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韓国大手小売りのロッテマート、中国からの全面撤退を検討中

(出展:TechNews 科技新報)
(出展:TechNews 科技新報)

韓国、中国の両国がTHAAD配備問題を受け、さらに関係が悪化しています。複数の中国紙によれば韓国ロッテグループ傘下のロッテマートが、9月、中国店舗の一部を売却する方針であることが明らかとなりました。

 

ロッテマートが韓国政府に対し、「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の用地を提供したことに中国当局は猛反発。中国国内にあるロッテ店舗の営業停止などの報復措置を講じており、ロッテマートは大幅な業績に悪化に追い込まれていました。

 

現在ロッテマートは、売却主管先に米金融大手のゴールドマン・サックスを選定し、売却範囲の調整に入ったとされており、韓国紙によれば全店舗の売却もありうるとされています。

 

解決の糸口が見出せない中韓の関係悪化。韓国を訪れる中国人観光客の数も激減するなど、両国は前例がないほど冷え切っています。

 

 

1 ロッテ、中国から完全撤退!?

複数の韓国紙はロッテグループがついに白旗を挙げたと報じたのは今月14日。ロッテ傘下の大手スーパーマーケット「ロッテマート」が中国店舗の処分作業に着手したことが明らかとなりました。

 

 

 

1-1 THAAD配備が発端

韓国国内に2月、「高高度ミサイル防衛システム(THAAD)」が配備されて以降、中国消防当局は、現地ロッテマートの大量営業停止を決定。さらに中国内でロッテ商品の不買運動や抗議デモが広がったため、ロッテマートの業績は大幅に悪化して

いました。

 

一般に「サード・システム」と呼ばれているTHAADとは「ターミナル段階高高度地域防衛システム(Terminal High Altitude Area Defense System)」の略称で、弾道ミサイル攻撃に対応するための防衛システムの一つとなります。

 

発射された敵国の弾道ミサイルが、その飛行過程の最終段階、大気圏に再突入した段階において、迎撃・撃破するために開発された迎撃用ミサイル及び飛来する敵弾道ミサイルを探知・追跡するための早期警戒レーダーとなっています。(参照:海上自

衛隊)

 

ロッテマートは、THAADの用地として同社が保有する韓国南部にある慶尚北道星州郡のゴルフ場を提供。北朝鮮の弾道ミサイル対策を想定したものですが、レーダー監視が中国国内にまで及ぶため、中国当局は猛反発を続けています。

 

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(▲サード監視レーダーの範囲 / 出展:The Heritage Foundation

 

 

1-2 中国当局による報復措置

THAAD配備を受けて、中国当局はゴルフ場を提供したロッテマートを狙い撃ちしました。
中国に進出したロッテ系列会社の全事業場について税務調査を実施。北京市国家発展改革委員会は、発電機23台と変圧器4台のエネルギー使用量が限度を超えているとし、使用禁止命令を下し没収。以後、各種消防点検などを理由に、ロッテマートの店舗を営業停止に追い込みました

 

報復措置は3月中旬より本格化し、現在、中国国内にあるロッテマート112店舗のうち74店舗は強制的に営業停止に追い込まれ、13点は臨時休業しています。

 

ロッテは8月末、中国ロッテマートを所有している香港ロッテショッピングホールディングスが、中国の金融機関から3億ドル(約3400億円)の資金を調達しました。中国のサード報復が本格化した昨年3月には3600億ウォンの資金を追加融資しました。

 

6ヶ月以上続いている中国当局による損害額は9月末までで6000億ウォン(約592億円)に達すると試算され、売上高はほとんどなく、賃金などの固定費はずっと出ている状態で、営業停止状態が続けば、今年の損害額は1兆ウォン(987億円)に達すると予

想されています。

 

このほか、中国のロッテマートの店舗の前で中国人がロッテ製品を踏みにじるパフォーマンスを繰り広げるなど、抗議活動は活発化していました。

 

営業停止

(▲営業停止に追い込まれた中国国内のロッテマート店舗 / 出展:Reuters

 

china

(▲サード配備に対してロッテマート前で抗議する中国人 / 出展:CNNMoney

 

さらに、中国当局は報復措置として国内旅行会社に対して韓国へのツアーパッケージ商品の中止を要請するなどの経済制裁を発動し、韓国への団体旅行を全面禁止しました。韓国を訪れる外国人観光客のうち約47%が中国人であるとされるなか、韓国経済新聞社によれば、旅行制限による韓国側の被害額は最大15兆ウォン(約1兆5000億円)におよぶとの報道もされました。

 

 

2 売却先はゴールドマン・サックス

ロッテマートは10兆ウォンを超える金額を投資してきました。現在、22の系列会社が進出して120以上の事業場、2万6000人余りの従業員を抱えています。

 

2008年に北京に1号店をオープンして以来、中国での事業は毎年1000億ウォン近い赤字を記録するも、2013年、830億ウォン(約82億円)だった損失規模は2014年に1410億ウォン(約139億円)、2015年1480億ウォン(約146億円)に増え、昨年は1240億ウォンに達しました。

 

ロッテグループが2008年から3兆ウォンをかけて進めてきた瀋陽ロッテタウンプロジェクト工事も昨年12月に中断され再開できずにいます。

 

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2-1 売却は一部か全部か

中国の現地投資銀行(IB)によると、ロッテマートは中国内の店舗の処分のための売却主管社とし米金融大手のゴールドマン・サックスを選定したことがわかりました。売却範囲は確定してないものの、一部もしくは全店舗売却の可能性もあるとの見方もあります。

 

ロッテ関係者によると「(中国でのロッテマートの営業停止が)政治的に解決されて、中国当局がTHAAD報復を緩和する措置を期待したが長引いており、中国当局が(THAAD報復を)解除する余地を発見できずにいる」としながら、「損失額が大きくなっているだけに、交渉に応じて店舗全体を売る方法も考慮している」と述べました。

 

また、ロッテ製菓とロッテ七星飲料も中国市場から完全に撤退するといった観測に関して、ロッテ関係者は「マートを除いて他の中国事業部門の撤退は考えていない」と一蹴しました。

 

韓国紙によると、売却交渉当初、中国最大の流通企業である花蓮グループが有力視されていましたが、花蓮は価格条件面で折り合いがつかなかったことが後に判明しました。その後もロッテは複数の現地代理店に買収を打診し、一部が買収の意思を明らかにしたことも明らかとなりました。

 

ロッテ関係者は「中国全土に99店舗と流通網があるので、THAADと関係のない企業が買収することができるものと期待している」と述べました。

 

 

 

2-2 今後の中韓関係は?

文在寅(ムン・ジェイン)政権の発足以降、韓中関係が改善されれば、中国内のロッテマート事業も再び良くなるのではという期待感もありましたが、今月9月にサードの暫定配備が完了したばかりです。

 

韓国大統領府は中国の報復措置について、世界貿易機関(WTO)に提訴しなければならないという世論に対して「(中国との)困難な問題について戦略的なコミュニケーションと協力をさらに強化し、解決していきたい」と事実上「提訴をしない」方針を明らかにしました。

 

果たして両国関係は改善に向かうのか。今後の中国・韓国の動きに注目が集まります。

 

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(出展:North Korea Times)

 

 


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