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「一般・公益」社団法人と「一般・公益」財団法人の設立の方法の総まとめ〜

社団法人といえば、昔は簡単に設立できるものではありませんでしたが、公益法人制度が見直されてから書類を提出するだけで足りるようになりました。一般社団法人の設立件数も年々増えており、少しずつ私たちの身近に感じる存在となりつつあります。ですが、「社団法人は会社とどう違うの?」「利益出しちゃダメなんだよね?」といった疑問が多い状況です。

 

実は、一般社団法人は利益を出しても問題ありませんし、利益を追求してもいいのです。社員に配当してはいけないという条件がありますが、一般の株式会社のように自由に事業を行うことができるのです。

 

本記事では社団法人と財団法人の設立の仕方を分かりやすく解説していきます。またメリット・デメリットについても詳しく見ていくので、起業を検討している人は是非参考にしてみて下さい。

 

 

1 一般社団法人の設立とその手続き方法について

一般社団法人とは、ある目的を遂行するために集まった人の団体です。事業目的について制限がなく、設立の方法も法律で定められた書類を提出するだけなので誰でも簡単に一般社団法人をつくることができます。よく「社団法人=利益を出してはいけない」と誤解されますが、利益を追求して報酬を役員に支払っても問題ありません。では、一般社団法人と株式会社の違いはどこにあるのでしょうか。

 

 

1-1 社団と会社の違いは?

株式会社の場合、事業活動を通じて得た利益は、会社の所有者である株主に配当されます。ですから株主にとっては出資した企業がいくらの儲けを出すのかが最も重要になります。成長企業であるかどうかを見極めて出資し、リターン(配当)を狙っているのです。

 

一方、一般社団法人の場合、利益が出てもこれを法人の構成員たちに配当しません。一般社団法人の構成員とは「社員」のことであり、一般的な「従業員」と異なります。一般社団法人の社員は、設立に関わったメンバーであり、人の集まりである社団法人を存続させるうえで無くてはならない存在なのです。社員が全員欠けてしまった場合、法人は解散しなければなりません。

 

このように剰余金(=利益)の分配を目的としないのが一般社団法人と会社の決定的な違いとなります。なお、一般社団法人は雇用関係上の従業員を雇うことも可能です。もちろん給料を支払っても問題ありません。しかし、構成員である「社員」には支払うことはできまない決まりとなっています。

 

 

1-2 社団法人の4つの種類

社団法人には種類があり、実は株式会社もそのうちの1つです。そもそも「社団法人」との呼び方は、2008年末の公益法人制度改革にて一般法人法(一般社団法人および一般財団法人に関する法律)の成立に伴い、「一般社団法人」という言い方に改められました。同時に、設立に関する要件から公益性(公共の利益・福祉に資する)がなくなり、主務官庁の許可を得ることなく、書類を提出するだけで設立できるようになりました。なお、これを準則主義と言います。

 

さて、呼び方が改められた社団法人は、現在、次の4種類があります。

 

  • 一般社団法人…剰余金の分配を目的としない社団であって、登記のみによって法人格を取得することができる。事業目的に制限がない。
  • 公益社団法人…公益目的事業を主な目的とする社団であって、民間有識者による委員会から「公益認定」を受けたもの。事業目的に制限あり。
  • 営利社団法人…剰余金の分配を目的とした社団であって、営利性を追求した団体、いわゆる株式会社など。
  • その他社団法人…特別法で規定された社団。いわゆるNPO法人や労働組合など。

 

なお、登記を済ませていない社団は「法人格なき社団」として区別されます。

 

 

2 一般社団法人の設立とその手続き方法について

前述したとおり、一般社団法人は、登記をするだけで設立できるという準則主義が採用されています。その設立手続きは、株式会社を作るのと同じように、法人の憲法と言われる①「定款」を作成します。定款に一般社団法人の設立目的や事業内容、設立者の名前などを記載しおえたら、②公証人による認証を受ける必要があります。その後、③理事や監事などの役員を選任し、④法人の所在地を管轄する法務局にて登記申請すれば、正式に法人成立となります。

 

それでは、この手続きを1つ1つ詳細に見ていきましょう。

 

 

2-1 定款を作成する

まずは会社の理念やルールなどをまとめた「定款」を作成します。定款は社員になろうとする者が共同で作成し、全員がこれに署名・押印をしなければなりません(一般法人法10条)。設立に関わった社員のことを設立時社員といいます。なお、設立時社員は2名以上必要です。

 

定款は、株式会社では「会社の憲法」に例えられ、作成を義務付けられた重要書類の1つです。法人の活動はすべて定款に記載した内容に従って行われなければなりません。

 

また、定款には記載しないとその法的な効力を発しない7つの項目があります。すなわち、1.一般社団法人を設立する目的、2.法人の名称、3.事務所の所在地(住所)、4.設立時社員の氏名または名称と住所、5.社員の資格の得失に関する規定、6.公告の方法、7.事業年度です。これらは絶対的記載事項と呼ばれています。

 

2.法人の名称については、一般社団法人は活動するために名称中に「一般社団法人」という文字を使用しなければなりません。

 

