フランチャイズチェーン数が7年連続で増加するなど、ますます盛り上がりを見せるフランチャイズ業界。その業種は「小売業」「外食業」「サービス業」の3つに大別されます。国内のフランチャイズ市場の統計調査を行っている日本フランチャイズチェーン協会(JFA)によると、昨年度のフランチャイズ市場は25兆円を突破し前年を上回りました。国内店舗数も8年連続の増加と上がり調子が続いています。
政府の働き方改革もあってか、多様な労働形態が見られる現在。会社に雇用されるのではなく、独立・起業の道を選ぶサラリーマンも多くなりました。そこで本記事では、フランチャイズを代表する「小売業」「外食業」「サービス業」の業種について、総務省が国内産業について経済活動別に分類した日本標準産業分類をもとに、その市場規模や仕事内容を詳細に見ていきます。どの業種の本部に加盟するかで悩んでいる人は、是非役立ててください。
1 フランチャイズの3大業種について
フランチャイズビジネスにはコンビニ、レストラン、塾、クリーニングサービスなど多種多様な業種があります。これらを大別すると「小売業」「外食業」「サービス業」に分けることができます。
1-1 最大の市場規模を誇る小売産業
小売業には、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、衣料品販売、飲食業販売、自動車関連などがあります。なかでも毎日のように目にするコンビニフランチャイズは人気業種のひとつで、その市場規模は10兆円を超えます。このほか、文化用品販売業、宅配販売業や無店舗販売業などもあります。
1-2 国民食が強い外食産業
外食業は、ファストフードや各種レストランチェーン、居酒屋、喫茶店など店内で調理した食品を提供する業種になります。人気のハンバーガーや牛丼、ラーメンなどは国民食として愛され、国内外問わず多くの有名チェーンが展開されています。
1-3 時代の流行り廃りを反映するサービス産業
サービス業は、ハウスクリーニングや学習塾・英会話教室、フィットネスクラブなどがあります。このほか、法律事務所や自動車整備、CDレンタルなどもこのカテゴリーです。最近目立つスマートフォンリペア(修理)、ヨガ教室などは急成長している業態といえるでしょう。時代の流行りを反映しやすい業種となります。
1-4 日本標準産業分類とは
総務省は事業所ごとのモノ・サービスに関する経済活動を産業分類ごとにまとめています。これが日本標準産業分類です。モノを生産している場合は、何を作っているか、どのような生産技術で作っているかによって項目を分けています。サービスを提供している場合は、誰に対して、どのようなサービスを提供しているのかによってカテゴリーごとに分類されます。なお、モノやサービスを生産しないような行為、たとえば資産運用などは対象となりません。
2 小売業の詳細について
JFAの2016年度統計調査によれば、小売業のチェーン数は342、店舗数は10万8631店舗、売上高は17兆8404億1700万円です。小売業全体の動向では、店舗数は1.3%、売上高は3.2%、ともに前年度と比べてプラスとなりました。その要因についてJFAは、フランチャイズ事業を展開するうえで、ファストフードなどカウンター商材の拡充、イートインスペースの拡充などが影響したとしました。
小売業の業種は大きく4つに分けられます。コンビニエンスストアやスーパーマッケトなどの「各種商品総合小売」、食料品や酒小売(ディスカウントストア含む)などの「飲食料品関係小売」、家庭用家電販売、インテリアなどの「家具・電庭用品関係小売」、薬局、書籍、スポーツ用品、時計などの「医薬品・書籍・スポーツ用品・中古品等小売」となります。
2-1 各種商品総合小売とは
各種商品小売業とは、日本標準産業分類によれば、「衣、食、住にわたる各種の商品を一括して一事業所で小売りする事業所」となります。業種の性格上、いずれが主力の販売商品なのかを判別するのが困難なものであり、たとえば百貨店やデパートなどが該当します。このほかスーパーマーケット、ワンプライスショップ(100円ショップ)、業務スーパー、ホームセンターなどが該当します。
