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会社設立後どう生き残るか?新型コロナ禍での飲食業のあり方とは

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新型コロナの影響で飲食業界は大きな痛手を負い倒産・廃業が増大する状況です。こうした中飲食業で開業・会社設立するのはリスクが高いと言わざるを得ません。そこで今回は「新型コロナ禍での飲食業のあり方」をテーマとして、その成功方法や生き残り策を探っていきます。新型コロナ禍での飲食業の現状を確認するほか、奮闘する飲食業の事例、安全対策や顧客の維持・獲得の方法などを示して今後の飲食業ビジネスのあり方を解説していきます。

 

これから飲食業で開業しようと考えている方、飲食業での感染防止対策を知りたい方、アフタコロナでの飲食業の取り組み方などを知りたい方はぜひ参考にしてください。

 

 

1 新型コロナ禍に襲われた飲食業の状況

新型コロナ禍に襲われた飲食業の状況

 

新型コロナ禍によって飲食業がどのような影響を受けどういう状態になっているかを説明しましょう。

 

 

1-1 飲食業の倒産・廃業の状況

株式会社東京商工リサーチによると、「2020年の『飲食業』倒産は、1-8月累計で583件(前年同期比13.2%増)に達した」と以下のような内容が報じられています。

 

今年を除く1-12月の通年ベースで最も倒産の多かった年は2011年でその件数は800件でしたが、今年はその年間最多を更新する可能性が高い状況です。居酒屋のほか、うどん・そば店、すし店、専門料理店など、幅広い飲食業態・価格帯の業種で倒産が増えていて、飲食業界はコロナによって大きく客足を奪われました。

 

●これまでの状況
この状況になる前にも飲食業は2019年後半から2020年2月まで人手不足やそれに関連した人件費の上昇により倒産が増える傾向にありました。

 

そして、20年2月より新型コロナの感染拡大によってインバウンド需要が急減し、行政からの外出自粛および休業や営業時短の要請も加わって飲食業の経営環境が一段と悪化したわけです。

 

倒産件数では、3月が75件(前年同月59件)、4月が80件(同62件)と急激に増加しました。5月は裁判所の一部業務縮小などにより21件(同76件)に減少しましたが、6月以降は悪化が止まらず月間100件を超えるような強い勢いが続いています。

 

負債総額については前年同期比5.4%増の368億円となり、2年連続で前年同期を上回る結果となりました。負債額の構成をみると、負債1億円未満が524件(構成比89.8%)、資本金1千万円未満が521件(同89.3%)となっており、小・零細規模の飲食業が約9割を占めています。つまり、資金力の乏しい飲食業者がコロナ禍の影響をもろに受けた格好になっているのです。

 

●業態別の倒産状況
飲食業の業態別の倒産状況は次の通りです。

 

1位:「専門料理店」(日本料理店、中華料理店、ラーメン店、焼き肉店など)152件(前年同期比14.2%増)
2位:「食堂、レストラン」138件(同5.4%減)
3位:「酒場、ビヤホール」114件(同37.3%増)
4位:「喫茶店」45件(同7.14%増)
5位:「バー、キャバレー、ナイトクラブ」40件(同0.0%増)
6位:宅配飲食サービス業29件(同70.58%増)

 

なお、すし店、そば・うどん店の倒産件数は20件以下と少ないですが、前年同期比40%以上と急増しています。

 

●今後の動向
国や自治体から様々な支援策が打ち出され、企業の資金繰りの負担は一時的に軽減されています。また、東京都では23区内の酒を提供する飲食店の営業時間の短縮要請が9月15日で終了し通常営業が可能となりました。

 

また、9月中には「Go To Eatキャンペーン(感染防止対策に取り組む飲食業等を支援する事業)」が開始され、東京都なども10月から適用されることになり、飲食業の需要回復が期待されています。

 

以上のように「ウイズコロナ」に合わせた経済活動が始動していますが、新型コロナの感染が収束したわけでもないため以前の経営状態に回復するには相当の時間を要すると見込まれているのです。

 

従って、今後はウイズコロナに伴う新しい生活スタイルの中で暮らす消費者に対応できる飲食業のビジネスモデルが求められます。しかし、飲食業界は小規模企業・零細企業が多くその資金力など経営資源が脆弱であることから業態変更も容易には行えず、結果として倒産や廃業の増大が懸念されます。

 

 

1-2 飲食業の閉店の状況

休業要請などに耐えてきた飲食業の中には閉店する企業も増えており、大手の外食チェーンなどでも閉店する店舗を増大させる動きが多く見られるようになりました。

 

●米国の飲食業
米国の大手口コミサイトの「Yelp(イェルプ)」の2020年第2四半期「経済平均報告書」では、新型コロナの感染拡大の影響により2020年7月10日時点で休業していた米国内の2万6160店のうち、約6割の1万5770店が恒久的に閉店していたと報じています。

 

7月は6月に比べ休業中の店が2179店増加で、閉店が2956店(23%)の増加で、7月までについて飲食業の休業総数が小売業を上回り最多になっているのです。

 

●国内の外食産業
日本国内の外食市場を見ると、新型コロナ禍によって以下のように閉店が相次いでいると日本食糧新聞が8月に報じています。

 

1)居酒屋業態

 

  • ・居酒屋「甘太郎」や回転寿司チェーン「かっぱ寿司」などを運営しているコロワイドは、居酒屋業態を中心に直営店196店舗を9月までに閉店すると5月に発表
  • ・居酒屋「和民」「ミライザカ」などを展開するワタミは65店舗を21年3月までに閉店
  • ・「金の蔵」の三光マーケティングは今6月期中に40店舗を閉店
  • ・「はなの舞」のチムニーは20店舗、総合居酒屋の老舗「つぼ八」も12店舗を閉店

 

2)ランチ主体の食堂・レストラン等の業態

 

  • ・ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」、和食ファーストフード「天丼てんや」などを運営するロイヤルホールディングスは2021年末までに約70店舗を閉店
  • ・ファミリーレストラン「ジョイフル」も直営店舗の200店を閉店予定
  • ・牛丼チェーン「吉野家」、讃岐うどんチェーン「はなまる」などを運営する吉野家ホールディングスも国内外で150店舗を閉店予定

 

以上のように居酒屋業態やランチ向けレストラン等の業態は厳しい状況にあり今後の閉店の増加が危惧されます。

 

 

1-3 倒産・廃業に至る飲食業の理由

ここでは新型コロナの影響で倒産・廃業に追い込まれる飲食業の理由を説明しましょう。

 

