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企業経営はここを押える!会社設立後の発展に向けた経営のポイントは企業理念、ビジネスモデルとマネジメント

会社設立後の経営をどのように行えばよいかと不安に感じる経営者の方は少なくないでしょう。実際、経営者が事業を推進して成長させるために組織を適切に運営するのは容易ではありません。そこで今回は経営上特に重要となる「理念経営の実践」「ビジネスモデルの(再)構築」「マネジメント体制の整備と運用」について説明していきます。

 

事業の推進や拡大で理念経営が重要となる点、競争優位性の高いビジネスモデルへのブラッシュアップや再構築が有効となる点、PDCAの実施などのマネジメント体制を整備・運用することの大切さなどを解説するので、経営に悩んでいる方、企業の成長のさせ方を知りたい方などは参考にしてください。

 

 

1 企業理念、ビジネスモデルとマネジメントの重要性

企業理念、ビジネスモデルとマネジメントの重要性

 

経営に関する要素などの中で企業理念(あるいは経営理念)、ビジネスモデルとマネジメントが最も重要です。

 

企業理念、ビジネスモデルとマネジメントの重要性

 

従って、会社設立後の企業が成長・発展していくためには少なくともこの3つの要素を適切な状態にして実施していくことが経営には欠かせません。

 

 

1-1 企業理念、ビジネスモデルとマネジメントは経営の根幹

企業理念は端的に示すと「企業が目指すべき経営や事業のあり方を示す考えや思い」と言えるでしょう。創業者の行いたいビジネスや経営に対する思いなどが示されるもので、その組織構成員が従うべき規範になるのが企業理念です。

 

また、企業の事業活動はそのビジョンや目標に従って展開されるべきものですが、そのビジョンや目標は企業理念に沿ったものになるため企業理念が適切に設定されていないと事業活動は誤った方法に進みかねません。

 

ただし、企業理念が適切に組織に浸透していてもそれで事業が成功し企業が発展できるかどうは別です。特に自社ビジネスの内容が平凡で競争優位性がなければ、新設会社の発展は難しくなります。

 

企業の成長・発展には、採用するビジネスモデルが市場で受け入れられ長期に渡って勝ち続けられるモデルでなければなりません。特に最近ではIT化・デジタル化などの科学技術の進展のほか新型コロナ禍というパンデミックにより人々の生活様式に急激な変化がみられるようになりました。

 

こうした激変する消費者ニーズや社会構造に対応できるビジネスモデルへの移行が求められており、その対応の有無・程度等が企業の運命を左右するのです。

 

しかし、そのモデルが変化に対応できるものであっても必要な経営資源を適切に配分し運営させなくては素晴らしいモデルも絵に書いた餅になりかねません。

 

つまり、そのモデルを実行して結果を得るためのマネジメントが必要になるのです。企業は人の集合体で人数が増えるほど組織を統率するのは困難になっていきます。そのため企業理念の伝達とビジネスモデルの単なる実行だけでは不十分になることも多く組織に対するマネジメントが必要になるのです。

 

このように企業活動はあるべき企業の姿に向かってスタートし、そのビジネスの仕組みは理念を反映したものになりますが、環境変化に合わせたブラッシュアップや再構築が必要になります。そして、そのビジネスモデルで成果を得るためのマネジメントの実行が伴わなければなりません。

 

 

1-2 企業理念、ビジネスモデルとマネジメントを疎かにする経営の問題

企業理念、ビジネスモデルとマネジメントを適切に実行しない場合の問題を確認していきましょう。

 

①企業理念がない、浸透しない場合の問題

企業理念が経営にどのような影響を与えるかについての具体的な調査は多くないですが、企業理念が業績に影響を与える可能性を指摘する報告も見られます。

 

宮田矢八郎氏(産能大学経営学部教授)の著書「理念が独自性を生む―卓越企業をつくる7つの原則」(ダイヤモンド社)の中で企業理念と業績の関係が以下のように示されているのです。

 

  • ・税理士や公認会計士で組織されるTKCの経営指標データ(2002年版)によると、その22万6661社の中で黒字企業は11万2483社(赤字企業は11万178社)で、この状況を分析すると高製品力が高収益の要因となっている
  • ・上記優良企業は1万1476社で、製造業などの場合その要因が「イノベーション=独自性」であり、さらにその源泉は企業理念である
  • ・「経営理念(企業理念)あり」の企業は2752社で平均経常利益が4900万円で、「経営理念なし」の企業が2236社で平均経常利益は2900万円である
  • ・企業理念の有無と売上規模・利益額の結果から「売上10億円以上、利益3000万円以上をあげる企業は経営理念が必要」である

 

著書では企業理念がある企業の方が業績がよいという点と、「売上10億円以上、利益3000万円以上をあげる企業は経営理念が必要」という結果が導かれています。

 

なお、著書では好業績の要因がイノベーショ=独自性であり、それが企業理念を源泉とするという考えです。単純に企業理念の有無が好業績に直結するとみるのは困難ですが、事業への熱い思いがなければイノベーションも促進されないでしょう。

 

また、中小企業白書2003年版の第2-1-29図「経営理念と従業者数増加率の相関」では、企業理念が企業の方向性にどう影響するか、企業業績との相関を示しています。

 

「利害関係者重視型理念を有し、社会貢献重視型理念は有しない企業」は従業者数増加率にマイナスの影響が見られますが、「社会貢献重視型理念を有する企業」は従業者数増加率にプラスの相関を示す結果となりました。

 

つまり、企業理念の内容により従業者数の増加率に差が生じていることからその内容次第で経営にプラスとなったりマイナスとなったりする可能性があると判断できます。

 

出典:第2-1-29図 「経営理念と従業者数増加率の相関」
~利潤動機にとどまらない、社会貢献的志向が成長を招く~

 

経営理念と従業者数増加率の相関

 

②適切なビジネスモデルでない場合の問題

ビジネスモデルは自社ビジネスの仕組みであり、事業で収益を稼ぐための構造・枠組みというべきものです。そのためビジネスモデルが自社の企業理念や取り巻く環境などに適していなければビジネスとして成立しない、成功できない可能性が高まります。

 

who・what・how(why)で規定されるビジネスの仕組み

 

