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【起業時必見!】会社設立時に許認可や届け出が必要となる業種とは

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事業を開始する場合、業種によって許認可が必要な場合があります。通常、会社設立後に許認可や届け出を行うのですが、会社設立時から許認可の準備を行う必要があります。そのため、許認可等の知識は起業前から必須になってきます。今回は、許認可や届け出の基礎知識と、具体的に許認可や届け出が必要になる事業と、手続き方法、法人化するタイミングについて解説します。

 

 

1 許認可とは

許認可とは

 

許認可は、事業を行う為に都道府県や保健所などの定められた行政機関への特定の手続きを経て得られる許可をいいます。この許可がないままで許認可が必要な事業を行うと、無許可営業になります。詳細は後述しますが、無許可営業は法律違反として刑事罰の対象となります。必ず許認可が必要な事業を行う場合には、許認可を取得するようにしましょう。また、許認可によっては手続きから取得まで時間を要する場合もあります。必ず、事業を開始したいタイミングから逆算して手続きの準備を行うようにしましょう。

 

許認可の必要性

 

 

1-1 許認可の種類

一般的に許認可という場合には以下の5つに区分できます。それぞれ許認可になりますので、けして軽く考えるべきではありませんが、難易度はそれぞれ異なっています。

 

許認可の種類と難易度

 

No 区分 難度 区分詳細
届出 簡単 監督する行政機関に届出を行う事で営業ができます。
登録 やや簡単 監督する行政機関に申請を行い、定められた名簿に登録を行う事で営業ができます。
認可 やや難しい 監督する行政機関に申請を行い、あらかじめ定められている要件を満たす事が認められた場合に営業ができます。
許可 難しい 監督する行政機関に申請を行い、行政機関による審査を合格した場合に営業ができます。
免許 かなり難しい 定められた特定の資格を所有した者が、監督する行政機関に届け出を行い、あらかじめ定められた要件を満たしている事を認められた場合に営業ができます。

 

それぞれの詳細を記載します。

 

①届出

定められた事項や書類を監督する行政機関に提出する事などの届け出を行う事で、営業を行う事ができます。届出は行政機関に対して行った時点で法律上有効になるため、行政機関の受け取り等の返事は必要ありません。そのため、簡単かつ手続きが速やかに実施する事ができます。例としては、理美容行やクリーニング店などが届出をすることで営業を行う事ができます。

 

②登録

定められた申請を監督する行政機関に提出する事は変わりません。しかし、それだけでは有効にはなりません。有効にするためには、行政機関が管理する公簿に申請者が記載されることが必要になります。公簿に記載されることは行政行為として公の証明の一つになります。例としては、旅行業や貸金業などが登録をすることで営業活動を行う事ができます。

 

③認可

行政機関が第三者の行為を補充する事で、法律上の効力を完成させる事をいいます。申請書類に不備がない場合には、行政機関は原則として許可を出すことになります。つまり、行政機関に許可を受けるためには、申請内容を正しく理解して作成・提出する事が必要です。例としては、飲食店や旅館業が許可を得ることで営業活動を実施する事ができる業種です。

 

④許可

公共の秩序維持等の観点から法律上禁止されている行為に対して、行政機関による禁止の解除が行われる事をいいます。禁止の解除=許可を行った業者は、その営業を適法として実施する事ができます。なお、申請書類に不備がない場合でも、行政機関には不許可にする裁量があります。例としては、タクシー業や建設業が許可を得ることで営業活動を実施する事ができる業種です。

 

⑤免許

一般的には禁止または制限されている行為を特定の場合でかつ免許を所持する特定の人だけに許すことを許可といいます。例としては、酒の製造業や販売や不動産業は免許を得ることで実施する事ができる業種です。

 

 

1-2 許認可に対する罰則

前述した無許可営業などの許認可に付随する罰則について説明します。罰則を受ける事も大きな影響がありますが、許認可を受けられなくなる事や持っている許認可を取り消しされるリスクもあるため、正しい理解が必要です。

 

許認可に対する罰則の対象は大きく分けると2つに区分されます。『無許可営業』と『違反行為』になります。

 

許認可に対する罰則

 

①無許可営業 許認可が必要な事業を無許可で実施する事をいいます。無許可営業には刑事罰が適用されます。
②違反行為 許認可を受けた後に、建設業であれば建設業法や貸金業であれば貸金業法など各業種で順守すべき法律に違反する事をいいます。違反行為の場合には、その違反内容によって行政処分と罰則のどちらかまたは両方が課されます。

 

①無許可営業の罰則

無許可営業については、業種によって適用される法律が異なってきます。代表的ないくつかの業種の無許可営業の罰則について紹介します。

 

◆飲食店の無許可営業

 

飲食店の営業を行うには、許認可が必要です。食品を調理して提供する営業行為を行った場合には飲食店営業の許可が必要になり、無許可での営業を行った場合には法律違反となり罰則が科されます。未許可での営業については、食品衛生法*や風営法**に違反になり、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科されます。また許認可を得ているようにみせるいわゆる虚偽での営業や名義貸しでの営業も同様に、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科されます。

 

また飲食店においては、深夜営業***は別途届け出が必要になります。深夜営業の届出がないのに、深夜営業を行うのも風営法違反になり、50万円以下の罰金が科されます。

 

*食品衛生法とは、飲食による衛生上の危害の発生を防止するための法律になります。飲食店業の知事許可制などを規定する法律になります。
**風営法とは、正式には『風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律』となります。キャバクラやホストクラブ等の社交飲食店や、客席の広さが5㎡以下の飲食店、マージャン店やパチンコ店やゲームセンター等の風俗営業を規定する法律になります。その他、いわゆる性風俗といわれる性風俗関連特殊営業や、ディスコやクラブハウスといった特定遊興飲食店営業やバーやスナックなどの酒類提供飲食店営業や深夜営業を管轄範囲とした法律になります。
***深夜営業とは、午前0時から午前6時において飲食店などで店舗などの設備を設けて酒類を提供する事をいいます。