ここでいう事業所とは、「主として各種商品卸売業の事業所を統括する本社等として、自企業の経営を推進するための組織全体の管理統括業務、人事・人材育成、総務、財務・経理、法務、知的財産管理、企画、広報・宣伝、調査・研究開発、生産・プロジェクト管理、不動産管理、情報システム管理、保有資機材の管理、役務・資材調達等の現業以外の業務を行う事業所」となります。たとえば、本社、本所、本店、支社、支所などがこれに該当します。
このほか、主に各種商品卸売業における活動を促進するため、同一企業の他事業所に対して、輸送、清掃、修理・整備、保安等の支援業務を提供する管理・補助的な経済活動を行う事務所は、「その他の管理、補助的経済活動を行う事業所」に分類されます。
百貨店、スーパーは、日本標準産業分類上は、「衣、食、住にわたる各種の商品を小売りする事業所で、その事業所の性格上、いずれが主たる販売商品であるかが判別できない事業所であり、従業者が常時50人以上のもの」と定義されています。なお、従業人が常時50人以上であっても、衣食住にわたらない事業所は主な販売商品によって分類されます。
また、従業員が常時50人未満の場合は、「その他の各種商品小売業」となり、「衣、食、住にわたる各種の商品を小売する事業所で、その事業所の性格上いずれが主たる販売商品であるかが判別できない事業所であって、従業者が常時50人未満のもの」と定義されています。
2-2 飲食料品関係小売
飲食料品関係小売とは、主に飲食料品を小売する事業所になります。JFAによれば食料品、酒小売(ディスカウントストア)、米穀店などが該当します。なお、客の注文によって調理をして提供する事業所(持ち帰りや配達なども含む)、仕出屋、ケータリングサービスなどの飲食サービスを提供する事業所は「持ち帰り・配達飲食サービス業」に分類されるので異なります。
飲食料品小売業において、主に理事務を行う本社は、「主として飲食料品小売業の事業所を統括する本社等として、自企業の経営を推進するための組織全体の管理統括業務、人事・人材育成、総務、財務・経理、法務、知的財産管理、企画、広報・宣伝、調査・研究開発、生産・プロジェクト管理、不動産管理、情報システム管理、保有資機材の管理、仕入・原材料購入、役務・資材調達等の現業以外の業務を行う事業所」と定義されます。
各種食料品小売業としては、主に野菜の小売を扱う「野菜小売業」、果実(缶詰などは含まない)の小売を扱う「果実小売業」、食肉および肉製品の小売を扱う「食肉小売業」、卵や鶏肉の小売を扱う「卵・鶏肉小売業」、鮮魚や貝類、海藻類などの小売を扱う「鮮魚小売業」、酒屋など主に酒の小売を扱い「酒小売業」、洋菓子や和菓子など菓子類と、食パン・コッペパン・菓子パンなどのパン類の小売を扱う「菓子・パン小売業」、コンビニエンスストアや牛乳小売、酒・牛乳以外の飲料の小売、乾物、豆腐・かまぼこ、お茶類などを扱う「その他の飲食料品小売業」などが該当します。
2-3 家具・家電・家庭用品関係小売
フランチャイズ事業を展開する家具・家庭用品関係小売とは、JFAによれば、家庭用電気販売店(家電販売)、インテリア、家庭用雑貨店などが挙げられています。
家具について、日本標準産業分類は「主として各種の家庭用家具を小売りする事業所」と定義します。たとえば洋家具小売、和家具小売、いす小売、机小売、卓子小売、ベッド小売、つい立小売、屏風小売、浴槽小売、額縁小売、本箱小売、鏡台小売、じゅうたん小売、カーテン小売などが該当します。
また、家電は、日本標準産業上は電気機械器具小売業(中古品除く)に分類されます。おもに、テレビ、ラジオ、電気冷蔵庫、電熱器、電気アイロン、電球、オーディオ機器、ヘッドフォン、イヤフォン、DVDレコーダ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、携帯電話、電気毛布など各種の家庭用電気機械器具およびその部分品を小売する事業所を指します。
このほか、パソコンやパソコンソフト、プリンター、タイムレコーダーなどの小売は電気事務機械器具小売業(中古品除く)に分類されます。
このほか、衣服などの身の回り品は、主に既製・注文を問わず背広服、学生服、オーバーコートなどの男子服を小売する「男子服小売業」、主に既製・注文を問わず婦人服を小売する「婦人服小売業」、主に各種の靴類(革製、布製、ゴム製、ビニール製など、材料などを問わない)を小売する「靴・履物小売業」、かばん・ハンドバッグ・下着・用品雑貨・小間物を小売する「その他の織物・衣服・身の回り品小売」などが該当します。