ビジネスモデルの考え方はいくつかありますが、who・what・how(why)で規定されるビジネスの仕組みと捉えることが多いです。whoはビジネスの対象を誰にするか、whatはどんなニーズを対象にするか、howはどのように商品・サービス等(ニーズを充足するもの)を提供するかなどをまとめたものがビジネスモデルになります。

 

この3つの要素は一体であり、各々が適した関係になってはじめ一定の効果が得られるほか、市場環境などに対応できるようになるのです。つまり、whoの選定が正しくてもwhatの内容が不適切であれば良好な業績を得るのが難しくなります。

 

また、3つの要素の整合性が取れていても市場環境に合わなければ良い結果は得られません。そして、顧客ニーズやライバルなどの市場環境は大きく変化するため、ビジネスモデルもそれに合わせたブラッシュアップや再構築が必要になり、対応しないと事業の成長は止まり市場からの撤退を余儀なくされるのです。

 

2019年版中小企業白書の第3部「中小企業・小規模企業経営者に期待される自己変革」では、中小企業を取り巻く環境が大きく変わりその対応のために中小企業等は自己変革が必要である指摘しています。

 

同白書では、「3つの経済・社会構造の変化」として、「人口減少」「デジタル化」「グローバル化」を挙げ、中小企業等はこの構造変化にフレキシブルに対応しつつ自己変革しなければならないと指摘しているのです。

 

「デジタル化」では、インターネットの普及によりブログ、SNS、動画共有サイトなどのソーシャルメディアサービスや電子商取引(EC)の活用が活発化しており大企業と中小企業の「経営資源の格差解消」の可能性が大きくなり得ると分析しています。

 

また、新しい技術として期待されているIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)の導入状況について、中小企業は全体的に大企業に比べて導入に消極的であり、その原因を「導入後のビジネスモデルが不明確である」点を指摘しています。

 

デジタル化も企業にとっては大きな変化であり、この対応のためにビジネスモデルを明確化して適応させるという自己変革が必要になります。

 

中小企業・小規模企業経営者に期待される自己変革

 

中小企業・小規模企業経営者に期待される自己変革

 

*出典:2019年版中小企業白書 第3-1-10図及び第3-1-17図

 

③マネジメントの問題

マネジメントとは、企業目標を達成できるようするための「管理」で、そのための機能や機関などを指すこともあります。簡単に言うとマネジメントは、目標を達成するために何らかの手を打つことと言えるでしょう。

 

企業活動の中には様々な業務があり、企業や事業の規模が大きくなると従業員や業務も多くなり業務内容も複雑になるため、従業員任せの成行で経営していると無駄や混乱が生じトラブルが頻発しかねません。

 

そのため企業活動が全体的にスムーズに実施され効率的に目標を達成するためのマネジメントが必要となるのです。なお、マネジメントには様々な種類がありますが、対象を企業全体・部門などの組織を対象とする場合と従業員など人を対象とする場合があります。

 

前者の場合は会計データなどの数値から組織活動の状況を把握しその内容を適切にコントロールする目的で実施され、後者では各従業員の活動状況を把握し目標達成に向けて指導・支援する目的で実施されるのです。

 

このようなマネジメントを適切に実施しなければ、企業活動の問題を改善しながら適正に事業が遂行できるため、競争力の低下等の防止が可能となり成長も促進されます。

 

逆に適切なマネジメントが実施されなければ、問題に気付かなったり、改善ができなかったりして、競争力を低下させ倒産リスクを高めることになるのです。

 

 

2 理念経営の実践

ここでは理念経営の内容、実施することでのメリット及び推進のポイントなどを説明しましょう。

 

 

2-1 理念経営とは

理念経営とは

 

まず、理念経営の内容について見ていきます。

 

①企業理念

創業者や経営者などが考え社内外に示している自社の経営や活動に関する思い、考えや価値観などで、企業の存在意義を示すものが「企業理念」あるいは「経営理念」です。

 

なお、企業理念と経営理念は狭義において区別されることもありますが、本記事では同義のものとして扱います。また、企業理念は時代の変化などにより見直しや再定義されるべきものとして考えます。

 

企業理念に近いものとして「社訓」や「社是」がありますが、これらは企業理念と分けて扱われるケースも多いです。社是は「会社や組織の経営に関する方針や考え」、社訓は「会社の経営理念、従業員の守るべき規範や行動指針を示したもの」と定義されるものです。

 

社訓や社是も企業理念の一部であり、企業理念に基づいて従業員が取るべき行動についての考え、教え・戒めを示すものとして多くの企業で設定されています。ただし、本記事では社訓や社是が企業理念の中に含まれるものとして考えます。

 

②理念経営とは

理念経営とはビジョナリー経営とも言われる企業理念を重視し軸にした経営のことです。創業者の思い・考えや行動規範等に従い、企業のあるべき姿や目標に向かって全従業員が行動できるようにしていく経営スタイルが理念経営と言ってよいでしょう。

 

企業理念が従業員に明示され、全員がそれを共有して各活動を遂行していくスタイルが理念経営です。その代表例として、ザ・リッツ・カールトン・ホテル、スターバックスやオリエンタルランド(東京ディズニーランド)などの企業がよく挙げられます。

 

たとえば、スターバックスには「One Cup at A Time,One Customer at A Time」という社内哲学が浸透しており、「心に活力と栄養を与えるブランドとして、世界で最も知られる、尊敬される、朽ち果てることのない偉大な企業になること」という理念が従業員に浸透し実践されているのです。

 

オリエンタルランドは「自由でみずみずしい発想を原動力に、すばらしい夢と感動、人としての喜び、そしてやすらぎを提供します」を企業理念としています。そして、ディズニーでは、理念である「幸せの提供」が達成できるように従業員には自分の発想で行動することが許容されているのです。

 

マニュアルがあってもそれで対応できない場合、企業理念に従って従業員が自由に行動できる経営が行われています。たとえば、ディズニーでは清掃キャストがお客の案内をしたり、絵を書いたり、ローラースケートを履いて清掃しているのです。

 

清掃キャストには「清掃」という本来の業務がありますが、お客が喜ぶためなら本業に支障となるような案内もする、絵を描く、ローラースケートを履くといった行為が積極的に採用されます。

