行収支が赤字に転化した結果、経常収支の黒字が急減していました。

 

韓国は、昨年の年間訪韓観光客数で史上初となる1700万人を突破したばかり。わずか数ヶ月でなぜ外国人旅行者が激減してしまったのでしょうか。

 

 

 

 

目次

  1. 1 旅行収支が12億ドル超の赤字を記録
  2. 1-1 なぜ中国人観光客が激減したのか
  3. 1-2 訪韓日本人の減少と訪日韓国人の増加
  4. 1-3 個人旅行者をメインターゲットに
  5. 2 訪韓日本人の減少と訪日韓国人の増加
  6. 2-1 中国から日本へ
  7. 2-2 訪韓日本人が減少した理由
  8. 3 観光産業活性化のため積極的にMICE誘致

 

1 旅行収支が12億ドル超の赤字を記録

聯合ニュース(6月11日付け)によると、韓国の4月の旅行収支が、前年同月比で2.3倍となる12億4000万ドル(1368億円)の赤字を計上しました(韓国中央銀行発表数値)。

 

今年4月の訪韓外国人観光客は26.8%減となる107万5800人で、これが旅行収支に影響したと見られています。

 

一方、日本の4月の外国人観光客数は前年同月比23.9%増となる約258万人となり、単月として過去最高を記録しました(観光庁発表数値)。旅行収支も過去最高の1779億円の黒字を達成、政府が掲げる年間4000万人の目標に現実味が帯びてきました。

 

日本と韓国で対照的となった外国観光客数。明暗を分けたのは中国人旅行者の存在にあるようです。

 

 

明洞

(▲中国人観光客が減少した影響で閑散とした韓国・ソウルの明洞通り)

 

 

1-1 なぜ中国人観光客が激減したのか

中央日報によれば、韓国を訪れる外国人観光客のうち約47%が中国人であるとされます。事実、昨年の訪韓外国人観光客1742万2000人のうち、46.8%が中国人観光客でした。

 

しかし、4月の訪韓中国人数が前年同月比67%減となったことが旅行収支に直撃。大幅な赤字を計上させる要因となりました。

 

中国からの旅行者が激減したのには次のような理由があります。今年3月、在韓米軍が高高度迎撃ミサイルシステム「THAAD※」の配備をしたことに対して中国政府が猛反発。韓国のTHAAD配備は対北朝鮮のミサイル防衛を念頭に置いているものの、中国国防部報道官は「強烈な不満と断固とした反対を表明する」と表明しました。

 

thaad

(▲THAAD配備に反対する韓国国内のデモ)

 

さらに、中国当局は報復措置として国内旅行会社に対して韓国へのツアーパッケージ商品の中止を要請するなどの経済制裁を発動、韓国への団体旅行を全面禁止しました。韓国経済新聞社によれば、旅行制限による韓国側の被害額は最大15兆ウォン(約1兆5000億円)におよぶとの報道もなされました。

 

※ THAADとは「ターミナル段階高高度地域防衛システム(Terminal High Altitude Area Defense System)」の略称であり、一般に「サード・システム」と呼ばれている。これは弾道ミサイル攻撃に対応するための防衛システムの一つであり、発射された敵の弾道ミサイルが、その飛行過程の最終(ターミナル)段階、大気圏に再突入した段階において、迎撃・撃破するために開発された、迎撃用ミサイル、ミサイル発射装置及び飛来する敵弾道ミサイルを探知・追跡するための早期警戒レーダー(Xバンドレーダー)並びに関連の情報処理システム等によって構成されたシステムの総称のこと。(参照:海上自衛隊

 

 

1-2 中国語ガイドの4割、失業状態に?

訪韓中国人観光客が激減したことで、韓国内の中国語ガイドの約4割が失業状態に陥ったと中国メディアのレコードチャイナ(3月24日付け)が伝えました。

 

韓国観光通訳案内士協会は、国内の中国語ガイド8000人の約4割に当たる3000人が、現在仕事を見つけられず「失業」状態にあると話します。

 

「中国語以外の言語が可能なガイドは「業種変更」に乗り出している。日本語ガイドとして10年以上活動し、2014年に中国語ガイドを始めた女性は、先月から再び日本人ツアー客を迎えている。この女性によると、ガイドの間では昨年まで、中国語が歓迎され、多くの日本語ガイドが中国語に転じていた。だが今では正反対になっている」

 

旅行関係のビジネスは国同士の政治的対立による影響を最も受けやすいと言われています。中国当局による韓国への団体旅行禁止が解除されない限り、中国語ガイドのニーズが再び高まるのは困難な状況といえます。