2-4 医薬品・書籍・スポーツ用品・中古品等小売
医薬品・書籍・スポーツ用品・中古品等小売には、薬局や化粧品、書籍に文具、印章店、リユース、スポーツ用品、カメラ、時計店などが該当します。
医薬品と化粧品については、日本標準産業分類上、主に医薬品・化粧品を中心とした健康および美容に関する各種の商品を中心として、家庭用品、加工食品などの最寄り品をセルフサービス方式によって小売する「ドラッグストア」、主に一般用医薬品および医療用品を小売する「医薬品小売」、主に医師の処方せんに基づき医療用医薬品「調剤薬局」、主に化粧品を小売する「化粧品小売業」に分類されています。
書籍、文房具については、一般的な書店や洋書などの取次店など主として書籍および雑誌を小売する「書籍・雑誌小売業」、主に古書籍、古雑誌などの古本を小売りする「古本小売業」、主に新聞を小売する「新聞小売業」、主に紙、紙製品および文房具(板紙、和紙、ふすま紙、障子紙、帳簿類、ノート、万年筆、鉛筆、ペン、インキ、すずり、筆、朱肉、そろばんなど)を小売する「紙・文房具小売」などが挙げられます。
スポーツ用品については、主として各種のスポーツ用品(ゴルフ用品、スキー用品、スケート用品、登山用品、スパイクシューズ、運動衣、釣り具用品、狩猟用品など)を小売する「スポーツ用品小売業」)の小売りを扱うスポーツ用品小売業があります。
中古品等については、主として中古の衣服、家具、楽器、運動用品、靴など他に分類されない中古品を小売する「中古品小売業」があります。中古衣服、古道具、中古家具、古建具、古楽器、古写真機、古運動具、中古靴、古レコード、中古CD、中古ゲーム用ソフトなどを扱います。しかし、くず物、中古自動車、中古家電、小切手・古銭などは含みません。
3 外食業の詳細について
2016年度の外食業市場は、チェーン数が前年度より0.4%増えて571、店舗数は0.3%増加して5万8696店舗に、売上高は1.4%増加の4兆1148億2000万円でした。JFAによれば、カレーや牛丼など各種丼ものが好調だったため店舗数が前年度より増加、売上高は1.5%の増加となりました。
また、ハンバーガーを始めとするファストフードは、売上高で10.4%伸びるなど売上回復が目立ちました。
一方、日本料理・寿司では地方を中心に店舗数減少が目立ち、2.6%のマイナスとなりました。居酒屋・パブでも店舗数、売上高ともに減少となりました。
外食業の対象となるのは、店舗を設けて店内で調理した料理を提供し、付随して接客なども行う業態となります。ハンバーガーなどのファストフード、牛丼店、ラーメン店、そば・うどん店などがこれに当たります。
JFAは、フランチャイズを展開する外食業を「ファストフード」(サンドイッチ、フライドチキン、うどん、お好み焼き、たい焼き含む)、「一般レストラン」(焼肉店、しゃぶしゃぶ店、韓国料理店含む)、「コーヒーショップ」(喫茶店、カフェ、その他専門店の3つに分類しています。
日本標準産業分類によれば、飲食サービス業は、「主として客の注文に応じ調理した飲食料品、その他の食料品または飲料をその場所で飲食させる事業所ならびに、客の注文に応じ調理した飲食料品をその場所で提供または客の求める場所に届ける事業所および客の求める場所において、調理した飲食料品を提供する」事業と定義されています。
また、飲食店については、「客の注文に応じ調理した飲食料品、その他の食料品、アルコールを含む飲料をその場所で飲食させる事業所および主としてカラオケ、ダンス、ショー、接待サービスなどにより遊興飲食させる事業所」とされます。
3-1 ファストフードとは
ファストフードのなかで、主にハンバーガーをその場所で飲食させる事業は「ハンバーガー店」として分類されます。
数あるフランチャイズ業界のなかでも世界最大手であるマクドナルド。100以上の国・地域で展開し、店舗数は3万6000店舗を超えます(2015年3月時点)。加盟オーナーになるためには、本社に設けられた研修施設にて最大1年間におよぶトレーニングプログラムを受講する必要があります。研修ではトップフランチャイザーであるマクドナルドの店舗運営、経営知識・スキルを習得することができます。