 

なお、こうした行動を従業員に取り組ませるためには、「価値を共有しベクトルを合わせる」「全従業員をコミットメントさせる」ための体制の整備と運用が必要になります。

 

 

2-2 理念経営のメリット

理念経営のメリット

 

理念経営によってどのようなメリットが得られるかを確認していきましょう。

 

理念経営のメリット

 

①進むべき方向性等の判断基準となる

企業は状況等により多様な事業へ進出するケースは多いですが、企業理念がその進出の是非についての判断基準になり得ます。つまり、企業理念は事業戦略の前提や内容の判断基準になるのです。

 

経営資源が許す限り儲かるビジネスなら何でも挑戦するという姿勢は、一見アグレッシブで勢いのある経営に見えますが、企業理念に適さない事業分野にまで手を出してしまう恐れが生じます。

 

企業の価値観などに合致しないビジネスを取り組めば、従業員のモチベーションが下がるだけでなくステークホルダー(利害関係者)からの反感を買うことにもなりかねません。その結果、有能な従業員の流出や業績の悪化などの危険性が生じるのです。

 

特にお客や取引先などの社外におけるマイナスの反応が生じる可能性も低くないでしょう。顧客目線のサービスを重視した経営から利益重視の経営にシフトする場合、お客が他社へと流れるケースは少なくありません。

 

こうした現象が新事業への進出などで起こり得えますが、企業理念を重視した経営をすれば、誤った方向性を取ることを回避し価値観に合致しないビジネスの検討や戦略策定もしなくて済むのです。

 

②マネジメントを適切に行いやすくなる

企業活動を目標達成に向けて適切に実施していくためには活動に対するマネジメントが不可欠ですが、理念経営を行えばそのマネジメントも容易になります。

 

管理活動には計画・実施・統制といった作業が伴いますが、各々実施するためには評価基準や指針となるべきものが必要です。そして、その評価基準等は企業理念が前提となり、管理活動は企業理念をベースとして展開されます。

 

各業務での実施すべきことや実施してはならないことの是非、計画内容の合格水準の検討などにおいて、企業理念がそれらの判断材料になるわけです。また、そうした基準や指針がない場合でも理念に基づき上司は部下を適切に指導・支援できるようになります。

 

また、現場従業員などでもマニュアル等で示されていない業務内容について理念に従った自律的な対応が期待できるようになるのです。そして、自律的に行動できる従業員が多いと、組織としての機動性が増し急なトラブルでも迅速に解決できるようなります。

 

このような状態になれば、管理者の人材マネジメントでの負担は軽くなり、経営者は戦略的課題に注力できるようになるでしょう。

 

③従業員のモチベーションアップに繋がる

企業が掲げたビジネスでの目標、価値観や使命などについて従業員が共感している場合、従業員のモチベーションは高まりより好ましい活動結果を得る可能性が高まります。

 

たとえば、「従業員の自由な発想を最大限活用して社会貢献できる事業を推進することで自社の発展と従業員の幸福を実現させる」といった企業理念を有する企業があるとします。

 

この理念に対して従業員には、「自分の考えが仕事に活かせる」という思いから自己啓発への意欲が高まるとともに、自律的な動きが期待できるでしょう。

 

また、自分の仕事が社会の役に立つという誇りも感じやすくなるはずです。そして、自分の業務を通じて会社が発展し自分の生活もよくなるという利益を感じやすくなるはずです。

 

こうした思いが高まれば従業員のモチベーションは向上し経営目標の達成も容易になっていきます。さらにやる気の維持向上は従業員の離職の防止にも役立ってくれるでしょう。

 

④企業価値を形成する

理念経営が実施され成功すれば、その企業には企業理念に基づいた活動を通じた成果が得られ、そのことが企業ブランドとしての価値に繋がります。

 

先に挙げた例のように、「従業員を大切する」「顧客重視のビジネスを行う」「社会貢献の高い事業を行う」といった行動が実施され結果が出れば、世間はそれらを実行する企業として評価するはずです。

 

そして、その知名度が増していくことで企業やそのビジネスにはブランド価値が生じてきます。企業にブランド価値が生じれば、それだけでビジネスが有利となったり、新たな取引を呼び込んだりするというメリットが期待できるのです。

 

さらにそのブランド化が従業員のやる気を高め好業績につながるほか、人材確保にも良い効果をもたらしてくれるでしょう。たとえ会社設立後間もない企業でも理念経営による企業のブランド化により「入社希望者の増加→優秀な人材の確保→採用コストの低減」といった効果が期待できるのです。

 

 

2-3 理念経営の推進のポイント

ここでは理念経営を浸透させるための手段やポイントなどを説明しましょう。

 

①共感が得られる企業理念づくり

理念経営を実行する前提は、企業理念を全従業員の共感が得られるものとすることです。具体的には使命、目的、役割や存在意義などのほか、企業のあるべき姿や将来像といった「ビジョン」などが含まれ設定されなければなりません。

 

また、ミッションやビジョンの内容をもとに従業員が従うべき行動指針や規範などを伴うことも重要です。なお、一般的に企業理念の作成では以下のような点が重要になります。

 

  1. 1)「誰が、何のため、誰に、何を行うのか」を明確にする
  2. 2)創業者や経営者の思いが経営理念に反映される
  3. 3)経営者が交代するなど長期に渡って受け継がれる内容である
  4. 4)社員の行動指針や規範となる
  5. 5)経済性のほか人間性や社会性を重視した内容である
  6. 6)従業員の考えや意見を取り入れる(従業員を巻き込んで作る)
  7. 7)状況に応じて見直しやブラッシュアップを行う

 

特に以下の内容について、経営者等が考えるほか従業員の考え・意見なども吸収・反映してベクトルを合わせられる内容にしていくことが不可欠です。

 

  • ・自社が存在する意義とは何か、何のために存在するのか
  • ・自社が実現するべきビジネスとは何か
  • ・10年後や20年後に自社はどうなっていたいか、どのような姿になりたいか
  • ・社会にどのように貢献していくか

 

②企業理念を浸透させるための仕組み作り

「全従業員をコミットメントさせる」ための体制の整備と運用が必要になります。そのためには、先ず企業理念を全社的に浸透させるために以下のような取組を検討するとよいでしょう。