①飲食業で倒産・廃業に陥る一般的な原因

飲食業の一般的な倒産原因として、「販売不振や収支管理のミスによる資金繰りの悪化」、「人手不足」と「後継者の不在」などが挙げられます。

 

飲食業で倒産・廃業に陥る一般的な原因

 

1)販売不振による資金繰りの悪化

 

●新規開業の場合
新規開業の飲食業の場合、開業前の商圏リサーチ等のマーケティング調査や戦略立案が不十分だと予定の収益が達成できず直ぐに運転資金不足に陥って倒産・廃業するケースが少なくありません。

 

一般的に飲食業の開業では出店候補地の商圏をリサーチして見込みの売上高に基づき事業計画を立て必要資金を確保して事業をスタートさせます。しかし、そのリサーチが甘いと期待する収益が上げられず運転資金が1年を待たずして枯渇することも多いです。

 

新規開業店が金融機関から融資を受けるのは困難で、借りられなければ倒産・廃業に陥ってしまいます。

 

●既存の飲食業の場合
出店当時は十分な収益を稼いでいても時間が経過するにつれ客足が伸びなくなって次第に減少していき、ついに運転資金が確保できないほどに陥るケースも少なくありません。

 

特に流行の業態の場合はその傾向が顕著に現れやすいです。たとえば、「○○食ブーム」などが流行して急激な出店増が見られるケースがありますが、流行が終われば一気に客数が減少し閉店するケースがよく見られます。

 

流行の業態でない場合でも一定の年数が経てば提供する商品やサービスがマンネリ化して客に飽きられ客数が減少するというケースは多いです。もちろん価格の値上げ、味・サービスの品質低下などがあれば、即客足に影響し閉店に至ることも珍しくありません。

 

2)収支管理のミスによる資金繰りの悪化

 

収支管理を含む経営管理がずさんな飲食業では資金繰りの悪化で倒産・廃業に至るケースも多いです。

 

●新規開業店の場合
売上の見込み、設備機器や材料仕入などの必要資金の見積りなどが甘い或いは事業計画を立てない といった新規開業店では事業開始直後から資金不足に陥り倒産等を早めるケースも少なくありません。

 

特に開業時の必要資金は多額になりやすいため、不正確な見積りで事業を進めるとたちまち資金繰りに窮することになってしまうのです。

 

●既存店の場合
既存の店舗でも開業後の収支管理をしっかり行わないと急に資金繰りが悪化して倒産に至ります。たとえば、手元資金や収支の状況を考えずに「食材が安くなったから大量に仕入れる」「少し忙しくなったから従業員を増やす」「売上が見込めるかわからないのに新しい設備を導入する」といった行動に出る経営者は少なくないです。

 

こうした行動は上手くいけば利益の増大に繋がりますが、見込みが外れるとたちまち資金不足の状況を作ってしまいます。

 

3)人手不足

 

新型コロナ禍に陥る前の飲食業界では人手不足の問題が深刻化していました。顧客が増えてもそれに対応できるだけの人員を確保できず、その結果品やサービスの品質が落ち客離れを誘うというケースがよく見られていたのです。

 

また、人員を確保するために給与をアップせざるを得なくなりその結果収支を圧迫し経営が成り立たなくなるというケースも問題になっていました。

 

4)後継者不足

 

長年にわたって経営を継続してきたものの後継ぎがおらず、経営者が高齢のためやむを得ず廃業するといったケースが増えています。新型コロナ禍で客足が止まって苦しい状況にある飲食業で好んで後を継いでくれる者がおらず、やむを得ず廃業するケースの増大が懸念されているのです。

 

②新型コロナ禍で倒産・廃業に至る最大の理由

①の理由も含め新型コロナ禍で倒産・廃業に至る最大の理由を考えてみましょう。

 

1)「手元資金が過小→コロナで売上減少→資金不足で倒産」のパターン

 

飲食業の場合、他の教育・学習支援業、生活関連サービス・娯楽業、医療・福祉業、建設業、製造業などと比べ手元流動性比率が低い傾向にあり、売上高の減少に直面すると直ぐに資金不足に陥りやすいです。

 

手元流動性比率は、(現金・預金+有価証券〔期首・期末平均〕)÷(1カ月分の売上高)で示される値で、現金化できるものが売上高の何カ月分保有しているかを示します。

 

財務省の「法人企業統計調査(2018年)」を基に計算してみると、飲食サービス業の手元流動性比率は約1.6カ月です。他の業種では小売業や卸売業が約1カ月と最も低く、教育・学習支援業は4.3カ月、生活関連サービス・娯楽業や建設業が2.3カ月、製造業1.9カ月などとなっています。

 

この指標では飲食業は全業種の中でも下位のグループに属し、資金不足になりやすい業種と言えるわけです。売上高の減少は資金繰りの悪化に直結するため、金融機関などからの借入が困難な場合には倒産・廃業へ追い込まれやすくなります。

 

2)「損益分岐点比率が低い→コロナで売上高減少→赤字に転落→資金繰りの悪化で倒産」というパターン

 

飲食業の経営上の一般的な問題点の1つは損益分岐点比率が高い点です。損益分岐点比率は売上高に占める損益分岐点(売上高)の割合のことで、損益分岐点が実際の売上高に対して何%に相当するかを示す値になります。

 

損益分岐点は儲けが0になる売上高であるため、損益分岐点の値が低いほど実際の売上高が減少しても直ぐに赤字になりにくくなるのです。しかし、損益分岐点が実際の売上高に対して高い場合、すなわち損益分岐点比率が高い場合は少しの売上高の減少で直ぐに赤字に陥ってしまいます。

 

たとえば、ある飲食業店の損益分岐点比率が90%とすれば、売上高が10%超減少すれば赤字です。新型コロナ禍では営業自粛で売上高0円、事業を再開してからでも売上高が以前の3割や5割といったケースも少なくありません。

 

行政からの補助金等を含めても売上高の減少による赤字幅を吸収することは困難であり、手元資金が少ない飲食業にとっては何カ月もちこたえるのは容易ではないでしょう。

 

 

2 新型コロナ禍での飲食業の新たな動き

新型コロナ禍での飲食業の新たな動き

 

新型コロナの影響でより厳しい状況にある飲食業界の中で危機を乗り切るために新たな業態へと進む企業・お店の新たな取り組みなどを確認していきます。

 

 