なお、定款に、社員に剰余金(利益)や残余財産を分配する旨内容の記載をしても、その効力は発しないと定められています。社団法人の社員で構成される社員総会の決議を必要とする事項についてそれ以外の機関が決定できるとする旨の内容も同様に効力を持ちません(一般法人法11条2項)。

 

このほか、定款の効力自体に影響はないですが、定款に定めておかないと記載内容の効力を生じない事項があります。すなわち、1.社員の議決権に関する定め、2.社員の経費支払義務に関する定め、3.理事会・監事・会計監査人の設置に関する定め、4.理事・監事の任期の短縮に関する定め、5.理事会決議の省略に関する定め、6.理事会決議での役員の責任の一部免除に関する定め、7.代表理事および業務執行理事が自己の職務の執行状況を理事会に報告する回数に関する定め、8.理事会の議事録に署名し、または記名押印する必要がある者を理事会に出席した代表理事とする旨の定め、などです。これらは相対的記載事項と呼ばれます。

 

また、事務局に関する規定などその他の事項で一般法人法の規定に違反しないものを定めることができます。これは任意的記載事項と呼ばれます。

 

 

2-2 公証人の認証を受ける

定款を作成したあとは、公証人と呼ばれる役人の認証を受けなければなりません。公証人とは、証書などの書類の内容が正しいかどうかを判断する権限を与えられた公務員です。定款認証は、各地方の法務局内に設置された公証人役場で受けることができます。

 

定款の書き方が分からないときは、日本公証人連合会のホームページで一般社団法人における記載のサンプルをタイプ別に載せているので、是非参考にしてみてください(参照:http://www.koshonin.gr.jp/format)。

 

なお、認証を受けたあとは、主たる事務所(法人の本社)に備えおき、設立時社員が業務時間内ならいつでも閲覧できる状態にしておかなければなりません(一般法人法14条)。

 

 

2-3 設立時役員(理事、監事等)を選任する

設立時の社員らは、定款で設立時理事を定めなかった場合、公証人の認証の後遅滞なく、設立時理事を選任する必要があります。一般社団法人における社員とは、前述した通り、社団の構成員であり、一般的に意味する従業員とはその性質が異なります。なお法人も社員になることができます。

 

社員が選任するべき役員とは理事や監事です。理事は法人を代表して業務を執行する者であり、会社でいう取締役に当たる立場です。一般社団法人を設立するのに必要な機関になるので、最低1人以上は選任しなければなりません。理事の業務執行について、理事が複数いる場合は過半数を持って決められます。理事のなかから代表理事を選ぶこともでき、代表理事は法人を代表する存在となります。

 

また、一般社団法人では理事たちで構成される理事会を設置することができます。理事会は、業務執行の決定、理事の職務執行の監督、代表理事の選任や解任などを行います。理事会を設置する場合は理事が3名以上、監事が1名以上必要です。理事会を設置しない場合は、前述したとおり、2名以上の理事が必要です。

 

監事は、理事が行う業務を監査する機関です。その役割は会社でいう監査役と似ています。理事の業務執行の監査、計算書類の監査、財産の状況監査などを行うことができます。必置の機関ではないですが、会計監査人または理事会のどちらか、もしくは同時に設置する場合に置かなければなりません。

 

これらの役員は、設立時社員らの過半数をもって選任することになります。(一般法人法17条)。

 

 

2-4 登記の申請を行う

申請書類の作成、役員の選任をしたら設立登記を行います。法人所在地を管轄する法務局に各書類を提出します。一般社団法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立します(一般法人法22条)。

 

このとき必要となる書類とは、①登記申請書(かがみ文書)、②定款1通、③設立時社員の決議書1通、④設立時理事および設立時監事の就任承諾書、⑤設立時理事および設立時監事の本人確認証明書、⑥設立時代表理事の選定に関する書面、⑦設立時代表理事の就任承諾書、⑧設立時代表理事の印鑑証明書、⑨委任状(以上、理事会および監事を設置する場合)です。

 

なお、③設立時社員の決議書については、「設立時社員が設立時理事または設立時監事を選任した場合」、もしくは「設立時社員が設立時の主たる事務所または従たる事務所の所在場所を定めた場合」に必要となります。

 

⑤設立時理事および設立時監事の本人確認証明書については、住民票や運転免許証のコピーで足ります。

 

⑥設立時代表理事の選定に関する書面については、設立時理事の過半数によって代表理事を選定するものとなります。

 

⑦設立時代表理事の就任承諾書については、設立時代表理事が選任された席上でこれを承諾し、選定書などがある場合は、「就任承諾書は、設立時代表理事選定書の記載を援用する」と記載します。

 

⑨委任状については、代理人に登記申請を委任した場合に必要となります

 

また、登記申請書には主たる事務所の名称と住所、設立時代表理事の住所(代理人がいる場合にはその住所も)を記載します。このほか、登録免許税6万円が必要です。なお、収入印紙貼付台紙には割印をせず、登記申請書が複数になるときには、各用紙のつづり目に契印をします。

 

 

