フォーブス世界長者番付、1位はもちろんあの人

アメリカ経済誌フォーブス（Forbes）は2017年版「世界で最も裕福な人」を発表しました。
第1位は米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏で、総資産額は推定860億ドル（約9兆6956億円）でした。10億ドル以上を保有する人は前年の1810人から233人増えて2043人となり過去最大を記録しました。

目次

1. 1　最新ランキングを紹介
2. 1-1　TOP10はほとんど米国人
3. 1-2　IT企業の飛躍が目立つ
4. 2　日本からは33人がランクイン
5. 2-1　日本最高は孫正義の34位
6. 2-2　最年少でランクインしたZOZOTOWN社長
7. 3　女性の順位は？
8. 3-1　アジア太平洋出身の女性は15人
9. 3-2　日本人女性は2人

1　最新ランキングを紹介

アメリカの経済誌フォーブスは毎年、10億ドル以上を保有する億万長者をランキング形式で発表しています。
3月20日に発表された最新版では億万長者が前年比で18％増加し、過去31年間で最大となりました。リストに載った2043人のうち、総資産額のTOP10は次のとおりです。

・ 世界長者番付TOP10

（参照：Forbes「The World’s Billionaires」）

1-1　TOP10はほとんどアメリカ人

ビル・ゲイツ氏が首位となるのは過去20年間で通算18回目です。1975年に共同設立したマイクロソフト社の会長職を2014年に辞任した後は、取締役兼技術顧問として残っています。同社株式を2.3％保有しており、同氏財産の13％を占めます。

（▲4年連続で首位となったビル・ゲイツ氏 (出典：Reuters)）

ゲイツ氏に次いで2位となったのは投資家のウォーレン・バフェット氏。世界最大の投資会社バークサー・ハサウェイ（Berkshire Hathaway）のCEOで、オマハ（米郊外の小さな街）の賢人とも称されます。

3位のジェフ・ベゾス氏はインターネット通販大手のアマゾン創業者です。前年から276億ドルの増加は世界一の上げ幅となりました。ベゾス氏は送料無料、当日配達など常識では考えられないアイデアで、アマゾンを世界最大の小売業者へと成長させ、物流業界に革命をもたらしました。

ランキングのトップ10はほとんどをアメリカ人が独占した格好となりました。

1-2　IT企業の飛躍が目立つ

スペイン出身として最高だったのはファッションブランドZARAを運営するインディテックス創業者のアマンシオ・オルテガ氏です。昨年から43億円増えましたが、IT企業の成長に追いつくことができず、4位に落ちました。

メキシコ最大手の通信業を営むカルロス・スリム・ヘルは、かつては世界一に4年連続輝くなどの大富豪でしたが、トップ5に入るのは6年ぶりとなりました。

最新版のランキングはIT企業の飛躍が特徴的でした。ゲイツ氏のマイクロソフト、ベソス氏のアマゾン、ザッカーバーグ氏のフェイスブック、カルロス氏のテルメックス、エリソン氏のオラクル、マイケル氏のブルームバーグなど6社のIT企業がランクイン。

オラクル（Oracle）は世界トップシェアを誇るデータベース管理ソフトとしても有名で、オラクル社はその開発・販売を手がけています。1985年に日本法人の日本オラクル社が設立されました。

また、ブルームバーグは経済・金融系の情報を配信する情報総合サービス会社です。1987年にアジア太平洋地域における初の支店として東京オフィスを開設。そして2008年にはブルームバーグニュース支局を大阪に開設するなど日本にも積極的に進出してきました。

2　日本からは27人がランクイン

2043人の大富豪の出身国別の内訳は、アメリカが最大で565人、次いで中国319人、ドイツ114人、インド101人、日本は33人となりました。日本人のトップ10は次のようになります。

・ 世界長者番付における日本人の順位

（参照：Forbes「The World’s Billionaires」）

2-1　日本最高は孫正義で34位

なかでも日本最高は34位で、ソフトバンクの孫正義CEOでした。2013年、同社はアメリカの携帯電話会社スプリント・ネクステル（Sprint Nextel）を220億ドルで買収。さらに昨年7月にはイギリスの半導体設計会社ARMホールディングスを320億ドルで買収することを発表。

ソフトバンクは資金調達に向けて中国ネットショップ大手アリババ（Alibaba）と、フィンランドのゲーム会社スーパーセル（Supercell）に72％の株式を売却するなど、積極的なM&Aを展開してきました。

