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【中小企業の景気悪化?】売上高、経常利益の減少と中小の外国人雇用増加

中小企業庁は7月、中小企業実態基本調査(速報)の結果をとりまとめ、公表したところ、売上高は485兆円、経常利益は18兆5730億円でともに前年より減少したことがわかりました。

 

このほか、海外に子会社もしくは関連会社などを持つ企業の割合、新製品または新技術の研究開発を行った企業の割合も減少に転じました。

 

日本企業の9割を占める中小企業。中小企業実態基本調査は、中小企業の財務状況や経営状況を把握する実態調査であるだけに、売上高と利益の減少について景気低迷を心配する声もあがっています。

 

戦後3番目の長さと言われているアベノミクス景気。大手企業が着実に業績を伸ばすなか、最新の中小企業の経営状況はどうなっているのでしょうか。

 

 

目次

  1. 1 売上高1.6%減、経常利益0.5%減
  2. 1-1 情報通信業が大きく増加、不動産業や卸売業で減少
  3. 1-2 経常利益では7産業で増加、4産業で減少
  4. 2 最新の外国人活用状況〜中小企業の国際化〜
  5. 2-1 「飲食店・宿泊業」では4人に1人が外国人
  6. 2-2 国籍別では中国人が最多の約4割
  7. 2-3 外国人を雇用する理由「人手不足」がトップ

 

1 売上高1.6%減、経常利益0.5%減

中小企業庁は、中小企業をめぐる経営環境の変化を踏まえ、中小全般の経営実態を明らかにするため、無作為に選出された11万社からデータ収集を毎年行っています。

 

今年7月下旬に発表された「平成28年中小企業実態基本調査速報」によれば、売上高は485兆円(前年度比1.6%減)、経常利益は18兆5730億円(同0.5%減)となりました。

 

このほか、海外に子会社や関連会社を持つ企業の割合は前年度比0.1ポイント減少して0.9%、新製品または新技術の研究開発を行った企業は前年度比0.1ポイント減少して2.3%、従業員数は2.5%減少して2667万人となりました。

 

一方、売上経常利益率は0.04ポイント増加して3.18%、知的財産権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権など)を所有する会社は前年度比50.2ポイント増加し5.4%となりました。

 

(単位:人、百万円)

  売上高 経常利益 従業員数
2013年度 499,192,647 17,877,138 27,843,944
2014年度 493,029,099 18,663,150 27,348,060
2015年度 485,198,660 18,573,008 26,669,255

(中小企業庁「平成28年中小企業実態基本調査」より作成)

 

 

1-1 情報通信業は大きく増加、不動産業や卸売業は減少

売上高を産業別にみると、情報通信業が前年度比17.2%増加し、また学術研究・専門・技術サービス業や製造業など5産業で増加となった一方で、不動産業・物品賃貸業では16.8%減少し、卸売業では5.5%減少しました。

 

産業別に売上高構成比を見ると、製造業が126兆円と全体の25.9%を占めて最も多くなりました。ついで卸売業112兆円(同23.0%)、建設業71兆円(同14.6%)、小売業63兆円(同13.0%)、運輸業24兆円(同4.9%)と続きました。

 

・ 2015年度の産業別売上高構成比

業種 売上高 構成比
建設業 71兆円 14.6%
製造業 126兆円 25.9%
情報通信業 10兆円 2.0%
運輸業、郵便業 24兆円 4.9%
卸売業 112兆円 23.0%
小売業 63兆円 13.0%
不動産業、物品賃貸業 20兆円 4.1%
学術研究、専門・技術サービス業 11兆円 2.2%
宿泊業、飲食サービス業 13兆円 2.7%
生活関連サービス業、娯楽業 21兆円 4.3%
サービス業 16兆円 3.3%
 計 485兆円 100%

(中小企業庁「平成28年中小企業実態基本調査」より作成)

 

中小

 

 

1-2 経常利益では7産業で増加、4産業で減少

2015年度の中小企業の経常利益は前年度比0.5%減となる18兆5730億円となりました。

 

産業別に見ると、運輸業、郵便業で前年度比30.9%の増加となったほか、情報通信業では16.4%増、生活関連サービス業、娯楽業では15.6%増となるなど7産業で増加となりました。

 

一方、不動産業、物品賃貸業では15.8%の減少となり、ほか卸売業で11.3%減となるなど4産業で減少となりました。

 