2-1 大手外食産業の新たな取り組み

大手外食産業では以下のような新業態の導入等が展開され始めました。

 

●ワタミ
ワタミは、お持ち帰りの販売を主体とする唐揚店業態の「から揚げの天才」の店舗を急速に増加させており、ほかにも鹿児島県の食肉加工・卸業のカミチクグループとの合弁会社「ワタミカミチク」を立ち上げ焼肉事業を開始しています。

 

2020年5月にはファミリー向け焼肉食べ放題業態「上村牧場」を東京・蒲田に出店し、5年後には国内200店舗などのチェーン展開を予定中です。

 

●コロワイド
コロワイドは居酒屋業態を中心に不採算店を多数閉店し、全般的に需要が落ち込んでいる居酒屋業態については「少人数利用への対応強化」「個室のように感じられる客席の整備」などにより総合居酒屋業態から比較的好調な専門居酒屋業態への転換を加速させ消費者ニーズの変化に対応しようとしています。

 

レストラン業態については、新型コロナ禍の中で需要が増大している宅配やテイクアウトの機能を整備・強化してその需要の取り込みに努めているところです。

 

また、コロワイドは、介護施設・病院向けなどの各種施設に食事を提供するという給食市場に参入しました。2019年12月に当該事業の会社を設立し20年1月から事業をスタートさせており今後の事業拡大が見込まれています。

 

●エー・ピーカンパニー
居酒屋「塚田農場」を展開しているエー・ピーカンパニーは、東京・渋谷の5店舗(塚田農場)を3店舗閉店し、その代わりとして「地どり屋つかだ」「焼鳥つかだ」などの専門店業態を導入しました。

 

全国にある塚田農場は約100店舗ですが、今後10年にわたり年5店舗から10店舗ほどをリブランディングする予定で、全店舗の業務転換を進める方針を決定しています。

 

●冷凍食品市場への参入
「かつや」を運営するアークランドサービスホールディングス社や「大戸屋」を運営する大戸屋ホールディングスなど家庭用冷凍食品市場へ参入する企業が目立つようになりました。

 

介護施設などの給食市場は、コロナ禍にあってもその影響が比較的少ない外食産業であり、国内の人口構造からしても成長が期待できる市場です。また、コロナ禍により家庭での巣ごもり需要の増大で家庭用冷凍食品の消費が増大し、リピーターの増加も期待されることから当該業態への参入が相次いでいます。

 

●アークランドサービスホールディングス株式会社
「からやま」や「かつや」を運営するアークランドサービスホールディングス株式会社はコロナ対策として様々な手段を講じています。

 

「からやま」などではテイクアウト販売、デリバリーサービスやキャッシュレス決済といった外食産業として対応しやすい方法をいち早く導入しました。また、テイクアウトやデリバリーサービスの需要を喚起するためにSNSや地図ポータルサイトなどを活用しています。

 

地図ポータルサイト「NAVITIME」に登録し、各種検索で店舗情報が示されるようにすることで顧客の利用促進を図っているのです。

 

また、天丼専門店やタイ料理専門店の複合型レストランを出店するなど新たな専門業態の導入を図り、新規需要の獲得に努めています。

 

 

2-2 困難を克服する個々の飲食業の取り組み

新型コロナ禍の厳しい局面で様々な対策を講じたり新たな業態を導入したりして奮闘しているお店の取り組みを紹介しましょう。

 

①レストランsio

●事業内容:
フレンチ、イタリアン、創作料理の提供

 

●住所:
北海道札幌市中央区南2条西23丁目1-1テイストビル1F

 

●店の特徴:
当店は様々なシーンでの利用が期待できる隠れ家的レストランです。店舗内ではオープンキッチンが中央に設置され、お客個々のニーズに対応しやすいBOXや個室などの席(全20席)が用意されており、料理は魚介類や肉類などが毎日厳選されて提供されています。

 

●新型コロナ禍での対策:

 

  • ・外出を自粛している人や既存顧客に向けた、Twitterやnoteによるレシピの無料公開
  • ・オンラインサロン「料理楽しい研究所」での料理教室の開催
  • ・ベトナム風サンドイッチのバインミーや日替わり弁当、生姜焼き弁当のほか惣菜など低価格で多様な商品のテイクアウト販売

 

●対策の考察
インターネットを通じたPRを行い既存顧客の囲い込みのみならず、当店を知らない人にお店の存在を知ってもらうという試みが新型コロナ対策として実施されました。コロナ禍で消費マインドが下がる中、既存顧客の繋ぎとめだけでなく新規顧客の獲得にこれらの手段は有効となったはずです。

 

レシピの提供や料理教室の開催は、店や料理に興味を持つ人を増やし、いつか来店しようという新規顧客増大の流れを作ります。また、新たに始めたテイクアウト販売も売上減少の補填に貢献しました。

 

これらの新たな取り組みを迅速に進められた点が特に優れています。

 

②「スタンドふじ」等を運営する「株式会社 海翔」

●事業内容:
水産会社である強みを生かした海鮮居酒屋などの運営

 

●住所:
スタンドふじ本店:大阪市阿倍野区阿倍野筋1-5-1 ルシアスビルBF1

 

●会社の特徴:

 

  • ・「海鮮居酒屋」「スタンド価格のビストロ店」「海鮮が安いだけの呑み屋」などの店舗(大阪)を運営し、魚介料理・海鮮料理、寿司、日本酒バー、居酒屋、和食(その他)などを提供
  • ・「魚をたらふく食べて頂ける」お店で、「スタンド」のように立ち飲み感覚の低価格で味わえる海鮮料理の提供

 

●新型コロナ禍での対策
・すしセンター裏天王寺「海鮮ふじ」(大阪市天王寺区堀越町13-6)によるテイクアウト販売
同店は通常3~4万円相当の豪華海鮮食材を1万円程度の破格の値段の「超お得テイクアウトセット」等で発売しています。

 

緊急事態宣言に伴う飲食店の休業や個人の外出自粛により魚市場の需要が急減したため、その対策としてテイクアウト販売が開始されました。購入方法は完全予約制でインスタアカウントからの予約が可能です(大阪市内は配送可能)。

 

●対策の考察
元々行列が出る人気店で店に入りきれなかったお客の取りこぼしをテイクアウト販売(或いは宅配)で取り込むことに同店は成功しています。

 

また、市場に値打ちのある魚がなければ販売しないという方針は、テイクアウト販売を「高級食材のお得販売」というブランド価値を作りお客の引き付けに役立ちました。

 