 

 

1-3 個人旅行者をメインターゲットに

インバウンド政策について韓国政府は今後、政府からの圧力を受けにくい個人旅行者の獲得に力を入れていく方針を示しました。

 

昨年の訪韓外国観光客のうち個人旅行の割合は75%であるため、聯合ニュースによれば、各旅行会社はSNSなど現地の交流サイトを通じたオンライン・マーケティングに集中しているとのことです。

 

また中国人観光客依存から脱却するため、日本や東南アジアなどをターゲットにした商品展開に注力すると強調しました。

 

2016年に訪韓外国人観光客数がはじめて1700万人を突破し、これまで最高だった2014年の1420万人を大きく上回ったばかりなだけに、今年の年間観光客数に影響を及ぼす可能性が高いと予想されます。

 

kojinn

 

 

2 訪韓日本人の減少と訪日韓国人の増加

このように史上最悪とも囁かれる現在の中韓関係。韓国のSNSでは中国による経済措置に対して「歓迎する」と皮肉る声も少なくなく、関係改善の糸口は一向に見つかりません。

 

 

2-1 中国から日本へ

韓国では旅行先を中国から東南アジアや日本に変更するケースが増えているといいます。

 

レコードチャイナによると、韓国最大手旅行会社ハナツアー(HANATOUR)では、今年4月の中国旅行予約件数が前年同月比で46%減少し、モドゥツアー(modetour)でも50%減少しました。

 

観光庁によれば4月の訪日外国人のうち国別で最も多かったのは韓国で前年同月比56.8%増加し、55万4600人だったと発表しています。

 

 

2-2 訪韓日本人が減少した理由

日本を訪れる韓国人が増える一方で、韓国を訪れる日本人は減少しています。データ分析のニュースサイトFactboxは、1990年から現在までの訪韓日本人数と訪日韓国人数の推移をグラフ化。これによると、2011年以降、訪日韓国人が右肩上がりに増加するものの、訪韓日本人は下がり続けています。

 

グラフ

(参照:Factbox 2016年10月3日付け)

 

Factboxは、近年の日韓旅行者について

 

「2012年の李明博大統領の竹島上陸を契機に日韓関係が「過去最悪」と言われるほど悪化した。これにより訪韓日本人数が2015年には約184万人にまで落ち込み、2012年からほぼ半減した。一方で訪日韓国人数は、日韓関係悪化の影響をほとんど受けず、円安ウォン高を背景に増え続け、2015年には400万人を超え、過去最多を記録している」

 

と分析します。

 

 

3 観光産業活性化のため積極的にMICE誘致

韓国では現在、外国人観光客誘致策として国際会議の積極的利用に取り組んでいます。昨年韓国で国際会議を開催した件数は997件にのぼり、世界で最も多く開催した国となりました。

 

国際会議の開催など国際交流から派生するビジネスイベントはMICE※産業と呼ばれ、各国が自国の観光産業を盛り上げるため、毎年取り組みに熱を入れています。

 

・ MICEによる効果

ビジネス·イノベーションの機会の創造 世界から企業や学会の主要メンバーが集うことで、海外の関係者のネットワークを構築し、新しいビジネスやイノベーションの機会を呼び込むことにつながる
地域への経済効果 主催者、参加者、出展者等の消費支出や関連の事業支出は、MICE開催地域を中心に大きな経済波及効果の創出につながる。MICEは会議開催、宿泊、飲食、観光等の経済・消費活動の裾野が広く、また滞在期間が比較的長いため、一般的な観光客以上に周辺地域への経済効果を生み出すことが期待できる
国·都市の競争力向上 国際会議等のMICE開催を通じた国際・国内相互の人や情報の流通、ネットワークの構築、集客力などはビジネスや研究環境の向上につながり、都市の競争力、ひいては、国の競争力向上につながる。海外の多くの国・都市が、国・都市の経済戦略の中で、成長分野における産業振興、イノベーション創出のためのツールとして国際会議や見本市を活用している

(参照:観光庁

 

レコードチャイナによれば、ソウルを訪れた観光客1350万人のうち、約8%が国際会議出席のためだったことをうけ、ソウル市観光政策課は、観光産業活性化のために国際会議を積極的に誘致すると話しています。

 

中韓関係悪化を受けて日本の旅行会社は、旅行先をキャンセルした団体を日本に呼び込むチャンスと捉え、対応に追われているそうです。

 

※ MICEとは企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字のことであり、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称。(参照:観光庁)

 

 


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