・ 2015年度の産業別経常利益構成比

業種 経常利益 構成比
建設業 2.8兆円 14.9%
製造業 4.9兆円 26.2%
情報通信業 0.5兆円 2.8%
運輸業、郵便業 0.9兆円 4.9%
卸売業 2.0兆円 10.8%
小売業 1.7兆円 9.2%
不動産業、物品賃貸業 2.1兆円 11.3%
学術研究、専門・技術サービス業 1.2兆円 6.7%
宿泊業、飲食サービス業 0.7兆円 3.5%
生活関連サービス業、娯楽業 1.1兆円 5.7%
サービス業 0.8兆円 4.0%
18.6兆円 100%

(中小企業庁「平成28年中小企業実態基本調査」より作成)

 

利益

 

2 最新の外国人活用状況〜中小企業の国際化〜

人材の国際化が見られるのは大企業に限った話ではありません。近年、国内の外国人労働者は右肩上がりに増加しており、法務省によると昨年末の在留外国人数は238万2822人で、前年に比べて15万人増加しました。

 

 

2-1 「飲食店・宿泊業」では4人に1人が外国人

日本政策金融公庫が昨年末にまとめた中小企業における外国人労働者に関する調査によると、派遣社員を含めた外国人(特別永住者を除く)を雇用している企業の割合は13.3%で、業種別では「飲食店・宿泊業」が25.5%と最も多くなりました。

 

次いで、製造業24.3%、情報通信業13.8%、卸売業11.0%、サービス業7.1%、小売業6.6%と続きました。

 

・ 業種別に見る外国人雇用企業の割合

業種 企業の割合
製造業 24.3%
卸売業 11.0%
小売業 6.6%
飲食店・宿泊業 25.5%
情報通信業 13.8%
サービス業 7.1%
その他 12.3%
全体 13.3%

(中小企業庁「平成28年中小企業実態基本調査」より作成)

 

外国人を雇用している企業を従業員規模別にみると、100人以上の従業員を抱える企業で51.1%と最も多く、次いで「55〜99人」36.7%、「20〜49人」26.0%、「10〜19人」12.6%、「5〜9人」5.8%、「4人以下」2.1%となりました。

 

従業員数別

(参照:日本金融政策公庫総合研究所)

 

雇用している外国人従業員数の分布では、4人以下が73.6%と最も多く、ついで「5〜9人」12.9%、「10〜19人」6.9%、「20人以上」6.6%となります。このほか日本金融政策公庫によれば、100人以上の外国人を雇用する企業が4社ありました。

 

また、外国人従業員の雇用形態では正社員が58.7%と最も多く、次いで非正社員39.0%、技能実習生21.0%、派遣社員6.2%、海外拠点の社員4.2%と続きました。

 

 

2-2 国籍別では中国人が最多の約4割

外国人従業員を国・地域別に見ると、「中国」が最も多く、全体の38.0%を占めます。次いでベトナム18.0%、フィリピン7.7%、韓国5.6%、インドネシア5.4%、ブラジル4.2%と続きます。

 

また、外国人従業員の在留資格は「永住者」や「定住者」など就労に制限がない「身分に基づく在留資格」が32.8%を占めました。単独では「技能実習」が31.1%で最も多く、次いで専門的な業務に就く「技術・人文知識・国際業務」も15.5%と続きました。

 

国・地域 割合
中国 38.0%
ベトナム 18.0%
フィリピン 7.7%
韓国 5.6%
インドネシア 5.4%
ブラジル 4.2%
タイ 3.4%
台湾 3.2%
ネパール 3.0%
ペルー 2.1%
米国 0.7%
英国 0.3%
その他 8.4%

(日本金融政策公庫総合研究所より作成)

 

 

2-3 外国人を雇用する理由「人手不足」がトップ

外国人を雇用する理由に関する調査では、「日本人だけでは人手が足りないから」が最も多く、全体の28%を占めました。次いで、「外国人ならではの能力が必要だから」23.3%、「能力・人物本位で採用したら外国人だっただけ」18.2%、「日本人が採用できないから」10.4%、「外国人の方が利点が多いから」8.0%と続きました。

 

外国人を雇用する理由 割合
日本人だけでは人手が足りないから 28.0%
外国人ならではの能力が必要だから 23.3%
能力・人物本位で採用したら外国人だっただけ 18.2%
日本人が採用できないから 10.4%
外国人の方が利点が多いから 8.0%

 

中小企業で進む外国人雇用。日本人従業員の確保が難しくなっているなか、今後も外国人従業員の増加は加速すると言われます。

 

 


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