3 一般財団法人とは

一般財団法人とは、寄付された財産を運用するために設立される団体のことです。たとえば遺産相続で莫大な財産が残されたとき、そのお金を使って社会貢献をしたい場合などに、財団法人を設立して財産の運用を他者に任せるといったケースが考えられます。

 

一般財団法人の拠出額については300万円以上が最低条件となっています。事業内容については、一般社団法人同様に制限がなく、登記することで法人格を得ることができます。さらに、一般財団法人を設立する設立者に剰余金(利益)や残余財産を分配することはできません。

 

設立手続きは、定款の作成後、公証人による認証を受け、設立登記申請を行います。

 

 

3-1 評議員とは

財産が主役となる一般財団法人では、社団法人のように法人を構成する社員なる存在はありません。その代わり財団法人業務の意思決定を行う機関は評議員会となります。

 

評議員会とは、3人以上の評議員からなる意思決定機関です。一般財団法人では、財産を拠出した設立者が、財産を正しく運用すると信頼できる評議員、理事、監事などの役員を選任します。

 

評議員は、評議員会の構成メンバーとして法人業務の運営にあたるのが職務です。理事・監事等の選任・解任といった法人体制に関する業務から、定款変更や計算書類の承認など法人運営が法令や定款にもとづいて適正に行われているか監視する役割も担います。そのため、理事、監事および使用人と兼任することはできません。

 

評議員の選任・解任については、定款の定めによります。ただし、「評議員を理事または理事会が選任・解任する旨の定め」「評議員会の決議を必要とする事項に関して、理事・理事会その他の評議員会以外の機関が決定することができる旨の定め」「設立者に剰余金または残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定め」とする内容は無効となるので注意が必要です(同法153条3項)。

 

 

3-2 財団法人の種類

一般財団法人では、評議員、評議員会、理事、理事会、監事の設置が義務となります。

 

一般財団法人では評議員は必ず設置しなければならない役員です。このほか、評議員会、理事、理事会、監事も同様です。会計監査人は定款の定めによって置くことは可能ですが、資産200億円以上の大規模一般財団法人の場合に限り設置義務があります。

 

したがって、一般財団法人の機関設計は、①評議員+評議員会+理事+理事会+監事、②評議員+評議員会+理事+理事会+監事+会計監査人の2パターンとなります。

 

 

4 一般財団法人の設立とその手続き方法について

一般財団法人は、社団法人同様に、登記をするだけで設立することができます(準則主義)。その具体的な手続き方法は、財団法人の設立目的や事業内容、設立者の名前などを記載した①定款を作成します。②公証人による認証を受ける必要があります。その後、③評議員、理事、監事である役員を選任し、④法人の所在地を管轄する法務局にて登記申請します。

 

 

4-1 定款を作成する

一般財団法人の定款を作成するのは設立者となります。設立者が複数いる場合全員で行うことになります(同法152条本文)。また設立者は、遺言書で一般財団法人を設立する意思を示すことができます。この場合、遺言執行者は、遺言の効力が生じたあと、遅滞なく遺言で定めた事項を記載した定款を作成しなければなりません(同法152条2項)。

 

一般財団法人の活動は、すべて定款に記載した内容に従って行われなければなりません。

 

また、定款には記載しないとその法的な効力を発しない絶対的記載事項があります。すなわち、1.一般財団法人を設立する目的、2.法人の名称、3.主たる事務所の所在地(住所)、4.設立者の氏名・名称と住所、5.設立にさいして設立者(設立者が2人以上の場合は各設立者)が拠出をする財産とその価額、6.設立時評議員、設立時理事、設立時監事の選任に関する事項、7.設立しようとする一般財団法人が会計監査人を設置する一般財団法人の場合は、設立時会計監査人の選任に関する事項、8.評議員の選任・解任の方法、9.公告方法、10.事業年度となります(同法153条1号~10号)。

 

2.法人の名称については、一般財団法人は活動するために名称中に「一般財団法人」という文字を使用しなければなりません。

 

3.主たる事務所の所在地(住所)については、メインとなる法人(会社でいえば本社)の住所について番地まで記載する必要なく、市町村までで足りるとされます。

 

4.設立者の氏名または名称と住所については、設立者全員を記載しなければなりません。法人が設立者である場合は、法人の名称と本店所在地を記載します。

 

なお、財産の拠出額については、300万円を下回ることができません(同法153.条2項)。また、前述した通り、評議員の選任について理事や理事会にその権限を与えるなどの旨や、設立者に対する利益分配に関する定めは無効です。

 

このほか、財団法人では、相対的記載事項(定款の効力自体に影響はないですが、定款に定めておかないと記載内容の効力を生じない事項)を定めることができます(同法154条)。

 

すなわち、理事および監事の任期の短縮に関する定め、評議員の任期の延長・短縮に関する定め(補欠の場合)、評議員の報酬額に関する定め、理事会決議での役員の責任の一部免除に関する定め、代表理事および業務執行理事が自己の職務の執行状況を理事会に報告する回数に関する定め、理事会の議事録に署名し、または記名押印する必要がある者を理事会に出席した代表理事とする旨の定め、などとなります。

