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秋田県の人口100万人割れに見る地方ビジネス

地方の人口減少が止まりません。
この春、秋田県が戦後初めて人口100万人を切ったというニュースが話題となりました。秋田県庁は人口減の流れを食い止めようと、雇用創出や子育て支援を専門に扱う部署「あきら未来創造部」を1月に新設しました。

 

政府も地域活性化策として「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定するなど、数々の対策を講じるも結果に結びついてない様子です。
このまま人口減少が続けば企業の新規参入はますます望めないといった弊害も出てきます。

 

人口減少を食い止める有効な手立てはないのでしょうか。

 

 

目次

  1. 1 人口99万9643人の衝撃
  2. 1-1 若者減少→出生率減少→人口減のスパイラル
  3. 1-2 あきた未来創造部の新設
  4. 1-3 目指すのは「高質な田舎」
  5. 2 人口100万人以下の地方ビジネスの現場
  6. 2-1 島根県と鳥取県の取り組み
  7. 2-2 外国人観光客は増加するも…
  8. 3 地方自治体にできることは

 

1 人口99万9643人の衝撃

秋田県によると、4月1日時点での県内人口は99万9643人であることが分かりました。100万人を切るのは戦後初で、90万人台となるのは1930年以来87年ぶりとなります。

 

近年、秋田県では毎年約1万3000人の減少が続いており、県人口の推移を見ると2000年以降急降下していることが分かります。

 

 

1-1 若者減少→出生率減少→人口減のスパイラル

特に高齢者が多い秋田県は、高齢化率が全国1位。65歳上の人口は34.7%と前年比で0.9ポイントも上昇しました。さらに出生率や婚姻率、自殺率や死亡率でも全国ワーストを記録。

 

・ 全国と秋田県の人口比較

推移

 

・高齢化率

棒グラフ

 

若者は就職や大学入学を期に県外に転出するケースが多く、卒業しても戻ってこないと県内在住の高齢者は語ります。また、結婚・出産に対する意識の変化等に よる未婚化、晩婚化、晩産化の進行。その結果、出生率が低下し、人口の自然減が平成5年から続くようになりました。人口増加につながる材料を探すのは困難な状況です。

 

 

1-2 あきた未来創造部の新設

人口減少対策に特化した部署を県庁内に設けようと、1月、4課2室からなる「あきた未来創造部」を新設しました。

 

・ あきた未来創造部の4課

あきた未来戦略課 あきた未来総合戦略の進行管理、地方創生、地域振興局、ふるさと納税、科学技術政策、知的財産制度の整備、産学官連携、秋田産学官ネットワークの構築などを担当
移住·定住促進課 新規高校・大学等卒業者の県内定着促進、奨学金返還助成制度、Aターン就職促進、移住情報の発信、移住者の受入体制の整備、移住体験・交流の推進などを担当
次世代·女性活躍支援課 脱少子化ウェーブを巻き起こす行動県民会議、結婚・子育ての総合的な支援、保育料助成、仕事と子育ての両立支援、女性の活躍支援、男女共同参画、青少年の健全育成、若者の活躍支援・自立支援などを担当
地域の元気創造課 未来づくり協働プログラム、NPO法人制度、協働の推進、遊学舎及び北部・南部市民活動サポートセンター、高齢者の社会参加推進などを担当

(参照:美の国あきたネット

 

 

1-3 目指すのは「高質な田舎」

秋田県は昨年10月に策定した秋田県人口ビジョンのなかで、「自然と調和し、 豊かにゆったりと暮らしいける“高質な田舎”を思い描きながら、日本に貢献する秋田、自立する秋田」を目指すと表明しました。

 

そして、取り組みを進めるための4つの基本目標を策定。今後5年間で12,630人の雇用を創出することや、県内への移住者数を200人増やすことを目標に掲げました。

 

・4つの基本目標

内容 具体的目標
産業振興による仕事づくり
  • 次の分野で5年間での雇用創出数を12,630人に
  • 新エネルギー産業の大規模展開
    (5年間で風力発電導入量21万kW→56万kWに)
  • クールジャパン戦略に基づく幅広い県産品の輸出の促進
    (秋田の「食」や伝統的工芸品の海外展開に向けた支援)
  • ・ 米依存農業からの脱却
    (新規就農の促進、園芸品目の飛躍的な生産拡大及び県 外に打って出るための基盤づくりと販売力の強化)
  • ・ 秋田の将来を支える人材の育成
    (5年間で国際交流を実施している高校数29校→49校)
少子化対策
  • 今後5年間で婚姻数を増加
    (平成26年3,842件→平成31年4,020件に)
  • ・ 合計特殊出生率の改善
    (平成26年1.34→平成31年1.50に)
移住·定住対策
  • Aターン※就職者数の増加
    (平成26年1,061人→平成31年1,700人に)
  • 本県への移住者数 20 人
    (平成26年46.4%→平成31年220人に)
新たな地域社会の形成
  • 「住んでいる地域が住みやすい」と思っている人の割合を平成31年までに80%に
  • 社会地域活動に参加する人の割合を増加
    (平成26年46.4%→平成31年68.0%)