また、日本食のファストフードとして海外でも人気となっているのが牛丼です。現在、国内最大手である吉野家は全国で1200店舗以上を展開(2017年12月時点)。アジアや米国を中心として海外でも783店舗を経営しています。研修期間は原則3ヶ月ですが、従業員が一定のレベルに達していない場合などは延長されます。また、月2回以上、スーパーバイザーが加盟店訪問するなどの支援・指導サービスがあります。フランチャイズ事業も営んでおり、加盟金は150万円、保証金75万円となります(JFAより)。
このほか、JFAは、フランチャイズのファストフードとしてサンドイッチ、ドーナッツ、フライドチキン、うどん、お好み焼き、たい焼きなどの業種を挙げています。
2001年に創業した「はなまるうどん」を経営する株式会社はなまるは、2003年にフランチャイズ事業を開始。以降、着実に規模を拡大していき、現在の店舗数は415店舗、売上高は275億5100万円となりました。2011年には、中国・上海に海外1号店を出店。2015年にはマレーシア・クアラルンプールにも進出しました。はなまるのフランチャイズ事業は法人を対象に加盟店を募集しています。調理未経験でも約70日の研修期間で店舗運営に関する技術や知識を習得できるとしています。加盟金は350万円となります。
また、大阪道頓堀に本拠地を置くお好み焼き専門店「千房」は、昭和49年設立の老舗有名チェーンです。フランチャイズ契約による加盟店数は33。加盟金は200万円、保証金100万円、開業前研修費として150万円がかかるとしています。このほか、店舗設計費として150万円、内外装費として2100万円、厨房設備費として530万円、テーブル・椅子費用210万円、什器・備品費として120万円、装飾品費として30万円、ホール開店準備費として10万円、宣伝広告費として50万円、開店雑費として50万円の計3700万円が初期投資に必要な金額となります。研修は開業前に2ヶ月間、開業後は4週間の講習を受けることができます。
京都に本社を構えるお好み焼き・鉄板焼き専門店の「いっきゅうさん」を運営するダイナミックスは、関西地方を中心に69店舗を展開。フランチャイズによる加盟店舗は6店舗です。
3-2 一般レストランとは
和食や洋食を問わず、ファミリーレストランなどの一般的なレストランや大衆食堂などは、主に主食となる各種料理をその場所で飲食させる事業所となります。
また、そば・うどん、寿司を除く特定の日本料理、たとえばうなぎ料理、てんぷら料理、とんかつ料理、郷土料理、釜飯屋、しゃぶしゃぶ、すき焼き、懐石料理、割烹料理などを扱う事業所は、「専門料理店」として分類されます。
主にそば・うどんを扱う場合は、「そば・うどん店」として分類されます。主に寿司を扱う事業所は「すし店」となります。
ラーメン店は、主にラーメンをその場で飲食させる事業所として分類されます。おもに中華料理(上海料理、北京料理、広東料理、四川料理など)を扱う事業所は、「中華料理店」(中華そば店、ラーメン店除く)として分類されます。
このほか、肉を自ら網で焼く焼肉は、「焼肉店」として分類されます。なお、ステーキハウスやバーベキュー料理、ホルモン焼き店などはこれに含まれません。
現在、立ち食いスタイルのステーキ店として国内外でフランチャイズ展開しているペッパーフードサービスの「いきなり!ステーキ」はわずか4年で160店舗超に拡大するなど大躍進を見せました。さらに、全国でチェーン展開するラーメン店の幸楽苑とは昨年11月にフランチャイズ契約を締結。異なる業態が手を組むことで事業拡大を図る予定です。
3-3 コーヒーショップとは
コーヒーショップのフランチャイズビジネスの例としてJFAは、喫茶店、カフェ、紅茶・緑茶などの専門店を挙げています。
喫茶店は、日本標準産業分類では「主としてコーヒー、紅茶、清涼飲料などの飲料や簡易な食事などをその場所で飲食させる事業所」と定義されます。喫茶店やフルーツパーラー、音楽喫茶、珈琲店、カフェなどが対象で、スナックバーなどは含まれません。
1962年に設立されたカフェ最大手の一つであるドトールは、国内で1123店舗(加盟店928店舗、直営店195店舗)を展開しています。売上高も順調に伸ばしており、2016年度は前年度比280億円増加となる698億500万円でした。加盟金は150万円、出店準備金は1店舗につき150万円、加盟保証金として150万円、出店保証金として150万円、研修は1人につき20万円、ロイヤリティは売り上げの2%となります。