 

◆中古物品の売買を無許可で行った場合

 

最近、メルカリなどのスマートフォンを利用して簡単に中古品の売り買いができる環境になっています。しかし、原則として中古品の転売を業とするには『盗品の流通防止』や『盗品の早期発見』を目的として古物商の許可*が必要になります。中古品の転売を業とするという事は、転売を目的に中古の品を買う事をいいます。この許可がないのに、転売を業とすると刑罰の対象となります。罰則としては『3年以下の懲役または100万円以下の罰金、もしくは併科**』となります。また無許可営業で処罰がされた場合には、処罰が決定してから5年間古物商の許可を得る事ができません。
名義を借りて中古品の転売を行った場合も同様に、『3年以下の懲役または100万円以下の罰金、もしくは併科**』となります。

 

*自分で所有していた中古品を売る行為だけであれば、古物商の許認可は必要ありません。なお、転売目的か否かは過去の取引内容から警察が判断します。
**併科とは、懲役と罰金の両方の処罰が適用される事をいいます。

 

◆建設業を無許可で行った場合

 

建設業を行う場合には、許認可が必要になります。この許認可を得ずに建設業を行った場合には、『3年以下の懲役又は300万円以下の罰金』が科されます。一方、許可申請書等を虚偽申告した場合には『6か月以上の懲役又は100万円以下の罰金』が科されます。また、罰金以上の罰則を受けた業者は原則許可が取り消しされます。また、罰則後5年以上が経過しない場合には許可を取得できません。

 

以上、飲食業ならびに中古品の転売と、建設業を無許可で行った場合について説明しましたが、リスクが高い事をご理解いただけたはずです。特に、一度無許可営業が監督官庁から発見されると、それから5年の許可が得られなくなります。つまり、無許可営業に対して罰則があるうえに、同じ業種で再度事業を行う事がかなり困難です。

 

②違反行為

事業を行う上で許認可を得ればその後はずっと安心、というわけではありません。許認可には期限があり、期限を過ぎる前に更新する事が必要になります。この更新ができないと、営業の継続ができなくなるため、事業の継続ができなくなります。また許認可が必要な業種のほとんどが準拠すべき法律や法令があるため、それらを順守できないと違反行為となります。違反行為にはそのレベルにおり、行政処分や罰則が適用されます。

 

行政処分については、以下のように大きく3つに区分できます。

 

指示処分 法律や法令に違反している、もしくは不適切と判断される事項に対して改善を指示・命令することをいいます。
営業停止処分 指示処分の期限までに対応を行わない場合や、重要な影響が伴う悪質性を伴う違反事項が発生した場合に、許認可が停止される事をいいます。許認可が停止されるために、実質的に営業を停止する事になります。
許認可取消処分 営業停止処分に違反した場合や、営業停止期間中でも改善すべき事項が改善できない場合、または該当する法律による許認可に必要な事由を満たすことができなくなった場合に許認可が取り消される事をいいます。

 

基本的には、行政処分は指示処分から始まり、改善を指示された事項の対応が期限までに完了しない場合に営業停止処分となります。また、営業停止処分に違反した場合や、営業停止期間中にも指示事項の対応が完了しない場合に許認可取消処分となります。
許認可を得るという事は、業種によって該当する法律・法令の遵守を義務づけられたことになります。会社設立の際に許認可を得る場合には、許認可を維持していくために必要なことは何か、という事を許認可取得と同時に理解していくことが必要になります。

 

 

1-3 許認可が不要な業種(代表例)

日本で事業を行おうとすると、主要な業種であればほぼ何かの許認可が必要になる、といっても過言ではありません。逆に許認可が不要な業種のほうが少ない状況です。許認可が必要になる業種を見る前に、許認可が不要な代表的な業種を押さえておきましょう。

 

許認可が不要な業種

 

許認可が不要な業種

学習塾 放課後等に児童を教室設備がある施設へ通わせ、学習補助や受験対策のための授業を提供する場合には許認可は不要です。集団指導・個別指導・少人数指導・パソコン絵映像指導等の指導方法によっても違いはありません。
整体院・カイロプラクティック・リラクゼーションマッサージ等 保険を取り扱っていない整体院やカイロプラクティックやその他マッサージ業種は許認可が不要です。(接骨院や整骨院には保健所による許認可が必要になりますので注意してください。)専門知識を持たない場合には、整骨院と整体院の違いは分かりにくいかもしれませんが、許認可の必要の有無は患者が健康保険を適用できるか否かで判断するのが一般的です。
ネイルサロン 美容院などは許認可が必要ですが、ネイルサロンには許認可が不要です。但し、ネイルサロンだけを行い、理美容品の販売や美容サービスの提供を行わない事を前提とします。
通信販売業 通信販売とは、広告やカタログによって消費者から注文を取り、商品を販売・発送する事をいいます。これから通信販売事業を行うために起業を検討する方の大半はインターネットを介して通信販売を行う事が多いはずです。インターネットを介した場合でも、そうでない場合でも、通信販売に許認可は不要です。但し、特定商取引法での法規制はあります。詳しくは、特定商取引法ガイドをご確認ください。

 

最後の通信販売業などは、誇大広告や説明不足により消費者とのトラブルも多く発生する業種です。消費者とのトラブルが発生し、そのトラブルによって消費者が重大な損害を被る可能性が高まる場合には、将来的には規制対象になる場合もありえます。現在は許認可が必要ない業種であっても、将来にわたり許認可が不要というわけではありませんので、注意が必要です。

 

 

1-4 許認可が必要になる業種

許認可が必要になる主な業種は以下になります。なお、申請先は主に警察署と都道府県・市区町村と保健所と運輸局と労働局になります。酒にかかわる製造・卸・販売のみ税務署が申請先になります。

 

許認可が必要になる業種(一部)

 