また、昨年末には孫正義氏は米・トランプ大統領とマンハッタンのトランプタワーで面会。孫氏はソフトバンクが米国に500億ドルを投資し、5万人の雇用を創出すると約束しました。

2-2　最年少でランクインしたZOZOTOWN社長

また、41歳の日本最年少で11位（世界630位）となったのは株式会社スタートトゥデイCEOの前澤友作氏です。

前澤氏は高校を卒業後、カリフォルニアに移住し、アメリカの通販事業を学びます。帰国後は、2000年にアパレル事業を設立。日本最大のオンラインファッションモール、ゾゾタウンを運営しています。

同社開発のモバイルアプリ「WEAR」では、ユーザーがファッションコーディネートされた画像を投稿して共有できるようなっており、全世界で750万回以上ダウンロードされました。

3　女性の順位は？

最新版のリストには全体で227人の女性が名を連ねました。

・世界長者番付　女性抜粋版

（参照：Forbes「The World’s Billionaires」）

世界で最も裕福な女性となったのはフランス人のリリアンヌ・ベタンクール氏です。1907年に大手化粧品会社ロレアルを創業したウージェンヌ・シュエレールの娘で、同社株式の33％を子供と一緒に保有しています。近年認知症に悩まされていたリリアンヌは、2012年、孫に役員職を承継しました。

（▲女性第1位のリリアンヌ・ベタンクール氏）

次いで２位となったのは、アリス・ウォルトン氏。世界最大のスーパーマーケット・ウォルマートを創業したサム・ウォルトンの唯一の娘です。ウォルトン自身はウォルマートで働いているのではなく、美術展などのキュレーター（学芸員）として活躍しています。

2011年、ウォルトン氏は家族の故郷である米アーカンソー州にクリスタルブリッジ博物館を設立しました。同博物館では、アンディ・ウォーホルやノーマン・ロックウェルなど世界的有名画家による高級絵画が展示されています。

3-1　アジア・オセアニア地域出身の女性は15人

今回の長者番付ではアジア・オセアニア出身の女性が15人ランクインしました。

東南アジアの女性として初の億万長者となったのはベトナム人のグエン・ティ・フオンタオ氏（Nguyen Thi Phuong Thao）です。
フオンタオ氏は、格安航空会社ベトジェットエア（VietJet Air）でCEOを務めるかたわら、ホテルの運営や証券会社の会長を兼任するなど多彩な実業家としても知られています。

フオンタオ氏は2011年に航空会社を立ち上げ、ビキニ服を着た乗組員の広告で話題となりました。ベトジェットエアでは現在、1日に300便を運航、またアメリカ行き便の40％以上を占めています。

また、インド人のキラン・マズムダル・ショウも自分だけの力で億万長者になった女性です。キラン氏は、アジア最大のインスリン製造会社であるバイオコンを運営しており、世界市場でシェア10％を目指しています。昨年、日本ではパートナーである富士フイルムファーマ株式会社と使い捨てペン型注射器を開発しました。

同社はまた、マレーシア・ジョホール州に2億5000万ドルのインスリン工場を設立。キラン氏はバイオ科学に対する著しい貢献が評価され、フランス最高の民間栄誉賞「レジオンドヌール勲章（L’Ordre NationaldelaLégiond’Honneur）」を受賞しました。

3-2　日本人女性は2人

日本からランクインした女性は、森佳子氏と篠原欣子氏です。

森佳子氏は2012年に亡くなった森稔初代森ビル社長の夫人で、現在は森美術館の理事長を務め、2013年にはフランスのレジオンドヌール勲章シュヴァリエを受章。2014年、森ビルは東京都の中心街を活性化させる官民パートナーシップの虎ノ門ヒルズを立ち上げました。

篠原欣子氏は、日本初の女性億万長者として有名です。篠原氏は、人材派遣会社テンプホールディングス（Temp Holdings）を1973年に設立しました。上場企業となった同社は、パート、アルバイトの需要が高まるなか、2016年には年間45億ドル（約5026億円）の収益を上げました。同社株式の25％を保有する篠原氏は2014年に篠原佳子記念財団を設立。看護師、保育士、ソーシャルワーカーになるための奨学金を授与するため、同社の株式5％を寄付しました。