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2017年第1四半期のスマートフォン市場、依然アップルが圧倒

(出展:Japan Times)
(出展:Japan Times)

米調査会社のIDCは6月、国内携帯電話出荷台数が前年同月比で9.0%増加し、879万台だったと発表しました。また、このうちiPhoneの出荷台数が426万台と全体の半分近くを占めました。世界ではAndroid端末が主流とされる中、国内ではiPhoneが圧倒的シェアを誇ります。

 

一方、フィーチャーフォンと呼ばれる従来型携帯電話は前年同月比82.0%減となる27万台にまで落ち込みました。10年ほど前までは日本の携帯電話は海外製と比べて高機能・多機能だったこともあり、スマートフォンの普及は諸外国によりも遅れていました。そのため、国内メーカーもスマートフォンの開発に熱心ではなく、世界のスマホ市場参入の遅れにつながりました。

 

現在、国内スマートフォンのメーカー別シェアでは、残りの半分を京セラやシャープ、ソニーなどが凌ぎを削っている状況です。はたして国内メーカーが市場をリードする日は訪れるのでしょうか。

 

 

目次

  1. 1 iPhoneの国内シェア48.4%
  2. 1-1 国内版ベンダー別シェア
  3. 1-2 世界ではサムスン、ファーウェイが人気
  4. 2 フィーチャーフォン、前年比で8割減少
  5. 2-1 終息を迎えている従来型の携帯
  6. 2-2 格安SIMは依然として少数派
  7. 2-3 10代の若者の間ではガラケー持ちは皆無!?

 

1 iPhoneの国内シェア48.4%

IDCによると、2017年4月〜6月の間に出荷された国内携帯電話台数は879万台に達し、2015年第1四半期の917万台の記録に迫る勢いとなりました。前年同月比で9%の伸びだったことについて、IDCは「2016年第1四半期以来の出荷台数の落ち込みは回復基調にある」と分析します。

 

 

1-1 国内版ベンダー別シェア

ベンダー別の携帯電話出荷台数では、アップルのiPhoneが48.4%でトップ。ついで、京セラ11.5%、シャープ10.4%、ソニー7.9%、富士通7.4%、その他14.3%と続きました。

 

・ 国内版ベンダー別シェア

順位 メーカー シェア率
1 アップル 48.4%
2 京セラ 11.5%
3 シャープ 10.4%
4 ソニー 7.9%
5 富士通 7.4%
6 その他 14.3%

 

円グラフ

(参照:IDC JAPAN 2017年6月1日付)

 

 

1-2 世界ではサムスン、ファーウェイが人気

IDCによれば、昨年の国内携帯市場では、iPhoneが前年同月比6.3%増となる426万台を出荷し、全体の48.4%を占め、日本市場での圧倒的な強さを保っています。2位以下は、かつて従来型携帯電話で高いシャア率を誇っていた国内メーカーが名をつらねるも、アップルとは5倍以上も離されている状況です。

 

一方、世界のスマートフォン市場と比較すれば、日本はかなり特殊な市場であることがわかります。

 

米調査会社TrendForceによれば、2016年の世界市場でのベンダー別シェアは1位サムスン22.0%、2位アップル16.8%、3位ファーウェイ9.3%、4位レノボ6.1%、5位シャオミ5.8%となります。ファーウェイ(HUAWEI)※1やシャオミ(Xiaomi)は中国企業ですが、日本ではあまり聞きなれない製造メーカーです。

 

・世界版ベンダー別シェア(2014年〜2016年

  2014年 2015年 2016年
順位 メーカー シェア率 メーカー シェア率 メーカー シェア率
1 サムスン 27.8% サムスン 24.8% サムスン 22.2%
2 アップル 16.4% アップル 17.5% アップル 16.8%
3 レノボ 7.9% ファーウェイ 8.4% ファーウェイ 9.3%
4 ファーウェイ 6.2% シャオミ 5.6% レノボ 6.1%
5 シャオミ 5.4% レノボ 5.4% シャオミ 5.8%
6 LG 5.2% LG 5.3% LG 5.0%
7 Coolpad 4.2% TCL 4.0% TCL 4.0%
8 ソニー 3.9% オッポ 3.8% オッポ 3.9%
9 TCL 3.3% BBK・VIVO 3.3% BBK・VIVO 3.4%
10 ZTE 3.1% ZTE 3.1% ZTE 3.1%

(参照:TRENDFORCE 2016年1月付

 

表中のオッポ(OPPO)※2も中国系メーカーですが、米調査会社Strategy Analyticsによると2016年の7~9月の世界のベンダー別スマートフォン市場シェアでは、サムスンを抜いて2位になるほど勢いのあるメーカーです。

