戦後最長の好景気と言われている昨今。業績が向上して好決算を迎えそうな企業の株式に投資してみたいと思っている人も多いのではないでしょうか。しかし同時に気になるのは「儲かった利益に対して税金がいくらだったのか」です。株式投資をしていない方もこれから始めようとする方にとって、投資に関する税金や納税方法は、少し複雑に見えるかもしれません。
ここでは株式投資に関する税金や納税に不安を抱いている方のために、その税金の種類や納税方法を説明するとともに、節税につながる方法を紹介しましょう。
1 税金の対象となる株式投資での利益とは 「譲渡益、配当金、株主優待」
連日のように値上がりする日経平均株価。企業に勤める一般のサラリーマンでも「株式投資を始めてみたい」と興味を持つ人が増えてきました。
ところで、株式投資により得られる利益には譲渡益、配当金、株主優待の3つがあります。株主優待は商品券や商品などの現金以外のモノで受けるとことが一般的ですが、場合によっては税金を納めることになるので注意する必要があります。
1-1 上場株式等の売買による譲渡益に対する税金について
株式投資での儲けというと、購入した株式が値上がりしそれを売却してられる譲渡益をイメージする方は多いのではないでしょうか。その譲渡益にも税金(譲渡益課税)がかかり納税する必要があります。なお、損出(売却損)の場合は確定申告する必要はないですが、申告して損失を繰り越しておくと翌年以降の利益と通算できるため、おトクになるケースも出てきます(詳しくは後述)。
①株式の譲渡益
たとえば、A株式を500円/株×1000株で買い、株価が600円に上場して全株を売却すると、600,000円-500,000円=100,000円(取引手数料は省略)の売却益が得られます。もし年間の取引による利益がこの10万円だけならこれに譲渡益課税がかかるわけです。
年間に複数の取引があれば、それらを合算した譲渡益に対して課税されます。なお、取引で売却損(上記のA株式を450円で売った場合など)が生じている場合はその合算に含めます。つまり、年間の損益は通算されるわけです。
たとえば、年間の取引が以下のような売買結果になったとします。
・A株式で10万円の利益
・B株式で20万円の損失(売却損)
・C株式で25万円の利益
この場合の年間取引の損益は、10万円-20万円+25万円=15万円(手数料は無視)の譲渡益が得られたことになり、これに対して税金がかかるわけです。
②譲渡益に対する税率および税金の計算
上場株式等の売買で年間の損益合計がプラスの利益には売買手数料等の取引費用を控除したあとの譲渡所得に税金がかかります。その場合の税率は20.315%です。この税率の内容は所得税15.315%と住民税5%で、所得税には2037年までは復興特別所得税分として0.315%が加算されているのです。これに変更がなければ2038年からは所得税15%、住民税5%の計20%になります。
なお、上場株式等の譲渡所得(譲渡益)の計算の対象期間は1月1日から12月31日までとなっており、その金額の計算方法は以下のとおりです。
・譲渡所得=総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+委託手数料等)の金額
1-2 配当金について
配当金とは企業がその年に稼いだ利益の中から株主へ分配されるお金のことです。一般的に通常の配当金は中間決算時や期末の本決算時に支払われるケースが多いですが、特別配当金や記念配当金の分配時期は定められておりません。
なお、配当金は源泉徴収で確定申告を不要にできますが(詳しくは後述)、確定申告して総合課税や申告分離課税で納税することも可能です。
①配当金の受け取り
株主への配当金の分配は、「1株あたり○○円」とすべての株主に対して同一価額で実施されますが、分配額は株主が保有する株数で決まります。たとえば、1株あたり50円の配当金が得られる株式を1,000株保有していれば、50円×1,000株=50,000円の配当金が受け取れるわけです。
配当金は株式を購入し保有していることで得られるものですが、企業の業績が悪化して赤字になる場合などでは配当金額が前年より少なることもあります(減配)。また、赤字が複数年にわたり続く場合などでは配当金がゼロ円、つまり無配となるケースも珍しくありません。
このように株式を保有することで得られる配当金は預貯金に対する利子のようにイメージされることも多いですが、配当利回りは預貯金の利子率よりかなり高めです。配当利回りとは「1株あたりの年間配当金÷現在の株価」で示される指標ですが、東証1部の上場銘柄では2%以上の銘柄も少なからずあり、配当金も魅力的な利益といえるでしょう。
②配当金に対する税率および税金の計算
配当金は配当所得として、譲渡益と同様の税率20.315%(所得税15.315%、住民税5%)で源泉徴収されます。そのため確定申告をする必要なないですが、確定申告しておくと配当控除の適用、または株式等との損益通算が可能です(どちらかを選択することになるが詳細は後述)。