 

  • ・企業理念を記した書面を各職場の壁などで掲載する
  • ・月次などの定例会議などで企業理念を唱和する、経営者や幹部が説明する
  • ・業務活動の分析・評価などで企業理念との整合性を確認する
  • ・企業理念に沿った新事業アイデアなどを募集する
  • ・自社のホームページに企業理念の作成の経緯や理由を説明する
  • ・従業員の社内研修で企業理念を説明する、唱和する、体感する

 

もちろん社内だけでなく社外へのPRも行うべきです。自社の会社説明やPRできる際に企業理念もアピールしましょう。優れた企業理念であれば、その内容でどういった企業なのかがイメージされやすくなり信頼関係の構築が容易になることもあります。

 

社外での認知度が高まれば自ずと社内における企業理念の認識度が高まり浸透が進むはずです。その他の取組としては以下の内容が挙げられます。

 

  • ・企業理念やその行動指針を反映した事業計画や業務計画を策定する
  • ・上記計画の結果を企業理念に照らした基準で評価する
  • ・部下等の業務成果についても上記のように評価し決定する
  • ・部下との業績評価等での面談の際には企業理念を含めた様々な意見をヒアリングする
  • ・上記の評価の結果を人事処遇に反映する

 

理念経営で事業活動をマネジメントするためには、企業理念を軸に評価・処遇される人事制度を作ることが特に重要です。人事制度の方法は「目標管理制度」「成果主義」「コンピテンシー」など様々ですが、各種の方法に企業理念を重要なファクターとして組み入れ実施することが求められます。

 

 

2-4 理念経営における注意点

理念経営における注意点

 

理念経営を通じて経営上の成果を出すためには、以下のような点に注意しましょう。

 

①企業理念が浸透しない

「企業理念を重視した経営を行う!」と経営者がなどと叫んでも社内に企業理念が浸透していかないケースは少なくありません。

 

浸透しない理由として、「企業理念が抽象的で内容が理解しにくい」「経営者側からの一方通行のアピールになっている」ことなどが挙げられます。そうならないためには経営者が自分達のビジネスへの想いとして、「誰が、何のため、誰に、何を行うのか」を明確にして企業理念を作成することが不可欠です。

 

また、従業員に企業理念を共有する機会、たとえば、朝礼・会議・研修などで理解・共感する機会を作ることも必要になります。

 

②理念経営へのコミットメントが得られない

企業理念を重視した経営がどのような成果に結びつくかが実感できないようでは、従業員の共感やコミットメントは期待しにくいです。そして、その結果、理念経営が失敗に終わる可能性を高めてしまいます

 

しかし、理念経営で具体的に何を目標として実現するのかを明らかにして評価すれば、従業員は理念経営の重要性や有効性を認識できるようになります。そして、その認識が従業員の共感を促して望ましい活動に結びつき良好な成果をもたらしてくれるのです。

 

理念の設定だけでは理念経営のメリットなどの有効性を認識できないケースもあるため、理念経営によって自社がどうなるのか、従業員にどのようなメリットが生じるのかを論理的に説明できるようにしましょう。

 

 

3 成長できるビジネスモデルの構築

成長できるビジネスモデルの構築

 

ここではビジネスモデルの内容やメリットのほか、成功しているビジネスモデルの事例とともに推進のポイントなどを説明しましょう。

 

 

3-1 ビジネスモデルとは

ビジネスモデルは自社ビジネスの仕組みで収益を得るための基盤です。別の表現をすると、事業で収益を生み出すための方法で企業価値を向上させ事業継続を可能にする仕組みがビジネスモデルと言えます。

 

自社事業の生存領域のことを「事業ドメイン」と言いますが、ビジネスモデルはこのドメインを対象としたビジネスの仕組みであることから主にWho、WhatとHowの観点からビジネスの仕組みが構築されると考えてよいでしょう。

 

誰を事業のターゲットとするのか、どのような商品やサービスで彼らのニーズを捉えるのか、どのようにそれらを提供するのか、どのように収益を確保するのか、といった点を論理的に構築したものがビジネスモデルになります。

 

そのWho、WhatとHowの点をもう少し説明しましょう。

 

ビジネスモデルとは

 

①Who:事業のターゲットは誰か

Whoの点では自社のビジネスで対象とする顧客を規定します。つまり、自社が創造し提供したい価値を売る・届ける相手を特定していくわけです。ターゲットの特定の仕方は様々ですが、自社の経営資源などが制約条件となるため、状況によってその内容は異なってきます。

 

多様なニーズがありかつその量が十分にあっても自社に対応できる商品等の供給力や販売力などがなければ対象の範囲は広げられません。逆にそれらに関する経営資源が十分あればより広範に対象を設定し商品等が届けられます。

 

なお、顧客には現存する顧客のほか、潜在する顧客もいるため、後者の存在を見逃すと大きな機会損出に繋がるためその分析も必要です。誰に売るかによってビジネスのやり方が大きく変わるため丁寧な分析のもとにターゲットを設定することが求められます。

 

②What:ターゲットのどのニーズに対してどのような価値で充足するのか

Whatとは、顧客ニーズを充足する自社の価値を規定することです。別の言い方をすると「顧客のニーズを満足させるための商品・サービス等の内容を決める」ことと言えるでしょう。

 

従って、自社のビジネスにはターゲットが満足する価値、対価を支払うだけの価値が提供商品等になくてはなりません。また、この価値の設定を顧客目線で行うことが必須で、もし自社目線に偏った価値になってしまえば当然顧客の支持を失うことになります。

 

③How:どのように価値を提供するか

Howとは、「どのようにして価値をターゲットに届けるか」を規定することです。具体的には自社のどのような経営資源(技術等)を使ってターゲットのニーズを充足できるように届けるかをHowは意味します。

 

ターゲットのニーズを満足させるために新たな技術を開発する、より早く届けるための生産体制を整える、より多くの顧客に届けるための販売力を確保する など自社の強みとなる資源を活用することが不可欠です。

 

もちろん市場には競争相手も存在することから彼らとの競争に勝てるような方法で顧客に届けられるようにすることも求められます。

 