許認可 申請先 業種
届け出 警察署 インターネットを介した異性紹介業、探偵業等
市区町村 駐車場業等
保健所 理美容業、クリーニング業、整骨院などの保険適用マッサージ業等
運輸局 軽貨物運送業
登録 運輸局 倉庫業等
都道府県 解体工事業、貸金業、倉庫業、電気工事業、旅行業等
経済産業省 揮発油販売業(ガソリンスタンド等)
認可 運輸局 自動車分解整備業等
警察署 警備業、自動車運転代行業等
都道府県 私立学校、保育園等
許可 運輸局 運送業、タクシー業等
警察署 古本屋やリサイクルショップなどの中古品販売や中古自動車販売業、風俗業(パチンコ、麻雀、ゲームセンター、キャバクラやバーなど)、質屋等
都道府県 介護事業、建設業等
保健所 飲食店業(喫茶店やレストランなど)、興行場運営業(映画・演劇・音楽など)、食品製造業(菓子やパンなど)、病院や診療所、ホテル・旅館、ドラッグストア・薬局等
労働局 職業紹介業や労働派遣業等
免許 税務署 酒の製造業・卸業・販売業等
都道府県 建物売買業、不動産代理業・仲介業

 

 

2 業種別の許認可具体的手続き

業種によってその許認可が異なるため、申請方法も異なってきます。しかも都道府県によって申請内容が若干ではありますが変わってくるなどの場合もあります。そのため、申請をする際には必ず該当する監督官庁に問い合わせを行い、必要な申請書類とその内容を確認するようにしましょう。

 

以下では、個人や少人数でも会社設立・営業ができる業種を中心に許認可申請方法についてまとめています。

 

2-1 美容室の届出手続き

美容室の届出手続き

 

美容室の届出は、開設届を含める申請書類を保健所に提出します。大まかな流れは『事前相談』『開設届等の提出』『開設検査』の順番の3工程を経て、保健所から確認書が発行されます。保健所から発行の連絡が来るので、確認書を管轄する保健所まで取りに行く必要があります。なお、確認書の受取には受領印が必要になりますので、忘れないようにしてください。

 

時期 詳細説明
①事前相談 店舗工事着工前 店舗の設計図面をもって、店舗を管轄する保健所へ相談にいきます。なお、相談の際には事前にアポイントメントを入れておく事を推奨します。
②開設届等の提出 店舗開設前10日前後 保健所に以下の書類を提出します。
  • ・開設届*
  • ・構造設備の概要**
  • ・店舗施設平面図および設備の配置図
  • ・店舗案内図(店舗と店舗に隣接する道路や目印となる建物を記載する)
  • ・スタッフ名簿(従業員全員の氏名、住所、生年月日の記載が必要です)
  • ・理、美容師免許書(全員分)
  • ・管理美容師講習会修了書の原本と写し
  • ・結核や皮膚疾患がないかの医師診断書
  • ・開設手数料(16,000円前後)
  • ・現在事項全部証明書(登記簿謄本)
なお、外国籍の人が届出を行う場合には、外国人登録証明書も必要となります。
開設検査(立ち入り検査) 営業開始前 立ち入り検査ではありますが、あらかじめ定められた日時に保健所の職員が立ち入りにて検査を行います。事前に提出している書類と設備やその他内容に相違ないかを現地確認します。

 

*開設届
開設届の様式は管轄する保健所によって異なります。必ず事前に管轄する保健所に確認するようにしてください。なお、記載する事内容は大きく変わらないため、一般的に記載する項目について以下に説明します。

 

開設者の氏名 開業する法人名と代表者を記載します。(個人事業主の場合には、個人事業主氏名を記載します。)
開設者の住所 法人の本店住所を記載します。(個人事業主の場合には、個人事業主の住民票住所を記載します。)
名称 開業する店舗名称を記載します。
所在地 開業する店舗住所を記載します。
電話番号 理容所(理容室)か美容所(美容室)かを選択して記載します。
管理美容師詳細 美容師が常時2名以上勤務する場合には、管理美容師を1名以上配置する必要があります。管理美容師には免許取得後3年以上の美容関連業務経験を有して、公益財団法人理容師美容師試験研修センターが開催する講習会の受講を修了した人がなる事ができます。
詳細とは、管理美容師の氏名と住所と修了証書の取得年月日と修了証書番号になります。また管理美容師の確認印の捺印も必要になります。
開設予定日 開業する店舗の営業開始日を記載します。
重複開設有無 重複開設とは、1店舗で理容所と美容所の両方の営業を行う事をいいます。重複開設を行う場合には、理容所と美容所の両方に必要な衛生所の条件に適合し、施術者是認が理容師と美容師の両方の免許を所有していることが必要になります。
重複開設を行う場合には、店舗名称と開設予定日を記載します。
申請手数料 届出申請の申請手数料は16,000円前後になります。(開業しようとする都道府県や市区町村で若干相違してきます。)

 

**構造設備の概要
構造設備の概要については、以下のように必要条件を満たしている事を一つずつ記載する事が求められます。なお、必要条件も大枠では同じですが詳細については管轄する保健所に確認が必要です。

 

必要条件一覧

1 作業所と待合所が分かれてある事
2 作業所の面積に椅子の台数が応じて設置されているある事
3 作業所の天井が床面から2.1m以上ある事
4 床や腰張がコンクリートやタイル等の不浸透性材質である事
5 待合所が作業に支障のない場所に設けられていて、かつ固定された0.9m以上の高さのモノにより作業所と区分けされている事。
6 洗髪ならびに洗顔のための流水式設備を設けている事
7 顧客1名毎に石けん等で手洗いができる設備を設けている事
8 100ルクス以上の照明と換気が行える設備を設けている事
9 蓋がついた汚物箱と毛髪箱を備えている事
10 薬物消毒や赤外線消毒や蒸気消毒等の器具を消毒するための設備を設けている事
11 ハサミやクシやタオルなどの消毒済み器具等を収納できる『消毒済み』表示を行える戸棚や容器を設けている事
12 ハサミやクシやタオルなどの未消毒器具等を収納できる設備を設けている事
13 外傷などに対応できる救急薬品と衛生材料を備えている事

 

 