1-3 株主優待について
株主優待とは、株式を発行する企業が株主に対して商品・サービス、商品券、優待・割引特典などを提供する日本企業の独特の制度です。すべての企業が株主優待を行っているわけではないですが、東証1部の企業では約40%(2016年3月時点)が行っています。
株主優待は年に1~2回実施されますが、提供される内容は株主の保有する株式数の割合で変わります。株主優待を受けるためには一定の株式数を保有しておかねばならず、また株式の権利確定日での保有が前提となるので注意が必要です。
株主優待に対する税金は通常かからないケースが多いと考えられ、サラリーマンなどの場合はその納税のことをあまり心配しなくてもよいはずです。ただし、雑所得として納税しなければならないケースもあるので注意が必要です。詳細は後述します。
2 株式投資の利益に対する課税内容と納税の仕方
ここでは譲渡益と配当金の課税の内容と納税の方法を確認していきましょう。
2-1 譲渡益課税の納税の仕組み
上場株式等を売却して譲渡益がでれば、原則、確定申告する必要があります。譲渡益に対する税金は申告分離課税として、他の所得金額と区分して税金を計算しなければなりません。つまり、給与所得とは別に計算して納税しなければならないので、サラリーマンでも譲渡益の確定申告が必要になるわけです。会社が従業員に支払う給与の場合、勤務先が税金を計算して、本人の代わりに納税してくれますが、自分自身でこれを行わなければなりません。
しかし、自分で株式取引の内容を示して税金を計算するのは大変なので、確定申告が不要になる、納税を簡単に済ませられる仕組みが用意されています。それが「特定口座」と呼ばれる仕組みで、そのほかに税法上の特例的な措置(確定申告しなくて済む要件)があるのです。
特定口座とは、上場株式等の取引を行うさいに証券会社に設けられる口座の一つです。株式取引は証券会社を通じて行いますが、取引には取引口座が必要で主に特定口座と一般口座の2種類になります。さらに特定口座には「源泉徴収あり特定口座」と「源泉徴収なし特定口座」の2つのタイプに分かれます。
また、それらの口座以外に少額投資非課税制度の「NISA口座」もあります。これかこれらの口座の特徴や税金に関するおもな内容を説明しましょう。
①源泉徴収あり特定口座:原則、確定申告不要
特定口座は、上場株式等の譲渡益課税に関する申告および納税手続の簡素化を図る目的で導入された取引口座です。特定口座は、1つの証券会社につき1口座だけ開設されます。
源泉徴収あり特定口座の場合、確定申告が原則不要です。証券会社が投資家の取引を記録し譲渡益およびそれに対する税金を計算して、源泉徴収のうえ納税してくれます。そのため投資家は自ら取引の明細を作り譲渡益や税金を計算する必要がなく、自分で納税する必要もありません。証券会社に任せておけばよいという方法になります。
②源泉徴収なし特定口座:原則、自分で確定申告(証券会社の年間取引報告書の利用が可能)
この口座の場合、原則確定申告が必要です。ただし、給与所得や退職所得以外に他の所得と譲渡益を合わせて20万円以下の場合などは申告しなくてよいことになっています(詳しい内容は「譲渡益の確定申告が不要となるケースのまとめ」で)。従って、給与所得等以外の所得がない場合で20万円超の譲渡益が出れば、自分で確定申告しなければなりません。
なお、申告することになった場合でも証券会社が作成してくれる「年間取引報告書」を利用する比較的手続が簡単に済みます。年間取引報告書には年間の株式取引に関する譲渡損益が計算されているため、投資家が自分で取引明細を作成する手間が省けます。
つまり、その年間取引報告書を添付しその内容に基づいて確定申告書を作成するだけなので、比較的手間が少なく済むわけです。
③一般口座:原則、自分で確定申告(自分で譲渡損益の計算が必要)
一般口座は、特定口座やNISA口座(後述します)に含めていない上場株式等を管理するための口座を指します。一般口座の場合、投資家が年間の取引内容に基づき譲渡損益を計算して確定申告します。
投資家自身で取引明細を作成・計算することになるため、相当の時間がかかるでしょう。つまり、一般口座は、証券会社が作成している年間取引報告書を自分で作成するような手間が必要になるわけです。その後は、自分で作成した取引内容に基づき税金を計算して確定申告します。
一般口座の場合も源泉徴収なし特定口座と同様に確定申告が不要になるケースもあるので確認しておくべきでしょう。その内容は次の④で確認します。
④譲渡益の確定申告が不要となるケースのまとめ
特定口座と一般口座には、確定申告が不要となるケースがあり、ここではその不要となるケースを簡単にまとめておきます。
ケース1 | 源泉徴収ありの特定口座を利用している |
---|---|
ケース2 | 上場株式等の取引で譲渡損が出ている |