 

また、事務局に関する規定などその他の事項で一般法人法の規定に違反しないものを定めることができます。これは任意的記載事項と呼ばれます。

 

 

4-2 公証人の認証を受ける

定款の作成後は、一般社団法人同様、公証人の認証を受ける必要があります。設立者は、定款を設立者が定めた主たる事務所および従たる事務所に備え置かなければなりません。定款が書類で作成されている場合、①その書類の閲覧請求と、②謄本・抄本の交付請求、定款が電磁的記録(データ)で作成されている場合、③電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧請求、④電磁的記録に記録された内容を電磁的方法であって設立者の定めたものにより提供することの請求、またはその内容を記載した書類の交付請求を業務時間内であればいつでも行うことができます(同法156条)。

 

ただし、設立者(一般財団法人の成立後にあっては、当該一般財団法人)の定めた費用を支払う必要があります。

 

なお、認証手続きは各地方の法務局内に設置された公証人役場で行われます。公証人役場は全国各地に約300ヶ所あるので、法人所在地を管轄する最寄りの法務局で行いましょう。

 

 

4-3 財産の拠出をする

設立者が財産の拠出を行う必要があります。このとき、300万円を下回らないよう注意する必要があります。純資産額(正味財産)が300万円を切ると財団法人は解散しなければならないからです。ただし、単年度ではなく2期連続で300万円に満たなかった場合に限られます。公益財団法人でも解散条件は同じです。

 

なお、財産の拠出は公証人の認証後、遅滞なく、銀行などで支払いを済ませなければなりません(同法157条)。金銭以外の場合は、その財産を給付します。生前処分により財産の拠出を行う場合は、民法の規定が準用されます。すなわち、相続する人(被相続人)は、相続を受ける人(設立者)に対して、生前に贈与する旨を伝えます(=生前贈与)。生前処分で財産の拠出が行われたときは、その財産は法人の成立時から一般財団法人に帰属することになります(同法164条)。

 

また、遺言により財産を拠出することも可能です。この場合、その性質に反しないかぎり、民法の遺贈の規定が準用されます。すなわち、遺贈義務者(遺贈の履行を行う義務がある相続人など)は、受遺者(遺贈を受ける者)となる設立者に対して、遺贈の承認または放棄をすべき旨の催告をします(民法987条)。設立者は指定された期間内に遺贈を受ける旨を伝え、一般財団法人の財産として拠出します。遺言で財産の拠出が行われた場合、財産は、遺言が効力を生じた時から一般財団法人に帰属したものとみなされます。

 

 

4-4 設立時役員(評議員、理事、監事等)を選任する

財産の拠出が行われたあとは、定款で設立時役員(評議員や理事など)を定めていなかった場合、遅滞なく、これらの者を選任する必要があります(一般法人法159条)。会計監査人を設置する一般財団法人の場合も、定款で会計監査人を定めていなかった場合、遅滞なく、選任しなければなりません。なお、会計監査人の設置は任意ですが、200億円以上の資産を有する大規模一般財団法人の場合、設置は義務となります(同法170条、171条)。

 

また、設立時理事や設立時監事に選任された者は、その後遅滞なく、①財産の拠出が完了していること、②一般財団法人の設立手続が法令や定款に違反していないことを調査しなければなりません(同法161条)。このほか、設立時理事は、設立時理事の中から一般財団法人の設立に際して代表理事となる者を選定する必要があります。(同法162条)。このとき、設立時理事には、一般財団法人が成立するまでの間、設立時理事の過半数をもって設立時代表理事を解職する権限が与えられます(同法162条2項、3項)。

 

財産が中心となる一般財団法人には社団法人のような社員がいません。役員は、評議員、理事、会計監査人および監事となります。すべての評議員で構成される評議員会は、理事および理事会の監督、選解任まで行えるなど社員総会と同じような権限を持ちます。

 

評議員会の権限

  • 理事、監事、会計監査人の選任および解任
  • 理事および監事の報酬(※定款で定めていない場合)
  • 各年度決算の決算書類の承認
  • 定款変更
  • 事業の全部譲渡
  • 解散、合併契約の承認
  • 公益目的事業財産の設定
  • 定款の規定により残余財産の帰属が定まらない場合の残余財産の帰属

 

 

4-5 登記の申請を行う

申請書類の作成、評議員および理事らの選任後は法務局にて設立登記手続きを行います。法人所在地を管轄する法務局に各書類を提出しましょう。一般財団法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立します(同法163条)。

 

このとき必要となる書類とは、①登記申請書(かがみ文書)、②定款1通、③財産の拠出の履行があったことを証明する書類1通、④設立者全員の決議書1通、⑤設立時理事、設立時監事、設立時評議員の就任承諾書、⑥設立時理事、設立時監事、設立時評議員の本人確認証明書、⑦設立時代表理事の選定に関する書類、⑧設立時代表理事の就任承諾書、⑨設立時代表理事の印鑑証明書、最後に⑩委任状となります。

 