インスタグラムを使ったネット予約やPRでネット上の口コミの拡大を図り、口コミから食べログなどの各種のグルメレビューサイトに取り上げられるという手法も優れています。

 

③ビストロプラン(株式会社PLEIN)

●事業内容:
フランス料理店などの運営・商品開発事業

 

●住所:
東京都港区南青山6-3-13

 

●会社の特徴:
ビストロプランなどの店舗経営のほか、運営ノウハウを他社に伝授するalliance事業も展開し、フードビジネスでのコンサルティングとして、外食産業に「人材採用」「人材開発」「運営改善」などの支援も実施されています。

 

●新型コロナ禍での対策
・オンラインショップの開設
店舗の休業中にオンラインショップを開設しキッシュの販売が開始されました。FacebookなどSNSを通じたPRやメディアの取材等により8月初めには累計5千個の販売を達成しています。

 

その後シャルキュトリー(食肉加工品)のラインアップ、パテ・リエット・ソーセージなどの個包装・冷凍状態での販売(冷凍チルド便で発送、湯煎で解凍してお店と同じ料理が味わえる)、バーニャカウダソース、キーマカレー、ボロネーゼソースなどの販売が追加されました。

 

・インスタLIVEでオンライン料理教室開催
営業自粛にインスタLIVEによるお料理教室が開始されました(30分程度で参加費は無料)。

 

●対策の考察
・迅速な「選択と集中の経営」の実施
オンラインショップによる商品販売を計画して直ぐに実行した点は優れた経営判断と言えるでしょう。また、SNSによる告知やメディアの取材などを活用できた点はプロモーション政策として有効でした。

 

オンライン料理教室開催は既存顧客の囲い込みだけでなく新規顧客の獲得に繋がる手段で、店舗の再開後の売上回復に貢献することが期待されます。

 

・ウイズコロナでのテイクアウト業態の開発
次の一手としてテイクアウト販売も検討されています。

 

④東京江戸川 鮨かの

●事業内容:
高級すし店

 

●住所:
東京都江戸川区江戸川4-25-7

 

●店の特徴:
すし職人の技とネタの目利きによる本物の江戸前寿司を提供して地域のお客に愛されてきたお店です。現当主の鹿野亮氏は「新しい『鮨』の世界を自分なりに精一杯表現することが二代目としての使命」とし、「未来に向けて新たな挑戦」へと取り組んでいます。

 

その考えの一環として、同店は2019年に従来の大衆寿司店のタイプから進化して高級寿司店のタイプへシフトしました。

 

●新型コロナ禍での対策
・安全を考慮してのゆったり営業
店の入り口には手指消毒用アルコールを設置し、満席にせず客席の間隔にゆとりを持たせた営業に取り組んでいます。

 

・デリバリーサービスの開始
店主の鹿野氏と夫人が自動車で直接配達するというデリバリーサービスが開始されました。配達日時や配達方面などを事前に決め、SNSを通じて告知・募集するといった形態で実施されたのです。

 

商品は、約4人前の海鮮バラチラシ(約16000円)がメインで、穴子すしなどの提供も行われています(営業再開後のデリバリーサービスは縮小)。

 

●対策の考察
・店主自らのデリバリーサービス
すし店の場合扱う商品が生ものだけに提供する方法が限定されるという弱みがありますが、同店は自ら配達するという方法で対応しました。

 

店主自らの配達は顧客との関係性の構築・維持に結びつく有効な方法と言えるでしょう。一端休業すれば、SNS等で多少繋がりを維持できても既存客の足が遠のいてしまいかねません。

 

しかし、デリバリーサービスで店主が顧客に配達し一言二言言葉を交わすことで両者の関係性は維持され営業再開後も以前と同じように店へ足を運んでもらいやすくなるでしょう。

 

 

3 ウイズコロナでも生き残れる飲食業の費用構造へ

ウイズコロナでも生き残れる飲食業の費用構造へ

 

飲食業のお店が抱える最大の問題は損益分岐点比率が高い点です。ウイズコロナの中で開業後・会社設立後事業を継続させていくには損益分岐点比率を下げる取り組みが必要になります。

 

 

3-1 損益分岐点比率の違いによる売上減少への耐性

飲食業の場合、損益分岐点比率が高いと売上高が少し減少しただけで直ぐに赤字に転落し、資金に余裕のない企業では資金繰りの悪化で倒産へと至るケースが少なくありません。

 

そのため不況や緊急事態でも生き残れるようになるためには損益分岐点比率の低いビジネス構造への転換が求められます。ここでは損益分岐点比率の違いにより売上減少への耐性がどれほど違ってくるかを確認してみましょう。

 

たとえば、費用構造が異なる月商100万円の2社(A社とB社)があるとします。

 

A社

売上高 100万円
-変動費 60万円
-固定費 36万円
=利益 4万円

 

A社の費用構造は上表の通りで、その損益分岐点(売上高)は90万円、損益分岐点比率は90%です。つまり、売上高が10%減少して90万円になれば損益が0円になります。

 

変動費:人件費*、材料費、外注費、運送費、販売促進費 等
固定費:家賃、店舗・機器等の減価償却費、リース費、保険料、支配利息 等
人件費については、営業量と関係なくほぼ一定の場合は実質的には固定費として考えるのが妥当です。
損益分岐点売上高:利益が0となる売上高(操業量)

 

B社

売上高 100万円
-変動費 55万円
-固定費 31.5万円
=利益 13.5万円

 

B社の費用構造は上表の通りで、損益分岐点が70万円、損益分岐点比率は70%になっています。もしB社の売上高が10%と減少して90万円になっても損益分岐点が70万円であるため、赤字までに90万円-70万円=20万円超の余裕があるわけです。

 

実際には30%減少して売上高が70万円を切るまではB社の場合黒字が確保できます。このように損益分岐点比率が低い方が不況などへの耐性が高いことがわかりますが、そのためにはそれを低くする費用構造へと転換しなければなりません。

 

 

3-2 損益分岐点比率を低くする方法

売上減少などへの耐性を強めるためには損益分岐点比率を低くする必要があり、以下のような方法がよく取れます。

 

損益分岐点比率を低くする方法

 

①変動費の削減

費用に占める変動費の割合を下げて損益分岐点比率を低くすることが可能です。たとえば、A社の場合の変動費を60万円から50万円に低減できれば損益分岐点(売上高)は72万円となり損益分岐点比率は90%から72%へと低くなります。

 