ケース3 | 源泉徴収なしの特定口座の譲渡益を含む所得額が、所得控除額より少ない |
ケース4 | 一般口座や源泉徴収なし特定口座の譲渡益を含めて20万円以下である |
ケース5 | 所得400万円以下の年金受給者で、一般口座や源泉徴収なし特定口座の譲渡益を含めて20万円以下である |
ケース1については、源泉徴収あり特定口座を利用している場合となります。
ケース2については、年間の上場株式等の取引で譲渡損が出ている場合です。
ただし、譲渡損失を繰り越したい場合(3年間繰越控除制度の利用)、確定申告は必要です。
ケース3については、一般口座や源泉徴収なし特定口座の譲渡益を含む所得額が、所得控除額(基礎控除だけの場合は所得税38万円・住民税33万円)より少ない。
ケース4については、年末調整で所得税の納税が済んでいる給与所得者で、給与所得や退職所得以外の所得が、一般口座や源泉徴収なし特定口座の譲渡益を含めて20万円以下である(住民税の申告は必要)。
ケース5については、公的年金等から得られる年間の収入額が400万円以下の年金受給者で、その年金以外の所得が、一般口座や源泉徴収なし特定口座の譲渡益を含めて20万円以下である(住民税の申告は必要)。
上記のケースに該当する場合でも複数の口座間の損益通算をする場合などでは確定申告しなければならないこともあります。投資家により状況が異なるので、詳細については税務署や税理士等に相談してみましょう。
なお、上記以外に一定期間の株式等の売却益が非課税になるNISA(少額投資非課税制度)を利用するというケースもありますが、4-1「NISAの利用で税金が非課税に」で説明します。
2-2 配当課税の納税の仕組み
企業から分配された配当金は配当所得として、それに対する税金(配当課税)を納めなくてはなりません。配当所得は「配当金額-対象株式の取得にかかる直接費用(借入利息等)」で計算される金額になりますが、その直接費用がない場合は受取配当金の金額が配当所得となります。借金して株式を購入しない一般の投資家は「受取配当金の金額=配当所得」として考えてよいでしょう。
なお、配当所得への課税は原則的に総合課税として行うことになりますが、特例による申告不要制度(源泉徴収)の利用も可能です。また、総合課税としてではなく申告分離課税での納税も選べます(配当金ごとに選択は不可でどちらかに統一)。
つまり、課税のタイプとしては、源泉徴収、総合課税、申告分離課税の3つがあり、投資家は自分の都合に合わせて選択できます。
①源泉徴収
上場株式等の配当所得に対する課税は確定申告の不要制度を利用し源泉徴収で済ますことが可能です。源泉徴収を選択する場合、20.315%の税金が差し引かれた配当金を受け取るだけなので計算や納税手続の手間がかかりません。つまり、納税に関して何もしなくてよいわけです。
②総合課税
総合課税を選択する場合、源泉徴収された配当金と、給与所得や不動産所得など他の所得を合算し累進税率に基づいて税金を計算の上申告しなければなりません。
配当金以外の収入が多くない場合に、配当金を総合課税の所得として申告すれば、源泉徴収の税率よりも低い税率が適用されることも少なくありません。その場合、源泉徴収された税金は多く払い過ぎていることになるので、申告によりその一部が還付されてくるわけです。
また、総合課税の対象とした配当所得は、一定のものを除き配当控除の適用が受けられます。
配当控除とは、受取配当金の一定割合(配当所得に一定率を乗じた金額)を所得税・住民税の税額から差し引く制度です。配当金は企業利益に対する法人税課税後の所得から株主に分配されるものなので、これに所得税を課すことは二重課税となります。これを調整するために配当控除が設けられているのです。
ただし、上場株式等の配当所得に関して、総合課税ではなく申告分離課税で確定申告すれば、配当控除は適用されません。
③申告分離課税
申告分離課税は、一定の所得について他の所得金額と合算せずに分けて税額を計算して確定申告によりその税金を納める制度です。配当所得を申告分離課税で納税する場合、配当所得をほかの所得と分離し合算せずにその課税所得金額に一定の税率を乗じて税額を算出しなければなりません。
配当金について申告分離課税を選択すれば、上場株式等の譲渡損失と損益通算ができるようになります。
たとえば、株式取引で100万円の譲渡損失があり、30万円の配当金があったケースでこれらを損益通算すると、譲渡所得は70万円(30万円-100万円)の譲渡損失となります。また、配当金の源泉徴収額である60,945円(30万円×税率20.315%)が還付されることになるわけです。
④配当所得に対する納税のイメージ
上記の配当所得の税金に関する内容を簡単にまとめると、以下のようになります。
・上場株式等の配当金を受け取る(大口株主を除く)
↓
・源泉徴収(税率20.315%)の場合
A:確定申告しない→申告なし(投資家の納税手続は不要)
B:確定申告する→総合課税か申告分離課税のいずれかを選択して申告
↓