また、下請け問題で揺れる伊藤園のカフェ事業「タリーズコーヒー」もフランチャイズ事業を展開しています。加盟金やロイヤリティなどは公表していませんが、出店するさいは本部による物件開発のバックアップや初期研修、開店サポート、スーパーバイザーによる定期訪問などの支援を受けることができます。このほか、各エリアのオーナーが出席する「オーナー会議」など、オーナー同士のコミュニケーションを図る機会も設けられています。
4 サービス業の詳細について
2016年度のサービス業市場は、チェーン数が前年度より1.7%増えて422チェーン、店舗数は1.0%増加して9万5782店舗に、売上高は1.7%増加の3兆1421億4100万円でした。JFAによれば、フランチャイズとしての「クリーニング、クリーンサービス」の業種では、コインランドリー需要が伸びたため出店数が前年度比3.3%増加しました。また、「学習塾」では、少子化の中で子ども1人にかける教育費が伸びており、小学校でも英語教育対策が充実化してきたことから店舗数、売上高ともに増加となりました。住宅分野では高齢化が進むなかリフォーム需要が伸びており「リフォーム・ビルメンテナンス」が店舗数で前年比1.4%増加しました。
JFAはサービス業を宿泊施設などの「ホテル・レジャーサービス」、レンタル業やリース業の「リース・レンタルサービス」、家事代行や介護など「その他サービス」に分類しています。
4-1 レジャーサービス・ホテルとは
日本標準産業分類によると、宿泊業は「一般公衆、特定の会員等に対して宿泊を提供する事業所」と定義されます。
主に短期間の宿泊等を一般公衆に提供する営利的な事業所は「旅館、ホテル」に分類されます。例としてシティホテル、観光ホテル、ビジネスホテル、民宿、駅前旅館などが該当します。
宿泊する場所が、主に多数人で共用する構造および設備であって宿泊等を一般公衆に提供する場合は「簡易宿所」になります。たとえば、ベッドハウス、カプセルホテル、山小屋などの簡易宿泊所が該当します。
このほか、長期間で食事付きで宿泊を提供する事業所、または寝具を提供して宿泊させるのは「下宿業」、短期間で会社・団体の所属員などの特定の対象のみに宿泊等を提供するのは「会社・団体の宿泊所」、主に預託金制、共有制により利用権を取得した会員に宿泊施設または宿泊施設を核とするリゾート施設を提供するのは「リゾートクラブ」に分類されています。
東京都内や地方政令都市を中心にカプセルホテルを展開しているファーストキャビンはフランチャイズ事業を営んでいます。昨年の訪日外国人旅行者は2800万人を突破。そのため、都内の一部ではビジネスホテルの予約が取りにくい状況となるなどホテル市場が活況を呈しています。特に渋谷や新宿では外国人利用率が50%を超えています。このほか札幌市では20.8%、大阪市では29.6%、福岡市では20.7%と外国人の利用が高まっています。
カプセルホテルはビジネスマンや男性旅行者を中心に利用されていましたが、最近はセキュリティ性やアメニティを重視したカプセルホテルの需要も伸びてきており、女性客の利用も拡大しつつあります。
カプセルホテル事業は初期投資が少ないのがメリットで、新規でも比較的参入しやすいホテル業として注目されています。オフィスビルを改装してカプセルホテルにコンバートする流れも活発化しており、フランチャイズ事業の拡大も予想されます。
4-2 リース・レンタルサービスとは
リースやレンタルについて、日本標準産業分類では、「主として産業用機械器具、事務用機械器具、自動車、スポーツ・娯楽用品、映画・演劇用品など」を賃貸する「物品賃貸業」として分類されています。
なかでも、「産業機械、設備、その他の物品を特定の使用者にかわって調達し、それを賃貸する事業のうち、賃貸するものが他の小分類3項目以上にわたり、かつ、賃貸する期間が1年以上にわたるもので、その期間中に解約できる旨の定めがない条件で賃貸する事業所」は総合リース業となります。
なお、物品賃貸業のうち、「他の小分類3項目以上にわたる各種の物品を賃貸する性格を有するものであって、他に分類されない」ものはその他の各種物品賃貸業とされます。