変動費を下げる一般的な方法は以下の通りです。

 

  • ・操業量に応じて増減しやすいアルバイト等の人員削減や労働時間の短縮
  • *配膳ロボットや自動食券器の導入等で人員削減
  • ・食材の見直し、仕入先の変更、仕入先との値引交渉などによる材料費の低減
  • ・食材の下処理などを外注している場合の外注費、弁当などのデリバリーサービスの運送費の削減
  • ・商品の通信販売に伴う輸送費用の低減(運送会社との値引交渉、使用先の変更 等)
  • ・プロモーション活動に伴う宣伝広告費を含む販売促進関連費用の削減(費用対効果の低い広報手段の変更、インターネット広告・SNSによるPRなどへの変更 等)

 

②固定費の削減

固定費の削減により損益分岐点比率は下げられます。たとえば、A社の場合の固定費を36万円から30万円に低減できれば損益分岐点は75万円となり損益分岐点比率は75%へと下げることが可能です。なお、固定費を下げる一般的な方法は以下のようなものが挙げられます。

 

  • ・家主との交渉による店舗家賃等の値下げ。立地等が良くない場合などは別の場所への変更も重要
  • ・売上に貢献していない設備機器などは売却して減価償却費を削減。リースで使用している機器については更新をやめて費用を削減
  • ・損害保険、火災保険などの内容を見直し保険料を低減
  • ・借入金の繰り上げ返済や借り換えなどにより支配利息を削減
  • ・操業量に合わない正社員数の調整

 

③販売単価の増大

販売数量の増大が難しい場合、販売単価を上げることで損益分岐点比率は改善できます。たとえば、A社の月の平均販売数が1000個、平均単価が1000円とである場合に単価を1100円にすると、月の実際売上高は110万円となり損益分岐点比率は90%から81.8%へと低くなります。

 

なお、販売単価を上げる一般的な方法は以下の通りです。

 

  • ・既存商品の単価の値上げ
  • ・従来品より利益率がよい高価格帯の商品メニューを追加(或いはメニューの一新)
  • ・利益率がよい高価格帯の商品の通信販売やテイクアウト販売(ギフト用やイベント用などの高価格帯商品のラインアップは有効)

 

④売上数量の拡大

販売単価を増加させることが困難な場合、販売数量を増やすことで損益分岐点比率の低減は可能です。たとえば、A社の月の平均販売数が1000個、平均単価が1000円とである場合に数量を1150個に増大できると、月の実際売上高は115万円となり損益分岐点比率は90%から約78.3%へと低くなります。

 

なお、売上数量を拡大させる一般的な方法は以下のようなものが挙げられます。

 

  • ・顧客数の増大による販売数量のアップ(新型コロナ禍においては高難易度の課題で様々な工夫等が必要)
  • ・各種のプロモーション活動によるリピート客の増加や新規顧客の獲得
  • ・商品の通信販売やテイクアウト販売の開始
  • ・新商品や新サービスの開発と導入

 

*客1人当たりの消費額である客単価を上げることも売上増大に有効です。具体的には来店したお客に普段よりも高い商品を注文してもらう、普段よりも多く注文してもらうことで1人当たりの売上をいつもより多くなるように取り組みます。

 

 

3-3 新規出店する場合の費用構造の設計

会社設立などで新規出店する場合事業計画を作る必要がありますが、新型コロナ禍のような過酷な現状においてはより精度の高い計画が求められます。特に予測売上高と予測損益分岐点を可能な限り正確に設定して計画を立てることが重要です。

 

①予測売上高の検討

新型コロナ禍の状況を踏まえ予測売上高をできるだけ正確に見積るには以下のような取り組みが必要になります。

 

・新型コロナ禍でも比較的好調な業態を選ぶ
たとえば、競争相手が少ない専門料理店などで、少人数を対象とする業態の選定や有効です。

 

・参入予定の業態の類似店の営業状態を調査の上、その客数や客単価などを確認し月商を見積る

 

・見込客数で計算した予測売上高が少ない場合の対策を立てる
通信販売やテイクアウト販売などで売上を補填できるようにします。

 

②損益分岐点比率の低い費用構造の設計

不況等にも強いお店にするには費用構造を分析し損益分岐点比率を下げる取り組みが必要です。費用構造の分析は損益分岐点の状態を分析することであり、具体的には収支構造を売上高、変動費や固定費に分けて分析します。

 

たとえば、3-1と2で見てきたように各費用を変動費と固定費に分けて把握することが不可欠です。損益分岐点(売上高)は計算式で示すと以下のようになります。

 

損益分岐点=固定費÷(1-変動費率)
*変動費率:売上高に対する変動費の割合(変動費÷売上高)

 

一般的な事業計画は見積った売上高や各種費用の合計に基づき作成されますが、一定の損益分岐点比率を目標として作成する場合はその目標値に従って変動費と固定費の内容を調整しなくてはなりません。

 

最初の予測収益が3-1のA社と同じ内容である場合、

 

A社

売上高 100万円
-変動費 60万円
-固定費 36万円
=利益 4万円

 

損益分岐点は{36÷(1-60/100)=}90万円で、損益分岐点比率は{90÷100×100%=}90%となります。この90%は飲食業では珍しくない数値ですが、決して良いものではなく10%超の売上減少で赤字になってしまうリスクの高い値です。

 

そこで新規出店にあたり、不況でも事業継続しやすい費用構造にするために損益分岐点比率を70%になるように再設計します。その場合の損益分岐点は70万円で、この値から計画値としての変動費と固定費が検討されていくのです。

 

つまり、{70万円=固定費÷(1-変動費率)}の式から実現可能な変動費と固定費が設定されなければなりません。先のB社の例で示した内容で考えると、変動費を55万円にすると変動費率は0.55で、これを上記の式に当てはめると、{70万円=固定費÷(1-0.55}となり、固定費=31.5万円が求められます。

 

そして、変動費55万円と固定費31.5万円になるように各種費用を見直し決定していくのです。見直しの方法は3-2で説明した「変動費の削減」と「固定費の削減」の方法と同じような内容で進めるとよいでしょう。

 

 

4 新型コロナ禍でもお客を維持・獲得する方法

新型コロナ禍でもお客を維持・獲得する方法

 

新型コロナ禍で経営の厳しい飲食業がお客を確保するための様々な方法を説明していきます。

 

 