 

※ ファーウェイは、1987年に中国・深センに設立されたスマートフォンメーカー。17万人以上の従業員を抱え、通信事業者向けネットワーク事業や法人向けICTソリューション事業などを展開する中国企業。
※ 2004年に設立されたオッポはおもにDVDプレイヤーなどの電気機器を製造・販売していたメーカー。2011年からスマートフォン市場に参入。そして2016年7月、ファーウェイを抑えて初めて売上トップに躍り出た。(参照:Counterpoint Technology Market Research社発表データ)

 

 

2 フィーチャーフォン、前年比で8割減少

内閣府による消費動向調査にてスマートフォンの世帯あたりの普及率が従来型携帯電話を抜いたと昨年4月に判明しました。この時点でスマホの普及率は67.4%、フィーチャーフォン64.3%で、その後スマートフォンへの切り替えが進んだ結果、2017年第1四半期での従来型携帯電話出荷台数は前年同月比で82.0%減少し、27万台となりました。

 

 

2-1 終息を迎えている従来型の携帯

また、スマートフォンの出荷台数は851万台で、前年同期比30.1%の拡大となりました。2017年3月時点での普及率はスマートフォン69.7%に対して、フィーチャーフォン58.6%となります(内閣府「消費動向調査」より)。

 

端末別のインターネットの利用状況をみても、スマートフォン54.3%に対して、従来型携帯電話15.8%となります(総務省「通信利用動向調査」より)。

 

端末別

 

調査を行ったIDCは、従来型携帯電話市場は急速に終息を迎えていると以下のようにコメントします。

 

「従来型携帯電話の急速な終息を受け、日本の携帯電話市場はスマートフォンへの移行が急テンポで進みつつある。その中で従来型携帯電話ユーザーの受け皿となるモデルの重要性が今後高まることは明らかである。規模の面から見ても、スマートフォンが今後のデジタルトランスフォーメーション(DX)において大きな役割を果たすことは明らかだ。我々は、日本の携帯電話市場の特殊性を前提とした市場理解をすると同時に、ハードウェア、ソフトウェア両面で世界的視野でのイノベーションに伍することが求められるだろう」(参照:IDC Japan 2017年6月1日付)

 

 

2-2 格安SIMは依然として少数派

格安SIMで知られるMVNO事業者向けのシムフリー端末は、スマホ市場全体で9.0%にとどまり、成長基調にあるものの依然として少数派だとIDCは報告しました。

 

MVNO※は、携帯電話などの無線通信インフラ(ケータイやスマホに電波を送るための基盤のこと)を他社から借り受けてサービスを提供する事業者(NTT「MVNOとは?」より)のことで、通常割高なデータ通信料を、1GB900円など格安で提供しています。

 

ITデータ調査会社のMMD研究所によれば、格安SIMサービスの認知度は87.8%ですが、MVNOメインでスマートフォンを利用しているシェアは7.4%(前年度同月5.6%)にとどまります。

 

その理由としてシムフリー端末を購入してMVNOを利用する場合、一般的なキャリア契約よりも必要な端末、SIMカード、契約形態などについて専門的な知識が必要とされ、認知度は高いものの、その内容理解は44.1%となっています。

 

契約形態 キャリア 割合
キャリア契約 ドコモ 32.8%
au 29.6%
ソフトバンク 23.3%
シムフリー契約 Y!モバイル 3.4%
MVNO 7.4%

 

mmd

(参照:MMD研究所 2017年3月17日付

 

シムフリー端末は、通信会社を自由に選択できたり、自分の利用状況にあった契約形態を幅広く選択できるといったメリットがあるものの、手続きの難解さが足かせとなっている模様です。

 

※ MVNOとはMobile Virtual Network Operator(仮想移動体通信事業者)の略語である。

 

 

2-3 10代の若者の間ではガラケー持ちは皆無!?

このほか、未成年者全体でのスマートフォン保有率は80.3%で、高校生女子に限れば、100%に達することがわかっています。(参照:デジタルアーツ「未成年の携帯電話・スマートフォン利用実態調査」)

 

年齢 保有率 前回
0〜9歳 56.8 55.5
小学生(10〜12歳) 男子 59.2 42.7
女子 61.2 33.0
合計 60.2 37.9
中学生(13〜15歳) 男子 81.6 70.9
女子 82.5 81.5
合計 82.0 76.2
高校生(16〜18歳) 男子 97.1 96.1
女子 100.0 99.0
合計 98.5 97.6

 

まさにスマホ全盛期ともいえる現代社会。日本ではアップルが圧倒的リードを見せ続けるのか、または国内企業が意地の起死回生を見せるのか。今後の動向に注目です。

 

 


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