・Bの総合課税:配当控除の利用が可能
もしくは
・Bの申告分離課税:上場株式等の譲渡損失との損益通算が可能(配当控除はなし)
2-3 株主優待の納税の仕組み
株主優待による利益(受け取ったモノ)は税制上の雑所得にあたり、原則的には確定申告しなければなりません。ただし、株主優待による利益額の算定が困難な場合やその利益額が少ない場合などは申告しなくてよいケースもあります。
①確定申告が不要なケース
給与以外の他の所得と合わせ20万円以下になる場合などでは申告しなくてよいです。逆に20万円を超えると申告する必要があります。
また、給与や他に所得がない主婦や学生などは、株主優待の商品等やその売却による利益が年間38万円を超えなければ申告は不要です。38万円を超える場合、申告義務が生じるとともに配偶者控除や扶養控除等が受けられなくなる可能性も出てくるので注意しましょう。
②株主優待の価値評価
株主優待による利益を確定申告するかしないかは、受け取った株主優待の価値評価で変わります。たとえば、商品券などの金額が明示されたものであれば、それに従った評価が可能です。そのため商品券の合計金額が20万円超になれば、確定申告の必要性が高まるでしょう。
一方、優待券や割引券などの金銭的価値に置き換えることが難しい株主優待の場合は一般の人では適切な評価ができません。もちろん商品やサービスの中にもそうした類のものが少なからずあります。これらの株主優待は評価が困難な上、税法上もどのように扱うか明確に示されていないので、現実的に非課税扱になっているケースが多いようです。価値評価の難しい株主優待をたくさんもらっているような場合は、念のため税理士などに相談したほうが良いかもしれません。
3 株式投資の種類と税金
上記で取り上げてきた上場等株式の譲渡益は現物株式の売買に関するものです。しかし、株式取引にはそれ以外に、信用取引、株式を含む投資信託、IPO株投資、ミニ株投資、貸株サービス、といった取引方法もあります。ここではそれらの内容と税金について説明しましょう。
3-1 株式の信用取引
信用取引とは、投資家が委託保証金を担保として証券会社に差し入れ、証券会社からお金を借りて株式を買う、または株式を借りて売る取引のことです。その委託保証金には現金だけでなく株式も使用されます。
①信用取引の4つのメリット
・レバレッジ効果でハイリターンが狙える
信用取引の大きな特徴は預けた資金(株式の場合は評価額)の約3.3倍まで取引できる点で、少ない元本でも高額の取引が可能になり大きなリターンが狙えます(レバレッジ効果)。
・1日に何度も取引できる回転売買ができる
1日に何度も取引できる回転売買とは、同じ銘柄や他の銘柄について同じ委託保証金を原資として1日に何回もの取引が可能であることを指します。
現物株式取引では、同一銘柄・同一資金で「買い→売り→買い」または「売り→買い→売り」と取引を続ける場合、差金決済取引に該当するため取引できない可能性が生じます。しかし、信用取引の場合はそうした制約がなく、同一資金で1日に何回もの取引ができるため元本の効率的な運用が可能です。
・「売り」からの取引ができる
「売り」から取引ができるというのは、現物株式を実際に買って持っていなくても「売り」の取引が可能ということです。
現物取引では株式を購入し保有して初めて「売り」の取引が可能ですが、信用取引では証券会社から株式を借りられるので保有していなくても売り取引ができます。そのため、株式の株価が下がる局面で株式を借りて売る→株価が大幅に下降した時点でその株式を買う、という反対売買で決済するという取引ができます。
また、保有する現物株式の株価が下がり始めた時に株式相場全体の動きに連動するETFなどを信用売りすれば、保有株価の下落による損失を緩和するといったリスクヘッジが可能です。
・塩漬け株を有効活用できる
塩漬け株とは、購入した株式の価格が大幅に下がり売却すると大きな損失が出るため売らずに長期に保有しているような株式のことです。
そして、塩漬け株の有効活用とは、その安値に留まって売るに売れない株式を信用取引の担保として利用することを指します。価値が下落した資産でもそれを担保として、レバレッジ効果を利かせば大きな取引も可能です。
②信用取引の4つのデメリット
・ハイリスクとなり得る
信用取引はレバレッジ効果により少ない元手でハイリターンが狙える反面、損失を出すと元本以上の大きな損失を被る可能性があり慎重な取引が求められます。
・現物取引にはないコストがかかる
信用取引では現物取引でも必要な取引手数料以外に、金利、貸株料(信用売り取引で生じる貸株に対する費用)、品貸料(貸株の調達費用)、その他口座管理料といった費用があります。これらの費用を把握して取引しないと予想外の大きさの費用が請求されることもあるので注意しましょう。
・配当金は受け取れない