2-2 軽貨物運送業の届出手続き

軽貨物運送業の届出手続き

 

インターネットを通じて商品売買が増えている結果、小回りの利く配達のニーズが高まっています。そこで活躍が期待されるのが、軽貨物運送業です。軽貨物運送業の正式名称は、『貨物軽自動車運送業』となります。軽貨物車両やバイクを使用して、荷主から依頼を受けた荷物を指定された受取主に配送します。貨物運送業を始めようとする場合には、管轄する運輸支局への届出を行います。届出が完了すると、事業用のナンバーである“黒ナンバー”を取得できます。一般貨物運送業と異なり、車両整備や運行の責任者資格要件がなく、この黒ナンバーの取得ができれば事業を開始する事ができます。

 

大きな事業開始までの流れは、『事業用車両を用意する』『運輸局で届出申請をする』『軽自動車検査協会で事業用ナンバープレートを取得する』という3項目になります。

 

〇事業用車両を用意する

軽貨物運送業の届出の前に、事業用車両-自動車やバイクなど-を用意する必要があります。なお、自動車の場合には車両の車幅が1.48m以下、荷室高1.2mと荷室長1.86m、最大積載量350kgと決められています。

 

〇運輸局で届出申請をする

事業用車両が容易で来たら、運輸局で軽貨物運送業の届出申請を行います。申請に必要な書類は以下になります。

 

1 貨物軽自動車運送事業経営届出書 登録申請を行うための用紙になります。提出と控えの2部用意が必要です。※控えの再発行はできないため、事業を行う証明である届出書控えは必ず保管してください。
2 運賃料金表 距離毎や大きさなどによる運送料金を設定して表を作成します。
3 事業用自動車等連絡書 軽貨物運送業の申請を行ったことを証明するための書類になります。記載事項は以下になります。
  • ・事業者名称と事業者住所
  • ・自動車登録番号(車両番号)・車台番号・自動車の年式/乗車定員数/貨物自動車の種別/最大積載量
  • ・事案発生理由…“新規許可”を選択してください。
4 車検証 新車で登録する場合には、車台番号が確認できる完成検査証等の書面が必要になります。

 

〇軽自動車検査協会で事業用ナンバープレートを取得する

運輸局で受け取った事業用自動車等連絡用と、事業用車両に今までついていたナンバープレートをもって、軽自動車検査協会の窓口に行きます。窓口で事業用のナンバープレートの取得手続きを行えば、事業用ナンバープレートである“黒ナンバー”を取得する事ができます。これで届出手続きは終了です。手続きに費用が2,000円程度発生します。

 

なお、『Uber Eats(ウーバーイーツ)』などで知名度が上がっている飲食店の料理を宅配するサービスが増えています。この配達は、自転車や125cc以下の原付バイクで配達を行っているため、軽貨物自動車運送事業法には該当せず、軽貨物運送業規制の対象外となります。

 

 

2-3 ガソリンスタンドの登録手続き

ガソリンスタンドの登録手続き

 

ガソリンスタンドなどの揮発油販売業を開業する場合には、一般的には品確法といわれる『揮発油等の品質の確保等に関する法律』に基づいて、経済産業省(場合により経済産業局)の登録が必要です。なお、ガソリンスタンドではガソリンの他に軽油や灯油も販売する事が一般的です。軽油や灯油の販売を行う場合には、別途『石油の備蓄の確保等に関する法律(備蓄法)』の石油販売業届出が必要になる場合もあります。詳細は石油販売業(備蓄法)の各種届出をご確認ください。

 

開業時に必要な届出書類一覧は以下になります。

 

1 揮発油販売業登録申請書 登録申請を行うための用紙になります。
2 事業計画書 開業に関わる詳細を記載します。記載事項は以下になります。
  • ・給油所名称
  • ・給油所の開始予定年月日
  • ・揮発油購入元
  • ・品質管理者氏名
  • ・分析設備の種類又は登録分析機関の名称
  • ・所要資金額(調達方法/内部資金/借入金/合計金額)
3 品質管理者選任届出書 以下の事項を品質管理者選任届出書に記載します。
  • ・登録年月日及び登録番号
  • ・給油所名称及び所在地
  • ・品質管理者氏名
  • ・選任年月日
4 危険物取扱免状 危険物取扱免状は表面と裏面の両方の写しが必要になります。
5 誓約書 揮発油等の品質の確保等に関する法律の第6条第1項第1号から第4号 迄に該当しない事を誓約する誓約書です。
6 揮発油分析設備委託証明書 登録を受けた給与所は原則10日ごとに発揮油の分析を行う義務があります。そしてこの品質管理義務の負担軽減を図る事を目的として、発揮油の分析業務を委託する事ができます。委託を行う場合には、発揮油分析設備委託証明書が必要になります。
7 登記簿謄本 履歴事項全部証明書の提出が必要になります。
8 危険物取扱所設置申請書 管轄する経済産業局に申請書内容を問い合わせが必要です。
9 危険物取扱所設置許可書 管轄する経済産業局に許可書内容を問い合わせが必要です。
10 登録免許税納付書 登録免許税は各管轄によって異なりますが、30,000円前後になります。

 

 

2-4 飲食店の許可手続き

飲食店の許可手続き

 

飲食店や喫茶店を開業したい場合には、営業許可の取得が必要です。許可の申請手続きや、営業許可の取得のために必要な条件や資格もあわせて説明します。
まず、飲食店は法律上『飲食店営業』と『喫茶店営業』の2つに区分されます。

 

形態 説明
飲食店営業 食品を調理し、または施設を設けて消費者に飲食をさせる店舗営業をいいます。
例)カフェ、仕出し屋、すし屋、そば屋、バー、弁当屋、旅館、レストランなど
喫茶店営業 設備を設けて酒類以外の飲物または茶菓子を消費者に飲食させる店舗営業をいいます。
例)喫茶店

 

飲食店営業の営業許可を取得するには、『営業施設基準を満たす』事と『食品衛生責任者を置く』事の2つが必要になります。

 