主に産業用の機械・機器を賃貸するのは「産業用機械器具賃貸業」となります。たとえば、農業機械器具賃貸、通信機械器具賃貸、電話交換機賃貸、医療機械器具賃貸、鉱山機械器具賃貸、金属工作機械賃貸、金属加工機械賃貸、プラスチック成形加工機械賃貸、電動機賃貸、計測器賃貸、自動販売機(コインオペレータ)賃貸、蔵陳列棚賃貸、荷役運搬機械設備賃貸、コンテナ賃貸、パレット賃貸、ボウリング機械設備賃貸などが該当します。主に建設工事に用いる機械器具の賃貸の場合は建設機械器具賃貸業となります。
自動車レンタルなどは自動車賃貸業となります。普通車ほかライトバン、バス、トラック、タンクローリーや2輪自動車なども対象です。
スポーツ用品や娯楽用品を貸し出しする事業は「スポーツ・娯楽用品賃貸業」に分類されます。たとえば、スキー用品賃貸業、スケート靴賃貸業、貸自転車業、運動会用具賃貸業、貸テント業、貸ヨット業、貸モータボート業、貸馬業などが該当します。
鑑賞用映画などのレンタルDVD、レンタルブルーレイディスクなどは主としてコンパクトディスクなどの音楽・映像記録物を賃貸する事業として、「音楽・映像記録物賃貸業」に分類されます。
レンタルDVD大手のツタヤは、全国約1300店舗を展開しています。フランチャイズ事業にも進出しており、加盟すると効率的な発注を行える「発注代行システム」や、独自に開発したデータベースシステムを利用できるとしています。また、定期的なスーパーバイザーの訪問やスタッフ教育、販売促進ツールなどの支援も受けることができます。加盟金はツタヤレンタルで300万円、開店準備金40万円が必要になります。ロイヤリティはレンタル売り上げの5%です。
このほか、CD・DVDの販売を行うツタヤレコーズでは加盟金100万円、開店準備金20万円、ロイヤリティ2%となります。書店であるツタヤ・ブック・ネットワークでは、加盟金50万円、開店準備金20万円、ロイヤリティ1%となります。ゲームソフトの販売をするゲームツタヤでは加盟金50万円、開店準備金10万円、ロイヤリティ2%となります。中古品のゲームソフトを扱う場合は、加盟金50万円、開店準備金10万円、ロイヤリティ3%と設定されています。
4-3 さまざまなその他サービス
JAFはフランチャイズビジネスのその他サービスとして、家事代行サービス、職業紹介サービス、マッサージ、介護、ペット関連サービス、冠婚葬祭ビジネス、保育所、運送業、情報サービス、DPE・印刷・コピーサービス、理容・美容などを挙げています。
これらのサービスの多くは、日本標準産業分類上、主に個人を対象としてサービスを提供する他に分類されない事業である「その他の生活関連サービス」に該当します。
4-4 家事支援サービスとは
なかでも家事サービス業は、ハウスメイドなどの「個人の家庭に住込んで家事労働に従事する」事業と定義されます。一方、家政婦など住み込みでない家事サービス業は、「個人の家庭に通って家事労働に従事する」サービスに分類されます。
4-5 冠婚葬祭サービスとは
冠婚葬祭業としては、「主として死体埋葬準備、葬儀執行を業務とする」葬儀業、「主として挙式、披露宴の挙行など婚礼のための施設・サービスを提供する」結婚式場業、婚礼のための施設・サービスの 提供および葬儀執行の業務を一体として行い、これらの便益の提供を受けるものから、当該便益等の提供に先立って、対価の一部または全部を2ヶ月以上にわたり、かつ、3回以上に分割して受領する「冠婚葬祭互助会」などがあります。
主に結婚相手の紹介、婚礼のための相談などを行う事業所および婚礼のための施設の紹介、あっせんを行うのは「結婚相談業、結婚式場紹介業」に分類されます。
4-6 DPEサービスとは
主にデジタルカメラ等の画像データのプリントや、フィルムの現像・焼付、引伸など取次を行う事業所であり、フィルム複写を行うのは「写真プリント、現像・焼き付け業」になります。
ペット美容や個人宅でのハウスクリーニング、運転代行、観光ガイドなどは、「主として他に分類されない個人サービスを提供する事業所」として「他に分類されないその他の生活関連サービス業」に分類されます。
4-7 運転代行サービスとは
運転代行サービスについては、国内ではタクシー業者が中心となって事業を展開しています。飲酒後に運転できなくなったドライバーが対象で、ドライバーの代わりにプロが運転手となって自宅まで送り届けるサービスとなります。