④その他の視点(Why等)

上記の3点以外にWhyなどの視点を加えることも重要です。Whyは、収益などの会計の視点で「なぜ自社ビジネスが収益を生むのか」という点を明確にすることと言えます。

 

一見優れたビジネスモデルで素晴らしい価値をターゲットに提供できたとしても事業が継続できる収益を確保できないモデルでは意味がありません。顧客のニーズを捉えライバルにも勝ちつつ、事業を継続して成長できるようなモデルであることが求められます。

 

Who、WhatとHowに儲ける視点を加えて始めて企業が成長していけるビジネスモデルが成立するのです。

 

 

3-2 成長できるビジネスモデルのメリット

適切なビジネスモデルの構築・向上が企業にどのようなメリットをもたらすかを説明しましょう。

 

成長できるビジネスモデルのメリット

 

①事業の質が高まる

ビジネスモデルは自社の事業や取り巻く環境を詳細に分析して組み立てていかねばなりません。その結果、モデルを構築することで顧客、自社、ライバル、その他環境などの状況をより的確に反映したビジネスの仕組みの構築が可能となります。

 

具体的には、SWOT分析(内部・外部の環境分析)からCFT分析(Who、WhatとHowの視点による分析)を行いその3視点が重なり合う領域でモデルが構築されるため、儲からないビジネスから脱却できるのです。

 

たとえば、NECはかつて「コンピューターの提供」というモデルを取っていましたが、環境の変化に対応するためコンピューターと通信技術を融合させた「C&C(コンピューター&コミュニケーション)」をドメインとしてモデルの再構築を果たしました。

 

最適なビジネスモデルを再構築することで会社設立後の対象事業を再定義し成長の可能性を高められる基盤が整えられます。

 

②経営のブレが防止できる

ビジネスモデルはドメインを前提とした自社ビジネスの仕組みであるため、正しく設定すれば多角化や新規事業開発の際に誤った方向へ進むことを防止してくれるでしょう。

 

時代の流れに乗った魅力的な新ビジネスの登場は経営者の興味を呼び、その分野への進出を誘惑することも多いですが、ドメインに合わないビジネスモデルを導入しても良い結果はなかなか得られません。

 

いかにその市場のニーズが多く成長市場であっても自社の経営資源(生産、販売、技術等)の強みを生かせない事業なら成長できるビジネスモデルとならず、競争に敗れ撤退を余儀なくされる可能性が高まってしまいます

 

自社のビジネスモデルを明確に設定しておけば、それに合致しない事業への進出という誤った経営判断は回避しやすくなるでしょう。

 

③企業が成長・発展できる

ビジネスモデルを適切に構築・実施できれば、中長期に渡って適切なビジネス展開ができて一定の収益が確保できるため、事業の成長と企業の発展が期待できます。

 

ビジネスモデルの設計で対象者が曖昧であったり、対象者のニーズの把握を誤ったり、競争相手の力を過小評価したモデルになっていると、顧客の支持が得られず競争に敗れるビジネスになってしまうのです。

 

しかし、最適なビジネスモデルを構築し展開すれば、顧客の支持を得ながら競争相手に勝ちつつ一定の収益を確保していくことができます。そして、この状態は一定期間の継続が期待できることも多いことから企業は発展していくことが可能となるのです。

 

④問題の発見などマネジメントに役立つ

ビジネスモデルの構築は、自社事業の仕組みの中で業務内容を規定することに繋がるため、作業上のトラブル、収益の伸び悩みや高コスト体質といった問題の原因を突き止め改善していくのに役立ちます。

 

各業務はビジネスモデルの内容に従って設計され実施されると望ましい業務遂行が可能になりますが、そうなっていない場合は様々な問題を生じさせかねません。

 

もし何らかの問題が生じた場合などでもその業務がビジネスモデルに適した内容になっているか、そして実行されたかをモデルの内容に照らして確認すれば問題の原因を特定して適切な改善策が打ちやすくなります。

 

つまり、ビジネスモデルはマネジメントの前提として活用でき経営の質を高めるツールに利用できるのです。

 

 

3-3 成長できるビジネスモデルの事例と推進のポイント

成功している事例からビジネスモデルの内容を確認し推進のポイントを確認していきましょう。なお、事例は2019年版中小企業白書第3部から紹介します。

 

事例3-1-1 株式会社スーパーまるまつ
「人口減少・競合参入という経営環境で、利便性の向上や固定客の獲得により地域内シェア首位を維持する企業」

 

●事業者概要
所在地:福岡県柳川市
従業員:24名
資本金:2500万円

 

●事業内容
地域密着型のスーパーマーケットの経営

 

●(新たな)ビジネスモデルを導入した背景
・福岡県柳川市はここ20年間で人口が約10%減少するほか、1990年代後半から大手ディスカウントストア、小売チェーン、コンビニなどが同地域に進出し、地域の小売店や地場スーパーなどは厳しい経営状態にある

 

・こうした人口減少と競合の増加という厳しい経営環境を乗り切るためスーパーまるまつはビジネスモデルの再構築に取り組んだ

 

●(新たな)ビジネスモデルの内容
「地域の人口が減少し高齢化が進む中でも、ICTなどのツールを有効に活用することで人手不足を克服していくとともに、高齢者に対するサービスを充実させ、顧客との関係をさらに強化」できるビジネスが導入されています。

 

who:
ターゲットは地域の消費者で従来と同じだが、高齢者への対応を強化した

 

what:
地域の消費者、特に高齢者の利便性や囲い込みに着目したサービス等を導入した

 

how:
・40年以上前からのPOSシステムを活用し、販売情報の一元管理のほかPOSシステムで得られた販売データと天気予報などの情報から販売予測を行い、在庫リスクを低減した

 

・実際に販売された分だけ仕入れに計上する「消化仕入れ」の実施により仕入れ時の検品業務の排除が可能となり業務の効率化と人手不足の対応を実現した

 

・ポイントカードの会員に対する特別価格の設定などで優良顧客の囲い込みを行う

 

・高齢者への利便性の向上のため送迎サービスも開始し、その送迎際に顧客との会話で関係性の維持向上を図る

 