(参照:秋田県人口ビジョン)

 

※ 国の「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」の趣旨を踏まえ、2014年度からスタートした秋田県の県政運営の指針である「第2期ふるさと秋田元気創造プラン」で描いた10 年後の姿も見据えながら、「秋田県人口ビジョン」として、秋田県人口の将来展望をまとめたものである。
※ まち・ひと・しごと創生総合戦略とは、人口減少や地方衰退を食い止めるべく政府が策定した長期的な政策計画。
※ Aターンは秋田県独自の表現で、いわゆるUターン就職、Iターン転職を総合した言葉。秋田県HPでは「秋田県出身者もそうでない方も、みんな秋田へ来てください!!との願いを込めたオールターン(ALL TURN)の“A”と秋田(AKITA)の“A”をかけた言葉」と説明している。

 

 

2 地方ビジネスの現場

tottori-shimane

 

地元地域を活性化しようと官民連携で取り組む地方自治体は秋田県だけではありません。
人口59万人の島根県や56万人の鳥取県も人口減対策としてUターン、Iターンの呼びかけや、出産・育児支援制度の拡充、外国人観光客の誘致、地元特産品のブランディングなどに取り組んでいます。

 

 

2-1 島根県と鳥取県の取り組み

島根県と鳥取県は、双方の利益のため連携してさまざまな取り組みを行っています。

 

雇用促進に関する取り組みでは、若者の県内就職やIターン・Uターン就職を進めるため、県外へ進学した若者や県外から鳥取・島根に就職を希望する若者を対象に、就職フェアや企業説明会などを共同で開催しています。

 

また技術開発では、島根大学、鳥取大学、島根県、鳥取県が連携して、企業の技術開発の促進、産学官連携の促進を図るため、山陰で生まれた技術シーズの発表会を開催するなどしています。

 

観光振興では両県経済同友会が中心となり山陰文化観光圏協議会を立ち上げ、長期滞在型の観光整備計画を策定。国際定期便を活用した外国人観光客の誘致や広報宣伝など、山陰地方の国際観光の推進を目指します。(参照:鳥取県、島根県HP)

 

このように両県は鳥取・島根広域連携協働事業として経済団体や行政を中心として県境を越えた広域的な取り組みが進めています。

 

 

2-2 外国人観光客は増加するも…

観光庁によれば、2016年の訪日外国人数は約2403万9000人で、前年比21.8%の増加となり、過去最高を3年連続で更新しました。訪日外国人は2012年から5年連続で増え続けています。なかでも中国、台湾、韓国などアジアを中心とした訪日客が大きく増えました。

 

また、観光庁が行う訪日外国人消費動向調査では、東京・大阪の2大都市圏のみ訪問した観光客は44%だったのに対し、地方を訪問した割合は56%を占め、東京、大阪、京都のゴールデンルート以外の地方観光地を訪れる外国人が増加していることが分かります。

 

・2大都市圏と地方のみ訪問者の比較

地方のみ訪問

 

ところが、地方のみを訪問した割合を見るとそのほとんどが北海道もしくは九州地方の福岡県に集中。このほか北陸地方や長野県も観光地として人気はありますが、その他大勢の地方県に外国人がほとんど訪れていないことが分かります。

 

外国人旅行者の増加の恩恵を受けているのはごく一部の都道府県に限られており、島根県、鳥取県といった高齢化率の高い県にはインバウンド効果の影響は期待できないのが現状です。

 

 

3 地方自治体にできることは

日本全体が人口減少傾向にあるなか、首都圏以外が歯止めをかけることは難しい状況にあります。

 

秋田県は「あきた未来総合戦略」のなかで、今後持続的に発展していくための方針として「付加価値と生産性の向上による県外への売り込みの強化」「交流人口の拡大と県内流動の促進による県内消費の拡大の重要性を強調しました。

 

こうした取り組みにより都心との賃金格差を是正し、県内就職する若者の増加につながり雇用の創出や質の向上につながることが期待されます。

 

 


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