〇営業施設基準

飲食店営業も喫茶店営業も、営業設備基準を満たさないと営業許可は取得できません。営業施設基準は、共通基準と特定基準の2つに分かれます。

 

基準 詳細
共通基準 業種に関わらず適用される以下の3つの基準があります。
  1. ①営業設備の構造の基準…建物や壁や床や天井などの建物に付属する設備に関する基準を定めています。
  2. ②食品取扱設備の基準…調理に必要な設備や器具に関する基準を定めています。
  3. ③給水および汚物処理の基準…水まわりと衛生管理に関する基準を定めています。
特定基準 営業施設の特定基準とは、業種ごとに定められた施設基準をいいます。
  • ・冷蔵設備…食品を保存するのに十分な大きさが必要です。
  • ・洗浄設備…調理用と洗浄用の2槽以上が必要です。
  • ・客室、客席…換気設備がある事、照明の明るさは10ルクス以上が必要です。
  • ・客用便所…飲食店は来客用トイレが必要です。

 

基準は地域の保健所によって若干取り扱いが異なります。必ず監督する保健所に事前に確認を行いましょう。

 

〇食品衛生責任者の設置

食品衛生責任者は、営業施設において衛生管理を行い、施設と食品の衛生管理と衛生面の教育を従業員に行う責任を負う人をいいます。飲食店営業を行う場合には、必ず各施設に1人必要になります。食品衛生責任者になるには、各都道府県で実施している食品衛生講習会に参加するか、調理師や栄養士などの食品を取り扱う資格が必要です。

 

2-4-1.営業許可取得までの流れと手続き

営業許可を取得するには、以下の6つの工程を行います。

 

実施時期目安
①保健所への事前相談 工事着工前 開設する店舗の図面をもって管轄する保健所に相談を行います。内装工事前に相談を行い、設備上の規制を確実に抑えて工事をします。
②申請手続き 店舗開店10日前 管轄する保健所で申請手続きを行います。必要な書類は以下になります。
  • ・飲食店営業許可申請書
  • ・営業設備の概要…店舗設備や、構造について記載する書類です。フォーマットは保健所で取得できます。
  • ・平面図…店舗内設備の配置が分かる平面図が必要です。
  • ・見取り図…店舗の場所を示す地図です。
  • ・登記事項証明書…履歴事項全部証明書が必要です。
  • ・水質検査成績書…1年以内に発行された水質検査成績書が必要です。水質検査は建物オーナーの義務なので、管理会社に確認してください。
  • ・食品衛生責任者資格の証明…食品衛生協会の講習を受講した場合には「食品衛生責任者手帳」、調理師や栄養士の方は「免許証」を持参してください。
  • ・手数料…地域によって異なりますが、20,000円前後の手数料を用意してください。
※各書面は提出用と控えの2部用意する事をお勧めします。
③立会調査 開業する店舗に保健所の調査員が立入調査を行い、食品衛生法で定めている基準を満たすかを確認します。(基準を満たしていない場合には、改善を行った後に、再度立入調査が行われます。)
④許可書受取 調査からおよそ1週間後 調査の結果に問題がなければ、許可がでます。許可書の受取は保健所で行われます。その際には印鑑が必要になりますので、忘れないようにして下さい。

 

〇深夜酒類提供飲食店の届出申請

飲食店において深夜0時以降にアルコールを提供する場合には、あらかじめ深夜営業の届出を警察署に提出する必要があります。深夜営業は居住地域では許可が下りません。店舗物件を契約する前に、不動産会社等に確認する事をお勧めします。「深夜酒類提供飲食店」届出申請の必要書類は以下のとおりです。

 

  • ・深夜における酒類提供飲食店営業の営業開始届
  • ・深夜酒類提供飲食店営業の営業方法
  • ・営業所の平面図
  • ・照明・音響・防音設備図
  • ・保健所が発行する『飲食店営業許可証(写し)』
  • ・登記簿謄本(履歴事項全部証明書)と定款の写し、役員全員の住民票
    (申請者が個人事業主の場合は、申請者の本籍地が入った住民票)

 

 

2-5 中古品販売の許可手続き

中古品販売の許可手続き

 

最近ではメルカリなどのインターネット上のサービスを通じて、中古品の売買を行う機会が増加しています。自分が購入したものを販売するだけなら、古物商の免許は必要ありません。しかし、人の品物を購入して中古品の販売を行う場合には、原則古物商許可を取得する必要があります。気づかず無許可営業になりえるため、注意が必要なのがこの古物商許可になります。

 

〇中古品の定義

中古品の定義は以下の3つになります。

 

①すでに使用されたもの
②使用していないが、一度消費者が購入したもの
③メンテナンスされたもの

 

これらに該当する商品を販売する場合には、古物商の免許が必要になります。

 

〇古物商の免許申請から取得までの流れ

以下のように大きく4つの工程に分ける事ができます。

 