現物取引と異なり信用取引では現実の株券の取引がないため配当金は受け取れません。ただし、配当により株価が下落するといった影響力が配当金にはあるためその調整として、売り方から買い方に配当(落)調整金が支払われます。なお、配当(落)調整金の支払いは配当金と同様に株主総会の1~2週間後くらいになるでしょう。
・株主優待も得られない
信用取引では、現実の株券による取引がないため、株主優待は受けられません。株主優待を受けたいなら、現物株式で購入する或いは権利確定日までに建玉分(未決済の取引)の代金を預け入れし、現物株式で引き取る必要があります。
メリットとデメリットまとめ
メリット | レバレッジ効果でハイリターンが狙える |
---|---|
1日に何度も取引できる回転売買ができる | |
「売り」からの取引ができる | |
塩漬け株を有効活用できる | |
デメリット | 現物取引にはないコストがかかる |
現物取引にはないコストがかかる | |
配当金は受け取れない | |
株主優待も得られない |
③信用取引のおもな税金の内容
信用取引は現物(株式)取引と同様、年間での決済した全取引の利益から損失を差し引いた譲渡益に対して20.315%(所得税15.315%、住民税5%、平成49年12月31日まで)が課税されます。なお、現物取引と損益通算することも可能です。
信用取引は現物取引と同じく原則的に確定申告が必要ですが、源泉徴収ありの特定口座を選択すれば申告せずに済ませます。一般口座の利用の場合、信用取引で譲渡益が発生すれば確定申告しなければなりません。
また、損失が出て「譲渡損失の繰越控除」を利用したい場合は、一般口座・特定口座に関係なく申告が必要です。ほかにも他の証券会社での取引分の損益や過去の損益と通算したい場合も申告する必要があります。
配当(落)調整金は、配当金として実際に支払われるものでないため税法上も配当所得ではなく譲渡所得として扱われます。そのため配当(落)調整金は配当控除の対象にはなりません。源泉徴収ありの特定口座の利用なら配当(落)調整金の申告は不要で、源泉徴収なしの特定口座や一般口座の利用では申告が必要です。
3-2 株式を含む投資信託
投資信託(ファンド)とは、投資家から集めた資金を原資として運用の専門家が株式や債券などに投資および運用を行い、その運用成果に応じた分配金が受け取れる金融商品です。また、投資信託を換金して利益を得ることもできます。投資信託にはさまざまな種類があり、株式、債券、金融派生商品など多様な投資対象が組みあわされたタイプがあります。
その組み合された内容やファンドマネージャーの実績などを考慮して、投資家は希望の投資信託を選んで購入することが可能です。株式をおもな対象とした投資信託も多く、成長株を中心とするタイプ、比較的株価の安定した大型株中心のタイプ、ハイリスク・ハイリターンの株式中心などのタイプなどが用意されています。
①投資信託の4つのメリット
・少額から投資ができる
現物株式取引や信用取引の場合、通常の取引ではある程度まとまったお金で取引することが多いですが、投資信託なら1万円程度からの取引が可能です。投資に失敗するかもしれないという不安を抱いている方も少額からの投資なら比較的取り組み安いでしょう。また、投資にまわすための資金の負担も少ないため、毎月の生活への影響が出にくいはずです。
・専門家によって投資および運用されている
投資信託等の実績豊富な専門家が投資対象を選定して投資および運用しているので、投資家自身で投資するよりも好成績が期待できます。また、投資を始めるにあたって、高度な専門的な知識を学習する必要もないため、気軽にはじめられるのも魅力です。
・個人では買いにくい外国株式なども対象になっている
多数の投資家から多くの資金が集められた投資信託は、個人では買いにくい魅力的な外国株式や外国債券などを投資対象としているケースも少なくありません。
・リスクを分散しながらハイリターンが目指せる
投資信託は国内の株式・債券のほか、外国の株式・債券、デリバティブなどへ投資しているタイプも多く、高度なリスク分散を図りつつハイリターンが目指されています。
②投資信託の2つのデメリット
・元本保証はない
投資信託は一般の株式取引と同様に元本保証はありません。投資信託の投資対象は価格変動を伴う株式や債券などであるため、投資信託の(基準)価格も変動し元本割れとなる可能性もあります。ほかにも為替変動、金利変動や企業業績の変動などの影響を受け、投資信託の運用成績が下がり元本割れすることもあるので注意しましょう。
・コストがかかる
投資信託には一般の株式取引でみられるような販売買付手数料のほかに、ファンドの管理費用(信託報酬費用含む)、信託財産留保額といった費用がかかります。販売買付手数料は投資信託を購入する時にかかる手数料で、ファンドの管理費用(含む信託報酬)は投資信託の運用で生じる費用です。また、信託財産留保額は投資信託を信託期間の途中で換金する場合の売却で生じる費用を指します。
③株式投資信託のおもな税金の内容
株式投資信託から得られる利益は、分配金と譲渡益の2つになり、各々税金がかかります。