●モデル変更の効果
人口減少・競合の増加という厳しい経営環境の中で、同社は効率化と既存顧客の単価向上・固定客化に成功し、同地域でのシェアトップを確保し、創業以来の無借金経営が継続できています。

 

●ビジネスモデルの(再)構築のポイント
上記の事例は厳しい状況に変化した経営環境に適応すべくビジネスモデルを上手く再構築した成功例と言えるでしょう。

 

自社が対応できる対象範囲の中でライバルとの競争で優位となる顧客を特定してそのニーズ(このケースでは利便性)を捉えられるようなサービスを導入した点が成功に繋がったと考えられます。

 

大手との競争に耐えるための効率化や、人手不足への対応のためにIT化で業務効率を向上するという取組もモデルの重要な機能として有効です。ポイントカードの活用で優良顧客の囲い込みを行い、他社との差別化を図っている点も成功のポイントと言えるでしょう。

 

事例3-1-4 こども古本店
「顧客価値の追及により、他社では真似できない自社独自の付加価値 強みを発揮している事業者」

 

●事業者概要
所在地:愛知県北名古屋市
従業員:5名
個人事業

 

●事業内容
主として子供向け絵本のリサイクル販売

 

●(新たな)ビジネスモデルを導入した背景
大手ネット通販の台頭により、従来型の店舗を構えた本屋の経営モデルが厳しくなっていた

 

●(新たな)ビジネスモデルの内容
・2012年に子供向け絵本(古書)を主力商品としたネット通販事業、2015年に自動車による絵本の移動販売を開始した

 

・独自の付加価値を提供するため、子供向け絵本への特化、きれいで安心・安全の品質重視、絵本の楽しさの体験・共有の提供 など顧客目線の業態として他社との差別化ができる販売戦略を展開している

 

who:
子供、手軽に購入できる絵本を子供に与えたい親などをターゲットとする

 

what:
主に子供向け絵本(古書)

 

how:
・最新の図書消毒機を導入した安心・安全な商品提供
・ホームページでのクリーング方法などに関する詳しい説明やアピール
・ネット販売や移動販売での利便性の提供
・専門のスタッフによる「読み聞かせライブ」の開催
・絵本の知識や専門性の習得に向けた従業員に対する研修

 

●モデル(変更)の効果
古書の販売では、利便性の点で大手ネット通販会社に、価格優位性の点ではネットオークションに太刀打ちできないが、既存モデルと異なるモデルを採用したことで子供向け本のリサイクル事業として成功した。

 

●ビジネスモデルの(再)構築のポイント
経営者は創業前に古本店や書店に勤務した経験があり、子供が楽しめる古本屋がないことに気づき、それが事業化の発端となりました。つまり、一定のニーズが存在する、しかしそれを充足するサービスは存在しない、そして自分にはこれらの状況に対応できる能力があると判断した点が成功に繋がっています。

 

事業化に当たっては大手ネット通販会社やネットオークションなど市場での競争環境を分析し彼らと異なるポジションをとったモデルの採用が功を奏しました。

 

安心安全の図書の消毒、ネット販売や移動販売での利便性、「読み聞かせライブ」の開催などのサービスは、ターゲットのニーズ(安心や利便性等)を捉え、ライバルとの差別化を実現しています。

 

また、従業員への研修というマネジメントも実施されており、ビジネスモデルが支えられています。

 

事例3-1-12 株式会社梅守本店
「『体験=コト消費』を提供することで、インバウンドのニーズを捉えた企業」

 

●事業者概要
所在地:奈良県奈良市
従業員:100名
資本金:1000万円

 

●事業内容
寿司等の製造販売、飲食業

 

●(新たな)ビジネスモデルを導入した背景
社長の梅守康之氏は子女の入院先で子供たちに寿司を提供した際に、彼らの笑顔を見て食を通じて人々を笑顔にしたり幸せにしたりできる点に気づいた。そして、その経験から寿司という「モノ」の提供以外に「体験=コト」の提供を思い付き、2012年から寿司の体験教室「うめもり寿司学校」を開校しているのです。

 

●(新たな)ビジネスモデルの内容
寿司の体験教室というコト消費モデルの導入

 

who:
寿司の体験教室のターゲットとして、地域住民のほか、現在では子供・学生や外国人観光客を中心に据える

 

what:
子供・学生の体験ニーズや、インバウンド需要としての外国人観光客の体験ニーズを充足する

 

how:
・旅行業者への提案から団体旅行客向けの寿司体験教室を始める

 

・「うめもり寿司学校」では、外国人観光客等が「寿司職人」になりきれるように、職人の衣装への着替え、実際の寿司づくり(握る)の体験を提供する

 

・スタッフ全員による日本語で明るく場を盛り上げ、エンターテイメント性をアップしている

 

・ムスリム向けにハラール弁当を提供するほか、新しい事業機会にも積極的に挑戦している

 

・ホームページの多言語化を進め、外国人への情報発信も積極的に行っている

 

●モデル変更の効果
寿司学校について、海外大手旅行業者からの評判が良好です。現在、「うめもり寿司学校」は4店舗、5年間で30万人の外国人観光客が寿司体験を楽しんでいます。

 

●ビジネスモデルの(再)構築のポイント
「多種多様な人に、食を通じて幸せになって欲しい」という想いを実現するためのモデルとして子供・学生・大人から外国人観光客に対応できる寿司体験教室やハラール弁当などの新事業が生み出されました。

 

つまり、経営者の理念が発端でビジネスモデルが再構築された例と言えるでしょう。また、寿司体験教室の成功は、消費者のモノ消費からコト消費へのニーズのトレンドの変化に気づき対応した結果であり、会社設立後のどの企業においても参考にしたい点です。

 

【ムスリムフレンドリー】【ベジタリアン】【精進コース】といった外国人観光客に幅広く対応できるコースの設置のほか、彼らへの集客方法や歓迎方法などを準備するなどの仕組みの構築も成功に繋がっています

 

 

3-4 ビジネスモデル(再)構築する際の注意点

ビジネスモデルの(再)構築で特に注意しておきたい点について説明しましょう。

 

ビジネスモデル(再)構築する際の注意点

 