①警察署での申請 以下の書類を管轄する警察署の窓口に申請します。
  • ・古物商許可申請書…フォーマットは事前に管轄する警察署のホームページ等から入手可能です。どのような古物を取り扱うのかを選択する必要があります。
  • ・登記簿謄本…履歴事項全部証明書が必要です。記載されている事業目的に『古物の取り扱いを行う』意味の記載がある事が必要になります。もし目的にその旨の記載がない場合には、事業目的の変更手続きを行う必要があります。もしくは急を要する場合には、確認書を提出し許可を先に申請する事もできます。
  • ・定款の写し…原本証明も併せて必要です。登記簿謄本同様に、目的部分で古物の取り扱いを行う旨の記載が必要になります。
  • ・監査役を含む会社役員全員と営業所の管理者の『住民票(写し)』『身分証明書』『登記されていない事の証明*』『履歴書**』『誓約書***』
  • ・インターネットを利用して古物の売買を行う場合には、URL使用権限を証明する資料が必要です。
  • ・手数料…申請には19,000円の手数料が必要になります。
    *登記されていないことの証明書類とは、法務局で取得する書類になります。
    **履歴書とは、監査役を含む役員全員の申請前5年以内の職歴を記載する必要があります。
    ***誓約書は、古物商における欠格要件に該当しない事を誓約するための書類となります。欠格要件とは以下の事象になります。
  • ・成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ない人
  • ・過去に犯罪歴がある人
  • ・暴力団関係者である人
  • ・古物営業法違反で過去に許可を取り消された事がある人
  • ・未成年者
  • ・住居が定まらない人
この欠格要件に該当する人が1名でもいると、古物商許可を得る事ができないので注意が必要です。
②訪問調査 申請実施後、40日前後に警察署から許可が下りた連絡と、訪問調査日時の確認で連絡が入ります。調査は、古物商の売買を行う店舗の調査を行います。
③許可証受領 営業所のある最寄りの警察署にいき、許可証の受領を行います。
④古物商プレート購入 古物防犯協会の窓口に行き、古物商プレートを購入します(価格は3,000円程度)。古物商プレートは申込から受け渡しまで約3週間程度かかりますので、開業予定から逆算しての申込が必要です。
なお、現在ではインターネット上で古物商プレートを注文する事もできます。価格が古物防犯協会より安く、かつ現地に行く手間が省けるなどのメリットがあります。

 

 

2-6 介護タクシーの許可手続き

介護タクシーの許可手続き

 

日本人の高齢化が進む中で、介護事業は今後も需要が続く事が見込まれている事業の一つです。その介護事業の一部で、要介護者や要支援者を自宅から介護施設へ専用の福祉車両で送迎する事を業とするのが介護タクシー業です。介護タクシーは正式には一般乗用旅客自動車運送業(福祉輸送事業限定)といい、要介護の認定を受けた人や身体障がいがある人が利用できるサービスです。

 

〇介護タクシー業の許可

介護タクシー業を行うためには、運輸局の許可が必要になります。また、この許可を得るためには、運輸局が定める公示基準である『許可申請に関する審査基準及び細部取扱について』を満たす必要があります。主な許可基準は以下のとおりになります。

 

①車両(福祉車両) 〇申請者が所有する車両を利用する事
所有とは、自己所有または購入、リース契約のいずれかをいいます。車両は、車いすやストレッチャーの利用者を考慮してリフトやスロープ等の福祉装備が備わった特殊車両を利用します。但し、介護福祉士や訪問介護員2級等ケア輸送サービス従業者検収修了者の資格がある場合には、一般車でも許可の対象となります。
②人員(運転者等) 〇運転者は普通自動車第2種免許を所有している事が必要です。
許可取得後に自動車事故対策機構が定める適性診断を受ける必要があります。
〇運転管理者・指導主任者・整備管理者の選任
運転管理者と整備管理者は車両1台で営業する場合には不要です。
③事業用施設等 〇営業所/車両車庫/休憩仮眠施設
  • ・継続して3年以上の利用ができる土地・建物である必要があります。
  • ・事業を行うに十分な規模と設備などが必要になります。また、営業所と車両車庫と休憩仮眠施設は原則併設している事が必要です。
等の詳細な指定・条件があります。
④資金計画 〇資金見積もりが適切で、かつ資金計画が合理的・確実である事が必要です。
申請時に必要な自己資金が、資金計画見積もりの所要資金の50%以上であり、事業開始に必要な資金の100%以上の資金を申請日以降常に確保している事が必要です。資金計画に必要な主な計上費用は以下になります。
  • ・車両費…購入費用またはリース料金、分割代金
  • ・土地費と建物費…営業所や車庫などの取得費用または賃借料金
  • ・機械器具及び什器備品費…点検工具類やタクシーメーター費用など
  • ・運転資金…燃料油脂費や人件費やその他必要経費
  • ・保険料と租税公課…事業用自動車の損害賠償保険料と自賠責保険料、自動車重量税や自動車税や登録免許税など
  • ・その他創業費等必要経費…広告宣伝費等
⑤損害賠償保険 対人1名あたり8,000万円以上で対物200万円以上を保険金額とする任意保険または共済に事業用車両全てに加入義務があります。
⑥法令順守 〇申請法人役員がタクシー事業行う事に必要な法令知識を有している事が必要です。
申請法人の役員の1名が管轄する運輸局で実施する法令試験に合格する事が必要です。
〇申請法人の役員が法令順守を問題なく実施できる事
  • ・申請法人の役員に、一定期間内に道路運送法等の刑罰を受けた者がいないこと。
  • ・申請法人の役員が道路運送関係法令以外を含めて、1年以上の懲役または禁錮刑による執行を終わり、もしくは執行を受けなくなった日から2年を経過していない者がいる場合は許可を受けられない。

 

〇介護タクシー業開業までの流れ

介護タクシー業を開始するまでに必要な流れは以下になります。

 

①事前相談 介護タクシーの許可を受ける事ができる車両や車庫・営業所を確認します。
②事業許可申請 管轄する運輸局窓口に介護タクシー業の許可申請書類一式を提出します。許可申請書類は以下になります。
  • ・一般乗用旅客自動車運送事業経営許可申請書
  • ・事業計画書…事業計画の詳細を記載します。
  • ・施設に関する書類…営業所や車庫や仮眠施設の案内図や見取り図と平面図を提出します。
  • ・施設誓約書…施設が関係法令に合致している事を誓約する書類になります。
  • ・事業用自動車の使用権限を証明する書類…新たに事業用自動車を購入した場合には売買契約書を提出する必要があります。すでに所有済みの場合には車検証の写しを提出する必要があります。リースの場合にはリース契約書の写しを提出します。
  • ・事業用自動車の運行管理等の体制書面…運輸局が指定するフォーマットに従って、『営業所別の事業用自動車数』と『増減車両明細』と『自動車車庫の位置および収納能力』等を記載します。
  • ・欠格事由に該当しない旨の宣誓書…『法第7条各号のいずれにも該当しない旨の宣誓』と『法令遵守状況の宣誓』を宣誓書としての提出が必要です。
  • ・社会保険加入計画…健康保険と厚生年金保険新規適用届の写しと、労働・雇用保険成立届の写しが必要です。
〇新規設立する法人での申請の場合は、定款と謄本、発起人と設立者名簿と履歴書、設立法人への出資状況と見込みを記載する書面の提出が必要です。