株式投資信託の分配金と譲渡益の税率は20.315%です。株式投資信託の取引は通常の株式取引(現物取引・信用取引)と同様に特定口座や一般口座を利用することになり、納税も同じように行います。
確定申告すれば、上場株式等の株式投資信託の譲渡損失と分配金の損益通算が可能です。なお、源泉徴収ありの特定口座の場合、上場株式等の株式投資信託の譲渡損失と配当金・分配金の損益通算ができるとともに、確定申告せずに損益通算ができます。
3-3 IPO株投資
IPO株投資とは、一般的に新規公開株式と呼ばれるIPO株を購入することを指します。IPOとは、一般の投資家などに自社の株式を保有してもらうために未上場企業が株式を新規に証券取引所へ上場することで、その上場される株式がIPO株というわけです。
IPO株は未上場の株式であるため市場価格がなく、投資家の需要動向を踏まえた公募価格で募集されます。IPO株の場合、上場後の初値が公募価格よりも大幅に上回るケースも多く、大きなリターンが狙えるため魅力的な株式投資として人気が高いです。
IPO株を購入したい投資家は募集を取り扱っている証券会社に申し込み、抽選などにより購入の権利を得なければなりません。なお、上場後のIPO株の取り扱いは通常の現物株式取引と同様です。
①メリット
・初値が公募価格を上回る可能性が高い
上場後の初値が公募価格を上回る可能性が高く、その値上がり幅の大きいケースが少なくありません。2016年のIPO株を調べると約80社のうち60社以上の初値が公募価格を上回りました。また、初値の平均騰落率は約70%で、最高は約370%にもおよびます。つまり、初値が公募価格の2・3倍にもなり得るということです。ただし、必ず初値が公募価格を上回るとは限りません。
・比較的リスクが低い
上記のとおり、初値を上回る可能性が高いということは、購入できればかなりの確率で利益が得られるというリスクの比較的低い投資といえるでしょう。ただし、経済状況が悪化している環境などでは初値が公募価格を下回る可能性が上昇するので注意が必要です。
②デメリット
・上場後の株価の変動が小さくない
IPO株の上場後の株価は大きく動くことがあり、特に一旦大きく上昇してから逆に大きく下げることも少なくありません。IPO株も上場後は通常の株式として証券取引所で売買されるため、保有者にはその変動リスクを受けることになるので注意しましょう。
・購入できる確率は高くない
IPO株は人気が高く応募も多いため、購入できる確率は決して高くありません。抽選や証券会社独自の選定方法で購入予定者が決められていますが、通常多くの投資家が応募するため選定からもれるほうが多いといえるでしょう。また、希望するIPO株の募集を扱っている証券会社は限定されることになるので、その証券会社に口座を持っていないと応募もできません。
③IPO株のおもな税金の内容
IPO株も購入後に売却して利益がでれば、その譲渡益に対して税金がかかりますが、その取扱いは一般の現物取引と同じです。つまり、税率は20.315%(所得税15.315%、住民税5%)で、源泉徴収ありの特定口座を利用していれば、確定申告は不要になります。
3-4 ミニ株投資
ミニ株投資は、現物取引における売買単位の10分の1の整数倍で(10分の9まで)取引する株式投資です。具体的なミニ株の取引単位は、通常1単元が1,000株の銘柄では100株単位に、1単元が100株の銘柄ではミニ株は10株単位になります。なお、1単元が1株の銘柄にはミニ株は存在しません。
以上のように通常取引の10分の1の売買単位で取引できるので、少ないお金でも気軽に投資ができます。また、売買単位が小さくなることで必要資金が少なく済むことから、複数のミニ株に分散投資することも比較的容易です。分散投資できれば、株価の変動リスクを緩和しやすくなるので安定したリターンが狙いやすいでしょう。
なお、購入できるミニ株は証券会社で異なることもあり、希望のミニ株を購入したい場合は証券会社への事前の確認が必要です。
配当金や株式分割については保有する株数に応じて案分されることになります。たとえば、売買単位1,000株の株式で配当金が1株10円の場合で、ミニ株として購入した分が100株だったとすると受け取れる配当金は1,000円です。この100株が「1株が1.2株への株式分割」が実施された場合、株数は120株に増えます。
①ミニ株投資の2つのメリット
・少ない元本で気軽に投資できる
通常の株式の現物取引では売買単位にもとづく取引となり10万円以上といったある程度まとまったお金が必要ですが、ミニ株なら何万円といった額で気軽に取引が始められます。
・リスクが比較的小さい
少額の資金でミニ株投資をしていれば、たとえ売却損をだしたとしてもあまり大きな損失にはなりにくいはずです。また、通常取引よりも分散投資がしやすくなることからリスクの低減が図りやすく、ローリスクな投資が期待できます。
②ミニ株投資の3つのデメリット
・議決権の行使はできない