なお、③財産の拠出の履行があったことを証明する書類については、払込金融機関が作成した払込金受入証明書、払込取扱機関における口座の預金通帳のコピー、引明細表その他の払込取扱機関が作成した書面などが該当します。

 

現金振り込み以外の財産により拠出する場合は、設立時理事および設立時監事が作成した調査報告書などが当たります。

 

④設立者全員の決議書については、「設立者が設立時評議員,設立時理事又は設立時監事を選任した場合、また、「設立者が設立時の主たる事務所又は従たる事務所の所在場所等を定めた場合」に必要となります。

 

⑤設立時理事、設立時監事、設立時評議員の就任承諾書または本人確認証明書については、住民票記載事項証明書,運転免許証のコピーなどが該当します。なお、裏面もコピーし,本人が原本と相違ない旨を記載して,署名または記名押印しなければなりません。2枚以上となる場合には,合わせて綴じてその書面に押印した印鑑で契印する必要があります。

 

⑥設立時代表理事の選定に関する書面については、一般財団法人では設立時理事の過半数によって代表理事を選定するものとなります。

 

⑦設立時代表理事の就任承諾書については、設立時代表理事が選任された席上でこれを承諾し、選定書などがある場合は、「就任承諾書は、設立時代表理事選定書の記載を援用する」と記載します。

 

⑨委任状については、代理人に登記申請を委任した場合のみに必要となります。

 

このほか、登記申請書には主たる事務所の名称と住所、設立時代表理事の住所(代理人がいる場合にはその住所も)を記載します。登録免許税は6万円となります。なお、収入印紙貼付台紙には割印をせず、登記申請書が複数になるときには、各用紙のつづり目に契印をします。

 

 

5 公益社団法人とは

公益社団法人を設立するためには、民間の有識者からなる公益認定等委員会から「公益認定」を受ける必要があります。

 

2008年の公益法人制度改革関連3法の施行以前は、「法人の設立」と「公益性の判断」が一体的に行われていました。そのため、社団法人や財団法人を設立するためには、各主務官庁の許可が必要であり、公益性の判断も主務官庁の自由裁量で行われていた点が問題となっていました。

 

そこで、主務官庁制・許可主義を廃止して「法人の設立」と「公益性の認定」を分離しました。法人の設立は登記のみで設立でき(=準則主義)、公益性の認定は、民間有識者からなる第3者委員会の合議制の意見に基づいて、内閣総理大臣または都道府県知事が認定することになりました。

 

公益認定等委員会は7人の委員で構成される機関です。このほか、内閣総理大臣から委任を受け、公益法人等に対し報告を求め、公益法人等の事務所への立入検査等を実施するなど、法人の監督も行っています。

 

 

5-1 公益社団法人と一般社団法人の違いは?

公益社団法人はその主な事業目的が公益目的でなければなりません。具体的には公益目的事業比率が50%以上であることが求められます。一方、一般社団法人にはそのような規制はないので、自由に事業活動を行うことができます。

 

 

5-2 公益社団法人になるメリット

公益社団法人を設立する魅力の1つとして寄付金が集まりやすいというメリットがあります。個人・法人が公益社団法人に寄付した場合、寄附金の額に応じてその所得から一定額を控除するといった税制優遇措置を受けられます。たとえば個人では所得税、住民税、相続税、みなし譲渡所得課税で一定額の控除や非課税などを受けることができます。一方、法人では、法人税について所得の金額に応じた一定の限度額までが損金に算入することができます。

 

 

6 公益社団法人の認定手続きについて

一般社団法人が公益認定を受けて公益社団法人となるには、所定の申請書類を作成し、これを行政庁に提出します。そして行政庁による定款審査を受けたあと、公益認定等委員会による審議が行われます。公益認定を受けたあとは、法務局にて移行登記をして法人成立となります。

 

 

6-1 申請書類を作成する

申請先の行政庁は、法人の種類で異なります。すなわち、「2つ以上の道府県の区域内に事務所を設置する法人」「2つ以上の都道府県の区域内において公益目的事業を実施することを定款で定めた法人」は内閣総理大臣に、「これら以外の法人」は、事務所所在地の都道府県知事となります。

 

申請書類は、申請日や申請先の行政庁名を記載する①かがみ文書、法人の事業内容や公益目的事業内容について詳細に記載する②別紙、定款や事業計画書などの③その他添付書類となります。

 

①かがみ文書では、法人の名称や事業年度、住所、電話番号、メールアドレス、ホームページのURL、代表者氏名など企業の基本情報を記入します。

 

②別紙では、法人の財務状況に関する書類で公益認定基準に関わる書類を作成します。すなわち、1.収支相償の計算について、2.公益目的事業比率について、3.遊休財産額の保有制限について、4.他の団体の意思決定に関与可能な財産について、5.経理的基礎について、6.各事業に関連する費用額の配賦について、7.収支予算の事業別区分経理の内訳表についての書類となります。

 