 

 

3 法人化する適切なタイミングとは

法人化する適切なタイミングとは

 

個人事業主として事業を行っていると、その規模が大きくなるにつれて「法人化するかどうか」という考えが頭に浮かぶことと思います。これは支払う税金の負担が大きくなることや、売上をさらに増やすための信用力を高める必要が出てくることなどが背景にあります。そこで個人事業主が法人化する適切なタイミングについて見ていきます。

 

 

3-1 法人化とは

法人という言葉はよく聞くと思いますが、実際に法人とはどのようなものなのでしょうか。

 

法人とは、法律によって人と同じように権利や義務を認められた組織のことです。株式会社のような営利法人や社団法人のような非営利法人、社会福祉法人のような公益法人などがあります。

 

個人事業主が法人化するということは、株式会社や合同会社といった名称がない「屋号」から、一般的には「株式会社」を設立することを意味します。そして個人事業主は株主として新会社に出資し、代表取締役となります。

 

法人化の手続きはいろいろとありますが、出資金を振り込み資産と負債を会社に引き継いで会社を設立します。

 

 

3-2 法人化すると何が変わるのか

法人化して変化すること

 

個人事業主として事業を続けることと法人化することに、どのような違いがあるのでしょうか。

 

大きな違いは、個人事業主の場合には稼いだ分がすべて個人の収入となりますが、法人の場合は役員報酬額として受け取るお金しか自由に使えないということです。

 

しかし法人は収入を個人が使えるお金と法人として使えるお金に分けることで、税金面での負担が減少します。つまり節税ができるということです。

 

その代わりに個人事業主は確定申告さえ行えばよかったものが、法人になると決算書を作るといった負担も増えます。そして法人には法人としての責任も生まれます。たとえば訴訟リスクは法人を設立した代表者と、会社そのものに発生するということです。

 

 

3-3 法人化のメリット

法人化のメリット

 

個人事業主が法人化することで生じるメリットは多くあります。まず一番大きなメリットは、信用力が高まるということです。

 

個人事業主はできる限り安定した収入を得たいと思うものです。そこで取引先としても、資本力が大きく継続的に仕事をもらえるところを選びたいと思います。しかし大手の企業も同様に取引先には、安心して仕事を任せられるところを選ぼうとします。そこでどれほど信用できるのか、「与信判断」というものを行います。

 

しかし個人事業主に関しては、なかなか与信調査ができません。一方で法人であれば登記簿や決算書を見ることで、信用力を確認できます。

 

このような理由で法人化することにより、取引先に信用力をアピールできるようになります。さらに信用力が高まれば、融資も受けやすくなるメリットもあります。

 

次に法人化するメリットとして、節税効果の高さがあります。

 

個人事業主の場合には事業で得た利益はすべて課税対象になります。そして所得税は累進課税式なので、所得が多くなるほど税率も大きくなっていきます。

 

一方で法人化すると、事業利益の一部を役員報酬として支払うことで法人所得を減らすことができます。所得を分割すれば所得税率も下がるので、個人事業主として支払うよりも税金が安くなります。

 

さらに法人化すると、赤字を9年間繰り越すことができます。個人事業主は青色申告をしても、3年間しか赤字を繰り越すことができません。

 

 

3-4 法人化のデメリット

法人化のデメリット

 

個人事業主が法人化することには、メリットだけではなくデメリットもあります。

 

メリットの1つに取引先に対する信用力が高まるということがありますが、これが実はデメリットの1つにつながります。

 

信用力が高まる理由に、法人は個人所得と法人所得とを明確に分けるので、事業で使うお金をきちんと確保されるということがあります。これは逆に個人事業主と異なり、自由に使えるお金が制限されることにつながります。

 

では必要が生じた時に役員報酬を引き上げて法人所得を下げることができるのかというと、それはできません。役員報酬を固定しておかないと、経費として計上できないからです。

 

また法人化すると、法人税申告などの事務作業が増えます。個人事業主の確定申告書よりも専門性が高いので、税理士に決算書や税務申告書の作成を頼むことにもなるでしょう。その税理士報酬がかかる点もデメリットと言えます。

 

ほかにも法人化の際に会社設立費用がかかること、たとえ赤字であっても法人住民税が年間7万円かかることなどがデメリットとなります。

 

 

3-5 法人化における注意点

個人事業主が法人化するにあたり、事業の資産や負債を法人に引き継ぐことができると説明しました。では個人で借りている銀行からの融資はそのまま法人に引き継げるかというと、必ずしもそうとは言えません。

 

これは銀行がその個人の信用力に対して融資をしているわけで、その個人が設立した会社に本当に信用力があるのかどうかをあらためて調査する必要があるからです。法人化のメリットに信用力が高まると説明しましたが、その資金繰りや事業計画によっては必ず信用力が高まるとは言い切れません。

 

銀行などから融資を受けており、なおかつその返済が続いている場合には事前に融資先に相談したほうがよいでしょう。もし法人に負債を移すことができなければ、個人としてその返済を続けることになります。そのためのお金を確保することを踏まえて、役員報酬を決める必要があります。

 

役員報酬は個人事業主が1人で法人を運営するならば、自分で決めることができます。しかし個人で借りている融資を返済するために役員報酬を多くしてしまうと、法人所得が減少して法人としての信用力に影響します。

 

個人の負債がある場合には、事前に融資先に相談して法人に引き継げるのかどうか、引き継げなければ法人としての信用力を考慮して役員報酬を決めるといったことに注意しましょう。

 

 

4 売り上げがいくらになったら法人化するべき?

売り上げがいくらになったら法人化するべき?

