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株式譲渡制限について

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株式会社は、社会に散在する少額資本を集めてまとまった資金にして、大規模な事業展開へ投資し、利益をあげることを目的とする会社形態です。 この際、株と言う証券を投資家に投資した金額に応じて発行して投資を募ります。(ただ、現在では、上場会社の株券は電子化され株券は廃止されています)。

 

目次

  1. はじめに
  2. 株式譲渡制限を設けるメリット
  3. 株式譲渡制限の「譲渡」に相続や合併は含まれない
  4. 株式譲渡制限には、注意も必要

 

はじめに

株式会社は、投資家から株の買い戻しを請求されても、ある一定の特別な事由を除き、買い戻しに応じる必要がありません。

 

株式会社は、投資家から得たこのお金を会社の自己資本として事業のために自由に使う事が可能です。

 

株式を購入した出資者は、原則として、人や市場で売却することも贈与することも自由です。

 

株を購入することは、株式と言う会社に対するある一定の地位を得ることです。

 

株を発行する会社に出資して配当等の利益を受ける権利(受益権)を取得すると共に、会社に対する出資者としてその経営に関与する権利である共益権を取得することでもあります。

 

会社の経営に関与する権利である共益権に関して、株式発行数が非常に多い大企業ではさほど問題にはなりませんが(例外的に、膨大な資金を有する投資ファンドやヘッジファンドが市場で株を買い付け、その力を背景に経営に参加することもあります)、中小企業や同族会社といった株主の個性が重要視される会社では、会社の経営に好ましくない者が株主となって会社の経営に関与することを防ぐ制度が会社法上に規定されています。

 

これが、株式譲渡制限と呼ばれる会社法上に規定されている制度です。

 

株式譲渡制限を行う会社は、会社の定款に、「当社の株式を譲渡により取得するには、当会社(取締役、株主総会)の承認を受けなければならない」との文言を置いて、自由な株式譲渡に制限を加えます。

 

このような定款で株式の譲渡制限を加えている会社を譲渡制限会社と呼んでいます。

 

尚、会社法での「公開会社」とは、その株式会社が発行する株式のうち1株でも譲渡自由な株式がある株式会社のことを言い、株式を上場している株式会社のことではありません。

 

一般的なニュースでは、東京証券取引所の上場されている譲渡制限のない自由な株式取引が保障され株式会社の株価等が報道されますが、ただ、上場している株式会社は、ほんの一握りの数の会社であり、非常にその数は少ないのです。

 

圧倒的多数の株式会社は、株式の譲渡制限を行う株式譲渡制限会社(非公開会社)です。

 

株式譲渡制限を設けるメリット

株式譲渡制限について_2株式譲渡制限を設けると、経営に関与させたくない第三者の株の取得を防ぐことが出来ます。ただ、一人または家族のみを発起人として株式会社を設立する場合は、株式が勝手に他人に譲渡される危険は非常に少ないと言えるので、株式譲渡制限の規定を設ける必要はあまりないとも考えられます。

 

しかし、株式譲渡制限の規定を設けると、上記の他に、多くメリットが会社法上に規定されています。これのメリットを条文順に挙げると、

 

1、株券の発行総数を増加する場合、発行済株式総数の4倍を超えて増加できる

原則は、定款を変更して発行可能株式総数を増加する場合でも、定款発行時における発行済み株式数の4倍を超えることはできません。

 

2、株券発行会社でも、株主から請求があるまで株券を発行しなくてもよい

原則は、株券発行会社は、株式を発行した後、遅滞なく当該株式に係わる株券を発行する必要があります。

 

3、株主総会の招集通知を発する期限

株主総会を招集するには、取締役が株主総会期日の2週間前に招集通知を発送する必要がありますが、株式譲渡制限会社である非公開会社では、その要件が緩和され、株主総会の1週間前までに招集通知を発することで足りると規定されています。

 

4、定款で取締役になる資格を株主に限定することが可能(法331条)

会社法の原則は、取締役が株主でなければならない旨を定めることはできません。

 

5、定款で取締役の人気を最長10年とすることができる(法332条2項)

原則として、株式会社の取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度の内最終のものに関する定時株主総会の終結時までですが、公開会社でない株式譲渡制限会社では、定款により、取締役の任期を選任後10年まで延長可能です。

 

これにより、安定した経営が可能で、登記に係る費用や手間が大幅に緩和される利点があります。

 

株式譲渡制限の「譲渡」に相続や合併は含まれない

株式譲渡に制限を加えても、原則として「譲渡」には、「相続・合併」は含まれません。

 

その結果、会社の株式の大多数または全部を保有していた株主が亡くなって、相続が発生した場合や会社がある企業と合併した場合は、株式譲渡制限を規定していても、株式移転に歯止めが効かず、「相続・合併」により会社にとって好ましくない者が株主となる可能性も否定できません。

 

相続人(家族)であっても、中には会社の経営に関与させたくない者もいる場合があります。

 

このような事態を回避するため会社は、定款に、「相続、合併等により当社の株式を取得した者に対し、会社は、その株式の売渡を請求することができる」と規定することが会社法上認められています。

 

これにより、会社の経営に関与させたくない者の株式取得を排除するとともに、株式の分散を防止することができます。

 

ただ、この規定を定款に定める定款変更決議になるので、株主総会の特別決議の規定が適用されます。特別決議で賛成を決議するには、総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上の賛成が必要です。

 

株式譲渡制限には、注意も必要

株式譲渡制限について_3株式会社を永続して経営して行くためには、事業承継がなされることが必要で、この事業承継対策として相続人等に対する会社の株式売渡請求が会社法上認められています。

 

会社法上には、会社が相続人に対して売渡請求権を行使して強制的に株式を取得する規定(法174条)と会社と相続人の合意により任意に会社が相続人から株式を取得できる規定(法160条1項)の2つの規定があります。

 

前者は、新会社法で新たに導入された制度で、従来、「譲渡」に該当しなかった「相続」「合併」を定款に「相続及びその他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者に対し、当該会社は、その株式を会社に売り渡すことを請求することができる」と規定します。

 

このような規定が定款上なされ、相続人に対する株式売渡請求権を規定していた場合には、相続人は、この売渡請求を拒否することはできません。

 

この結果、最悪の場合は、少数株主に会社を乗っ取られてしまう危険も生じます。

 

例えば、安定多数の株式保有数を超える70%の株式を保有する経営者と30%の株式を保有する少数株主が存在していた場合を考えます。

 

経営者が死亡して株式が事業承継する相続人に相続された場合、一見、事業承継した相続人は安定株主となり経営権を完全に掌握したと考えられます。

 

ただ、この時、定款に上記のような相続による譲渡制限株式の売渡請求規定があると、会社を支配されてしまう危険も生じます。

 

大多数の株式を有するオーナー経営者が死亡した場合で、売渡請求を受ける者は、株主総会での議決権を持たないので、少数株主がこの規定を利用して株式の大半を会社に帰属させ、相続人である事業承継社の経営権を奪って、少数株主が実質錠の経営権を握る事態に陥る可能性も生じます。

 

このように、株式譲渡制限や定款の規定は会社経営に重大な影響を与えます。ビジネス社会はある意味、非情な社会であり、会社の営業力や製品、サービスに大きな付加価値が認められれば、会社の買収や合併を仕掛けられることも杞憂とは言えません。

 

会社の機関設計や譲渡制限規定を含めた会社の定款作成の際は、専門家とよく話し合い、様々な事態を想定して作成に臨むべきです。

 

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