③その他添付書類では、公益認定後の定款の変更案や、法人の役員・登記に関する証明書類を提出します。全部で14つの書類(①定款、②定款変更の案、③定款変更に関する必要手続きを証明する書類、④収支予算書、⑤事業計画書、⑥事業計画書および収支予算書記載の予算の根拠となるものを示す書類、⑦登記事項証明書、⑧役員等就任予定者名簿、⑨役員(理事、監事)の報酬基準を記載した書類、⑩滞納処分に関する納税証明書、⑪事業報告書とその附属明細書、⑫前事業年度末日の財産目録、⑬前事業年度末日の貸借対照表とその附属明細書、⑭確認書)を作成します。

 

 

6-2 行政庁の定款審査を受ける

一般社団法人が公益社団法人に移行するとき、その定款の変更の案の内容が公益法人の規定に適合するものであるかどうかを調べる必要があります。これが定款審査と呼ばれています。

 

 

6-3 公益等認定委員会の公益認定を受ける

定款審査を通ったあとは、第3者委員会の公益認定基準をクリアしなければなりません。一般法人とは違い、公益社団法人の事業には次のような公益性が求められます。

 

①「公益目的事業を行うことが主な目的かどうか」
公益法人は、公益目的事業比率(費用ベース)が50%以上(100分の50)であることが求められます。

 

ここで、公益目的事業とは次の23事業を指します。

 

  • ①学術および科学技術の振興を目的とする事業
  • ②文化および芸術の振興を目的とする事業
  • ③障害者もしくは生活困窮者または事故、災害もしくは犯罪による被害者の支援を目的とする事業
  • ④高齢者の福祉の増進を目的とする事業
  • ⑤勤労意欲のある者に対する就労の支援を目的とする事業
  • ⑥公衆衛生の向上を目的とする事業
  • ⑦児童または青少年の健全な育成を目的とする事業
  • ⑧勤労者の福祉の向上を目的とする事業
  • ⑨教育、スポーツ等を通じて国民の心身の健全な発達に寄与し、または豊かな人間性を涵養することを目的とする事業
  • ⑩犯罪の防止または治安の維持を目的とする事業
  • ⑪事故または災害の防止を目的とする事業
  • ⑫人種、性別その他の事由による不当な差別または偏見の防止および根絶を目的とする事業
  • ⑬思想および良心の自由、信教の自由または表現の自由の尊重または擁護を目的とする事業
  • ⑭男女共同参画社会の形成その他のより良い社会の形成の推進を目的とする事業
  • ⑮国際相互理解の促進および開発途上にある海外の地域に対する経済協力を目的とする事業
  • ⑯地球環境の保全または自然環境の保護および整備を目的とする事業
  • ⑰国土の利用、整備または保全を目的とする事業
  • ⑱国政の健全な運営の確保に資することを目的とする事業
  • ⑲地域社会の健全な発展を目的とする事業
  • ⑳公正かつ自由な経済活動の機会の確保および促進ならびにその活性化による国民生活の安定向上を目的とする事業
  • ㉑国民生活に不可欠な物資、エネルギー等の安定供給の確保を目的とする事業
  • ㉒一般消費者の利益の擁護または増進を目的とする事業
  • ㉓前各号に掲げるもののほか、公益に関する事業として政令で定めるもの

 

ここで、②「公益目的事業を行ううえで必要な経理的基礎・技術的能力を満たしているか」では、公益法人が安定的かつ継続的に公益目的事業を実施するために、法人が公益目的事業を行うのに必要な経理的基礎(=財力)、技術的能力(=技術力)を有していることが求められています。

 

③「特定の者に特別の利益を与えていないかどうか」とは、社会通念上、合理性を欠くような利益を与える行為、または優遇する行為が禁止されています。法人関係者や一般企業だけを優遇するような特別な利益を与えないことが求められます。

 

④「収支相償であると見込まれるかどうか」とは、公益目的事業に関する収入額が、その事業に必要な適正費用を償う額の中に収まってなければなりません。

 

⑤「遊休財産額が一定額を超えないと見込まれるかどうか」とは、具体的な使途が定まっていない財産(=遊休財産)が1年分の公益目的事業費相当額を超えないと見込まれることが求められます

 

⑥「一定の基準を満たす場合は会計監査人を設置していること」
そもそも、貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上の大規模法人は会計監査人を設置する義務があります(一般法人法62条)。
一般社団法人が公益財団法人申請する場合は、損益計算書の収益の額が1000億円以上、費用および損失の額が1000億円以上、貸借対照表の負債の額が50億円以上の場合にも会計検査人の設置が求められています。

 

⑦.「親族や関係者が役員の3分の1を超えていないこと」
特定の利益を共通にする理事や監事が多数を占めていることにより、公益の増進に寄与するという法人本来の目的に反した業務運営が行われるおそれあります。そのため、理事および監事のうち、同一親族、同一団体関係者などの相互に密接な関係にある者の合計数は3分の1を超えないことが求められています。

 

⑧「役員報酬額について適正な額が定められていること」
公益社団法人の理事、監事などの役員に支払う報酬は不当に高額なものとならないように努めなくてはなりません。そのため勤務形態に応じた報酬区分や算定方法について具体的に定めておく必要があります。なお、公益法人の職員(従業員)が受け取る給与や福利厚生費などはこの場合の報酬の対象外です。