ミニ株でも保有者は株主ですが、通常の売買単位未満のミニ株状態では議決権の行使はできません。ただし、ミニ株を増やして通常の単元株数になり、一般口座に振り替えれば権利が付与されます。
・大きなリターンは狙えにくい
ミニ株は少額投資になるため、大きなリターンを狙いにくい性質になっています。そのためミニ株で株式投資のコツを掴み経験を増やしてから通常の株式取引へ移行するのもよいでしょう。
・取引手数料が割高になりやすい
取引手数料は証券会社によってさまざまですが、一般的にミニ株の手数料は通常取引より割高になる傾向があります。売買単位が小さくなるので、どうしても1回の手数料が高めになりがちで取引を頻繁に行うと無視できないコストになってしまうかもしれません。
③ミニ株投資のおもな税金の内容
ミニ株投資も税率は通常の現物取引や信用取引と同じです。しかし、証券会社によって特定口座の利用ができないケースがあり、その場合は一般口座での管理となります。一般口座での管理の場合は、投資家が取引記録の明細を作成の上税金を算定し確定申告しなければなりません。そのためミニ株投資をする場合、特定口座の利用が可能かどうか事前に確認しておくことが重要になります。
ただし、2-1で説明したように給与所得等以外に他の所得と譲渡益を合わせて20万円以下の場合などは申告する必要はありません。ミニ株だけで20万円超の利益を出すのは容易ではないので、申告せずに済むケースは少なくないでしょう。
3-5 貸株サービス
貸株サービスとは、投資家が保有している株式を証券会社に貸出すことによりその対価として貸株金利が受け取れるサービスです。仕組みは、投資家から借り受けた株式を証券会社が貸株市場(機関投資家が参加する取引市場)に貸し出して貸株料を受け取り、借りた投資家へ貸株金利を支払うという取引になります。イメージ的には株式のレンタルで、貸し出した投資家は利息的なレンタル料が得られるわけです。
貸株サービスを利用して保有の株式を貸し出したとしても、配当金や株主優待を受けることも可能で売却することもできます。貸し出した場合の貸株金利も0.1%以上から1%程度の金利が付く銘柄もあり、予想外の嬉しい利益になるかもしれません。
①貸株サービスの2つのメリット
・売却しにくい保有株式の貸し出しで金利が得られる
株価が大幅に下がり売却すると大損するような保有株式はなかなか売りづらいものです。しかし、そんな塩漬け株も貸株サービスで有効活用すれば金利という利益が得られます。
・実質的な配当金や株主優待を受け取れる
保有株式を貸し出すとその名義を証券会社に貸すことになるので、正式な配当金や株主優待は受けられません。しかし、配当金については配当金に相当する額が証券会社から受け取れます。
また、株主優待については、その権利が得られるための一時的な貸株の返却システムを設けている証券会社があり、それを利用すれば株主優待も受けられるのです。
②貸株サービスの3つのデメリット
・貸株サービスの貸株金利は雑所得となるため、年間20万円以上などになる場合は確定申告しなければなりません。
・証券会社の倒産リスクにさらされる
貸し出している先の証券会社が倒産した場合、貸株とした株式は保証されないため、返却されない可能性が出てきます。
・長期保有による特別な株主優待が受けられないこともある
銘柄によっては長期に保有することで特別な株主優待が受けられるケースがありますが、貸株にするとその権利が失われるかもしれません。
③貸株サービスの税金のおもな内容
貸株金利は税制上の雑所得にあたり、総合課税の対象として確定申告することになります。他の通常の株式取引を特定口座で行っていても、貸株金利があれば申告が必要になるので注意しましょう。ただし、会社員で給与以外の他の所得と合わせ20万円以下になる場合などは申告しなくてよいです。
4 株式投資等での節税に役立つ制度の利用
株式投資等で得た利益に対する税金を非課税にする制度が提供されています。ここでは最近注目を集めているNISAとiDeCoを紹介しましょう。
4-1 NISAの利用で税金が非課税に
NISAは、2014年1月に開始された個人投資家向けの税制優遇制度です。NISAでは毎年120万円の非課税投資枠があり、株式や投資信託等の配当金および譲渡益等が最長5年間非課税になります。なお、NISAを利用するには証券会社でNISA口座を設けて取引しなければなりません。
ほかにも「ジュニアNISA」「つみたてNISA」が用意されています。これらの非課税制度を利用することで株式投資等により得た利益に対する税金を低減することができます。それぞれの制度を見ていきましょう
①NISA
前述したとおり、NISAは2014年から開始された少額投資非課税制度です。2023年まで毎年120万円ずつの非課税投資枠が付与され(最大600万円の投資枠)、投資した上場株式や投資信託等の売却益に対する税金が最長5年間非課税になります。