①最新のモデルなども参考にする

新しいビジネスモデルを考えてまとめ上げるのは容易ではないため、良いアイデアが出てこない場合などは他社モデルや最新のモデルなどを参考に検討すべきです。独自のモデルのこだわっていると構築が遅れたり、競争力のないモデルを作ったりすることになり得るため注意しましょう。

 

ただし、ライバル会社が既に導入しているモデルと類似している場合、需要量が少なければ競争が激化することになるため十分な検討が必要です。できるだけ他社と差別化できるモデルを検討しましょう。

 

なお、最新のビジネスモデルのタイプには以下のような方法が見られます。

 

  • ・デジタル関連のプラットフォームサービスの展開
  • ・コト消費への対応
  • ・サブスクリプション(定期・定額購買)サービスの実施
  • ・シェアリングエコノミーサービスの導入
  • ・大量生産と個別設計の両方を実現するマスカスタマイゼーションの実施

 

②Who、WhatとHowの3つの視点を外さない

ビジネスモデルの中核はWho、WhatとHowの3つになるため、既に説明したこれらの要素を外さないように注意しましょう。この3つの視点を検討する場合、まず顧客、競合相手、自社の3点を確認しながら行うのが望ましいでしょう(3C分析)。

 

なお、ビジネスモデルは戦略策定の過程で明確にされるケースも多く3C分析などの分析ツールやフレームワークなどを利用すると3つの視点が捉えやすくなるでしょう。その他の方法には以下のようなものがあります。

 

・SWOT分析
内部環境である自社の強みや弱みと、外部環境である機会や脅威に関する分析

 

・製品=市場マトリックス(アンゾフの成長ベクトル)
製品と市場の各々について既存と新規の両面で取るべき戦略を検討する方法(市場浸透、新製品開発、新市場開拓、多角化)

 

・PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)
企業が行う複数の製品・事業の組み合わせと経営資源の配分を最適化するためのツール(多角化している場合などで利用される、事業のポジショニングが有用)

 

・5フォースモデル
競争状態を決定する「既存業者間の敵対関係」「新規参入企業の脅威」「代替品の脅威」「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」の5つの要因による競争環境の分析

 

・競争の3つの基本戦略
差別化戦略、コストリーダーシップ戦略、集中戦略

 

・競争地位別戦略
競争上の地位を、リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーに分けて取るべき基本戦略を検討する方法

 

・バリューチェーン分析
企業の活動を主活動と支援活動に分けて、どの活動で付加価値が生み出されるかを把握するための分析

 

③収益性や参入障壁を評価する

優れたビジネスモデルに見えても実際には「あまり儲からない」「競合他社に直ぐに真似され競争が激しくなる」というようなモデルになっていることもあるため注意が必要です。

 

十分な収益が出るビジネス構造になっているか、先々コストダウンが可能か、参入障壁を高くする手立てがあるかなどをチェックしモデルを検討しましょう。

 

 

4 マネジメント体制の整備と運用

マネジメント体制の整備と運用

 

ここでは企業がどのように自社の活動をマネジメントするかについて、その体制と運用の点から説明します。

 

 

4-1 マネジメントとは

まず、マジメントの内容について説明していきましょう。

 

①企業のマネジメントとは

経営学者のドラッカーはマネジメントのことを「組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関」とし、マネージャーは「組織の成果に責任を持つ者」と定義しています。そして、彼はマネジメントの役割として以下のような点を指摘しているのです。

 

●組織が実現すべきミッションの達成
組織が各々に有する特定の果たすべき使命を認識して、それを実現する必要がある

 

●組織に従事する人の活用
組織はそこに従事する人に自己実現が可能な機会を提供して活用し、従事者はその中で自己実現を図る

 

●社会貢献
組織が実現すべきミッションの達成は、最終的に社会貢献に結びつく必要がある

 

●時間軸を持った取組
マネジメントは長期や短期などの「時間軸での視点」で実行される

 

上記の点を踏まえたマネジメント(の役割)は、

 

・社会貢献などのミッション等に基づく目標の設定し
・その設定した目標に基づき組織を運営して成果を出していくために
・対応可能な組織体制の整備と時間軸による視点で組織運営して
・組織活動の成果の評価と改善のフィードバッグを行う

 

といった一連の活動と言えるでしょう。さらにもっと単純化すると、いわゆるP(計画)、D(実行)、C(確認・評価)、A(改善行動)を回していくことにほかなりません。

 

②マネジメントの種類

以下のような種類があります。

 

1)組織階層
マネジメントを行う者の階層として、経営者層の「トップマネジメント」、管理者層の「ミドルマネジメント」、監督者層の「ロワーマネジメント」があります。各マネジメントの内容は以下の通りです。

 

組織階層

 

●トップマネジメント
ここには事業目的、企業戦略、経営計画の策定や組織全体の管理、調整、統制など企業全体を総合的に管理する役割があります。

 

●ミドルマネジメント
トップマネジメントの下に位置する中間管理者などでトップ補佐やロワーとの橋渡しの役割があります。トップマネジメントの経営方針やビジョンを理解し、目標や課題の達成に向けてロワーマネジメントや現場従業員を管理するのが主要な役割と言えるでしょう。

 

●ロワーマネジメント
ミドルマネジメントの下に位置する現場の監督者などで、現場従業員を目標等の達成に向けて管理し効率的な業務遂行の実現を図る役割があります。

 

③業務領域による分類

業務領域の視点で考えると「組織運営」「人材管理」「業務管理」「リスク管理」などに関するマネジメントが考えられます

 

業務領域による分類

 

1)組織運営
このタイプは、企業において特定の目標の達成や課題を解決していくために編成されるチームやプロジェクトを管理するためのマネジメントになります。たとえば、「○○プロジェクトマネジメント」「□□チームのマネジメント」「ナレッジマネジメント」などです。「リスク管理」なども該当するでしょう。

 

2)人材管理
このタイプは、いわゆる人的資源管理です。従業員が企業目標の達成に向けて知識・能力を獲得し、やる気を出して業務に取り組み成果を上げていくための人事システムが中心になります。

 

従って、雇用管理、人事評価、能力開発や報酬制度などの管理システムの構築・運用が中心でモチベーション管理なども含まれます。

 