最近は、運転代行のスマートフォン向けアプリが普及していることもあり、利用者が拡大。「簡単に呼べる」との手軽さが話題となり、今後注目度はさらに高まると予想されます。また、運転代行のフランチャイズビジネスでは、ドライバーズ・ジャパンが東京圏を中心に全国的に展開しています。
4-8 介護サービスとは
このほか、少子高齢化を背景に介護事業として訪問介護やデイサービスのフランチャイズ事業が活況です。訪問介護は、日本標準産業分類上は、「要介護者等の居宅において、入浴、食事等の介護やその他の日常生活上の世話を行う」事業と定義されます。訪問入浴介護や夜間対応型訪問介護なども対象です。
広島に本社を置く「さくら介護グループ」は介護のフランチャイズ事業を全国的に展開。2025年には介護市場が23兆円〜30兆円にまで拡大するとし、低コスト・短時間かつ高制度の訪問介護やデイサービスなどを提供しています。
4-9 職業紹介サービスとは
また、職業紹介業は、「主として労働者に職業をあっせんする事業」に分類されます。たとえば、看護師紹介所や家政婦紹介所、マネキン紹介所、配ぜん人紹介所、労働者供給業、労働者募集業、内職あっせん業、シルバー人材センター、ファミリー・サポート・センターなどとなります。
派遣業は、「主に派遣するために雇用した労働者を、派遣先事業所からその業務の遂行等に関する指揮命令を受けてその事業所のための労働に従事させることをなりわいとする」労働者派遣業に当たります。なお、ハローワーク(公共職業安定所)はこれに該当しません。
4-10 マッサージサービスとは
マッサージは、療術業として「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師および柔道整復師がその業務を行う(出張含む)」事業に分類されます。このほか、「温熱療法、光熱療法、電気療法、刺激療法などの医業類似行為をなりわいとする者がその業務」を行う場合は「その他の療術業」となります。たとえば、太陽光線療法業、温泉療法業、催眠療法業、視力回復センター、カイロプラクティック療法業、ボディケア・ハンドケア・フットケア・ヘッドセラピー・タラソテ ラピー、リフレクソロジーなどが該当します。
4-11 保育所サービスとは
保育所は児童福祉事業に分類され、「保護者の委託を受けて、乳児または幼児を保育する福祉事業を行う事業所」となります。保育所、託児所、認定こども園、地方裁量型認定こども園などがその対象です。現在、全国の認定こども園数は5000を超えていますが、待機児童問題の大幅な改善に至っていないのが現状です。認定こども園とは、幼稚園と北緯所の機能を併せ持つ施設であり、教育と保育を一体的に行うのが特徴です。具体的には、就学前のこどもに幼児教育・保育を提供する機能、地域における子育て支援を行う機能の2つの条件を満たす施設となります。
また認定こども園には異なる4つのタイプがあります。幼稚園的機能と保育所的機能の両方を併せもつ施設は「幼保連携型」と呼ばれています。認可幼稚編が保育所的機能を持ち合わせている施設は「幼稚園型」。認可保育所が幼稚園的な機能を持ち合わせている施設は「保育所型」、幼保いずれの認可もない地域の施設が認定こども園として必要な機能を持つ施設は「地方裁量型」となります。
全国で保育所のフランチャイズ事業を展開している株式会社学栄は、「ちびっこランド」という施設を運営しています。保育所事業の魅力として、初期投資が少なく利益率が高い点を挙げています。また、待機児童が多いなか、保育事業に取り組むことは社会貢献につながり、さらに社会インフラを充実なものとするものだと説明しています。
当フランチャイズに加盟する際は、加盟金として243万円(物件調査費用、研修含む)、教育費28万800円、設備費142万円の計約413万円が必要になります。
4-12 情報サービスとは
情報サービスについて、日本標準産業分類では、ソフトウェア業と情報処理・提供サービス業に大きく分かれます。
ソフトウェア業は「受託開発ソフトウェア業」「組み込みソフトウェア業」「パッケージソフトウェア業」「ゲームソフトウェア業」に分類できます。
受託開発ソフトウェア業は、「顧客の委託により、電子計算機のプログラムの作成およびその作成に関して、調査、分析、助言などこれらを一括して行う」事業と定義されます。プログラム作成や情報システム開発、システム開発コンサルタント、システムインテグレーションサービスなどが該当します。