 

⑨「他の会社株式の50%以上を保有していないこと」
公益法人は、団体の意思決定に関与可能な財産(株式等)を過半数保有していないことが求められます。公益法人が他の法人の財務や事業方針を決定する機関を支配してはなりません。

 

⑩社員の資格や議決権について差別的扱いをしないこと
社員の資格の得喪に関する条件について不当な差別的な取り扱いは禁止されています。ただし、一般社団法人の目的、事業内容に照らし合わせて合理的な関連性や必要性があれば、不当な条件には該当しません。例えば、「専門性の高い事業活動を行っている法人であって、その専門性の維持、向上を図ることが法人の目的に照らして必要であり、その必要性から合理的な範囲で社員資格を一定の有資格者等に限定したり、理事会の承認等一定の手続き的な要件を付したりすることは、不当な条件に該当しない」(参照:公益法人インフォメーションのガイドライン)とされています。

 

⑪「公益目的事業財産の管理について、公益認定取消があった場合など、定款に定めがあること」
公益法人の財産のうち、公益目的のために消費されるべき財産を「公益目的事業財産」といいます。公益認定後に公益目的事業のために受けた寄附金や、収益事業から得られた収益の50%相当額などです。この財産は、その管理について、必要な事項を定款で定める必要があります。なぜなら、公益法人が公益認定の取消しを受けた場合、または解散した場合、公益の目的のために集められた公益目的事業財産の残額(公益目的事業に消費されていない部分のこと)は、公益的に消費することが求められるからです。

 

公益に資する活動をしており、さらに法人のガバナンスや運営能力も問題がないと判断されれば、公益認定を受けることができます。

 

 

6-4 移行登記の申請を行う

公益認定を無事受けた一般社団法人は、2週間以内に主たる事務所の所在地の登記所に、3週間以内に従たる事務所の登記所に法人の名称等を変える移行の登記をする必要があります。また、移行登記後は遅滞なく、行政庁だけでなく旧主務官庁に、登記事項証明書を添付して、その旨を届け出る必要があります。

 

なお、移行認可を受けた日から30日間が過ぎても移行登記の届出をしない場合には、行政庁から、相当の期間を定めて移行登記をすべき旨の催告を受けることになります。それにもかかわらず移行登記をしなかった場合は、行政庁から移行認可を取り消される可能性もあります。

 

 

7 公益財団法人とは

公益財団法人を設立するためには、公益認定等委員会から「公益認定」を受けなくてはなりません。たとえば一般財団法人が公益認定法(公益社団法人および公益財団法人の認定等に関する法律)が定める公益認定基準を満たす場合は、公益財団法人に移行することが可能になります。

 

 

7-1 公益財団法人と一般財団法人の違いは?

公益財団法人はその主な事業目的が公益目的でなければならず、公益目的事業比率が50%以上であることが求められます。一方、一般財団法人にはそのような規制はないため、自由に事業活動を行うことができます。

 

ただし、法人の役員(評議員、理事、監事)が次のいずれかに該当する場合は公益財団法人となることができません。

 

  • 1年以内に公益認定取消の行政処分を受けたことがあり、財団法人の業務を行う理事であった者でその取消日から5年が経過していない者
  • 公益認定法、一般法人法、その他刑法や税法に違反して罰金刑を受けた日、または執行を受けることがなくなった日から5年が経過していない者
  • 禁固以上の刑罰を受け、その執行が終わるか執行を受けることがなくなった日から5年が経過していない者
  • 暴力団関係者でなくなった日から5年が経過していない者

 

このほか、法人が公益認定を取り消されてから5年が経過していない場合や、定款・事業計画書の内容が法律に違反するような場合、事業を行ううえで必要な許認可を受けていない場合、税金を滞納している者または滞納処分が終了した日から3年が経っていない場合、暴力団関係者が事業活動を支配している場合、なども欠格事由として挙げられています(公益認定法6条)

 

 

7-2 公益財団法人になるメリット

公益財団法人や公益社団法人は、税法上「特定公益増進法人」に該当するため、税制面で優遇措置を受けることができます。

 

たとえば、法人(民間企業等)が公益社団・財団法人に寄附を行った場合、支出された寄附金について、その一部について損金算入することが可能です(※(一般寄附金の損金算入限度額と特定公益増進法人等に対する寄附金の特別損金算入限度額を合わせた金額が限度となる)。

 

一方、個人が公益社団・財団法人に寄附を行った場合、所得税において所得控除を受けることができます。すなわち、支出された寄附金について、課税所得算出時に、寄附金額から2000円を差し引いた金額が所得金額から控除されます(※1年に3,000円以上支出した寄附者が各年平均で100人以上いること、年間収入に占める寄附金等収入の比率が1/5以上であることなどの条件あり)。

 

さらに、住民税では、税額控除を受けられます。都道府県・市町村の条例で住民税に関する寄附金税制優遇対象として規定されている公益財団法人なら、支出された寄附金について、寄附金額から2000円を差し引いた金額に住民税率を乗じた額が控除されます。

 