4-1 安全対策の整備

お客の確保には感染リスクの不安を軽減することが必須であり、そのための安全対策の整備が欠かせません。ここでは一般社団法人 日本フードサービス協会などが作成した「外食業の事業継続のためのガイドライン」の内容を簡単に紹介しましょう。

 

①お客の安全に向けて

1)入店時

 

  • •店舗入口には、発熱等の異常がある顧客に対して店内飲食を断る旨の案内を掲示。また、店舗入口や手洗い場所には消毒用アルコール等を設置
  • •店舗入口および店内に、食事中以外のマスク着用を依頼する旨の案内を掲示
  • •飛沫感染や接触感染の防止のための間隔をとる必要性をお客に理解してもらい、混雑時は入店制限を実施
  • •店内飲食やテイクアウトで順番待ちが生じる場合、各人の間隔を2m(最低1m)以上維持できるように誘導(床に間隔を示すテープを貼る等)
  • •店外での順番待ちについて、従業員が間隔を保つように誘導、または整理券の発行等により行列の形成を回避

 

2)客席への案内

 

  • •テーブルは、飛沫感染予防のためにパーティションの設置、または間隔を2m(最低1m)以上維持。カウンター席は密着しないスペースを確保
  • •真正面の配置を回避、またはテーブル上のパーティションの設置
  • •少人数の家族、介助者が同席する高齢者・乳幼児・障害者等が対面を希望する場合は可能とするが、他集団との相席は回避
  • •集団間の安全確保のために、他の集団とは2m(最低1m)以上の間隔を維持し、会話は控えめすることを依頼

 

3)テーブルサービスとカウンターサービス

 

  • •注文を受ける場合、お客の側面に立ち可能な範囲で間隔を維持
  • •お客の入れ替わる都度、テーブル・カウンターを消毒
  • •カウンターでも可能な範囲で従業員とカウンター席との間隔を維持
  • •カウンターで注文を受ける場合、お客の正面に立たつことを回避
  • •カウンターでは、お客と従業員の会話の程度に応じ、従業員のマスク着用や仕切りの設置等を実施
  • •料理は大皿を避け個々に提供、或いは従業員等による取り分けなどを実施
  • •お客同士のお酌、グラス等での回し飲みを控えるように注意喚起
  • •個室使用では十分な換気を実施
    *ガイドラインに記載はないですが、エアコンによる空調では外気を多く導入できる方式を採用することが望まれます。直ぐに設置できない場合は、部屋の空気の入れ替えをこまめに行うことが必要です。

 

4)会計処理

 

  • •券売機の定期的な消毒
  • •会計処理では電子マネー等の非接触型決済を採用。現金、クレジットカード等の受け渡しが発生する場合、受取はコイントレイ(キャッシュトレイ)などを使用。また、コイントレイの定期的消毒の実施、会計ごとの手の消毒
  • •レジとお客の間にアクリル板等の仕切りの設置

 

5)テイクアウトサービス

 

  • •お客の店内滞留時間の短縮のために、事前予約注文などを実施
  • •テイクアウト客と店内飲食客の動線を区別
  • •料理は早めの消費を依頼

 

②従業員の安全衛生管理

  • •食品を扱う者の健康管理と衛生管理の徹底
  • •従業員各自が店舗に新型コロナウイルスを持ち込まないように努力
  • •従業員は必ず出勤前に体温計測。発熱や風邪の症状がある場合、店舗責任者に連絡の上、勤務の可否等の判断を確認
  • •感染した従業員、濃厚接触者と判断された従業員の就業は禁止
  • •店舗ではマスクやフェイスガードの適切な着用。頻繁かつ適切な手洗いを徹底
  • •従業員等に心配や恐怖心を感じさせず、風評被害等を避けるために事業者は現状を的確に従業員へ伝達(従業員へのリスク・コミュニケーション)
  • •従業員のロッカールームや控え室の換気、空調設備の定期的な清掃

 

③店舗の衛生管理

  • •店内(客席)は適切な換気設備の設置および換気設備の点検の実施、徹底した換気(窓・ドア等の定期的な開放、常時換気扇の使用等)
  • •店内清掃の徹底。店舗のドアノブ、券売機、セルフドリンクコーナー等の設備は定期的にアルコール消毒薬、次亜塩素酸ナトリウムで清拭。また、テーブル、イス、メニューブック、タッチパネル、卓上ベル等はお客の入れ替わる度にアルコール消毒薬等で清拭
  • •卓上には原則的に調味料・冷水ポット等は非設置。撤去が困難な場合、お客の入れ替わる毎にアルコール消毒薬等で清拭または用具を交換
  • •ビュッフェやサラダバーおよびドリンクバーは、飛沫防止のため食品・ドリンクを保護(カバーの設置、従業員による小分け、アクリル板等の仕切りの設置)。トング等は頻繁に消毒若しくは交換
  • •従業員は店内の一箇所にお客様が集まらないように注力
  • •トイレは毎日清掃し、ドアやレバー等は定期的にアルコール消毒薬等で清拭
  • •トイレのハンドドライヤーは使用禁止でペーパータオルを設置。また、汚物は蓋をして流すよう、使用者に注意喚起
  • •厨房の調理設備・器具を台所洗剤で清拭し、作業前後の手洗いなど一般的な衛生管理を徹底
  • •感染防止対策に必要な物資(消毒剤、不織布マスク、手袋、ペーパータオル、使用品の廃棄容器等)のリストを作成し、十分な量を準備。使用した分を補充し、常に一定の必要量を備蓄(ローリングストック)
  • •ユニフォームや衣服のこまめな洗濯
  • •感染を招くごみ等の処理は手袋・マスクを着用してビニール袋等に密封し回収。マスクや手袋を脱いだ後の手洗いの徹底

 

 

4-2 顧客維持と新規顧客開拓に向けた対応策

既存店や会社設立後開業するお店などで、顧客維持や新規顧客開拓をどのように行うかについて説明しましょう。

 

顧客維持と新規顧客開拓に向けた対応策

 

①業態の検討

新型コロナ禍で開業したり、事業を継続したりするには業態の選定が事業の成功に直結します。どのような飲食店のタイプにするか、どのような商品・サービスをどのように提供するかについて、現状のデータや成功例などから検討することも必要です。

 

●市場に関するデータを参考にする
たとえば、一般社団法人 日本フードサービス協会の「JF外食産業市場動向調査」のデータなどを参考にするとよいでしょう。この調査結果は毎月報告されており、「ファーストフード」「ファミリーレストラン」「パブ/居酒屋」「ディナーレストラン」「喫茶」「その他」に分類された業態別のデータが確認できます。