組み込みソフトウェア業は、「情報通信機械器具、輸送用機械器具、家庭用電気製品等に組み込まれ、機器の機能を実現するためのソフトウェアを作成する」
事業です。
パッケージソフトウェア業は、「電子計算機のパッケージプログラムの作成およびその作成に関して、調査、分析、助言などを行う」事業となります。
ゲームソフトウェア業は、「家庭用テレビゲーム機、携帯用電子ゲーム機、パーソナルコンピュータ等で用いるゲームソフトウェア(ゲームソフトウェアの一部を構成するプログラムを含む。)の作成およびその作成に関して、調査、分析、助言などを行う」事業となります。
また、情報処理・提供サービス業は、「情報処理サービス業」「情報提供サービス業」「市場調査・世論調査・社会調査業」「その他の情報処理・提供サービス業」に分類されます。
情報処理サービス業は、「電子計算機などを用いて委託された 情報処理 サービス(顧客が自ら運転する場合を含む)、データエントリーサービスなどを行う」ものを指します。
情報提供サービス業とは、「各種のデータを収集、加工、蓄積し、情報として提供する」事業です。たとえば、計算センター、タイムシェアリングサービス業、データエントリー業、パンチサービス業などが該当します。
市場調査・世論調査・社会調査業は「市場・世論・社会に関する情報の調査・分析を行う」ものを指します。
その他の情報処理・提供サービス業とは、「他に分類されない情報処理・提供サービスを行う」のことです。
4-13 運送サービスとは
運送サービスは、日本標準産業分類では、道路貨物運送業に分類されます。
なかでも「他人の需要に応じて有償で自動車(三輪以上の軽自動車および二輪の自動車を除く)により貨物の運送を行う」場合は、「一般貨物自動車運送業」に該当します。
このうち、「営業所その他の事業場において集貨された貨物の仕分けを行い、集貨された貨物を積合せて他の事業場に運送し、他の事業場において運送された貨物の配送に必要な仕分けを行う事業所であり、定期的にこれらの事業場の間における当該積合せ貨物の運送を行う」ものは、「特別積合せ貨物運送業」となります。たとえばトラックなどで行われる貨物運送の形態です。また、特定の荷主との契約に基づき自動車により有償で貨物運送を行うものは、「特定貨物自動車運送業」となります。
軽自動車や2輪自動車(オートバイク)により有償で貨物運送を行う事業は、「貨物軽自動車運送業」となります。
「他人の需要に応じ有償で、鉄道運送事業者、船舶運航事業者または航空運送事業者の行う運送を利用して、自動車による集貨および配達を併せ一貫して貨物の運送を行う」事業は、集配利用運送業に分類されます。このほか、「自動車により無償で貨物の運送を行う事業所ならびに自転車などの軽車両および原動機付自転車によって貨物の運送を行う」サービスは「その他の道路貨物運送業」となります。
昨年、運送業社大手のヤマト運輸がネット販売最大手のアマゾンの当日配送から撤退したとのニュースは記憶に新しい出来事です。少子高齢化とともにEコマースが発達したことで、宅配業界は空前の人手不足に見舞われており、ドライバーの労働環境は長時間労働が常態化するなど悪化の一途を辿っていました。サービスを維持するのが難しいと判断したヤマトは、昨年4月、赤字の一因ともなっていた当日配達から撤退することを決定したとの経緯がありました。
しかし、今年1月に入ってからアマゾンが運賃の値上げ要請を受け入れると発表、ヤマトは今年3月期決算で利益を上方修正しました。ヤマトによる根強い値上げ交渉が身を結んだ結果となりました。
軽貨物に関してヤマトはフランチャイズ事業を展開しています。ヤマト・スタッフ・サプライフランチャイズに加盟している軽貨物を扱った配送、配達をするドライバーはフレキシブルドライバーと呼ばれ、ライフスタイルやキャリアプランに合った柔軟な働き方が可能であるとしています。開業後の支援としては、車両購入にさいしてリース車の紹介サービスを受けることができます。また確定申告などの税務関係のアドバイスもサービス対象です。
契約後は運転時における安全マナーや接遇に関する基礎研修を受けます。営業については、①自分で営業する方法(自身で営業活動を行い、価格交渉など含めて契約を締結するもの)、②ヤマトが仕事を紹介する方法(ヤマトが受託してきた仕事を紹介してもらうもの)の2つを選択することができます。