3)業務管理
このタイプは、業務の計画、実行、評価、改善など、実際の業務が遂行され成果が得られるようにするマネジメントのことです。なお、担当する業務や役割によりその管理の内容や実施方法が異なってきます。

 

経理部門では「管理会計」、販売部門では「顧客管理」、生産部門では「生産管理」などの個別の管理手法などが使用され、各業務活動がマネジメントされます。そして、各管理業務で得られた情報をもとにトップマネジメントなどは全社や部門のマネジメントを実施するわけです。

 

 

4-2 適正なマネジメント体制の運用によるメリット

マネジメント体制を適切に整え実施していくと企業にどのようなメリットが生じるのかを説明しましょう。

 

適正なマネジメント体制の運用によるメリット

 

①目標等の達成

マネジメントの構築・運用により企業の理念や目標の実現が容易になります。目標等を達成するための内容・方法を含む計画が作られ、その実行・評価・改善が適切に実施されれば、望ましい結果が得られやすくなるのです。

 

②効率的な活動

PDCAの実行により、成行の経営や業務活動を防げるため、無駄な活動が減少し効率的になります。その結果、目標の早期達成とともに経営者や従業員の負担が軽減され、組織全体の生産性が向上するのです。

 

③理念やビジネスモデルから逸脱した行動の防止

マネジメントは理念やビジネスモデルを根拠として展開されるべきものであることから、それらから外れた事業や活動に取り組むことが回避されやすくなるでしょう。

 

④人材育成・能力開発に貢献

マネジメントは、目標の達成に向けて活動を合理的に設計して取り組めるようにすることであるため、経営者や従業員には活動に必要な知識・スキル等を身につけることを要求します。

 

様々な研修、訓練や自己啓発などをマネジメントの一環として実施・促進すれば、自ずと組織構成員の知識・能力・意欲は高められます

 

 

4-3 マネジメント体制の推進ポイント

ここでマネジメント体制を整備・運用していく際の重要ポイントを確認しましょう。

 

①企業理念とビジネスモデルの認識と反映

マネジメントは経営や業務活動を行う際の制度・ルール、遂行内容、評価基準、改善方法などを策定し実行させていく活動であるため、企業理念とビジネスモデルが前提にならなければなりません。

 

従って、理念やビジネスモデルを内包している経営戦略等に対応した内容と整備・運用が求められます。

 

②戦略から計画・制度への反映

戦略を具体的に実施していくには計画の策定及び制度の設定が必要です。つまり、戦略実行のための各種業務の内容、担当、遂行方法、期限、目標やルールなどを決め業務を合理的に推進できるようにしなければなりません。

 

この作業はトップ、ミドル、ロワーの各階層の管理者で実施されるほか、現場従業員も上位からのブレークダウンした内容で実施することが不可欠です。そして、各業務門では計画の遂行に必要な管理を展開していくことになります。

 

●トップマネジメント、組織管理の領域

  • ・経営戦略、経営計画や事業計画の作成
  • ・予算編成や予算統制に関する制度の構築
  • ・資金管理制度の構築(資金繰り表やキャッシュフロー計算書などによる管理)
  • ・事業別損益管理制度の構築:事業や商品別などによる損益管理の実施
  • ・原価管理制度の構築
  • ・人事制度の構築(評価制度、処遇制度、能力開発、雇用管理制度)
  • ・社内規定の作成等

 

●ミドルマネジメント、業務管理の領域

  • ・各種業務マニュアルの作成
  • ・販売管理(顧客管理等)、生産管理(在庫管理等)、給与・勤怠管理、情報セキュリティ管理、リスク管理制度などの構築

 

●ロワーマネジメント、現場管理の領域

  • ・各種作業レベルの管理
  • ・現場従業員の行動計画の作成など

 

③評価と改善の実施

管理者は各担当業務などの計画の実行状況を確認して評価の上必要な場合には改善活動を推進していかねばなりません。もちろん現場担当者自身による実施内容の確認・評価・改善も必要です。

 

これらの作業を経営者から現場従業員まで実施されることで全社的なマネジメント体制が始めて整備・運用されることになります。

 

 

4-4 マネジメントの整備・運用での注意点

上記以外のマネジメントで注意しておきたい点を紹介しましょう。

 

マネジメントの整備・運用での注意点

 

①将来のあるべき姿の視点

マネジメントにおいて、その対象が現在や比較的近い期間に重点が置かれるだけでなく、中長期の視点も含められねばなりません。

 

業績管理では単年度や次年度の売上・利益の達成や資金繰り、人材管理では当年度・次年度の採用者の確保や離職者の防止などを中心としてマネジメントが展開されます。

 

当然、必要なマネジメントですが、目先の管理に終始していると5年先の業績達成や人材確保に向けた活動が疎かになり、将来に悔いを残すことになりかねません。中長期の計画をしっかり立てそれに対応したマネジメントも実行しましょう。

 

②管理者への教育

マネジメントは経営者層、管理者層と監督者層が中心になって展開される作業であるため、これらに属する人達への教育が欠かせません。まず、経営者層はマネジメントの重要性を認識し、そのことを管理者層と監督者層にしっかり伝達する必要があります。

 

その上で管理者層と監督者層に各PDCAの内容について理解させ実施できるような教育を施すことが重要です。そして、適正なマネジメントが出来ているかを人事評価として取り入れ適正な評価の上処遇するという人事システムの構築も必要になります。

 

③指導・支援への強化

計画に従った行動を促し狙いの結果を得るには、管理対象が行うプロセスの随所で状況を確認・評価し、必要に応じで対策の立案や実行などについて指導・支援することが欠かせません。

 

結果に対する叱咤激励だけでなく、管理対象者の相談に乗り問題を解決できるようにサポートすることも重要です。

 

 

5 まとめ

まとめ

 

企業理念は自社事業の志とも言えるものであり活動の根幹になります。ビジネスモデルは理念をビジネスの仕組みにしたもので、マネジメントはビジネスモデルの遂行に必要な手段です。

 

これら3つは企業経営の要となるため、設定や対応を疎かにすると経営上の様々なリスクを呼ぶことになりかねません。この機会に会社設立後の経営の質を高めるために、企業理念、ビジネスモデル、マネジメント体制を点検してみてください。


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