 

下表は同調査の2020年8月度のデータを抜粋したものです。飲食業全体では、売上高が前年比84.0%、客数が81.6%となっており、業態別ではパブ/居酒屋が41.0%、43.6%と最も悪く、ファーストフードが96.6%、89.0%と最も良い結果になっています。

 

こうした直近のデータなどを参考に業態の選定を検討すべきです。

 

売上高
前年比(%)
客 数
前年比(%)
全  体 84.0 81.6
ファーストフード 合 計 96.6 89.0
洋 風 108.2 94.3
和 風 92.0 89.0
麺 類 80.8 78.4
持ち帰り米飯/回転寿司 91.8 89.8
その他 90.3 84.7
ファミリーレストラン 合 計 75.1 71.9
洋 風 70.9 68.9
和 風 70.8 70.4
中 華 89.7 82.7
焼き肉 85.6 84.8
パブ/居酒屋 合 計 41.0 43.6
パブ・ビアホール 36.4 38.9
居酒屋 42.3 45.3
ディナーレストラン(計) 65.1 60.8
喫茶(計) 67.8 65.5
その他(計) 81.4 77.6

 

また、1-1で確認した業態別の倒産状況なども参考になります。「専門料理店」(日本料理店、中華料理店、ラーメン店、焼き肉店など)、「食堂,レストラン」「酒場,ビヤホール」、「喫茶店」、「バー、キャバレー、ナイトクラブ」の順で倒産が多く見られました。

 

こうした倒産件数の多い業態の選定はリスクが高くなるはずです。十分なコロナ対策なしで従来と同様の店舗運営をすれば倒産・廃業に追い込まれやすくなる点を理解しておきましょう。

 

●大手外食チェーンの業態変更の実態を参考にする
ワタミ:
居酒屋業態からお持ち帰り主体の「唐揚店業態」や焼肉事業(焼肉食べ放題)へシフト

 

コロワイド:
総合居酒屋業態から専門居酒屋業態(少人数対応、個室対応等)へのシフト。宅配やテイクアウトの機能を整備・強化。介護施設等の施設向け給食市場へ参入

 

エー・ピーカンパニー:
「地どり屋つかだ」などの専門店業態の導入

 

大戸屋ホールディングス等:食堂業態による家庭用冷凍食品市場への参入、商品販売の強化

 

アークランドサービスホールディングス:
天丼専門店やタイ料理専門店の複合型レストランなど専門店業態の導入

 

②迅速な打開策の実行

次のような売上や顧客の増大を図る打開策を、スピード感をもって実行することが欠かせません。

 

新しいメニューの開発
テイクアウト販売や通信販売の開始
客単価アップへの取り組み
大衆店から高級店や専門店への変更
大人数対応から少人数対応へのシフト

 

新型コロナの感染拡大により営業自粛や休業要請に加え、消費マインドの低下によって売上や客足が大きく落ち込んでいます。こうした予想がつきにくい悪環境においては、打開策の迅速な実行が不可欠です。

 

閉店するにしても打開策を講じるにしても決断が長引けば経営は増々悪化しかねません。持続化給付金などの支援を活用し、有効な対策を一刻でも早く打てるように努めるべきで、実際休業中などに打開策を講じて実施していく企業も少なくありません。

 

新規開業する場合でも新型コロナの感染拡大前に想定していた業態に囚われず、予測売上高を維持するための新たな取り組みなどをタイムリーに導入しましょう。開業してからの売上状況やお客の来店状況などが予測を下回る場合には部分的な業態変更も必要です。

 

デリバリーサービスやテイクアウト販売などは取り組みも比較的容易であるため、状況を見て直ぐに対応を進めましょう。

 

③お客との関係性の構築と維持拡大

安全性への不安などで客足が遠のく状況では、店舗とお客との関係性がより重要になります。感染症対策が進んでもお客との関係性が薄い場合、客足が一端離れると元通りに戻るのは容易ではありません。

 

しかし、お客が店に対して強い愛着や信頼を抱いていたり、熱心なファンであったりするような関係性ができていれば、営業再開後は比較的客足がスムーズに戻りやすくなるのです。

 

お客との関係構築は一朝一夕では実現できません。普段のお店での会話やサービスの提供、SNSやメールなどを通じた双方向のコミュニケーションなどにより少しずつ形成できます。

 

「鮨かの」のように休業中に店主自らデリバリーサービスを実行するというコミュニケーションの取り方も関係性の維持向上に役立ちました。新規開業の場合は開業前からSNS等でこれからのビジネスについて情報発信して、関係性の芽を育んでいくことが重要です。

 

また、レストランsioなどのように休業中に「レシピをTwitterやnoteで無料公開」「オンラインサロンで料理教室を開催する」といった取り組みは、お客の役にたつほか顧客維持や顧客の新規開拓に繋がります。

 

④客単価アップを狙った顧客対応

コロナ対策で席の間隔をあける、少人数に限定する といった制約のある営業では売上および来店者数が減少しますが、それをカバーするには客単価のアップを狙った取り組みも欠かせません。

 

しかし、露骨に高価格帯の料理や商品を進めるとお客に嫌われかねないため、おもてなしのサービスを充実して客単価の向上に取り組むべきです。つまり、料理やサービスにより手間をかけてその価値の高さを喜んでもらいながら客単価アップに努めます。

 

たとえば、通常の料理よりも一段手を加えたやや高めの「今日のおすすめ料理」を用意して提供するなどが有効です。全体を値上げするのではなく、特別なものを少し高めで提供するというスタイルでお客を誘導します。

 

また、通常のメニューに加えやや高めのトッピング商品や少量追加メニュー等を用意してPOPや店員のPRで勧めます。「○○産の新鮮トマト」「フランスから直輸入のチーズ」「宮崎県の地鶏卵を使ったゆで卵」といったトッピングなどです。

 

飲み物なども独自性や希少性のある高価格帯の商品なども品揃えしPOPや展示でアピールするとよいでしょう。ほかにも分量の多い大盛メニューを用意する、種類の異なる商品を2つ、3つなどに組み合わせたセットメニューを用意することで客単価アップを図るのも有効です。

 

⑤独自性や価値の高いサービスの導入

テイクアウト、デリバリー、通販といった業態を導入する場合、提供する物や提供の仕方に独自性などの価値をもたせると成功しやすくなります。

 