6年目以降もNISAで株式等を持ち続けたい場合、5年間の非課税期間終了時点の評価額で120万円までの繰り越しが可能です。ただし、非課税期間の途中で株式等を売却した場合、年間120万円の非課税投資枠に対して売却部分の枠の再利用はできないので注意しましょう。また、投資しなかった場合の未使用枠があっても翌年以降への繰り越しはできません。
NISA口座は、年ごとに原則1人1口座の保有となっています。証券会社などの金融機関を変更できますが、各年におけるNISA口座での買付けは1つのNISA口座のみです。
NISAでの投資対象は上場株式だけでなく、投資信託、ETF(上場投資信託)、ETN(上場投資証券)、REIT(不動産投資信託)などになります。
②ジュニアNISA
ジュニアNISAは、2016年度からスタートした未成年者向けの少額投資非課税制度です。ジュニアNISAでは利用対象者が未成年で、その親権者(父母等)が運用管理者になり毎年80万円ずつの非課税投資枠が付与されます。投資してから最大5年間、ジュニアNISAから投資した上場株式等や投資信託の売買益や配当金が非課税になります。
ジュニアNISAでの投資期間は2023年までで、投資対象はNISAと同様です。非課税期間が終了した場合、NISA口座と同じくジュニアNISAもその保有している株式等を翌年の非課税投資枠に移管できできます。
ジュニアNISA口座の場合は、3月31日時点で18歳である年の前年の12月31日までの払出し制限があるのが特徴です。それまでは現金も株式も途中での払い出しが原則不可なので注意しましょう(災害等などの理由があれば可能)。
ジュニアNISA口座は1人1口座に限り開設が可能ですが、複数の金融機関での開設はできません。金融機関を変更したい場合は、そのジュニアNISA口座を閉鎖する必要があります。また、払出し制限がある期間中にジュニアNISA口座を閉鎖すると、過去の利益に課税されるので注意が必要です。
③つみたてNISA
つみたてNISAは少額からの長期・積立・分散投資をサポートするために2018年1月から開始されている非課税制度です。
つみたてNISAでは、毎年40万円を上限に一定の投資信託の購入ができます。各年に購入した投資信託を保有している間に受け取った分配金と、売却して得た譲渡益が購入した年から数えて20年の間非課税です。非課税で保有可能な投資総額は最大800万円になります。なお、その年の非課税投資枠の未使用分が残っていても、翌年以降への繰り越はできません。
購入できる商品は、長期・積立・分散投資に適している一定の投資信託に限定されています。
NISA口座は1人1口座に限り開設が可能で、NISA口座内において、つみたてNISAもしくは一般NISAのいずれか一方を選ばなければなりません。
非課税期間の20年間が終了したさいに、保有資産はNISA口座以外の一般口座や特定口座へ払い出されます。なお、つみたてNISAの場合は翌年の非課税投資枠に移せないので注意しましょう。
つみたてNISAは2037年までの制度で、投資信託の購入できるのは2037年までになります。なお、2037年中に購入した投資信託も2056年までの20年間にわたり非課税での保有が可能です。
4-2 iDeCoの利用で税金が非課税に
iDeCo(イデコ)は個人向けの年金制度で、節税しつつ老後の生活に備えるための資産づくり役立ちます。2017年1月の制度改正により、以前は加入が認められていなかった会社員・公務員・専業主婦(主夫)も利用することが可能です。
原則的に60歳までお金は引き出せませんが、個人年金保険といった他の税制優遇のある制度や商品以上に節税効果が得やすくiDeCoへの関心が強まっています。
iDeCoは、積立時、運用時、受取時の各々で節税効果が得られる唯一の制度であり、投資信託等で運用すると大きな節税効果も期待できるでしょう。
①運用時の税制優遇
価格変動のある投資信託等で運用する場合、運用により得た利益に20.315%の税金がかかり納税の必要がありますが、iDeCoの利用によりこの税金が非課税になります。
iDeCoでの運用は非課税であるため運用益を全額運用に回せられ、その結果通常の資産運用以上にお金を殖やしやすいというメリットが得られるのです。
②積立時の税制優遇
iDeCoで拠出した積立額は確定申告や年末調整の時に全所得額から控除できます。そのため所得に応じて課税される所得税と住民税を、iDeCoの積立額に応じて、低減させることができるわけです。
個人年金保険の控除上限額は年間6.8万円(所得税4万円、住民税2.8万円)ですが、iDeCoは60歳まで全額控除となっており高い節税効果が期待できます。
ただし、節税できる金額は、加入者の年収や積立額により変わってくるのでシミュレーションなどして確認するとよいでしょう。
③受取時の税制優遇
iDeCoにより積み立てた資産を60歳以降に受け取るさい、一定額までが非課税になります。受け取り方法は、一括での一時金、分割による年金、左記2つの組み合わせの3つがあり選択が可能です。