一方で、公益法人が提出する事業計画書や事業報告書について、公益認定基準に合致しているかを調べるために、立ち入り検査や報告徴収など行政庁の監督を受ける義務が生じます。公益認定法に違反する疑いがあった場合には、勧告や命令により是正を求められることもあります。最悪、公益認定を取り消されることもあります。

 

したがって、公益法人は、自らガバナンスを図り、適正に事業を運営していくことが求められます。さらに事業の透明性を確保するため、情報開示を徹底し、国民に対して説明責任を果たしていくことが大切です。

 

 

8 公益財団法人の認定手続きについて

公益財団法人となるには、所定の申請書類を作成し、これを行政庁に提出します。公益財団法人にふさわしい法人として公益認定基準をクリアしなければなりません。公益認定は行政庁による定款審査を受けたあと、公益認定等委員会による審議で行われます。公益認定を受けたら移行登記をして公益財団法人の成立となります。

 

 

8-1 申請書類を作成する

公益認定申請先の行政庁は、公益社団法人と同様で、法人の種類で異なります。

 

  • 内閣総理大臣宛…2つ以上の道府県の区域内に事務所を設置する法人、2つ以上の都道府県の区域内において公益目的事業を実施することを定款で定めた法人
  • 都道府県知事宛…「上記以外の法人」

 

申請を受けた内閣総理大臣または都道府県知事は、書類を確認したうえで、公益認定等委員会に諮問します。

 

また申請に必要な書類は、①申請書(法人の名称や代表者氏名などを記載したかがみ文書)、②定款および定款変更の案に関する書類、③事業計画書、収支予算書、貸借対照表などの決算書類、④役員報酬額に関する基準、⑤その他書類となります。

 

③の事業計画書については、収支予算書、資金調達および設備投資の見込みを記載した書類などが必要になります。

 

収支予算書は、損益計算ベースかつ事業別に区分された収支予算書数値を記載する必要があります。前制度では「内部管理事項」として作成することが求められていましたが、現制度では、主務官庁の指導・監督を受けないため、その作成方法は各法人に任せられています。公益認定法施行規則30条では、経常収支、事業費、管理費、経常外収益、経常外費用の区分に分けて作成することを求めています。

 

資金調達および設備投資の見込みを記載した書類とは、当期中における借入れの予定があるかどうかを記載します。借り入れる予定がある場合は、事業番号、その借入先等、金額、使徒を記載します。当期中における重要な設備投資の予定があるかどうかを記載します。なお、除却や売却の予定も含みます。設備投資の予定がある場合には、その内容、支出または収入の予定額、資金調達方法または取得資金の使徒を記載します。具体的には、財産の価額、法人の総資産に占める割合、財産の保有目的などとなります。

 

このほか、申請書類の詳細は「6-1 申請書類を作成する」に記載のとおりです。

 

 

8-2 行政庁の定款審査を受ける

一般財団法人が公益財団法人に移行するとき、その定款の変更の案の内容が公益法人の規定に適合するものであるかどうかを調べる定款審査を受けることになります。

 

 

8-3 公益等認定委員会の公益認定を受ける

定款審査を通ったあとは、第3者委員会の公益認定基準をクリアしなければなりません。公益認定基準については前述のとおりです。認定することが決定されると、申請法人に対して認定書が交付されます。

 

一方、公益認定の基準に達していない、欠格事由に該当する事項があるなどの場合は「不認定」となり、その理由を述べた通知書が交付されます。
認定されなかった法人は、再度、事業や組織改善を行うことで、公益法人への認定申請をすることができます。認定されなかった場合、定款の変更の案などは特に効力を生じません。

 

 

8-4 移行登記の申請を行う

一般財団法人は、2週間以内に主たる事務所の所在地の登記所に、3週間以内に従たる事務所の登記所に法人の名称等を変える移行の登記をする必要があります。また、移行登記後は遅滞なく、行政庁だけでなく旧主務官庁に、登記事項証明書を添付して、その旨を届け出る必要があります。

 

移行の登記をした日から、定款変更の効力が生じることになります。また、「公益社団法人」「公益財団法人」の名称を独占的に使用することができます。一方で公益認定法の規定を順守する義務も生じます。

 

なお、一般社団法人や一般財団法人などの検索は国税庁「法人番号公表サイト」で検索することができます(参照:http://www.houjin-bangou.nta.go.jp/)。商号または名称の項目で「社団法人(もしくは財団法人)」と入力して検索すると、全国の登記されてある社団法人と財団法人の法人番号と所在地を調べられます。

 

 

8-5 公益法人の現状

現在全国にある公益法人は9300を超えます(内閣府「平成26年 公益法人の活動の状況」より)。2014年時点での公益社団法人は4089(全体の44.0%)、公益財団法人5211(同56.0%)となります。

 

事業報告等の提出のあった公益法 人の活動状況を見ると、全体で約2214億円の寄附金収入があり、5兆2948億円の公益目的事業を実施しています(2015年度時点)。公益法人で働く職員は24万5247人、理事13万2102人(常勤8890人、非常勤12万3212人)となります。

 

 


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