たとえば、その店に行かないと食べられない、入手できないようなものをテイクアウト、デリバリー、通販すればその業態導入の成功確率は高まるのです。しかし、居酒屋などの一般的なメニューの商品をテイクアウト販売等しても他店で容易に入手できるため多くの需要を期待するのは難しいでしょう。

 

そのためこれらの業態を導入する場合、何ならかの価値をもたせることが重要です。「スタンドふじ」では通常3万円から4万円しそうな海鮮セットが1万円という破格の値段でテイクアウト販売されています。

 

「鮨かの」では新鮮なネタを使ったこだわりの「海鮮バラチラシ」「穴子すし」が当主自らによりデリバリーされていました。ビストロプランでは、オンラインショップでのキッシュの販売のほか、店舗で人気のパテ・リエット・ソーセージなどが個包装・冷凍で販売されています。

 

⑥SNSや情報サイトの活用

今やどの業種でもSNSや検索サイト・情報サイトなどインターネット経由の広告やコミュニケーション活動は事業上不可欠マーケティング手段と言えるでしょう。

 

今の消費者は企業サイト以上にtwitter、Facebook、InstagramなどのSNSや個人ブログなどから商品やお店の情報を入手し購買行動をとるため、お店はSNS等への積極的な対応が必要です。

 

お店や商品について店側から積極的に情報発信して、認知度を高めるように努めなければなりません。また、これらの手段は双方性があるため、コミュニケーション手段として有効です。具体的には、消費者やお客との関係を作り維持向上させる手段として活用できます。

 

様々なPR・告知を行ったり、アイデア・意見などを募ったりできるためマーケティング手段として有効なほか、やりとりを通じて興味を持ってもらったり、ファンになってもらったりすることも可能です。

 

また、グルメ情報サイトや地図検索サイトなどに登録して消費者の目に触れやすいようにしておくことは新規開拓の点で有効ですが、その場合でも自社のSNSの活用があればなお効果を高められるでしょう。

 

 

5 飲食業のアフタコロナに向けての注意点

飲食業のアフタコロナに向けての注意点

 

アフタコロナにおいて飲食業で生き残る、会社設立する場合、どのように事業に向き合っていくべきか、についての注意点を説明しましょう。

 

 

5-1 需要喚起への取り組み

新型コロナで消費マインドの低下とともにリモートワークなどの増大などでサラリーマンなどの働き方も変わり、飲食業での需要回復は容易に期待できません。

 

そのためウイズコロナ時と同様に需要喚起策を実行していく必要があります。ウイズコロナ時ではGo To Eat キャンペーンなどの国や自治体の支援策が実施されましたが、アフタコロナでも同様の支援策が出ればうまく活用すべきです。

 

もちろん各店舗独自のキャンペーンも随時実施していくべきでしょう。既存の客層全体に対するイベント、特定顧客に対するイベント、新規顧客に対するイベントなどを、年間を通じて計画的に行っていくことが重要です。

 

 

5-2 SNS等を利用した情報発信

固定客の囲い込みや新規顧客の開拓など来店者数を増やしていくにはお客に対する店舗側からの情報発信が欠かせません。①の需要喚起のためにSNS等を通じた情報発信を活用することが重要です。

 

twitter、Facebook、InstagramやLINEなどのSNSの活用は飲食業にとって顧客とのコミュニケーション手段になるのみならず、効果的な広告手段や販促手段になるため積極的な利用が求められます。

 

たとえば、新しい食材の入荷情報、こだわりの料理の説明、新メニューの発表、特別イベントの告知、新商品開発のアイデアの募集、要望への対応状況の説明などです。

 

こうした情報をもとに既存顧客との関係性を維持強化するとともに、顧客からそれらの情報を拡散してもらうことで新規顧客を呼び込むこともできるため、積極的な発信が必要になります。

 

なお、店からの情報発信は店主や責任者などが自分の言葉で伝えることが重要です。第三者に情報発信の作業を任せる場合でも店主等の気持ちがお客に伝わるような内容や表現で伝達するようにしましょう。

 

 

5-3 アフタコロナでの業態の再変更

ウイズコロナで業態を大幅に変更したり、一部を導入したりして危機を乗り切ったお店も少なくないですが、アフタコロナにおいてその変更・追加した業態を今後どうしていくかが問題になります。

 

具体的にはウイズコロナで少人数対応型の業態に変更したが、アフタコロナでは元の大人数対応に戻すかどうかという点です。或いは休業中に始めたデリバリーサービスを営業の本格再開からは中止するかどうかといった点になります。

 

前者の場合、せっかく少人数対応での業態で一定の固定客を掴めていても急に大人数対応の業態に戻せば個人客を失いかねません。デリバリーサービスでも掘り起こした需要を中止により捨ててしまう恐れが生じます。

 

業態の変更・追加、そして再変更などは状況に応じて店側が取るべき対応ですが、ビジネス上のその都合はお客にとっては関係なく支持するか支持しないかだけの問題になる点を留意すべきです。

 

お店が緊急的に業態を変更・追加する場合でも抜本的に行う場合でもお客の支持が得られるかどうかの視点で検討し実行しなければなりません。

 

 

5-4 露骨な客単価アップ策の回避

需要が低迷している場合、飲食業では客単価アップ策は有効な手段ですが、過度に取り組まないように注意するべきです。過度の客単価アップの仕組みを作ると「お店がお客にお金を吐き出させる」ような印象を与え、結果としてお客を店から遠ざけることになりかねません。

 

リーゾナブルな価格帯の料理・商品が中心となっていて、それに気軽に注文できる多様な追加メニューがある、そして独創的・魅力的なやや高価格帯の料理・商品があるといった構成が基本です。

 

単に高価格帯の料理を注文させる仕組みではなく、少し高めのトッピングの追加、お得感のある複数品セットの提供、少量でお手軽価格になる高価格帯商品の小口販売 などの工夫を行い「高いものを注文させられるという印象」を与えないように注意しましょう。

 

 

6 まとめ

まとめ

 

新型コロナ禍の苦しい状況でも特色ある専門料理店への業態変更、成長が期待できる給食市場などへの新規参入、オンラインショップの開設による商品の通信販売、こだわりを感じさせる商品のテイクアウトやデリバリーサービスの実施 などで成功している飲食業も少なくありません。

 

会社設立して新規開業するには困難な時期ですが、取り組み方次第では事業を持続し成長させることも不可能ではないです。これまでに説明してきた顧客維持や新規顧客開拓の方法や成功事例などを参考に飲食業で勝ち残る方法を検討してみてください。


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