 

法人化についての説明をしたところで、法人化をするタイミングはいつが良いのかを説明します。

 

 

4-1 課税所得が900万円を超えたら法人化を

個人事業主が法人化する大きなメリットに節税効果があります。ただし、個人事業主としての課税所得が少ない場合には、その恩恵を受けることはできません。法人税率は800万円を境に変わりますが、個人事業主の所得税率は所得金額に応じて段階的に変わっていくからです。個人事業主の所得が低いうちに法人化すると、かえって税負担が増える可能性があります。

 

また法人化すると個人所得としての役員報酬と法人所得に分けるため、個人で使えるお金も減少してしまいます。

 

この点を考慮すると、個人事業主としての所得金額(売上からさまざまな控除をしたあとの所得金額)が900万円を超えたところで法人化するのがよいでしょう。

 

これは個人事業主として課せられる所得税は、所得金額が900万円以下は23%(ここから636,000円の控除あり)であることに対して、900万円を超えると33%(ここから1,536,000円の控除あり)になるからです。住民税の10%も加えると、43%(正確には復興特別所得税も加算される)の税金が発生します。

 

法人の場合には、あらゆる税金すべてを加算した税率は30%を少し超えるほどになります。ただしこれは法人所得金額のうち、800万円を超える部分の税率となり、800万円以下の所得金額に対する税率は4.4%低くなります。

 

この法人税の税率には、以下のものを含みます。

 

  • ・法人税 23.2%(19%)
  • ・地方法人税 4.4%
  • ・住民税 16.3%
  • ・事業税 0.88%
  • ・地方法人特別税 2.9%

 

※カッコ内は所得金額800万円以下の部分に対する税率
※上記は東京都23区の場合

 

上記の税率をすべて加算してみると、47.68%になります。実は実際に支払う法人税の実効税率は、次の計算式で求めるために単純にすべての税率を加算したものとはなりません。

 

実効税率=(法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率+地方法人特別税率)÷(1+事業税率+地方法人特別税率)

 

法人税とは別に役員報酬に対する所得税と住民税がかかりますが、当然ながら個人事業主として申告するよりも税率は低くなります。つまり法人税と役員報酬の税金を合わせても、個人事業主の税金より少なくなるということです。

 

 

4-2 消費税対策として売上高が1,000万円を超えた時

個人所得税と住民税に対して法人税が安くなる点で所得金額から法人化するタイミングを説明しました。一方で、消費税の納税を考えると売上高で法人化をするタイミングを考えることができます。

 

所得金額は売上から控除金額を差し引いた金額なので、売上高としては1,000万円は超えると思います。そして個人事業主は売上高が1,000万円を超えると、消費税を払う必要が出てきます。

 

個人事業主は取引先からの支払いで、消費税を「預かり」ます。しかし課税売上(経費などを引かない収入)が1,000万円以下の場合、事業者は消費税の納税義務は免除されます。

 

しかし個人事業主は、次の要件を満たす場合には消費税の納税義務が発生します。

 

  • ・2年前の消費税課税売上高が1,000万円を超える
  • ・前年の前半6カ月消費税課税売上高が1,000万円を超える

 

しかしそのタイミングで個人事業主から法人化をすると、法人は個人事業主とは別の人格になるために過去の個人事業主としての売上高は引き継ぐことがありません。つまり、法人化してから所得税納税義務が発生することになります。

 

最長で2年後、半年の売上高が1,000万円を超えるなら1年後から消費税納税義務が発生するというわけです。

 

 

4-3 売上高を増やしたい時

個人事業主が法人化するメリットに、信用力が高まることがあります。取引先の中には、個人事業主とは取引をしないところもあるでしょう。

 

売上がどうしても伸びずに悩んでいる時に、法人化するのもひとつの手段です。

 

もちろん法人化すると手数料もそれなりに発生しますし、個人事業主よりも多くの事務作業が発生します。それでも個人事業主として売上が安定しないという不安を抱えて続けるよりも、手間はかかりますが法人化したほうが安定した収入源を確保するほうがよいでしょう。

 

 

4-4 事業を大きくするために融資を受けたい時

事業によっては設備投資などにお金がかかるものがあるでしょう。そのための資金調達に融資を受けることもあると思います。

 

しかし個人事業主は融資を受けるのが難しいという声をよく聞きます。実際に銀行でお金を借りようとしても、なかなか借りることはできないでしょう。地元の信用金庫から融資を受けようとしても、それなりの付き合いを積み上げなければ必要とする融資を受けるのは難しいかもしれません。

 

そこで法人化することで信用力が増すことで、融資も受けやすくなります。法人化すれば帳簿から事業におけるお金の流れが可視化しやすくなります。融資する側としては返済能力があるか否かの判断を下しやすくなるというわけです。

 

さらに法人化して事業を個人から切り離すことで、継続性がある程度は担保されます。もし法人を運営する個人に何かあった場合にも、代わりに誰かがその事業を引き継ぐ可能性が高まるということです。

 

さらに融資を受けるのが難しいとしても、法人化すれば社債を発行することができます。社債は融資とは異なり、償還期間までは毎月返済すること必要はありません。また銀行保証付私募債を発行すれば、縁故者だけではなく一般に社債を発行することができます。

 

個人事業主が法人化をするタイミングは節税効果の面から考えるほかに、信用力という面からも考えられます。節税面から考える場合には、所得金額や消費税課税売上金額で明確に決まっているので、検討しやすいでしょう。

 

 

5 まとめ

事業を開始するにあたって必要な許認可や法人化のタイミングについて見てきました。許認可の区分が届出から許可になっていくに従って申請書類や条件が厳しくなっていく事が理解いただけたかと思います。会社を設立する際には、会社の設立や新規顧客の獲得と合わせて許認可を取得する必要があります。そのため、許認可を取得する場合には外部委託を含めてできるだけ手間を減らしたいところです。少なくとも許認可に必要な手続きや条件を正しく理解し、手戻りがないようにする必要があります。どの許認可でも事前相談を行う流れになっていましたが、不明点はできるだけ事前に管轄する機関に詳細まで相談・問い合わせを行うようにしてください。


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